JPH11241079A - 流動性組成物及びその利用方法 - Google Patents

流動性組成物及びその利用方法

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JPH11241079A
JPH11241079A JP16298098A JP16298098A JPH11241079A JP H11241079 A JPH11241079 A JP H11241079A JP 16298098 A JP16298098 A JP 16298098A JP 16298098 A JP16298098 A JP 16298098A JP H11241079 A JPH11241079 A JP H11241079A
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water
lower hydrocarbon
clathrate
gas
pressure
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JP16298098A
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English (en)
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Tomoharu Okui
智治 奥井
Yuriko Maeda
有理子 前田
Ieaki Uemura
家顯 植村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Gas Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】常温常圧で気体であるゲスト化合物を高密度に
含む包接化合物を含有する流動性組成物、その製造方法
及びその利用方法を得る。 【解決手段】低級炭化水素を高密度に含む包接化合物を
含有する流動性組成物であって、包接化合物を分散させ
る機能をもつ水溶性高分子、水及び低級炭化水素を接触
させることにより得られたことを特徴とする低級炭化水
素の包接化合物を含有する流動性組成物、その製造方法
及びその利用方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常温常圧で気体で
あるゲスト化合物を高密度に含む包接化合物を含有する
流動性組成物、その製造方法及びその利用方法に関し、
より詳しくは添加剤と水とメタン、エタン、プロパン、
ブタン等の低級炭化水素或いは炭酸ガスなどからなり、
これらの気体(ゲスト化合物)を高密度に含む包接化合
物を含有する流動性組成物、その製造方法及びその利用
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】包接化合物(ハイドレート)は大量の気
体を含むことから、近年、エネルギー源や気体の貯蔵、
輸送媒体として注目されている。特に気体を包接化合物
として貯蔵し、輸送媒体とする方法は、気体のままでの
貯蔵、輸送に比べた場合、同体積のガスをより低圧で取
り扱えるために安全性や設備費用での有用性が期待され
る。また液化による輸送に比べた場合には、常温又はこ
れに近い温度で利用できるため、例えば約−162℃も
の冷却を必要とする天然ガスの液化に比べて液化や断熱
に要する設備費の大幅な軽減が期待される。
【0003】このため、実際に包接化合物を気体の貯
蔵、輸送媒体として利用する研究、開発が行われてい
る。ところが一般に包接化合物は結晶であり固体である
ため、包接化合物の輸送法への利用形態としては(1)
タンカーでの輸送、(2)ブロックでの輸送、(3)粉
砕して粉体状としての輸送等の方法が検討、研究されて
いる。しかし、通常の固体包接化合物をそのまま用いた
輸送方法やブロック状固体での輸送では連続輸送はでき
ず、工業的プロセスとしては汎用性に乏しい。
【0004】また、粉体状としての輸送については、袋
詰め等による輸送のほか、粉状体を空気等の気体により
管(パイプ)中で搬送する、いわゆる気体輸送法により
行われる。ところが、気体輸送法は、固体と気体との二
相流であるため、管閉塞を避けながら流動性を保つには
粉体製造の際の粒度制御、固体ー気体の混合、流速制御
など各プロセスにおいて煩雑な制御が必要であり、なお
かつ流動相として相当量の随伴気体が必要となるため、
包接化合物が大量のガスを含むという、せっかくの特徴
を十分に生かすことができない。
【0005】これらの流動化、輸送の問題を解決するた
めの方法としては、水相にある種の添加剤を共存させて
スラリー状の包接化合物を生成させる例がある。例えば
特開昭54ー135708号では、添加剤として脂肪族
