JPH11228599A - 新規ペプチドy−2 - Google Patents
新規ペプチドy−2Info
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- JPH11228599A JPH11228599A JP10043011A JP4301198A JPH11228599A JP H11228599 A JPH11228599 A JP H11228599A JP 10043011 A JP10043011 A JP 10043011A JP 4301198 A JP4301198 A JP 4301198A JP H11228599 A JPH11228599 A JP H11228599A
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Abstract
処理して得たペプチドをペプチド吸着性樹脂(ODS樹
脂等)に吸着せしめた後、これを10%エタノール水で
溶出してペプチド(Y−2画分)を得る。 【効果】 本新規ペプチドは、すぐれた血圧降下作用を
有し、栄養剤、特定保健用食品として使用できるほか、
血圧降下剤としても有利に使用できる。
Description
するものであり、また、その製法に関し、更にはその血
圧降下用途に関するものである。
した後、中性ないしアルカリプロテアーゼ処理して加水
分解し、酵素を失活せしめた後、分離処理することによ
ってACE阻害活性を有するペプチドα−1000を得
た(特開平5−271297)。
重要性に鑑み、血圧降下作用にすぐれているだけでな
く、安全性も高い物質を開発することとし、各方面から
検討した結果、本発明者らが先に開発したペプチドα−
1000から強力なACE(アンジオテンシン変換酵
素)阻害活性を有する新規ペプチドを単離することを目
的とした。
発明者らは、鋭意研究した結果、ペプチドα−1000
の水溶液をペプタイド吸着性樹脂(ODS樹脂)処理し
た後、10%エタノールを用いて溶出してY−2画分を
得、Y−2画分が新規ペプチドであることを確認しただ
けでなく、更に、特筆すべきことに、実際にヒトを試験
対象者として(「九州大学健康科学センター倫理委員
会」の審査承認済)、ヒトによるin vivo降圧試験を行
い、その効果を実際に確認し、遂に本発明を完成するの
に成功したものである。
有効成分として用いる血圧降下システムに関するもので
あって、しかも、Y−2が従来未知の新規物質であるの
みでなくすぐれた血圧降下作用を有することを確認した
だけでなく、そのうえ、血圧降下作用について、従来の
ようにACE阻害活性を測定することによって、換言す
れば、間接的な方法によってその作用を確認したもので
はなくて、ダイレクトに血圧を測定することにより、つ
まり直接法によってその作用を確認し、そのうえ更に、
血圧降下作用の確認を従来のようにラットやマウス等の
動物を使用して行うのではなく、ダイレクトにヒトの血
圧を測定することによって行った点にきわめて大きな特
徴を有するものである。
を測定する間接的な方法ではなく、ヒトに対してY−2
を直接投与してヒトの血圧を直接測定する直接法(臨床
試験)によって、血圧降下作用、しかもきわめてすぐれ
た血圧降下作用を確認するのに成功したものであり、あ
わせてその安全性、服用や製剤あるいは飲食品製品化等
の容易性もヒトについて確認した点できわめて特徴的で
あり、まさに画期的なものである。
本ペプチドY−2の起源として用いるペプチドα−10
00について説明する。
して製造するものであって、例えば特開平5−2712
97号にしたがって製造することができ、先ず、魚介類
を採肉機、デボーナー等によって処理して魚肉質を分離
する。原料は出来る限り新鮮なものが好ましい。分離し
た魚肉は、10kg程度のすり身に分割し、このまま次
の処理に使用してもよいが、−20〜−50℃、例えば
