JPH11233510A - 裾引き形状を有するSiO2系被膜の形成方法 - Google Patents

裾引き形状を有するSiO2系被膜の形成方法

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JPH11233510A
JPH11233510A JP10033191A JP3319198A JPH11233510A JP H11233510 A JPH11233510 A JP H11233510A JP 10033191 A JP10033191 A JP 10033191A JP 3319198 A JP3319198 A JP 3319198A JP H11233510 A JPH11233510 A JP H11233510A
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JP
Japan
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polysilazane
film
coating
side wall
gate electrode
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JP10033191A
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English (en)
Inventor
Hideki Matsuo
英樹 松尾
Tomonori Ishikawa
智規 石川
Tatsuro Nagahara
達郎 長原
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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    • Y02P40/50Glass production, e.g. reusing waste heat during processing or shaping
    • Y02P40/57Improving the yield, e-g- reduction of reject rates

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子デバイスにおける絶縁膜の絶縁耐圧の劣
化や配線の断線などを防止すると共にデバイス製造コス
ト削減に寄与する簡便な方法を提供すること。 【解決手段】 段差を有する基板にポリシラザン濃度
0.1〜30重量%のポリシラザン溶液を塗布すること
により前記段差をその上下にわたり被覆する塗膜を形成
し、次いで前記塗膜を焼成することを特徴とする、前記
段差に対応する部分が傾斜のなだらかな裾引き形状を有
するSiO2 系被膜の形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はSiO2 系被膜の形
成方法に関する。より詳細には、本発明は、薄膜トラン
ジスタなどの電子デバイスにおける各種電極配線パター
ンによる段差に対応する部分が傾斜のなだらかな裾引き
形状を有するSiO2 系被膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な薄膜トランジスタ(TFT)な
どの電子デバイスとして図1に示した構造を有するもの
がある。すなわち、ガラス基板1の上のデバイス形成領
域の一部にゲート電極2が形成されており、該ゲート電
極2の上にはデバイス形成領域全体を被覆するゲート絶
縁膜3が形成されており、該ゲート電極2に対応するデ
バイス形成領域内におけるゲート絶縁膜3の上にはアモ
ルファスシリコンなどからなる半導体層(i+a−S
i)4が形成されており、該半導体層4の上面の両側に
は不純物がドープされたシリコン膜(n+a−Si)5
を介してソース・ドレイン電極6が形成されており、そ
して該ソース・ドレイン電極6及び半導体層4を包含す
るシリコン膜5の全上面には保護膜7が形成されてい
る。
【0003】上記デバイスにおけるゲート絶縁膜3や保
護膜7の形成に際しては、ゾル−ゲル法などの高温を必
要とする塗布方式による形成方法が耐熱性の問題から適
用できないため、化学気相成長法(CVD法)を採用す
ることが一般的となっている。すなわち、ゲート絶縁膜
3の形成は、ガラス基板1の上のデバイス形成領域の一
部に形成されたゲート電極2の上に該デバイス形成領域
全体を被覆するように、また保護膜7の形成は、ソース
・ドレイン電極6及び半導体層4を包含するシリコン膜
5の全上面を被覆するように、それぞれCVD法により
行われる。
【0004】このようにCVD法で形成されたゲート絶
縁膜3や保護膜7は、それぞれ下部のゲート電極2やソ
ース・ドレイン電極6に対応する部分が上方に突出又は
下方に陥没し、段差を形成する。ゲート絶縁膜3のこの
ような段差は、該段差の側壁部3aにおける被覆性(ス
テップカバレージ)を悪化させるため、ゲート絶縁膜3
の上層となる半導体層4、ソース・ドレイン電極6の側
壁部3aに対応する部分の膜厚が薄くなり、該部分にお
いてクラックやボイドが生じやすく、これら上層配線の
断線や絶縁膜の絶縁耐圧の劣化、メタルのマイグレーシ
ョン、等を引き起こす原因となる。
【0005】このような配線段差による絶縁膜の絶縁耐
圧の劣化や上層配線の断線という問題は、より深刻化し
ている。すなわち、昨今、このような電子デバイスに対
する短チャネル化、配線抵抗の低抵抗化、等の要求から
ゲート電極やゲート線が細く、厚くなる傾向にあり、そ
れに伴い電極、配線の段差が大きくなって段差側壁に対
応する絶縁膜等の突出端部が一層急峻となるため、上記
問題がさらに起こりやすくなるからである。
【0006】かかる問題を解決する方法として、配線段
差による絶縁膜の突出部を排除して段差を平坦化する方
法があり、例えば、特開平7−106584号公報に、
ゲート絶縁体層を形成する前に、ゲート電極パターンを
施した際のレジストを残したまま珪フッ化水素酸をSi
2 で過飽和状態にした溶液に浸漬させることによりゲ
ート電極の厚み分の絶縁体層を形成させる方法が記載さ
れている。また、段差を平坦化する別法として、A. Sai
toh ら、Proc. Electrochem. Soc. (1997), 96-23 (Thi
n Film Transfer Technologies), pp. 123-128に、CV