アミンを用い、また特開平6ー25021号ではカルボ
ニル基、アミン基又はアルコール基を有し且つ環状、枝
分れ又は直鎖構造を有する物質(例えばテトラヒドロフ
ラン、イソブチルアミン等)の水溶液を用いるもので、
これらの例は、いずれもゲストとして包接化合物を生成
しうる化合物を水中に添加する方法によるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来にお
ける包接化合物の流動化の例は、生成した包接化合物の
大きさが一定ではなく、スラリーとしての均一性も低
く、単なる液体と固体の混合状態が生成しているにすぎ
ない。またこれらの例において、十分な流動化効果を得
るためには、上記のような添加剤を水に対して少なくと
も1wt%以上加える必要がある。その結果、多くの添
加剤がゲストとしての包接化合物中の空隙を占有してし
まうため、包接化合物中に含まれる本来輸送すべきガス
の量が少なくなってしまう。
【0007】のみならず、これらの従来例において示さ
れている添加剤は、たとえばテトラヒドロフラン、イソ
ブチルアミンなどの有機化合物であり、引火性や安全性
や環境への負荷の観点から必ずしも好適ではない化合物
があり、また価格の面からも必ずしも安価とは云えな
い。本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたもの
であり、添加剤として特定の機能すなわち包接化合物を
分散させる機能をもつ物質を用いることにより、水に対
して1wt%以下という少量の添加でも良好な流動性を
有する包接化合物を生成させ、これにより従来技術にお
ける輸送上、取扱上、安全性等の諸問題点を一挙に解決
することができる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は(1)低級炭化
水素を高密度に含む包接化合物を含有する流動性組成物
であって、包接化合物を分散させる機能をもつ水溶性高
分子、水及び低級炭化水素を混合し接触させることによ
り得られたことを特徴とする低級炭化水素の包接化合物
を含有する流動性組成物を提供する。
【0009】本発明は(2)低級炭化水素を高密度に含
む包接化合物を含有する流動性組成物であって、包接化
合物を分散させる機能をもつ水溶性高分子を溶解又は分
散させた水溶液に、低級炭化水素を接触させることによ
り得られたことを特徴とする低級炭化水素の包接化合物
を含有する流動性組成物を提供する。
【0010】本発明は(3)包接化合物を分散させる機
能をもつ水溶性高分子を溶解又は分散させた水溶液に、
低級炭化水素を接触させることを特徴とする低級炭化水
素を高密度に含む包接化合物を含有する流動性組成物の
製造方法を提供する。
【0011】本発明は(4)包接化合物を分散させる機
能をもつ水溶性高分子を溶解又は分散させた水溶液に、
低級炭化水素を接触させることにより低級炭化水素を高
密度に含む包接化合物を含有する流動性組成物とした
後、該流動性組成物をパイプにより輸送することを特徴
とする低級炭化水素の輸送方法を提供する。
【0012】本発明は(5)包接化合物を分散させる機
能をもつ水溶性高分子を溶解又は分散させた水溶液に、
低級炭化水素を接触させることにより得られた低級炭化
水素を高密度に含む包接化合物を含有する流動性組成物
からなることを特徴とする燃料を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の流動性組成物は、包接化
合物を分散させる機能をもつ水溶性高分子、水及び常温
常圧で気体であるゲスト化合物を混合し接触させること
により得られる。本発明によれば、それら(1)包接化
合物を分散させる機能をもつ水溶性高分子、(2)水及
び(3)常温常圧で気体であるゲスト化合物から、常温
常圧で気体であるゲスト化合物を高密度に含む包接化合
物が形成される。
【0014】常温常圧で気体であるゲスト化合物として
はメタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン等の低
級炭化水素、それらの混合ガス、天然ガス、都市ガス、
炭酸ガスその他の各種単成分ガス又は混合ガスが挙げら
れる。水溶性高分子としては比較的分子径が大きく、ゲ
ストとして包接化合物には入らない(すなわち、包接化
合物内には入り込まない)水溶性高分子が用いられる。
水溶性高分子としては天然高分子、その誘導体、水溶性
合成高分子が挙げられる。
【0015】これらは包接化合物を分散させる機能をも
ち、少量の添加により水中で微粒子を分散させる効果を
有し、しかも安価で安全である。水溶性天然高分子の例
としてはセルロース、それらの誘導体(CMC、メチル
セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロース、等)、デンプン、その誘導体(カルボキシメチ
ルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、デキストリ
ン、等)、タンパク質(ゼラチン、カゼイン、アルブミ
ン、等)、その誘導体などが挙げられる。これらは1種
とは限らず、2種以上を併用してもよい。また水溶性合
成高分子と併用してもよく、さらには界面活性剤を補助
的に用いてもよい。
【0016】また、水溶性合成高分子の例としては、ポ
リビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリア
クリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオ
キシド、ポリビニルカプロラクタムなどが挙げられる。
これらは1種とは限らず、2種以上を併用してもよい。
また、上記のような水溶性天然高分子と併用してもよ
く、さらに界面活性剤を補助的に併用してもよい。
【0017】本発明の流動性組成物は、包接化合物を分
散させる機能をもつ水溶性高分子、水及び常温常圧で気
体であるゲスト化合物を混合し接触させることにより得
られる。それらの混合・接触は、包接化合物を分散させ
る機能をもつ水溶性高分子、水及び常温常圧で気体であ
るゲスト化合物を同時に混合し接触させてもよいが、好
ましくは水溶性高分子を水に対して加えた後に、ゲスト
ガスを接触させることにより実施される。
【0018】上記接触処理により常温常圧で気体である
ゲスト化合物を多量に取り込んだ包接化合物が形成され
る。多量のゲストガスを取り込んだ包接化合物は、水と
添加剤(水溶性高分子)との混合状態で形成され、この
混合物はきわめて均質なスラリー又はスラリー状の高い
流動性を有する。すなわち多量のガスを含んだ包接化合
物が混合物として流動化された形となっている。
【0019】こうして生成した包接化合物はその混合組
成物中肉眼では確認できない程度の微小な分散粒子とし
て形成され、ゲスト成分の含有率が高い包接化合物であ
る。このため、この包接化合物を含有する流動性組成物
は気体のパイプ輸送に利用することができる。さらにそ
の一環として、例えば天然ガス(NG)を本発明により
流動性組成物とし、船舶(NG輸送船)により輸送する
こともできる。
【0020】本発明における水の量は、包接化合物の生
成量、これを含有する組成物についての所望流動性等の
諸条件に応じて選定される。また水溶性高分子の量は、
水に対して1重量%以下で十分である。もちろんそれ以
上であっても差し支えない。本発明の組成物における流
動性の程度は、使用する水の量及び添加剤の種類、量を
選ぶことにより、粘度として10〜20,000センチ
ポイズ程度、好ましくは50〜15,000センチポイ
ズ程度の範囲とすることができる。
【0021】本発明の包接化合物含有流動性組成物にお
ける、水溶性高分子による包接化合物の保持、流動性の
向上は、水溶性高分子による包接化合物の分散機能に加
え、水溶性高分子の様々な機能により発現する。このた
め、これらの機能を有する水溶性高分子の選択はかなり
広範にわたる点も本発明の利点である。本発明の流動性
組成物を常温常圧で気体であるゲスト化合物の輸送に利
用する場合、輸送の対象とする該気体の種類、包接化合
物の形成条件、分解に必要な温度圧力条件、環境規制の
程度などについて必要な配慮条件により適宜選択するこ
とができる。
【0022】本発明の包接化合物の生成に際しては、密
閉容器内で水溶性高分子の1種又は2種以上の水溶液と
ゲストガスとの混合を行い、必要に応じて加圧、冷却し
つつ攪拌させてゲストガスとホストである水との包接化
合物を生成させる。生成した包接化合物は同時に含まれ
る水及び水溶性高分子の作用により十分な流動性をもつ
ため、それらを含む組成物として容器底部から連続的に
流出させることができる。生成包接化合物からのガスの
分解、放出に際しては(1)容器内の圧力を緩和させ
る、(2)加熱する、あるいは(3)その双方を行って
包接化合物の分解を行い、また分解を促進してゲストガ
スを分離、回収する。
【0023】本発明の組成物は、包接化合物として多量
のガスを取り込み、しかも良好な流動性を有するため、
従来技術では不可能ないしは困難であったパイプ輸送に
より連続的に輸送することができる。例えば天然ガスの
輸送、二酸化炭素の固定輸送など、現在気体や固体での
輸送で行われているあらゆる場面における代替輸送技術
とすることができる。二酸化炭素の場合はその固定化廃
棄にも利用できる。
【0024】図1は本発明の態様例を模式的に示した図
である。主として包接化合物の生成部A、輸送管部B、
