JPH11242028A - D−アミノ酸からなるペプチドによる診断方法の干渉の 排除 - Google Patents
D−アミノ酸からなるペプチドによる診断方法の干渉の 排除Info
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Abstract
り優れた、イムノアッセイにおける非特異的な相互作用
による干渉の排除を得るための新規な干渉排除物質を提
供する。 【解決手段】 本質的にD-アミノ酸からなるペプチドを
少なくとも一種含む干渉排除試薬。
Description
排除するための本質的にD-アミノ酸からなるペプチドの
使用、本質的にD-アミノ酸からなるペプチドによる診断
方法の干渉を排除するための方法、及び本質的にD-アミ
ノ酸からなる少なくとも一種のペプチドを含む干渉を除
去する試薬に関するものである。
おいて非常に重要になってきている。このような方法は
生物学的サンプル中の分析対象物の検出を可能とするも
のである。このような分析対象物には、例えば、薬物、
ホルモン、タンパク質、感染物質(infectious agen
t)、微生物、及びこれらの分析対象物に対する抗体が
含まれる。このような病原体は、特に、例えば細菌、真
菌、ウイルスのような微生物による感染症を検出するた
めに直接または間接に検出される。すなわち、その感染
症に応じて、病原体を抗原試験により診断するか、ある
いはその病原体に対する免疫反応として特異的に形成さ
れた抗体を検出することを意味するものである。
異的結合反応は、検出することが意図されている物質
(分析対象物)と、その分析対象物と特異的に反応す
る、または特異的に結合する少なくとも一種の特異的結
合パートナーとの間で発生する。この過程において、分
析対象物及び特異的結合パートナーは、一般に抗原と抗
体あるいは抗体の断片との複合体である特異的結合対を
形成する。この過程においては、二以上の分析対象物ま
たは二以上の結合パートナーが各反応において互いに反
応し得る。これらの特異的結合反応は種々の方法で検出
できる。一般に、特異的結合反応の結合パートナーの一
方を標識する。通常の標識は、色素源、蛍光団、化学発
光あるいは電気化学発光が可能な物質、放射性同位体、
ハプテン、酵素標識、あるいは例えばビオチン/ストレ
プトアビジンのような特異的結合対を形成し得る物質で
ある。
イムノアッセイの特異的結合パートナーとサンプル成分
との間で望ましくない相互作用や非特異的な結合反応が
生じ得る点である。このような相互作用が起こると、通
常バックグラウンドシグナルが増加し、シグナルの散乱
が強くなり、各試験の感度及び特異性が低下する。
種類により、偽陽性や偽陰性の試験結果が生じ得る。
べき分析対象物をマスクし、例えば抗体のような特異的
検出試薬が分析対象物に結合できないようにする物質が
サンプル中に存在している場合である。
る。これは、分析対象物が存在していないのに試験にお
いて陽性シグナルが得られてしまうということを意味す
る。すなわち、特に感染症の診断時に、健康で感染して
いない患者のサンプルから偽陽性の結果が試験において
得られてしまうというような状況は起きてはならない。
HIV感染の診断の場合、抗HIV抗体の検出を目的とした診
断試験の臨床的特異性については、認可当局によって9
9.5%を上回ることが要求水準として制定されている。
これは、健常者のドナー(非感染者から得られたサンプ
ル)の群において、1000個のサンプルのうち許容される
偽陽性サンプルはたった5個であることを意味してい
る。それにも関わらず発生する偽陽性反応は非特異的な
物質により引き起こされる。この非特異的物質は、試験
方法によっては、抗体の検出のために用いられる例えば
HIV抗原のような抗原に結合してしまい、そしてあたか
も検出されるべき感染物質に対する抗体のように検出系
により誤って陽性として検出されてしまう。これらの非
特異的反応物質は、多くの場合抗体である。誤った試験
結果を引き起こす、イムノアッセイにおけるこれらの非
特異的相互作用を低減するための種々の試みが既に従来
の技術において記載されてきている。すなわち、種々の
炭水化物成分及びタンパク質、タンパク質混合物、ある
種のタンパク質分画、及びその加水分解物が、イムノア
