JPH11225662A - ロールパンの製造方法 - Google Patents

ロールパンの製造方法

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JPH11225662A
JPH11225662A JP4896098A JP4896098A JPH11225662A JP H11225662 A JPH11225662 A JP H11225662A JP 4896098 A JP4896098 A JP 4896098A JP 4896098 A JP4896098 A JP 4896098A JP H11225662 A JPH11225662 A JP H11225662A
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JP
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dough
chip
bread
roll
fat
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JP4896098A
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English (en)
Inventor
Kazuaki Yamamoto
山本和明
Mitsumasa Sakai
酒井光政
Masahiro Okamoto
岡元正弘
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Yamazaki Baking Co ltd
Original Assignee
Yamazaki Baking Co ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パン生地を圧延してガス抜きを行なう際に、
チップ状油脂が潰れて生地中に練込まれてしまう事態を
防止する。 【解決手段】 混捏後のパン生地にチップ状油脂を添加
して混合し、チップ状油脂がパン生地に練り込まれない
ようにしてパン生地中に分散させ、このチップ状油脂含
有パン生地を醗酵させ、分割・丸目工程の後、パン生地
を圧延してガス抜きを行ない、その後、焼成するロール
パンの製造方法において、上記パン生地を圧延してガス
抜きを行なうにあたり、圧延工程終了時におけるパン生
地の厚さを2.2〜3.4mmとした。これにより、圧
延の生地が厚くなるので、チップ状油脂が潰れて生地中
に練込まれてしまう事態が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロールパンを製造
する方法に係り、特に、焼成されたロールパンの内部に
空洞を散在させ、該空洞の壁部にバター等の油脂を含浸
させ、またこれとは別に油脂含浸層を形成させることに
より、食するとパン類に油脂を塗布したようなロールパ
ンの製造方法に関する。
【従来の技術】
【0002】従来、この種のパンの製造方法としては、
例えば、特開平6−233649号公報に掲載された技
術がある。これは、小麦粉,イースト,油脂等の原料に
適量の水を加えて混合してパン生地を作成し、このパン
生地に冷凍したマーガリン等のチップ状油脂を入れ、ミ
キサーで混合してチップ状油脂の形状を維持した状態で
パン生地中に分散させ、チップ状油脂が混合されたパン
生地をフロアータイムで醗酵させ、分割・丸目工程の
後、中間醗酵工程を経て成形されたパン生地をチップ状
油脂が形状を留めているうちに焙炉,加熱焼成し、焼成
されたパン類の内部に、パン生地中に分散されていたチ
ップ状油脂に由来して形成され一般の醗酵による空洞と
は異なる多数の大きな空洞を形成するとともに、この大
きな空洞の壁部に焼成時に溶融したチップ状油脂を含浸
させ、その後固化したことによる油脂含浸部を形成する
ようにしている。そして、このようにして製造されたパ
ンを食するときに、再加熱すると、油脂含浸部の油脂が
溶け出して、パンに油脂が塗布されたようになり、バタ
ー等を塗布したと同様の風味や食感を得ることができる
ようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この従来の
パンの製造方法にあっては、実際にはチップ状油脂の形
