JPH11229275A - ゴム補強用ポリアミド繊維の製造方法およびゴム補強用ポリアミド繊維 - Google Patents

ゴム補強用ポリアミド繊維の製造方法およびゴム補強用ポリアミド繊維

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JPH11229275A
JPH11229275A JP3340298A JP3340298A JPH11229275A JP H11229275 A JPH11229275 A JP H11229275A JP 3340298 A JP3340298 A JP 3340298A JP 3340298 A JP3340298 A JP 3340298A JP H11229275 A JPH11229275 A JP H11229275A
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styrene
rubber
butadiene copolymer
treatment liquid
polyamide fiber
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JP3340298A
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English (en)
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Yasuhiro Sato
康裕 佐藤
Tomoharu Kumaki
智春 久間木
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特にラジエータホースやヒーターホースなど
のウォーター系ゴムホース等の素材ゴムとして使用され
るEPDMに対する良好な接着性を有し、しかもゴム中
での耐熱性が著しく改善され、繊維の強度保持率および
耐久性にすぐれたゴム補強用ポリアミド繊維を提供す
る。 【解決手段】 本発明のゴム補強用ポリアミド繊維
は、ポリアミド繊維の表面を、レゾルシン・ホルムアル
デヒド初期縮合物、ビニルピリジン−スチレン−ブタジ
エン共重合体ラテックスおよびスチレン−ブタジエン共
重合体ラテックスを含有し、実質的に塩素化合物を含有
しない第1処理液で処理した後、レゾルシン・ホルムア
ルデヒド初期縮合物、ビニルピリジン−スチレン−ブタ
ジエン共重合体ラテックス、ポリブタジエンラテックス
およびクロロフェノール系化合物を含有する第2処理液
で処理してなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴムホース、タイ
ヤおよびベルトなどのゴム製品の補強材として有用なゴ
ム補強用ポリアミド繊維の製造方法およびゴム補強用ポ
リアミド繊維に関する。さらに詳しくは、特にブレーキ
ホースやラジエターホースなど、ウォーター系ホースな
どの素材ゴムとして使用されるエチレン/プロピレン/
ジエン三元共重合ゴム(以下、EPDMと呼ぶ)に対す
る良好な接着性を有し、しかもゴム中での耐熱性が著し
く改善され、繊維の強度保持率および耐久性にすぐれた
ゴム補強用ポリアミド繊維の製造方法およびゴム補強用
ポリアミド繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカプラミド(ナイロン6)およびポ
リヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)に代表さ
れるポリアミドからなる繊維は、高強力、高接着性およ
び耐久性にすぐれているため、各種産業用途に適用され
ており、とくにたとえばタイヤコード、動力伝達ベル
ト、搬送用ベルトおよびゴムホースなどのゴム補強用コ
ードとして広く用いられている。
【0003】そして、ポリアミド繊維を補強材として用
いたゴムホースの具体的用途としては、ラジエターホー
ス、ヒーターホース、パワーステアリングホースおよび
オイルホースなどの自動車ホースなどが挙げられる。
【0004】なかでもラジエターホースやヒーターホー
スなどのウォーター系ホース用のゴムとしては、耐熱性
にすぐれたエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴ
ム(以下、EPDMと呼ぶ)が一般的に用いられてい
る。
