JPH0893665A

JPH0893665A - スクロール型圧縮機

Info

Publication number: JPH0893665A
Application number: JP6253054A
Authority: JP
Inventors: Jiro Iizuka; 二郎飯塚; Kiyoshi Miyazawa; 清宮沢
Original assignee: Sanden Corp
Current assignee: Sanden Corp
Priority date: 1994-09-20
Filing date: 1994-09-20
Publication date: 1996-04-09
Also published as: US5779461A

Abstract

(57)【要約】（修正有）【目的】加工が容易でしかも耐久性にも優れた低コス
トのスクロール型圧縮機を提供する。【構成】クランクピンと、該クランクピンが嵌合され
る穴を有し、クランクピンが設けられたクランク部４の
回転中心に対して偏心した状態でクランク部４とともに
回転し、クランクピンを中心に一定量の揺動が許容さ
れ、可動スクロール１１に旋回運動を付与する偏心ブッ
シュ９とを有するスクロール型圧縮機において、クラン
クピンと偏心ブッシュ９との嵌合機構に、偏心ブッシュ
９の揺動方向に一定量の遊びをもたせ、該遊び分を偏心
ブッシュ９の許容揺動量としたスクロール型圧縮機。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、互いに噛み合わされる
固定スクロールと可動スクロールとを有するスクロール
型圧縮機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、固定スクロールと可動スクロ
ールとを有するスクロール型圧縮機はよく知られてい
る。この種の圧縮機では、固定スクロールと可動スクロ
ールとを角度をずらせて噛み合わせ、可動スクロールの
自転を阻止しつつ、固定スクロールに対して可動スクロ
ールを旋回させるようになっている。そして、可動スク
ロールの旋回運動によって、両スクロールのうず巻体の
壁でシールされた流体ポケットを形成し、該流体ポケッ
トを中心に移動させながら流体ポケットの容量を減少さ
せ、流体ポケット内の流体を圧縮する。固定スクロール
の中心部に設けられた吐出孔から、流体ポケット内で圧
縮された流体（たとえば、冷媒）が吐出されるようにな
っている。

【０００３】上記のようなスクロール型圧縮機において
は、流体ポケットは両スクロールのうず巻体により実質
的に密閉された空間として形成されている。このため、
両スクロール部材のうず巻体同士を互いに接触させる必
要がある。

【０００４】しかし、上記のようなスクロール型圧縮機
においては、装置の運転速度が上昇するにつれ旋回運動
する可動スクロールに作用する遠心力も増大する。この
ため、両うず巻体間の摩擦力が増大し、可動スクロール
の円滑な旋回運動が阻害されるおそれがある。

【０００５】そこで、上記のような問題を解消すべく先
に本出願人により、図８および図９に示すような提案が
なされている（特許第１５８２００４号）。図におい
て、５１は駆動軸を示している。駆動軸５１の一端に
は、該駆動軸５１と一体化されたクランク部５２が設け
られている。

【０００６】クランク部５２の一面上には、クランクピ
ン５３と長穴５４が設けられている。クランクピン５３
は、駆動軸５１の軸心から偏心した位置に突設されてお
り、長穴５４は略円弧状に形成されている。そして、ク
ランクピン５３は、偏心ブッシュ５５の穴５６にベアリ
ング５７を介して挿入されている。

【０００７】また、偏心ブッシュ５５には図９に示すよ
うに、クランク部５２の長穴５４に対応する位置に突起
５８が設けられている。突起５８は、長穴５４内に挿入
されている。そして、バネ５９によって、可動スクロー
ル部材６０の旋回方向とは逆方向に向けて付勢されてい
る。また、偏心ブッシュ５５には、略半円形のバランス
ウエイト６１が固着されている。

【０００８】また、可動スクロール部材６０の中央分に
は、ベアリング６２を介して偏心ブッシュ５５が回転自
在に挿入されている。

【０００９】上記のような装置においては、装置の運転
速度の上昇に伴って、可動スクロール６０に作用する遠
心力が増大しても、バネ５９の付勢力により、両スクロ
ールのうず巻体同士の摩擦力が、適切にコントロールさ
れるので、常に一定のシール力が得られ、安定した吐出
能力が発揮できる。また、起動時には両スクロールのう
ず巻体は非接触の状態になっているので、装置の起動の
円滑化もはかれる。

【００１０】つまり、上記のような装置の偏心ブッシュ
５５においては、長穴５４内部を偏心ブッシュ５５の突
起５８が移動することにより、クランクピン５３を中心
とする揺動が許容されている。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、偏心ブ
ッシュ５５は通常鍛造等により製作されるが、突起５８
を設ける構造を作用しているため、偏心ブッシュ５５の
鍛造性が低下するおそれがある。また、突起５８を設け
ているので、切削加工を偏心加工等の特殊加工で行うこ
とが必要となり、コストアップの要因になるおそれがあ
る。