状を維持した状態でパン生地中に混合・分散させること
は困難であり、また醗酵(ホイロ)されたパン生地をチ
ップ状油脂が形状を留めているうちに焼成することは不
可能である。なぜなら、パン生地の混捏、分割、圧延
(ガス抜き)等の際における物理的圧力や、ホイロ等の
醗酵の際におけるパン生地の温度上昇により必然的にチ
ップ状油脂が潰れ、変形し、また溶融してしまうからで
ある。また、この従来の方法は、パン生地中のチップ状
油脂の溶融をおそれるあまり、パン生地の熟成にとって
最も重要な混捏後のバルク生地醗酵が短か過ぎるため、
さらには直捏法(ストレート法)による混捏後のパン生
地の醗酵は本来的に安定性に欠けるところ、まして冷凍
したチップ状油脂を多量に含有しているパン生地である
ため、焼成後のパンは醗酵風味が不足するおそれがあ
る。
【0004】また、この従来の方法をそのままロールパ
ンに応用してみたところ、パン生地を圧延してガス抜き
を行なう際に、圧延し過ぎるためチップ状油脂が潰れ過
ぎて、その後の成形工程及びホイロ工程を経た後におい
ては生地中に練込まれてしまうことがあり、空洞や空洞
の壁部に油脂含浸部を、またこれとは別に油脂含浸層を
確実に形成できないことがあり、クロワッサンを食した
ときのようなサクッとした歯ざわりの食感やバターなど
の油脂折り込み生地の焼成品様の風味が得られないとい
う問題があった。本発明は、このような問題点に鑑みて
なされたもので、パン生地を圧延してガス抜きを行なう
際に、チップ状油脂が潰れ過ぎて、その後の成形工程及
びホイロ工程を経た後においてはパン生地中に練込まれ
てしまう事態を防止するようにしたロールパンの製造方
法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るため、本発明のロールパンの製造方法は、中種法にお
ける本捏後のパン生地にチップ状油脂を添加して混合
し、チップ状油脂がパン生地に練り込まれないようにし
てパン生地中に分散させ、このチップ状油脂含有パン生
地をフロアータイムで醗酵させ、分割・丸目工程の後、
中間醗酵工程を経て、パン生地を圧延してガス抜きを行
ない、成形し、その後、焙炉、焼成するロールパンの製
造方法において、上記パン生地を圧延してガス抜きを行
なうにあたり、圧延工程終了時におけるパン生地の厚さ
を2.2〜3.4mmとした構成としている。
【0006】通常のロールパンの製造方法においては圧
延工程時のパン生地の厚さは2mm未満であるが、上述
した本願発明の方法により、圧延した生地が厚くなるの
で、チップ状油脂が潰れ過ぎて、その後の成形工程及び
ホイロ工程を経た後においては生地中に練込まれてしま
う事態が防止される。圧延工程における圧延工程終了時
のロールパン生地の厚さが2mm未満となると、チップ
状油脂の潰れ具合が一層進み、後の成形工程及びホイロ
工程を経た後においてはチップ状油脂がロールパン生地
に練り込まれた状態に近くなる。また、冷凍または冷蔵
したチップ状油脂を使用した場合には、チップ状油脂の
冷たさがロールパン生地に広く深く浸透し、その後の醗
酵に影響を与える。さらに、通常のロールパンにとって
は適切な圧延であったとしても、本願発明の半固形の油
脂を多量に含有するロールパン生地にとってはパン生地
への圧迫力が強すぎて、パン生地の気泡膜を潰し過ぎる
ため焼成してもボリューム不足のロールパンとなる。こ
こで言う生地中にチップ状油脂が練り込まれないとは、
チップ状油脂がパン生地中へ混合されたり、またはパン
生地が分割、圧延もしくは成形されたり、またはフロア
ータイム、中間醗酵、ホイロ等の醗酵がとられることに
よりパン生地の温度が上昇しチップ状油脂は一部溶融が
開始して柔くなり、また、これらの物理的圧力により原
形(すなわち、当初の形状)を止めないで、変形しなが
らもパン生地中に何箇所か局所的にまとまった状態で、
または伸展及び巻き込みにより帯状もしくは紐状となり
ながらも依然としてパン生地中に視覚的に油脂と確認も
しくは特定することができる状態で存在することを意味
し、このことはホイロ工程を経た後においてもチップ状
油脂の溶融が著しく進むけれども同様であり、所定形状
に成形しホイロをとった該パン生地を焼成することによ
り、パン生地中に存在した油脂は溶けて該パン中に空洞
を形成し、該空洞の内壁に含浸した痕を残すとともに、
またこれとは別に油脂含浸層を残すこととなるものであ
