JPH11240326A - 空調ユニットの排水構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷媒蒸発器１に生じる外部腐食の進行を抑制
できる空調ユニットの排水構造を提供すること。 【解決手段】 冷媒蒸発器１を収容するクーラケース２
の底部（冷媒蒸発器１の下方）には、冷媒蒸発器１で発
生するドレン水（凝縮水）を排水するためのドレインポ
ート５が形成されている。このクーラケース２の内側に
は、冷媒蒸発器１との間にインシュレータ６が介在され
ている。このインシュレータ６は、例えば発泡スチロー
ルから成り、クーラケース２と冷媒蒸発器１との間で緩
衝材、シール材、あるいは断熱材として機能する。ま
た、クーラケース２には、ドレインポート５より流入口
３側の底壁部に、冷媒蒸発器１の空気上流側からドレイ
ンポート５へ通じる排水通路７が形成されている。この
排水通路７は、インシュレータ６に対してクーラケース
２の一部に凹部を設けることで形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、空調ユニットのク
ーラケース内に浸入した水分を排水するための排水構造
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の空調ユニットは、例えば図８に示
すように、冷媒蒸発器１００を収容するクーラケース１
１０の底部にドレン水を排水するためのドレインポート
１２０が形成されている。また、クーラケース１１０の
内側には、冷媒蒸発器１００との間にシール材または断
熱材として機能するインシュレータ１３０が介在されて
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、空調ユニッ
トにおいては、例えば外気導入口より導入される外気と
ともに流入した水分が、送風空気の流れに伴ってクーラ
ケース１１０内へ浸入する可能性がある。この場合、ク
ーラケース１１０内へ浸入した水分が、冷媒蒸発器１０
０の表面凹凸部とインシュレータ１３０との間に形成さ
れる隙間を通ってドレインポート１２０へ流れるため、
インシュレータ１３０と冷媒蒸発器１００との隙間に水
分を含んだダスト等が堆積して冷媒蒸発器１００の表面
に外部腐食が発生するという問題があった。本発明は、
上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、冷媒
蒸発器に生じる外部腐食の進行を抑制できる空調ユニッ
トの排水構造を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】（請求項１の手段）クー
ラケースとインシュレータとの間にドレインポートへ通
じる排水通路を有している。これにより、例えば送風空
気の流れに伴ってクーラケース内に浸入した水分は、排
水通路を通ってドレインポートへ流れることができる。
その結果、冷媒蒸発器の凹凸部とインシュレータとの間
に形成される隙間を水分が通過することを防止でき、冷
媒蒸発器の外部腐食を防止できる。

【０００５】（請求項２の手段）排水通路は、インシュ
レータに対しクーラケースの一部に凹部を設けて形成さ
れて成る。この場合、クーラケースの一部に凹部を設け
るだけの簡単な構成で排水通路を形成できるため、イン
シュレータの形状や冷媒蒸発器の構造及び配置等を変更
する必要がなく、低コストで対応できる。

【０００６】（請求項３の手段）インシュレータは、下
部タンクを具備する冷媒蒸発器に対し、下部タンクの空
気上流側をシールする凸壁部を有している。これによ
り、送風空気が下部タンクの下側へ流れ込むこと（空気
漏れ）を防止できる。また、インシュレータに凸壁部を
設けることにより、他のシール部材を使用する必要がな
く、部品点数を低減できる。

【０００７】（請求項４の手段）冷媒蒸発器は、空気上
流側へ傾斜して配置されている。この構成では、送風空
気が冷媒蒸発器の傾斜面に沿って下部タンクの下側へ流
れ込み易くなるため、インシュレータの凸壁部によって
下部タンクの空気上流側をシールするメリットが大きく
なる。