分解部Cにより構成することができる。生成部Aにおい
ては気密容器中で水溶性高分子の水溶液とゲストガスと
の混合を行わせ、必要に応じて加圧、冷却しつつ攪拌し
て包接化合物を生成させる。この時包接化合物は水及び
水溶性高分子との混合状態で生成される。この混合物は
スラリーないしはスラリー状で、水及び水溶性高分子の
作用により十分な流動性をもつため、容器底部から連続
的に流出させることができる。このため、これらのプロ
セスが安定した後は被輸送ガスの供給と輸送済みガスの
抜き出しの連続化が可能である。
【0025】輸送管部Bの輸送管はポンプと導管により
構成することができる。被輸送ガスすなわち輸送しよう
とするゲストガスの種類により包接化合物の生成圧力と
分解圧力、生成温度と分解温度は異なるので、ガスの種
類に応じて導管の断熱等が考慮される。次に、分解部C
は生成部Aと同じ構造でよく(もちろん、異なる構造で
も差し支えない)、ここでは必要に応じて圧力の緩和、
あるいは加熱、これら双方を行い、組成物中の包接化合
物の分解を起こさせ、促進させてゲストガスの分離、回
収を行う。分解後のポリマー(水溶性高分子)水溶液は
必要に応じて循環使用する。
【0026】本発明で得られる包接化合物含有組成物
は、生成部で生成させた後、タンク等に収容して輸送
し、分解部でゲストガスの分離回収を行い、所要用途に
使用するようにしてもよい。また本発明の組成物は十分
なゲスト密度すなわちゲストガスを高密度で取り込み、
しかも水溶性高分子の濃度も低く、水溶性高分子の種類
も安価で安全な天然物等を主体としている。このため、
特に低級炭化水素系の燃料ガスを包接化合物として輸送
し、到着先において直ちに燃焼に利用する場合には分解
部を特に設けることなく直接燃料として使用してもよ
い。
【0027】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないこと
はもちろんである。生成容器としては図1中生成部Aに
示すような密閉容器(蓋付)を用いた。実施例としては
数多くの実験例のうちの数例を記載している。なお、以
下の実施例における混合ガスの比率(%)はモル%であ
る。
【0028】《実施例1》市販の水溶性セルロース0.
5gを含む水溶液100mlを観察窓付きの密閉容器に
入れ、気相部分をメタンで置換した後、冷却浴で温度1
℃に保ちつつ系内を激しく攪拌しながらメタンによりさ
らに50気圧まで加圧した。包接化合物の生成による内
圧の低下が観測されたため、50気圧になるまでさらに
メタンを加え、内圧の低下がほぼなくなるまでこの操作
を繰り返した。
【0029】途中、加えたメタン量から、最初に導入し
た水の約半分が包接化合物化していると算定された段階
で容器の窓から内部を観察したところ、全体が淡白色な
いし半透明の流体であることが認められた。内圧の低下
が見られなくなり、包接化合物の生成がほぼ終了した
時、導入したメタンの量から包接化合物中に蓄えられた
メタン量を算出したところ、最初に導入した水の量に対
してモル比で1/6となり、理論値である1/5.75
に対して96%の生成率であった。包接化合物に入った
ガス量としては水溶液100mlに対して150倍以上
に相当している。
【0030】一方、水溶性セルロースを添加しない、水
とメタンのみの系で上記と同様の試験を行ったところ、
包接化合物の生成開始とともに表面近くが一斉に白色の
固体となり、容器底部に近い部分は水のままであった。
その後、次第に包接化合物が容器底部方向にゆっくりと
成長するのが観測された。この時、上記と同様に最終的
に内圧の低下が見られなくなるまでメタンの導入を続け
た後に、導入したメタン量から包接化合物中に蓄えられ
たメタン量を算出したところ、最初に導入した水の量に
対して、モル比で1/12程度となり、理論値である1
/5.75に対して48%程度の生成率でしかなかっ
た。
【0031】水とメタンのみからなる系では生成開始直
後から塊状の包接化合物が生成し、気液接触を阻害して
十分な包接化合物化が起きなかったのに対し、水溶性セ
ルロースの添加により、包接化合物生成後も、系内の流
動性が保たれ、最後まで気液接触が確保され、上記のと
おり結果的にゲスト含有率の高い包接化合物が得られ
た。また市販の水溶性セルロースと水溶性デンプンを同
量、合わせて1g用い、以上と同様にして実施したとこ
ろ、同様の結果が得られた。
【0032】《実施例2》市販の水溶性セルロース及び
水溶性デンプンをそれぞれ0.5wt%(合計1wt
%)含む水溶液100mlを実施例1と同じ生成容器に
入れ、気相部分をメタン80%、プロパン20%からな
る混合ガスで置換した後、冷却浴で温度1℃に保ちつつ
系内を激しく攪拌しながらこの混合ガスで8気圧まで加
圧した。包接化合物の生成による内圧の低下が観察され
