JPH11228323A - 衣料用防虫剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた衣料害虫防除効果を示す衣料用防虫剤を
提供すること。 【解決手段】ホ−スラディッシュ油を有効成分とする衣
料用防虫剤。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はホ−スラディッシュ
油を有効成分とする衣料用防虫剤に関する。

【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた衣料
害虫防除効果を示す衣料用防虫剤を提供することを課題
とする。

【０００２】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、優れた衣
料害虫防除効果を示す衣料用防虫剤を見出すべく鋭意検
討を重ねた結果、ホ−スラディッシュ油が優れた衣料害
虫防除活性を有することを見出し本発明に至った。すな
わち、本発明は、ホ−スラディッシュ油を有効成分とす
る衣料用防虫剤を提供するものである。

【０００３】

【発明の実施の形態】以下、本発明につき具体的に説明
する。本発明の衣料用防虫剤（以下、本防虫剤と記
す。）の有効成分であるホ−スラディッシュ油は、アブ
ラナ科植物であるセイヨウワサビ（Cochlearia armorac
ia）の精油であり、セイヨウワサビの根茎を水蒸気蒸留
することにより得ることができる［香料化学総覧 １９
６ペ−ジ（奥田治著 広川書店発行 １９６７年）参
照］。

【０００４】本防虫剤はイガ、コイガ、ヒメカツオブシ
ムシ等の衣料害虫に卓効を示し、また、下記の有害節足
動物類（例えば、昆虫類やダニ類等）にも優れた防除効
果を示す。 双翅目害虫：アカイエカ、コガタアカイエカ等のイエカ
類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シ
ナハマダラカ等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバ
エ、オオイエバエ、ヒメイエバエ等のイエバエ類、クロ
バエ類、ニクバエ類、タネバエ、タマネギバエ等のハナ
バエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ
類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類等 鞘翅目害虫：ウェスタンコ−ンル−トワ−ム、サザンコ
−ンル−トワ−ム等のコ−ンル−トワ−ム類、ドウガネ
ブイブイ、ヒメコガネ等のコガネムシ類、コクゾウム
シ、イネミズゾウムシ等のゾウムシ類、チャイロコメノ
ゴミムシダマシ、コクヌストモドキ等のゴミムシダマシ
類、キスジノミハムシ、ウリハムシ等のハムシ類、シバ
ンムシ類、ニジュウヤホシテントウ等のエピラクナ属
（Ｅｐｉｌａｃｈｎａ ｓｐｐ．)、ヒラタキクイムシ
類、ナガシンクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリ
ガタハネカクシ等 網翅目害虫：チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモン
ゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等 膜翅目害虫：アリ類、スズメバチ類、アリガタバチ類、
カブラハバチ等のハバチ類等 隠翅目害虫：イヌノミ、ネコノミ、ヒトノミ等 シラミ目害虫：ヒトジラミ、ケジラミ等 等翅目害虫：ヤマトシロアリ、イエシロアリ等 等の昆虫類。

【０００５】ハダニ類：ニセナミハダニ、ナミハダニ、
カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ等 マダニ類：オウシマダニ類 室内塵性ダニ類：コナダニ類、ヒョウヒダニ類、チリダ
ニ類、ツメダニ類、イエダニ類等 等のダニ類。

【０００６】本発明において、ホ−スラディッシュ油
は、単独で衣料用防虫剤として用いることもできるが、
通常、例えば、ホ−スラディッシュ油に担体を加え、液
剤（エアゾ−ル等）、クリ−ム剤等に製剤化するか、ま
たはホ−スラディッシュ油を合成樹脂に含浸させて樹脂
成形体に製剤化して使用される。また、紙や素焼きに含
浸させて使用するか、ゲル剤として使用することもでき
る。

