JPH11241591A - トンネルボーリングマシンの掘進方法 - Google Patents

トンネルボーリングマシンの掘進方法

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JPH11241591A
JPH11241591A JP4305298A JP4305298A JPH11241591A JP H11241591 A JPH11241591 A JP H11241591A JP 4305298 A JP4305298 A JP 4305298A JP 4305298 A JP4305298 A JP 4305298A JP H11241591 A JPH11241591 A JP H11241591A
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JP
Japan
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gripper
excavation
thrust
excavating
limit value
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Application number
JP4305298A
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English (en)
Inventor
Isao Hasegawa
長谷川  功
Masatomo Nakajima
雅友 中島
Yukinobu Yamamoto
幸信 山本
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Obayashi Corp
Original Assignee
Obayashi Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 経済的な掘進を可能にすること。 【解決手段】 地山を実際に掘削する際には、カッター
ヘッド16に作用するカッタートルクT,スラスト推力
Wの合力Hがメイングリッパ反力Gにより決定され、滑
りに対する合力限界値HLim以下で運転する。s101
では、掘削時に得られたカッタートルク,カッター回転
数,掘進速度を演算し、予め測定されている切羽面積と
から、岩盤強度σを推定し、グリッパの面圧の限界値g
Limが求められる。面圧限界値gLimは、掘削位置データ
xiとともにメモリに格納される(s102)。グリッ
パで坑壁を押圧する際の面圧gは、保存されている限界
値gLimの中からグリッパの現在位置に対応した位置デ
ータxiのものが選択される。gLimが選択されると、
グリッパの面圧gがgLim以下に設定され、この設定圧
により坑壁を押圧するように、コンピュータからグリッ
パに制御信号が送出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、トンネルボーリ
ングマシン(以下、TBMマシンと略す)の掘進方法に
関する技術である。
【0002】
【従来の技術】TBMマシンは、掘削した地山坑壁にグ
リッパを押圧することで反力を確保して掘進する。とこ
ろが、グリッパで押圧する際のグリッパ面圧により、地
山坑壁が崩壊してしまう場合には、反力が確保できない
ので掘進することができない。
【0003】このような場合の解決方法として、インバ
ートや全周のライナーなどから反力を確保して掘進する
シールドジャッキを設けたTBMマシンの掘進方法が知
られている。
【0004】また、グリッパの面積を大きくすること
で、所定のグリッパ反力を確保しながら、単位面積当た
りの面圧を下げて地山の崩壊を防止する掘進方法も知ら
れている。
【0005】このような掘進方法においては、シールド
ジャッキを設けることやグリッパの面圧を下げること
で、地山性状に応じて、硬岩から軟岩までの広い範囲で
の対応が要求されているTBMマシンの掘進の要請に応
えることができるものの、以下に説明する技術的な課題
があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、シールドジ
ャッキを用いる掘進方法では、シールドジャッキの反力
確保のためにライナーを用いることになるが、ライナー