たため、8気圧になるまでさらにメタンを加え、内圧の
低下がほぼなくなるまでこの動作を繰り返した。
【0033】こうして内圧の低下が見られなくなり、包
接化合物の生成がほぼ終了した。その時点で包接化合物
に入ったガス量は3l(3000ml)であった。これ
は水溶液100mlに対して30倍に相当している。次
いで気相の圧力を開放して大気圧まで下げ、容器の蓋を
開けて内容物を取り出したところ、肉眼では包接化合物
が認められない程度の均一なスラリー状流体であった。
大気圧では自然分解により発泡し、少々泡立つ状況が確
認された。この流体に直接点火したところ、しばらく連
続的に燃焼した。
【0034】一方、水とメタンのみの系で同様の試験を
行い、上記と同様に最終的に内圧の低下が見られなくな
った後に、包接化合物を取り出したところ、数cm大の
塊状包接化合物とかき氷状の包接化合物と水とが混合し
たような状態が観察された。これに点火したところ、燃
焼はしたが、きわめて短時間で消失し、再度着火を試み
ても分解ガスが一瞬燃焼するのみで、連続燃焼は起こら
なかった。
【0035】《実施例3》水溶性でんぷんを1wt%含
む水溶液100mlを生成容器に入れ、気相部分をメタ
ン80%、プロパン20%からなる混合ガスで置換した
後、冷却浴で1℃に保ちつつ系内を激しく攪拌しながら
同組成の混合ガスで8気圧まで加圧した。包接化合物の
生成による内圧の低下が観察されたため、8気圧になる
までさらに混合ガスを加え、内圧の低下が小さくなるま
でこの操作を繰り返した。包接化合物の生成がほぼ終了
した後、気相の圧力を解放して大気圧まで下げ、容器の
蓋を開けて内容物を取り出したところ、肉眼では包接化
合物が認められない程度の均一な流体であった。粘性は
水と同等程度であった。大気圧では自然分解により細か
く発泡し、流体表面では少々泡立つ状況が確認された。
この流体に直接点火したところ、しばらく連続的に燃焼
した。
【0036】《実施例4》カルボキシメチルセルロース
ナトリウムを1wt%含む水溶液100mlを生成容器
に入れ、気相部分をメタン80%、プロパン20%から
なる混合ガスで8気圧まで加圧し、実施例3と同様にし
て包接化合物の生成による内圧の低下が小さくなるまで
この操作を繰り返した。包接化合物の生成がほぼ終了し
た後、気相の圧力を解放して大気圧まで下げ容器の蓋を
開けて内容物を取り出したところ、若干ねっとりした包
接化合物の白い均一なスラリー状流体が確認された。こ
のスラリーは水よりも粘性が高いが流動性は保ってい
た。大気圧では自然分解により発泡し、泡立つ状況が確
認された。この流体に直接点火したところ、勢いよくし
ばらく連続的に燃焼した。
【0037】《実施例5》ポリビニル硫酸塩を1wt%
含む水溶液100mlを生成容器に入れ、メタンガスで
50気圧まで加圧した。包接化合物の生成による内圧の
低下が観察されたため、50気圧になるまでさらに混合
ガスを加え、包接化合物の生成による内圧の低下が小さ
くなるまでこの操作を繰り返した。包接化合物の生成が
ほぼ終了した後、気相の圧力を解放して大気圧まで下
げ、容器の蓋を開けて内容物を取り出したところ、分解
しきらず、かさ高い固体の状態で大気圧下に取り出すこ
とができた。点火すると勢いよく連続的に燃焼した。分
解が進むとスラリー状流体となり、これに点火するとし
ばらく連続的に燃焼した。
【0038】《実施例6》ポリビニルピロリドンを1w
t%含む水溶液100mlを生成容器に入れ、気相部分
をメタン80%、プロパン20%からなる混合ガスで8
気圧まで加圧し、実施例3と同様にして包接化合物の生
成による内圧の低下が小さくなるまでこの操作を繰り返
した。包接化合物の生成がほぼ終了した後、気相の圧力
を解放して大気圧まで下げ、容器の蓋を開けて内容物を
取り出したところ、やわらかな淡雪状のスラリー状流体
であった。大気圧では分解により徐々に発泡し、泡立つ
状況が確認された。この流体に直接点火したところ、し
ばらく連続的に燃焼した。
【0039】《実施例7》ポリスチレンスルホン酸塩
(ナトリウム塩)を1wt%含む水溶液100mlを生
成容器に入れ、メタンガスで50気圧まで加圧し、実施
例5と同様にして包接化合物の生成による内圧の低下が
小さくなるまでこの操作を繰り返した。包接化合物の生
成がほぼ終了した後、気相の圧力を解放して大気圧まで
下げ容器の蓋を開けて内容物を取り出したところ、分解
しきらずかさ高い固体の状態で大気圧下に取り出すこと
ができた。大気圧では自然分解により発泡し、点火する
と勢いよく連続的に燃焼した。分解とともに該固体が分
解しスラリー状流体となった。流体表面では少々泡立つ
状況が確認された。この流体に直接点火したところ、僅
かに燃焼した。
【0040】《実施例8》ポリビニルアルコールを0.