【０００７】ホ−スラディッシュ油を液剤に製剤化する
際に用いられる担体としては、たとえば水；メタノ−
ル、エタノ−ル、グリセリン、ポリエチレングリコ−ル
等のアルコ−ル類；テトラヒドロフラン、ジオキサン等
のエ−テル類；へキサン、ケロシン、パラフィン、石油
ベンジン等の脂肪族炭化水素類；酢酸エチル等のエステ
ル類があげられる。該液剤には、さらに通常の乳化剤、
展着・湿潤剤、懸濁化剤、保存剤、噴射剤等の製剤用補
助剤等を添加、配合することもでき、さらに通常の塗膜
形成剤を配合することもできる。具体的には、例えば石
鹸類、ポリオキシエチレンオレイルエ−テル等のポリオ
キシエチレン脂肪酸アルコ−ルエ−テル、ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエ−テル等のポリオキシエチレン
アルキルアリルエ−テル、ポリオキシエチレン脂肪酸エ
ステル、脂肪酸グリセリド、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、高級アルコ−ルの硫酸エステル、ドデシルベンゼン
スルホン酸ソ−ダ等のアルキルアリ−ルスルホン酸塩等
の乳化剤；グリセリン、ポリエチレングリコ−ル等の展
着・湿潤剤；カゼイン、ゼラチン、アルギン酸、カルボ
キシメチルセルロ−ス、アラビアガム、ヒドロキシプロ
ピルセルロ−ス、ベントナイト等の懸濁化剤；パラチオ
ン安息香酸メチル、パラチオン安息香酸エチル、パラチ
オン安息香酸プロピル、パラチオン安息香酸ブチル等の
保存剤；ジメチルエ−テル、クロロフルオロカ−ボン
類、炭酸ガス等の噴射剤；ニトロセルロ−ス、アセチル
セルロ−ス、アセチルブチルセルロ−ス、メチルセルロ
−ス誘導体、酢酸ビニル樹脂等のビニル系樹脂、ポリビ
ニルアルコ−ル等の塗膜形成剤をあげることができる。

【０００８】ホ−スラディッシュ油をクリ−ム剤に製剤
化する際に用いられる担体としては、例えば、流動パラ
フィン、ワセリン、パラフィン等の炭化水素類、ジメチ
ルシロキサン、コロイド状シリカ、ベントナイト等のシ
リコン類、エタノ−ル、ステアリルアルコ−ル、ラウリ
ルアルコ−ル等の１価のアルコ−ル類ポリエチレングリ
コ−ル、エチレングリコ−ル、グリセリン等の多価アル
コ−ル、ラウリン酸、ステアリン酸等のカルボン酸類、
蜜蝋、ラノリン等のエステル類等があげられる。さら
に、上記液剤と同様の製剤用補助剤を添加配合すること
もできる。

【０００９】ホ−スラディッシュ油を合成樹脂に含浸さ
せて樹脂成形体に製剤化する際に用いられる合成樹脂と
しては、ポリエチレン；ポリプロピレン；エチレン−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−メチル（メタ）アクリレ
−ト共重合体、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合
体、エチレン−酢酸ビニル−メチル（メタ）アクリレ−
ト共重合体等のエチレンと極性基を有する単量体との共
重合体；ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の含塩
素合成樹脂等をあげることができる。なかでも、ホ−ス
ラディッシュ油の吸収性、拡散性、安定性、熱成形性
（低温加工性）等の点から、エチレン−酢酸ビニル共重
合体およびエチレン−メチルメタクリレ−ト共重合体が
好ましい。

【００１０】ホ−スラディッシュ油を合成樹脂に含有さ
せる方法としては、ホ−スラディッシュ油をそのまま、
またはアセトン等の適当な溶剤に溶解させたものを基材
となる合成樹脂に含浸させてもよいし、あるいはホ−ス
ラディッシュ油と合成樹脂とを溶融混練して得ることも
できる。この場合、あらかじめ高濃度のホ−スラディッ
シュ油と合成樹脂とを溶融混練したマスタ−ペレットを
作製しておき、該マスタ−ペレットを、直接または基材
合成樹脂で希釈して目的の含有量として、通常の熱可塑
性樹脂の成形に用いられる射出成形、インフレ−ション
成形、紡糸等の溶融成形法によりフィルム、シ−ト、ネ
ット等、所望の成形品に加工することができる。また、
衣料害虫防除効果の持続時間をコントロ−ルする等、そ
の使用目的に応じて適宜、多層成形、複合紡糸とするこ
とができる。