る。これに対し、圧延工程終了時のロールパン生地の厚
さが3.4mmを越えると、パン生地のガス抜きが不十
分となり、その気泡膜が不均一かつ粗く形成されるた
め、いわゆるブカブカのパン生地となり、成形工程を厄
介なものとし、ホイロおよび焼成工程におけるパン生地
の膨張が不十分となり、このようなパン生地を焼成した
ロールパンはボリュウムが小さく、外形も安定しておら
ず、内相の気泡も不均一かつ目が粗い。尚、ここで圧延
工程終了時のロールパン生地の厚さとは、圧延工程にお
ける最終モルダーローラーを通過するときのロールパン
生地の厚さであり、換言すれば最終モルダーローラーの
間隔である。
【0007】上記のチップ状油脂は、バター,マーガリ
ン等の動物性もしくは植物性油脂またはこれらの加工品
の小さい塊であり、その形状は、サイコロ状,球状,棒
状等適宜に定められる。混捏後のパン生地に添加して混
合するチップ状油脂は、添加量が少な過ぎると、焼成し
たロールパンの内部に内壁に油脂含浸部を有する空洞や
油脂含浸層が形成されないか、または形成される該空洞
等の数がわずかとなり、クロワッサンを食したときのよ
うなサクッとした軽い歯ざわり、口当たりの食感やバタ
ー等の油脂折り込み生地の焼成品様の風味が得られなく
なるおそれがある。これに対し、添加量が多過ぎると、
パン生地の表面が油脂でベトついてしまうためその後の
作業工程で不都合が生じるおそれがあるとともに、ホイ
ロ等においてイースト醗酵によるパン生地の膨張が阻害
されたり、焼成時に火通りが悪くなるため膨張不足や焼
成後のパンの食感への影響が生じたりするおそれがあ
る。したがって、このチップ状油脂の添加量は30〜4
0重量%とすることが望ましい。また、チップ状油脂
は、冷蔵して使用すること、さらには冷凍して使用する
ことが望ましい。これにより、練り込みや、破損して分
散する事態が抑制される。本発明においては中種法によ
ってパン生地を作成する。すなわち、パン生地にチップ
状油脂を混合した後ではフロアータイムやベンチタイム
(中間醗酵)を短かめに控えることが望ましく、生地の
醗酵不足を補うために中種を十分に醗酵させ熟成させて
おくことが望ましい。そこで、中種醗酵は2時間〜4時
間行なうことが望ましい。ロールパンとは、圧延工程で
圧延ガス抜きされた偏平状のパン生地を成形工程で少な
くとも一回一方の端から他方の端まで巻き込む(ロー
ル)ようにして成形するパンである。例えば、ホットド
ックあるいはコッペパンタイプロールパンであればこの
ような巻き込みを一回行なうが、バターロール、テーブ
ルロール等であればこのような巻き込みをらっきょう形
(滴形)に行なった後にさらにもう一回圧延してから幅
広の端から幅狭の端まで巻き込むようにする。そして、
必要に応じ、パン生地にチップ状油脂を添加するにあた
り、チップ状油脂と一緒にばい焼小麦粉を添加する構成
としている。これにより、チップ状油脂の表面にばい焼
小麦粉が付着するので、チップ状油脂同士が直接接触し
にくくなり互いの付着が防止されるとともに、チップ状
油脂の表面がザラザラ状になることから、短時間の混合
時にパン生地との摩擦が増加させられて滑りをなくし、
これらによってチップ状油脂がパン生地の内部奥深くま
で侵入させられ、また各々独立してパン生地の全体に広
くほぼ均一に分散させられる。従って、焼成後のロール
パンは、小さいものであるにもかかわらず、個々の製品
間における空洞や油脂含浸層の出来具合がほぼ均等とな
る。また、細長いホットドッグロールでも個々の製品の
部位間における空洞や層の出来具合がほぼ均等となる。
【0008】ばい焼小麦粉とは、ローストフラワーとも
いうが、焼成したり、炒ったり等加熱処理を施した小麦
粉である。ばい焼小麦粉を工業的に生産するためには、
一般に、製粉後の小麦粉をバンドオーブン等の加熱装置
で連続的に焼成する。ばい焼小麦粉は、酵素活性が低下
しており、また蛋白質がグルテンの形成を阻害するよう
に変性し、小麦粉に水を加えずに直接焙焼するので、澱
粉のα化はほとんどない。このためばい焼小麦粉は水を
加えても糊状にならず、ダマができ難く、水等に容易に
分散するという性質を有する。
【0009】上記のばい焼小麦粉の添加は、チップ状油
脂の添加と同時に行っても良いが、パン生地にチップ状
油脂を添加するにあたり、あらかじめチップ状油脂の表
面にばい焼小麦粉を付着させて添加することが有効であ
