JPH11228764A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH11228764A
JPH11228764A JP3519698A JP3519698A JPH11228764A JP H11228764 A JPH11228764 A JP H11228764A JP 3519698 A JP3519698 A JP 3519698A JP 3519698 A JP3519698 A JP 3519698A JP H11228764 A JPH11228764 A JP H11228764A
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JP
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resin composition
meth
thermoplastic resin
weight
graft copolymer
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JP3519698A
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Hideyuki Fujii
秀幸 藤井
Nobumitsu Fukuyama
信光 福山
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形板表面平滑性と漆黒性に優れる耐候性材
料等を得ることのできる熱可塑性樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 ポリオルガノシロキサン(a)とアルキ
ル(メタ)アクリレートゴム(b)とからなる複合ゴム
に(a+b)に、単量体(c)をグラフト重合させたグ
ラフト共重合体(A)と、重合体(B)と、揮発分が
3.0重量%以上のカーボンブラック(C)とからなる
熱可塑性樹脂組成物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性材料などに
使用される熱可塑性樹脂組成物に関し、詳しくは、成形
板表面の平滑性および漆黒性に優れた熱可塑性樹脂組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】耐候性、耐衝撃性および熱安定性に優れ
た熱可塑性樹脂組成物として、ポリオルガノシロキサン
とアルキル(メタ)アクリレートゴムからなる複合ゴム
を含むグラフト共重合体を用いた樹脂組成物が、特開平
1−190746号公報、特許2558126号公報な
どに提案されている。さらに、この樹脂組成物の顔料着
色性の改良技術として、特定のグラフト共重合体および
/または特定の共重合体を樹脂組成物の構成成分として
用いる方法が、特開平8−41149号公報、特開平8
−199025号公報および特開平8−283524号
公報に提案されている。
【0003】また、耐候性材料等の利用分野では、一般
に黒着色品を用いることが多く、上記熱可塑性樹脂組成
物中には、各種黒色系の顔料、染料が着色剤として添加
される。このような熱可塑性樹脂組成物から得られる樹
脂成形品にあっては、漆黒性が重要とされる。上記従来
技術では、用いる樹脂成分を特定することによって、優
れた漆黒性を得る方法が示唆されている。
【0004】そして、上記耐候性材料等は、通常無塗装
の状態で使用され、樹脂成形品の表面がそのまま製品の
意匠面となるため、上記漆黒性に加え、高い成形板表面
平滑性が必要となる。この成形板表面平滑性とは、例え
ば、添加した顔料の分散不良、あるいは樹脂成分の成形
加工時の溶融不良によって樹脂成形品の表面に発生する
突起状のブツによる外観不良の程度を示すものであり、
通常、成形板表面1mm2 当たり100個以下のブツ個
数であれば成形板表面平滑性に優れるとされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術では、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メ
タ)アクリレートゴムからなる複合ゴムにビニル単量体
をグラフト重合させたグラフト共重合体と、アクリロニ
トリル−スチレン共重合体を構成成分とする熱可塑性樹
脂組成物において、黒着色時の漆黒性を向上させる方法
については示されているが、成形板表面平滑性を向上さ
せる方法については具体的には示されておらず、また、
製造された樹脂成形品は、漆黒性には優れるものの、成
形板表面平滑性には劣り、無塗装耐候性材料としての工
業的価値は低い。
【0006】すなわち、従来のポリオルガノシロキサン
とアルキル(メタ)アクリレートゴムからなる複合ゴム
を含むグラフト共重合体と、熱可塑性樹脂を構成成分と
する熱可塑性樹脂組成物においては、黒着色樹脂成形品
の成形板表面平滑性と漆黒性を兼ね備えたものは見出さ
れておらず、これらを同時に満足する熱可塑性樹脂組成
物の開発が強く望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリオル
ガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムか
らなる複合ゴムを含むグラフト共重合体と、熱可塑性樹
脂とからなる熱可塑性樹脂組成物について、黒色着色剤
のカーボンブラックの性状と、得られる該樹脂組成物の
成形板表面平滑性および漆黒性との関係について鋭意検
討した結果、カーボンブラックの揮発分を規定すること
によって、従来にない成形板表面平滑性および漆黒性に
優れる熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本
発明に至った。
【0008】すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物
は、グラフト共重合体(A)と重合体(B)とからなる
樹脂成分(A+B)100重量部に、カーボンブラック
(C)0.1〜10重量部を配合してなる熱可塑性樹脂
組成物であって、上記グラフト共重合体(A)が、ポリ
オルガノシロキサン(a)とアルキル(メタ)アクリレ
ートゴム(b)とからなる複合ゴム(a+b)に、芳香
族アルケニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合
物およびシアン化ビニル化合物からなる群から選ばれる
少なくとも1種以上の単量体(c)をグラフト重合させ
たグラフト共重合体であり、上記重合体(B)が、芳香
族アルケニル化合物成分、シアン化ビニル化合物成分お
よび(メタ)アクリル酸エステル化合物成分からなる群
から選ばれる少なくとも1種以上の単量体成分を構成成
分とする重合体もしくは共重合体であり、上記カーボン
ブラック(C)の揮発分が、3.0重量%以上であるこ
とを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に係るグラフト共重合体
(A)としては、ポリオルガノシロキサン(a)とアル
キル(メタ)アクリレートゴム(b)とからなる複合ゴ
ム(a+b)に、芳香族アルケニル化合物、(メタ)ア
クリル酸エステル化合物およびシアン化ビニル化合物か
らなる群から選ばれる少なくとも1種以上の単量体
(c)をグラフト重合させたグラフト共重合体が用いら
れる。
【0010】グラフト共重合体(A)を構成するポリオ
ルガノシロキサン(a)としては、特に限定はされない
が、ビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキ
サンが好適に用いられ、さらに好ましくは、ビニル重合
性官能基含有シロキサン単位が0.3〜3モル%であ
り、ジメチルシロキサン単位が97〜99.7モル%で
あり、3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子が
ポリジメチルシロキサン中の全ケイ素原子に対して1モ
ル%以下であるポリオルガノシロキサンが用いられる。
【0011】ポリオルガノシロキサン(a)中のビニル
重合性官能基含有シロキサン単位が0.3モル%未満で
は、アルキル(メタ)アクリレートゴム(b)との複合
化が不十分となり、グラフト共重合体(A)を含む熱可
塑性樹脂組成物から得られる樹脂成形品の表面に、ポリ
オルガノシロキサンのブリードアウトに由来する外観不
良が発生しやすい。また、ポリオルガノシロキサン
(a)中のビニル重合性官能基含有シロキサン単位が3
モル%を越える、もしくは、3個以上のシロキサン結合
を有するケイ素原子がポリジメチルシロキサン中の全ケ
イ素原子に対して1モル%を越える場合は、得られる熱
可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低くなる。得られる熱可
塑性樹脂組成物の成形外観と耐衝撃性の両方を考慮する
と、ポリオルガノシロキサン(a)中のビニル重合性官
能基含有シロキサン単位は、より好ましくは0.5〜2
モル%であり、さらに好ましくは0.5〜1モル%であ
る。
【0012】上記ポリオルガノシロキサン(a)の製法
としては、例えば、ジメチルシロキサンとビニル重合性
官能基含有シロキサンからなる混合物、または、必要に
応じてこれにシロキサン系架橋剤を加えた混合物(以下
シロキサン混合物と記す)を乳化剤と水によって乳化さ
せてラテックスとし、このラテックスをホモミキサーや
ホモジナイザー等を用いて微粒子化したのち、酸触媒を
用いて高温下で重合させ、ついでアルカリ性物質により
酸を中和させる方法が挙げられる。
【0013】ポリオルガノシロキサン(a)の製造に用
いられるジメチルシロキサンとしては、3員環以上のジ
メチルシロキサン系環状体が挙げられ、3〜6員環のも
のが好ましい。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシ
ロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカ
メチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘ
キサシロキサン等が挙げられる。これらは必要に応じて
単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることが
できる。
【0014】ポリオルガノシロキサン(a)の製造に用
いられるビニル重合性官能基含有シロキサンとしては、
ビニル重合性官能基を含有し、かつジメチルシロキサン
とシロキサン結合を介して結合しうるものであり、ジメ
チルシロキサンとの反応性を考慮すると、ビニル重合性
官能基を有する各種アルコキシシラン化合物が好まし
い。
【0015】具体的には、β−メタクリロイルオキシエ
チルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキ
シプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイ
ルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタク
リロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタ
クリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ
−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラ
ン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチル
シラン等のメタクリロイルオキシシロキサン、テトラメ
チルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシ
ロキサン、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラ
ン、およびγ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシ
ラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の
メルカプトシロキサンなどが挙げられる。これらは必要
に応じて単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用い
ることができる。
【0016】ポリオルガノシロキサン(a)の製造に用
いられるシロキサン系架橋剤としては、3官能性または