−30℃程度の冷気を吹き付けて急速連結し、−20〜
−25℃に保存しておき、必要に応じてこれを適宜使用
することにしてもよい。
カツオ、サンマ、サバ等赤身魚;ヒラメ、タイ、キス、
コノシロ、タラ、ニシン、ブリ等白身魚;サメ、エイ等
軟骨魚肉;ワカサギ、コイ、イワナ、ヤマメ等淡水魚
肉;アイザメ、アンコウ等深海魚肉のほか、エビ、カ
ニ、タコ、アミ類等も適宜使用できる。
砕し、原料重量に対して1/2量〜20倍量、好ましく
は等量〜10倍量の加水を行った後、加熱処理し、もっ
て、自己消化酵素を失活させ、且つ細菌を死滅させると
ともに、タンパク質を熱変性させて後に行う酵素反応効
率を上昇せしめる。加熱条件としては、このような作用
が奏される条件であればすべての条件が利用できるが、
例えば65℃以上、2〜60分、好ましくは80℃以
上、5〜30分とするのがよい。
ム(カリウム)水溶液等アルカリ剤を加えて、使用する
蛋白分解酵素の適値にpHを調整し、(例えばアルカリ
プロテアーゼの場合は、pH7.5以上、好ましくは8
以上)、温度も酵素適温(使用酵素によって異なるが、
20〜65℃、アルカリプロテアーゼの場合は35〜6
0℃、好ましくは40〜55℃)に加温し、蛋白分解酵
素を加えて30分〜30時間(アルカリプロテアーゼの
場合は30分〜25時間、好ましくは1〜17時間)処
理する。
性条件下で蛋白質を分解し得る酵素であればすべての酵
素が単独で又は混合して使用し得る。その起源は、動植
物のほかに微生物に求めることができ、ペプシン、レニ
ン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、プロメレ
インのほか、細菌プロテアーゼ、糸状菌プロテアーゼ、
放線菌プロテアーゼ等も広く利用できる。これらの酵素
は、通常、市販されているものが使用されるが、未精製
の酵素、酵素を含有した培養液、麹といった固体又は液
体の酵素含有物も、目的により必要に応じて使用するこ
とができる。酵素の添加量としては0.1%〜5.0%
程度でもよい。
0℃(好適には80℃)以上の温度に2〜60分間(好
適には5〜30分間)保持し、酵素を失活させるととも
に後に行う分離を良好ならしめる。加熱失活処理後、バ
イブスクリーン等によって粗分離し、必要によりジェク
ター処理した後、超遠心分離処理して、浮遊物、沈殿物
を除去する。
イト)を用いて濾過し、濾液を活性炭処理して(0.0
5〜20%W/V、好ましくは0.1〜10%W/V使
用、20〜65℃、好ましくは25〜60℃、15分〜
4時間、好ましくは30分〜2時間)、脱臭、脱色、精
製する。
にしたがって濃縮し(30B×程度にまで)た後、必要
あれば再度(超)遠心分離又は濾過してペプチド原液を
得る。このようにして得たペプチド原液は、殺菌(UH
TSTその他常法による)した後、容器に充填して製品
(α−1000(液体))とする。また、希望するので
あれば、更に濃縮したりあるいは逆に希釈したり、ま
た、噴霧乾燥、凍結乾燥等の常法によって60メッシュ
程度に粉末化し、これを袋等の容器に充填して製品(α
−1000(粉末))とすることもできる。これらの製
品は、冷蔵ないし冷凍保管する。
いし粉末状のペプチドがα−1000である。
末)の物理化学的性質は、下記表2、表3、表4に示す
とおりである。
00は、液状の場合はそのまま、粉末の場合は加水した
後、これをODS樹脂その他ペプチド吸着性樹脂に通
し、水などで洗浄した後、各種濃度のエタノールなどを
用いて順次溶出し、各画分を得、それらの中から血圧降
下活性の強い画分を分画して、濃縮、乾燥等必要な処理
を行い、血圧降下成分とする。例えば、10%エタノー
ルで溶出して得られる画分Y−2は、すぐれた血圧降下
活性を示した。
の新規物質であり、すぐれた血圧降下活性を示し、しか
も安全性についても問題はないので、血圧降下剤ないし
血圧降下を目的として特定保健用食品向けペプチドとし