ッセイにおける分析対象物と試験成分との間の非特異的
な相互作用を低下させ得ることがかなり以前から知られ
ている(例えば、Robertsonら、J. Immunol. Meth. 26,
1985; EP-A-0 260 903; US 4,931,385を参照)。粗
タンパク質分画及び粗加水分解物を用いることの欠点
は、それに含まれる成分が試験における別の干渉を引き
起こし得ることである。さらに、酵素によって生成され
た加水分解物は、その製造のために使用されるプロテア
ーゼで汚染され得、酵素切断の制御が困難であることか
ら、品質についての均一性を欠いているのが通常であ
る。プロテアーゼ汚染物質は試験成分を分解する可能性
があり、それが微量であっても試験の機能や保管時の安
定性を損ない得る。
用を低減させるために、化学修飾タンパク質、特にスク
シニル化またはアセチル化タンパク質を使用することに
ついても記載されている(US 5,051,356; EP-A-0 525
916)。しかし、このような物質を使用しても、血清サ
ンプルの抗体試験において生ずる偽陽性結果の多くは回
避することができない。
ば、リウマチ因子のような特定の干渉因子を低減させる
ために、重合免疫グロブリン、特にIgGを使用すること
について記載している。しかし、これは全ての干渉性の
相互作用を満足のゆく水準まで排除することはできな
い。さらにヒト抗体についての試験では、非特異的なヒ
ト免疫グロブリンの添加によりブランク値が高くなり得
る。さらにヒトまたは動物のIgGの単離は、複雑でコス
トが嵩む。
トアビジン及びその誘導体についてはWO 95/23801に記
載されており、この干渉排除剤は、主として不均質イム
ノアッセイにおいてストレプトアビジンまたはアビジン
固相によりサンプル成分の非特異的な相互作用を低減す
るものである。これらの干渉排除剤は、前記の固相とは
相互作用せず、通常の免疫学的試験成分に非特異的に結
合する物質による干渉を排除することはできない。
足ゆく解決法は、従来の技術においては記載されていな
い。従って本発明の目的は、従来の技術においてこれま
で知られたものより優れた、イムノアッセイにおける非
特異的な相互作用による干渉の排除を得るための新規な
干渉排除物質を提供することである。本発明の目的は特
に、感染症の診断において誤った試験結果を低減するこ
と、可能ならば完全に排除することである。
D-アミノ酸からなるペプチドを使用して免疫学的検出方
法における干渉を排除することにより達成される。驚く
べきことに、本発明の本質的にD-アミノ酸からなるペプ
チドの使用により、非特異的な相互作用が劇的に低減
し、従って誤った検出反応、特に偽陽性検出反応が実質
的に回避できることがわかった。
れるペプチドの重要な特性は、天然のL-アミノ酸からな
るものでなく、本質的にD-アミノ酸からなることであ
る。この結果、対応するL-アミノ酸からなるペプチドの
対応する抗原性はない状態で、親水性、可変性及び可溶
性のような特性を正確に模倣する。すなわち、本質的に
D-アミノ酸からなるペプチドは、それらの立体配座が実
際の抗原の完全な鏡像となっていることから抗原性では
ない。抗原性は、抗原及び特異的抗体のような二以上の
免疫学的結合パートナーの相互に対する特異的結合性質
として理解される。従って、D-アミノ酸からなるペプチ
ドは、抗原結合部位、つまり検出されるべき特異的抗体
のパラトープに結合しない。従って、本発明による干渉
排除剤は、特異的検出反応を妨げることはない。
(キラル)化合物についてのEmil Fischerの命名法に従
ったアミノ酸の投影式として理解される。これによれ
ば、最も酸化状態が高い末端が上にくるように炭素鎖を
縦に配置する。さらに、分子は不斉炭素原子上の置換基
が正面に向かって突出するように配置しなければならな
い。イムノアッセイにおいて、アミノ酸の立体配置の表
示法はアミノ基に関係する。即ち、左側のアミノ基はL-
立体配置、右側のアミノ基はD-立体配置を表す。しか
し、D及びLという名称は、直線偏光した光の光学回転方
向とは無関係である。アミノ酸のD型及びL型は、互いに
像と鏡像のような関係にある。タンパク質はL-アミノ酸
のみからなる。いくらかの細菌のみがD-アミノ酸をその