D膜の成膜後、等方性プラズマエッチング法を利用する
方法が記載されている。
【0007】さらに、上記問題を解決する別の方法とし
て、配線段差による絶縁膜の突出部の端部をなだらかに
傾斜させることによりステップカバレッジを向上させる
方法があり、例えば、特開平8−227891号公報
に、ゲート絶縁膜のエッチレートを変化させ、さらにフ
ォトレジストを使用してエッチングすることによりゲー
ト絶縁膜の突出端部を低テーパ化する方法が記載されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記文献に記載されて
いる方法は、絶縁膜の平坦化や低テーパ化のために特殊
な装置や複雑な制御、工程の追加を必要とするので、電
子デバイスの製造コストを相当に増大させるものと考え
られる。
【0009】従って、本発明の目的は、配線段差側壁に
絶縁膜を設けることによって低テーパ化し、段差端部に
おけるステップカバレージを向上させ、よって電子デバ
イスにおける絶縁膜の絶縁耐圧の劣化や配線の断線など
を防止すると共にデバイスの製造コスト削減に寄与する
簡便な方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、配線段差の側壁部
に、ポリシラザン溶液の表面張力を利用して該側壁部の
傾斜よりもなだらかな傾斜を有する絶縁膜を付与するこ
とにより、段差端部におけるステップカバレージが向上
することを見い出した。すなわち、本発明によると、上
記の目的は、 (1)段差を有する基板にポリシラザン濃度0.1〜3
0重量%のポリシラザン溶液を塗布することにより前記
段差をその上下にわたり被覆する塗膜を形成し、次いで
前記塗膜を焼成することを特徴とする、前記段差に対応
する部分が傾斜のなだらかな裾引き形状を有するSiO
2 系被膜の形成方法によって達成される。
【0011】以下、本発明の好ましい実施態様を列挙す
る。 (2)前記段差が前記基板上に設けられた導電体パター
ンの厚みによるものであることを特徴とする、(1)項
に記載の方法。 (3)前記導電体パターンの厚みが0.05〜10μm
の範囲にあることを特徴とする、(2)項に記載の方
法。 (4)前記導電体パターンの厚みが0.1〜1.0μm
の範囲にあることを特徴とする、(2)項に記載の方
法。 (5)前記段差の前記基板に対する傾斜角が10°以上
であることを特徴とする、(1)項に記載の方法。 (6)前記乾燥塗膜の厚みが0.01〜4μmの範囲に
あることを特徴とする、(1)項に記載の方法。
【0012】(7)前記ポリシラザン溶液のポリシラザ
ン濃度が0.1〜20重量%の範囲にあることを特徴と
する、(1)項に記載の方法。 (8)前記ポリシラザン溶液のポリシラザン濃度が5〜
30重量%の範囲にあることを特徴とする、(1)項に
記載の方法。 (9)前記焼成を室温〜500℃の温度で行うことを特
徴とする、(1)項に記載の方法。 (10)前記ポリシラザンがポリシラザン変性物であ
る、(1)〜(9)項のいずれか一項に記載の方法。 (11)前記ポリシラザンが、下記一般式(I):
【0013】
【化1】
【0014】(上式中、R1 、R2 及びR3 は、それぞ
れ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロ
アルキル基、アリール基、またはこれらの基以外でケイ
素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、ア
ルキルアミノ基、アルコキシ基を表わすが、但し、
1 、R2 及びR3 の少なくとも1つは水素原子であ
る)で表わされる構造単位からなる主骨格を有する数平
均分子量100〜5万のポリシラザン又はその変性物で
あることを特徴とする、(1)〜(9)項のいずれか一
項に記載の方法。 (12)前記変性物が、前記一般式(I)で表されるポ
リシラザンと、ニッケル、チタン、白金、ロジウム、コ
バルト、鉄、ルテニウム、オスミウム、パラジウム、イ
リジウム、アルミニウムの群から選択される少なくとも
1種の金属を含む金属カルボン酸塩を反応させて得られ
る、金属カルボン酸塩/ポリシラザン重量比が0.00
0001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200〜5
0万の金属カルボン酸塩付加ポリシラザンであることを
特徴とする、(10)又は(11)項に記載の方法。
【0015】(13)前記変性物が、前記一般式(I)
で表されるポリシラザンと、金属としてニッケル、白
金、パラジウム又はアルミニウムを含むアセチルアセト
ナト錯体を反応させて得られる、アセチルアセトナト錯
体/ポリシラザン重量比が0.000001〜2の範囲
内かつ数平均分子量が約200〜50万のアセチルアセ
トナト錯体付加ポリシラザンであることを特徴とする、
(10)又は(11)項に記載の方法。 (14)前記金属が白金である、(12)又は(13)
項に記載の方法。 (15)前記変性物がアミン化合物付加物である、(1
0)又は(11)項に記載の方法。 (16)前記変性物が酸化合物付加物である、(10)
又は(11)項に記載の方法。
【0016】(17)ガラス基板と、前記ガラス基板の
上のデバイス形成領域の一部に形成されたゲート電極
と、前記ゲート電極の上にデバイス形成領域全体を被覆
するように形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート電極
に対応するデバイス形成領域内における前記ゲート絶縁
膜の上に形成された半導体層と、前記半導体層の上面の
両側に、不純物がドープされたシリコン膜を介して形成
されたソース・ドレイン電極と、前記ソース・ドレイン
電極及び前記半導体層を包含するシリコン膜の全上面に
形成された保護膜とを含んで成る液晶表示装置用TFT
基板において、前記ゲート電極と前記ゲート絶縁膜との
間に、前記ゲート電極の側壁部に対応する部分が前記側
壁部の傾斜よりもなだらかな裾引き形状を有するSiO
2 系被膜を含むことを特徴とする液晶表示装置用TFT
基板。 (18)前記ゲート電極の厚みが0.05〜10μmの
範囲にあることを特徴とする、(17)項に記載の液晶
表示装置用TFT基板。 (19)前記ゲート電極の前記ガラス基板に対する傾斜
角が10°以上であることを特徴とする、(17)項に
記載の液晶表示装置用TFT基板。 (20)前記SiO2 系被膜の厚みが0.01〜4μm