ても使用することができる。したがって本ペプチドは、
調味料、栄養強化用食品といった食品ないしは動物飼料
添加剤として使用されるほか、上記した独特の生理活性
の故に、高血圧性疾病の予防、ある場合には治療のため
に、医薬として、または輸液、健康食品、臨床栄養食品
等としても巾広く使用することができる。
そのまま添加したり、他の食品ないしは食品成分と併用
したりして適宜常法にしたがって使用できる。また、医
薬として使用する場合には、経口又は非経口投与するこ
とができる。経口投与の場合には、例えば常法にしたが
い、錠剤、顆粒剤、粉末剤、カプセル剤、散剤、ドリン
ク剤とすることができ、又、非経口投与の場合には、例
えば注射薬製剤、点滴剤、坐剤等として使用することが
できる。
更に詳しく説明する。
た。採肉した魚肉質を10kgのすり身に分割し、これ
を−30℃以下で急速凍結した後、粉砕機で粉砕した後
等量の水を加え、これをタンクに送り、100℃で10
分間加熱して自己消化酵素を失活させ、熱変性させた。
次いでアンモニア水を加えてpHを9.5に調整した。
0.1%液を加え、50℃に17.5時間保持して酵素
分解を行った。次いで15分間煮沸して酵素を失活せし
めた。
ュ)に通し5000rpmでジエクター処理した後、シ
ャープレス遠心分離機で処理し(15000rpm)、
ケイソウ土を濾過助剤として用い、濾過処理したものを
ペプタイド原液とした。
/V加え、30℃で60分間攪拌した後濾過して濾液を
得た。これを常法にしたがって減圧濃縮(20℃)した
後、常法にしたがってUHTST殺菌を行って、α−1
000(液体)製品を得、これを更に常法にしたがって
噴霧乾燥して粒径60メッシュのα−1000(粉末)
製品を得、それぞれこれらの製品は冷凍保管した。
00(粉末)について、セファデックスG−25カラム
を用い、下記の条件でゲル濾過した結果、分子量200
〜10,000であることが判明した。カラムサイズ;
径16×950mm、溶出剤;0.1Mホスフェートバ
ッファー(pH7.0)、分画:2ml/チューブ、流
速;10ml/h、分子量マーカー;バシトラシン(分
子量1450)。
は、水分含量が73.6%(減圧加熱乾燥法)であっ
て、淡黄色を呈し、その10%溶液のpHは7.5を示
し、魚臭もなく苦味も認められなかった。その成分につ
いての分析、及び、アミノ酸組成についての測定を行っ
た結果、下記する表5及び表6に示す結果が得られた。
−1000(液体)800ml(Brix45、たんぱ
く質含量29.6%)に26.2Lの脱イオン水を加
え、これをODS樹脂(YMCODS−AQ120−S
50)カラム(1.5×50cm)に流してペプチドを
吸着させ、脱イオン水で洗浄し、次に、0%、10%、
25%、50%、99.5%のエタノール水溶液27L
を用いて順次溶出してそれぞれY−1、Y−2、Y−
3、Y−4、Y−5の画分を得た。このうちY−2画分
を、40℃で濃縮してエタノールを除去し、凍結乾燥し
てイワシ精製ペプチド(Y−2)を得た。このY−2画
分中には、Val-Tyrが0.15%含有されていた。
学的物質を下記表7、表8、表9に示す。
チドY−2について、実際にヒトに対する機能性を実証
するため、血圧の高いボランティアを募り、ドリンク形
態でのペプチドY−2の連続投与による血圧降下作用を
確認した。
剤タイプの飲料を用いた。連続投与に無理のない飲用量
として1本当たり100ml容量とし、ペプチドを含む
True飲料と含まないPlacebo飲料の味の差をなくすた
め、必要最少限の調味を施して、果糖ブドウ糖液糖(日
本コーンスターチ社製、ハイクラフトM−75)9.0
%、精製ハチミツ(藤井養蜂所社製)7.0%、ステビ
ア抽出物(池田糖化工業社製、ハイステビア100)
0.12%、酸味料0.2%、香料0.12%からなる
配合とし、True飲料には粉末のイワシ精製ペプチド2.