細胞壁に有する。
共有結合的に連結した少なくとも2個、最大100個のアミ
ノ酸からなる分子として理解される。この定義はL-アミ
ノ酸からなるペプチドと同様にD-アミノ酸からなるペプ
チドにも適用される。
ッセイにおいて免疫学的結合パートナーとして用いられ
ることが多い。検出試薬として用いられるこれらのペプ
チドは、必ずそうしなければならないということはない
が、他の分子で標識することができる。このような標識
には、例えば、ビオチン、ジゴキシゲニンやステロイド
ホルモンのようなハプテン、酵素、色素、蛍光性標識が
含まれる。免疫学的結合パートナーとして用いられるL-
アミノ酸からなるペプチドは、イムノアッセイにおい
て、この場合は抗体であり得る分析対象物のような他の
結合パートナーに特異的に結合する。標識されたペプチ
ドを用いた場合は、分析対象物の存在は、その分析対象
物に結合したペプチドの標識によって検出できる。L-ア
ミノ酸からなるペプチドも競合物として用いることがで
きる。この場合、L-アミノ酸からなるペプチドは、例え
ば抗原−抗体複合体の免疫学的結合パートナーの一方
を、その複合体から排除する。分析対象物の濃度は、複
合体または溶液の何れかにおける標識ペプチドの量の基
づき、標準曲線との比較によって推定することができ
る。
して用いられるL-アミノ酸からなるペプチドの配列は、
検出されるべき分析対象物の配列か、その分析対象物に
特異的に結合する免疫学的結合パートナーの配列の何れ
かに基づくものである。これに関しては通常、定義され
たエピトープ領域が、免疫学的に認識されることが知ら
れた配列領域として選択される。ウイルスタンパク質の
免疫学的に活性な多数の抗原決定基が、特にHIV及びHCV
感染症のような感染症の分野において既に記されてい
る。HIVの最も重要な免疫学的に活性な領域には、エン
ベロープ(env)タンパク質gp41、gp120及びカプシド
(gag)タンパク質p24が含まれる。
然の起源から精製されたか、あるいは組換えにより生成
された完全なタンパク質またはその断片を免疫学的結合
パートナーとして用いることが多い。
本質的にD-アミノ酸からなるペプチドのアミノ酸配列
は、L-アミノ酸からなるペプチドと同様に、分析対象物
自体、または分析対象物の検出に用いられる分析対象物
特異的結合パートナーの何れかに存在する配列に基づく
ものである。干渉を排除するために用いられるペプチド
の配列は、分析対象物上のエピトープか、特異的結合パ
ートナー上のエピトープに対応するものであることが好
ましい。
結合パートナーとして用いる場合には、干渉排除のため
のペプチドを選択する際に、完全にD-アミノ酸からなる
同じ長さで同じ配列のペプチドを選択するのが好まし
い。
るペプチドの長さは、少なくとも4〜50個、好ましくは5
〜20個のD-アミノ酸の長さである。
ミノ酸からなるものではなく、本質的にD-アミノ酸から
なることである。これに関して、不斉炭素原子を有して
おらず、従ってD-立体配置でもL-立体配置でもないグリ
シンの使用も許容されることを明記する。「本質的にD-
アミノ酸からなる」という記載は、配列が分析対象物か
特異的結合パートナー上のエピトープに一致する配列を
有するペプチドがD-アミノ酸からなることを意味する。
しかし、本発明の範囲内で、このエピトープ領域が天然
のL-立体配置を有するアミノ酸で挟まれることも可能で
ある。これは、L-アミノ酸からなるスペーサ領域がエピ
トープ領域に結合している場合に必要となり得る。しか
し、スペーサとしてアルキル鎖のような他の化学基を用
いることも可能である。これらのスペーサは、干渉排除
ペプチドに他の分子を結合するために必要となることが
多い。しかし、これに関して、干渉の排除に関係するエ
ピトープがD-アミノ酸からなるということが重要であ
る。本発明によれば、隣接領域が、例えばリン脂質やリ
ポタンパク質において見られるような脂質構造、あるい
は糖鎖からなることも可能である。エピトープに隣接す
る干渉排除ペプチドの領域は、原則的には所望に応じて
修飾することができる。いかなるペプチド修飾があって
も、干渉排除効果が損なわれないということが重要であ
る。干渉を排除するために用いられるペプチド自体が、
