JPH1122898A - 薄板補強用接着シートおよびそれを用いた補強体 - Google Patents

薄板補強用接着シートおよびそれを用いた補強体

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JPH1122898A
JPH1122898A JP17603697A JP17603697A JPH1122898A JP H1122898 A JPH1122898 A JP H1122898A JP 17603697 A JP17603697 A JP 17603697A JP 17603697 A JP17603697 A JP 17603697A JP H1122898 A JPH1122898 A JP H1122898A
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JP
Japan
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polymer composition
adhesive sheet
composition layer
layer
reinforcing
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JP17603697A
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English (en)
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Toshitake Nakagawa
寿壮 中川
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】亀裂に起因する膨れの発生を防止することによ
り充分な補強効果が得られる薄板補強用接着シートを提
供する。 【解決手段】一面側が粘着性を有し薄板に対する接着面
となる高分子組成物層20と、上記高分子組成物層20
の他面側に密着形成されたガラスクロス製補強基材層2
1とを備えており、しかも、上記高分子組成物層20
に、複数の紐状物22が所定間隔で埋設されている薄板
補強用接着シートである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車あるいは家
電製品等の薄板部材を補強するために用いられる薄板補
強用接着シートおよびそれを用いた補強体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】自動車や家電製品等において、製品の軽
量化等を図るために薄板部材が使用されている。この薄
板部材が使用されている箇所としては、例えば、自動車
のルーフ、フェンダー、フード、トランク、クォーター
パネル、ドア等があげられる。これらは、通常、構造強
度の向上等の見地から、補強部材が併用されている。こ
のような補強部材として、従来から金属製補強部材が使
用されてきた。この金属製補強部材は、スポット溶融や
接着剤等により上記薄板部材に貼着して使用されてい
る。しかし、この金属製補強部材は重量が重いため、車
両等の軽量化を阻害するという問題がある。また、上記
スポット溶融等を行うため取り付け工程が複雑化する等
の問題があり、またコストが高いという問題を有する。
さらに、上記スポット箇所から錆が発生しやすいという
問題もある。
【0003】そこで、上記金属製補強部材に代わるもの
として、高分子化合物を用いた補強方法が提案され一部
で実施されている。この方法は、アスファルトゴム、ブ
チルゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル酸
および不飽和ポリエステル樹脂等の高分子材料を用い、
製品とした時に裏面となる薄板部材の片面に補強層とな
る樹脂層を形成するという方法である。一方、エポキシ
樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とする発泡性の熱硬化性
樹脂組成物の未硬化層に、ガラスクロスを補強基材とし
て貼着した接着性シートを用い、これを薄板部材の片面
に貼着し補強する方法も提案されている。この接着性シ