4官能性のシラン系架橋剤、例えば、トリメトキシメチ
ルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキ
シシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラ
ン等が用いられる。これらは必要に応じて単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】ポリオルガノシロキサン(a)の製造に用
いられる乳化剤としては、アニオン系乳化剤が好まし
く、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリ
ウムなどの中から選ばれた乳化剤が使用される。特に、
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスル
ホン酸ナトリウムなどのスルホン酸系の乳化剤が好まし
い。これら乳化剤は、シロキサン混合物100重量部に
対して0.05〜5重量部程度の範囲で使用される。使
用量が0.05重量部未満では、分散状態が不安定とな
り、微小な粒子径の乳化状態を保てなくなる。使用量が
5重量部を越えると、乳化剤に起因する樹脂成形品への
着色が著しくなる。
【0018】ポリオルガノシロキサン(a)の製造に用
いられる酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置
換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン
酸等のスルホン酸類、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸類など
が挙げられる。これらは必要に応じて単独で、あるいは
2種以上を組み合わせて用いることができる。また、こ
れらの中でも、ポリオルガノシロキサン(a)のラテッ
クスの安定化作用にも優れている点で脂肪族置換ベンゼ
ンスルホン酸が好適に用いられ、より好ましくはn−ド
デシルベンゼンスルホン酸である。また、n−ドデシル
ベンゼンスルホン酸と硫酸などの鉱酸類を併用すると、
ポリオルガノシロキサンのラテックスの乳化成分に起因
する熱可塑性樹脂組成物への着色を低減させることがで
きる。
【0019】上記酸触媒の添加方法としては、シロキサ
ン混合物、乳化剤および水とともに酸触媒を混合する方
法と、シロキサン混合物の微粒子化したラテックスを高
温の酸触媒水溶液中に一定速度で適下する方法などが挙
げられるが、ポリオルガノシロキサン粒子径の制御のし
やすさを考慮すると、シロキサン混合物が微粒子化した
ラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で適下する方
法が好ましい。ポリオルガノシロキサン粒子の大きさ
は、特に限定されないが、グラフト共重合体(A)を含
む熱可塑性樹脂組成物の漆黒性を考慮すると、重量平均
粒子径が0.2μm以下が好ましく、さらに好ましくは
0.1μm以下である。
【0020】ポリオルガノシロキサン(a)の製造にお
ける重合温度は、50℃以上が好ましく、さらに好まし
くは80℃以上である。重合時間は、酸触媒をシロキサ
ン混合物、乳化剤、水と混合、微粒子化させて重合する
場合は2時間以上、さらに好ましくは5時間以上であ
り、酸触媒の水溶液中にシロキサン混合物の微粒子化し
たラテックスを適下する場合は、ラテックスの適下終了
後1時間程度保持することが好ましい。重合の停止は、
反応液を冷却し、苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ナトリウ
ムなどのアルカリ性物質で中和することによって行うこ
とができる。
【0021】グラフト共重合体(A)を構成するアルキ
ル(メタ)アクリレートゴム(b)は、アルキル(メ
タ)アクリレートと多官能性アルキル(メタ)アクリレ
ートとからなるアルキル(メタ)アクリレート成分を重
合させたものである。
【0022】上記アルキル(メタ)アクリレートとして
は、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアク
リレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシ
ルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のア
ルキルメタクリレートが挙げられ、中でもn−ブチルア
クリレートの使用が好ましい。これらは必要に応じて単
独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることがで
きる。
【0023】上記多官能性アルキル(メタ)アクリレー
トとしては、例えば、アリルメタクリレート、エチレン
グリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジ
メタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタク
リレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレー
ト、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレ
ート等が挙げられる。これらは必要に応じて単独で、あ
るいは2種以上を組み合わせて用いることができる。ま
た、多官能性アルキル(メタ)アクリレートの使用量
は、アルキル(メタ)アクリレート成分中、好ましくは
0.1〜20重量%、より好ましくは0.2〜5重量
%、さらに好ましくは0.2〜1重量%である。
【0024】ポリオルガノシロキサン(a)とアルキル
(メタ)アクリレートゴム(b)とからなる複合ゴム
(a+b)は、上記ポリオルガノシロキサン(a)のラ
テックス中に上記アルキル(メタ)アクリレート成分と
界面活性剤を添加し、通常のラジカル重合開始剤を作用
させて重合させることによって調製される。アルキル
(メタ)アクリレート成分を添加する方法としては、ポ
リオルガノシロキサン(a)のラテックスとアルキル
(メタ)アクリレート成分を一括して混合する方法、ポ
リオルガノシロキサン(a)のラテックス中に一定速度