0%を添加した。従ってTrue飲料にはイワシ精製ペプチ
ドY−2画分粉末が2.0g/100ml含有され、Va
l-Tyrとしては試験飲料1本当たり3mg/100ml
を含む量とした。Placebo飲料は、イワシ精製ペプチド
Y−2画分を除き配合水に置き換えた。
た。すなわち、1バッチ200kg単位で配合し、60
℃で混合溶解後、128℃10秒のプレート殺菌した
後、十分に洗浄した100ml容褐色ビンに90℃で自
動充填し、室温で放冷後、流水水槽中で急冷した。ラベ
ルはTrue、Placebo全く同じデザインで、ボランティア
及び医師、看護婦には識別不可能な方法で試験に供し
た。
委員会」の審査承認を得た。
について予め説明を受け、本試験内容を十分理解した
後、本試験の同意書に署名した志願者とした。これらの
志願者の中から、医師による問診、心電図、胸部X線撮
影など諸検査の結果と、過去における定期検診のデータ
から46例を適格と判定し、被験者として選択した。群
分けは米国合同委員会の基準に基づき、坐位安静時の拡
張期血圧が85mmHg未満、収縮期血圧が130mm
Hg未満を血圧正常群(NT群)、各々の血圧がそれ以
上の高血圧症者及び正常高値血圧者を血圧高値群(HT
群)とし、NT群12名、HT群34名に分けた、各々
の群について無作為抽出法により、ペプチド投与のTrue
群と、ペプチド投与しないPlacebo群とに群分けした。
各群の特性を表10に示した。
れぞれの血圧にしたがってHT群とNT群に大別し、各
群の被験者を更にペプチド投与のTrue群とペプチドを投
与しないPlacebo群の割合A〜Dからなる4群に群分け
した。 A群:SBP≧130mmHg、及び/又は、DBP≧
85mmHg。Trueドリンクを2回/日、4週間投与。 B群:SBP≧130mmHg、及び/又は、DBP≧
85mmHg。Placeboドリンクを2回/日、4週間投
与。 C群:SBP<130mmHg、及び/又は、DBP<
85mmHg。Trueドリンクを2回/日、4週間投与。 D群:SBP<130mmHg、及び/又は、DBP<
85mmHg。Placeboドリンクを2回/日、4週間投
与。
SBP:収縮期血圧(mmHg)、DBP:拡張期血圧
(mmHg)、BMI:Body Mass Inde
x、F:F−テスト、t:t−テスト。
を標準とした1日の摂取量とした(Y−2画分中のVal-
Tyr含量は0.15%とみなした)。なお、亜急性毒性
試験の結果、ラットにおいて、Val-Tyr換算量で2.5
mg/kg・日の投与量でも1ヶ月の連続投与の安全性
が確認された。
与期、4週間のTrue投与期のあと4週間の終了期を設け
る無作為二重盲検対照試験を行った。試験飲料はTrue投
与期に、朝食後と夕食前の朝夕2回1本ずつ投与した。
血圧(坐位)、脈拍は1週間に1回、午前9時30分か
ら11時30分の間で各被験者に割り当てた定刻に測定
した。投与開始時、投与終了時に体重、血液、尿検査を
行った。飲料服用、血圧測定、諸検査実施の時間は厳守
させたが、それ以外は自由食、自由行動とした。
って記録し、試験期間中の測定、採血はすべて看護婦が
行った。一般生理学的検査として血圧、脈拍、体重につ
いて行った。血圧、脈拍数は、測定の5分以上前より安
静坐位を保たせて、(株)日本コーリン社製連続自動血
圧計BP−203RV2で約2分間隔で3回連続測定
し、その平均値を個人の血圧値及び脈拍値とした。試験
期間を通じて同一の体位で測定した。臨床検査は投与前
後に行った。
の経時的な変動については対応のあるt−検定、さら
に、連続投与試験における0〜4週の血圧については分
散分析により、その有意差を調べた。有意水準は危険率
5%以下をとり、検定結果には次の略号を用いた。 ***:p<0.001,**:p<0.01,*:p
<0.05
平均値に対し、各群の値について、)投与前後のpaired
t−検定、2)True群、Placebo群のgroup検定を行っ
た。介入試験は投与前の観察期を2週間とし、その平均
値に対し投与後とのpairedt−検定を行った。
れも自覚症状はみられなかった。
ue群と非投与のPlacebo群とに分け、観察期4週間、投