ートは、例えば、図10に示すように、自動車のドア鋼
板10の内側に、上記接着性シートの未硬化層11を下
側にし、その粘着性等を利用して仮止めされ、車体の塗
料焼付け時に加えられる熱を利用して、上記未硬化層1
1を熱硬化・発泡させるとともに、ドア鋼板10の内側
に本止めされる。図10において、12はガラスクロス
製補強基材、13は窓ガラス、14は内張り材である。
この接着性シートは、ガラスクロス製補強基材が剛性を
有していて、その剛性により全体がいわば一枚の板状に
なっており、柔軟な状態ではないことから、仮止め時に
空気の抱き込みは生じない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにしてドア鋼板10を補強する場合、接着性シートの
面積が大きくなると、上記加熱終了後に冷却して室温に
戻す際に、ガラスクロス製補強基材12と硬化層との線
膨張率の差に起因する冷却収縮の差等によって歪み応力
が発生してそれが中央部分で応力集中し、その集中部分
に、図11に示すように、大きな亀裂15を生じ、その
亀裂発生部分のガラスクロス製補強基材12に局部的な
膨れ16が生じる。この膨れ16のような欠陥が生じる
と、設計どおりの補強効果が得られないのみならず、局
部的に膨れ16が生じることから、ドア鋼板10の内側
等、外部から見えにくい場合はともかく、ボンネットの
裏側やトランクの裏側等の肉眼で見える部分では美観が
損なわれることとなる。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、亀裂に起因する膨れの発生を防止することによ
り充分な補強効果が得られる薄板補強用接着シートおよ
びそれを用いた補強体の提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、一面側が粘着性を有し薄板に対する接着
面となる高分子組成物層と、上記高分子組成物層の他面
側に密着形成されたガラスクロス製補強基材層とを備
え、上記高分子組成物層に、複数の紐状物が所定間隔で
埋設されている薄板補強用接着シートを第1の要旨と
し、補強対象である薄板面上に、上記薄板補強用接着シ
ートが、その高分子組成物層により接着固定されている
補強体を第2の要旨とする。
【0007】すなわち、本発明は、粘着性を有する高分
子組成物層の片面にガラスクロス製補強基材層が密着形
成された薄板補強用接着シートであって、上記高分子組
成物層に、複数の紐状物が所定間隔で埋設されている。
このため、上記薄補強用接着シートを補強対象である薄
板面上に仮止めした後、加熱してシートを接着固定し、
ついで冷却する際に生じる歪み応力が、所定間隔で埋設
された上記複数の紐状物で吸収され応力集中が回避され
る。したがって、薄板に接着固定したシートの上記高分
子組成物層部分に亀裂が発生することがない。
【0008】そして、上記紐状物としてガラスロービン
グを用いると、問題となっていた加熱後の冷却収縮歪み
に起因する亀裂や膨れの発生をより一層効果的に防止す
ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。
【0010】本発明の薄板補強用接着シート(以下「接
着シート」と略す)は、高分子組成物層の片面にガラス
クロス製補強基材層が密着形成されてなるものであっ
て、上記高分子組成物層に、複数の紐状物が所定間隔で
埋設されている。
【0011】上記高分子組成物層の形成材料としては、
特に限定するものではなく、変性ゴム等の各種ゴム、熱
硬化性樹脂等があげられる。上記熱硬化性樹脂として
は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポ
リエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等の各種熱硬
化性樹脂があげられ、これらは単独でもしくは2種以上
併せて用いられる。なかでも、熱硬化性樹脂としてエポ
キシ樹脂を用いることが好適である。
【0012】上記エポキシ樹脂としては、グリシジルエ
ーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン
型、線状脂肪族エポキサイド型、脂環族エポキサイド型
等の各種エポキシ樹脂およびそれらの変性エポキシ樹脂