で適下する方法が挙げられる。中でも、得られる熱可塑
性樹脂組成物の耐衝撃性を考慮すると、ポリオルガノシ
ロキサン(a)のラテックスとアルキル(メタ)アクリ
レート成分を一括して混合する方法が好ましい。
【0025】また、アルキル(メタ)アクリレート成分
の重合に用いられるラジカル重合開始剤としては、過酸
化物、アゾ系開始剤、酸化剤と還元剤を組み合わせたレ
ドックス系開始剤等が挙げられる。中でも、レドックス
系開始剤が好ましく、特に、硫酸第一鉄・エチレンジア
ミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ヒドロパー
オキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が
好ましい。
【0026】上記複合ゴム(a+b)中におけるポリオ
ルガノシロキサン(a)の量は、1〜20重量%である
ことが好ましい。ポリオルガノシロキサン(a)の量が
1重量%未満では、ポリオルガノシロキサン(a)が少
なすぎるため耐衝撃性が低くなり、20重量%を越える
と、得られる熱可塑性樹脂組成物の漆黒性が低下する傾
向を示す。また、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃
性と漆黒性の両方を考慮すると、より好ましくは6〜2
0重量%、さらに好ましくは10〜20重量%である。
【0027】グラフト共重合体(A)を構成する単量体
(c)は、芳香族アルケニル化合物、(メタ)アクリル
酸エステル化合物およびシアン化ビニル化合物からなる
群から選ばれる少なくとも1種以上の単量体からなる。
グラフト共重合体(A)中における単量体(c)成分
は、特に限定されるものではないが、好ましくは50〜
80重量%、より好ましくは50〜70重量%、さらに
好ましくは50〜60重量%である。単量体(c)成分
が50重量%未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の
漆黒性が低下する傾向を示し、80重量%を越えると、
アルキル(メタ)アクリレートゴム(b)成分が減少す
るため、耐衝撃性が低下する。
【0028】上記芳香族アルケニル化合物としては、例
えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン
などが挙げられる。これらは必要に応じて単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】上記(メタ)アクリル酸エステル化合物と
しては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタ
クリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリ
レート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステルが
挙げられる。これらは必要に応じて単独で、あるいは2
種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】上記シアン化ビニル化合物としては、例え
ば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げ
られる。これらは必要に応じて単独で、あるいは2種以
上を組み合わせて用いることができる。これら単量体
(c)の中でも、得られる熱可塑性樹脂組成物の熱安定
性を考慮すると、スチレンおよびアクリロニトリルの組
み合わせが好ましい。
【0031】上記単量体(c)と複合ゴム(a+b)と
のグラフト重合は、複合ゴム(a+b)のラテックスに
単量体(c)、ラジカル重合開始剤、界面活性剤を加
え、ラジカル重合により一段、あるいは多段で行われ
る。得られるグラフト共重合体(A)を含む熱可塑性樹
脂組成物の耐衝撃性および漆黒性を考慮すると、二段以
上で重合を行うことが好ましい。また、単量体(c)中
には、得られるグラフト共重合体(A)の分子量やグラ
フト率を調節するための連鎖移動剤を添加することがで
きる。
【0032】グラフト重合が終了した後、グラフト共重
合体(A)が含まれたラテックスを、酢酸カルシウム、
硫酸アルミニウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入
し、塩析、凝固させることにより、グラフト共重合体
(A)を分離、回収することができる。
【0033】このようにして得られるグラフト共重合体
(A)の粒子径は、特に限定はされないが、熱可塑性樹
脂組成物の耐衝撃性と顔料着色性の両方を考慮すると、
数平均粒子径が0.10〜0.50μmであることが好
ましく、より好ましくは0.10〜0.30μm、さら
に好ましくは0.10〜0.15μmである。
【0034】また、グラフト共重合体(A)は、アセト
ン溶媒に対する不溶分が70〜99重量%の範囲にあ
り、かつアセトン可溶分を0.2g/100ccのN,
N−ジメチルホルムアミド溶液にして、25℃で測定し
た還元粘度が0.03〜0.70dl/gであることが
好ましい。アセトン溶媒に対する不溶分が70重量%未
満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下
する傾向にあり、99重量%を越えると、得られる熱可
塑性樹脂組成物の成形光沢が低下する傾向にある。ま
た、上記還元粘度が0.30dl/g未満の場合は、得
られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向に
あり、0.70dl/gを越えると、得られる熱可塑性
樹脂組成物の低温度成形時の光沢が低下する傾向にあ
る。
【0035】本発明に係る重合体(B)としては、芳香
族アルケニル化合物成分、シアン化ビニル化合物成分お
よび(メタ)アクリル酸エステル化合物成分からなる群
から選ばれる少なくとも1種以上の単量体成分を構成成
分とし、必要に応じてこれらと共重合可能なビニル単量
体成分を構成成分に加えた重合体もしくは共重合体が用
いられる。
【0036】上記芳香族アルケニル化合物としては、例
えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン、2,4−ジメチルスチレン、p−ブロモスチレン、