材料を用いると、材料費,組立作業の手間などによりコ
ストアップに繋がる。
【0007】また、グリッパ面圧を小さくする掘進方法
では、グリッパの面積を大きくするので、TBMマシン
本体部内の空間が小さくなり、作業能率の低下や、TB
Mマシン全体の大型化を招くとともに、本体部内に設置
する他の機器配置に影響を及ぼす。
【0008】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
てなされたものであって、その目的とするところは、コ
ストアップや作業能率の低下を回避することができるT
BMマシンの掘進方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、掘削された地山坑壁に押圧するグリッパ
の反力によりマシン本体部を掘進させるトンネルボーリ
ングマシンの掘進方法おいて、地山の岩盤強度に基づい
て前記グリッパの面圧限界値を推定し、この推定された
限界値以下の圧力で前記グリッパを前記地山坑壁に押圧
するようにした。このように構成したTBMマシンの掘
進方法によれば、グリッパの押圧力が岩盤強度から推定
した限界値以下に抑えられるので、地山坑壁の崩壊を防
ぐことができる。本発明の掘進方法では、前記限界値を
推定した後に、この推定限界値に応じて、滑り限界値を
求め、この滑り限界値に応じた前記カッタートルクとス
ラスト推力とにより前記マシン本体部を掘進させること
ができる。この構成によれば、岩盤の滑り限界値に応じ
たカッタートルクとスラスト推力とにより前記マシン本
体部を掘進させるので、適切な掘削条件で掘削が可能に
なる。また、本発明の掘進方法では、前記マシン本体部
は、先端に設けられたカッターヘッドにより岩盤を掘削
した際の岩盤強度の推定値を、その掘削位置座標ととも
に記憶する記憶手段と、前記グリッパの現在位置を測定
する測定手段とを備え、前記測定手段により前記グリッ
パが前記掘削位置座標地に到達した際に、前記記憶手段
に記憶されている前記岩盤強度の推定値に基づいて、前
記限界値を推定することができる。この構成によれば、
掘削位置で推定した岩盤強度に、確実に対応させてグリ
ッパの押圧位置における限界値を推定することができ、
掘削位置と反力確保位置の偏移に伴う限界値の設定誤差
を回避することができる。さらに、本発明の掘進方法で
は、前記トンネルボーリングマシンは、前記カッタート
ルクとスラスト推力の反力一部を、マシン本体部の後方
に設置されたインバートまたは全周ライナーなどの支保
工に当接するシールドジャッキにより確保することがで
きる。一般的には、シールドジャッキを備えたシールド
タイプのTBMマシンでは、地山の崩壊による土圧の増
大化を懸念して、従来は、グリッパにより反力を取らな
いことが多い。ところが、本発明では、グリッパ面圧を
制御し、地山の崩壊しない範囲内で反力を確保するの
で、これが可能になる。このようにしてグリッパにより
反力を取ると、その分だけシールドジャッキによる反力
が低減され、インバート,全周ライナーなどの支保工に
かかる荷重を少なくすることができ、経済的な施工が行
える。より具体的には、TBMマシン用簡易ライナーと
呼ばれる地山の崩落対策を中心とした全周ライナーの適
用範囲を広げる効果が期待できる。
【0010】本発明の基本的な思想は、TBMマシンの
掘進に関する以下に示す3つの関係に基づいている。 .TBMマシンの掘進において、カッタートルク,ス
ラスト推力,カッター回転数,掘進速度とで表わされる
単位掘削エネルギーは、岩盤強度と正の相関があるこ
と。 .TBMマシンの掘進において、グリッパ面圧による
地山坑壁破壊の限界値は、岩盤強度と正の相関があるこ
と。 .TBMマシンが地山を掘進するためのカッタートル
クとスラスト推力との合力による滑りの限界値は、グリ
ッパ反力と正の相関があること。 このような関係を式で表わすとすれば、グリッパ反力を
G,グリッパ面積をAgとすると、グリッパ面圧gは、
G/Agとなる。また、岩盤強度σは、単位掘削エルネ
ギーeは、に基づいて推定することができる 。このよ
り詳細な内容は、特願平9−206282で既に提案し
ている。より具体的には、TBMマシンに、カッタート
ルク,推力,掘進速度,カッター回転数をそれぞれ測定
するセンサーを設置し、カッタートルクセンサーから求