が用いられ、その特性に応じて単独でもしくは2種以上
併せて用いられる。
【0013】上記高分子組成物として熱硬化性樹脂を用
いる際には、通常、加熱活性硬化剤が配合される。この
加熱活性硬化剤としては、特に制限されるものではな
く、80〜200℃の範囲で活性を示すものであれば充
分使用することができる。具体的には、エポキシ樹脂の
主硬化剤としては、ジシアンジアミド、4,4′−ジア
ミノジフェニルスルホン、フェノール樹脂、各種の酸お
よび酸無水物、ポリアミドアミン等があげられる。この
硬化剤の配合割合は、熱硬化性樹脂100重量部(以下
「部」と略す)に対して、通常3〜30部、好ましくは
4〜20部の範囲に設定される。
【0014】さらに、上記高分子組成物において、熱硬
化性樹脂を用いた場合、上記硬化剤以外に、硬化促進
剤、充填剤、熱分解性発泡剤、発泡助剤、チクソ性付与
剤等の各種添加剤を必要に応じて適宜配合することがで
きる。
【0015】上記硬化促進剤としては、2−n−ヘプタ
デシルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、イソフタ
ル酸、アジピン酸、アジピン酸ジヒドラジド、グアニジ
ン系、N,N−ジアルキルチオ尿素誘導体等を使用する
ことができる。そして、この硬化促進剤の配合割合は、
通常、熱硬化性樹脂100部に対して10部以下、好ま
しくは0.3〜5部の範囲に設定される。
【0016】また、上記充填剤としては、炭酸カルシウ
ム、タルク、シリカ、アルミナ、酸化チタン等があげら
れる。この配合割合は、熱硬化性樹脂100部に対して
150部を超えないように設定される。好ましくは30
〜120部の範囲である。すなわち、充填剤の配合割合
が150部を超えると接着シートの接着性が低下する傾
向がみられるからである。
【0017】そして、本発明の接着シートの高分子組成
物形成材料としては、熱硬化性樹脂組成物のなかでも、
上記のようにエポキシ樹脂組成物を用いることが好まし
く、さらには、このエポキシ樹脂組成物に加熱により分
解発泡する発泡剤を添加した加熱発泡性エポキシ樹脂組
成物を用いることが好ましい。このような発泡剤を使用
することにより、接着シートを加熱したときに高分子組
成物層が多孔質となり、収縮応力の吸収が一層増大する
ようになる。また、高分子組成物層の厚みも厚くなるた
めに補強性や制振性も向上するようになる。この熱分解
性発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイ
ソブチロニトリル等のようなアゾ系化合物、ジニトロペ
ンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、パラトル
エンスルホニルヒドラジド、4,4′−オキシベンゼン
スルホニルヒドラジド等のヒドラジド系化合物等を使用
することができる。これらは単独でもしくは2種以上併
せて用いられる。また、接着シートの保存安定性の観点
から発泡剤の分解温度として100℃以上のものを使用
することが好ましい。そして、この配合割合は、熱硬化
性樹脂100部に対して0.5〜10部の範囲に設定す
ることが好ましい。特に好ましくは2〜8部の範囲であ
る。すなわち、0.5部未満では補強性等を充分に向上
させることができず、また10部を超えると発泡過剰と
なって、逆に補強性等が低下する傾向がみられるからで
ある。
【0018】さらに、上記熱分解性発泡剤と併せて発泡
助剤を使用することもできる。この発泡助剤としては、
亜鉛華等の無機物、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸、尿
素化合物等があげられる。この配合割合は、熱硬化性樹
脂100部に対し0.2〜7部の範囲に設定することが
好ましい。特に好ましくは0.5〜5部の範囲である。
すなわち、0.2部未満では発泡助剤としての充分な効
果を得ることができず、また7部を超えると逆に接着シ
ートの補強性を低下させる傾向がみられるからである。
【0019】そして、本発明においては、上記熱分解性
発泡剤とともにチクソ性付与剤を使用することが好まし
い。このチクソ性付与剤の使用により、加熱により形成
される熱硬化性樹脂層中の発泡セルが微小で均一なもの
