JPH11236886A - スクロール型圧縮機 - Google Patents

スクロール型圧縮機

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JPH11236886A
JPH11236886A JP34410998A JP34410998A JPH11236886A JP H11236886 A JPH11236886 A JP H11236886A JP 34410998 A JP34410998 A JP 34410998A JP 34410998 A JP34410998 A JP 34410998A JP H11236886 A JPH11236886 A JP H11236886A
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scroll
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二郎 飯塚
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スクロール型圧縮機において、クランクピン
と偏心ブッシュとの嵌合構成では、従来は製作の難しい
略長円形で摺動できるようになっており、また偏心ブッ
シュとカウンターウェイトに加わる傾倒モーメントの為
の部品が必要であったのを改善する。 【解決手段】 偏心ブッシュとクランクピンとは断面円
形であって、クランクピンと偏心ブッシュには主軸直交
方向に穴が開けられており、偏心ブッシュとピンとは一
体となってピンの軸線方向に移動可能としたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スクロール型圧縮
機の可動渦巻部材の旋回半径の変化に対応できる、クラ
ンクシャフトと偏心ブッシュを基本とした渦巻駆動機構
に関する。詳しくは、可動スクロール型圧縮機を含む、
当該圧縮機と同種の機構を有する真空ポンプや膨張機に
関する。
【0002】
【従来の技術】旋回半径が可変の渦巻体を有するスクロ
ール型圧縮機(以下、“スクロール型圧縮機”と記述)
全体の構造と機能は[発明の実施の形態]で説明する
が、このタイプの圧縮機は、カウンタウェイトと一体化
した偏心ブッシュが、クランクシャフトの主軸大径部に
取り付けられたクランクピンで支えられる形態になって
いるため重心と支点がずれており、旋回速度が増すとカ
ウンタウェイトが遠心力によってクランクシャフト主軸
方向に傾倒する。カウンタウェイトが傾倒すると、予期
しない周辺部材との接触が生じ、最悪の場合は周辺部材
を傷つけることになる。
【0003】スライド式旋回半径可変機構を備えたスク
ロール型圧縮機に対して、この問題を解決した構造とし
て実開平4-87382号公報がある。従来型の、旋回
半径が変化するスクロール型圧縮機の構造が理解しやす
いので、以下、実開平4-87382号公報の内容を説
明する。
【0004】図1は、カウンタウェイトと一体化された
偏心ブッシュをクランクピンに嵌合したときの状態を回
転軸方向から見た図である。
【0005】偏心ブッシュ3のクランク穴30に主軸大
径部10のクランクピン110が嵌合されるが、偏心ブ
ッシュがスライドできるようにクランクピンよりも大き
な溝が彫られている。
【0006】すなわち、この溝の部分が旋回半径を可変
にすることができる。クランクピンと偏心ブッシュのク
ランクピン穴が密着していれば、カウンタウェイトに遠
心力が掛かってもカウンタウェイトが傾倒することはな
いが、この遊びがあるために遠心力が掛かるとカウンタ
ウェイトが傾倒する。それは、以下の理由による。
【0007】この構造のスクロール型圧縮機では、1本
のクランクピンで偏心ブッシュを支えている上に、カウ
ンタウェイトが偏心ブッシュに取り付けられているため
に、カウンタウェイトと一体化した偏心ブッシュの重心
が、カウンタウェイト側に偏っている。
【0008】通常は、クランクピンでバランスを取って
いるが、遠心力が掛かるとこのバランスが崩れ、カウン
タウェイトの傾倒を引き起こす。以上が、カウンタウェ
イトが傾倒する原因である。
【0009】そこで、この傾倒を制御しているのが、傾
倒規制部材24である。この例では傾倒制御部材として
ボルトを使用している。参考までに、回転軸に垂直な方