【0005】一方、補強材として使用されるポリアミド
繊維に対する要求特性としては、強力が大きいこと、ハ
イモジュラスであることなどの他に、使用するゴムとの
接着性が良好であることおよび耐熱性にすぐれているこ
となどが挙げられる。
【0006】しかるに、ポリアミド繊維は一般にゴムに
対する接着性が弱いため、ゴム補強用繊維としての特性
を発現させることを目的として、ポリアミド繊維をレゾ
ルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(RF)とゴムラ
テックス(L)との混合物(RFL)を接着処理液とし
て使用し、ゴムとの接着性を改善する手法が一般的にと
られている。
【0007】上記RFLの具体的組成としては、レゾル
シン−ホルムアルデヒド初期縮合物、ビニルピリジン−
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスおよびスチレ
ン−ブタジエン共重合体ラテックスの混合物が一般に知
られており、撚糸されたポリアミド繊維にコードセッタ
ーなどのディッピング装置を用いて前記接着剤処理液を
塗布し、乾燥後、延伸・熱処理して得られる処理コード
が、補強材として一般に使用されている。
【0008】しかし、特にEPDMとポリアミド繊維と
を強固に接着させようとした場合には、ポリアミド繊維
が上記RFLで処理されたものであったとしても、十分
な接着は得られないため、EPDMとポリアミド繊維と
の接着性を向上させようという試みが従来からなされて
いる。
【0009】例えば、特公昭63−40227号公報に
は、エチレン・プロピレン系共重合体ゴム組成物と合成
繊維との接着剤として、RFLにクロロフェノールを配
合した接着処理液が記載されているが、これをポリアミ
ド繊維の接着剤として用いた場合には、確かにEPDM
ゴムとポリアミド繊維との間に良好な接着性を得ること
ができるが、この接着処理液を塗布したポリアミド繊維
は、必ずしも十分な耐熱性を有するものではなかった。
これは、接着処理液中に含有されるクロロフェノール化
合物から塩素が脱離して塩酸が発生し、この発生した塩
酸によりポリアミド繊維が劣化することに起因するもの
と考えられる。
【0010】一方、特公平7−21067号公報にも、
エチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物と脂肪族ポリ
アミド繊維との接着処理方法が記載されているが、この
方法では必ずしもEPDMゴムとの良好な接着が得らな
かった。
【0011】しかるに、近年では、エンジンルームの高
温化やメンテナンスフリー化が高度に進行しており、自
動車ホースについても一層の耐久性向上が求められてい
る。そして、自動車ホースのゴム材料については、EP
DMなどの耐熱性のすぐれた素材への転換が進んでいる
が、上述したように、補強材である繊維については、必
ずしも十分な耐熱性を有しているとはいえないのが実情
であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたものである。
【0013】したがって、本発明の目的は、特にラジエ
ータホースやヒーターホースなどのウォーター系ゴムホ
ース等の素材ゴムとして使用されるEPDMに対する良
好な接着性を有し、しかもゴム中での耐熱性が著しく改
善され、繊維の強度保持率および耐久性にすぐれたゴム
補強用ポリアミド繊維を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のゴム補強用ポリアミド繊維の製造方法
は、主として次の構成を有する。すなわち、ポリアミド
繊維の表面を、レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合
物、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ラ
テックスおよびスチレン−ブタジエン共重合体ラテック
スを含有し、実質的に塩素化合物を含有しない第1処理
液で処理した後、レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮
合物、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体
ラテックス、ポリブタジエンラテックスおよびクロロフ
ェノール系化合物を含有する第2処理液で処理してなる
