JP4958329B2 - スクロール型圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクロール型圧縮機の可動渦巻部材の旋回半径の変化に対応できる、クランクシャフトと偏心ブッシュを基本とした渦巻駆動機構に関する。詳しくは、可動スクロール型圧縮機を含む、当該圧縮機と同種の機構を有する真空ポンプや膨張機に関する。
【0002】
【従来の技術】
旋回半径が可変の渦巻体を有するスクロール型圧縮機(以下、“スクロール型圧縮機”と記述)全体の構造と機能は[発明の実施の形態]で説明するが、このタイプの圧縮機は、カウンタウェイトと一体化した偏心ブッシュが、クランクシャフトの主軸大径部に取り付けられたクランクピンで支えられる形態になっているため重心と支点がずれており、旋回速度が増すとカウンタウェイトが遠心力によってクランクシャフト主軸方向に傾倒する。
カウンタウェイトが傾倒すると、予期しない周辺部材との接触が生じ、最悪の場合は周辺部材を傷つけることになる。
【0003】
スライド式旋回半径可変機構を備えたスクロール型圧縮機に対して、この問題を解決した構造として実開平4-87382号公報がある。従来型の、旋回半径が変化するスクロール型圧縮機の構造が理解しやすいので、以下、実開平4-87382号公報の内容を説明する。
【0004】
図1は、カウンタウェイトと一体化された偏心ブッシュをクランクピンに嵌合したときの状態を回転軸方向から見た図である。
【0005】
偏心ブッシュ3のクランク穴30に主軸大径部10のクランクピン110が嵌合されるが、偏心ブッシュがスライドできるようにクランクピンよりも大きな溝が彫られている。
【0006】
すなわち、この溝の部分が旋回半径を可変にすることができる。クランクピンと偏心ブッシュのクランクピン穴が密着していれば、カウンタウェイトに遠心力が掛かってもカウンタウェイトが傾倒することはないが、この遊びがあるために遠心力が掛かるとカウンタウェイトが傾倒する。それは、以下の理由による。
【0007】
この構造のスクロール型圧縮機では、1本のクランクピンで偏心ブッシュを支えている上に、カウンタウェイトが偏心ブッシュに取り付けられているために、カウンタウェイトと一体化した偏心ブッシュの重心が、カウンタウェイト側に偏っている。
【0008】
通常は、クランクピンでバランスを取っているが、遠心力が掛かるとこのバランスが崩れ、カウンタウェイトの傾倒を引き起こす。
以上が、カウンタウェイトが傾倒する原因である。
【0009】
そこで、この傾倒を制御しているのが、傾倒規制部材24である。この例では傾倒制御部材としてボルトを使用している。参考までに、回転軸に垂直な方向から見た断面図を図2に載せておく。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来のスライド式の旋回半径可変スクロール型圧縮機は、カウンタウェイトの傾倒という問題を抱えている。この傾倒によって、カウンタウェイトが周辺部材に接触することによって傷つける恐れがある。
【0011】
それに第一、略長円形(スライド溝)で旋回半径を可変にするために、主軸大径部のクランクピンや偏心ブッシュのクランクピン穴の形状が特殊なものであり、加工コストが掛かるという問題がある。
【0012】
カウンタウェイトの傾倒という前者の問題は、実開平4-87382号公報では傾倒規制用ボルトを使用することで解決している。
しかし、スライド溝の加工は特殊加工であるために、コスト高になるという後者の問題は解決していない。
それに傾倒規制用ボルトを取り付けいるという付加的な機構を加工しなければならず、更に、加工コストを引き上げる結果となっている。
【0013】
そこで本発明が解決しようとする課題は、カウンタウェイトが傾倒することと、可変旋回半径のスライド溝の加工が特殊であり、コストが高くなるという二つの問題点を解決する、新しい偏心ブッシュとクランクピンをもつスクロール型圧縮機を提供することである。
【0014】