【００１２】さらに、偏心ブッシュ５５の揺動時に、ク
ランクピン５３と穴５６との間で相対摺動が生じ、該部
の潤滑状態が悪いとスラッジ発生や焼きつき発生の原因
になるおそれもある。

【００１３】本発明は、上記のような問題点に着目し、
クランクピンと偏心ブッシュの穴との嵌合機構自身によ
り偏心ブッシュの揺動量を規制することにより、加工が
容易でしかもスラッジ発生や焼きつき発生のおそれの少
ない低コストの、スクロール型圧縮機を提供することを
目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
スクロール型圧縮機は、固定スクロールと、該固定スク
ロールに対し旋回運動され、固定スクロールとの間に、
実質的に密閉され、前記旋回運動に伴って容積が変化す
る流体ポケットを形成する可動スクロールと、クランク
ピンを有するクランクシャフトと、該クランクピンが嵌
合される穴を有し、前記クランクシャフトの回転中心に
対し偏心した状態で該クランクシャフトとともに回転
し、前記クランクピンを中心に一定量の揺動が許容さ
れ、前記可動スクロールに係合して該可動スクロールに
前記旋回運動を付与する偏心ブッシュと、を有するスク
ロール型圧縮機において、前記クランクピンと偏心ブッ
シュとの嵌合機構に、前記揺動方向に一定量の遊びをも
たせ、該遊び分を前記一定量の許容揺動量としたことを
特徴とするものからなる。

【００１５】上記嵌合機構は、たとえば上記クランクピ
ンを断面異形に、上記偏心ブッシュの穴を該異形形状に
それぞれ形成し、両者間に上記揺動方向の遊びをもたせ
ることにより構成できる。

【００１６】また、上記嵌合機構は、上記クランクピン
の外周面に軸方向に延びるスプラインあるいはセレーシ
ョンを、上記偏心ブッシュの穴の内周面には該スプライ
ンあるいはセレーションに対応するスプラインあるいは
セレーションをそれぞれ形成し、両者間に上記揺動方向
の遊びをもたせることにより構成することも可能であ
る。

【００１７】

【作用】上記のようなスクロール型圧縮機においては、
クランクピンと偏心ブッシュとの嵌合機構自身に、偏心
ブッシュの揺動方向に一定量の遊びをもたせ、該遊び分
をクランクピンを中心とする偏心ブッシュの許容揺動量
としているので、単に両部材同士の係合機構のみによっ
て偏心ブッシュの揺動量が規制される遊びをもたせた嵌
合機構であるから、クランクピンと偏心ブッシュの穴と
の間の相対摺動量が小さく抑えられ、たとえ相対摺動が
生じても両者間の面圧等は小に抑えられる。したがっ
て、この部分でのスラッジ発生や焼きつき発生が確実に
防止され、結果的に装置の耐久性が向上される。

【００１８】また、嵌合機構のみによって偏心ブッシュ
の揺動量は確実に規制されるので、従来の如く、別途偏
心ブッシュの揺動量を規制する手段を設ける必要はな
い。つまり、偏心ブッシュに揺動のための突起の設置が
不要になるので、偏心ブッシュの加工が容易化され、大
幅なコストダウンが達成できる。

【００１９】

【実施例】以下に本発明のスクロール型圧縮機の望まし
い実施例を図面を参照して説明する。図１ないし図３は
本発明の第１実施例に係るスクロール型圧縮機を示して
いる。図において１は、ハウジングを示している。ハウ
ジング１は、フロントハウジング２とリヤハウジング３
から構成されている。フロントハウジング２には、駆動
軸８が内挿されている。駆動軸８には一体的にクランク
部４が設けられており、ベアリング７を介して回転自在
に支持されている。

【００２０】クランク部４の一面には、クランクピン５
が突設されている。また、クランクピン５の外周面上に
は軸方向に延びる複数のスプライン６が設けられてい
る。なお、外周面にスプライン６を有するクランクピン
５はたとえば、鍛造、転造、切前加工等により加工でき
る。

【００２１】クランクピン５は、偏心ブッシュ９の穴１
０内に嵌合されている。穴１０は、駆動軸８の軸心から
偏心した位置に穿設されており、穴１０の内周面にはク
ランクピン５の外周面と対応するスプライン１０ａが設
けられている。そして、クランクピン５は、偏心ブッシ
ュ９の穴１０に対して径方向には通常の回転自在の軸部
におけるハメ合い寸法が採用されているが、揺動方向に
は（回動方向には）、図３に示すように一定量の遊びが
もたせられている。なお、偏心ブッシュ９は、たとえば
ブローチ加工、焼結、精密鍛造等により成形できる。

