JPH11239005A - 誘電体フィルタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の同軸誘電体共振器(1)を並べて接合し
た面実装型の誘電体フィルタにおいて、入力段及び出力
段の同軸誘電体共振器(1a)(1b)における共振周波数の変
動及び３倍高調波の発生を抑制する。 【解決手段】 隣接する同軸誘電体共振器における夫々
の隣接面の共振器長方向略中央の位置に、外導体層(30)
が削除された段間結合窓(10)を開設し、入力段及び出力
段の同軸誘電体共振器における隣接面以外の側周面から
選ばれる少なくとも１面の共振器長方向略中央の位置
に、外導体層(30)から絶縁された外部接続用電極(34)を
形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、数百ＭＨｚ〜数Ｇ
ｈｚの高周波帯域において利用される誘電体フィルタに
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】携帯電話等の移動体通信機器に用いられ
る高周波フィルタにおいては、小型化及び電気特性の改
善が求められている。高周波フィルタの一つとして、同
軸誘電体共振器を用いた誘電体フィルタがある。

【０００３】同軸誘電体共振器は、柱状の誘電体部材
に、その両端面を通る貫通孔を形成し、前記誘電体部材
の側周面と貫通孔の内面にそれぞれ導体層を形成したも
のであり、誘電体部材内で電磁波を共振させる素子であ
る。そして、前記誘電体部材の端面の何れか一方に導体
層を形成すると、１／４波長型共振器となり、両端面に
導体層を形成するか、或いは両端面ともに導体層を形成
しなければ、１／２波長型共振器となる。

【０００４】同軸誘電体共振器を用いた誘電体フィルタ
においては、小型化を目的として、プリント回路基板等
の表面へ直接実装する面実装型のものが増えてきてい
る。面実装型の誘電体フィルタは、特開平６−２８３９
０４号等に開示されている。

【０００５】本願発明者は、特願平９ー３４０９８１号
において、図６に示すような面実装型誘電体フィルタを
提案した。

【０００６】この誘電体フィルタは、四角柱状の誘電体
部材(2)に、その両端面(20)(21)を通る貫通孔(22)を形
成し、前記誘電体部材(2)の側周面及び一方の端面(21)
に、それぞれ外導体層(30)及び端面導体層(32)を形成
し、前記貫通孔(22)の内面に内導体層(31)を形成した３
個の１／４波長型同軸誘電体共振器(1)を、前記側周面
から選ばれる少なくとも１面を隣接面として互いに接合
することにより構成される誘電体フィルタにおいて、隣
接する同軸誘電体共振器(1)における夫々の隣接面の共
振器長方向略中央の位置に、前記外導体層(30)が削除さ
れた段間結合窓(10)が開設され、入力段及び出力段の同
軸誘電体共振器(1a)(1b)における隣接面以外の側周面内
で、前記端面導体層(32)が形成されていない端面(20)に
連接する位置に、前記外導体層(30)から絶縁された外部
接続用電極(33)が形成されたものである。

【０００７】又、前記３個の同軸誘電体共振器(1a)(1b)
(1c)には、それらの間の整合を取るために、各同軸誘電
体共振器(1a)(1b)(1c)における外導体層(30)が、端面導
体層(32)が形成されていない端面(20)側から適当な領域
だけ削除（トリミング）されて、外縁削除部(12)が形成
されている。

【０００８】更に、中間段の同軸誘電体共振器(1c)に
は、共振周波数を入力段及び出力段の同軸誘電体共振器
(1a)(1b)と略一致させるため、端面導体層(32)が形成さ
れていない端面(20)において貫通孔(22)の周りの内導体
層(31)の一部が削除（トリミング）されて、開口縁削成
部(11)が形成されている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上述の如く、特願平９
ー３４０９８１号に記載の誘電体フィルタにおいては、
中間段の同軸誘電体共振器(1c)の貫通孔開口縁部に、ト
リミング加工を施すことが推奨されていた。