向から見た断面図を図2に載せておく。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来のスライド式の旋
回半径可変スクロール型圧縮機は、カウンタウェイトの
傾倒という問題を抱えている。この傾倒によって、カウ
ンタウェイトが周辺部材に接触することによって傷つけ
る恐れがある。
【0011】それに第一、略長円形(スライド溝)で旋
回半径を可変にするために、主軸大径部のクランクピン
や偏心ブッシュのクランクピン穴の形状が特殊なもので
あり、加工コストが掛かるという問題がある。
【0012】カウンタウェイトの傾倒という前者の問題
は、実開平4-87382号公報では傾倒規制用ボルト
を使用することで解決している。しかし、スライド溝の
加工は特殊加工であるために、コスト高になるという後
者の問題は解決していない。それに傾倒規制用ボルトを
取り付けいるという付加的な機構を加工しなければなら
ず、更に、加工コストを引き上げる結果となっている。
【0013】そこで本発明が解決しようとする課題は、
カウンタウェイトが傾倒することと、可変旋回半径のス
ライド溝の加工が特殊であり、コストが高くなるという
二つの問題点を解決する、新しい偏心ブッシュとクラン
クピンをもつスクロール型圧縮機を提供することであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の発明が解決しよう
とする課題を解決するために、クランクシャフトの回転
を、クランクシャフトの主軸大径部、偏心ブッシュおよ
びカウンタウェイトの構成要素によって、クランクシャ
フトの軸回転を偏心ブッシュの公転運動(旋回運動)に
変えるとともに、偏心ブッシュの公転運動を可動スクロ
ール部材に伝え、固定スクロール部材と可動スクロール
部材とを所定距離だけ偏心した形態で組み合わせによっ
て、流体を端板外周から内周に移動しながら圧縮し、圧
縮した高圧流体を吐出口から吐出するスクロール型圧縮
機において、主軸大径部に設けられたクランクピン部の
中心軸に直交するピン穴を設け、ピン穴とすき間をもっ
て嵌合し軸線方向に偏心ブッシュの移動を許す偏心ブッ
シュと一体のピンを設けたスクロール型圧縮機を提供す
る。
【0015】前記ピン穴およびピンについて、主軸大径
部に設けられたクランクピン部の中心軸に直交し互いに
平行な2つのピン穴を設け、ピン穴とすき間をもって嵌
合し軸線方向に偏心ブッシュの移動を許す偏心ブッシュ
と一体の2つのピンを設けスクロール型圧縮機を提供す
る。
【0016】前記偏心ブッシュについて、渦巻駆動軸軸
受と接触する外周面をパイプ状の外周リングを偏心ブッ
シュに圧入し形成したものである。
【0017】クランクシャフトの回転を、クランクシャ
フトの主軸大径部、偏心ブッシュおよびカウンタウェイ
トの構成要素によって、クランクシャフトの軸回転を偏
心ブッシュの公転運動(旋回運動)に変えるとともに、
偏心ブッシュの公転運動を可動スクロール部材に伝え、
固定スクロール部材と可動スクロール部材とを所定距離
だけ偏心した形態で組み合わせによって、流体を端板外
周から内周に移動しながら圧縮し、圧縮した高圧流体を
吐出口から吐出するスクロール型圧縮機において、 (1)主軸大径部のクランクピンと偏心ブッシュのクラン
クピン穴に対して、軸に垂直な方向から各軸の中心部を
貫く形態でピン穴を設け、かつクランクピンのピン穴の
直径をクランクピン穴のピン穴の直径より大きくする。
そして、
【0018】(2)クランクピンをクランクピン穴に嵌合
させたあと、ピンを各ピン穴を貫くように圧入すること
によって、偏心ブッシュとピンを一体化するとともに、
偏心ブッシュがピンの軸線方向に移動できるようにす
る。
【0019】前記構造では、1本ピンで偏心ブッシュを
支えているために、偏心ブッシュがピンを中心に回転す
る。これによってベアリングとの接触を良好に保つこと
ができる。
【0020】そして、更に安定を良好とするために、ピ
ンに平行にさらにもう1本のピンを加えた2本ピンで偏
心ブッシュを支える構造にすれば、1本ピンを加えたた
めに、回転数や負荷の変化に影響を受けずに偏心ブッシ
ュの姿勢をより安定に保つことができる。
【0021】上記2つの構造では、ピン穴が渦巻駆動軸
受の転走面に接触する。回転数や負荷条件によっては使
用できない場所が生じる。そこで、さらに上記の偏心ブ
ッシュのクランクピン穴を覆う、パイプ状の偏心ブッシ