上記の発明が解決しようとする課題を解決する為に、 ランクシャフトの回転を、クランクシャフトの主軸大径部、偏心ブッシュとカウンタウウェイト及び渦巻駆動軸受構成要によってクランクシャフトの軸回転を、固定スクロール部材に対し所定距離だけ偏心して組み合わされた可動スクロール部材の公転運動(旋廻運動)に変え、流体をスクロール部材外周から内周に移動しながら圧縮し、圧縮した高流体を吐出口から吐出するスクロール圧縮機において、
主軸大径部に設けられたクランクピン部の中心軸に直交するピン穴を設け、クランクシャフトの中心点とクランクピンの中心点を結ぶ直線に対して、該ピン穴は20〜30度の角度となるように設け、よって渦巻圧縮反力の方向とピン軸線との角度が可動渦巻部材(可動スクロール部材)が旋廻半径を大きくする方向に移動できるように60〜70度のずれとなるようにして渦巻壁の接触状態を良好に保つようにし、且つ該ピン穴とすき間をもって嵌合し軸線方向に偏心ブッシュの移動を許す偏心ブッシュと一体のピンを設けたことを特徴とするスクロール型圧縮機を提供する。
【0015】
前記ピン穴およびピンについて、主軸大径部に設けられたクランクピン部の中心軸に直交し互いに平行な2つのピン穴を設け、ピン穴とすき間をもって嵌合し軸線方向に偏心ブッシュの移動を許す偏心ブッシュと一体の2つのピンを設けスクロール型圧縮機を提供する。
【0016】
前記偏心ブッシュについて、渦巻駆動軸軸受と接触する外周面をパイプ状の外周リングを偏心ブッシュに圧入し形成したものである。
【0017】
クランクシャフトの回転を、クランクシャフトの主軸大径部、偏心ブッシュおよびカウンタウェイトの構成要素によって、クランクシャフトの軸回転を偏心ブッシュの公転運動(旋回運動)に変えるとともに、偏心ブッシュの公転運動を可動スクロール部材に伝え、固定スクロール部材と可動スクロール部材とを所定距離だけ偏心した形態で組み合わせによって、流体を端板外周から内周に移動しながら圧縮し、圧縮した高圧流体を吐出口から吐出するスクロール型圧縮機において、
(1)主軸大径部のクランクピンと偏心ブッシュのクランクピン穴に対して、軸に垂直な方向から各軸の中心部を貫く形態でピン穴を設け、かつクランクピンのピン穴の直径をクランクピン穴のピン穴の直径より大きくする。そして、
【0018】
(2)クランクピンをクランクピン穴に嵌合させたあと、ピンを各ピン穴を貫くように圧入することによって、偏心ブッシュとピンを一体化するとともに、偏心ブッシュがピンの軸線方向に移動できるようにする。
【0019】
前記構造では、1本ピンで偏心ブッシュを支えているために、偏心ブッシュがピンを中心に回転する。これによってベアリングとの接触を良好に保つことができる。
【0020】
そして、更に安定を良好とするために、ピンに平行にさらにもう1本のピンを加えた2本ピンで偏心ブッシュを支える構造にすれば、1本ピンを加えたために、回転数や負荷の変化に影響を受けずに偏心ブッシュの姿勢をより安定に保つことができる。
【0021】
上記2つの構造では、ピン穴が渦巻駆動軸受の転走面に接触する。回転数や負荷条件によっては使用できない場所が生じる。そこで、さらに上記の偏心ブッシュのクランクピン穴を覆う、パイプ状の偏心ブッシュ外周部(外周リング)を取り付ける。これによって、渦巻駆動軸受転走面を形成する構造とすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
まず、旋回半径可変式のスクロール型圧縮機の構造と機能を説明する。図3は請求項1で挙げた1本ピンで可動旋回半径を変化させることができる渦巻部材を有するスクロール型圧縮機である。
【0023】
まず図をもとにスクロール圧縮機の機能を説明する。クランクシャフト1(主軸)の回転はクランクシャフトの主軸大径部10に取り付けたクランクピン110の旋回運動(公転運動)となる。
【0024】
クランクピン110が偏心ブッシュ3のクランクピン穴30に嵌合しており、クランクピンの旋回運動がそのままを偏心ブッシュの旋回運動となる。偏心ブッシュ3とカウンタウェイト2とは双方のリベット穴(リベット20の位置)にリベット20を通してかしめることにより固定される。
【0025】
カウンタウェイトは、可動スクロール部材及び偏心ブッシュとのバランスを取り、圧縮機の振動発生を防止する働きをもってることから、バランスウェイトともよばれる。
【0026】
