JP3087393B2 - パネル補強用シート材料およびそれを用いた車輛外板パネル構造体 - Google Patents

パネル補強用シート材料およびそれを用いた車輛外板パネル構造体

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JP3087393B2
JP3087393B2 JP03301307A JP30130791A JP3087393B2 JP 3087393 B2 JP3087393 B2 JP 3087393B2 JP 03301307 A JP03301307 A JP 03301307A JP 30130791 A JP30130791 A JP 30130791A JP 3087393 B2 JP3087393 B2 JP 3087393B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なパネル補強用シ
ート材料およびそれを用いた車輛外板パネル構造体に関
し、さらに詳しくは、車輛外板パネルの油面に対する粘
着性に優れ、加熱により発泡、硬化して良好な耐熱性、
断熱性、防錆性、補強性および軽量性を有する補強用発
泡シートを与えることができるパネル補強用シート材
料、およびそれを用いた剛性に優れ、かつ軽量な車輛外
板パネル構造体に関する。本発明のパネル補強用シート
材料は、特に、電着塗装前の車輛外板パネルの補強用と
して好適である。
【0002】
【従来の技術】従来より、金属パネルは、自動車、建築
物、家具など、種々の産業分野で構造体として広く用い
られている。この金属パネルは、強度や耐久性に優れる
特徴を有するものの、比重が高いため重く、かつ熱伝導
性が高いため断熱性に乏しいなどの欠点を有している。
【0003】一方、近年、省資源・省エネルギーの観点
から、車輛や建材などにおいては、構造体を形成する金
属パネルの板厚を薄くして軽量化が進められているが、
そのため、構造体の強度が低下するという問題が生じ
る。例えば、自動車のドアの場合、外板パネルの板厚を
薄くすると、強度低下により面の張り剛性が不足し、堅
固感が不足するのを免れない。
【0004】このような問題を解決するために、例え
ば、エポキシ樹脂を主成分とするシートをドアパネルの
一部に貼り付け、自動車の塗装乾燥炉で硬化させること
によりドアパネルを補強することが提案されている(実
開昭55−101659号公報)。しかしながら、この
複合構造体においては、シートをパネルの一部に貼り付
けるだけでは補強効果が不十分であり、全面に貼ると軽
量化の目的が達成できないという欠点がある。
【0005】また、車輛や建材などにおいては、外部か
らの熱の流出入を防止する方法として、金属パネルの裏
面にガラスウール、フェルト、発泡ウレタンなどの断熱
材を設けることが行われている。しかしながら、この方
法は、冷暖房効果を高め、結露を防止するには有効であ
るものの、使用する断熱材は、予め成形された成形品で
あって、大型のため取付け作業に時間を要するという問
題を有している。
【0006】これに対し、車輛外板パネル構造体におい
て、作業性がよく、軽量で断熱性および補強性を併せも
つパネル構造体を製造する種々の方法が提案されてい
る。例えば、(1)高剛性化による堅固感を向上させる
ため、ペースト用塩化ビニル樹脂、可塑剤、発泡剤など
から成るプラスチゾル組成物に、液状エポキシ樹脂と加
熱活性型硬化剤を含有させた組成物をパネル裏面に塗布
するか、あるいは予めセミゲル化シートとして貼付した
後、加熱して発泡、硬化させる方法(特開昭63−28
475号公報)、(2)塩化ビニル樹脂、可塑剤、高温
分解型発泡剤、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂用加熱
活性型硬化剤を必須成分とする発泡性組成物から成る第
1層と、繊維製クロスから成る第2層と、金属薄膜から
成る第3層とを積層したシートをパネル裏面に貼り付
け、次いで加熱して発泡、硬化させる方法(特開昭63
−272515号公報)などが提案されている。
【0007】しかしながら、これらの方法は、発泡性組
成物に、ポリマー成分として塩化ビニル樹脂を用いてい
るため、防錆油などが塗布されて油面を有する金属パネ
ルに対する粘着性(油面粘着性)に劣る上、発泡、硬化
して得られたシートが耐熱性に劣ることから、電着塗装
後の車輛外板パネルには適用できるが、電着塗装前の車
輛外板パネルには適用が困難であるという欠点を有して
いる。
【0008】自動車産業においては、生産性の向上や使
用部位の拡大の観点から、電着塗装前の車輛外板パネル
に補強用シート材料を設けることが強く望まれている。
この電着塗装前の車輛外板パネルに設けられる補強用シ
ート材料としては、(1)電着塗装前の外板パネルに
は、通常、防錆油が塗布されているため、油面粘着性に
優れていることが貼付作業上要求され、(2)電着塗装
工程における180℃以上の焼付温度に耐える耐熱性を
有する必要があり、しかも(3)電着塗装前に施工する
ために、外板パネルと補強材との積層界面における高度
な防錆性が要求される。しかしながら、従来、このよう
な諸特性を有するパネル補強用シート材料は提案されて
いない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、油面