1wt%含む水溶液100mlを生成容器に入れて、気
相部分をメタン80%、プロパン20%からなる混合ガ
スで8気圧まで加圧し、実施例3と同様にして包接化合
物の生成による内圧の低下が小さくなるまでこの操作を
繰り返した。包接化合物の生成がほぼ終了した後、気相
の圧力を解放して大気圧まで下げ、容器の蓋を開けて内
容物を取り出したところ、肉眼では包接化合物が認めら
れない程度の均一できめ細かなスラリー状流体であっ
た。粘性は水と同等であった。大気圧では分解により発
泡し、少々泡立つ状況が確認された。この流体に直接点
火したところ、しばらく連続的に燃焼した。
【0041】一方、ポリビニルアルコールを1wt%含
む水溶液100mlについてメタンのみの系で同様の試
験を行い、上記と同様にして最終的に内圧の低下が見ら
れなくなった後に包接化合物を取り出したところ、塊状
包接化合物として大気圧下に取り出すことができた。点
火したところ、勢いよく連続的に燃焼した。
【0042】《実施例9》ポリアクリル酸を1wt%含
む水溶液100mlを生成容器に入れ、気相部分をメタ
ン80%、プロパン20%からなる混合ガスで8気圧ま
で加圧し、実施例3と同様にして包接化合物の生成によ
る内圧の低下が小さくなるまでこの操作を繰り返した。
包接化合物の生成がほぼ終了した後、気相の圧力を解放
して大気圧まで下げ容器の蓋を開けて内容物を取り出し
たところ、肉眼では包接化合物が認められない程度の均
一な流体であった。粘性は水と同程度であった。大気圧
では自然分解により細かく発泡し、流体表面では少々泡
立つ状況が確認された。この流体に直接点火したとこ
ろ、数秒は連続的に燃焼した。炎を近づけると表面では
細かな気泡が発生する状態が続くことが観察されたこと
から、分解が遅く比較的安定な流体であることが確認さ
れた。
【0043】《実施例10》ポリーβーシクロデキスト
リンを1wt%含む水溶液100mlを生成容器に入
れ、気相部分をメタン80%、プロパン20%からなる
混合ガスで8気圧まで加圧し、実施例3と同様にして包
接化合物の生成による内圧の低下が小さくなるまでこの
操作を繰り返した。包接化合物の生成がほぼ終了した
後、気相の圧力を解放して大気圧まで下げ、容器の蓋を
開けて内容物を取り出したところ、柔らかな塊状の白い
均一なスラリーであった。粘性は水よりわずかに大きい
同程度であった。大気圧では自然分解により比較的速く
発泡し、泡立つ状況が確認された。この流体に直接点火
したところ、分解により泡立っている状態では一瞬激し
く燃えて消えたが、その後再び点火すると、流体表面に
炎がとどまる状態で、しばらく連続的に燃焼した。
【0044】《実施例11》ドデシル硫酸塩(ナトリウ
ム塩)を1wt%含む水溶液100mlを生成容器に入
れ、気相部分をメタン80%、プロパン20%からなる
混合ガスで8気圧まで加圧し、実施例3と同様にして包
接化合物の生成による内圧の低下が小さくなるまでこの
操作を繰り返した。包接化合物の生成がほぼ終了した
後、気相の圧力を解放して大気圧まで下げ、容器の蓋を
開けて内容物を取り出したところ、既に分解が始まって
おり、固く泡立てた卵白と類似した白い均一なスラリー
となっていた。大気圧では自然分解により比較的速く発
泡した。この流体に直接点火したところ、分解により泡
立っている状態では一瞬激しく燃えて泡の消失と同時に
消えたが、その後再び点火すると、流体表面に炎がとど
まる状態で、僅かの時間連続的に燃焼した。
【0045】
【発明の効果】本発明における包接化合物含有組成物は
ゲストガスの充填率が高く、且つ流動性が高いので、常
温常圧ではガス状のものを、液体に準じた条件で、ポン
プ、パイプラインを用いて高密度で輸送することができ
る。その具体的用途としては天然ガスの輸送、二酸化炭
素を固定した輸送など、現在気体や固体での輸送で行わ
れているあらゆる場面における代替輸送技術とすること
ができる。その経済性は主に対象ガスの包接化合物の平
衡論的安定性により決まり、都市ガス及びこれに準じた
組成の、例えば前記実施例2のような混合ガスの場合に