ュ外周部(外周リング)を取り付ける。これによって、
渦巻駆動軸受転走面を形成する構造とすることができ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】まず、旋回半径可変式のスクロー
ル型圧縮機の構造と機能を説明する。図3は請求項1で
挙げた1本ピンで可動旋回半径を変化させることができ
る渦巻部材を有するスクロール型圧縮機である。
【0023】まず図をもとにスクロール圧縮機の機能を
説明する。クランクシャフト1(主軸)の回転はクラン
クシャフトの主軸大径部10に取り付けたクランクピン
110の旋回運動(公転運動)となる。
【0024】クランクピン110が偏心ブッシュ3のク
ランクピン穴30に嵌合しており、クランクピンの旋回
運動がそのままを偏心ブッシュの旋回運動となる。偏心
ブッシュ3とカウンタウェイト2とは双方のリベット穴
(リベット20の位置)にリベット20を通してかしめ
ることにより固定される。
【0025】カウンタウェイトは、可動スクロール部材
及び偏心ブッシュとのバランスを取り、圧縮機の振動発
生を防止する働きをもってることから、バランスウェイ
トともよばれる。
【0026】可動スクロール部材4は、側板41の一方
側に渦巻体40(渦巻状ラップともいう)を有し、他方
側には円環状のボス42を有している。このボスに偏心
ブッシュ3が嵌合され、渦巻駆動軸受22を介してスム
ーズな回転を可能としている。
【0027】以上により、偏心ブッシュ3およびそれに
嵌合する可動スクロール部材4はクランクシャフト1に
対して公転運動を行うが、可動スクロール部材の自転を
抑えるために回転阻止機構21が設けられている。
【0028】回転阻止機構21は、一対の環状レース2
10とボール211とで構成されている。したがって、
回転阻止機構21によって可動スクロール部材4は公転
運動のみの運動となる。
【0029】図3の示す一点破線がクランクシャフトの
回転軸心99であり、この軸心を中心に可動スクロール
部材4が公転するが、公転半径が可動スクロール部材の
半径より小さいため、すなわち公転軌道が可動スクロー
ル部材に内であるために、可動スクロール部材は揺動運
動しているようにみえる。このようなことから、可動ス
クロールは“揺動スクロール”あるいは“旋回スクロー
ル”とよばれることもある。なお、本文中では公転と旋
回は同じ意味で使用する。
【0030】可動スクロール部材4および固定スクロー
ル部材5には、それぞれ渦巻体40、50が設けられて
いるが、可動スクロール部材と固定スクロール部材とを
相互に所定距離だけ偏心させ、なおかつ180度角度を
ずらすことによって、複数の密閉空間を形成する。この
密閉空間は外周ほど広く、内周ほど狭くなる。
【0031】したがって、吸入口(図示せず)より吸入
された流体は外周から内周に向かって圧縮されながら移
動し、最後は吐出口6に導かれる。吐出室8は高圧であ
り、通常、リード弁7は閉じている。しかし、圧縮され
た流体が吐出口6に吐出されると、吐出口の圧力が高く
なり、リード弁7が開き、圧縮流体は吐出室8に吐き出
される。
【0032】以上が、スクロール型圧縮機が、流体を圧
縮するときの一連の動作であるが、上記で説明した各構
成部品は、ケーシング9とフロントハウジング100と
によって密封され、保護されている。
【0033】図4は、本発明の基本的な構造を示してい
る。
【0034】偏心ブッシュ3にはクランクピン穴30の
中心軸に直交するピン穴31を開け、主軸大径部のクラ
ンクピン110には、軸方向に対して直交したピン穴1
110を開ける。ピン穴と嵌合するピン11の直径をD
1、ピン穴1110直径をD2とすると、 D1<D2 の条件を満たすように設定する。
【0035】一方、ピン11の直径は偏心ブッシュのピ
ン穴31のそれに圧入でき、しかも固定できる大きさに
する。すなわち、偏心ブッシュ3とピン11は一体化し
た状態になり、クランクピン110のピン穴1110に
そってピン11とともに移動できる。
【0036】一方、偏心ブッシュ3のクランクピン穴3
0の形状とクランクピン110の形状は、特に問わない
が、加工のしやすさなどを考慮して、ここでは円筒形と
して扱う。このときの偏心ブッシュ3の内径をd1IN
外径をd1OUTとし、クランクピン110の直径をd2
したとき、 d1IN−d2 が偏心ブッシュの移動可能距離となる。
【0037】偏心ブッシュとカウンタウェイトは一体化