となり、発泡後の樹脂強度および樹脂層の厚みが均一と
なる。また、チクソ性付与剤は、硬化中の熱硬化性樹脂
層の流動性を抑制するという作用も奏する。すなわち、
接着シートの取り付け作業において、熱硬化性樹脂層の
流動によるシートの薄板部分からのずれや脱落が起こる
おそれがある。そこで、チクソ性付与剤を使用すること
により熱硬化性樹脂層にチクソ性を付与し、上記流動を
抑制してシートの脱落等が防止される。
【0020】このようなチクソ性付与剤としては、アエ
ロジル、アスベスト繊維等があげられ、なかでも特に有
機ベントナイトを使用することが好ましい。この配合割
合は、熱硬化性樹脂100部に対して3〜30部の範囲
に設定することが好ましい。特に好ましくは5〜15部
の範囲である。すなわち、3部未満では、発泡剤による
樹脂の発泡やチクソ性の付与が不充分となり、薄板部材
からのシートのずれや脱落がおこる傾向がみられるから
である。逆に30部を超えると熱硬化性樹脂層の初期粘
着力が低下し、また熱硬化性樹脂との混合が困難になる
傾向がみられるからである。
【0021】さらに、本発明の接着シートの薄板部材か
らのずれや脱落を効果的に防止するため、熱硬化性樹脂
層に粘着性を付与することが好ましい。この粘着性を付
与する方法としては、例えば、粘着剤を配合する方法が
あげられる。この粘着剤としては、液状イソプレンゴ
ム、ニトリルゴム系、ポリブテン等があげられ、この配
合割合は、熱硬化性樹脂100部に対して5〜30部、
好ましくは10〜20部である。
【0022】そして、上記形成材料からなる高分子組成
物層にガラスクロス製補強基材層を積層形成することに
より、上記高分子組成物層の強度が一層向上することか
ら、接着シート全体の強度が向上する。このため、上記
高分子組成物層の厚みを薄く設定したとしても、所望の
強度が得られるようになる。
【0023】上記形成材料からなる高分子組成物層に積
層されるガラスクロス製補強基材としては、強度の向上
効果等を考慮した場合、坪量100〜400g/m2
範囲のものを用いることが好ましく、特に好ましくは1
50〜300g/m2 の範囲のものである。また、ガラ
スクロス製補強基材の厚みは0.1〜0.4mmの範囲
に設定することが好ましく、特に好ましくは0.15〜
0.25mmの範囲である。
【0024】また、上記ガラスクロス製補強基材は、メ
ラミン樹脂硬化体、エポキシ樹脂硬化体、ポリウレタ
ン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
あるいはこれらの複合体等の樹脂により目止め処理され
ていることが好ましい。
【0025】そして、上記高分子組成物層に埋設される
長尺の紐状物としては、各種の紐状物があげられる。例
えば、ガラスロービング、麻紐および綿糸や、ポリプロ
ピレン、ナイロン等のプラスチック製の紐またはテープ
等があげられる。なかでも、樹脂含浸されていないガラ
スロービングを用いることが好ましい。上記ガラスロー
ビング等の紐状物の重量は、上記高分子組成物層の厚み
にもよるが、0.5〜9.3g/mの範囲が好ましく、
特に好ましくは1〜3g/mである。
【0026】つぎに、本発明の接着シートは、上記材料
を用いて、例えば、つぎのようにして製造される。
【0027】すなわち、まず、高分子組成物層形成材料
を調製する。これは、例えば、上記熱硬化性樹脂および
必要に応じて粘着性付与剤を配合して混合釜にて溶解混
合する。そして、この熱硬化性樹脂組成物に、硬化剤、
硬化促進剤、充填剤、チクソ性付与剤、熱分解性発泡
剤、発泡助剤を必要に応じて配合し、ついでこれを通常
のミキシングロール等を用いて混練する。このようにし
て得られる熱硬化性樹脂組成物は、Bステージ状で粘稠
性を有していることが好ましい。
【0028】そして、図1に示す工程を経由することに
より接着シートを製造する。すなわち、セパレーターが
巻回されたロール1からセパレーター2を取り出し台3
上を通って矢印方向に連続的に搬送する。この工程にお
いて、まず、供給装置4から高分子組成物層形成材料5
をセパレーター2上に供給し、ロール6により所定の厚
みの高分子組成物層を形成する。ついで、この高分子組
成物層に、複数の紐状物7(図面では便宜上1本で示
す)を所定間隔で供給し、さらにガラスクロス製補強基