この追加の修飾のためにイムノアッセイを干渉すること
がないようにするということにも注意しなければならな
い。
D-アミノ酸からなるエピトープに関連している。干渉排
除ペプチドの全長が、隣接配列の組み込みのために上限
の50アミノ酸を超えることも十分可能である。
好ましくは市販のペプチド合成機を用いた固相上での化
学合成により生成される。この合成は、当業者にはよく
知られたメリフィールド法(Merrifield method)によ
り行われるのが好ましい。この方法では、個々のアミノ
酸構築ブロックを、それが必要な場所においてD-異性体
として用いられなければならない。その他の方法の工程
は、L-アミノ酸からのペプチド合成と同一である。これ
は、合成が既知の方法、好ましくはアミノ酸誘導体(こ
の場合はD-アミノ酸誘導体)を用いてペプチドのカルボ
キシ末端から開始される合成法によって行われることを
意味する。アミノ酸誘導体としては、好ましくは結合に
必要なアミノ末端基がフルオレニルメチルオキシカルボ
ニル(Fmoc)残基で誘導化されたものが用いられる。使
用されるアミノ酸の反応性側基は、ペプチド合成の終了
後に容易に切断され得る保護基を含む。この好適な例
は、トリフェニルメチル(Trt)、t-ブチルエーテル(t
Bu)、t-ブチルエステル(OtBu)、t-ブチルオキシカル
ボニル(Boc)、あるいは2,2,5,7,8-ペンタメチルクロ
マン-6-スルホニル(Pmc)のような保護基である。
する標準的な19のアミノ酸のD型のものを用いることが
可能である。さらに、4-ヒドロキシプロリン、5-ヒドロ
キシリシン、3-メチルヒスチジン、ホモセリン、あるい
はオルニチンのようなアミノ酸誘導体のD型のものを用
いることも可能である。
遊離させた後、保護基は、例えば酸の添加のような当業
者に周知の方法により切断する。その後、このようにし
て得られた生成物は好ましくはHPLCにより精製する。
ドが分子内ジスルフィド架橋を含む場合には、このジス
ルフィド架橋は、ヘキサフルオロイソプロパノール/ジ
クロロメタン中でヨウ素により固相を酸化してペプチド
を遊離する前に形成する(Seidel C., Peptides 1991,
Giralt及びAndreu編, Escom, Leiden, p. 236)。
るペプチドを調製するために、標準的な合成及び精製プ
ロセスを用いることができる。複雑な装置や、面倒な干
渉排除ペプチドの精製処理が不要となる。
量体形態で用いることができる。これは、各ペプチドが
D-アミノ酸の形態では干渉を受けないものとなる単一の
エピトープを含むことを意味している。本発明によれ
ば、干渉を排除するために、本質的にD-アミノ酸からな
り、異なるエピトープを含む複数の異なるペプチドを用
いることができる。これは、分析対象物が数種の免疫学
的に認識できるエピトープを有する場合、あるいは異な
る複数の分析対象物が一回の試験で検出される場合に好
都合であり得る。
られるペプチドは、対応するエピトープを複数個有し
得、すなわち多量体であり得る。従ってこのペプチドは
ポリハプテンとして用いることができる。これは本発明
のペプチドが複数回担体に結合して、その成分が本質的
にD-アミノ酸からなるポリハプテンを生成するというこ
とを意味する。これに関して、本発明の本質的にD-アミ
ノ酸からなるペプチドを複数個担体に結合することも可
能である。ウシ血清アルブミンのような大形のタンパク
質や、ラテックス、ポリスチレン、金、またはデキスト
ランからなる粒子のような、それ自体免疫反応に関与し
ない高分子を担体とし得る。ポリハプテンは、WO 96/03
652に記載された方法に類似した方法により製造するこ
とができる。この場合、本発明のポリハプテンの生成の
ために、この特許に記載されるL-アミノ酸の代わりにD-
アミノ酸を用いる。
なるペプチドが担体材料に結合されているこのようなポ
リハプテンを用いることにより、イムノアッセイにおけ
る偽陽性反応を実質的に回避できるということがわかっ
た。従って、本発明によるペプチドは、イムノアッセイ
の干渉を排除するためには、ポリハプテンの形態で用い
るのが好ましい。干渉排除効果は、エピトープ密度の増
加につれて高くなる。これは、干渉排除効果が単量体ペ