【０００８】（請求項５の手段）インシュレータは、凸
壁部の空気上流側に下方へ凹む凹所を設けている。この
場合、送風空気中に混在している種々の異物が冷媒蒸発
器に衝突して落下した時に、その異物を凹所に堆積させ
ることができる。つまり、凹所をゴミ溜め部として使用
することができる。また、落下した異物を凹所に溜める
ことにより、落下した異物が再度、送風空気の中に混入
することを防止できる効果もある。

【０００９】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。 （第１実施形態）図１は排水通路を示すクーラケースの
断面図である。本発明の空調ユニットは、例えばカーエ
アコンに用いられるもので、送風空気を冷却するための
冷媒蒸発器１と、この冷媒蒸発器１を収容するクーラケ
ース２とを備えている。冷媒蒸発器１は、冷凍サイクル
の一構成部品であり、内部を流れる低温冷媒との熱交換
によって冷媒蒸発器１を通過する送風空気を冷却するこ
とができる。

【００１０】クーラケース２は、図３に示すように、送
風機（図示しない）より送られる送風空気が流入する流
入口３と、冷媒蒸発器１で冷却された送風空気（冷風）
が流出する流出口４とを有している。また、クーラケー
ス２の底部（冷媒蒸発器１の下方）には、冷媒蒸発器１
で発生するドレン水（凝縮水）を排水するためのドレイ
ンポート５が形成されている。クーラケース２の内側に
は、図１に示すように、冷媒蒸発器１との間にインシュ
レータ６が介在されている。このインシュレータ６は、
例えば発泡スチロールから成り、クーラケース２と冷媒
蒸発器１との間で緩衝材、シール材、あるいは断熱材と
して機能する。また、クーラケース２には、ドレインポ
ート５より流入口３側の底壁部に、冷媒蒸発器１の空気
上流側からドレインポート５へ通じる排水通路７が形成
されている。この排水通路７は、図２に示すように、イ
ンシュレータ６に対してクーラケース２の一部に凹部２
ａを設けることで形成されている。

【００１１】（本実施形態の作用及び効果）送風機より
クーラケース２へ送られた送風空気は、冷媒蒸発器１を
通過する際に冷媒蒸発器１の内部を流れる低温冷媒と熱
交換されて冷却され、クーラケース２の流出口４より流
出する。ここで、送風機に流入する空気が外気の場合、
つまり外気導入口（図示しない）より外気を導入する場
合、外気とともに水分が外気導入口より流入し、そのま
ま送風空気の流れに伴ってクーラケース２内へ浸入する
可能性がある。この場合、クーラケース２内へ浸入した
水分は、図１に示すように、排水通路７を通ってドレイ
ンポート５へ流れることができる。

【００１２】これにより、冷媒蒸発器１の表面の凹凸部
（冷媒が流れるチューブやフィン等により形成される凹
凸部）とインシュレータ６との間に形成される隙間を水
分が流れることを防止できるため、インシュレータ６と
冷媒蒸発器１との隙間に水分を含んだダスト等が堆積す
るのを抑制できる。その結果、冷媒蒸発器１の表面に生
じる外部腐食の進行を抑制することができる。また、排
水通路７は、インシュレータ６に対しクーラケース２の
一部に凹部２ａを設けて形成されているため、インシュ
レータ６の形状や冷媒蒸発器１の構造及び配置等を変更
する必要がなく、低コストで対応することができる。

【００１３】（第２実施形態）図４はインシュレータ６
の凸壁部６ａを示す断面図である。本実施形態の空調ユ
ニットは、図４（図７のＢ−Ｂ断面図）に示すように、
クーラケース２内で冷媒蒸発器１が空気上流側（図４の
左側）へ大きく傾斜して配置され、クーラケース２と冷
媒蒸発器１との間にインシュレータ６が介在されてい
る。冷媒蒸発器１は、内部を流れる低温冷媒と送風空気
との熱交換を行うコア部１ａ、このコア部１ａの上側に
設けられる上部タンク（図示しない）、コア部１ａの下
側に設けられる下部タンク１ｂを有し、熱伝導性に優れ
る金属材（例えばアルミニウム材）によって形成されて
いる。