の範囲にあることを特徴とする、(17)項に記載の液
晶表示装置用TFT基板。
【0017】本発明によれば、適当な濃度のポリシラザ
ン溶液を単に塗布するだけで、配線段差に対応する部分
にポリシラザン溶液の表面張力によって該側壁部の傾斜
よりもなだらかな傾斜を有する裾引き形状を有するポリ
シラザン塗膜が形成され、その後該塗膜を焼成すること
により同様に裾引き形状を有するSiO2 系被膜が得ら
れる。この段差に対応する部分における裾引き形状によ
ってSiO2 系被膜の上層部のステップカバレージが向
上するため、電子デバイスにおける絶縁膜の絶縁耐圧の
劣化や配線の断線、上層に形成されたメタルの段差部分
におけるマイグレーションなどが防止される。また、メ
タル配線の側壁部だけでなく配線上部にもシリカ系被膜
が形成されることによって、後工程の熱処理によるヒロ
ック(突起)の生成が抑えられるという効果もある。さ
らに、本発明による作用効果は、単に適当な濃度のポリ
シラザン溶液をスピンコート法等の常用の塗布法で塗布
し、焼成するだけで得られるので、従来技術のように絶
縁膜の平坦化や低テーパ化のための特殊な装置や複雑な
制御、工程の追加を必要とせず、デバイスの歩留り向上
が期待でき、よって電子デバイスの製造コストが相当に
削減されると共に、基板の大型化への対応も容易であ
る。
【0018】以下、本発明の方法を電子デバイスの一例
として具体的にTFT液晶基板の製造に適用した場合に
ついて図2及び図3を参照しながら説明する。図2に、
本発明の方法を用いて製造することができるTFT液晶
基板10の模式断面図を示す。TFT液晶基板10は、
このような用途に一般に用いられるガラス基板11を含
む。ガラス基板11の上のデバイス形成領域に対応する
部分には、ゲート電極12が形成されている。このゲー
ト電極12のガラス基板11に対する傾斜角は一般に1
0°以上である。ゲート電極12を含むガラス基板11
の全上面に、本発明の方法により、厚みがゲート電極1
2よりも薄く且つゲート電極12の側壁部に対応する部
分が前記側壁部の傾斜よりもなだらかな裾引き形状を有
するSiO2 系被膜20が形成されている。SiO2
被膜20の上に、窒化珪素(SiN)などのゲート絶縁
膜13が形成されている。ゲート絶縁膜13の形成は、
プラズマCVDにより行うことが一般的である。ゲート
電極12に対応するデバイス形成領域内におけるゲート
絶縁膜13の上には、アモルファスシリコンなどからな
る半導体層14が形成されている。半導体層14の上面
の両側には、不純物がドープされたシリコン膜15を介
してソース・ドレイン電極16が形成されている。半導
体層14及びシリコン膜15の形成についても、プラズ
マCVDにより行うことが一般的である。ソース・ドレ
イン電極16及び半導体層14の上には、窒化珪素(S
iN)などの保護層17が形成されている。該保護層1
7の形成は、ソース・ドレイン電極16をマスクとして
シリコン膜15及び半導体層14の一部をエッチングし
た後、プラズマCVDにより行われる。
【0019】図2に示したように、本発明の方法を適用
してゲート電極12とゲート絶縁膜13との間に、厚み
がゲート電極12よりも薄く且つゲート電極12の側壁
部に対応する部分が該側壁部の傾斜よりもなだらかな裾
引き形状を有するSiO2 系被膜20を設けたことによ
り、その上層のゲート絶縁膜13、半導体層14、1
5、ソース・ドレイン電極16のステップカバレージが
向上し、これら上層におけるゲート電極12の段差部分
に対応する部分での絶縁耐圧の劣化又は配線の断線が防
止される。
【0020】図3に、本発明の方法を用いて製造するこ
とができる別のTFT液晶基板30の模式断面図を示
す。TFT液晶基板30は、このような用途に一般に用
いられるガラス基板31を含む。ガラス基板31の上の
デバイス形成領域に対応する部分には、ゲート電極32
が形成されている。ゲート電極32を含むガラス基板3
1の全上面に、窒化珪素(SiN)などのゲート絶縁膜
33が形成されている。ゲート絶縁膜33の形成は、プ
ラズマCVDにより行うことが一般的である。ゲート電
極32に対応するデバイス形成領域内におけるゲート絶
縁膜33の上には、アモルファスシリコンなどからなる
半導体層34が形成されている。半導体層34の上面の
両側には、不純物がドープされたシリコン膜35を介し
てソース・ドレイン電極36が形成されている。半導体
層34及びシリコン膜35の形成についても、プラズマ
CVDにより行うことが一般的である。ソース・ドレイ
ン電極36及び半導体層34の上には、本発明の方法に
より、厚みがソース・ドレイン電極36よりも薄く且つ
ソース・ドレイン電極36の側壁部に対応する部分が前
記側壁部の傾斜よりもなだらかな裾引き形状を有するS
iO2 系被膜40が形成されている。この側壁部の半導
体層34に対する傾斜角は一般に10°以上である。S
iO2 系被膜40の上には、窒化珪素(SiN)などの
保護層37が形成されている。SiO2 系被膜40の形
成は、ソース・ドレイン電極36をマスクとしてシリコ
ン膜35及び半導体層34の一部をエッチングした後に
行われる。
【0021】図3に示したように、本発明の方法を適用
してソース・ドレイン電極36及び半導体層34と保護
層37との間に、厚みがソース・ドレイン電極36より
も薄く且つソース・ドレイン電極36の側壁部に対応す
る部分が該側壁部の傾斜よりもなだらかな裾引き形状を
有するSiO2 系被膜40を設けたことにより、その上
層の保護層37のステップカバレージが向上し、該保護
層37の段差部分に対応する部分での絶縁耐圧の劣化が
防止される。
【0022】図2及び図3に示した本発明による特徴を
組み合わせて、TFT液晶基板におけるゲート電極とゲ
ート絶縁膜との間並びにソース・ドレイン電極及び半導
体層と保護層との間の両方に、本発明による裾引き形状
を有するSiO2 系被膜を設けることも可能であり、こ
のような電子デバイスの信頼性の向上という観点からも
好ましい。
【0023】また、本発明による裾引き形状を有するS
iO2 系被膜を、ゲート電極の上にゲート絶縁膜を設け
た後に該ゲート絶縁膜上に設けることも考えられる。す
なわち、ゲート絶縁膜の段差側壁部(図1、3a)に本
発明による裾引き形状を有するSiO2 系被膜を設ける
ことにより、SiO2 系被膜の上層部のステップカバレ
ージが向上する。