ことを特徴とするゴム補強用ポリアミド繊維の製造方法
である。
【0015】また、本発明のゴム補強用ポリアミド繊維
は主として次の構成を有する。すなわち、150℃の湿
熱収縮率が2%以下であることを特徴とする上記の製造
方法により得られたゴム補強用ポリアミド繊維である。
【0016】なお、本発明のゴム補強用ポリアミド繊維
の製造方法において、(1)第1処理液における各成分の
固形分換算重量比が、ビニルピリジン−スチレン−ブタ
ジエン共重合体ラテックス/スチレン−ブタジエン共重
合体ラテックス:1/3〜3/1、レゾルシン・ホルム
アルデヒド初期縮合物/ビニルピリジン−スチレン−ブ
タジエン共重合体ラテックスとスチレン−ブタジエン共
重合体ラテックスとの合計量:1/10〜1/2であ
り、前記第2処理液における各成分の固形分換算重量比
が、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ラ
テックス/ポリブタジエンラテックス:1/3〜3/
1、レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物/ビニル
ピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスと
ポリブタジエンラテックスとの合計量:1/10〜1/
2、クロロフェノール系化合物/レゾルシン・ホルムア
ルデヒド初期縮合物とビニルピリジン−スチレン−ブタ
ジエン共重合体ラテックスとポリブタジエンラテックス
との合計量:1/10〜1/2であること、(2)ポリア
ミド繊維に対する第1処理液の付着量が固形分換算で
1.0〜3.0重量%、第2処理液の付着量が1.5〜
5.0重量%であり、(3)ポリアミド繊維に対し第1処
理液および第2処理液を付与した後、それぞれ150〜
250℃の温度で乾熱処理し、次いで第2処理液を付
与、乾熱処理したポリアミド繊維をさらに水蒸気処理し
てなることがそれぞれ好ましい条件であり、これらの条
件を適用することによって一層すぐれた効果の発現を期
待することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳述する。
【0018】本発明で用いるポリアミド繊維の素材ポリ
マとしては、高強力原糸を形成し得るナイロン6または
ナイロン66などが使用される。なかでも98%の硫酸
相対粘度が3.0以上、好ましくは3.5以上の高分子
量ナイロン66を素材とする繊維からなり、熱、光およ
び酸素などによる劣化に対する耐久性を付与する目的で
銅化合物を含む酸化防止剤を添加した超高強度ナイロン
66コードが好ましく用いられる。
【0019】ポリアミド繊維の製糸方法は、紡糸・延伸
を二段階に分けて行なう方法であっても、また、この両
工程を一段階で行なう方法であってもよい。
【0020】なお、処理液を付与する時のポリアミド繊
維は、上記ポリアミドを素材としてなるフィラメント糸
の他、このフィラメント糸からなるコード、それらフィ
ラメント糸やコードからなる織物や編組物など任意の形
態をとることができる。
【0021】本発明で使用する第1処理液および第2処
理液におけるレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物と
は、レゾルシンとホルムアルデヒドとを、通常はアルカ
リ触媒の存在下で反応させて得られるものである。
【0022】レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物(R
F)におけるレゾルシン(R)とホルムアルデヒド
(F)とのモル比(F/R)は、3/10〜3/1、特
に3/4〜3/2の範囲にあることが好ましい。
【0023】また、上記RFLは、下記一般式(I)で
示される化合物とホルムアルデヒドとを、アルカリ触媒
の存在下に1/10〜10/10(重量比)の割合で反
応させて得られた初期縮合物と、ゴムラテックスとアン
モニア水とを20/1〜100/1(重量比)の割合で
混合して得られたゴムラテックス混合物とを、1/10
〜1/2(固形分重量比)の割合で配合した混合物であ
ることが好ましい。
【0024】
【化1】 (ただし、式中のnは0もしくは1〜15の整数を示
す)。
【0025】ここで、上記一般式(I)で示される化合
物としては、予めジヒドロキシベンゼンとホルムアルデ