p−クロロスチレン等が挙げられる。これらは必要に応
じて単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いるこ
とができる。
【0037】上記シアン化ビニル化合物としては、例え
ば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニ
トリル、マレオニトリル等が挙げられる。これらは必要
に応じて単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用い
ることができる。
【0038】上記(メタ)アクリル酸エステル化合物と
しては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメ
タクリレート、n−ラウリルメタクリレート、メチルア
クリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリ
レート、n−ブチルアクリレート、グリシジルメタクリ
レート等が挙げられる。これらは必要に応じて単独で、
あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】また、これらと共重合可能なビニル単量体
としては、例えば、N−フェニルマレイミド等のN−置
換マレイミド化合物、無水マレイン酸等の不飽和酸無水
物、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物、エチレ
ン、プロピレン等の不飽和炭化水素、アクリル酸、メタ
クリル酸等の不飽和カルボン酸などが挙げられる。これ
らは必要に応じて単独で、あるいは2種以上を組み合わ
せて用いることができる。
【0040】上記重合体(B)の具体例としては、ポリ
アクリロニトリル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリ
レート、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレ
ン−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル
−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−
スチレン−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニ
トリル−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリ
ル−スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体、シク
ロヘキシルマレイミド−メチルメタクリレート−スチレ
ン共重合体等が挙げられる。中でも、得られる熱可塑性
樹脂組成物の成形板表面平滑性および漆黒性を考慮する
と、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメチル
メタクリレート、アクリロニトリル−スチレン−メチル
メタクリレート共重合体が好ましい。
【0041】上記重合体(B)の重量平均分子量は、特
に限定はされないが、得られる熱可塑性樹脂組成物の流
動性、耐候性、機械特性を考慮すると、好ましくは50
000〜500000の範囲であり、より好ましくは5
0000〜300000の範囲である。
【0042】上記重合体(B)の製造は、通常、公知の
乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法など
によって行うことができる。中でも、得られる重合体
(B)の熱安定性および生産性を考慮すると、懸濁重合
法、塊状重合法を用いて製造することが好ましく、中で
も懸濁重合法がより好適に用いられる。上記懸濁重合法
は、公知の分散剤、開始剤、連鎖移動剤を使用し、公知
の重合条件で行われる。分散剤としては、例えば、70
〜100%のケン化度のポリビニルアルコール、ポリメ
タクリル酸ソーダ塩、ポリアクリル酸ソーダ塩等の水溶
性高分子が挙げられる。開始剤としては、アゾビスイソ
ブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル
等の有機過酸化物などが挙げられる。連鎖移動剤として
は、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプ
タン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメ
ルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン等のメルカプタ
ン類などが挙げられる。
【0043】本発明に係るカーボンブラック(C)とし
ては、揮発分が3.0重量%以上のものが用いられ、好
ましくは5.0重量%以上、より好ましくは8.0重量
%以上である。揮発分が3.0重量%未満では、得られ
る樹脂成形品表面に突起状のブツが著しく発生し、成形
板表面平滑性を損ねるため好ましくない。また、揮発分
は20重量%以下であるのが好ましい。ここで、上記カ
ーボンブラック(C)の揮発分は、カーボンブラックの
重量をJIS−K−6221に準拠して測定し、950
℃で7時間加熱した後、加熱処理後のカーボンブラック
の重量を測定し、下記式(1)により求められる。
【0044】
【数1】
【0045】カーボンブラック(C)の一次粒子径は、
特に限定はされないが、得られる熱可塑性樹脂組成物の
成形板表面平滑性および漆黒性を考慮すると、12〜2
0nmが好ましく、より好ましくは15〜18nmであ
る。一次粒子径が12nm未満では、熱可塑性樹脂組成
物の成形板平面平滑性が不十分であり、20nmを越え
ると、熱可塑性樹脂組成物の漆黒性が低下する傾向にあ
る。ここで、カーボンブラック(C)の一次粒子径は、
JIS−K−6221に準拠した測定により求められる
値である。
【0046】カーボンブラック(C)のpH値は、特に
限定はされないが、得られる熱可塑性樹脂組成物の漆黒
性と成形板表面平滑性を考慮すると、4.0以下が好ま
しく、より好ましくは3.5以下である。ここで、カー
ボンブラック(C)のpH値は、JIS−K−6221
に準拠した測定により求められる値である。