【００１４】クーラケース２には、図６（インシュレー
タ６を取り外したクーラケース２の平面図）に示すよう
に、冷媒蒸発器１で発生した凝縮水を排水するためのド
レインポート５が設けられ、且つこのドレインポート５
に通じる排水凹部２ａがクーラケース２の底面に窪んで
設けられている。この排水凹部２ａは、図４及び図５に
示すように、インシュレータ６との間で排水通路７（７
ａ、７ｂ、７ｃ）を形成するもので、クーラケース２の
底面に設けられた突起部２ｂ（図４参照）の周囲に設け
られている。なお、ドレインポート５は、クーラケース
２の左右両側に１個ずつ設けられ、図５（図７のＣ−Ｃ
断面図）に示すように、冷媒蒸発器１の下部タンク１ｂ
より空気上流側に位置している。

【００１５】インシュレータ６は、図４及び図５に示す
ように、冷媒蒸発器１の下部タンク１ｂの空気上流側を
シールする凸壁部６ａを有している。また、凸壁部６ａ
の空気上流側には、下方へ凹むゴミ溜め部６ｂ（本発明
の凹所）が設けられている。更に、インシュレータ６に
は、凸壁部６ａの空気下流側に排水口６ｃが形成されて
いる。凸壁部６ａは、冷媒蒸発器１の横幅方向の略全長
に渡って設けられて、クーラケース２に設けられた突起
部２ｂに支持され、下部タンク１ｂの前面を密着して覆
うことにより、送風機より送風された空気が下部タンク
１ｂの下側を通り抜けることを防止している。

【００１６】ゴミ溜め部６ｂは、冷媒蒸発器１に送風さ
れる空気中に混在する異物が冷媒蒸発器１に衝突して落
下した時に、その異物を溜めるために設けられている。
このゴミ溜め部６ｂは、図７（クーラケース２にインシ
ュレータ６を取付けた状態を上方から見た平面図）に示
すように、インシュレータ６の横方向（図７の左右方
向）の中央部では、ゴミ溜め部６ｂの幅（図７の上下方
向の寸法）が略一定で通路状に形成され、インシュレー
タ６の横方向両側では、ゴミ溜め部６ｂの幅が拡大する
略三角形状に設けられて、所要のゴミ溜め容積が確保さ
れている。また、ゴミ溜め部６ｂの底面には、ゴミ溜め
部６ｂに流れ込んだ水分を排水するための丸孔６ｄ（図
５及び図７参照）が複数箇所開けられ、ゴミ溜め部６ｂ
の底面とクーラケース２との間に形成される排水通路７
ｃ（図４参照）に開口している。

【００１７】排水口６ｃは、冷媒蒸発器１で発生した凝
縮水を排水するためのもので、図７に示すように、イン
シュレータ６の横方向に細長く（スリット状に）開口
し、排水口６ｃの下部に設けられる排水通路７ａに通じ
ている（図４参照）。排水通路７は、図４及び図５に示
すように、インシュレータ６の排水口６ｃに沿って形成
された排水通路７ａと、この排水通路７ａの両側からド
レインポート５に通じる排水通路７ｂと、ゴミ溜め部６
ｂの下部に形成される排水通路７ｃとから成る。

【００１８】次に、本実施形態の作用及び効果について
説明する。送風機より送られた空気は、冷媒蒸発器１の
コア部１ａを通過する際に、冷媒蒸発器１の内部を流れ
る低温冷媒との熱交換によって冷却される。この冷却作
用に伴って冷媒蒸発器１で発生した凝縮水は、インシュ
レータ６の排水口６ｃより排水通路７ａに滴下した後、
排水通路７ａから排水通路７ｂを流れてドレインポート
５より外部に排水される。