粘着性に優れるとともに、加熱により発泡、硬化して良
好な耐熱性、断熱性、防錆性、補強性および軽量性を有
する補強用発泡シートを与えることができるパネル補強
用シート材料を提供することにある。また、本発明の目
的は、特に電着塗装前に金属パネル補強用として施工で
きる作業性のよいパネル補強用シート材料を提供するこ
とにある。本発明の他の目的は、このようなパネル補強
用シート材料を用いて補強されて成る剛性および軽量性
に優れ、かつ防錆性に優れた車輛外板パネル構造体を提
供することにある。
【0010】本発明者らは、前記の望ましい諸特性を有
するパネル補強用シート材料および車輛外板パネル構造
体を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の組成物か
ら成る第1層、発泡剤を含有する特定の発泡性組成物か
ら成る第2層、および繊維製クロスから成る第3層をこ
の順に積層し、所望により特定の厚さの金属薄膜から成
る第4層をさらに積層した構造のパネル補強用シート材
料、およびこのシート材料を車輛外板パネルの裏面上に
該シート材料の第1層外表面が接するように貼付し、加
熱して発泡、硬化させて成る車輛外板パネル構造体が前
記目的に適合し得ることを見いだし、これらの知見に基
づいて本発明を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、(1)(A)エポキシ樹脂、(B)ゴム弾性体およ
び分子中にハロゲン原子を含有しない粉末状の熱可塑性
樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種のポリマ
ー、(C)エポキシ樹脂用加熱活性型硬化剤、(D)中
性ないしはアルカリ性の無機充填剤、および所望により
(E)25℃における水に対する溶解度が25ppm以
下の可塑剤を含有し、かつ、(A)成分と(B)成分の
重量比(A/B)が0.2〜5の範囲内である組成物か
ら成る第1層、
【0012】(2)前記(A)、(B)、(C)、
(D)および(E)成分を必須成分とし、さらに(F)
高温分解型発泡剤を含有する発泡性組成物から成る第2
層、および(3)繊維製クロスから成る第3層がこの順
に積層された構造のパネル補強用シート材料が提供され
る。
【0013】また、本発明によれば、前記の第1層、第
2層および第3層がこの順に積層され、さらに厚さ50
μm以下の金属薄膜から成る第4層が第3層の外表面上
に積層された構造のパネル補強用シート材料が提供され
る。
【0014】さらに、本発明によれば、これらのパネル
補強用シート材料を、車輛外板パネルの裏面上に該シー
ト材料の第1層外表面が接するように貼付した後、加熱
して発泡、硬化させて成る車輛外板パネル構造体が提供
される。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。 (エポキシ樹脂)本発明で用いられるエポキシ樹脂(A
成分)は、分子中に1個以上のエポキシ基を有するもの
であって、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノー
ルF型、レゾルシン型、水素化ビスフェノールA型など
のジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノ
ボラック型やクレゾールノボラック型などのポリグリシ
ジルエーテル型エポキシ樹脂;フタル酸、ヘキサヒドロ
フタル酸、テトラヒドロフタル酸などのグリシジルエス
テル型エポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹
脂;線状脂肪族エポキシ型エポキシ樹脂などが挙げられ
る。これらの中でも室温(15〜30℃)で液状のエポ
キシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂は、それぞ
れ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用するこ
とができる。
【0016】(ポリマー)本発明では、ポリマー成分
(B成分)として、ゴム弾性体および分子中にハロゲン
原子を含有しない粉末状の熱可塑性樹脂からなる群より
選ばれる少なくとも一種のポリマーを使用する。
【0017】本発明で使用するゴム弾性体としては、例
えば、クロロプレンゴム、ブタジエン−アクリロニトリ
ルゴム、カルボキシル変性ブタジエン−アクリロニトリ
ルゴム、エポキシ変性ブタジエン−アクリロニトリルゴ
ム、ブタジエンゴム、イソプレンゴムなどを挙げること
ができる。ゴム弾性体は、固体のみならず粘稠液状のも
のも使用することができる。
【0018】本発明で使用する分子中にハロゲン原子を
含有しない粉末状の熱可塑性樹脂としては、例えば、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、ポリフェニレンエーテ
ル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリロニ
トリル−スチレン共重合体、ポリアミド、ポリビニルブ
チラール、ポリビニルアセタール、ポリメチルアクリレ
ートなどのポリ(メタ)アクリレート系樹脂、アクリロ
ニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メチルメタ
クリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチ
レンなどを挙げることができる。
【0019】塩化ビニル樹脂などの分子中にハロゲン原
子を有する熱可塑性樹脂は、油面粘着性や耐熱性に劣る
ため、本発明では使用しない。本発明で使用する熱可塑
性樹脂は、平均粒径が通常150μm以下、好ましくは
100μm以下の粉末状のものである。粉末状であるこ
とにより、エポキシ樹脂と均一な組成物を形成し、良好
な発泡体を得ることができる。
【0020】これらのゴム弾性体や熱可塑性樹脂は、そ
れぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用す
ることができる。
【0021】また、これらのゴム弾性体や熱可塑性樹脂
は、室温で液状エポキシ樹脂に不溶であり、少なくとも
80〜150℃の温度範囲においてエポキシ樹脂と混和
分散しうるものであることが耐熱性の観点から望まし
い。
【0022】ここで、混和分散というのは溶解とは異な
り、液状または固体状のB成分ポリマーが150μm以
下の大きさで液状のエポキシ樹脂中に均一に分散するこ
とである。本発明の車輛外板パネル構造体は、通常2段
階の加熱工程を要する。まず、パネル補強用シート材料
の製造工程において、80〜150℃の範囲の温度に加
熱して、このA及びB成分が混和分散した柔軟な予備成
形体を形成し、次いで、得られたシート材料を車輛外板
パネルの表面に貼付し、発泡、硬化させる工程におい
て、通常150℃以上の温度に加熱する。発泡、硬化工
程では、まず、B成分のポリマーは溶融することが必要
であり、したがってB成分が熱可塑性樹脂の場合は15
0℃以上で溶融するものであることが必要である。この
段階で、エポキシ樹脂とポリマーの均質な親和体を形成
させるが、B成分は1μm以下の大きさに、特に、発泡
体層においては、形成するセルの大きさ以下に、微細分
散していることが好ましい。
【0023】エポキシ樹脂(A成分)とポリマー(B成
分)との配合割合は、A成分/B成分の重量比で0.2
〜5の範囲である。この重量比が0.2未満では、第2
層において硬質の発泡体が得られ難い。この重量比が5
を超えると、硬化反応時の発熱が大きいためポリマー成
分の分解が生じたり、あるいは第2層において発泡剤の
分解ガスによる膨張が抑制され、高倍率の発泡体が得ら
れにくくなる。この重量比は、好ましくは0.4〜4の
範囲である。
【0024】(エポキシ樹脂用加熱活性型硬化剤)エポ
キシ樹脂用加熱活性型硬化剤(C成分)としては、加熱
により硬化作用を発揮する通常のエポキシ樹脂用の硬化
剤を使用することができる。
【0025】この硬化剤は、エポキシ樹脂との組み合わ
せで発熱ピーク温度が100〜200℃の範囲にあるも
のが好ましく、例えば、ジシアンジアミド、4,4′−
ジアミノジフェニルスルホン、2−n−ヘプタデシルイ
ミダゾールのようなイミダゾール誘導体、イソフタル酸
ジヒドラジド、N,N−ジアルキル尿素誘導体、N,N
−ジアルキルチオ尿素誘導体、テトラヒドロ無水フタル
酸のような酸無水物、イソホロンジアミン、m−フェニ
レンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、三フッ化
ホウ素錯化合物、トリスジメチルアミノメチルフェノー
ルなどが挙げられる。
【0026】これらの硬化剤は、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて用いることができる。硬化
剤の使用割合は、エポキシ樹脂100重量部当たり、通
常1〜20重量部の範囲である。この使用割合が1重量
部未満では、硬化が不十分で発泡体層の剛性が不足し、
逆に、20重量部を超えると、それ以上発泡体層の剛性
は向上せず、経済的に不利となる。
【0027】本発明において、硬化温度とは、エポキシ
樹脂と硬化剤を室温で混合したものをオイルバス、ヒー
ターなどで昇温させたとき、硬化によって発生する発熱
がピークとなるような媒体の温度を指す。加熱条件に応
じた好ましいエポキシ樹脂と硬化剤の組み合わせと量比
は、予め試験することにより容易に決定することができ
る。
【0028】本発明においては、例えば、アルコール
系、フェノール系、メルカプタン系、ジメチルウレア
系、脂環族系、さらにはイミダゾール、モヌロン、クロ
ロトルロンなどの硬化促進剤を必要に応じて硬化剤とと
もに併用することができる。
【0029】(中性またはアルカリ性の無機充填剤)本
発明では、軽量化のためにパネル補強材の発泡体層が重
要な役割を有しているが、硬質で緻密な発泡体を形成さ
せるために、特に第2層におけるポリマー成分と可塑剤
成分が重要な因子となる。ところが、単一セル(気泡)
の膜厚は0.1mm以下と薄く、しかも液状の可塑剤成
分を多く含むため、独立気泡率が90%以上になるよう
な発泡体でも水中に数カ月浸漬すると、わずかではある
が水分が浸透し、その結果、パネル補強材を施工した金
属面での錆の発生を完全に防止できないことがある。そ
こで、検討したところ、第1層と第2層、特に第1層に
中性ないしはアルカリ性の無機充填剤(D成分)を配合
した組成物を使用すると、十分な防錆性が得られること
がわかった。
【0030】無機充填剤の中でも、特にアルカリ性の無
機充填剤が有効であり、例えば、タルク(pH9.