る。この場合には、チップ状油脂の表面に万遍なくばい
焼小麦粉を付着させることができるので、より一層チッ
プ状油脂同士の付着が防止され、パン生地との摩擦も確
実に増加させられる。パン生地にチップ状油脂を添加す
るにあたっては、チップ状油脂に対し3.0〜10重量
%のばい焼小麦粉を添加することが有効である。それ以
下だと、チップ状油脂表面に充分に行き渡らないおそれ
があり、それ以上であると、混捏後のパン生地や焼成後
のパンに多量に残存し、また空洞形成や含浸が不充分に
なることがある。ここで、添加量(%)は、すべて「ベ
ーカーズ%」であり、即ち、小麦粉基準の重量%であ
る。
【0010】また、必要に応じ、上記中間醗酵工程の時
間を、5〜15分間とした構成としている。通常のロー
ルパンの製造方法においては20分間前後ベンチタイム
(中間醗酵)をとる。本発明は、ロールパン生地の重量
が、例えば、40〜55gと比較的小さいので、室温
(常温)や機械の熱の影響を受け易く、当該生地中のチ
ップ状油脂も溶融し易く、また中間醗酵工程でチップ状
油脂の溶融が進むと、その後の圧延工程及び成形工程で
チップ状油脂が潰れ易くなり、これを避けるためにベン
チタイムをできるだけ短時間とすることが望ましい。こ
れにより、中間醗酵工程の時間が少なくなるので、この
間にチップ状油脂が溶融してしまう事態が防止される。
ベンチタイムをとらないと、焼成ロールパンはボリュー
ムが小さく、また、形状が整わない製品となるため、短
時間でもベンチタイムをとる必要がある。
【0011】更に、必要に応じ、上記フロアータイムを
5〜15分間とした構成としている。通常のロールパン
の製造方法においては20分間前後のフロアータイムを
とる。ロールパン生地中の油脂の溶融を防止するために
はフロアータイムをとらないことが考えられるが、本発
明は、上記のように、ベンチタイムを短時間とするのが
望ましいことから、フロアータイムまで省略すると醗酵
不足となるため必要ではあるが、最低時間のフロアータ
イムとすることが望ましい。また、その後の機械的な分
割・丸め工程においてロールパン生地に機械耐性を付与
し、また分割工程において分割の開始から終了までに時
間的間隔が空いたとしても焼成ロールパン間の品質にば
らつきがないよう安定化させる意味もある。これによ
り、油脂の溶融が起こらない範囲で、即ち、油脂の溶融
によるロールパン生地の機械(丸目機等)耐性の低下の
防止が図られる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて、本発
明の実施の形態に係るロールパンの製造方法について説
明する。先ず、小麦粉,イースト,油脂等の原料(1−
1)を、中種法により混捏する。この混捏においては、
小麦粉の50〜100重量%にイースト、イーストフー
ド、乳化剤及び水の適量を加えて混合し、中種生地を作
成する(1−2)。次に、中種醗酵させてからミキサー
に戻し、中種生地に残りの小麦粉,糖類,食塩,その他
必要に応じて油脂、乳製品、呈味成分の原料及び水を加
えて本捏する(1−3)。本発明においては中種法によ
ってパン生地を作成する。すなわち、パン生地にチップ
状油脂を混合した後ではフロアータイムやベンチタイム
(中間醗酵)を短かめに控えることが望ましく、生地の
醗酵不足を補うために中種を十分に醗酵させ熟成させて
おくことが望ましい。そこで、中種醗酵は2時間〜4時
間行なうことが望ましい。
【0013】この、本捏工程では、余分にイーストを添
加する(1−3)ことが望ましい。添加するイーストは
全小麦粉に対し0.5〜1.0重量%あることがより有
効である。これにより、後述のパン生地のフロアータイ
ムにおける醗酵及び焙炉における膨張の促進が行なわれ
る。本製造方法においては、パン生地に多量のチップ状
油脂という半固形物が含有するため、イースト醗酵によ
るパン生地の膨張が阻害されるおそれがあり、フロアー
タイムや焙炉における醗酵の促進は重要である。
【0014】次に、予め前工程で用意したチップ状油脂
を添加する(1−4)。前工程においては、例えば、マ
ーガリン等のチップ状油脂を作成し(1−5)、冷凍庫
で保管しておき(1−6)、このチップ状油脂の表面に
ばい焼小麦粉を付着させる(1−7)。その後、ミキサ
ーで軽く混合する(1−8)。この場合、チップ状油脂
の表面にばい焼小麦粉が付着しているので、チップ状油