可動スクロール部材4は、側板41の一方側に渦巻体40(渦巻状ラップともいう)を有し、他方側には円環状のボス42を有している。このボスに偏心ブッシュ3が嵌合され、渦巻駆動軸受22を介してスムーズな回転を可能としている。
【0027】
以上により、偏心ブッシュ3およびそれに嵌合する可動スクロール部材4はクランクシャフト1に対して公転運動を行うが、可動スクロール部材の自転を抑えるために回転阻止機構21が設けられている。
【0028】
回転阻止機構21は、一対の環状レース210とボール211とで構成されている。
したがって、回転阻止機構21によって可動スクロール部材4は公転運動のみの運動となる。
【0029】
図3の示す一点破線がクランクシャフトの回転軸心99であり、この軸心を中心に可動スクロール部材4が公転するが、公転半径が可動スクロール部材の半径より小さいため、すなわち公転軌道が可動スクロール部材に内であるために、可動スクロール部材は揺動運動しているようにみえる。
このようなことから、可動スクロールは“揺動スクロール”あるいは“旋回スクロール”とよばれることもある。なお、本文中では公転と旋回は同じ意味で使用する。
【0030】
可動スクロール部材4および固定スクロール部材5には、それぞれ渦巻体40、50が設けられているが、可動スクロール部材と固定スクロール部材とを相互に所定距離だけ偏心させ、なおかつ180度角度をずらすことによって、複数の密閉空間を形成する。この密閉空間は外周ほど広く、内周ほど狭くなる。
【0031】
したがって、吸入口(図示せず)より吸入された流体は外周から内周に向かって圧縮されながら移動し、最後は吐出口6に導かれる。吐出室8は高圧であり、通常、リード弁7は閉じている。しかし、圧縮された流体が吐出口6に吐出されると、吐出口の圧力が高くなり、リード弁7が開き、圧縮流体は吐出室8に吐き出される。
【0032】
以上が、スクロール型圧縮機が、流体を圧縮するときの一連の動作であるが、上記で説明した各構成部品は、ケーシング9とフロントハウジング100とによって密封され、保護されている。
【0033】
図4は、本発明の基本的な構造を示している。
【0034】
図4に示されるように、偏心ブッシュ3には、円形にクランクピン穴30の中心軸に直交する円形のピン穴31を開け、主軸大径部のクランクピン110には、軸方向に対して直交したピン穴と嵌合するピン11の直径をD1、ピン穴1110の直径をDとすると、D>D1の条件を満たすように設定する。
【0035】
一方、ピン11の直径は偏心ブッシュのピン穴31のそれに圧入でき、しかも固定できる大きさにする。すなわち、偏心ブッシュ3とピン11は一体化した状態になり、クランクピン110のピン穴1110にそってピン11とともに移動できる。
【0036】
一方、偏心ブッシュ3のクランクピン穴30の形状とクランクピン110の形状は、特に問わないが、加工のしやすさなどを考慮して、ここでは円筒形として扱う。このときの偏心ブッシュ3の内径をd1IN、外径をd1OUTとし、クランクピン110の直径をd2としたとき、
1IN−d2
が偏心ブッシュの移動可能距離となる。
【0037】
偏心ブッシュとカウンタウェイトは一体化されているから、カウンタウェイトに掛かる遠心力によって生じる傾倒モーメントは、偏心ブッシュにも伝わる。このとき、ピンとクランクピンのピン穴によって、カウンタウェイトの傾倒を防止している。
【0038】
すなわち、図5に示すように、ピン11はクランクピン110に設けたピン穴1110の縁で制御される。図は誇張して描いてあるが、実際にはピン穴1110を狭くすること(図4のD2を小さくすること)によって、傾倒角度αを小さくでき、カウンタウェイトの傾倒を制御することができる。
【0039】
傾倒モーメントは、クランクシャフトの主軸の中心とクランクピン軸の中心を結ぶ線上でもっとも大きい。
したがって、クランクピンに設けるピン穴は、この線上に設けることがカウンタウェイトの傾倒を防止するという点では好ましい。
しかし、本発明では渦巻体の接触状態等を考慮して、実際にはある特定の角度でピン穴を設置する。具体的には、実施例で述べる。
【0040】
高速回転の圧縮機や高圧圧縮を行う圧縮機では、やはり、ピンが1本のタイプの圧縮機では、ピン軸に垂直な方向の力(遠心力や圧縮反力などの合成力の垂直成分)に対して不安定なことは確かである。