【0024】図2及び図3に例示した態様では、SiO
2 系被膜が段差、すなわちそれぞれゲート電極12(図
2)及びソース・ドレイン電極36(図3)よりも薄く
設けられているが、本発明によると、SiO2 系被膜を
段差よりも厚く設けることもできる。すなわち、ゲート
電極12を含むガラス基板11の全上面に、厚みがゲー
ト電極12よりも厚く且つゲート電極12の段差に対応
する部分が段差側壁部の傾斜よりもなだらかな裾引き形
状を有するSiO2 系被膜を形成させること、及び/又
はソース・ドレイン電極36及び半導体層34の上に、
厚みがソース・ドレイン電極36よりも厚く且つソース
・ドレイン電極36の段差に対応する部分が段差側壁部
の傾斜よりもなだらかな裾引き形状を有するSiO2
被膜40を形成させることも可能である(図示なし)。
これらの場合、図2におけるゲート絶縁膜13を省略
し、代わりに裾引き形状を有するSiO2 系被膜がゲー
ト絶縁膜の機能を担うこと、或いは図3における保護層
37を省略し、代わりに裾引き形状を有するSiO2
被膜が保護層の機能を担うことができる。
【0025】本発明による方法では、段差を有する基板
にポリシラザン溶液を塗布するに際し、段差の側壁部に
対応する乾燥塗膜の部分の傾斜が該側壁部の傾斜よりも
なだらかになるように段差を被覆しなければならない。
例えば、TFT液晶基板上の段差の高さは一般に0.1
〜1.0μmの範囲にある。このような高さの段差部分
を含む基板全体に溶液を塗布する場合、塗布直後の溶液
は段差を平坦化している、或いは埋没させていることが
一般的である。この溶剤が除去される乾燥過程におい
て、ポリシラザン塗布溶液の表面張力により段差の側壁
部付近に塗布溶液が比較的多量にとどまることによっ
て、該側壁部の傾斜よりもなだらかな傾斜を有する裾引
き形状の乾燥ポリシラザン塗膜が得られる。この裾引き
形状が収束した部分での乾燥塗膜の厚みは、一般に0.
01〜4μm、好ましくは0.01〜0.5μmの範囲
にある。
【0026】もちろん、本発明による方法は、ポリシラ
ザン溶液を塗布直後の厚さが段差の高さよりも薄くなる
ように塗布することを除外するものではなく、そのよう
に塗布した場合でも、その後ポリシラザン溶液の溶剤が
除去されることにより得られる焼成塗膜が、段差側壁部
に対応する部分において裾引き形状を示すものであれば
よい。
【0027】本発明の方法では、上記の作用効果が得ら
れるように、すなわち、段差側壁部に対応する部分にお
いて乾燥塗膜が裾引き形状を示すように、ポリシラザン
溶液中のポリシラザン濃度を調整する。このポリシラザ
ン濃度の個別具体的に最適な濃度は、裾引き形状を付与
すべき段差の高さによって異なるが、一般には、段差が
高くなるほどポリシラザン濃度を高くするとよい。具体
的には、例えばTFT液晶基板上の段差の高さが0.1
〜1.0μmの範囲にある場合、SiO2 系被膜を段差
よりも薄く設ける場合のポリシラザン濃度は0.1〜2
0重量%、好ましくは0.5〜10重量%、より好まし
くは1〜5重量%の範囲とすることができ、またSiO
2 系被膜を段差よりも厚く設ける場合のポリシラザン濃
度は5〜30重量%、好ましくは7〜25重量%、より
好ましくは10〜20重量%の範囲とすることができ
る。なお、ポリシラザン濃度が0.1重量%よりも低い
と、所望の裾引き形状を付与することができない。
【0028】また、本発明の方法によるポリシラザン溶
液の塗布方法に特に制限はなく、例えば、スピンコーテ
ィング、ディップコーティング、ロール塗布、バー塗
布、ウェブ塗布(グラビア、キス、キスメイヤバー、ダ
イ、フレキソ、等)、刷毛塗り、スプレー塗布、流し塗
り等が挙げられるが、上記濃度のポリシラザン溶液の塗
布に適した塗布法を選択すればよい。好ましい塗布方法
はスピンコーティングである。
【0029】本発明の方法においては、塗布されたポリ
シラザン溶液の乾燥過程において、ポリシラザン塗布溶
液の表面張力により段差の側壁部付近に塗布溶液が比較
的多量にとどまることによって、該側壁部付近に裾引き
形状の乾燥ポリシラザン塗膜が得られる。従って、かか
る塗膜乾燥過程は、裾引き形状の乾燥塗膜が得られるよ
うなものでなければならない。
【0030】しかしながら、本発明の方法は、塗膜乾燥
のために特別な工程を必要とするものではなく、一般に
はコーティング後に単に空気中に放置しておくだけで、
溶液の表面張力により自発的に裾引き形状の乾燥塗膜が
得られる。このように、本発明の方法は、溶液のもつ表
面張力を利用して裾引き形状を形成させるものであるた
め、この自然に形成される裾引き形状を過度に破壊する
ような乾燥方式、例えば、空気を吹き付ける方法、等が
適当ではないことは容易に理解されよう。なお、ポリシ
ラザン溶液の塗布方法としてスピンコーティングを採用
する場合には、溶液の展開と同時に溶剤が揮発し、本発
明による裾引き形状を有する乾燥塗膜が得られる。
【0031】本発明によると、上記のように塗布して得
られた裾引き形状を有する乾燥塗膜を焼成することによ
って、同様に裾引き形状を有するSiO2 系被膜に転化
させる。焼成温度は下層(例えば、ゲート電極、半導体
層)の耐熱温度以下で行われ、一般に室温〜500℃、
好ましくは250℃〜350℃の範囲である。大気中又
は水蒸気雰囲気中での焼成により、ポリシラザン塗膜が
酸化されてSi−O結合を主体とするSiO2 被膜へ転
化する。焼成時間は長い程良いが、一般には0.5〜
2.0時間、好ましくは1時間程度の焼成で十分であ
る。
【0032】ポリオルガノシロキサザンの焼成に用いら
れる焼成装置としては、上記の製造条件を制御すること
ができるものであればいずれの装置でも使用することが
できる。例えば、マッフル炉、管状炉、等を使用すると
便利である。また、本発明をTFT基板に適用する場合
には焼成装置としてクリーンオーブンを使用することが
好ましい。なお、後述のポリシラザンの説明にもあるよ
うに、ポリシラザンの種類によっては、焼成の代わりに
又は焼成との併用で、各種の低温セラミックス化法によ
り、ポリシラザン塗膜をSiO2 被膜へ転化させること
ができる。このような低温セラミックス化法は、下層の
耐熱性が低い場合に特に有効である。
【0033】本発明で用いるポリシラザンは、分子内に
少なくともSi−H結合又はN−H結合を有するポリシ
ラザンであればよく、ポリシラザン単独は勿論のこと、
ポリシラザンと他のポリマーとの共重合体やポリシラザ