脂同士が直接接触しにくくなり互いの付着が防止される
とともに、チップ状油脂の表面がザラザラ状になること
から、短時間の混合時にパン生地との摩擦が増加させら
れて滑りをなくし、これらによって個々のチップ状油脂
が各々独立してパン生地の全体に広くほぼ均一に分散さ
せられ、また内部奥深くまで侵入させられる。従って、
焼成後のロールパンは、小さいものであるにもかかわら
ず、個々の製品間における空洞や油脂含浸層の出来具合
がほぼ均等となる。また、細長いホットドッグロールで
も個々の製品の部位間における空洞や層の出来具合がほ
ぼ均等となる。
【0015】ばい焼小麦粉は、上述したその添加による
効果をよりよく奏するためには、チップ状油脂に対し3
〜10、好ましくは5〜7重量%添加することが望まし
い。また、ばい焼小麦粉は、個々のチップ状油脂の表面
にほぼ万遍無く付着し得る量まで添加することができよ
うが、ばい焼小麦粉の添加は一旦パン生地の混捏が終了
した後に行ない、またその混合も短時間で行なうもので
あるから、あまり多く添加し過ぎるとパン生地と混合さ
れない粉のまま残存し、焼成パンの食感(ザラザラ、ボ
ソボソ等の違和感が残る)と味に影響を与えるようにな
るため、小麦粉に対して4重量%以下とすること特に
2.5%以下とすることが望ましいであろう。
【0016】チップ状油脂のパン生地への混合が終わっ
たならば、フロアータイムにおいて、所定時間パン生地
を寝かせて、醗酵させる(1−9)。この場合、フロア
ータイムを5〜15分間とすることが望ましい。これ
は、油脂の溶融が起こらない範囲で、即ち、油脂の溶融
によるロールパン生地の機械(丸目機等)耐性の低下ひ
いては焼成ロールパンの品質の低下の防止を図りつつ、
パン生地のフロアータイムにおける醗酵の促進を図るた
めである。詳しくは、ロールパン生地中のチップ状油脂
の溶融を防止するためにはフロアータイムをとらないこ
とが考えられるが、本願発明のロールパンにおいても、
フロアータイムまで省略すると醗酵不足となるため、最
低時間すなわち5分間以上のフロアータイムをとってパ
ン生地を休ませることが必要である。また、その後の機
械的な分割・丸め工程においてロールパン生地に機械耐
性を付与し、また分割工程において分割の開始から終了
までに時間的間隔が空いたとしても焼成ロールパン間の
品質にばらつきがないよう安定化させる意味もある。
【0017】他方、フロアータイムの時間が長過ぎる
と、冷凍または冷蔵したチップ状油脂を使用した場合に
はロールパン生地の冷え込みが進み硬くなり、またチッ
プ状油脂が溶融してロールパン生地に粘着性が生じ、そ
の後の機械的な分割、丸目および圧延(ガス抜き)がう
まく働かなくなり、このため例えば圧延後のロールパン
生地は気泡が不均一で、また大きな粗い目の気泡が散在
するいわゆるブカブカのパン生地となり成形を厄介なも
のとし、またその後のホイロ及び焼成におけるパン生地
の膨張が不十分となり、焼成パンは不均一で粗い目の内
相となるおそれがある。
【0018】このフロアータイム後、分割・丸目工程に
入り(1−10)、中間醗酵(ベンチタイム)を行なう
(1−11)。この場合、ベンチタイムは、5〜15分
間とすることが望ましい。これは、チップ状油脂の溶融
をできるだけ防止するためである。詳しくは、通常のロ
ールパンの製造方法においては分割され丸目されたパン
生地を休ませ(このとき醗酵が伴う)て伸展性を付与し
て次の成形工程に備えるため20分間前後ベンチタイム
(中間醗酵)をとる。これに対し、本実施の形態では、
ロールパン生地の重量が40〜55gと小さいので、室
温(常温)や機械の熱の影響を受け易く、当該生地中の
チップ状油脂も溶融し易く、当該生地中のチップ状油脂
も溶融し易く、また中間醗酵工程でチップ状油脂の溶融
が進むと、その後の圧延工程及び成形工程でチップ状油
脂が潰れ易くなり、これを避けるためにベンチタイムは
短時間とすることが望ましい。かといってベンチタイム
をとらないと、焼成ロールパンはボリュームが小さく、
また、形状が整わない製品となるため、短時間でもベン
チタイムをとる必要がある。
【0019】次に、圧延ガス抜きを行なう(1−1
2)。この場合、パン生地を圧延してガス抜きを行なう
にあたり、圧延工程終了時のパン生地の厚さを2.2〜
3.4mmとしている。これは、チップ状油脂の潰れと
パン生地への練込を防止するためである。詳しくは、通