プチドからポリハプテンになるにつれて高くなることを
意味している。
チドは、イムノアッセイにおいて、干渉排除剤として試
験混合物に添加される。これにより、抗体試験のような
免疫学的試験において、非特異的な抗体と検出抗原との
反応により起こる非特異的な結合及び反応が実質的に回
避される。本発明のペプチドによる干渉排除効果につい
ては、この干渉排除ペプチドは非特異的抗体には結合す
るが、検出されるべき特定の抗体には結合しないという
説明が可能である。本質的にD-アミノ酸からなる干渉排
除ペプチドは、実際の抗原性を欠いている。これが干渉
を排除できる理由であることが間違いないことは明らか
である。干渉する非特異的抗体の「偽りの」非特異的反
応は、その抗原結合部位、つまりパラトープを介した、
検出試薬として用いられる抗原への結合の結果であると
いう可能性がある。しかし抗体のパラトープと異なる部
位も抗原と反応し得る。このように干渉排除剤でブロッ
クされた抗体は、もはや検出抗原と反応することはでき
ず、この結果、偽陽性結果が殆どなくなり、理想的には
全くなくなる。
性を有するものがある。ここで本発明の干渉排除ペプチ
ドを用いると、干渉物質の結合部位を実際に封じ、従っ
て免疫反応に干渉剤が到達しないようにすることができ
る。
果も生ずる。これはサンプル中の干渉抗体が、検出すべ
き抗体にその抗原結合部位をマスクするような形で結合
することが原因であり得る。この結果、このサンプルの
抗体は、抗体試験において実際の免疫学的反応から排除
され、偽陰性結果が生ずる。このような場合、干渉排除
剤の目的は、干渉抗体、または干渉物質にそれをマスク
するような形で結合することである。偽陰性試験結果を
回避するために、本質的にD-アミノ酸からなる本発明の
ペプチドを使用することも本発明の主題である。
チドは、サンプル中に存在する干渉物質に対し過剰量で
使用するのが好ましい。本発明のペプチドの使用量につ
いての上限は、試験混合物において干渉排除剤の溶解度
が必ず保証される量という点でのみ存在する。干渉を排
除するために使用される本質的にD-アミノ酸からなるペ
プチド、または対応するポリハプテンの量や濃度は、サ
ンプル中にある干渉物質によって決まる。これは、干渉
の程度に応じて、当業者が試験手順に基づいて個別に決
定しなければならない干渉排除剤の量を加えなければな
らないということを意味している。1 nmol/l〜 1 mol/l
の範囲が適切な濃度範囲であることが判明している。
が試験の感度に影響を与えないことが好ましい。本質的
にD-アミノ酸からなる本発明のペプチドにより、原則と
して、当業者によく知られている全てのイムノアッセイ
形式での干渉を排除し、偽りの試験結果、特に偽陽性試
験結果を殆どなくすことができる。
ンプルや検出試薬のなかに免疫学的に活性な結合パート
ナーが存在する限り、あらゆる試験形式で使用すること
ができる。本発明のペプチドは、不均質試験法でも均質
試験法でも用いられるが、好ましくは不均質試験法で用
いられる。
合パートナーとからなる複合体が結合する固相が常に用
いられる。この例は、EP-A-280 211に記載されるような
架橋試験形式の抗体試験法である。この場合、測定され
るべき抗体に特異的に結合し得る抗原のような第一の結
合パートナーを固相に結合する。次に測定されるべき分
析対象物−抗体を、固相結合抗原に結合させる。さら
に、分析対象物に対する別の特異的結合パートナー(抗
原)の標識したものを試験混合物内に存在させる。固相
に結合した結合パートナー、分析対象物抗体、及び標識
された結合パートナーからなる架橋が形成されたらすぐ
に固相を液相から分離し、固相または液相中の標識を検
出する。本質的にD-アミノ酸からなる本発明のペプチド
は、この形式においては、サンプル中の非特異的抗体の
ような非特異的物質がマスクされ、固相結合免疫複合体
の形成にそれ以上関与することができないようにすると
いう効果を有する。従って、特に偽陽性試験結果が実質
的に回避される。
の試験形式は競合試験法であり、これにおいては互いに
特異的な二種の結合パートナーの固相結合複合体を形成
し、固相に直接結合しない結合パートナーを標識する。
試験手順により抗原あるいは抗体である分析対象物が、
その濃度に応じて、複合体から標識された結合パートナ