ンと他の化合物との混合物でも利用できる。用いるポリ
シラザンには、鎖状、環状又は架橋構造を有するもの、
あるいは分子内にこれら複数の構造を同時に有するもの
があり、これら単独でもあるいは混合物でも利用でき
る。
【0034】用いるポリシラザンの代表例としては下記
のようなものがあるが、これらに限定されるものではな
い。得られる膜の硬度や緻密性の点からはペルヒドロポ
リシラザンが好ましく、可撓性の点ではオルガノポリシ
ラザンが好ましい。これらポリシラザンの選択は、当業
者であれば用途に合わせて適宜行うことができる。上記
一般式(I)でR1 、R2 及びR3 に水素原子を有する
ものは、ペルヒドロポリシラザンであり、その製造法
は、例えば特公昭63−16325号公報、D. Seyfert
h らCommunication of Am. Cer. Soc., C-13, January
1983. に報告されている。これらの方法で得られるもの
は、種々の構造を有するポリマーの混合物であるが、基
本的には分子内に鎖状部分と環状部分を含み、
【0035】
【化2】
【0036】の化学式で表わすことができる。ペルヒド
ロポリシラザンの構造の一例を以下に示す。
【0037】
【化3】
【0038】一般式(I)でR1 及びR2 に水素原子、
3 にメチル基を有するポリシラザンの製造方法は、D.
Seyferth らPolym. Prepr., Am. Chem. Soc., Div. Po
lym.Chem., 25, 10(1984)に報告されている。この方
法により得られるポリシラザンは、繰り返し単位が−
(SiH2 NCH3 )−の鎖状ポリマーと環状ポリマー
であり、いずれも架橋構造をもたない。一般式(I)で
1 及びR3 に水素原子、R2 に有機基を有するポリオ
ルガノ(ヒドロ)シラザンの製造法は、D. Seyferth ら
Polym. Prepr., Am. Chem. Soc., Div. Polym. Chem.,
25, 10(1984)、特開昭61−89230号公報、同6
2−156135号公報に報告されている。これらの方
法により得られるポリシラザンには、−(R2 SiHN
H)−を繰り返し単位として、主として重合度が3〜5
の環状構造を有するものや(R3 SiHNH)X 〔(R
2 SiH)1.5 N〕1-X (0.4<x<1)の化学式で
示される分子内に鎖状構造と環状構造を同時に有するも
のがある。
【0039】一般式(I)でR1 に水素原子、R2 及び
3 に有機基を有するポリシラザン、またR1 及びR2
に有機基、R3 に水素原子を有するものは、−(R1
2 SiNR3 )−を繰り返し単位として、主に重合度が
3〜5の環状構造を有している。用いるポリシラザン
は、上記一般式(I)で表わされる単位からなる主骨格
を有するが、一般式(I)で表わされる単位は、上記に
も明らかなように環状化することがあり、その場合には
その環状部分が末端基となり、このような環状化がされ
ない場合には、主骨格の末端はR1 、R2 、R3 と同様
の基又は水素であることができる。
【0040】ポリオルガノ(ヒドロ)シラザンの中に
は、D. Seyferth らCommunication ofAm. Cer. Soc., C
-132, July 1984. が報告されている様な分子内に架橋
構造を有するものもある。一例を下記に示す。
【0041】
【化4】
【0042】また、特開昭49−69717号公報に報
告されている様なR1 SiX3 (X:ハロゲン)のアン
モニア分解によって得られる架橋構造を有するポリシラ
ザン(R1 Si(NH)X )、あるいはR1 SiX3
びR2 2SiX2 の共アンモニア分解によって得られる下
記の構造を有するポリシラザンも出発材料として用いる
ことができる。
【0043】
【化5】
【0044】また、ポリシラザン変性物として、例えば
下記の構造(式中、側鎖の金属原子であるMは架橋をな
していてもよい)のように金属原子を含むポリメタロシ
ラザンも出発材料として用いることができる。
【0045】
【化6】
【0046】その他、特開昭62−195024号公報
に報告されているような繰り返し単位が〔(SiH2
n (NH)m 〕及び〔(SiH2 r O〕(これら式
中、n、m、rはそれぞれ1、2又は3である)で表さ
れるポリシロキサザン、特開平2−84437号公報に
報告されているようなポリシラザンにボロン化合物を反
応させて製造する耐熱性に優れたポリボロシラザン、特
開昭63−81122号、同63−191832号、特
開平2−77427号公報に報告されているようなポリ
シラザンとメタルアルコキシドとを反応させて製造する
ポリメタロシラザン、特開平1−138108号、同1
−138107号、同1−203429号、同1−20
3430号、同4−63833号、同3−320167
号公報に報告されているような分子量を増加させたり
(上記公報の前4者)、耐加水分解性を向上させた(後
2者)、無機シラザン高重合体や改質ポリシラザン、特
開平2−175726号、同5−86200号、同5−
331293号、同3−31326号公報に報告されて
いるようなポリシラザンに有機成分を導入した厚膜化に
有利な共重合ポリシラザンなども同様に使用できる。
【0047】本発明では、さらに以下のような低温セラ
ミックス化ポリシラザンを使用することができる。例え
ば、本願出願人による特開平5−238827号公報に
記載されているケイ素アルコキシド付加ポリシラザンが
挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式
(I)で表されるポリシラザンと、下記一般式(II): Si(OR4 4 (II)(式中、R4 は、同一
でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜2
0個を有するアルキル基またはアリール基を表し、少な
くとも1個のR4 は上記アルキル基またはアリール基で
ある)で表されるケイ素アルコキシドを加熱反応させて
得られる、アルコキシド由来ケイ素/ポリシラザン由来
ケイ素原子比が0.001〜3の範囲内かつ数平均分子
量が約200〜50万のケイ素アルコキシド付加ポリシ
ラザンである。上記R4 は、炭素原子数1〜10個を有
するアルキル基がより好ましく、また炭素原子数1〜4
個を有するアルキル基が最も好ましい。また、アルコキ
シド由来ケイ素/ポリシラザン由来ケイ素原子比は0.