材が巻回されたロール8からガラスクロス製補強基材9
を供給し、ロール19により圧力を加える。このように
して、セパレーター2面上に高分子組成物層が形成さ
れ、この高分子組成物層に紐状物7が埋設され、さらに
高分子組成物層にガラスクロス製補強基材9が密着形成
された接着シートが連続に製造される。
【0029】このようにして製造された接着シートは、
適宜の大きさに切断されて使用されるとともに、その使
用時(薄板に仮止めする際)には上記セパレーター2を
剥離して用いる。
【0030】このようにして得られる接着シートは、図
2に示すように、高分子組成物層20の片面側に密着形
成されたガラスクロス製補強基材層21からなる2層構
造のシートであって、上記高分子組成物層20に、複数
の紐状物22が、一方方向に等間隔を保って埋設されて
いる。上記紐状物22同士の間隔は特に限定するもので
はないが、例えば、紐状物22同士の間隔を30〜10
0mmに設定することが好ましい。
【0031】そして、本発明の接着シートの、高分子組
成物層に埋設される複数の紐状物の埋設位置としては、
例えば、つぎのような複数のパターンがあげられ、いず
れの埋設パターンにおいても高分子組成物層の亀裂に起
因する膨れの発生を防止する効果が得られる。まず、紐
状物の埋設位置の第1パターンは、図3に示すように、
高分子組成物層20中の紐状物22は、ガラスクロス製
補強基材層21に接触した状態を維持するとともに、そ
の接触部分と反対側部分では高分子組成物が介在した状
態で埋設されている。つぎに、紐状物の埋設位置の第2
パターンは、上記第1のパターンとは逆の位置関係、す
なわち、図4に示すように、高分子組成物層20中の紐
状物22は、ガラスクロス製補強基材層21とは非接触
状態を維持するとともに、ガラスクロス製補強基材層2
1の反対側部分では紐状物22の一部が高分子組成物層
20から露呈した状態で埋設されている。また、紐状物
の埋設位置の第3パターンは、図5に示すように、高分
子組成物層20中の紐状物22は、ガラスクロス製補強
基材層21に接触した状態を維持するとともに、その接
触部分と反対側部分でも紐状物22の一部が高分子組成
物層20から露呈した状態で埋設されている。そして、
紐状物の埋設位置の第4パターンは、図6に示すよう
に、高分子組成物層20中の紐状物22は、ガラスクロ
ス製補強基材層21と非接触状態を維持するとともに、
ガラスクロス製補強基材層21と反対側部分では高分子
組成物が介在した状態で埋設された、いわゆる、紐状物
22が高分子組成物層20内に完全に埋没した状態で埋
設されている。このような紐状物22の埋設パターンの
なかでも、上記第1の埋設パターン(図3参照)に示す
埋設位置が特に好ましい。
【0032】また、本発明の接着シートの、高分子組成
物層に埋設される複数の紐状物としては、先に述べたよ
うに、紐状物が一辺に平行状態となるよう所定間隔で埋
設された状態に限定するものではない。例えば、図7に
示すように、高分子組成物層20中に紐状物22同士が
直角で交叉して碁盤目を形成するよう所定間隔で埋設さ
れた状態であってもよい。さらに、図8に示すように、
紐状物22が接着シートの一辺に対して平行ではなく所
定の角度を維持し、シートの隣合う辺同士にまたがって
斜め方向に等間隔で埋設した状態であってもよい。ま
た、図9に示すように、一方の紐状物22がシートの隣
合う辺同士にまたがって斜め方向に等間隔で埋設され、
この一方の紐状物22に対して直角に交叉して碁盤目を
形成するよう他方の紐状物22が埋設された状態であっ
てもよい。
【0033】上記高分子組成物層20の厚みに対する、
埋設される紐状物22の占める割合は、高分子組成物層
20の厚みの少なくとも1/2を占めるように設定する
ことが好ましい。特に好ましくは、高分子組成物層20
の厚みの60〜95%である。
【0034】上記製法により得られる本発明の接着シー
トにおいて、高分子組成物層20の厚みは0.3〜2.
5mmの範囲に設定することが好ましく、特に好ましく
は0.4〜1.3mmの範囲である。また、ガラスクロ
ス製補強基材21の厚みは、先に述べたように、厚み
0.1〜0.4mmの範囲に設定することが好ましく、
特に好ましくは0.15〜0.25mmの範囲である。
そして、接着シート全体の厚みとしては、0.5〜2.