ーを排除する。液相から固相を分離した後、両相の何れ
か一方において標識を検出する。この場合においても、
本発明のペプチドは、検出試薬として用いられる結合パ
ートナーへの干渉サンプル物質の非特異的結合をブロッ
クし、偽りの試験結果を実質的に防止する。
の試験形式は、分析対象物(この場合は抗原)が、固相
結合抗体と標識された抗体との間でサンドイッチ状に挟
まれて結合し、その固相結合抗原への結合により、分析
対象物−抗体を間接的に検出する、サンドイッチ形式の
古典的な抗原検出試験法である。この場合、標識された
別の抗体を分析対象物抗体へ結合させることによって検
出が行われる。
スタンパク質に対する抗体とが同時に検出される組合せ
による試験形式においても、当然本発明により干渉をな
くすことができる。
均質試験法では、特異的結合パートナー(抗体または抗
原)は通常、分析対象物と架橋され、分析対象物の存在
下においてのみ起こるようにされる。あるいは、分析対
象物を添加して、分析対象物を抗原(分析対象物の類似
体)または抗体と競合させることにより、先に架橋され
ている抗原−抗体複合体を破壊することも可能である。
それぞれの場合において、濁度または比濁密度の変化を
分析対象物の添加の後に測定する。真の分析対象物−抗
体の代わりに提供される、ハプテンまたは抗原に架橋す
る干渉物質は、偽陽性反応を与える。この場合において
も、本質的にD-アミノ酸からなる本発明のペプチドを用
いることにより偽陽性結果を実質的に回避することがで
きる。前記の各試験形式、及び分析対象物の検出は当業
者にはよく知られたものであり、ここでこれ以上の説明
は不要であろう。
に本質的にD-アミノ酸からなるペプチドを反応混合物に
添加することを特徴とする、公知の試験形式でサンプル
中の分析対象物を検出するための免疫学的方法である。
本発明の方法では、一般に、分析対象物に対して特異的
な一種または複数の結合パートナー及び干渉を排除する
ための本発明のペプチドにサンプルを接触させる。この
方法では、特異的結合パートナーを添加する前、あるい
は添加と同時に、干渉を排除するために用いられるペプ
チドにサンプルを接触させることができる。その後、分
析対象物と特異的結合パートナーとから形成された複合
体を、分析対象物の存在の測定基準として測定する。
を行うための試験形式は、上記の節にそれぞれより詳細
に例示されており、しかも当業者には一般的な技術知識
の範囲である。
特異的に反応して複合体を形成する物質、例えばハプテ
ン、抗原、抗体、核酸等はいずれも分析対象物となり得
る。
イを行うための適切なサンプルは、当業者によく知られ
た全ての生物学的流体である。例えば、全血、血清、血
漿、尿、唾液等の体液がサンプルとして好ましく使用さ
れる。
試験に加えて、分析対象物の免疫学的検出に適した一般
的な乾式の試験形式はいずれも使用することができる。
これらの乾式試験や、例えばEP-A-0 186 799に記載され
ているような試験ストリップにおいては、試験成分が担
体に塗布される。すなわち、本質的にD-アミノ酸からな
る本発明のペプチドは、免疫学的検出の前に乾式試験ス
トリップに予め塗布される。
が干渉排除剤と反応できる、すなわちそれに結合し得る
ように検出試薬として用いられる結合パートナーが添加
される前に、本発明の干渉排除剤をサンプルに予め添加
しておくのが好ましい。本発明の本質的にD-アミノ酸か
らなるペプチドを、サンプルを希釈するために用いられ
るサンプル緩衝剤に予め添加しておくのが適当であるこ
とが判った。また、本発明のペプチドを検出試薬に添加
することも好ましい。
るペプチドを反応混合物に添加することを特徴とする診
断検出方法の干渉の排除方法にも関する。本発明により
干渉をなくす好適な方法には、特にウィルスを原因とす
る感染症の免疫診断的検出方法が含まれる。そのような
方法としては、特に、抗HIV抗体、HIV抗原についての試
験、結合した抗HIV/HIV抗原の試験、抗HCV抗体、HCV抗
原、結合した抗HCV/HCV抗原試験が挙げられる。
からなる少なくとも一種のペプチドを含む干渉排除試薬
である。干渉排除試薬に含まれ得る別の成分は、当業者
によく知られた緩衝剤、塩、及び界面活性剤である。干