ヒドとを、無触媒または酸性触媒の下で反応させて得ら
れるノボラック型の樹脂が用いられる。具体的には、こ
の化合物は、例えばレゾルシン1モルに対してホルムア
ルデヒドを0.7モル以下とで縮合した化合物(例え
ば、商品名スミカノール700、住友化学(株)製)で
ある。
【0026】なお、上記RFLにおいてレゾルシントホ
ルマリンのノボラック型縮合物を使用するに際しては、
アルカリ触媒水分散液に溶解後、ホルムアルデヒドを添
加し、レゾルシン・ホルマリン初期縮合物と同等のモル
比にすることが好ましい。
【0027】なお、第1処理液中には、塩素含有化合物
が含まれないことが重要な要件である。第1処理液に塩
素含有化合物が含まれていると、この第1処理液で処理
して得られるゴム補強用ポリアミド繊維が、高温時にさ
らされた場合に、塩素含有化合物から塩素が脱離するこ
とにより発生する塩酸によって劣化するため、本発明の
主たる目的である、ゴムとの接着性を良好に保持したま
ま、耐熱性を改善することができない。
【0028】本発明で使用する第1処理液および第2処
理液におけるビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共
重合体ラテックスとしては、その共重合割合を、3−ブ
タジエンを40〜60重量%、2−ビニルピリジンを1
0〜20重量%、スチレンを30〜40重量%としても
のが好ましく用いられる。
【0029】前記第1処理液においては、このビニルピ
リジン−スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスとス
チレン−ブタジエン共重合体ラテックスとを、EPDM
との良好な接着性を得る一方、補強用コードに粘着性を
生じてホース編み上げ時の工程通過性が低下するのを防
ぐ観点から、固形分換算重量比で1/3〜3/1の割合
で混合して用いるのが好ましい。
【0030】上記第1処理液は、通常固形分濃度5〜1
5%で使用され、後述する第2処理液に含有されるクロ
ロフェノール系化合物からの塩素の脱離によって発生す
る塩酸の影響を軽減して、耐熱性を向上させる一方、処
理コードの柔軟性が損われたり、処理コードの粘着性が
増加し、ホース製造時の工程通過性を阻害する恐れを防
ぐ観点から、ポリアミド繊維への付着量は固形分換算で
1.0〜3.0重量%の範囲になるように処理するのが
好ましい。
【0031】本発明の第2処理液においては、ビニルピ
リジン−スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスとポ
リブタジエンラテックスとの混合ラテックスをゴムラテ
ックスとして用いる。
【0032】上記混合ラテックスにおけるビニルピリジ
ン−スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスとポリブ
タジエンラテックスとの混合比は、目的とするゴムとの
接着性を向上させる観点から、固形分換算重量比で1/
3〜3/1の範囲が好ましい。
【0033】本発明の第2処理液におけるレゾルシン・
ホルムアルデヒド初期縮合物(RF)と、上記混合ラテ
ックスとの混合割合は、ゴムとの接着性を良好にすると
ともに、コードおよび編織物の粘着性が増加するのを防
ぐ一方、処理されたコードおよび編織物が硬くなりすぎ
るのを防ぐ観点から、固形分換算重量比で1/10〜1
/2、特に1/8〜1/3の範囲にあることが好まし
い。
【0034】上記第2処理液に使用するクロロフェノー
ル系化合物の具体例としては、カサボンドE(トーマス
・スワン社製)、デナボンド、デナボンドAおよびデナ
ボンドK(以上、長瀬化成(株)製)などの2−6ビス
(2,4−ジヒドロキシフェニルメチル)−4−クロロ
フェノールが挙げられる。
【0035】このクロロフェノール系化合物とレゾルシ
ン・ホルムアルデヒドとの初期縮合物を混合すると、E
PDMとポリアミド繊維との接着性を著しく向上させる
ことができる。
【0036】上記第2処理液においては、ゴムとの接着
性を十分な物とする一方、コードおよび編織物の柔軟性
が低下するのを防ぐ観点から、クロロフェノール化合物
(C)とRFLとの固形分換算重量比(C/RFL)を
1/10〜1/2の範囲にすることが好ましい。
【0037】上記第2処理液は、通常固形分濃度10〜
20重量%で使用され、EPDMとの接着性を十分なも
のとする一方、コードの柔軟性が損われたり、コードの