【００１０】本発明は、入力段及び出力段の同軸誘電体
共振器における共振周波数の変動が少なくて、中間段の
同軸誘電体共振器の貫通孔開口縁部にトリミング加工を
施す必要がなく、通過帯域幅が狭くて帯域外抑圧度の高
い面実装型の誘電体フィルタを提供するものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明による誘電体フィ
ルタは、角柱状の誘電体部材に、その両端面を通る貫通
孔を形成し、前記誘電体部材の側周面及び一方の端面
に、それぞれ外導体層及び端面導体層を形成し、前記貫
通孔の内面に、内導体層を形成した複数の同軸誘電体共
振器を、前記側周面から選ばれる少なくとも１面を隣接
面として互いに接合することにより構成される誘電体フ
ィルタにおいて、隣接する同軸誘電体共振器における夫
々の隣接面の共振器長方向略中央の位置に、前記外導体
層が削除された段間結合窓が開設されており、入力段及
び出力段の同軸誘電体共振器における隣接面以外の側周
面から選ばれる少なくとも１面の共振器長方向略中央の
位置に、前記外導体層から絶縁された外部接続用電極が
形成されていることを特徴とするものである。

【００１２】更に、本発明の好ましい実施形態に従った
誘電体フィルタにおいては、前記外部接続用電極が、入
力段及び出力段の同軸誘電体共振器において、それぞれ
２つの側周面に跨って形成され、前記複数の同軸誘電体
共振器が、入力段及び出力段の同軸誘電体共振器におけ
る導体層形成端面を、互いに逆方向に向けて接合され、
前記複数の同軸誘電体共振器間の整合を取るために、各
同軸誘電体共振器における外導体層が、端面導体層が形
成されていない端面側から適当な領域だけ削除（トリミ
ング）される。

【００１３】

【発明の実施の形態】本発明実施例による誘電体フィル
タは、図1に示すように、３個の１／４波長型同軸誘電
体共振器(1a)(1b)(1c)を隣接して並べ、接合したもので
ある。

【００１４】各同軸誘電体共振器(1a)(1b)(1c)は、四角
柱状の誘電体部材(2)に、その両端面(20)(21)を通る貫
通孔(22)を形成し、前記誘電体部材(2)の側周面及び一
方の端面(21)に、それぞれ外導体層(30)及び端面導体層
(32)を形成し、前記貫通孔(22)の内面に内導体層(31)を
形成した1/4波長型の共振器である。

【００１５】そして、隣接する同軸誘電体共振器(1)に
おける夫々の隣接面の共振器長方向略中央の位置には、
前記外導体層(30)が削除された段間結合窓(10)が開設さ
れ、入力段及び出力段の同軸誘電体共振器(1a)(1b)にお
ける隣接面以外の側周面から選ばれる２面の共振器長方
向略中央の位置には、前記外導体層(30)から絶縁された
外部接続用電極(34)が、前記２面に跨って形成されてい
る。

【００１６】又、３個の同軸誘電体共振器(1a)(1b)(1c)
には、それらの間の整合を取るために、各同軸誘電体共
振器(1a)(1b)(1c)における外導体層(30)が、端面導体層
(32)が形成されていない端面(20)側から適当な領域だけ
削除（トリミング）されて、外縁削除部(12)が形成され
ている。

【００１７】誘電体部材(2)の材料としては、酸化バリ
ウム、酸化チタン、酸化ネオジウム等を含む高誘電率セ
ラミックスが適している。外導体層(30)、内導体層(3
1)、端面導体層(32)の材料としては、銀、銅等を含む高
導電率金属が適している。

【００１８】上記実施例に従った誘電体フィルタにおい
ては、入力段及び出力段の同軸誘電体共振器における共
振周波数の変動が少なくて、従来技術の項において図６
を参照しながら説明した誘電体フィルタの場合のように
中間段の同軸誘電体共振器の貫通孔開口縁部にトリミン
グ加工を施す必要がなく、又、入力段及び出力段の同軸
誘電体共振器における３倍高調波の発生が抑制されて、
フィルタとしての伝送特性においても、図２に実線で示
すように、従来技術の項において図６を参照しながら説
明した誘電体フィルタの伝送特性（図２の点線）に比べ
て、基本通過帯域(fo)の３倍の周波数帯域(3fo)におけ
る通過レベルが抑圧される。