【００２２】偏心ブッシュ９には、バランスウエイト２
０が固着されている。また、偏心ブッシュ９には、可動
スクロール１１のボス部１２がベアリング１３を介して
嵌合されている。可動スクロール１１の底板１４上には
うず巻体１５が固着されている。底板１４の外周部に
は、ボールカップリング２５が設けられている。

【００２３】可動スクロール１１のうず巻体１５には、
固定スクロール１６のうず巻体１８が角度をずらせて噛
み合されている。また、うず巻体１８は、底板１７上に
固着されている。固定スクロール１６の底板１７の略中
央部には、吐出孔１９が穿設されている。

【００２４】リヤハウジング３内には、吐出室２１が設
けられている。吐出室２１は、吐出ポート２２を介して
外部流体経路（図示略）に連通されている。また、２３
は、外部流体経路から流体（たとえば、冷媒）を吸入す
るための吸入ポートを示している。

【００２５】フロントハウジング２の端部には、クラッ
チ部２４が設けられている。そして、クラッチ部２４の
オン、オフによって駆動力は駆動軸８に伝達されたり遮
断されるようになっている。

【００２６】本実施例のようなスクロール型圧縮機にお
いては、駆動モータや自動車エンジン等の駆動源（図示
略）からの駆動力が駆動軸８に伝達されると、クランク
部４も一体的に回転駆動される。そして、クランクピン
５に嵌合されている偏心ブッシュ９を介して可動スクロ
ール１１に旋回運動が付与される。該旋回運動により、
うず巻体１５はうず巻体１８に対して自転を阻止されつ
つ旋回される。

【００２７】上記旋回に伴って、吸入ポート２３から吸
入された流体は、両うず巻体１５、１８でシールされた
流体ポケット内に取り込まれる。そして、流体ポケット
がその容積を減少しながら中央部に向かって移動される
のに伴って、圧縮される。そして、圧縮された流体は、
吐出孔１９から吐出室２１内へと吐出され、さらに吐出
ポート２２から外部流体経路へと送られるようになって
いる。

【００２８】本実施例のようなスクロール型圧縮機にお
いては、クランクピン５の外周面にはスプライン６が、
またクランクピン５が嵌合される偏心ブッシュ９の穴１
０の内周面にはスプライン６に対応するスプライン１０
ａが、それぞれ設けられている。そして、クランクピン
５と穴１０の間には、偏心ブッシュ９の揺動方向に予め
一定量の遊びが設定されている。このため、駆動軸８の
回転駆動によりクランク部４とともに偏心ブッシュ９が
回転し、その際偏心ブッシュ９に働く遠心力により、ク
ランクピン５を中心とした偏心ブッシュ９の揺動が生じ
る。この揺動は、上記予め設定された一定量の遊びを許
容として揺動されることになる。そして、偏心ブッシュ
９の揺動量はスプライン６とスプライン１０ａとの凸部
同士の係合によって確実に規制されることになる。した
がって、従来のように（図９）、偏心ブッシュ９に別
途、自身の揺動量を規制するための突起の設置は不要に
なるので、偏心ブッシュ９の加工が容易化される。

【００２９】また、クランクピン５のスプライン６の凸
部と穴１０のスプライン１０ａの凸部との係合によっ
て、偏心ブッシュ９の揺動量が確実に規制されるので、
クランクピン５と穴１０との間の相対摺動量も極く小量
に抑制されることになる。さらに、遊びを有する嵌合機
構であるから、たとえ相対摺動があってもその間の面圧
等は小さい。したがって、スラッジ発生や焼きつき発生
のおそれが確実に防止され該部分の耐久性、ひいては装
置全体の耐久性も大幅に向上される。

【００３０】図４は、本発明の第２実施例に係る偏心ブ
ッシュ部分を示している。本実施例においては、偏心ブ
ッシュ３０の穴３１の内周面には、セレーション３２ａ
が設けられている。また、穴３１に嵌合されるクランク
ピン３３の外周面にも対応するセレーション３２ｂが設
けられている。また、クランクピン３３が穴３１に嵌合
された状態で、両部材間に回動（揺動）方向に一定量の
遊びが生ずるように寸法設定されている。

【００３１】本実施例においても、前記第１実施例に記
載したと同様の作用、効果を得ることができる。

【００３２】図５は、本発明の第３実施例に係る偏心ブ
ッシュ部分を示している。本実施例においては、偏心ブ
ッシュ３５の穴３６は、円形に対する異形部３６ａ（本
実施例では弦形状部）を有する異形状の穴として形成さ
れている。また、穴３６に嵌合されるクランクピン３７
の外周面は、穴３６の内周面の形状に対応する形状に形
成されている。また、クランクピン３７が穴３６に嵌合
された状態では、両部間には回動（揺動）方向に一定量
の遊びが生ずるように各部材は寸法設定されている。