粘着性が増大したりすることで、コード製造時やホース
製造時の工程通過性が阻害されるのを防ぐ観点から、ポ
リアミド繊維への付着量は、固形分換算でポリアミド繊
維に対し、1.5〜5.0重量%になるように処理する
のが好ましい。
【0038】本発明のゴム補強用ポリアミドを製造する
に際しては、上記第1処理液にポリアミド繊維を浸漬
し、70〜150℃の温度で乾燥した後、150〜25
0℃の温度で熱処理し、次に、上記第2処理液にポリア
ミド繊維を浸漬し、70〜150℃の温度で乾燥した
後、150〜250℃の温度で熱処理するのが好まし
い。
【0039】乾燥温度を70〜150℃とするのが好ま
しいのは、処理液のRFL成分が固化せずローラーに付
着し、ポリアミド繊維への付着量が減少するとともに、
付着ムラが生じ、ゴムとの接着性が悪くなるのを防ぐ一
方、熱によるRFL成分の劣化を防ぐ観点からである。
【0040】また、第1処理液または第2処理液で処理
した後の熱処理温度を150〜250℃とするのは、熱
処理が不十分でゴムとの接着性が低下するのを防ぐ一
方、処理液のRFL成分が劣化してゴムとの接着性が低
下するのを防ぐ観点からである。
【0041】なお、本発明のゴム補強用ポリアミド繊維
は、第2処理液を付与し、乾熱処理した後、さらに水蒸
気中で湿熱処理されていることが好ましく、これにより
ポリアミド繊維の150℃の湿熱収縮率を2%以下にす
ることができる。
【0042】また、本発明においては、上記第1処理液
および/または第2処理液で処理されたポリアミド繊維
の柔軟性を向上させるために、柔軟化処理をするのが好
ましい。柔軟化処理は、コードに張力をかけながら金属
のバーでしごき、コード上の接着剤層に亀裂を入れるこ
とにより、コードを柔軟化するものである。
【0043】かくして得られる本発明のゴム補強用ポリ
アミド繊維は、特にEPDMとの良好な接着性を有し、
しかも耐熱性が著しく改善され、繊維の強度保持率およ
び耐久性にすぐれた特性を有するものである。
【0044】したがって、本発明のゴム補強用ポリアミ
ド繊維は、繊維補強ゴム製品の補強材としての最適な性
能を有しており、このポリアミド繊維により補強された
繊維補強ゴム製品、例えば自動車タイヤ、コンベアベル
ト、Vベルトおよびホースなど、なかでもラジエターホ
ース、ヒーターホース、パワーステアリングホースおよ
びオイルホースなどの自動車用ゴムホースは、ゴムとポ
リアミド繊維との接着力が高く、すぐれた耐熱性や耐破
裂性などを有することから、高品位な性能を発揮する。
【0045】なかでも、ゴムホース用、特にゴム層の少
なくとも一部にEPDMを用いたゴムホースの補強用繊
維としてすぐれた効果を発現し、例えば、耐熱性にすぐ
れたEPDMをベースに用いてなるラジエターホースや
ヒーターホースなどのウォーター系ホースの補強材とし
て用いた場合に最良の効果を発揮する。
【0046】
【実施例】以下に、実施例を挙げて、本発明の構成およ
び効果をより具体的に説明する。なお、以下の実施例に
おける各測定値は下記の方法により求めたものである。
また、実施例中の部および%は、いずれも重量部および
重量%を示す。
【0047】[コード強力]“テンシロン”を使用して
JIS L 1017(1995)に準じて測定した。
【0048】[耐熱性]120℃に加熱したオーブン中
に、処理コードを入れて2000時間熱処理し、取り出
した後に上記の方法によりコード強力を測定し、次式よ
り耐熱強力保持率(%)を求めた。 耐熱強力保持率=(熱処理後のコード強力/熱処理前の
コード強力)×100 [湿熱収縮率]オートクレーブ中で、繊維を150℃の
水蒸気の雰囲気で30分間処理した後、JIS L 1
017(1995)に準じて測定した。
【0049】[樹脂付着量]JIS L 1017(1
995)のディップピックアップ−質量法に準じて求め
た。
【0050】[処理コード接着力]下記処方の配合ゴム
と処理コードを用いて、幅25mmの試験片を作製し、
JIS K 6328(1995)に記載の剥離試験方
法に準じて処理コード/ゴム剥離力を測定した。 <ゴム配合処方> (重量部) EPDM 100 亜鉛華 5.0 ステアリン酸 1.0 カーボンブラック 80.0 加工油 0.3 硫黄 1.5 2−メルカプトベンゾチアゾール 0.5 テトラメチルチウラムジスルフィド 1.0 すなわち、直径10cm、長さ6cmのアルミニウム製