このような場合には、ピンを平行に2本入れると安定する。なぜなら、1本のピンではピンに対して垂直方向の力が掛かるとピンを軸に回転することになるが、もう一本のピンがその回転を阻止するように働き、偏心ブッシュの傾きを止め、カウンタウェイトの傾倒を阻止することになるからである。
【0041】
偏心ブッシュの外径面(外周、図4の33)は、可変スクロール部材のボスとの間に設けられた渦巻駆動軸受に接して転走する。このときピン穴が負荷の掛からない場所に設置されているときには問題はないが、負荷の掛かる場所では渦巻駆動軸受が偏心ブッシュのピン穴で傷つけられる恐れがある。そのような場所に使用する場合には、外周に環状のリングを偏心ブッシュに圧入して、ピン穴を覆うようにする(図6)。
この環状のリングを外周リング35とよぶことにする。この外周リングは、前記ピン1ないし2本のどちらに対しても利用できる。
【0042】
図7は、請求項1の例である。
図7の(1)はクランクシャフトと偏心ブッシュ(すでにカウンタウェイトを取り付けた状態)の外観図であり、(2)はこれを一体化状態を回転軸方向から見た図である。
【0043】
クランクピン110は、可変スクロールの旋回半径にほぼ等しい位置に主軸大径部10上に設置されている。クランクピンの断面はどのような形状でも構わないが、図を簡単化するために図では円としてある。
クランクピン110は、鍛造素材肌でも構わないし、またそれに対応する偏心ブッシュ3も鍛造素材肌でも構わない。
【0044】
図7の(2)に示す一点破線Lはクランクシャフト1の中心軸とクランクピン110の中心軸を結ぶ直線であり、ピン穴1110は直線Lに対して20〜30度の角度になるように設置する。この角度をもたす理由は以下の通りである。

【0045】
渦巻圧縮反力の方向とピン11軸線との角度が60〜70度のずれとなるために、可動渦巻部材(可動スクロール部材)が旋回半径を大きくする方向に移動し、渦巻壁の接触状態を良好に保つことができる。
【0046】
また理論上、遠心力に起因する傾倒モーメントは直線L上でもっとも変位量が大きくなるために最大となるが、この傾倒モーメントによるカウンタウェイトの倒れ量は、直線Lに対して20〜30度の角度では極めて小さく、問題はない(図7参照)。
【0047】
さらにピンを軸として渦巻圧縮反力方向へ偏心ブッシュは回転し、可動渦巻駆動用の渦巻駆動軸受との接触状態を良好に保つ。以上の理由から、直線Lに対して20〜30度をもたせてピン穴が決定されている。
【0048】
図8は、2本ピン、すなわち請求項2の例である。
図の(1)はクランクピン110にピン穴1110を2個、(2)は偏心ブッシュ3にピン穴11を2個設けた状態を側面(ピン軸方向)から見た図である。
【0049】
ピン穴31とピン穴1110において、直径をそれぞれD1、D2、ピン穴の中心点間の距離をそれぞれA1、A2、ピン穴の外径の最大距離をそれぞれB2、B1とすると、
A1>A2
B1<B2
A1+D1=B1
A2+D2=B2 ……… [数1]
となるように、それぞれのピン穴を決定する。
【0050】
もちろん、2個のピン穴の方向はクランクピン軸および偏心ブッシュのクランクピン穴に対して垂直方向に、それぞれが平行になるように設ける。すなわちこの条件下でクランクピンと偏心ブッシュを組み合わせると、(3)に示しように、偏心ブッシュとピンは一体化した状態でクランクピンのピン穴にそって移動できる。この点はタイプ1の場合と同様である。
【0051】
異なる点は、(4)、(5)に示すように、ピン軸を中心に偏心ブッシュ3(同時に一体化されているカウンタウェイト2)を回転させようとする傾倒モーメントが働いたとき、それぞれのピン穴が干渉し合って、カウンタウェイト2の傾倒を阻止する。
【0052】
これによって、可動スクロールの旋回半径の変化に伴う移動を可能にするとともに、回転数や負荷の変化に偏心ブッシュの姿勢が影響を受けないようにすることができ、偏心ブッシュの姿勢を安定に保つことができる。
【0053】