2)、亜鉛華(pH9.0)、硅酸カルシウム(pH9
〜10)、アルミナ(pH8.2)、炭酸カルシウム
(pH8.8)などを挙げることができる。
【0031】無機充填剤は、それぞれ単独で、あるいは
2種以上を組み合わせて使用することができ、その配合
割合は、ポリマー(B成分)100重量部に対して、通
常0.1〜200重量部、好ましくは1〜150重量
部、より好ましくは3〜100重量部である。充填剤の
配合割合が過小であると、十分な防錆効果を得ることが
できず、逆に、200重量部を超えると発泡体層の気泡
の微細性が失われたり、発泡倍率が上がらないため、好
ましくない。
【0032】(可塑剤)本発明では、第1層の組成物に
は所望により、第2層の発泡性組成物には必須成分とし
て、25℃における水に対する溶解度が25ppm以下
の可塑剤(E成分)を含有せしめる。
【0033】可塑剤は、エポキシ樹脂(A成分)とポリ
マー(B成分)を安定に混和分散する作用を有するとと
もに、第2層の場合には、発泡性組成物の溶融粘度を調
整する役割をも有している。
【0034】可塑剤としては、例えば、フタル酸エステ
ル類、リン酸エステル類、脂肪酸エステル類、ポリエス
テル類、トリメリット酸トリエステル類、塩素化パラフ
ィン、アルキルベンゼン、高分子量アロマチックなどの
可塑剤であって、25℃における水に対する溶解度が2
5ppm以下、好ましくは20ppm以下のものが使用
される。汎用の可塑剤としては、例えば、りん酸トリク
レジル(TCP)やフタル酸ジイソヘプチル(DHP)
などが好ましい。
【0035】これらの可塑剤は、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて使用することができる。た
だし、25℃における水に対する溶解度が25ppmを
越える可塑剤を使用すると、金属パネルとの界面におけ
る防錆性が低下する。
【0036】可塑剤の配合割合については、特に制限は
ないが、ポリマー(B成分)100重量部当たり、通常
10〜150重量部の範囲で配合される。可塑剤の配合
割合が150重量部を超えると硬度が低くなり、十分な
補強効果が発揮できないため好ましくない。また、第2
層の場合には、可塑剤の配合割合が10重量部未満で
は、加熱発泡の際に好適な粘弾性を得ることができず、
良好な発泡体が得られない。
【0037】なお、第2層の発泡性組成物には、緻密な
セルを形成させるために、可塑剤は不可欠な成分である
が、第1層の組成物の場合には、該組成物が加熱硬化す
る際に発生する収縮歪みの金属パネルに与える影響が問
題とならない時には使用しなくとも良い。
【0038】(高温分解型発泡剤)第2層の発泡性組成
物の成分として用いられる高温分解型発泡剤としては、
有機発泡剤、無機発泡剤、高温膨張型マイクロカプセル
など各種の発泡剤を用いることができる。
【0039】有機発泡剤としては、例えば、アゾジカル
ボンアミド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、ジニ
トロソペンタメチレンテトラミン、4,4′−オキシビ
スベンゼンスルホニルヒドラジドなどが挙げられる。こ
れらの有機発泡剤の分解温度は、発泡性組成物中に尿
素、亜鉛化合物、鉛化合物などを添加することにより、
適宜調整することができる。
【0040】無機発泡剤としては、例えば、炭酸水素ナ
トリウム、水素化ホウ素ナトリウムなど挙げられる。高
温膨張型マイクロカプセルとしては、例えば、塩化ビニ
リデン樹脂で低沸点炭化水素をカプセル化したものなど
が挙げられる。
【0041】これらの発泡剤の中でも、特に、分解温度
が100℃以上の有機発泡剤が発泡性組成物のシート化
のしやすさ、発泡体の外観、発泡の均質性や緻密性など
の点から、好適である。分解温度が100℃未満の有機
発泡剤では、予備成形のシート化の際に発泡が始まった
り、加熱炉での発泡時に樹脂の溶融が不十分でガスが抜
けて発泡倍率が上がらなかったり、均質な発泡体が得ら
れにくい。
【0042】発泡剤の配合割合は、ポリマー(B成分)
100重量部当たり、通常0.5〜15重量部の範囲で
ある。発泡剤の配合割合が0.5重量部未満では発泡が
不十分となり、15重量部を越えるとそれ以上発泡倍率
の向上効果がみられず、経済的に不利である。
【0043】(組成物)本発明のパネル補強用シート材
料の第1層を形成する組成物は、エポキシ樹脂(A成
分)、ポリマー(B成分)、エポキシ樹脂用加熱活性型
硬化剤(C成分)、および中性ないしはアルカリ性の無
機充填剤(D成分)を必須成分として含有し、25℃に
おける水に対する溶解度が25ppm以下の可塑剤(E
成分)を任意成分として含有する非発泡性の組成物であ
る。
【0044】本発明のパネル補強用シート材料の第2層
を形成する組成物は、前記A成分、B成分、C成分、D