【0047】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト
共重合体(A)、重合体(B)およびカーボンブラック
(C)を公知の混練機械によって混練し、成形機によっ
て成形することによって製造される。このような成形機
としては、押出成型機、射出成形機、ブロー成形機、カ
レンダー成形機、インフレーション成形機等が挙げられ
る。
【0048】本発明の熱可塑性樹脂組成物中のグラフト
共重合体(A)および重合体(B)の含有量は、特に限
定されるものではないが、該樹脂組成物の耐衝撃性、剛
性、流動性および耐候性を考慮すると、グラフト共重合
体(A)と重合体(B)の合計を100重量部とした場
合、好ましくはグラフト共重合体(A)が0.1〜9
9.8重量部、重合体(B)が99.9〜0.2重量部
の範囲であり、より好ましくはグラフト共重合体(A)
が10〜70重量部、重合体(B)が90〜30重量部
の範囲であり、さらに好ましくはグラフト共重合体
(A)が20〜50重量部、重合体(B)が80〜50
重量部の範囲である。
【0049】本発明の熱可塑性樹脂組成物中のカーボン
ブラック(C)の含有量は、グラフト共重合体(A)と
重合体(B)とからなる樹脂成分(A+B)100重量
部に対し、0.1〜10重量部の範囲とされ、好ましく
は1〜5重量部の範囲とされる。カーボンブラック
(C)の含有量が0.1重量部未満では、得られる熱可
塑性樹脂組成物の漆黒性が不十分となり、10重量部を
越えると、熱可塑性樹脂組成物の成形板表面平滑性が低
下する傾向にある。
【0050】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
必要に応じて、顔料、染料、光安定剤、酸化防止剤、補
強剤、充填剤、難燃剤、防腐剤、離型剤、滑剤等の各種
添加剤を配合することができる。
【0051】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を詳しく説明す
る。ここで、「部」は、特に断りがない限り、「重量
部」を意味する。
【0052】また、実施例中における各種測定は、以下
の方法を用いて行った。 ・ラテックス中のポリオルガノシロキサン(a)および
グラフト共重合体(A)の重量平均粒子径DLS−70
0型(大塚電子(株)社製)を用いた動的光散乱法によ
り求めた。 ・グラフト共重合体(A)中のカルシウム元素濃度 所定量のグラフト共重合体を600℃で灰化し、この塩
酸水溶液を用いた原子吸光分析によりカルシウムを定量
し、カルシウム元素濃度を求めた。
【0053】・グラフト共重合体(A)中のアセトン不
溶分量 冷却管および加熱器を備えたフラスコ中にグラフト共重
合体2.5gおよびアセトン80mlを入れ、加熱器に
より65℃で3時間加熱抽出処理を行い、ついで冷却
し、内液を遠心分離器(日立工機(株)社製)を用いて
15000回転/分で30分処理してアセトン不溶分を
分離し、沈殿物を乾燥後、その重量を測定し、下記式
(2)で算出した。
【0054】
【数2】
【0055】・グラフト共重合体(A)中のアセトン可
溶成分の還元粘度 冷却管および加熱器を備えたフラスコ中に適量のグラフ
ト共重合体およびアセトンを入れ、加熱器により65℃
で3時間加熱抽出処理を行い、ついで冷却し、内液を遠
心分離器(日立工機(株)社製)を用いて15000回
転/分で30分処理してアセトン不溶分を分離し、上澄
み液中のアセトンを減圧蒸発させてアセトン可溶成分を
回収し、このアセトン可溶成分0.2gを100ccの
N,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、この溶液の
溶液粘度を自動粘度系(SAN DENSHI(株)社製)を用い
て25℃で測定し、同条件で測定した溶媒粘度より還元
粘度を求めた。 ・カーボンブラック(C)の揮発分 カーボンブラックの重量をJIS−K−6221に準拠
して測定し、950℃で7時間加熱した後、加熱処理後
のカーボンブラックの重量を測定し、上記式(1)によ
り求めた。
【0056】・熱可塑性樹脂組成物の漆黒性評価 IS−100EN(射出成形機;東芝機械(株)社製)
を用い、シリンダー設定温度230℃、金型温度60
℃、インジェクションスピード60%、射出圧力設定3
0%の条件で熱可塑性樹脂組成物を射出成形し、得られ
た100mm×100mm×3mmの板をJIS−Z−
8729に準拠した色相測定によりL*値を求めた。L
*値が小さいほど漆黒性は良好となる。 ・熱可塑性樹脂組成物の成形板表面平滑性評価 IS−100ENを用い、シリンダー設定温度230
℃、金型温度60℃、インジェクションスピード60
%、射出圧力設定30%の条件で熱可塑性樹脂組成物射
出成形し、得られた板の表面を、光学顕微鏡(ニコン
(株)社製)にて1mm2 あたりの突起状のブツ個数を
目視にて測定し、成形板表面平滑性を判定した。
【0057】(ポリオルガノシロキサン(a)の製造)
オクタメチルシクロテトラシロキサン98部、γ−メタ
クリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部
を混合し、シロキサン混合物100部を得た。これにド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部を溶解
した蒸留水300部を加え、ホモミキサーにて1000
0回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイザーに30
0kg/cm2 の圧力で1回通し、予備混合オルガノシ
ロキサンラテックスを得た。
【0058】一方、試薬注入容器、冷却管、ジャケット
加熱機および撹拌装置を備えた反応容器内に、ドデシル
ベンゼンスルホン酸10部と蒸留水90部を注ぎ、ドデ
シルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。この水溶液
を85℃に加熱した状態で、予備混合オルガノシロキサ
ンラテックスを4時間かけて適下し、適下終了後1時間
85℃を維持したのち、冷却した。ついで、この反応物
を苛性ソーダ水溶液で中和した。このようにして得られ
たポリオルガノシロキサン(a)のラテックスを170
℃で30分間乾燥させて固形分を求めたところ、17.