のパイプに未加硫ゴムを貼付けた後、ラッピングクロス
(東レ(株)製35mm)を巻き付け、オートクレーブ
を用いて、150℃で30分加硫した後、JIS K−
6328記載の剥離試験方法に準じて処理コード/ゴム
剥離力を測定した。
【0051】[コードの柔軟性]処理コードを真直ぐな
状態にして2cmにカットし、テンシロン引張り試験機
のブリッヂ(1cm間隔,φ:0.6mm)上にのせ、
コードと直角のフックバー(φ:0.6mm)をコード
中央に掛けて下降(2cm/分)させた時の最大応力を
求めて、その値の小さなものを○、大きなものを×と評
価した。
【0052】[実施例1]アルカリ触媒の存在下で、レ
ゾルシンとホルマリンをモル比1/2の割合で混合し、
2時間熟成することにより、固形分10%の初期縮合物
(RF)を得た。
【0053】ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共
重合体ラテックス(VPラテックス)と、スチレン−ブ
タジエン共重合体ラテックス(SBRラテックス)を、
固形分重量比50/50の割合で混合した混合ラテック
ス(L)100部に対し、上記初期縮合物を18部混合
し、24時間熟成することにより、固形分20%のRF
Lを調製した。
【0054】このRFLを水にて希釈し、固形分濃度5
%のものを第1処理液として使用した。
【0055】一方、アルカリ触媒の存在下で、レゾルシ
ンとホルマリンをモル比2/3の割合で混合し、2時間
熟成することにより、固形分10%の初期縮合物(R
F)を得た。
【0056】ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共
重合体ラテックス(VPラテックス)と、ポリブタジエ
ンラテックス(BRラテックス)を、固形分重量比50
/50の割合で混合した混合ラテックス100部に対
し、上記初期縮合物を12.5部混合し、24時間熟成
することにより、固形分30%のRFLを調製した。
【0057】次に、このRFLに、クロロフェノール系
化合物として“デナボンド”(登録商標、長瀬化成
(株)製)を25%添加し、水で固形分濃度を20%と
した。
【0058】これをさらに水にて希釈し、固形分濃度1
0%としたものを第2処理液とした。
【0059】一方、98%硫酸相対粘度3.70のナイ
ロン66を溶融紡糸し、延伸して得られた原糸強度1
0.5g/d、1260デニールのマルチフィラメント
2本を4回/10cmの撚数で撚糸して生コードを得
た。
【0060】次いで、コンピュートリータ処理機(リッ
ツラー社製)を用いて、前記第1処理液に浸漬し、13
0℃で100秒間乾燥し、続いて230℃で40秒間熱
処理した。さらに、前記第2処理液に浸漬し、130℃
で100秒間乾燥し、続いて230℃で60秒間熱処理
し、コードの柔軟化処理を行なった後、得られた処理コ
ードをワインダーで巻き取った。なお、熱処理は、コー
ドを5%リラックスさせる条件下で行なった。
【0061】このコードの耐熱性、接着性などを評価し
た結果を表1に示した。
【0062】[実施例2〜5]第1処理液の固形分付着
量、第2処理液のクロロフェノール系化合物の種類と配
合量および固形分付着量を表1に示したように変更した
以外は、実施例1と同様の操作を行ない、得られたコー
ドの耐熱性、接着性などを評価した結果を表1に併記し
た。
【0063】
【表1】 [実施例6]アルカリ触媒の存在下で、“スミカノー
ル”700(登録商標、住友化学工業(株)製)/ホル
マリンを固形分重量比87/13の割合で混合し、2時
間熟成することにより固形分濃度6.5%の初期縮合物
(RF)を得た。
【0064】一方、ビニルピリジン−スチレン−ブタジ
エン共重合体ラテックス(VPラテックス)と、スチレ
ン−ブタジエン共重合体ラテックス(SBRラテック
ス)を、固形分重量比50/50の割合で混合した混合
ラテックス(L)100部に対し、28%アンモニア水
10部を混合した。
【0065】次に、上記混合ラテックス100部に対
し、上記初期縮合物を18部混合し、24時間熟成する
ことにより、固形分濃度20%のRFLを調製した。
【0066】このRFLを水にて希釈し、固形分濃度5
%としたものを第1処理液とした。
【0067】上記以外については、実施例1と同様の操
作を行ない、得られたコードの耐熱性、接着性などを評
価した結果を表1に併記した。
【0068】[比較例1〜7]第1処理液の固形分付着