めた回転トルクをT,前記推力センサーから求めたスラ
スト推力をW,ストロークセンサーから求めた掘進速度
をV,カッター回転数センサーから求めたカッター回転
数をR,掘削時間をt,掘進長をl,TBMマシンの切
羽面積をAcとしたとき、TBMマシンで岩盤を掘削す
るために消費される全エネルギーEとして、単位掘削エ
ネルギーeは、以下の式で表わすことができる。 e=E/(Acl)=(Wl+2πTRt)/(Acl) =W/Ac+2π(TRt)/(Acl) =W/Ac+2π(T/Ac)(R/V) …… この式から求めた単位掘削エネルギーeに基づいて、
TBMマシンで掘削した際の岩盤強度σを実用的な確度
で推定することができる。また、ここで、カッタートル
クTとスラスト推力Wの合力をHとすると、前述した関
係は、σ=f(e)として表わされ、同は、gLim
=f(σ)、同は、HLim=f(G)としてそれぞれ
表わすことができる。ここで、滑りや破壊の限界値に
は、それぞれLimを付して示している。
【0011】なお、一般的には、gLim≒σ,HLim≒G
の設計値の1/3となることが経験的に知られており、
この関係を適用することもできるが、地山の性状、特
に、岩種と水の有無を考慮し、HLim=j×Gとして、
係数jを地山の状況により変えることが望ましい。係数
jは、TBM掘進時に実際に試験的に大きなトルク,推
力により掘進して、滑らすことにより求めることもでき
るが、常に滑り限界値で掘進することは、危険であり、
必要に応じて随時行う方がよい。また、岩盤強度σの推
定には、前述した関係式から求めること以外に、グリッ
パによる載荷試験や押し込み量試験により推定すること
もできる。シールドタイプのTBMマシンにおいては、
後胴部引き寄せのため、フロントグリッパにより前胴部
を固定するが、その場合、フロントグリッパ面圧は、前
述したgLim以下にする。後胴部の摩擦による引き込み
に必要な力は、ほぼ一定(岩種により摩擦係数の相違は
若干ある)と考えられる。ただし、崩落個所,膨張地山
個所,急曲線個所などでは、後胴部の引き込み力が増す
ので、フロントグリッパ反力は、このような場合を考慮
して、メイングリッパと同様に反力を調整する必要があ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1か
ら図2は、本発明にかかるTBMマシンの掘進方法の一
実施例を示している。
【0013】同図に示したTBMマシンは、いわゆるシ
ールドタイプのものであって、前胴部12と後胴部14
とからなる本体部10を有している。なお、この実施例
では、シールドタイプのTBMマシンに本発明を適用し
た場合を例示しているが、本発明の実施は、このタイプ
に限定されることはなく、オープンタイプまたはビーム
タイプと呼ばれる形式のTBMマシンにも適用すること
ができる。
【0014】前胴部12には、フロントグリッパ18お
よびカッターヘッド16が設けられていて、フロントグ
リッパ18は、周方向に沿って所定の間隔を隔てて配置
された複数個から構成され、グリッパプレートを掘削さ
れた坑壁側に向けて伸縮させるジャッキが内蔵されてい
る。
【0015】カッターヘッド16は、本体部10の前端
に配置され、図示省略駆動モータにより回転駆動され
て、地山を掘削する。後胴部14の後部側には、カッタ
ーヘッド16で地山を掘削する際に、坑壁内面に当接し
て、これを押圧することにより反力を取る伸縮自在なメ
イングリッパ22が設けられている。
【0016】メイングリッパ22には、フロントグリッ
パ18と同様に、グリッパプレートを掘削された坑壁側
に向けて伸縮させるジャッキが内蔵されている。
【0017】また、後胴部14の後端には、地山が悪い
場合に、その後方に設置される図示省略の支保工に反力
を取って、本体部10を掘進させるシールドシャッキ2
6が設けられている。
【0018】フロントグリッパ18およびメイングリッ
パ22には、内蔵されたジャッキを設定された油圧に保
持する電磁リリーフ弁(図示省略)がそれぞれ設けられ
ている。
【0019】前胴部12と後胴部14との間には、前胴
部12を前進させるスラストジャッキ24が設けられて
いる。カッターヘッド16の駆動モータには、その供給
電流を測定して、カッターヘッド16の回転トルクTを
求めるカッタートルクセンサーS1と、カッターヘッド