成分およびE成分を必須成分として含有するとともに、
高温分解型発泡剤(F成分)を含有する発泡性組成物で
ある。
【0045】これら各成分の好ましい配合割合は、前記
したとおりであるが、これらの成分以外に、所望により
さらに熱安定剤、気泡調整剤、着色剤などを配合するこ
とができる。これら任意成分の配合割合は、通常、ポリ
マー(B成分)100重量部に対して、熱安定剤は0〜
10重量部、気泡調整剤は0〜10重量部の範囲であ
り、着色剤は適宜量用いられる。熱安定剤および気泡調
整剤は、10重量部より多くしても量の割には効果の向
上が認められない。
【0046】前記組成物および発泡性組成物は、前記各
成分の所定量を例えばプラネタリーミキサー、ニーダ
ー、ロール、ヘンシェルミキサーなどの公知の混練機で
混練することにより、調製することができる。
【0047】(パネル補強用シート材料)本発明のパネ
ル補強用シート材料には、前記のようにして調製された
組成物から成る第1層と、発泡性組成物から成る第2層
と、繊維製クロスから成る第3層とがこの順に積層され
た3層構造のもの、および厚さ50μm以下の金属薄膜
から成る第4層が第3層の外表面上に積層された4層構
造のものとがあり、通常80〜150℃の温度範囲に加
熱して、第1層および第2層を柔軟な予備成形体とす
る。
【0048】パネル補強用シート材料における第1層
は、金属パネルとの粘着面を形成するとともに、防錆性
や衝撃剥離強度を付与する役割を有している。第1層の
厚さは、適宜定めることができるが、通常0.1〜0.
5mm程度である。
【0049】第2層は、硬質の発泡体層を形成して、軽
量化に寄与し、断熱性を付与する。また、この発泡体層
は、第1層の非発泡体層、第3層の繊維製クロス層、さ
らに所望により第4層の金属薄膜層と複合体を形成する
ことにより、軽量化と同時に剛性を付与する役割を有し
ている。第2層の厚さについても適宜定めることができ
るが、通常0.5〜5.0mm程度である。
【0050】第3層に用いられる繊維製クロスについて
は、特に制限はなく、例えば、有機または無機の繊維を
織ったもの、あるいは短繊維をバインダーで結合して成
る網状、布状、膜状、マット状のものなど、いずれも用
いることができる。繊維製クロスは、加熱工程に耐用性
のある材料から成るものが望ましく、加熱工程において
変形、収縮するものでは平滑な表面が得られにくい。ま
た、繊維製クロスは、厚さが1mm以下のものが好まし
く、1mmを越える厚さのものではシート全体の重量や
嵩が増し、作業性が低下する。
【0051】耐熱性繊維としては、例えば、木綿、ポリ
エステル、ナイロン、ポリアミド、炭素、ガラス、金属
などの繊維が挙げられるが、これらの中でもガラス繊維
が作業性や性能の面から特に好適である。
【0052】第4層に用いられる金属薄膜は、発泡体層
を支持する面状基材であって、発泡性組成物の塗布、パ
ネル補強用シート材料の運搬や金属パネルへの貼付を容
易にするなど、作業性の改善と同時に、パネル構造体と
したときの補強材の表面強度、遮断性、制振性を向上す
る機能を付与するものである。したがって、金属薄膜と
しては、剛直で伸縮性がなく、しかも柔軟で軽量である
などの特性を有するものが望ましい。
【0053】このような金属薄膜としては、厚さ50μ
m以下の金属箔、例えば、アルミニウム、ステンレスス
チール、亜鉛、スズ、ニッケル、銅、鉄などの箔が用い
られる。これらの中でも、特にアルミニウム箔は、展延
性、軽量性が良く、経済性の面でも最も優れている。金
属薄膜は、厚さが50μmを越えると、重量が大きくな
るばかりでなく、柔軟性が低下するため、曲面のあるパ
ネルに貼り付けた際、形状になじまず、均質な肉厚の発
泡体層が得られにくくなる。
【0054】本発明のパネル補強用シート材料の製造方
法は、第1層の組成物および第2層の発泡性組成物が液
状である場合には、(1)繊維製クロス、あるいは繊維
製クロスと金属薄膜とが予め積層された膜材の繊維製ク
ロス面に、これらの発泡性組成物および組成物をそれぞ
れ直接連続して(ウエット オン ウエット)塗布し、
発泡剤の分解温度より低い80〜150℃の温度で予備
成形、固化させる方法、(2)組成物および発泡性組成
物を離型紙やスチールベルト上にそれぞれ塗布加熱して
第1層と第2層を積層シート化しておき、次いで発泡性
組成物層の上に、繊維製クロス、あるいは繊維製クロス
と金属薄膜を積層する方法、(3)第1層の組成物層を
離型紙に、第2層の発泡性組成物層を繊維製クロス、あ
るいは繊維製クロスと金属薄膜とが予め積層された膜材
の繊維製クロス面に、各々塗布し、予備成形してから両
者を積層する方法、(4)前記(3)の方法において、
片方の層のみ加熱固化して他方の層を貼り合せてから再
加熱固化する方法などがあり、これらの方法により一体
的に積層されたシート材料を得ることができる。