【００１１】上記の製剤中のホ−スラディッシュ油の含
有量は、剤形や適用方法等により異なるが、液剤、クリ
−ム剤の場合には、通常０．１〜５０重量％、好ましく
は1〜２０重量％である。また樹脂成形体の場合には、
通常１〜４０重量％、好ましくは５〜３０重量％であ
る。ホ−スラディッシュ油の含有量が１重量％より少な
いと衣料害虫防除効果が顕著ではなく、また４０重量％
より多いとホ−スラディッシュ油が成形面の表面にブリ
−ドしてべたつきを生じることがあるので好ましくな
い。

【００１２】本防虫剤にはさらに他の殺虫剤、害虫忌避
剤、共力剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、その他の香
料、色素、顔料等の添加剤等を配合することもできる。
かかる殺虫剤としては、エンペントリン｛１−エチニル
−２−メチル−２−ペンテニル ｄ−シス、トランス−
クリサンセメ−ト（シス：トランス比＝２：８）｝、１
−エチニル−２−フルオロ−２−ペンテニル−ｄ−tran
s−３−（２，２−ジクロロビニル）−２，２−ジメチ
ルシクロプロパンカルボキシラ−ト、トランスフルスリ
ン等があげられ、害虫忌避剤としては、カラン−３、４
−ジオ−ル、ＤＥＥＴ、p−メンタン−３、８−ジオ−
ル、2、3、4、5、−ビス（△２−ブチレン）テトラヒド
ロフルフラ−ル、ジ−ｎ−プロピルイソシンコロネ−
ト、ジ−ｎ−ブチルサクシネ−ト、２−ヒドロキシオク
チルスルフィド、（Ｎ−カルボ−sec−ブチロキシ）−
２−（２’−ヒドロキシエチル−ピペリディン等があげ
られ、共力剤としては、例えばＮ−（２−エチルヘキシ
ル）−８、９、１０−トリノルボルン−５−エン−２、
３−ジカルボキシイミド（MGK−264）等を、酸化防止剤
としては、例えばブチルヒドロキシアニソ−ル、ジブチ
ルヒドロキシトルエン、トコフェロ−ル、γ−オリザノ
−ル等があげられる。

【００１３】本発明において、ホ−スラディッシュ油ま
たはその製剤品は、防虫効果が必要とされる衣料害虫侵
入区域内（タンス、ファンシ−ケ−ス、クロゼット等）
の適当な場所に散布、噴霧、塗布、設置することにより
施用する。またホ−スラディッシュ油を含浸させた紙ま
たは樹脂成形体により衣服を包むことによっても防虫効
果を発揮しうる。

【００１４】以下、本発明を製剤例及び試験例にてさら
に詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定される
ものではない。まず製剤例を示す。尚、部はすべて重量
部である。 製剤例１ ホ−スラディッシュ油１０部をエタノ−ルに溶解して全
体を３５部とし、エアゾ−ル容器に充填する。ついで該
容器にバルブをとり付けた後、該バルブ部分を通じて、
フロン１１および１２の１：１の混合物（噴射剤）６５
部を加圧充填しエアゾ−ルを得る。 製剤例２ ホ−スラディッシュ油１０部にステアリン酸１０部、セ
チルアルアルコ−ル２部、ラノリン１部、流動パラフィ
ン２部および水６２部を加え、加熱して溶融混和し、こ
れに、さらに加熱したグリセリン１３部を注入し、よく
攪拌してクリ−ム剤を得る。