16の回転数Rを測定するカッター回転数センサーS2
とが設けられている。
【0020】スラストジャッキ24には、ジャッキに供
給する油圧から、スラストジャッキ24による推力Wを
求める推力センサーS3と、スラストジャッキ24の移
動量から掘進長lを求めるジャッキストロークセンサー
S4とが設けられ、単位時間当たりの掘進長lから掘進
速度Vが求められる。
【0021】シールドジャッキ26には、ジャッキに供
給する油圧から、シールドジャッキ26による推力Ws
を求めるシールドシャッキ推力センサーS5と、シール
ドジャッキ26の移動量から掘進長lsを求めるジャッ
キストロークセンサーS6とが設けられ、単位時間当た
りの掘進長lsから掘進速度Vsが求められる。
【0022】シールドジャッキ26による掘進は、地山
が特に悪くスラストジャッキ24による掘進が困難ない
しは不能の場合に限られる。このシールドジャッキ26
の反力は、シールドシャッキ推力センサーS5で求めら
れる。
【0023】フロントおよびメイングリッパ18,22
には、各グリッパ18,22による坑壁押圧力(グリッ
パ圧力Gに同じ)を測定する圧力センサーS7,S8が
それぞれ設けられている。
【0024】なお、同図には示されていないが、本体部
10の姿勢を把握するピッチング計,ローリング計,方
位ないしは位置を把握するジャイロコンパス,レベル
計,エンコーダ,レーザトランシット,自動追尾トータ
ルステーションなど、TBMの姿勢,位置などが連続的
に把握できるセンサー,計器とそれを制御するシーケン
サ,コンピュータなどが設けられている。
【0025】本体部10の後部側には、掘進制御用コン
ピュータ30が設けられ、このコンピュータ30には、
各センサーS1〜S8の測定値が入力されるとともに、
コンピュータ30では、このセンサーS1〜S8の測定
値を受けて、必要な演算処理を施すことにより、カッタ
ーヘッド16のトルクT,回転数Rや、フロントおよび
メイングリッハ゜18,22の圧力G,スラストジャッ
キ24およびシールドジャッキ26のスラスト推力W,
Wsを制御する。
【0026】なお、図1に符号28で示したものは、カ
ッターヘッド16を回転させる駆動モータの制御回路で
ある。
【0027】図2に掘進制御用コンピュータ30で行わ
れる制御手順の一例を示している。同図の上部側に示し
た手順は、TBMマシンで地山を掘削する際に、岩盤強
度σを推定し、同位置におけるグリッパ面圧の限界値g
Limを求めるまでのサブルーチンである。
【0028】このサブルーチンは、TBMマシンの掘削
が継続されている間は、連続して実行されるものであ
り、掘進が開始されるとステップs100で示す条件で
TBMマシンが運転される。
【0029】地山を実際に掘削する際には、カッターヘ
ッド16に作用するカッタートルクT,スラスト推力W
の合力Hがメイングリッパ反力Gにより決定され、滑り
に対する合力限界値HLim以下で運転する。
【0030】合力限界値HLimは、掘進の初期には、実
際には、これを演算しないで、カッタートルク限界値T
Lim,スラスト推力限界値WLimをそれぞれ設定し、カッ
タートルクT,スラスト推力Wがそれぞれ設定した限界
値TLim,WLim以下になるように、カッタートルクR,
掘進速度Vを調整して掘進することが通常行われる。
【0031】続くステップs101では、各センサーS
1〜S8の測定値が入力され、この掘削時に得られたカ
ッタートルクT,カッター回転数R,掘進速度Vを演算
し、予め測定されている切羽面積(掘削断面積)Acと
から、岩盤強度σを推定し、この岩盤強度σに基づいて
グリッパ22の面圧の限界値gLimが求められる。
【0032】岩盤強度σは、単位掘削エネルギーeと密
接な関係があり、このエネルギーeが大きくなれば硬い
岩盤であり、それが小さい場合には、柔らかい岩盤とな
る。
【0033】単位掘削エネルギーは、e=W/Ac+2
π(T/Ac)(R/V)の式から求めることができる
(前述した式参照)。次に、岩盤強度σによりメイン
グリッパ22の面圧の限界値gLimを求める。
【0034】ここで、一般的には、gLim≒σの関係が
あるので、この関係を適用することもできるが、地山の
性状、特に、岩種を考慮してgLim=kσとして、係数
kを岩種によって変えることが望ましい。