【００３３】本実施例においても、上記第１、第２実施
例に記載したと同様の作用、効果を得ることができる。

【００３４】また、本実施例においては、穴３６に直線
状の異形部３６ａが設けられているが、たとえば図６に
示すような、穴内側に向けて三角形状に突出する異形部
３８を設けてもよい。また、図７に示すように円弧状に
突出する異形部３９を設けることも可能である。

【００３５】なお、本発明はクランクピンと偏心ブッシ
ュとの嵌合機構に、偏心ブッシュの揺動方向に一定量の
遊びを設け、該遊び分を許容範囲として偏心ブッシュを
揺動させるものである。したがって、偏心ブッシュの
穴、およびこれに対応するクランクピンの形状は上記第
１〜第３実施例に限定されるものではない。

【００３６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のスクロー
ル型圧縮機によるときは、クランクピンと偏心ブッシュ
との嵌合機構に、偏心ブッシュの揺動方向に一定量の遊
び分を設け、該遊び分を許容揺動量としたので、偏心ブ
ッシュに別途揺動量を規制する機構を設ける必要がなく
なり、偏心ブッシュの製造が容易化され、大幅なコスト
ダウンが達成できる。

【００３７】また、クランクピンと穴との間における相
対摺動が小に抑えられるので、該部分の耐久性、ひいて
は圧縮機全体の耐久性も向上できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係るスクロール型圧縮機
の縦断面図である。

【図２】図１の装置のクランクピンと偏心ブッシュとの
分解斜視図である。

【図３】図１の装置のクランクピンと偏心ブッシュ嵌合
部の部分拡大縦断面図である。

【図４】本発明の第２実施例に係るスクロール型圧縮機
の偏心ブッシュ部の正面図である。

【図５】本発明の第３実施例に係るスクロール型圧縮機
の偏心ブッシュ部の正面図である。

【図６】図５とは別の態様の偏心ブッシュ部の正面図で
ある。

【図７】さらに別の態様の偏心ブッシュ部の正面図であ
る。

【図８】従来のスクロール型圧縮機の部分分解斜視図で
ある。

【図９】図８のスクロール型圧縮機の偏心ブッシュの拡
大斜視図である。

【符号の説明】

１ハウジング２フロントハウジング３リヤハウジング４クランク部５、３３、３７クランクピン６スプライン７ベアリング８駆動軸９、３０、３５偏心ブッシュ１０穴１０ａスプライン１１可動スクロール１２ボス部１３ベアリング１４、１７底板１５、１８うず巻体１６固定スクロール１９吐出孔２０バランスウエイト２１吐出室２２吐出ポート２３吸入ポート２４クラッチ部２５ボールカップリング３２ａ、３２ｂセレーション３６ａ、３８、３９異形部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】固定スクロールと、該固定スクロールに
対し旋回運動され、固定スクロールとの間に、実質的に
密閉され、前記旋回運動に伴って容積が変化する流体ポ
ケットを形成する可動スクロールと、クランクピンを有
するクランクシャフトと、該クランクピンが嵌合される
穴を有し、前記クランクシャフトの回転中心に対し偏心
した状態で該クランクシャフトとともに回転し、前記ク
ランクピンを中心に一定量の揺動が許容され、前記可動
スクロールに係合して該可動スクロールに前記旋回運動
を付与する偏心ブッシュと、を有するスクロール型圧縮
機において、前記クランクピンと偏心ブッシュとの嵌合
機構に、前記揺動方向に一定量の遊びをもたせ、該遊び
分を前記一定量の許容揺動量としたことを特徴とするス
クロール型圧縮機。
【請求項２】前記嵌合機構が、前記クランクピンを断
面異形に、前記偏心ブッシュの穴を該異形形状に対応す
る形状に、それぞれ形成し、両者間に前記揺動方向の遊
びをもたせることにより構成されている、請求項１のス
クロール型圧縮機。
【請求項３】前記嵌合機構が、前記クランクピンの外
周面に軸方向に延びるスプラインを、前記偏心ブッシュ
の穴の内周面に該スプラインに対応するスプラインを、
それぞれ形成し、両者間に前記揺動方向の遊びをもたせ
ることにより構成されている、請求項１のスクロール型
圧縮機。
【請求項４】前記嵌合機構が、前記クランクピンの外
周面に軸方向に延びるセレーションを、前記偏心ブッシ
ュの穴の内周面に該セレーションに対応するセレーショ
ンを、それぞれ形成し、両者間に前記揺動方向の遊びを
もたせることにより構成されている、請求項１のスクロ
ール型圧縮機。