なお、クランクピンのピン穴を小さくしたり、穴間の距離を工夫をすれば最大傾倒角度αを小さくできるが、図の例では、クランクピンのピン穴の直径をある程度大きくし、しかも、ピン穴の間隔は偏心ブッシュに設けたピン穴の間隔より狭くすること(数1の条件)によって、意図的にある程度の傾斜角度がつくようにしている。
その理由は、可動渦巻駆動軸(可動スクロール駆動軸)受けに対して正しく接触できるように、わずかに偏心ブッシュがピンに平行な軸のまわりを回転できるようにしているからである。
【0054】
図9は外周リングを取り付けた例である。
外周リング35は、パイプ状の形状をしており、偏心ブッシュ3に圧入する。これにより、渦巻駆動軸受の転走面が偏心ブッシュのピン穴端面に触れないようにすることができる。
【0055】
とくに、回転数や負荷条件が大幅に変化する場所では、ピン穴端面がむき出しのままであると渦巻駆動軸受の破損や他への負荷を増長する危険性がある。それを事前に防止する働きをもっているのが外周リングである。なお、外周リングは軸受け鋼に準じる材料を使用し、中心部は安価な材料や焼結部品が使用できる。
【0056】
従来のスライド式の可変スクロール型圧縮機では、偏心ブッシュのピン穴及びクランクピンが特別の形状をしていた為に、特殊加工が必要であったが、その点、本発明では、円形のピン穴とピンを用いて旋回半径を可変にすることができる為に、特殊加工を必要としない。これによって加工コストの低減が可能となる。
【0057】
カウンタウェイトの傾倒によって、周辺部材を傷つける危険性がある。これまでは、この点は放置されていた。これに対応した実用新案が実開平4-87382号公報である。しかし同考案では傾倒規制機構(たとえば傾倒規制用ボルト)を新たにカウンタウェイトに取り付けるために、コスト高となっている。
【0058】
その点、本発明では、ピンが旋回半径可変機構兼ね備えるとともに、カウンタウェイトの傾倒防止になっているために、余分な部品を取り付ける必要もなく、カウンタウェイトの傾倒を制御している。このため、本発明はコスト面で有利な構造といえる。
【0059】
請求項1記載の圧縮機の場合には、偏心ブッシュと1本のピンを一体化し、クランクピンに設けたピン穴にピンを通すことによって、ピンを自在に回転することができるために、軸受との接触状態を良好に保つことができる。叉、クランクシャフトの中心点とクランクピンの中心点を結ぶ直線に対して、該ピン穴は20〜30度の角度となるように設けることで、渦巻圧縮反力の方向とピン軸線との角度が可動渦巻部材(可動スクロール部材)が旋廻半径を大きくする方向に移動できるように60〜70度のずれとなるので渦巻壁の接触状態を良好に保つことができる。
【0060】
これに対して、請求項2記載の圧縮機の場合には2本ピンを用いているために、回転数や負荷の変化に強く、姿勢の安定性に優れている。軸受けとの接触状態もクランクピンと偏心ブッシュに設けるピン穴の直径と位置関係で調整できるために、この点もさほど問題はない。ただコスト面では、請求項1記載の圧縮機よりも請求項2記載の圧縮機は高い。
したがって、情況に合わせた選択を行うことが好ましい。この選択が行えるのも、請求項1,2記載の圧縮機を用意できる本発明のピン構造にあるからである。
【0061】
回転数や負荷の大幅に変化する場所では、ピン穴端面が渦巻駆動軸受を傷つける恐れがあるが、外周リングを設けることによって防止する。
【0062】
リングを取り付けることによって、回転数や負荷が大幅に変化する場所にも利用できるメリットは大きい。さらに外周リング自体を軸受け鋼に準じる材料を用いれば、中心部は安価な材料や焼結部品が利用できるために、コスト面での工夫も可能となっている。
【0063】
旋回半径の異なる複数のスクロール圧縮機にクランクシャフトおよび偏心ブッシュを共通使用できるとともに、偏心ブッシュを表裏反転することで正逆両回転に対応できるために、部品在庫の削減により在庫管理コストが低減できる。
なお、本発明はスクロール圧縮機以外にも、真空ポンプや膨張機用としても応用できる技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術における実開平4-87382号公報で提唱のカウンタウェイト傾倒防止機構とスクロール型圧縮機の構造を説明するための図である。