与後の終了期4週間における血圧と脈拍数の変化を図
6、図7に示した。
の測定結果であって、図中、■及び□は、それぞれY−
2投与群(A群)のSBP値とDBP値を示し、●及び
○は、それぞれPlacebo群(B群)のSBP値とDBP
値を示す。また、図7は正常血圧群(NT群)の血圧と
脈拍の測定結果であって、図中、■及び□は、それぞれ
Y−2投与群(C群)のSBP値とDBP値を示し、●
及び○は、それぞれPlacebo群(D群)のSBP値とD
BP値を示す。
圧(DBP)85mmHg未満のNT群12名に対し、
イワシ精製ペプチド(Y−2画分)4g/日(Val-Tyr
として6mg/日)を連続投与した結果、血圧及び脈拍
数ともに、ペプチド投与前後のpaired t−検定及びTru
e群(Cグループ7名)とPlacebo群(Dグループ5名)
との検定において、有意差のある変動は認められなかっ
た(図7)。
5mmHg以上のHT群34名のうち、Placebo群の5
名は諸般の事情により観察期の間に不参加を表明したの
で対象者から除き、最終的に29名に対して、同様にイ
ワシ精製ペプチド(Y−2画分)を投与した結果、観察
期(4週間)に対する投与期(4週間)のpaired t−
検定において、Placebo群(Bグループ12名)は血圧
の変動に有意差は認められなかったが、True群(Aグル
ープ17名)は有意な血圧降下が認められた(図6)。
て、投与開始後1週間目に、収縮期血圧9.7mmH
g、拡張期血圧5.2mmHgの最大血圧降下が認めら
れ統計的に危険率0.1%で有意であった。この血圧降
下作用はペプチド投与期中1%以下の危険率で持続し、
投与後の終了期においても収縮期血圧は3週間目(p<
0.01)、拡張期血圧は8週間目まで(p<0.0
5)有意に継続した。その後は元の観察期血圧に復帰す
る傾向が見られた。
(Bグループ)とによるgroup検定においてもPlacebo群
に対してTrue群は有意に血圧降下を示し、最大の降下差
は投与開始後1週間目に収縮期血圧差12.1mmH
g、拡張期血圧差7.1mmHgが認められた。この場
合も投与終了後の終了期においても3週間目まで血圧降
下作用が持続し、その後復帰する傾向が見られた。本試
験中、いずれの群においても脈拍数の異常は認められな
かった。
化学検査及び24時間蓄尿における変動値を測定した結
果、末梢血液検査においていずれの群もヘマトクリット
値(Ht)、赤血球項目値(MCV、MCH、MCH
C)に統計上有意な差がみられたが、数値変動項目自体
は正常値範囲内の軽微な変動であり、臨床上問題となる
ものではなかった。
について、終了期4週間の後さらに2週間の観察期をコ
ントロールとしてPlacebo投与を行い、介入試験を実施
した(図8)。その結果、True投与期は本試験と同様1
週間目に最大血圧降下(収縮期血圧降下度10.8mm
Hg、拡張期血圧降下度5.3mmHg)を認め、4週
間目まで有意に血圧降下を示した。その後徐々に復帰の
傾向にあり、6週間のwash-out期間をおいてPlacebo投
与した結果、観察期に対して血圧を下げることなく、む
しろ復帰の上昇傾向を維持して、血圧の復帰は緩やか
で、本ペプチドは降圧作用持続性の大きいことが確認さ
れた。
DBP値を示し、星印は平均血圧値を示し、PはPlaceb
oドリンク、TはTrueドリンクを示す。有意差に関し、
検定結果には次の略号用いた。**:p<0.01,*
**:p<0.001。
して6mg/日)の投与で十分な血圧降下作用が示され
たが、機能性食品としての実用を考えると経済性が大き
な要因となる。そこで血圧降下作用を発言する最少のペ
プチド投与量を確認するため、段階的に投与量を変え
て、有効性が示される限界値を検討した。
た。試験飲料の基本組成、試験対象者の母集団も同様と
した。
の被験者のうち、正常高値高血圧以上のHTのみを対象
として、無作為に抽出し、True群を14例(平均年齢4
5.1±3.5歳、収縮期血圧144.5±2.7mm
Hg、拡張期血圧90.7±1.8mmHg)、Placeb
o群5名(平均年齢50.4±4.9歳、収縮期血圧1
47.3±2.9mmHg、拡張期血圧92.0±2.