渉排除剤は、液体、水性形態、または凍結乾燥形態に製
造することができる。
する。
ペプチド合成機ABI A413上で、フルオレニルメチルオキ
シカルボニル-(Fmoc)固相ペプチド合成法により合成し
た。このために、それぞれの場合において表1に示すア
ミノ酸誘導体1〜16(BACHEM Bioscience, Heidelber
g)の4.0等量を用いた。
ロリドンに溶解した。D-ペプチドを、充填量0.47 mmol/
gで、400 mgの4-(2',4'-ジメトキシフェニル-Fmoc-アミ
ノメチル)-フェノキシ樹脂(Tetrahedron Letters 28,
1987, p. 2107)上で合成した(JACS 95, 1973, p. 132
8)。結合反応は、それぞれの場合について、反応媒体と
してのジメチルホルムアミド中の4等量のN-ヒドロキシ
ベンゾトリアゾール及びジシクロヘキシルカルボジイミ
ドを使用して20分間行った。各結合段階の後、ジメチル
ホルムアミド中の20%ピペリジンにより20分以内にFmoc
基を切断した。
ロイソプロパノール/ジクロロメタン中のヨウ素により
固相上で酸化してジスルフィド架橋を形成した(Seidel
C.,Peptides 1991, Giralt E.及びAndreu D.編、Esco
m, Leiden P. 236)。
護基を20 mlのトリフルオロ酢酸、0.5 mlのエタンジチ
オール、1 mlのチオアニソール、1.5 mlのフェノール、
及び1mlの水により、室温で40分以内に切断した。その
後、300氷冷ジイソプロピルエーテルを反応溶液に添加
し、40分間0℃に保って完全にペプチドを沈殿させた。
この沈殿を濾過して取り出し、ジイソプロピルエーテル
で再洗浄し、少量の50%酢酸に溶解して凍結乾燥した。
得られた粗ペプチドを、0.1%トリフルオロ酢酸を含むア
セトニトリル/水の勾配を用いて、RP 18カラム物質上
での分離用HPLCにより、約120分以内に精製した。溶出
した精製純材料の内容はイオンスプレー質量分析法で調
べた。
I)の製造 HIV, gp41P2(D)-Cys(1)と命名された結合可能なD-ペプ
チドを、固相ペプチド化学法によって例えば長鎖状ωア
ルキルアミノ酸のようなスペーサ及びシステインをN末
端にさらに付加することにより生成し、ペプチドを樹脂
から遊離させる。この場合、表1のアミノ酸17〜21を用
いる。但し、酸化はスペーサアミノ酸及びシステインを
導入する前に行う。
ミンを、初めに12倍モル量のN-マレインイミドヘキサノ
イル-N-ヒドロキシスクシンイミド(MHS)と反応させ
た。この反応は、0.1 mol/lリン酸カリウム緩衝剤(pH
7.0)中で、10 mg/mlのタンパク質濃度で120分間以内で
行った。この反応物の低分子成分をゲル浸透クロマトグ
ラフィー(AcA 202-Gel, Biorad)により分離した。こ
の結果、リシン側鎖の約6個の一級アミノ基が、マレイ
ンイミド基で修飾された。
ウム緩衝剤(pH 7.0)中で、マレインイミド官能化ウシ血
清アルブミンと120分以内で反応させた。非反応ペプチ
ドの分離、並びに単量体及び重合体抱合体の分離は、Se
phacryl-S200 HR上で行った。20.8 mlの緩衝剤中での20
6 mgの活性化タンパク質の102 mgのHIV, gp41P2(D)-Cys
ペプチド(I)との典型的な反応では、27.7mgの重合体(I
I)及び76.3mgの単量体溶解タンパク質抱合体(III)が得
られる。この溶液は40倍の比率でトレハロースと混合し
て凍結乾燥する。
のイムノアッセイの干渉の排除 Microspot(登録商標)は、一回の測定プロセスで種々
の診断パラメータを同時に測定するのに理想的な適性を
有する小形で超高感度の技術である。基礎となる技術
は、例えばUS 5,599,729に記載されている。
抗原が検出されるべきサンプル抗体により互いに架橋さ
れる、いわゆる架橋試験形式で行われる。抗HIV抗体(<
HIV>抗体とも称する)を測定する場合には、個々のHIV
抗原をポリスチレン担体上でいわゆるアレイに固定化す
る。個々のHIV抗原は、インクジェット法に関連した技
術により試験領域にスポットとして塗布する。この試験