7mmの範囲に設定することが好ましく、特に好ましく
は0.6〜1.5mmの範囲である。さらに、接着シー
トの大きさとしては、四角形状の場合、隣合う辺がそれ
ぞれ10cm以上に、かつ面積が100cm2 以上に設
定することが好ましい。特に好ましくは、隣合う辺がそ
れぞれ10〜40cmで、かつ面積が100〜1600
cm2 の範囲である。
【0035】本発明の接着シートは、例えば、高分子組
成物層が熱硬化性樹脂層の場合、熱硬化性樹脂層である
未硬化層の一面側の粘着性を利用して補強対象である薄
板の所定の場所に仮止めされ、その状態で加熱処理され
未硬化層が加熱硬化する。このとき、上記未硬化層中に
発泡剤が含有されている場合は、未硬化層の加熱硬化時
に発泡し全体の厚みが厚くなる。そして、上記未硬化層
の加熱硬化による硬化層化により、本発明の接着シート
は、薄板に強固に接着固定(本止め)され補強効果を奏
するようになる。そして、接着シートの熱硬化性樹脂層
には複数の紐状物が所定間隔で埋設されていることか
ら、加熱硬化後の冷却収縮時に、上記硬化層に冷却収縮
による歪みが生じても、それが上記複数の紐状物に吸収
され応力集中現象が発生しない。したがって、従来のよ
うに、硬化層に大きな亀裂が生じ、その亀裂に対応して
ガラスクロス製補強基材層に膨れが生じるというような
現象が生じない。
【0036】また、本発明の接着シートにおいて、例え
ば、高分子組成物層が熱硬化性樹脂層の場合、加熱硬化
により硬化層化した熱硬化性樹脂層に埋設された紐状物
は硬化層中で剥離状態であることが熱収縮時の応力緩和
の点から好ましい。
【0037】なお、本発明の接着シートは、自動車の外
板のような鋼板のみを対象とするものではなく、自動車
以外の各種車両や、冷蔵庫および洗濯機等の家電製品の
ボディ等一般に薄板が使用されている金属板等に対して
広く適用される。
【0038】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0039】
【実施例1】まず、高分子組成物層である熱硬化性樹脂
層の形成材料を調製した。すなわち、ダイマー酸変性エ
ポキシ樹脂(エピコート#871、油化シェル社製)4
5部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート#
1002、油化シェル社製)40部、液状イソプレンゴ
ム15部を混合釜を用いて溶融混合した。この混合物
に、さらに、イミダゾール系硬化剤(キュアゾールC11
Z)0.6部、ジシアンジアミド5部、タルク50部お
よび有機ベントナイト(チクソ性付与剤)15部、ヒド
ラジド系発泡剤4部を配合し、ミキシングロール機を用
いて混練することにより熱硬化性樹脂層形成材料を調製
した。
【0040】一方、坪量200g/m2 で厚み0.2m
mのガラスクロス製補強基材および重量1g/mのガラ
スロービングを準備した。
【0041】そして、先に述べた製造工程により本発明
の接着シートを製造した。すなわち、図1に示すよう
に、ロール1からセパレーター2を取り出し台3上を通
って矢印方向に連続的に搬送した。この工程において、
まず、供給装置4から高分子組成物層形成材料である熱
硬化性樹脂層形成材料5をセパレーター2上に供給し、
ロール6により所定の厚みの熱硬化性樹脂層を形成し
た。ついで、この熱硬化性樹脂層に、複数の紐状物(ガ
ラスロービング)7を所定間隔で供給し、さらにガラス
クロス製補強基材が巻回されたロール8からガラスクロ
ス製補強基材9を供給し、ロール19により圧力を加え
た。このようにして、セパレーター2面上に熱硬化性樹
脂層が形成され、この熱硬化性樹脂層に紐状物7が埋設
され、さらに熱硬化性樹脂層にガラスクロス製補強基材
が密着形成された接着シートを製造した。
【0042】このように連続して製造された接着シート
(熱硬化性樹脂層の厚み0.8mm、シート全体の厚み
1.0mm)を所定間隔で切断することにより、幅30