されているから、カウンタウェイトに掛かる遠心力によ
って生じる傾倒モーメントは、偏心ブッシュにも伝わ
る。このとき、ピンとクランクピンのピン穴によって、
カウンタウェイトの傾倒を防止している。
【0038】すなわち、図5に示すように、ピン11は
クランクピン110に設けたピン穴1110の縁で制御
される。図は誇張して描いてあるが、実際にはピン穴1
110を狭くすること(図4のD2を小さくすること)
によって、傾倒角度αを小さくでき、カウンタウェイト
の傾倒を制御することができる。
【0039】傾倒モーメントは、クランクシャフトの主
軸の中心とクランクピン軸の中心を結ぶ線上でもっとも
大きい。したがって、クランクピンに設けるピン穴は、
この線上に設けることがカウンタウェイトの傾倒を防止
するという点では好ましい。しかし、本発明では渦巻体
の接触状態等を考慮して、実際にはある特定の角度でピ
ン穴を設置する。具体的には、実施例で述べる。
【0040】高速回転の圧縮機や高圧圧縮を行う圧縮機
では、やはり、ピンが1本のタイプの圧縮機では、ピン
軸に垂直な方向の力(遠心力や圧縮反力などの合成力の
垂直成分)に対して不安定なことは確かである。このよ
うな場合には、ピンを平行に2本入れると安定する。な
ぜなら、1本のピンではピンに対して垂直方向の力が掛
かるとピンを軸に回転することになるが、もう一本のピ
ンがその回転を阻止するように働き、偏心ブッシュの傾
きを止め、カウンタウェイトの傾倒を阻止することにな
るからである。
【0041】偏心ブッシュの外径面(外周、図4の3
3)は、可変スクロール部材のボスとの間に設けられた
渦巻駆動軸受に接して転走する。このときピン穴が負荷
の掛からない場所に設置されているときには問題はない
が、負荷の掛かる場所では渦巻駆動軸受が偏心ブッシュ
のピン穴で傷つけられる恐れがある。そのような場所に
使用する場合には、外周に環状のリングを偏心ブッシュ
に圧入して、ピン穴を覆うようにする(図6)。この環
状のリングを外周リング35とよぶことにする。この外
周リングは、前記ピン1ないし2本のどちらに対しても
利用できる。
【0042】図7は、請求項1の例である。図7の
(1)はクランクシャフトと偏心ブッシュ(すでにカウ
ンタウェイトを取り付けた状態)の外観図であり、
(2)はこれを一体化状態を回転軸方向から見た図であ
る。
【0043】クランクピン110は、可変スクロールの
旋回半径にほぼ等しい位置に主軸大径部10上に設置さ
れている。クランクピンの断面はどのような形状でも構
わないが、図を簡単化するために図では円としてある。
クランクピン110は、鍛造素材肌でも構わないし、ま
たそれに対応する偏心ブッシュ3も鍛造素材肌でも構わ
ない。
【0044】図7の(2)に示す一点破線Lはクランク
シャフト1の中心点とクランクピン110の中心点を結
ぶ直線であり、ピン穴1110は直線Lに対して20〜
30度の角度になるように設置する。この角度をもたす
理由は以下の通りである。
【0045】渦巻圧縮反力の方向とピン11軸線との角
度が60〜70度のずれとなるために、可動渦巻部材
(可動スクロール部材)が旋回半径を大きくする方向に
移動し、渦巻壁の接触状態を良好に保つことができる。
【0046】また理論上、遠心力に起因する傾倒モーメ
ントは直線L上でもっとも変位量が大きくなるために最
大となるが、この傾倒モーメントによるカウンタウェイ
トの倒れ量は、直線Lに対して20〜30度の角度では
極めて小さく、問題はない(図7参照)。
【0047】さらにピンを軸として渦巻圧縮反力方向へ
偏心ブッシュは回転し、可動渦巻駆動用の渦巻駆動軸受
との接触状態を良好に保つ。以上の理由から、直線Lに
対して20〜30度をもたせてピン穴が決定されてい
る。
【0048】図8は、2本ピン、すなわち請求項2の例
である。図の(1)はクランクピン110にピン穴11
10を2個、(2)は偏心ブッシュ3にピン穴11を2
個設けた状態を側面(ピン軸方向)から見た図である。
【0049】ピン穴31とピン穴1110において、直
径をそれぞれD1、D2、ピン穴の中心点間の距離をそ
れぞれA1、A2、ピン穴の外径の最大距離をそれぞれ
B2、B1とすると、 A1>A2 B1<B2 A1+D1=B1 A2+D2=B2 ……… [数1] となるように、それぞれのピン穴を決定する。
【0050】もちろん、2個のピン穴の方向はクランク