【0055】また、組成物および発泡性組成物が固体状
である場合には、(5)組成物および発泡性組成物をカ
レンダー成形や押出成形などによりそれぞれ膜状に成形
して積層した後、発泡性組成物層の上に繊維製クロス、
あるいは繊維製クロスと金属薄膜を圧着や接着剤により
積層する方法、(6)発泡性組成物および組成物に適当
な溶剤を加えて液状にし、繊維製クロス、あるいは繊維
製クロスと金属薄膜とが予め積層された膜材のクロス面
に、それぞれ連続して(ウエット オン ウエット)塗
布した後、溶剤を揮散させてシート化する方法などが好
ましく用いられる。
【0056】これらの方法の中で、前記(1)の方法が
好ましく、この場合、第1層と第2層の組成物間に粘度
差を与えることが好ましい。また、取扱を容易にするた
め、第1層の表面には、所望に応じて離型紙を設けても
よい。このようにして得られた本発明のパネル補強用シ
ート材料は、弾性に富む柔軟なものであって、巻取り、
切断、運搬が容易である。
【0057】(車輛用外板パネル構造体)本発明の車輛
外板パネル構造体は、前記パネル補強用シート材料を車
輛外板パネルの裏面上に該シート材料の非発泡性組成物
層(第1層)が接するように貼付した後、通常150℃
以上に加熱して発泡、硬化させて成るものである。
【0058】パネル補強用シート材料の第1層外表面
は、十分な粘着性を有しているため、粘着剤や接着剤を
使用しなくても、車輛用外板パネル裏面に押しつけるだ
けで容易に密着し、該パネルに防錆油が塗布されている
場合であっても良好な密着性を示す。
【0059】本発明のパネル補強用シート材料において
は、エポキシ樹脂がシート化の過程でゴム弾性体や熱可
塑性樹脂に加熱吸収されるが、吸収されきれないエポキ
シ樹脂がシート中に残留し、粘着性を示すものと考えら
れる。このような現象は、当初全く予想されなかったも
のであり、実用性能上、画期的なものであるということ
ができる。従来、発泡した成形品やフェルトなどの断熱
材を、粘着剤や接着剤を使用して貼付ける方法に比べ、
薄くて柔軟なシート材料を、圧着するだけで極めて容易
に施工でき、しかも、外板パネルの形状に合わせて、均
一に全面貼付することができる。
【0060】もちろん、より粘着性を高めるために、エ
ポキシ樹脂以外の油面に対する粘着付与剤を付加的に添
加することも可能であり、あるいはシート材料の表面ま
たは外板パネルに接着剤や粘着剤を適用することも可能
である。
【0061】このようにして、外板パネル裏面に貼付け
られた補強用シート材料は、加熱炉などで180〜22
0℃程度の温度で加熱することにより発泡、硬化し、断
熱性と強度が改善された外板パネル構造体が得られる。
【0062】パネル補強用シート材料の第2層における
発泡と硬化の機構について、有機発泡剤を用いた場合を
例にとれば、次のように考えられる。すなわち、まず加
熱によりゴム弾性体や熱可塑性樹脂が溶融し、次いで発
泡剤が分解してガスを発生する。発生ガスにより、発泡
性組成物層は発泡してセルを形成し、続いて、組成物中
に含有され、分散しているエポキシ樹脂が、硬化剤の活
性化により硬化反応を起こし発泡体が硬質化する。した
がって、形成される発泡体の特性はポリマー成分のゲル
化速度、発泡剤の分解速度、そしてエポキシ樹脂の硬化
速度に影響されるので、目標とする発泡密度、硬化度に
基づき、材料を選定する。
【0063】パネル補強用シート材料を車輛外板パネル
の内面に貼付けた後、加熱する際に使用する加熱炉とし
ては、既設の塗装焼付炉を用いるのが最も合理的であ
る。塗装焼付炉は、大別して電着塗装炉、中塗り焼付炉
及び上塗り焼付炉があるが、本発明では、電着塗装前の
外板パネルに施工できるので電着塗装炉が好ましく用い
られる。したがって、電着塗装時の加熱を利用して発泡
硬化させうるので自動車生産ラインにおける生産性を向
上させることができる。
【0064】本発明のパネル補強用シート材料は、油面
粘着性に優れる上、その発泡硬化シートが良好な耐熱
性、断熱性、防錆性および剛性を有するので、特に電着
塗装前に車輛外板パネルの補強用として施工することが
できる。
【0065】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて本発明に
ついてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実
施例のみに限定されるものではない。
【0066】<特性の評価方法>各特性の測定法および
評価法は、下記の通りである。 (1)油面粘着性 防錆油が塗布された日本テストパネル(株)製の鋼板S
PCC−SD(厚さ0.8mm)をシャーリングして、
25mm×150mmのテストピースを作成し、トルエ
ン洗浄にて脱脂処理した後、あらためてさび止め油「ア
ンチラストP−1400」[日本石油(株)製、灯油留