量、第2処理液のクロロフェノール系化合物配合量およ
び固形分付着量を表2に示したように変更した以外は、
実施例1と同様の操作を行ない、得られたコードの耐熱
性、接着性などを評価した結果を表2に示した。
【表2】 [比較例8]アルカリ触媒の存在下で、レゾルシンとホ
ルマリンをモル比2/3の割合で混合し、2時間熟成す
ることにより、固形分10%の初期縮合物(RF)を得
た。
【0069】ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共
重合体ラテックス(VPラテックス)と、ポリブタジエ
ンラテックス(BRラテックス)を、固形分重量比50
/50の割合で混合した混合ラテックス100部に対
し、上記初期縮合物(RF)を12.5部混合し、24
時間熟成することにより、固形分30%のRFLを調製
した。
【0070】次に、これにフェノール系化合物として前
記“デナボンド”(長瀬化成(株)製)を25%添加
し、24時間熟成した後、水で固形分濃度を20%とし
た。
【0071】このRFLを水で希釈することにより、固
形分5%としたものを第1処理液とした。
【0072】上記以外については、実施例1と同様の操
作を行ない、得られたコードの耐熱性、接着性などを評
価した結果を表3に示した。
【0073】[比較例9]アルカリ触媒の存在下で、レ
ゾルシンとホルマリンをモル比2/3の割合で混合し、
2時間熟成することにより固形分10%の初期縮合物
(RF)を得た。
【0074】ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共
重合体ラテックス(VPラテックス)と、ポリブタジエ
ンラテックス(BRラテックス)を、固形分重量比50
/50の割合で混合した混合ラテックス100部に対
し、上記初期縮合物(RF)を12.5部混合し、24
時間熟成することにより、固形分30%のRFLを調製
した。
【0075】次に、これにフェノール系化合物として前
記“デナボンド”(長瀬化成(株)製)を25%添加
し、24時間熟成した後、水で固形分濃度を20%とし
たものを処理液とした。
【0076】次いで、コンピュートリータ処理機(リッ
ツラー社製)を用いて、実施例1で得られた生コードを
上記処理液に浸漬し、130℃で100秒間乾燥し、続
いて230℃で60秒間熱処理し、コードの柔軟化処理
を行なった後、得られた処理コードをワインダーで巻き
取った。なお、熱処理は、コードを5%リラックスさせ
る条件下で行なった。このコードについても、実施例1
と同様の評価を行ない、結果を表3に示した。
【0077】
【表3】 [実施例7]実施例1で得られた処理コードを、オート
クレーブを用いて、148℃の蒸気で30分間処理し、
スチーム処理コードを得た。このコードについても、実
施例1と同様の評価を行ない、結果を表1に併せて示し
た。
【0078】[実施例8]自動車用ホースは、内面層を
形成する前記組成のEPDMをウオーミングマシンで加
温軟化させ、チュービングマシンで内面層となるゴム層
をチューブ状に成型した。
【0079】実施例7で得られたスチーム処理コード
を、縦型編み上げ機で内面層ゴムチューブを被覆するよ
う編み上げチューブとなし、カバーリングマシンで、前
記編み上げチューブにEPDMをゴムラッピングし、次
いでホースを加硫機に通すことにより、ホースを製作し
た。このホースの外観を肉眼で観察したところ、外形の
変化や皺は全く認められなかった。
【0080】表1〜3の結果から明らかなように、本発
明のゴム補強用ポリアミド繊維(実施例1〜7)は、従
来のポリアミド繊維に比べて、良好な接着性を保持しな
がら耐熱性が著しく改良されたものである。
【0081】また、上記ゴム補強用ポリアミド繊維を蒸
気処理することにより得られる、湿熱収縮率2%以下の
ゴム補強用ポリアミド繊維(実施例7)をホースの補強
材として適用した場合、外形の変化や皺の無い品位の良
好なホースが得られる。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のゴム補強
用ポリアミド繊維は、とくにEPDMとの良好な接着性
を有し、しかも耐熱性が著しく改善され、繊維の強度保
持率および耐久性にすぐれた特性を有するものである。
【0083】したがって、本発明のゴム補強用ポリアミ
ド繊維は、繊維補強ゴム製品の補強材としての最適な性