05〜2.5の範囲内にあることが好ましい。ケイ素ア
ルコキシド付加ポリシラザンの調製及びその低温セラミ
ックス化法については、上記特開平5−238827号
公報を参照されたい。
【0048】低温セラミックス化ポリシラザンの別の例
として、本出願人による特開平6−122852号公報
に記載されているグリシドール付加ポリシラザンが挙げ
られる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で
表されるポリシラザンとグリシドールを反応させて得ら
れる、グリシドール/ポリシラザン重量比が0.001
〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万のグ
リシドール付加ポリシラザンである。グリシドール/ポ
リシラザン重量比は0.01〜1であることが好まし
く、さらには0.05〜0.5であることがより好まし
い。グリシドール付加ポリシラザンの調製及びその低温
セラミックス化法については、上記特開平6−1228
52号公報を参照されたい。
【0049】低温セラミックス化ポリシラザンの別の例
として、本願出願人による特開平6−240208号公
報に記載されているアルコール付加ポリシラザンが挙げ
られる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で
表されるポリシラザンとアルコールを反応させて得られ
る、アルコール/ポリシラザン重量比が0.001〜2
の範囲内かつ数平均分子量が約100〜50万のアルコ
ール付加ポリシラザンである。上記アルコールは、沸点
110℃以上のアルコール、例えばブタノール、ヘキサ
ノール、オクタノール、ノナノール、メトキシエタノー
ル、エトキシエタノール、フルフリルアルコールである
ことが好ましい。また、アルコール/ポリシラザン重量
比は0.01〜1であることが好ましく、さらには0.
05〜0.5であることがより好ましい。アルコール付
加ポリシラザンの調製及びその低温セラミックス化法に
ついては、上記特開平6−240208号公報を参照さ
れたい。
【0050】低温セラミックス化ポリシラザンのまた別
の特に好適な例として、本願出願人による特開平6−2
99118号公報に記載されている金属カルボン酸塩付
加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザン
は、前記一般式(I)で表されるポリシラザンと、ニッ
ケル、チタン、白金、ロジウム、コバルト、鉄、ルテニ
ウム、オスミウム、パラジウム、イリジウム、アルミニ
ウムの群から選択される少なくとも1種の金属を含む金
属カルボン酸塩を反応させて得られる、金属カルボン酸
塩/ポリシラザン重量比が0.000001〜2の範囲
内かつ数平均分子量が約200〜50万の金属カルボン
酸塩付加ポリシラザンである。上記金属カルボン酸塩
は、式(RCOO)n M〔式中、Rは炭素原子数1〜2
2個の脂肪族基又は脂環式基であり、Mは上記金属群か
ら選択される少なくとも1種の金属を表し、そしてnは
金属Mの原子価である〕で表される化合物である。この
Mがパラジウム(Pd)であることが特に好ましい。上
記金属カルボン酸塩は無水物であっても水和物であって
もよい。また、金属カルボン酸塩/ポリシラザン重量比
は好ましくは0.001〜1、より好ましくは0.01
〜0.5である。金属カルボン酸塩付加ポリシラザンの
調製及びその低温セラミックス化法については、上記特
開平6−299118号公報を参照されたい。
【0051】低温セラミックス化ポリシラザンのさらに
別の例として、本願出願人による特開平6−30632
9号公報に記載されているアセチルアセトナト錯体付加
ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、
前記一般式(I)で表されるポリシラザンと、金属とし
てニッケル、白金、パラジウム又はアルミニウムを含む
アセチルアセトナト錯体を反応させて得られる、アセチ
ルアセトナト錯体/ポリシラザン重量比が0.0000
01〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万
のアセチルアセトナト錯体付加ポリシラザンである。上
記の金属を含むアセチルアセトナト錯体は、アセチルア
セトン(2,4−ペンタジオン)から酸解離により生じ
た陰イオンacac- が金属原子に配位した錯体であ
り、一般に式(CH3 COCHCOCH3 n M〔式
中、Mはn価の金属を表す〕で表される。アセチルアセ
トナト錯体/ポリシラザン重量比は、好ましくは0.0
01〜1、より好ましくは0.01〜0.5である。ア
セチルアセトナト錯体付加ポリシラザンの調製及びその
低温セラミックス化法については、上記特開平6−30
6329号公報を参照されたい。
【0052】その他の低温セラミックス化ポリシラザン
の例として、本願出願人による特開平7−196986
号公報に記載されている金属微粒子添加ポリシラザンが
挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式
(I)で表されるポリシラザンを主成分とするコーティ
ング溶液に、Au、Ag、Pd、Niをはじめとする金
属の微粒子を添加して得られる変性ポリシラザンであ
る。好ましい金属はAgである。金属微粒子の粒径は
0.5μmより小さいことが好ましく、0.1μm以下
がより好ましく、さらには0.05μmより小さいこと
が好ましい。特に、粒径0.005〜0.01μmの独
立分散超微粒子を高沸点アルコールに分散させたものが
好ましい。金属微粒子の添加量は、ポリシラザン100
重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.