【００１９】冷媒蒸発器１に送風される空気中に混在す
る異物は、冷媒蒸発器１の前面に衝突して落下し、下部
タンク１ｂの前方に設けられたインシュレータ６のゴミ
溜め部６ｂに堆積する。この時、下部タンク１ｂの前面
（空気上流側）をインシュレータ６の凸壁部６ａで覆っ
ているため、ゴミ溜め部６ｂに堆積した異物が下部タン
ク１ｂに付着することを防止でき、一般にアルミニウム
材で形成される下部タンク１ｂの腐食を防止できる。ま
た、ゴミ溜め部６ｂに異物を堆積させることができるた
め、ゴミ溜め部６ｂに落下した異物が再度、送風空気中
に混入することを防止できる。

【００２０】異物に含まれる水分は、異物がゴミ溜め部
６ｂに落下した後、インシュレータ６の底面に開けられ
た丸孔６ｄより排水通路７ｃに滴下し、その排水通路７
ｃを流れてドレインポート５より外部に排水される。こ
れにより、ゴミ溜め部６ｂに水分が溜まることを防止で
きる。更に、インシュレータ６に設けた凸壁部６ａで下
部タンク１ｂの前面をシールしているため、冷媒蒸発器
１に送風される空気が下部タンク１ｂの下側を通り抜け
ることを防止できる。特に、本実施形態では、冷媒蒸発
器１を空気上流側へ大きく傾斜して配置しているため、
送風空気が冷媒蒸発器１の傾斜面に沿って下部タンク１
ｂの下側へ流れ易い構成になっている。従って、凸壁部
６ａで下部タンク１ｂの前面をシールする効果は大き
く、空気漏れによる冷却能力の低下を防止できる。

【００２１】本実施形態では、インシュレータ６に凸壁
部６ａを設けているため、下部タンク１ｂの前面をシー
ルするために他のシール部品を使用する必要がなく、部
品点数及び組付け工数を低減できる。また、インシュレ
ータ６にゴミ溜め部６ｂを設けているため、クーラケー
ス２の構造を簡素化でき、それによるコストダウンが可
能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】排水通路を示すクーラケースの断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図３】クーラユニットの模式図である。

【図４】インシュレータの凸壁部を示す断面図である。

【図５】排水通路を示すクーラケースとインシュレータ
の断面図である。

【図６】クーラケースの平面図である。

【図７】クーラケースとインシュレータの平面図であ
る。

【図８】従来技術を説明するクーラケースの断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 冷媒蒸発器 １ｂ 下部タンク ２ クーラケース ２ａ 排水凹部 ５ ドレインポート ６ インシュレータ ６ａ 凸壁部 ６ｂ ゴミ溜め部（凹所） ７ 排水通路

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】送風空気を冷却する冷媒蒸発器と、 この冷媒蒸発器を収容し、前記冷媒蒸発器で発生した凝
   縮水を排水するためのドレインポートを有するクーラケ
   ースと、 前記クーラケースと前記冷媒蒸発器との間に介在される
   インシュレータとを備えた空調ユニットにおいて、 前記クーラケースと前記インシュレータとの間に前記ド
   レインポートへ通じる排水通路を有していることを特徴
   とする空調ユニットの排水構造。
2. 【請求項２】前記排水通路は、前記インシュレータに対
   し前記クーラケースの一部に凹部を設けて形成されて成
   ることを特徴とする請求項１に記載した空調ユニットの
   排水構造。
3. 【請求項３】前記インシュレータは、下部タンクを具備
   する前記冷媒蒸発器に対し、前記下部タンクの空気上流
   側をシールする凸壁部を有していることを特徴とする請
   求項１及び２に記載した空調ユニットの排水構造。
4. 【請求項４】前記冷媒蒸発器は、空気上流側へ傾斜して
   配置されていることを特徴とする請求項３に記載した空
   調ユニットの排水構造。
5. 【請求項５】前記インシュレータは、前記凸壁部の空気
   上流側に下方へ凹む凹所を設けていることを特徴とする
   請求項３及び４に記載した空調ユニットの排水構造。