能を有しており、なかでもゴムホース用、特にゴム層の
少なくとも一部にEPDMをベースに用いたラジエター
ホースやヒーターホースなどのウォーター系ゴムホース
の補強用繊維として用いた場合に最良の効果を発揮す
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド繊維の表面を、レゾルシン
    ・ホルムアルデヒド初期縮合物、ビニルピリジン−スチ
    レン−ブタジエン共重合体ラテックスおよびスチレン−
    ブタジエン共重合体ラテックスを含有し、実質的に塩素
    化合物を含有しない第1処理液で処理した後、レゾルシ
    ン・ホルムアルデヒド初期縮合物、ビニルピリジン−ス
    チレン−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリブタジエ
    ンラテックスおよびクロロフェノール系化合物を含有す
    る第2処理液で処理してなることを特徴とするゴム補強
    用ポリアミド繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1処理液における各成分の固形
    分換算重量比が、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエ
    ン共重合体ラテックス/スチレン−ブタジエン共重合体
    ラテックス:1/3〜3/1、レゾルシン・ホルムアル
    デヒド初期縮合物/ビニルピリジン−スチレン−ブタジ
    エン共重合体ラテックスとスチレン−ブタジエン共重合
    体ラテックスとの合計量:1/10〜1/2であり、前
    記第2処理液における各成分の固形分換算重量比が、ビ
    ニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ラテック
    ス/ポリブタジエンラテックス:1/3〜3/1、レゾ
    ルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物/ビニルピリジン
    −スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスとポリブタ
    ジエンラテックスとの合計量:1/10〜1/2、クロ
    ロフェノール系化合物/レゾルシン・ホルムアルデヒド
    初期縮合物とビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共
    重合体ラテックスとポリブタジエンラテックスとの合計
    量:1/10〜1/2であることを特徴とする請求項1
    に記載のゴム補強用ポリアミド繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリアミド繊維に対し前記第1処理液の
    付着量が固形分換算で1.0〜3.0重量%の範囲にあ
    り、前記第2処理液の付着量が固形分換算で1.5〜
    5.0重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のゴム補強用ポリアミド繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリアミド繊維に対し前記第1処理液
    および第2処理液を付与した後、それぞれ150〜25
    0℃の温度で乾熱処理し、次いで前記第2処理液を付
    与、乾熱処理したポリアミド繊維をさらに水蒸気処理し
    てなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に
    記載のゴム補強用ポリアミド繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 150℃の湿熱収縮率が2%以下であ
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の製造方法により得られたゴム補強用ポリアミド繊維。
  6. 【請求項6】 エチレン/プロピレン/ジエン三元共
    重合ゴム製ホースの補強材として使用することを特徴と
    する請求項5に記載のゴム補強用ポリアミド繊維。
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