常のロールパンの製造方法においては圧延工程終了時の
パン生地の厚さは2mm未満である。これに対し、本実
施の形態においてはこれを2.2〜3.4mmとするこ
とにより、チップ状油脂の潰れとパン生地への練込の防
止を図っている。次に、ロール成形を行い(1−1
3)、焙炉を行ない(1−14)、その後、焼成して
(1−15)、製品とする(1−16)。ロール成形と
しては、例えば、ホットドック等に使用するロールパン
においては圧延ガス抜きした生地を巻いて棒状に成形
し、バターロール、テーブルロール等においては圧延ガ
ス抜きした生地をらっきょう形(滴形)に巻いて成形し
た後、これを再び圧延したものを幅広の端から幅狭の端
まで巻いて成形する。
【0020】
【実施例】次に、本発明の実施例を示す。図2には、実
施例1に係るテーブルロールの成分を示す。図3には、
実施例2に係るホットドッグロールの成分を示す。ま
た、図4に実施例1,2の製造条件を示す。最終モルダ
ーローラーの間隔は3mmである。尚、チップ状油脂
は、直径約5mm、長さ約5〜30mmの円柱状のもの
で、融点が約39℃のものを使用した。ロール成形は常
法通り行なう。ロール成形において圧延が伴うときに
は、薄く圧延してしまうことは避けなければならず、該
圧延終了時におけるパン生地の厚さとして2.6mm以
上とすること、特に3.0mm以上とすることが望まし
い。このようにして製造したロールパンは、テーブルロ
ール(実施例1)、ホットドックロール(実施例2)と
も、醗酵,風味において極めて良好であり、ソフト感に
おいて良好であった。実施例3,4(図示せず)とし
て、それぞれテーブルロール(実施例1)、ホットドッ
クロール(実施例2)を製造するにあたり、本捏で追加
的に0.7重量%のイーストを添加したものを作成し
た。これによれば、パン生地のフロアータイムにおける
醗酵及び焙炉における膨張の促進が行なわれた。
【0021】
【実験例】以下、上記実施例において各種の条件におい
て製造したロールパンの比較試験(実験例1〜6)を行
ない、所要の項目について評価を行なった。評価におい
て、◎は極めて良好,■は良好,△はやや悪い,×は悪
いを表わす。 [実験例1]上述した実施例1において、圧延工程終了
時におけるパン生地の厚さを変えて〜の各比較項目
について比較試験を実施した。結果を図5に示す。この
結果から、圧延工程終了時におけるパン生地の厚さを
2.2〜3.4mmの範囲にすると、空洞の形成状態,
食感,風味,ボリューム,内相において、良好となっ
た。特に、2.6〜3.0の範囲で全てにおいて極めて
良好になった。
【0022】[実験例2]上述した実施例1において、
ばい焼小麦粉のチップ状油脂に対する添加量を変えて比
較試験を実施し、〜の比較項目について検討した
(但し、の比較項目においては、チップ状油脂の添加
量を40%とした)結果を図6に示す。この結果から、
ばい焼小麦粉のチップ状油脂に対する添加量を3.0〜
10%の範囲にすると、チップ状油脂の付着防止性,内
部侵入度,分散性,食感において、良好となった。特
に、5.0〜7.0%の範囲で全てにおいて極めて良好
になった。
【0023】[実験例3]上述した実施例1において、
小麦粉に対するばい焼小麦粉の添加量を変えて及び
の各比較項目について比較試験を行なった(但し、チッ
プ状油脂の添加量を40%とした)。結果を図7に示
す。この結果から、小麦粉に対するばい焼小麦粉の添加
量を4.0%以下の範囲にすると、触感および食感にお
いて、良好となった。特に、2.5%以下の範囲で極め
て良好になった。
【0024】[実験例4]上述した実施例1すなわち焙
焼小麦粉をチップ状油脂の表面に付着させてパン生地に
添加する方法、通常の小麦粉をチップ状油脂の表面に付
着させて添加する方法、及び上述した従来の技術すなわ
ち裸のチップ状油脂を添加する方法の比較試験を実施し
〜の比較項目について検討した結果を図8に示す。
この結果から、焙焼小麦粉をチップ状油脂の表面に付着
させたものにおいては、チップ状油脂の分離,均一分散
性,侵入度や食感は、いずれも極めて良好になった。
【0025】[実験例5]上述した実施例1、すなわち
中種法で3時間30分の中種醗酵及び10分間のフロア
ータイムをとる製パン法と、上述した従来の技術、すな
わち直捏法で混捏後に60分間のバルク醗酵をとる製パ