7重量%であった。また、ラテックス中のポリオルガノ
シロキサン(a)の重量平均粒子径は0.06μmであ
った。
【0059】(グラフト共重合体(A)の製造)試薬注
入容器、冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備
えた反応容器内に、ポリオルガノシロキサン(a)のラ
テックス45.2部、エマールNC−35(ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート;花王
(株)社製)0.2部、蒸留水148.5部を注ぎ、混
合した後、n−ブチルアクリレート42部、アリルメタ
クリレート0.3部、1,3−ブチレングリコールジメ
タクリレート0.1部およびt−ブチルハイドロパーオ
キサイド0.11部の混合物を加えた。
【0060】この反応容器に窒素気流を通じることによ
って雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。反
応容器内部の温度が60℃となった時点で、硫酸第一鉄
0.000075部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリ
ウム塩0.000225部およびロンガリット0.2部
を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル
重合を開始させた。アルキル(メタ)アクリレート成分
の重合により液温は78度まで上昇した。1時間この状
態を維持し、アルキル(メタ)アクリレート成分の重合
を完結させ、ポリオルガノシロキサン(a)とアルキル
(メタ)アクリレートゴム(b)とからなる複合ゴム
(a+b)のラテックスを得た。
【0061】反応容器内部の液温を70℃に低下させた
後、ロンガリット0.25部を蒸留水10部に溶解した
水溶液を添加し、ついで単量体(c)としてアクリロニ
トリル2.5部、スチレン7.5部、およびt−ブチル
ハイドロパーオキサイド0.05部の混合液を2時間か
けて適下し、重合させた。適下終了後、液温60℃の状
態を1時間保持したのち、硫酸第一鉄0.001部、エ
チレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、ロ
ンガリット0.2部およびエマールNC−35(花王
(株)社製)0.2部を蒸留水10部に溶解させた水溶
液を添加し、ついで単量体(c)としてアクリロニトリ
ル10部、スチレン30部、およびt−ブチルハイドロ
パーオキサイド0.2部の混合液を2時間かけて適下
し、重合させた。適下終了後、液温60℃の状態を0.