ピン軸および偏心ブッシュのクランクピン穴に対して垂
直方向に、それぞれが平行になるように設ける。すなわ
ちこの条件下でクランクピンと偏心ブッシュを組み合わ
せると、(3)に示しように、偏心ブッシュとピンは一
体化した状態でクランクピンのピン穴にそって移動でき
る。この点はタイプ1の場合と同様である。
【0051】異なる点は、(4)、(5)に示すよう
に、ピン軸を中心に偏心ブッシュ3(同時に一体化され
ているカウンタウェイト2)を回転させようとする傾倒
モーメントが働いたとき、それぞれのピン穴が干渉し合
って、カウンタウェイト2の傾倒を阻止する。
【0052】これによって、可動スクロールの旋回半径
の変化に伴う移動を可能にするとともに、回転数や負荷
の変化に偏心ブッシュの姿勢が影響を受けないようにす
ることができ、偏心ブッシュの姿勢を安定に保つことが
できる。
【0053】なお、クランクピンのピン穴を小さくした
り、穴間の距離を工夫をすれば最大傾倒角度αを小さく
できるが、図の例では、クランクピンのピン穴の直径を
ある程度大きくし、しかも、ピン穴の間隔は偏心ブッシ
ュに設けたピン穴の間隔より狭くすること(数1の条
件)によって、意図的にある程度の傾斜角度がつくよう
にしている。その理由は、可動渦巻駆動軸(可動スクロ
ール駆動軸)受けに対して正しく接触できるように、わ
ずかに偏心ブッシュがピンに平行な軸のまわりを回転で
きるようにしているからである。
【0054】図9は外周リングを取り付けた例である。
外周リング35は、パイプ状の形状をしており、偏心ブ
ッシュ3に圧入する。これにより、渦巻駆動軸受の転走
面が偏心ブッシュのピン穴端面に触れないようにするこ
とができる。
【0055】とくに、回転数や負荷条件が大幅に変化す
る場所では、ピン穴端面がむき出しのままであると渦巻
駆動軸受の破損や他への負荷を増長する危険性がある。
それを事前に防止する働きをもっているのが外周リング
である。なお、外周リングは軸受け鋼に準じる材料を使
用し、中心部は安価な材料や焼結部品が使用できる。
【0056】
【発明の効果】これまでのスライド式の可変スクロール
型圧縮機では偏心ブッシュのピン穴およびクランクピン
が特別の形状をしていたために、特殊加工が必要であっ
たが、その点、本発明ではピン穴とピンを用いて旋回半
径を可変にすることができるために、特殊加工を必要と
しない。これによって、加工コストの低減ができる。
【0057】カウンタウェイトの傾倒によって、周辺部
材を傷つける危険性がある。これまでは、この点は放置
されていた。これに対応した実用新案が実開平4-87
382号公報である。しかし同考案では傾倒規制機構
(たとえば傾倒規制用ボルト)を新たにカウンタウェイ
トに取り付けるために、コスト高となっている。
【0058】その点、本発明では、ピンが旋回半径可変
機構兼ね備えるとともに、カウンタウェイトの傾倒防止
になっているために、余分な部品を取り付ける必要もな
く、カウンタウェイトの傾倒を制御している。このた
め、本発明はコスト面で有利な構造といえる。
【0059】請求項1記載の圧縮機の場合には、偏心ブ
ッシュと1本のピンを一体化し、クランクピンに設けた
ピン穴にピンを通すことによって、ピンを軸に自在に回
転することができるために、軸受けとの接触状態を良好
に保つことができる。しかし一方、回転数や負荷の変化
に対して偏心ブッシュは敏感に反応し、姿勢の安定性と
いう面では請求項1記載の圧縮機はやや劣る。
【0060】これに対して、請求項2記載の圧縮機の場
合には2本ピンを用いているために、回転数や負荷の変
化に強く、姿勢の安定性に優れている。軸受けとの接触
状態もクランクピンと偏心ブッシュに設けるピン穴の直
径と位置関係で調整できるために、この点もさほど問題
はない。ただコスト面では、請求項1記載の圧縮機より
も請求項2記載の圧縮機は高い。したがって、情況に合
わせた選択を行うことが好ましい。この選択が行えるの
も、請求項1,2記載の圧縮機を用意できる本発明のピ
ン構造にあるからである。
【0061】回転数や負荷の大幅に変化する場所では、
ピン穴端面が渦巻駆動軸受を傷つける恐れがあるが、外
周リングを設けることによって防止する。
【0062】リングを取り付けることによって、回転数
や負荷が大幅に変化する場所にも利用できるメリットは
大きい。さらに外周リング自体を軸受け鋼に準じる材料
を用いれば、中心部は安価な材料や焼結部品が利用でき