は、例えば10気圧以下、2℃程度で利用可能となり、
大きい有用性が見込まれる。
【0046】また本発明の包接化合物含有組成物は水溶
性高分子の濃度が低く、水溶性高分子も安全且つ安価な
天然物等を主体とすることができるため、直接燃料とし
て燃焼させてもよい。近年、燃焼ガス中の窒素酸化物低
減のために燃焼雰囲気中に水分を敢えて添加する手法も
あるが、本発明に係る包接化合物含有組成物はそのまま
燃焼するだけで水を供給する効果があるため、それら環
境浄化にも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の態様例を模式的に示した図。
【符号の説明】 A 流動性組成物(包接化合物含有)の生成部 B 輸送管部 C 包接化合物の分解部 P ポンプ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】低級炭化水素を高密度に含む包接化合物を
    含有する流動性組成物であって、包接化合物を分散させ
    る機能をもつ水溶性高分子、水及び低級炭化水素を混合
    し接触させることにより得られたことを特徴とする低級
    炭化水素の包接化合物を含有する流動性組成物。
  2. 【請求項2】低級炭化水素を高密度に含む包接化合物を
    含有する流動性組成物であって、包接化合物を分散させ
    る機能をもつ水溶性高分子を溶解又は分散させた水溶液
    に、低級炭化水素を接触させることにより得られたこと
    を特徴とする低級炭化水素の包接化合物を含有する流動
    性組成物。
  3. 【請求項3】上記水溶性高分子が水溶性天然高分子、そ
    の誘導体及び水溶性合成高分子から選ばれた1種又は2
    種以上を含む水溶性高分子である請求項1又は2に記載
    の低級炭化水素の包接化合物を含有する流動性組成物。
  4. 【請求項4】上記低級炭化水素が1種又は2種以上の低
    級炭化水素を含む気体である請求項1又は2に記載の低
    級炭化水素の包接化合物を含有する流動性組成物。
  5. 【請求項5】上記低級炭化水素がメタンである請求項1
    又は2に記載の低級炭化水素の包接化合物を含有する流
    動性組成物。
  6. 【請求項6】上記低級炭化水素がメタンとプロパンの混
    合ガスである請求項1又は2に記載の低級炭化水素の包
    接化合物を含有する流動性組成物。
  7. 【請求項7】包接化合物を分散させる機能をもつ水溶性
    高分子を溶解又は分散させた水溶液に、低級炭化水素を
    接触させることを特徴とする低級炭化水素を高密度に含
    む包接化合物を含有する流動性組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】包接化合物を分散させる機能をもつ水溶性
    高分子を溶解又は分散させた水溶液に、低級炭化水素を
    接触させることにより低級炭化水素を高密度に含む包接
    化合物を含有する流動性組成物とした後、該流動性組成
    物をパイプにより輸送することを特徴とする低級炭化水
    素の輸送方法。
  9. 【請求項9】包接化合物を分散させる機能をもつ水溶性
    高分子を溶解又は分散させた水溶液に、低級炭化水素を
    接触させることにより得られた低級炭化水素を高密度に
    含む包接化合物を含有する流動性組成物からなることを
    特徴とする燃料。
JP16298098A 1997-12-28 1998-05-27 流動性組成物及びその利用方法 Pending JPH11241079A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003105360A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd ハイドレートの濃度測定用指標物質および濃度測定方法

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