【0035】このようにして得られたグリッパ22の面
圧限界値gLimは、掘削位置データxi( i=1,
2,…n)とともに、コンピュータ30のメモリに格納
される(ステップs102)。
【0036】なお、掘削位置データxi( i=1,
2,…n)は、掘進の際に用いるスラストジャッキ24
の移動量を累計することによって求めることもできる
し、また、前述した自動追尾トータルステーションなど
によっても求めることができる。
【0037】このようにして面圧限界値gLimと掘削位
置データxi( i=1,2,…n)とを関連付けて記
憶させると、コンピュータ30のデータベースには、掘
削位置xi( i=1,2,…n)をインデックスとし
た検索可能なグリッパ22の面圧限界値gLimのインデ
ックステーブルが蓄積保存される。
【0038】これらのデータは、メイングリッパ22が
その位置に到達した時点で読み出され、フロントおよび
メイングリッパ18,22の面圧gの設定に使用され
る。
【0039】一方、メインルーチンでは、ステップs1
00に引き続いて、同s103が実行される。このステ
ップs103では、メイングリッパ22の縮小が行われ
る。
【0040】この場合、オープンタイプのTBMマシン
では、フロントグリッパ18が設けられていないが、シ
ールドタイプのTBMマシンでは、これが設置されてお
り、フロントグリッパ18を坑壁に押圧して、後胴部1
4を前胴部12側に引き寄せる際の反力を確保する。
【0041】この場合のフロントグリッパ18の面圧g
は、データベースに保存されている限界値gLimの中か
ら選択される。この選択は、フロントグリッパ18の現
在位置に対応した位置データxiのものが選択される。
【0042】なお、フロントグリッパ18およびメイン
グリッパ22の現在位置は、本体部10に対する設置位
置が判っているので、例えば、前述した位置データxi
から換算することにより求められる。
【0043】gLimが選択されると、続くステップs1
04では、フロントグリッパ18のグリッパ面圧gがg
Lim以下に設定され、この設定圧により坑壁を押圧する
ように、コンピュータ30からフロントグリッパ18に
制御信号が送出される。
【0044】フロントグリッパ18により反力が確保さ
れると、スラストジャッキ24を縮小して、後胴部14
の引き寄せが行われる(ステップs105)。後胴部1
4が引き寄せられると、メイングリッパ22を伸長させ
て、坑壁に押圧させる。
【0045】メイングリッパ22を押付けて、掘削の反
力を確保する際のグリッパ面圧gは、前述したフロント
グリッパ18の場合と同様に、データベースに保存され
ている限界値gLimの中から、メイングリッパ22の現
在位置に対応したものを選択する。
【0046】gLimが選択されると、続くステップs1
06では、メイングリッパ22のグリッパ面圧gがg
Lim以下に設定され、この設定圧により坑壁を押圧する
ように、コンピュータ30からメイングリッパ22に制
御信号が送出されれ、反力が確保されるとフロントグリ
ッパ18が縮小される。
【0047】メイングリッパ22は、カッターヘッド1
6に作用するカッタートルクT,スラスト推力Wの合力
Hに対して、メイングリッパ22の反力Gにより、地山
坑壁に対し静止した状態での摩擦力により滑りを防止し
ている。
【0048】このとき、メイングリッパー22の面圧g
は、地山の掘削時に得られたグリッパ面圧限界値gLim
に基づき変化しているため、ステップs107で、面圧
gによるグリッパ反力G(=g×Ag)から、カッター
トルクT,スラスト推力Wに基づく合力Hを演算し、こ
の合力Hによる滑りに対する合力限界値(滑り限界値)
Limを新たに求める。
【0049】この場合のHLimの演算は、例えば、HLim
=G×1/3として行われる。この関係以外にもHLim
の演算は、地山の性状、特に、岩種と水の有無を考慮
し、HLim=j×Gとして、係数jを地山の状況により
変えることが望ましい。
【0050】係数jは、TBM掘進時に実際に試験的に
大きなトルク,推力により掘進して、滑らすことにより
求めることもできるが、常に滑り限界値で掘進すること
は、危険であり、必要に応じて随時行う方がよい。
【0051】続くステップs108では、H≦HLim
条件となる回転数R,掘進速度Vが求められ、この求め
られた条件でマシン本体部10の掘進が行われ、ステッ