るために、コスト面での工夫も可能となっている。
【0063】旋回半径の異なる複数のスクロール圧縮機
にクランクシャフトおよび偏心ブッシュを共通使用でき
るとともに、偏心ブッシュを表裏反転することで正逆両
回転に対応できるために、部品在庫の削減により在庫管
理コストが低減できる。なお、本発明はスクロール圧縮
機以外にも、真空ポンプや膨張機用としても応用できる
技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術における実開平4-87382号公報
で提唱のカウンタウェイト傾倒防止機構とスクロール型
圧縮機の構造を説明するための図である。
【図2】従来技術における実開平4-87382号公報
で提唱のカウンタウェイト傾倒防止機構とスクロール型
圧縮機の構造を説明するための図である。
【図3】発明の実施の形態における渦巻体を有するスク
ロール型圧縮機全体の構造を説明するための図である。
【図4】発明の実施の形態における、タイプ1のスクロ
ール型圧縮機での、クランクピン、偏心ブッシュおよび
ピンとの関係を説明するための図である。
【図5】発明の実施の形態において、傾倒モーメントが
働いたときのクランクピンのピン穴とピンの状態を示す
図である。
【図6】発明の実施の形態における外周リングを、偏心
ブッシュに取り付け方を説明するための図である。
【図7】実施例において、タイプ1のスクロール型圧縮
機のクランクシャフト、偏心ブッシュおよびカウンタウ
ェイトの組み立てと、ピン穴の開ける方向を説明するた
めの図である。
【図8】実施例において、タイプ2のスクロール型圧縮
機のクランクシャフトピンと偏心ブッシュに開けるピン
穴の大きさと間隔、およびカウンタウェイトの傾倒具合
を説明するための図である。
【図9】実施例において、外周リングを取り付けときの
クランクシャフトピン、偏心ブッシュおよびカウンタウ
ェイトの組み立て状態を示す図である。
【符号の説明】
1 クランクシャフト(主軸) 10 主軸大径部 110 クランクピン(偏心ピン) 1110 ピン穴 11 ピン 2 カウンタウェイト(バランスウェイト) 3 偏心ブッシュ 30 クランクピン穴(偏心ピン穴) 31 ピン穴 32 クランクピン穴内径面(内周) 33 外径面(外周) 35 外周リング 4 可動スクロール部材 40 渦巻体(渦巻状のラップ、可動渦巻部材) 41 側板 42 ボス 5 固定スクロール部材 50 渦巻体 6 吐出口 7 リード弁 8 吐出室 9 ケーシング 20 リベット 21 回転阻止機構 210 環状レース 211 ボール 22 渦巻駆動軸受 23 ボールベアリング 24 傾倒規制部材 99 クランクシャフトの回転軸心 100 フロントハウジング

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クランクシャフトの回転を、クランクシャ
    フトの主軸大径部、偏心ブッシュとカウンタウェイトお
    よび渦巻駆動軸受構成要素によってクランクシャフトの
    軸回転を、固定スクロール部材に対し所定距離だけ偏心
    して組み合わされた可動スクロール部材の公転運動(旋
    回運動)に変え、流体をスクロール部材外周から内周に
    移動しながら圧縮し、圧縮した高圧流体を吐出口から吐
    出するスクロール型圧縮機において、主軸大径部に設け
    られたクランクピン部の中心軸に直交するピン穴を設
    け、ピン穴とすき間をもって嵌合し軸線方向に偏心ブッ
    シュの移動を許す偏心ブッシュと一体のピンを設けた、
    ことを特徴とするスクロール型圧縮機。
  2. 【請求項2】請求項1のピン穴およびピンについて、主
    軸大径部に設けられたクランクピン部の中心軸に直交し
    互いに平行な2つのピン穴を設け、ピン穴とすき間をも
    って嵌合し軸線方向に偏心ブッシュの移動を許す偏心ブ
    ッシュと一体の2つのピンを設けた、ことを特徴とする
    スクロール型圧縮機。
  3. 【請求項3】請求項1及び2の偏心ブッシュについて、
    渦巻駆動軸受と接触する外周面をパイプ状の外周リング
    を偏心ブッシュに圧入し形成した、ことを特徴とするス
    クロール型圧縮機。
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