05〜5重量部である。金属微粒子添加ポリシラザンの
調製及びその低温セラミックス化法については、上記特
開平7−196986号公報を参照されたい。
【0053】その他の低温セラミックス化ポリシラザン
の例として、本願出願人による特願平7−200584
号明細書に記載されているアミン類及び/又は酸類添加
ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、
前記一般式(I)で表されるポリシラザン又はその変性
物に、一般式R4 5 6 Nで表されるアミン類や、ピ
リジン類、DBU、DBN、等、及び/又は有機酸や無
機酸などの酸類を添加したものである。これらのアミン
類及び/又は酸類添加ポリシラザンの調製及びその低温
セラミックス化法については、上記特願平7−2005
84号明細書を参照されたい。
【0054】その他の低温セラミックス化ポリシラザン
の例として、本願出願人による特願平9−227420
号明細書に記載されているアミン残基含有ポリシラザン
が挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式
(I)で表されるポリシラザン又はその変性物に、一般
式HO−(A)p −B又はHO−(A)p −B2 −(A
2 q −OHで表されるアミン残基含有ヒドロキシル化
合物を反応させて得られるものである。これらのアミン
残基含有ポリシラザンの調製及びその低温セラミックス
化法については、上記特願平9−227420号明細書
を参照されたい。
【0055】本発明による方法は、上記のようなポリシ
ラザン又はその変性物を上記濃度範囲で含むポリシラザ
ン溶液を調製するが、この調製には一般にポリシラザン
のための溶剤が用いられる。かかる溶剤の選択に際して
は、段差側壁部に対応する部分において乾燥塗膜が所望
の裾引き形状を示すために必要な表面張力を発揮するも
のを、その揮発性との兼ね合いで個別具体的に考慮す
る。例えば、裾引き形状の形成にとっては溶剤の表面張
力が高いほど好ましいが、塗布後の揮発性に悪影響を及
ぼすほど高い表面張力は好ましくなく、要するに、本発
明による所望の裾引き形状を有する乾燥塗膜の形成工程
の全体として最適な表面張力を示す溶剤を選択すべきで
ある。
【0056】溶剤としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭
化水素、芳香族炭化水素の炭化水素溶剤、ハロゲン化メ
タン、ハロゲン化エタン、ハロゲン化ベンゼン等のハロ
ゲン化炭化水素、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等の
エーテル類を使用することができる。好ましい溶剤は、
塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ブロモホル
ム、塩化エチレン、塩化エチリデン、トリクロロエタ
ン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、エチ
ルエーテル、イソプロピルエーテル、エチルブチルエー
テル、ブチルエーテル、1,2−ジオキシエタン、ジオ
キサン、ジメチルジオキサン、テトラヒドロフラン、テ
トラヒドロピラン等のエーテル類、ペンタンヘキサン、
イソヘキサン、メチルペンタン、ヘプタン、イソヘプタ
ン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチル
シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、
エチルシクロヘキサン、シクロヘキセン、p−メンタ
ン、リモネン、デカリン、テトラリン、フェニルシクロ
ヘキサン、シクロヘキサン、ノナン、デカン、n−ヘキ
サン、ペンタン、ジメチルジエトキシシラン、メチルト
リエトキシシラン、等の炭化水素等である。これらの溶
剤を使用する場合、表面張力や溶剤の蒸発速度を調節す
るために、二種以上の溶剤を混合してもよい。
【0057】また、本発明のポリシラザン溶液におい
て、必要に応じて適当な充填剤及び/又は増量剤を加え
ることができる。充填剤の例としてはシリカ、アルミ
ナ、ジルコニア、マイカを始めとする酸化物系無機物あ
るいは炭化珪素、窒化珪素等の非酸化物系無機物の微粉
等が挙げられる。また用途によってはアルミニウム、亜
鉛、銅等の金属粉末の添加も可能である。これら充填剤
は、針状(ウィスカーを含む。)、粒状、鱗片状等種々
の形状のものを単独又は2種以上混合して用いることが
できる。又、これら充填剤の粒子の大きさは1回に適用
可能な膜厚よりも小さいことが望ましい。また充填剤の
添加量は低温セラミックス化ポリシラザン1重量部に対
し、0.05重量部〜10重量部の範囲であり、特に好
ましい添加量は0.2重量部〜3重量部の範囲てある。
【0058】ポリシラザン溶液には、必要に応じて各種
顔料、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収
剤、pH調整剤、分散剤、表面改質剤、可塑剤、乾燥促進
剤、流れ止め剤を加えてもよい。
【0059】
【実施例】以下、本発明の方法をTFT液晶パネル基板
に適用した実施例を説明する。実施例1 :ゲート電極の段差に対する裾引き ガラス基板の上にゲート電極(材料:アルミニウム、厚
み:0.5μm、基板に対する傾斜角:90°)をマグ
ネトロンスパッタリング法で形成した。次いで、ゲート
電極を含むガラス基板の全上面に、低温タイプポリシラ
ザンの1重量%キシレン溶液(ポリシラザン分子量:M
n=600、白金触媒の形態及び量;アセチルアセトナ
ト白金2重量%)を1000rpmで20秒間、スピン
コートした。得られたポリシラザン塗膜は、ゲート電極
の側壁部に裾引き形状をなしており、その裾引き形状が
収束した部分における塗膜の厚みは0.03μmであっ
た。
【0060】次いで、ポリシラザン塗膜を含む基板全体
を焼成炉に入れ、大気中、10℃/分で350℃まで昇
温し、その温度で1時間保持することにより塗膜を焼成
してSiO2 被膜に転化させた。得られたSiO2 被膜