分76重量%以上、潤滑油10重量%以下、酸化防止剤
14重量%以下]を塗布したものに、110℃で3分間
加熱後の未発泡のシート材料を、室温で2kg、10秒
間圧着して得たサンプルの衝撃剥離強度を求め、油面粘
着性を評価した。衝撃試験装置は、JIS K−683
0に準じたものを使用し、剥離した角度と剥離するまで
に与えた衝撃の回数で評価した。評価結果を次の4段階
で示す。 ◎:90°×10回で剥離せず ○:90°×1〜10回で剥離 △:80°×1〜10回で剥離 ×:70°×10回以下で剥離
【0067】(2)1mm変位曲げ剛性 図1に示す方法で、1mm変形させた際の荷重(kg
f)を求めた。なお、図1において、1は鋼板、2は2
層より成る発泡硬化シート、3はガラスクロスである。
使用した鋼板(0.8mm厚)の1mm変位曲げ剛性
は、1.0kgfであった。
【0068】(3)防錆性 油面粘着性試験において行うと同様の前処理を経て調整
したさび止め油塗布鋼板(25mm×150mm×0.
8mm)に、同サイズのシート材料を施工後、180℃
で30分間加熱硬化したサンプルについて、下記の〜
の環境に連続して暴露する条件を1サイクルとして試
験を繰り返し、鋼板とシート材料との剥離させた界面の
観察により錆の発生するサイクル数をもって防錆性を評
価した。
【0069】サイクル 50℃、5%NaCl水を17時間噴霧 70℃で3時間乾燥 50℃、5%NaCl水に5時間浸漬 25℃で2時間乾燥 評価結果を次の4段階で示す。 ○:60サイクル以上で錆びない △:30〜60サイクルで錆びる ×:5〜30サイクルで錆びる ××:5サイクル以下で錆びる
【0070】(4)発泡倍率 発泡体層の断面の厚みを、未発泡段階の発泡性組成物層
の厚みで除した値である。
【0071】(5)セル状態 発砲体層のセル状態について、光学顕微鏡を用いて、発
泡体の切断面を観察し、下記の評価基準で評価した。評
価結果を次の3段階で示す。 ○:セルの平均直径が0.5mm以下の場合 △:セルの平均直径が0.5〜1.0mmで標準偏差
0.3未満の場合 ×:セルの平均直径が1.0mm以上か、1.0mm以
下で標準偏差0.3以上の場合
【0072】(6)スラミング試験 シート材料を定格パネル片に施工後、180℃で30分
間加熱硬化した後の所定のサンプルについて、JIS
K−6830の衝撃試験装置を用いて、各々ヒビ、割
れ、破壊した角度とヒビ、割れ、破壊するまでに与えた
衝撃の回数を求めた。評価結果を次の5段階で示す。 ◎:90°×10回でヒビ、割れなし ○:90°×1〜10回でヒビ、割れが発生 △:80°×1〜10回でヒビ、割れが発生 ×:70°×1〜10回でヒビ、割れが発生 ××:60°×10回以下でヒビ、割れが発生
【0073】<使用成分>実施例および比較例におい
て、次に示す成分を用いた。 (1)アクリルペースト樹脂 日本ゼオン(株)製、ゼオンR−20、ポリメチルメタ
クリレート、平均粒径約1μm、平均分子量約30万 (2)アクリル樹脂 日本ゼオン(株)製、ゼオンR−103、ポリメチルメ
タクリレート、平均粒径約45μm、平均分子量約20
万 (3)エポキシ変性NBR(粘稠液体) エー・シー・アール(株)製、R−1415−1、エポ
キシ当量400
【0074】(4)可塑剤 TCP:りん酸トリクレジル、(株)大八化学工業所製 25℃における水に対する溶解度4ppm DHP:フタル酸ジイソヘプチル、新日本理化(株)製 25℃における水に対する溶解度20ppm DEP:フタル酸ジエチル、イーストマン ケミカル
[米国]製 25℃における水に対する溶解度35ppm DBP:フタル酸ジブチル、三建化工(株)製 25℃における水に対する溶解度28ppm
【0075】(5)液状エポキシ樹脂 油化シェル(株)製、エピコート828 (6)エポキシ樹脂用硬化剤 日本カーバイド(株)製、ジシアンジアミド (7)エポキシ樹脂用硬化促進剤 丸和バイオケミカル(株)製、D.P.ハードナー (8)有機発泡剤 大塚化学(株)製、AZ−H (9)発泡セル調整剤 旭電化工業(株)製、BAP−1
【0076】(10)発泡助剤 旭電化工業(株)製、FL−23 (11)充填剤 硅酸アルミニウム(pH5.5) タルクSS(pH9.2)、日本タルク(株)製 亜鉛華(pH9.0) 硅酸カルシウム(pH9.0〜10.0) 白土(pH4.2)
【0077】[実施例1〜7、比較例1〜5]表1〜2
に示す種類と量の各成分を、一度に室温でプラネタリー
ミキサーを用いて混練し、発泡性組成物と非発泡性組成
物を各々調製した後、これらをナイフコーターを用いて
厚さ300μmのガラスクロス上に各々1.0mm(発
泡性組成物層)と0.3mm(非発泡性組成物層)の厚
さに連続して(ウエット オンウエット)塗布し、次い
で110℃の熱風循環炉で3分間加熱することにより、
未発泡シート材料(パネル補強用シート材料)を予備成