8mmHg)で行った。
〜100μg/kgの投与量で有効性を認めていたがラ
ットとヒトの差、静注と経口投与方法の差などを考慮し
て、10μg/kgを下回る量からスタートし、順次投
与量を上げて有効性発現の境界値を探ることとした。す
なわち、イワシ精製ペプチド(Y−2画分)0.25g
/日(Val-Tyr含量6.25μg/kg・日)、0.5
0g/日(Val-Tyr含量12.5μg/kg・日)、
1.00g/日(Val-Tyr含量25μg/kg・日)と
倍量ずつ増やしていくこととした。
を変更した。試験飲料は前記と同様、朝夕2回1本ずつ
投与し、試験期間は有効性が確認できた時点で終了とし
た。
群)のペプチドY−2投与量の変化による血圧測定値の
変化を示したものであって、図中、■及び□は、それぞ
れY−2投与群のSBP値とDBP値を示し、●及び○
は、それぞれPlacebo群のSBP値とDBP値を示し
(Y−2画分)を0.25g/日の投与からスタート
し、2週間目に収縮期血圧で5.6mmHg、拡張期血
圧で3.2mmHg投与前より下降し、いずれの期も危
険率5%で統計的有意差を認めた。さらに3週間目から
投与量を0.50g/日に増やしたところ、3週間目で
収縮期血圧が8.2mmHg、拡張期血圧が3.3mm
Hg下がり、収縮期血圧において危険率1%で統計的有
意差が認められた。検定結果には次の略号を用いた。*
*:p<0.01,*:p<0.05。
みられず、また両群とも脈拍の異常は認められなかっ
た。従って本ペプチドのヒトに対する有効性は0.25
g/日(Val-Tyr含量6.25μg/kg・日)で統計
的にその傾向が認められ、0.50g/日(Val-Tyr含
量12.5μg/kg・日)では危険率1%で有効性が
確認された。投与量0.25g/日(Val-Tyr含量6.
25μg/kg・日)においても投与開始後から徐々に
降下を続けており、同投与量でも長期間継続すれば実用
上十分な効果が得られると判断された。また実用上の最
少有効量を0.25g/日(Val-Tyr含量6.25μg
/kg・日)とすれば、前節の試験においてその16倍
量の28日間連続投与に対しても、血液生化学上及び臨
床上問題となる変化は認められず、また現在市販されて
いるACE阻害剤にみられる副作用も問診による報告で
は皆無であった。
8℃、10秒のプレート殺菌した。次いでこれを充分に
洗浄した100ml容褐色ビンに90℃で充填し、室温
で放冷後、流水水槽中で急冷してドリンクを製造した。
アミノ酸組成の測定を行い、それぞれ、表11及び表1
2の結果を得た。
奏される。すなわち、イワシタンパク質中に潜在してい
るACE阻害ペプチドを顕在化・高濃度化することによ
って、嗜好性と生体内安定性に優れ、安全性の高い機能
性食品素材としうるとの前章までの知見に基づき、実際
の機能性ドリンクを調製し、軽症高血圧を含む正常高値
血圧者に対する臨床的検討を行って次の効果を確認し
た。
であるイワシ精製ペプチド(Y−2)画分を2.0g/
本(Val-Tyrとして3mg/本)含有した飲料(100
ml/本)を調製した。収縮期血圧130mmHg未
満、拡張期血圧85mmHg未満の正常血圧ボランティ
ア12名を7名と5名の2群に分け、7名にペプチド含
有のTrue飲料を、5名にブランクであるPlacebo飲料を
1日2本ずつ(True群のVal-Tyr投与量として6mg/
日)4週間投与して、無作為二重盲検対照試験を行った
ところ、血圧の変動に有意差はなく、本ペプチドはNT
の血圧及び脈拍数に対して何らの影響を与えないことが
示された。
前と4週間投与後に採血及び24時間蓄尿により血液生
化学検査及び尿検査を行った結果、いくつかの項目に変
動がみられたが、正常値範囲内の軽微な変動であり、臨
床上問題となるものではなかった。その他の臨床検査及
び自覚症状に異常はなく、本ペプチドの正常血圧者に対
する臨床上の安全性に全く問題がないことが示された。
又は拡張期血圧85mmHg以上の血圧高値を示したボ
ランティアを無作為抽出法によりTrue群とPlacebo群の
2群に分け、計29名に対して同様に無作為二重盲検対
照試験を実施したところ、paired t−検定においてTru
e群は1週間目に収縮期血圧が9.7mmHg、拡張期
血圧が5.2mmHgと有意に(p<0.001)降下
し、本ペプチドのヒトに対する降圧作用が明らかに示さ
れた。
間は4週間とし、5週目以降は投与をやめたにもかかわ
らず、7週目まで3週間にわたり有意に(p<0.0
5)血圧降下が認められ、本ペプチドの降圧作用持続性
が確認された。
て、True投与からPlacebo投与への介入試験を行ったと
ころ、True投与時には有意な血圧降下が認められたが、
Placebo投与時には血圧降下は認められず本試験の降圧
作用が本ペプチドによるものであることを裏付けた。
て、いくつかの項目に変動がみられたがいずれも軽微で
正常範囲内の変動であり、臨床的には何ら問題がなく、
自覚症状の発現も皆無で、本ペプチドの連続投与におけ
る安全性が示された。
実用化のために、最少有効量の検討を行ったところ、Va
l-Tyr投与量として0.75mg/日で収縮期血圧8.