【図2】従来技術における実開平4-87382号公報で提唱のカウンタウェイト傾倒防止機構とスクロール型圧縮機の構造を説明するための図である。
【図3】発明の実施の形態における渦巻体を有するスクロール型圧縮機全体の構造を説明するための図である。
【図4】発明の実施の形態における、タイプ1のスクロール型圧縮機での、クランクピン、偏心ブッシュおよびピンとの関係を説明するための図である。
【図5】発明の実施の形態において、傾倒モーメントが働いたときのクランクピンのピン穴とピンの状態を示す図である。
【図6】発明の実施の形態における外周リングを、偏心ブッシュに取り付け方を説明するための図である。
【図7】実施例において、タイプ1のスクロール型圧縮機のクランクシャフト、偏心ブッシュおよびカウンタウェイトの組み立てと、ピン穴の開ける方向を説明するための図である。
【図8】実施例において、タイプ2のスクロール型圧縮機のクランクシャフトピンと偏心ブッシュに開けるピン穴の大きさと間隔、およびカウンタウェイトの傾倒具合を説明するための図である。
【図9】実施例において、外周リングを取り付けときのクランクシャフトピン、偏心ブッシュおよびカウンタウェイトの組み立て状態を示す図である。
【符号の説明】
1 クランクシャフト(主軸)
10 主軸大径部
110 クランクピン(偏心ピン)
1110 ピン穴
11 ピン
2 カウンタウェイト(バランスウェイト)
3 偏心ブッシュ
30 クランクピン穴(偏心ピン穴)
31 ピン穴
32 クランクピン穴内径面(内周)
33 外径面(外周)
35 外周リング
4 可動スクロール部材
40 渦巻体(渦巻状のラップ、可動渦巻部材)
41 側板
42 ボス
5 固定スクロール部材
50 渦巻体
6 吐出口
7 リード弁
8 吐出室
9 ケーシング
20 リベット
21 回転阻止機構
210 環状レース
211 ボール
22 渦巻駆動軸受
23 ボールベアリング
24 傾倒規制部材
99 クランクシャフトの回転軸心
100 フロントハウジング

Claims (4)

  1. クランクシャフトの回転を、クランクシャフトの主軸大径部、偏心ブッシュとカウンタウェイト及び渦巻駆動軸軸受構成要素によってクランクシャフトの軸回転を、固定スクロール部材に対し所定距離だけ偏心して組み合わされた可動スクロール部材の公転運動(旋廻運動)に変え、流体をスクロール部材外周から内周に移動しながら圧縮し、圧縮した高圧流体を吐出口から吐出するスクロール圧縮機において、
    主軸大径部に偏心して設けられたクランクピンの中心軸に直交するピン穴を設け、前記偏心ブッシュにはピンを一体に設け、前記ピンと該ピン穴とは隙間をもって嵌合すると共に前記クランクピンは前記偏心ブッシュに設けたクランクピン穴と隙間をもって嵌合することで傾斜角がつくようにすると共に偏心ブッシュの移動を許すようにし、
    クランクシャフトの中心軸とクランクピンの中心軸を結ぶ直線に対して、該ピン穴は前記クランクシャフトの回転方向とは反対方向に20〜30度の角度となるように設け、よって渦巻圧縮反力の方向とピン軸線との角度が可動スクロール部材が旋廻半径を大きくする方向に移動できるように60〜70度のずれとなるようにして渦巻壁の接触状態を良好に保つようにしたことを特徴とするスクロール型圧縮機。
  2. 前記ピン穴及びピンについて、主軸大径部に設けられたクランクピンの中心軸に直交し互いに平行な2つのピン穴を設け、ピン穴とすき間をもって嵌合し軸線方向に偏心ブッシュの移動を許す偏心ブッシュと一体の2つのピンを設けたことを特徴とする請求項1記載のスクロール型圧縮機。
  3. 前記偏心ブッシュについて、渦巻駆動軸受と接触する外周面をパイプ状の外周リングで偏心ブッシュに圧入し形成したことを特徴とする請求項1、又は2記載のスクロール型圧縮機。
  4. 前記主軸大径部に設けられたクランクピンの中心軸に直交する円形のピン穴を設け、該ピン穴と隙間をもって嵌合し、軸線方向に偏心ブッシュの移動を許す偏心ブッシュと一体の円形のピンを設けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載のスクロール型圧縮機。
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