形した。得られた各シート材料について、その油面粘着
性を求めた。
【0078】次に、各シート材料を厚さ0.8mmの油
面鋼板に、2kgの圧力で10秒間圧着することにより
貼付けた後、180℃の熱風循環炉で30分間加熱し
て、ガラスクロス付き硬質発泡体シートを補強用シート
として設けた複合体サンプルを作製し、その特性を求め
た。なお、鋼板および未発泡シート材料のサイズは、い
ずれも150mm×25mmである。結果を表1〜2に
示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】表1〜2から分かるように、本発明のパネ
ル補強用シート材料は、油面粘着性に優れており、ま
た、得られた複合体は、1mm変位曲げ剛性、防錆性、
発泡倍率、セル状態、スラミング試験結果のいずれも良
好である。
【0082】これに対して、第1層(非発砲層)を設け
ていない場合(比較例1)、可塑剤として水に対する溶
解度の大きなものを用いた場合(比較例2〜3)、pH
が酸性の充填剤を用いた場合(比較例4〜5)には、い
ずれも防錆性が悪く、また、比較例1、4および5の場
合には、スラミング試験結果も悪く、比較例2の場合に
は、油面粘着性、セル状態、スラミング試験結果いずれ
もが不満足である。
【0083】
【発明の効果】本発明のパネル補強用シート材料は、
(1)油面粘着性に優れており、粘着処理や接着剤を使
用しなくても金属パネルに容易に密着できること、
(2)その発泡硬化シートは、軽量性、断熱性、剛性、
防錆性に優れていること、(3)耐熱性に優れており、
特に電着塗装前に車輛外板パネルの補強用シート材料と
して施工できること、などの優れた諸特性を有してい
る。
【0084】本発明のパネル補強用シート材料を電着塗
装前の車輛外板パネルに適用することにより、使用部位
が拡大するとともに、電着塗装時の加熱を利用して発泡
硬化させうるので自動車生産ラインにおける生産性が向
上する。
【0085】前記パネル補強用シート材料を用いて作製
された本発明の車輛外板パネル構造体は、軽量で、かつ
断熱性、剛性、耐熱性、防錆性に優れるなどの特徴を有
している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、鋼板・樹脂複合体サンプルの1mm変
位曲げ剛性を測定する方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 鋼板 2 発泡硬化シート(鋼板側の非発泡体層とガラスクロ
ス側の発泡体層の2層からなる) 3 ガラスクロス 4 加圧くさび 5 支持台 6 支持台
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 健男 東京都千代田区丸の内二丁目6番1号 日本ゼオン株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B62D 25/00 - 25/22 B62D 29/00 - 29/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)(A)エポキシ樹脂、(B)ゴム
    弾性体および分子中にハロゲン原子を含有しない粉末状
    の熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種
    のポリマー、(C)エポキシ樹脂用加熱活性型硬化剤、
    (D)中性ないしはアルカリ性の無機充填剤、および所
    望により(E)25℃における水に対する溶解度が25
    ppm以下の可塑剤を含有し、かつ、(A)成分と
    (B)成分の重量比(A/B)が0.2〜5の範囲内で
    ある組成物から成る第1層、 (2)前記(A)、(B)、(C)、(D)および
    (E)成分を必須成分とし、さらに(F)高温分解型発
    泡剤を含有する発泡性組成物から成る第2層、および (3)繊維製クロスから成る第3層がこの順に積層され
    た構造のパネル補強用シート材料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の第1層、第2層および第
    3層がこの順に積層され、さらに厚さ50μm以下の金
    属薄膜から成る第4層が第3層の外表面上に積層された
    構造のパネル補強用シート材料。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のパネル補強用シ
    ート材料を、車輛外板パネルの裏面上に該シート材料の
    第1層外表面が接するように貼付した後、加熱して発
    泡、硬化させて成る車輛外板パネル構造体。
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