【００１９】次に、上記実施例に従った誘電体フィルタ
の製造方法を説明する。

【００２０】まず、四角柱状の誘電体部材(2)に貫通孔
(22)を開設した後、外導体層(30)、内導体層(31)、端面
導体層(32)を形成して同軸誘電体共振器(1)とする。そ
して、入力段及び出力段となる同軸誘電体共振器(1a)(1
b)には、外導体層(30)を誘電体部材(2)の一部とともに
削除することにより、外部接続用電極(34)と段間結合窓
(10)とをそれぞれ形成し、中間段となる同軸誘電体共振
器(1c)には、段間結合窓(10)を形成する。

【００２１】次に、各同軸誘電体共振器(1a)(1b)(1c)の
隣接面の外導体層(30)に、高融点半田等を含む導電性接
着材を塗布した後、各同軸誘電体共振器(1a)(1b)(1c)を
並列に隣接して平滑な基台上に載置し、加熱する。

【００２２】すると、図３（ａ）に示すように、同軸誘
電体共振器(1)の隣接位置合わせが多少ずれていても、
図３（ｂ）に示すように、隣接面の外導体層(300)(301)
の縁部において、導電性接着材(4)の表面張力により互
いに引き合う力が働き、平滑な基台上を滑って、図３
（ｃ）に示すように、自ずから揃った位置で接着する。

【００２３】最後に、３個の同軸誘電体共振器(1a)(1b)
(1c)間の整合を取るために、各同軸誘電体共振器(1a)(1
b)(1c)における外導体層(30)を、端面導体層(32)が形成
されていない端面(20)側から適当な領域だけ削除して、
外縁削除部(12)を形成する。

【００２４】ここで、３個の同軸誘電体共振器(1a)(1b)
(1c)を接合する際の並べ方について考えると、図４に示
すように、［Ａ］入力段、出力段及び中間段の同軸誘電
体共振器(1a)(1b)(1c)の導体層形成端面(21)を同一方向
に揃えた配列、［Ｂ］入力段及び出力段の同軸誘電体共
振器(1a)(1b)の導体層形成端面(21)を同一方向に揃え、
中間段の同軸誘電体共振器(1c)の導体層形成端面(21)は
逆方向に向けた配列、［Ｃ］入力段と出力段の同軸誘電
体共振器(1a)(1b)の導体層形成端面(21)を互いに逆方向
に向けた配列の３種類が考えられる。

【００２５】そこで、上記３種類の誘電体フィルタを試
作して伝送特性を測定したところ、図５に示すように、
上記［Ａ］の場合には、共振器間の容量結合性が強くな
り過ぎて、基本通過帯域(fo)付近の高域側での減衰特性
が著しく劣り、上記［Ｂ］の場合には、共振器間の磁界
結合性が強くなり過ぎて、基本通過帯域(fo)付近の低域
側での減衰特性が著しく劣り、上記［Ｃ］の場合には、
基本通過帯域(fo)付近の高域側、低域側ともに減衰特性
が良好で、バランスが取れているという結果が得られ
た。

【００２６】上記実施形態の説明は、本発明を説明する
ためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限
定し、或いは範囲を減縮する様に解すべきではない。
又、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請
求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であ
ることは勿論である。

【００２７】例えば、上記実施形態では、３個の同軸誘
電体共振器(1a)(1b)(1c)を用いたが、中間段の同軸誘電
体共振器(1c)を更に追加してもよい。

【００２８】又、上記実施形態では、外部接続用電極(3
3)を矩形に形成しているが、内導体層(31)と所望の結合
容量を得ることができれば、その大きさや形状を任意に
変更できる。

【００２９】更に、上記実施形態においては、外部結合
を大きく取ることと半田付け確認用のフィレットを形成
することを目的として、外部接続用電極(34)を２つの側
周面に跨って形成したが、そのような目的を重視しない
場合には、外部接続用電極(34)を１つの側周面のみに形
成してもよい。