【００１５】製剤例３ ホ−スラディッシュ油３０部とエチレン−メチルメタク
リレ−ト共重合体（住友化学工業（株）製アクリフトＷ
Ｈ２０２）７０部を密閉式加圧ニ−ダ−で約１５分間混
練し、これをペレット化したものをマスタ−ペレットと
する。このマスタ−ペレット１００部とマトリクス樹脂
であるエチレン−メチルメタクリレ−ト共重合体２００
部とを密閉式加圧ニ−ダ−で１５分間混練し、押出し機
に供給し押し出しながらホットカットを行い、ホ−スラ
ディッシュ油含量１０重量％のペレットを得る。該ペレ
ットをＴダイ押し出し機にて成形し厚さ１ｍｍのシ−ト
を得る。 製剤例４ ホ−スラディッシュ油１０００μｇを適量のアセトンに
溶解し、２ｃｍ×２ｃｍ、厚さ０.３ｍｍの濾紙に均一
に塗布した後、アセトンを風乾し、常温蒸散剤を得る。

【００１６】次に、ホ−スラディッシュ油が衣料用防虫
剤の有効成分として有用であることを試験例により示
す。なお、該試験で用いたホ−スラディッシュ油はいず
れも市販品（高砂香料株式会社製）である。 試験例１ ホ−スラディッシュ油のアセトン溶液（有効成分含有
量：１重量％）０．1ｍｌをウ−ルモスリン布（１×１
ｃｍ）に含浸させ、該布をポリカップ（体積：６０ｃｍ
³）の底部に置いた後、カップに、直径１．５ｃｍの穴
を有する蓋をした。このカップを、ケ−ジ（枠：２０×
２０×２８．５ｃｍ、ナイロンゴ−ス）内の底部に置
き、ケ−ジ内にコイガ成虫８０頭を放ち、温度２５℃、
湿度６０％にて保存した。２４時間後にカップを取り出
し、カップ内のコイガ成虫の生存、死亡虫数を調査し
た。また実体顕微鏡にてウ−ルモスリン布上の産卵数を
数えた。なお、試験は２反復で行った。また、無処理区
として、アセトンのみを処理したウ−ルモスリン布を用
いて同様の試験を行った。その結果、ホ−スラディッシ
ュ油処理区では、カップ内で死亡しているコイガ成虫は
合計２８頭であったのに対し、無処理区では０頭であっ
た。またホ−スラディッシュ油処理区では、カップ内の
生存虫数は５頭であったのに対し、無処理区では１４頭
であった。ホ−スラディッシュ油処理によりコイガ雌成
虫によるウ−ルモスリン布上への産卵は顕著に抑制さ
れ、産卵数は、ホ−スラディッシュ油処理区では１２個
であったのに対し、無処理区では７９個であった。

【００１７】試験例２ ２×２ｃｍのウ−ルモスリン布にホ−スラディッシュ油
のアセトン溶液（有効成分含有量：１重量％）０．1ｍ
ｌを滴下含浸し、ポリエチレンカップ（体積：５０ｃｍ
³）の底部に入れて、コイガ中令幼虫１０頭を入れ、温
度２５℃、湿度６０％で３日間放置した。３日後に布上
と布外の供試虫の生存、苦悶、死亡虫数及びウ−ルモス
リン布の食害度を調査した。なお、食害度の判定基準
は、 ＋＋＋：著しく食害あり ＋＋：食害あり ＋：やや食害あり ±：わずかに食害あり −：食害なし とした。また、無処理区として、アセトンのみを処理し
たウ−ルモスリン布を用いて同様の試験を行った。その
結果、ホ−スラディッシュ油処理区では、布外で全ての
供試虫が死亡しており、食害度は−であったが、それに
対し、無処理区では全ての供試虫が布上で生育してお
り、食害度は＋＋＋であった。

【００１８】

【発明の効果】本発明のホ−スラディッシュ油を用いる
ことにより、優れた衣料害虫防除効果が得られる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ホ−スラディッシュ油を有効成分として含
   有することを特徴とする衣料用防虫剤。