5時間保持したのち、キュメンヒドロパーオキサイド
0.05部を添加し、さらに液温60℃の状態を0.5
時間保持した後、冷却した。
【0062】このラテックスにラテムルASK(アルケ
ニルコハク酸ジカリウム塩;花王(株)社製)0.5部
を添加し、グラフト共重合体(A)の重合ラテックスを
得た。得られた重合ラテックス中のグラフト共重合体
(A)の重量平均粒子径は、0.12μmであった。ま
た、この重合ラテックスのせん断力に対する安定性は、
ホモミキサー試験で5分であり、良好な結果を示した。
【0063】ついで、グラフト共重合体(A)の重合ラ
テックスを、60℃に加熱した1重量%酢酸カルシウム
水溶液100部に適下し、凝固させた。析出物を分離、
洗浄した後、H−130E(遠心機;国産遠心器(株)
社製)を用いて1800回転/秒で2分間脱水処理し
た。得られた粉体状のグラフト共重合体(A)の水分率
は、35重量%であった。この粉体を85℃で24時間
乾燥させ、グラフト共重合体(A)を得た。このグラフ
ト共重合体(A)中のカルシウム元素濃度は900pp
mであった。また、グラフト共重合体(A)中のアセト
ン不溶分は85重量%であり、アセトン可溶成分の還元
粘度は0.58dl/gであった。
【0064】(重合体(B)の製造)冷却管、ジャケッ
ト加熱機および撹拌装置を備えた耐圧反応容器内に、蒸
留水150部、アクリロニトリル25部、スチレン75
部、アゾビスイソブチロ二トリル0.20部、t−ドデ
シルメルカプタン0.4部およびポリビニルアルコール
0.7部を仕込み、400回転/分の条件で撹拌した。
反応容器内温度を75℃まで昇温し、2時間重合させ
た。ついで、反応容器内温度を110℃まで昇温し、こ
の状態を20分間保持し、反応を完結させた。内容物を
冷却後、遠心機を用いて洗浄、脱水を繰り返し、得られ
た固形物を乾燥させ、白色粒状の重合体(B)を得た。
この重合体(B)の還元粘度は、25℃のN,N−ジメ
チルホルムアミド中で0.50dl/gであった。
【0065】(実施例1)グラフト共重合体(A)48
部、重合体(B)52部およびカーボンブラック(C)
として#970(揮発分3.0重量%;三菱化学(株)
社製)1.0部、さらに熱安定剤としてアデカスタブC
(旭電化(株)社製)0.3部、離型剤としてステアリ
ン酸バリウム0.4部、滑剤としてエチレンステアリル
アミド0.4部、光安定剤としてアデカスタブLA−6
3P(旭電化(株)社製)0.2部、アデカスタブLA
−36(旭電化(株)社製)0.2部を添加した後、ヘ
ンシェルミキサーを用いて3分間混合した。これら混合
物をバレル温度230℃に設定したTEM−35B(二
軸押出機;東芝機械(株)社製)で賦形し、ペレットを
作製した。得られたペレットをシリンダ温度230℃、
金型温度60℃に設定したIS−100EN(射出成形
機;東芝機械(株)社製)によって100mm×100
mm×3mmの平板を成形した。この成形板を用いて、
成形板表面平滑性および漆黒性の評価を行った。評価結
果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】(実施例2〜4,比較例1〜6)カーボン
ブラック(C)の種類および添加量を表1に示すように
変更する以外は、実施例1と同様にして成形板を製造
し、同様の方法で成形板表面平滑性および漆黒性の評価
を行った。評価結果を表1に示す。
【0068】これらの結果より、以下のことが判明し
た。実施例1〜4にあるように、揮発分が3.0重量%
以上であるカーボンブラック(C)を含有する熱可塑性
樹脂組成物は、いずれも優れた成形板表面平滑性および
漆黒性を示した。比較例1にあるように、カーボンブラ
ック(C)の添加量が0.1部未満の熱可塑性樹脂組成
物は、漆黒性が不十分であった。比較例2にあるよう
に、カーボンブラック(C)が10部を越えて添加され
た熱可塑性樹脂組成物は、漆黒性に優れるものの、成形
板表面平滑性が劣っていた。比較例3〜6にあるよう
に、揮発分が3.0重量%未満のカーボンブラック
(C)を含有する熱可塑性樹脂組成物は、いずれも成形
板表面平滑性が劣っていた。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の熱可塑性
樹脂組成物にあっては、ポリオルガノシロキサンとアル
キル(メタ)アクリレートゴムからなる複合ゴムを含む
グラフト共重合体を構成成分とする樹脂組成物に揮発分
が3.0重量%以上のカーボンブラックを添加している
ので、従来の樹脂材料では得られない高いレベルの成形
板表面平滑性および漆黒性を併せ持つ。このように成形
外観に優れた樹脂は、各種耐候性材料、特に自動車外装
等の成形外観が要求される用途としての価値が極めて高
い。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グラフト共重合体(A)と重合体(B)
    とからなる樹脂成分(A+B)100重量部に、カーボ
    ンブラック(C)0.1〜10重量部を配合してなる熱
    可塑性樹脂組成物であって、 上記グラフト共重合体(A)が、ポリオルガノシロキサ
    ン(a)とアルキル(メタ)アクリレートゴム(b)と
    からなる複合ゴム(a+b)に、芳香族アルケニル化合
    物、(メタ)アクリル酸エステル化合物およびシアン化
    ビニル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以
    上の単量体(c)をグラフト重合させたグラフト共重合
    体であり、 上記重合体(B)が、芳香族アルケニル化合物成分、シ
    アン化ビニル化合物成分および(メタ)アクリル酸エス
    テル化合物成分からなる群から選ばれる少なくとも1種
    以上の単量体成分を構成成分とする重合体もしくは共重
    合体であり、 上記カーボンブラック(C)の揮発分が、3.0重量%
    以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
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