は、焼成前と同様に、ゲート電極の側壁部に裾引き形状
をなしており、その裾引き形状が収束した部分における
被膜の厚みは0.02μmであった。このSiO2 被膜
の上に、順に、SiN系ゲート絶縁膜、アモルファスシ
リコン系半導体層、不純物をドープした半導体層をプラ
ズマCVDにより連続形成した。次いで、半導体層の上
に、マスクを介して、ソース・ドレイン電極をマグネト
ロンスパッタリング法により形成した。その後、ソース
・ドレイン電極をマスクとして半導体層の一部をエッチ
ングした。最後に、ソース・ドレイン電極及び半導体層
の上面全体に保護膜としてSiNをプラズマCVDによ
り被覆した。
【0061】SiO2 被膜の裾引き形状を定量化するた
め、以下のようにテーパ角を定義した。すなわち、図4
において、SiO2 被膜の平坦部分のラインと裾引き部
分の接点をAとする。段差の端部からAまでの長さを裾
引き長さdとする。段差の端部から1/2dの距離での
SiO2 被膜表面との交点をBとする。そしてAからB
へ直線を引いたときの平坦部分に対する傾斜角θをテー
パ角とした。このようにして実施例1で得られたSiO
2 被膜の裾引き形状のテーパ角を測定したところ約10
°であった。
【0062】実施例2:ソース・ドレイン電極の段差に
対する裾引き ガラス基板の上にゲート電極(材料:アルミニウム、厚
み:0.5μm、基板に対する傾斜角:90°)をマグ
ネトロンスパッタリング法で形成した。このゲート電極
の上に、順に、SiN系ゲート絶縁膜、アモルファスシ
リコン系半導体層、不純物をドープした半導体層をプラ
ズマCVDにより連続形成した。次いで、半導体層の上
に、マスクを介して、ソース・ドレイン電極をマグネト
ロンスパッタリング法により形成した。その後、ソース
・ドレイン電極をマスクとして半導体層の一部をエッチ
ングした。次いで、ソース・ドレイン電極及び半導体層
の上面全体に、低温タイプポリシラザンの1重量%キシ
レン溶液(ポリシラザン分子量:Mn=600、白金触
媒の形態及び量;アセチルアセトナト白金2重量%)を
1000rpmで20秒間、スピンコートした。得られ
たポリシラザン塗膜は、ソース・ドレイン電極の側壁部
に裾引き形状をなしており、ソース・ドレイン電極上の
塗膜の厚みは0.03μmであった。
【0063】次いで、ポリシラザン塗膜を含む基板全体
を焼成炉に入れ、大気中、10℃/分で300℃まで昇
温し、その温度で1時間保持することにより塗膜を焼成
してSiO2 被膜に転化させた。得られたSiO2 被膜
は、焼成前と同様に、ソース・ドレイン電極の側壁部に
裾引き形状をなしており、ソース・ドレイン電極上の被
膜の厚みは0.02μmであった。最後に、SiO2
膜の上面全体に保護膜としてSiNをプラズマCVDに
より被覆した。実施例2で得られたSiO2 被膜の裾引
き形状のテーパ角を実施例1に記載したように測定した
ところ約10°であった。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、適当な濃度のポリシラ
ザン溶液を単に塗布、焼成するだけで、配線段差に対応
する部分に裾引き形状を有するSiO2 系被膜が得られ
る。この段差に対応する部分における裾引き形状によっ
てSiO2 系被膜の上層部のステップカバレージが向上
するため、電子デバイスにおける絶縁膜の絶縁耐圧の劣
化や配線の断線、メタルのマイグレーションなどが防止
される。また、本発明によるSiO2 系被膜をゲート電
極やゲート配線に適用した場合、上層配線のパターンを
形成する際に段差部でのエッチング残りが減少し、歩留
りが向上する。(従来、段差が急峻であると段差上に形
成した配線をエッチングする際に段差部がエッチングさ
れにくく、配線間のショートが発生することがあっ
た。)本発明の方法によると、メタル配線の側壁部だけ
でなく配線上部にもシリカ系被膜が形成されることによ
って、後工程の熱処理によるヒロック(突起)の生成が
抑えられるという効果も得られる。また、本発明による
SiO2 系被膜はゲート絶縁膜や保護層を兼ねることも
でき、工程の省略、製造コストの低下につながる。本発
明による作用効果は、単に適当な濃度のポリシラザン溶
液をスピンコート法等の常用の塗布法で塗布し、焼成す
るだけで得られるので、従来技術のように絶縁膜の平坦
化や低テーパ化のための特殊な装置や複雑な制御、工程
の追加を必要とせず、デバイスの歩留り向上が期待で
き、よって電子デバイスの製造コストが相当に削減され
ると共に、基板の大型化への対応も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の薄膜トランジスタの断面図である。
【図2】本発明の方法を適用して得られた薄膜トランジ
スタの断面図である。
【図3】本発明の方法を適用して得られた別の薄膜トラ
ンジスタの断面図である。
【図4】本明細書におけるテーパ角の定義を説明するた
めの断面図である。
【符号の説明】
1、11、31…ガラス基板 2、12、32…ゲート電極 3、13、33…ゲート絶縁膜 4、14、34…半導体層(i+a−Si) 5、15、35…不純物がドープされたシリコン膜(n
+a−Si) 6、16、36…ソース・ドレイン電極 7、17、37…保護膜 10、30…薄膜トランジスタ 20、40…SiO2 被膜

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 段差を有する基板にポリシラザン濃度
    0.1〜30重量%のポリシラザン溶液を塗布すること
    により前記段差をその上下にわたり被覆する塗膜を形成
    し、次いで前記塗膜を焼成することを特徴とする、前記
    段差に対応する部分が傾斜のなだらかな裾引き形状を有
    するSiO2 系被膜の形成方法。
JP10033191A 1998-02-16 1998-02-16 裾引き形状を有するSiO2系被膜の形成方法 Pending JPH11233510A (ja)

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