手順では、サンプル緩衝剤で予め希釈された30μlのサ
ンプル(例えば血清)をピペットで試験領域に加え、振
盪しながら室温で20分間インキュベートする。サンプル
を吸引し、試験領域を洗浄用緩衝剤で洗浄した後、全て
のジゴキシゲニン標識されたHIV抗原の混合物を含む30
μlの試薬溶液1をピペットで試験領域に加え、再度振盪
しながら室温で20分間インキュベートする。固定化抗原
の配列は、試薬溶液1に存在するジゴキシゲニン標識さ
れたHIV抗原の配列に対応する。試薬溶液1を吸引し、試
験領域を洗浄用緩衝剤で洗浄した後、検出試薬を含む30
μlの試薬溶液2をピペットで試験領域に加える。蛍光色
素で染色した粒径100 nmのラテックス粒子を抗ジゴキシ
ゲニン抗体で共有結合によりコーティングしたものを検
出試薬として用いる。
インキュベートし、その後吸引し、洗浄して吸引乾燥す
る。試験領域に波長633 nmのHe-Neレーザーを照射し、6
70 nmでの蛍光をCCDカメラで測定する。
n <HCV>インキュベーション緩衝剤) 50 mMリン酸ナトリウム緩衝剤 120 mM NaCl 0.01% MIT 20% PDB
は、gp41抗原の二種の異なるエピトープを提示する二種
の異なるペプチドを適用する。約500の陰性サンプルの
スクリーニングでは、4つのサンプルが偽陽性として検
出された。他の全てのスポットが反応を示さなかったの
に対して、この4つのサンプルがいずれもgp41ペプチド2
抗原スポットと非特異的に反応したことが注目すべき点
であった。原料及び緩衝剤の最適化のようなあらゆる最
適化手段を講じたのにも関わらず、この特異性を改善す
ることはできなかった。D-アミノ酸から合成された同一
の配列のペプチドを加えると、4つのサンプルのうちの3
つにおいて完全な干渉の排除が達成された。最も良好な
干渉の排除は、重合干渉排除分子(II)、即ちBSA担体分
子1個につき6個のHIV, gp41P2(D)分子を含むポリハプテ
ンを用いることにより達成された(表2及び表3参
照)。
(登録商標)<HIV>試験に強く干渉し、これらが偽陽性
結果を生ずることがわかる。本発明の干渉排除試薬をサ
ンプル及び試薬1緩衝剤に添加することにより、4つのサ
ンプルのうちの3つで確実に干渉が排除できるととも
に、4番目のサンプルの干渉シグナルは著しく低減され
る。陽性サンプルのシグナルを低下させず、あるいは最
小限に低下させるのみで、試験の感度が完全に保持され
るのは驚くべきことである。
Claims (11)
- 【請求項1】 免疫診断法の干渉を排除するための、本
質的にD-アミノ酸からなるペプチドの使用。 - 【請求項2】 前記ペプチドがポリハプテンとして存在
する、請求項1に記載のペプチドの使用。 - 【請求項3】 不均質イムノアッセイの干渉を排除する
ための、請求項1または2に記載のペプチドの使用。 - 【請求項4】 架橋試験の原理に基づくイムノアッセイ
の干渉を排除するための、請求項3に記載のペプチドの
使用。 - 【請求項5】 サンドイッチ法の原理に基づくイムノア
ッセイの干渉を排除するための、請求項3に記載のペプ
チドの使用。 - 【請求項6】 間接試験法の原理に基づくイムノアッセ
イの干渉を排除するための、請求項3に記載のペプチド
の使用。 - 【請求項7】 競合イムノアッセイの干渉を排除するた
めの、請求項3に記載のペプチドの使用。 - 【請求項8】 均質イムノアッセイの干渉を排除するた
めの、請求項1または2に記載のペプチドの使用。 - 【請求項9】 分析対象物の検出のための免疫学的方法
であって、サンプルを請求項1に記載のペプチドと接触
させる工程と、該サンプルを一または複数の分析対象物
の特異的結合パートナーと接触させる工程と、該分析対
象物および該特異的結合パートナーから形成された複合
体を該分析対象物の存在の尺度として測定する工程とを
含む、前記方法。 - 【請求項10】 診断のための検出法の干渉を排除する
ための方法であって、本質的にD-アミノ酸からなるペプ
チドを反応混合物に添加する、前記方法。 - 【請求項11】 本質的にD-アミノ酸からなるペプチド
を少なくとも一種含む干渉排除試薬。
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