プs109に移行する。
【0052】ステップs109では、回転数R,掘進速
度Vの調整が必要か否かが判断される。このステップで
は、例えば、地山の性状が軟岩から硬岩に急変下場合、
ステップs107で演算した合力限界値(滑り限界値)
Limが、軟岩に基づくものであって、この時の条件で
掘進すると、カッターヘッド16が滑るなどの不都合が
発生するため設けられている。
【0053】この場合の調整が必要か否かの判断は、例
えば、カッターヘッド16の回転トルクTやスラスト推
力Wの変化量を求めることで判断される。ステップs1
09で調整が必要でないと判断された場合には、ステッ
プs103に戻り、以後は、同様な手順が繰返される。
【0054】一方、ステップs109で調整が必要であ
ると判断された場合には、ステップs110で、回転数
R,掘進速度Vをそれぞれ±Δだけ変化させる調整が行
われ、この調整が終了すると、ステップs103に戻
る。
【0055】さて、以上のような手順で行われる掘進方
法によれば、グリッパ18,22の押圧力が岩盤強度σ
から推定した限界値gLim以下に抑えられるので、地山
坑壁の崩壊を確実に防ぐことができる。
【0056】本発明の掘進方法で推定される限界値g
Limは、岩盤強度σに基づくものであるが、現在普及し
ているTBMの多くは、マシン能力がこの限界値となる
場合が多い。
【0057】ところが、本発明のように限界値gLim
推定すると、超硬岩の地山に対応するための高出力TB
Mマシンにおいて、グリッパ面積を大きくすることな
く、軟岩地山にも対応させることができ、極めて有効か
つ経済的な掘進方法となる。
【0058】また、本実施例では、限界値gLimを推定
した後に、この推定限界値gLimに応じて、滑り限界値
Limを求め、この滑り限界値HLimに応じたカッタート
ルクRとスラスト推力Wとによりマシン本体部10を掘
進させるので、適切な掘削条件で掘削が可能になる。
【0059】また、本実施例では、マシン本体部10
は、先端に設けられたカッターヘッド16により岩盤を
掘削した際の岩盤強度σの推定値を、その掘削位置座標
とともに記憶する記憶手段と、グリッパ18,22の現
在位置を測定する測定手段とを備え、測定手段によりグ
リッパ18,22が掘削位置座標地に到達した際に、記
憶手段に記憶されている岩盤強度σの推定値に基づい
て、限界値gLimを推定するようにしている。
【0060】従って、掘削位置で推定した岩盤強度σ
に、確実に対応させてグリッパ18,22の押圧位置に
おける限界値gLimを推定することができ、掘削位置と
反力確保位置の偏移に伴う限界値gLimの設定誤差を回
避することができる。
【0061】なお、上記実施例では、その詳細な説明を
省略したが、本発明の掘進方法では、地山の性状が特に
悪い場合には、カッタートルクTとスラスト推力Wの反
力を、マシン本体部10の後方に設置されたインバート
または全周ライナーなどの支保工に当接するシールドジ
ャッキ26により確保することができる。
【0062】この場合、グリッパ18,22のいずれか
一方または双方の面圧を、図2に示した手順で制御し、
地山の崩壊しない範囲内で反力を確保することができ
る。
【0063】このようにしてグリッパに18,22より
反力を取ると、その分だけシールドジャッキ26による
反力が低減され、インバート,全周ライナーなどの支保
工にかかる荷重を少なくすることができ、経済的な施工
が行える。
【0064】また、前述した関係式,,の具体的
な決定には、これまでのTBMマシンの掘進実積などに
より、概略的には、本体部設計などに使用される関係式
を使用するが、掘進中にデータが一定以上蓄積された時
点で、クリッパによる破壊試験や、カッタートルク,ス
ラスト推力によるグリッパの滑り試験を行うことで、関
係式を現場地山の実際の状況にあったものに補正すると
こがより望ましい。
【0065】
【発明の効果】以上、実施例で詳細に説明したように、
本発明にかかるトンネルボーリングマシンの掘進方法に
よれば、コストアップや作業能率の低下を回避すること
で、より経済的な掘進が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる掘進方法が採用されるTBMマ
シンの一例を示す説明図である。
【図2】図1のTBMマシンで行われる掘進方法の手順