0mm×長さ400mmの大きさの接着シートを得た。
なお、ガラスロービング間の間隔は80mmに設定し、
長手方向に平行状態で幅300mm内に等間隔で4本の
ガラスロービングを埋設した。また、ガラスロービング
の埋設パターンは、図3に示すように、熱硬化性樹脂
(エポキシ樹脂)層20内において、ガラスロービング
22がガラスクロス製補強基材層21に接触した状態を
維持するとともに、その接触部分と反対側部分では熱硬
化性樹脂が介在した状態で埋設されている。
【0043】
【実施例2〜6】ガラスロービングの種類(直径、単位
重量)およびガラスロービング間の間隔を下記の表1に
示す値に変えた。それ以外は実施例1と同様にして本発
明の接着シートを得た。
【0044】
【表1】
【0045】
【比較例】ガラスロービングを埋設しなかった。それ以
外は実施例1と同様にした。すなわち、熱硬化性樹脂層
中にガラスロービングを埋設せず、熱硬化性樹脂層にガ
ラスクロス製補強基材層のみが密着形成された2層構造
の接着シート(熱硬化性樹脂層の厚み0.8mm、シー
ト全体の厚み1.0mm)を作製した。
【0046】このようにして得られた実施例および比較
例の各接着シートを用いて、下記に示す方法に従い各種
特性試験を行った。これらの結果を後記の表2に示す。
【0047】〔亀裂発生試験〕薄板として鋼板(寸法:
200×400×厚み0.8mm)を用い、これに接着
シート(寸法:150×350mm)を、熱硬化性樹脂
層の粘着性を利用して仮止めし、ついで180℃の硬化
炉中に30分間入れて加熱硬化および発泡させた。その
後、室温において空冷し、ついで上記接着シートを切断
し、硬化層部分の亀裂の有無を目視にて調べた。その結
果、亀裂が全く確認されなかったものを○、亀裂が確認
されたものを×として表示した。
【0048】〔膨れ試験〕上記亀裂発生試験と同様の条
件で各接着シートを鋼板に仮止めして加熱硬化させた
後、室温で空冷したときに、ガラスクロス製補強基材表
面に膨れが発生したか否かを目視により観察した。その
結果、ガラスクロス製補強基材表面に膨れが全く確認さ
れなかったものを○、膨れが確認されたものを×として
表示した。
【0049】〔曲げ強度試験〕薄板として冷間圧延鋼板
(寸法:200×400×厚み0.8mm)を用い、こ
れに接着シート(寸法:150×350mm)を、熱硬
化性樹脂層の粘着性を利用して仮止めし、その状態で1
80℃の硬化炉中に30分間入れて加熱硬化および発泡
させた。その後、室温において空冷し曲げ試験に供し
た。この曲げ試験は、図12に示すように、接着シート
25を接着した鋼板の両端を各支持部材26で支持し、
中央に荷重Pを加え、その撓み量を調べることにより行
った。なお、図12において、斜線部分は接着シートを
示す。この条件としては、各支持部材26間の距離(ス
パン)Lは100mmで荷重速度V=5mm/minと
した。
【0050】
【表2】
【0051】上記表2の結果から、実施例品は、加熱硬
化後の冷却収縮歪みに起因する亀裂や膨れが全く見られ
ず、しかも高強度を有しており高い補強効果が得られた
ことがわかる。これに対して、比較例品は冷却収縮に起
因する亀裂および膨れが発生しており、曲げ強度の値も
低いことから補強効果に劣っていることは明らかであ
る。
【0052】
【発明の効果】以上のように、本発明は、粘着性を有す
る高分子組成物層の片面にガラスクロス製補強基材層が
密着形成された接着シートであって、上記高分子組成物
層に、複数の紐状物が所定間隔で埋設されている。この
ため、上記接着シートを補強対象である薄板面上に仮止
めした後、加熱してシートを接着固定し、ついで冷却す
る際に生じる歪み応力が、所定間隔で埋設された上記複
数の紐状物で吸収され応力集中が回避される。したがっ
て、薄板に接着固定したシートの上記高分子組成物層部
分に亀裂が発生することがない。その結果、亀裂に基づ
く補強効果の低減や、この亀裂に起因して生じるガラス
クロス製補強基材層の局部的な膨れが生じない。