【００３０】尚、同軸誘電体共振器(1)の誘電体部材(2)
は、通常プレス成形等により作製されるので、その側周
面の連接部（エッヂ）には０.１〜０.２μｍ程度のアー
ルが形成され、外部接続用電極(34)を１つの側周面のみ
に形成する場合でも、それが前記アールを覆うところま
で延びていれば、半田付け確認用フィレットの形成が可
能となる。

【００３１】

【発明の効果】本発明によれば、角柱状の誘電体部材
に、その両端面を通る貫通孔を形成し、前記誘電体部材
の側周面及び一方の端面に、それぞれ外導体層及び端面
導体層を形成し、前記貫通孔の内面に、内導体層を形成
した複数の同軸誘電体共振器を、前記側周面から選ばれ
る少なくとも１面を隣接面として互いに接合することに
より構成される誘電体フィルタにおいて、入力段及び出
力段の同軸誘電体共振器における共振周波数の変動が少
なくなり、、中間段の同軸誘電体共振器の貫通孔開口縁
部にトリミング加工を施す必要がなくなる。

【００３２】又、入力段及び出力段の同軸誘電体共振器
における３倍高調波の発生が抑制されて、フィルタとし
ての伝送特性においても、基本通過帯域の３倍の周波数
帯域における通過レベルが抑圧される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例による誘電体フィルタの斜視図で
あり、（ａ）（ｂ）は互いに上下を逆さにした斜視図で
ある。

【図２】本発明実施例及び従来例による誘電体フィルタ
の伝送特性図。

【図３】本発明実施例に係る誘電体フィルタの製造方法
において、同軸誘電体共振器同士を接着する際の状態を
示す平面図であり、（ｂ）は（ａ）の要部拡大図であ
る。

【図４】本発明実施例による誘電体フィルタにおいて、
３個の同軸誘電体共振器を接合する際の並べ方を示す平
面図である。

【図５】本発明実施例による誘電体フィルタにおいて、
３個の同軸誘電体共振器を接合する際の並べ方による伝
送特性の違いを示す図である。

【図６】従来例による誘電体フィルタの斜視図であり、
（ａ）（ｂ）は互いに上下を逆さにした斜視図である。

【符号の説明】

(1) 同軸誘電体共振器 (2) 誘電体部材 (10) 段間結合窓 (20) 導体層を形成しない端面（開放端面） (21) 導体層形成端面（短絡端面） (22) 貫通孔 (30) 外導体層 (31) 内導体層 (32) 端面導体層 (34) 外部接続用電極

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 角柱状の誘電体部材に、その両端面を通
   る貫通孔を形成し、前記誘電体部材の側周面及び一方の
   端面に、それぞれ外導体層及び端面導体層を形成し、前
   記貫通孔の内面に、内導体層を形成した複数の同軸誘電
   体共振器を、前記側周面から選ばれる少なくとも１面を
   隣接面として互いに接合することにより構成される誘電
   体フィルタにおいて、 隣接する同軸誘電体共振器における夫々の隣接面の共振
   器長方向略中央の位置に、前記外導体層が削除された段
   間結合窓が開設されており、 入力段及び出力段の同軸誘電体共振器における隣接面以
   外の側周面から選ばれる少なくとも１面の共振器長方向
   略中央の位置に、前記外導体層から絶縁された外部接続
   用電極が形成されていることを特徴とする誘電体フィル
   タ。
2. 【請求項２】 前記外部接続用電極は、入力段及び出力
   段の同軸誘電体共振器において、それぞれ２つの側周面
   に跨って形成されていることを特徴とする請求項１記載
   の誘電体フィルタ。
3. 【請求項３】 前記複数の同軸誘電体共振器は、入力段
   及び出力段の同軸誘電体共振器における導体層形成端面
   を、互いに逆方向に向けて接合されていることを特徴と
   する請求項１記載の誘電体フィルタ。
4. 【請求項４】 前記複数の同軸誘電体共振器間の整合を
   取るために、各同軸誘電体共振器における外導体層は、
   端面導体層が形成されていない端面側から適当な領域だ
   け削除されていることを特徴とする請求項１記載の誘電
   体フィルタ。