の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
10 本体部 12 前胴部 14 後胴部 16 カッターヘッド 18 フロントグリッパ 22 メイングリッパ 24 スラストジャッキ 26 シールドジャッキ 30 掘進制御用コンピュータ S1 カッタートルクセンサー S2 カッター回転数センサー S3 スラストジャッキ推力センサー S4 スラストジャッキストロークセンサー S5 シールドジャッキ推力センサー S6 シールドジャッキストロークセンサー S7 圧力センサー S8 圧力センサー

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 掘削された地山坑壁に押圧するグリッパ
    の反力によりマシン本体部を掘進させるトンネルボーリ
    ングマシンの掘進方法おいて、 地山の岩盤強度に基づいて前記グリッパの面圧限界値を
    推定し、この推定された限界値以下の圧力で前記グリッ
    パを前記地山坑壁に押圧することを特徴とするトンネル
    ボーリングマシンの掘進方法。
  2. 【請求項2】 前記限界値を推定した後に、この推定限
    界値に応じて、滑り限界値を求め、この滑り限界値に応
    じた前記カッタートルクとスラスト推力とにより前記マ
    シン本体部を掘進させることを特徴とする請求項1記載
    のトンネルボーリングマシンの掘進方法。
  3. 【請求項3】 前記マシン本体部は、先端に設けられた
    カッターヘッドにより岩盤を掘削した際の岩盤強度の推
    定値を、その掘削位置座標とともに記憶する記憶手段
    と、前記グリッパの現在位置を測定する測定手段とを備
    え、 前記測定手段により前記グリッパが前記掘削位置座標地
    に到達した際に、前記記憶手段に記憶されている前記岩
    盤強度の推定値に基づいて、前記限界値を推定すること
    を特徴とする請求項1または2記載のトンネルボーリン
    グマシンの掘進方法。
  4. 【請求項4】 前記トンネルボーリングマシンは、前記
    カッタートルクとスラスト推力の反力の一部を、マシン
    本体部の後方に設置されたインバートまたは全周ライナ
    ーなどの支保工に当接するシールドジャッキにより確保
    することを特徴とする請求項1または2記載のトンネル
    ボーリングマシンの掘進方法。
  5. 【請求項5】 前記岩盤強度は、トンネルボーリングマ
    シンに、カッタートルク,推力,掘進速度,カッター回
    転数をそれぞれ測定するセンサーを設置し、 前記センサーの検出値に基づいて、単位体積を掘削する
    ために消費される単位掘削エネルギーを求め、この単位
    掘削エネルギーに基づいて推定することを特徴とする請
    求項1ないしは3記載のトンネルボーリングマシンの掘
    進方法。
  6. 【請求項6】 前記カッタートルクセンサーから求めた
    回転トルクをT,前記推力センサーから求めたスラスト
    推力をW,前記ストロークセンサーから求めた掘進速度
    をV,前記カッター回転数センサーから求めたカッター
    回転数をR,掘削時間をt,掘進長をl,前記トンネル
    ボーリングマシンの切羽面積をAcとしたときの、前記
    トンネルボーリングマシンで岩盤を掘削するために消費
    される全エネルギーEとして、前記単位掘削エネルギー
    eを以下の式で求め、 e=E/(Acl)=(Wl+2πTRt)/(Acl) =W/Ac+2π(TRt)/(Acl) =W/Ac+2π(T/Ac)(R/V) この式から求めた単位掘削エネルギーeに基づいて、ト
    ンネルボーリングマシンで掘削した際の前記岩盤強度を
    推定することを特徴とする請求項5記載のトンネルボー
    リングマシンの掘進方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109725128A (zh) * 2019-01-17 2019-05-07 中国水利水电科学研究院 一种tbm掘进过程模拟测试系统及测试方法

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