【0053】そして、上記紐状物としてガラスロービン
グを用いた場合、問題となっていた加熱後の冷却収縮歪
みに起因する亀裂や膨れの発生をより一層効果的に防止
することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接着シートの製造工程を示す模式図で
ある。
【図2】本発明の接着シートの一例を示す断面斜視図で
ある。
【図3】本発明の接着シートの紐状物の埋設位置(第1
パターン)を示す断面図である。
【図4】本発明の接着シートの紐状物の埋設位置を(第
2パターン)示す断面図である。
【図5】本発明の接着シートの紐状物の埋設位置を(第
3パターン)示す断面図である。
【図6】本発明の接着シートの紐状物の埋設位置を(第
4パターン)示す断面図である。
【図7】本発明の接着シートの他の例を示す断面斜視図
である。
【図8】本発明の接着シートのさらに他の例の一部分を
示す平面図である。
【図9】本発明の接着シートの他の例の一部分を示す平
面図である。
【図10】自動車ドアの補強状態を示す断面図である。
【図11】従来の接着性シートに亀裂が発生した状態を
示す断面斜視図である。
【図12】曲げ強度試験の試験方法を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
20 高分子組成物層 21 ガラスクロス製補強基材層 22 紐状物(ガラスロービング)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一面側が粘着性を有し薄板に対する接着
    面となる高分子組成物層と、上記高分子組成物層の他面
    側に密着形成されたガラスクロス製補強基材層とを備
    え、上記高分子組成物層に、複数の紐状物が所定間隔で
    埋設されていることを特徴とする薄板補強用接着シー
    ト。
  2. 【請求項2】 上記高分子組成物が熱硬化性樹脂組成物
    である請求項1記載の薄板補強用接着シート。
  3. 【請求項3】 上記熱硬化性樹脂組成物がエポキシ樹脂
    組成物である請求項2記載の薄板補強用接着シート。
  4. 【請求項4】 上記紐状物がガラスロービングである請
    求項1〜3のいずれか一項に記載の薄板補強用接着シー
    ト。
  5. 【請求項5】 補強対象である薄板面上に、上記請求項
    1〜4のいずれか一項に記載の薄板補強用接着シート
    が、その高分子組成物層により接着固定されていること
    を特徴とする補強体。
JP17603697A 1997-07-01 1997-07-01 薄板補強用接着シートおよびそれを用いた補強体 Pending JPH1122898A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002283526A (ja) * 2001-03-27 2002-10-03 Nitto Denko Corp 加熱硬化型薄鋼板補強用接着シート
JP2014088756A (ja) * 2012-10-02 2014-05-15 Hayashi Bussan Co Ltd 案内標識
KR20200073377A (ko) * 2018-12-14 2020-06-24 경남대학교 산학협력단 단위셀 및 단위셀을 포함하는 샌드위치 판재

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JP2014088756A (ja) * 2012-10-02 2014-05-15 Hayashi Bussan Co Ltd 案内標識
KR20200073377A (ko) * 2018-12-14 2020-06-24 경남대학교 산학협력단 단위셀 및 단위셀을 포함하는 샌드위치 판재

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