2mmHg、拡張期血圧3.3mmHgの有意な(p<
0.01)効果がみられた。
るACE阻害剤にみられる咳や発疹等の副作用は皆無で
あり、本ペプチドが日常摂取する機能性食品としては極
めて安全で有効性の高い素材であることが確認された。
する場合には、その安全性は必須条件であり、本ペプチ
ドの臨床的検討の結果、軽症高血圧及び正常高値血圧者
に対し十分な降圧効果が認められ、咳などの副作用のな
い安全性の高さが確認できたことは今後の高齢化社会に
向かい、非常に意義のある食品素材であると期待され
る。
す。
す。
す。
Claims (5)
- 【請求項1】 下記の物理化学的性質を有する新規ペプ
チドY−2。 (A)分子量:200〜10,000(ASAHIPA
K GS−320 高速液体クロマトグラフィーによ
る) (B)融点:138℃で着色、分解する。 (C)溶剤に対する溶解性:水に易溶であるが、エタノ
ール、アセトン、ヘキサンにほとんど溶解しない。 (D)物質の外観:白色〜淡黄色粉末。 (E)成分:水分5.4%(常圧加熱乾燥法):蛋白質
95.3%(ケルダール法):脂質0%(ソックスレー
抽出法):灰分1.1%(直接灰化法)。 (F)アミノ酸組成:下記の表1に示すとおり。 【表1】 - 【請求項2】 請求項1に記載の新規ペプチドY−2を
有効成分とすることを特徴とする血圧降下剤。 - 【請求項3】 請求項1に記載の新規ペプチドY−2を
有効成分とすることを特徴とする血圧降下性機能食品。 - 【請求項4】 該食品がドリンク形態であることを特徴
とする請求項3に記載の食品。 - 【請求項5】 魚肉から得たペプチドα−1000をO
DS樹脂などのペプチド吸着性樹脂に吸着せしめた後、
これを10%エタノールで溶出し、Y−2画分を得るこ
と、を特徴とする新規ペプチドY−2の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10043011A JPH11228599A (ja) | 1998-02-10 | 1998-02-10 | 新規ペプチドy−2 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10043011A JPH11228599A (ja) | 1998-02-10 | 1998-02-10 | 新規ペプチドy−2 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11228599A true JPH11228599A (ja) | 1999-08-24 |
Family
ID=12652055
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10043011A Pending JPH11228599A (ja) | 1998-02-10 | 1998-02-10 | 新規ペプチドy−2 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11228599A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000066626A1 (fr) * | 1999-04-28 | 2000-11-09 | Senmi Ekisu Co., Ltd. | Nouveau peptide y-2 |
US6905704B2 (en) | 2001-12-25 | 2005-06-14 | Senmi Ekisu Co., Ltd. | Peptide SY |
JP2006056803A (ja) * | 2004-08-18 | 2006-03-02 | Senmi Ekisu Co Ltd | サーデンペプチドによるカルシウムチャンネル阻害剤 |
-
1998
- 1998-02-10 JP JP10043011A patent/JPH11228599A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000066626A1 (fr) * | 1999-04-28 | 2000-11-09 | Senmi Ekisu Co., Ltd. | Nouveau peptide y-2 |
US6905704B2 (en) | 2001-12-25 | 2005-06-14 | Senmi Ekisu Co., Ltd. | Peptide SY |
JP2006056803A (ja) * | 2004-08-18 | 2006-03-02 | Senmi Ekisu Co Ltd | サーデンペプチドによるカルシウムチャンネル阻害剤 |
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A521 | Written amendment |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061107 |
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