ン法によりテーブルロールを製造する方法との比較試験
を実施し乃至の比較項目について検討した結果を図
9に示す。この結果から、実施例は従来技術に比較して
醗酵,風味において極めて良好であり、ソフト感におい
て良好であった。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のロールパ
ンの製造方法によれば、パン生地を圧延してガス抜きを
行なうにあたり、圧延工程終了時におけるパン生地の厚
さを2.2〜3.4mmとする構成としたので、圧延の
生地が厚くなり、それだけ、チップ状油脂が潰れ過ぎ
て、その後の成形工程及びホイロ工程を経た後において
は生地中に練込まれてしまう事態を防止することがで
き、そのため、焼成したロールパンの内部に醗酵による
気泡よりもかなり大きないくつかの空洞と各空洞の壁部
に油脂含浸部を、またこれとは別に多数の油脂含浸層を
確実に形成することができそのまま食したときには、ク
ロワッサンのような軽い口当たりの食感とデニッシュペ
ストリーのようなバター等の油脂折り込み生地の焼成品
風の風味を味わうことができ、また再加熱して食したと
きには、空洞の油脂含浸壁部周辺のクラムを噛んだとき
のソフトなパリッとした食感、パンにバターやマーガリ
ンを塗布したばかりのようなサクッとした食感と油脂の
風味と味をよりよく実現することができる。
【0027】また、パン生地にチップ状油脂を添加する
にあたり、チップ状油脂と一緒にばい焼小麦粉を添加し
た場合には、チップ状油脂の表面にばい焼小麦粉が付着
することになり、そのため、チップ状油脂同士が直接接
触しにくくなり互いの付着を防止することができる。更
に、チップ状油脂の表面にばい焼小麦粉が付着するの
で、チップ状油脂の表面がザラザラ状になることから、
パン生地との摩擦抵抗を増加させることができ、そのた
め、混合時に、摩擦力によってチップ状油脂をパン生地
の内部奥深くまで侵入させることができる。その結果、
チップ状油脂をパン生地内に充分に分散させることがで
きるようになり、品質を大幅に向上させることができ
る。
【0028】そしてまた、パン生地にチップ状油脂を添
加するにあたり、あらかじめチップ状油脂の表面にばい
焼小麦粉を付着させて添加する場合には、チップ状油脂
の表面に万遍なくばい焼小麦粉を付着させることができ
るので、より一層チップ状油脂同士の付着を防止できる
とともに、パン生地との摩擦も確実に増加させることが
でき、より確実にチップ状油脂をパン生地内に分散させ
ることができるようになる。
【0029】また、中間醗酵工程を短くした場合には、
この間にチップ状油脂が溶融してしまう事態を抑制で
き、焼成の前にチップ状油脂がパン生地に練り込まれて
しまう事態を確実に防止し、焼成時に、空洞を確実に成
長させてこの壁部に油脂含浸部、またこれとは別に多数
の油脂含浸層を確実に形成できるようになる。更に、フ
ロアータイムを5〜15分間とした構成とした場合に
は、油脂の溶融が起こらない範囲で、即ち、油脂の溶融
によるロールパン生地の機械(丸目機等)耐性の低下の
防止を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るロールパンの製造方
法を示す工程図である。
【図2】本発明の実施例1に係るテーブルロールの成分
を示す表図である。
【図3】本発明の実施例2に係るホットドッグロールの
成分を示す表図である。
【図4】本発明の実施例1,2の製造条件を示す表図で
ある。
【図5】本発明の実施例1において圧延工程終了時にお
けるパン生地の厚さを変えて行なった実験例1の結果を
示す表図である。
【図6】本発明の実施例1においてばい焼小麦粉のチッ
プ状油脂に対する添加量を変えて行なった実験例2の結
果を示す表図である。
【図7】本発明の実施例1において小麦粉に対するばい
焼小麦粉の添加量を変えて行なった実験例3の結果を示
す表図である。
【図8】本発明の実施例と従来技術とを比較した実験例
4の結果を示す表図である。
【図9】本発明の実施例1において従来技術と比較した
実験例5の結果を示す表図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中種法における本捏後のパン生地にチッ
    プ状油脂を添加して混合し、チップ状油脂がパン生地に
    練り込まれないようにしてパン生地中に分散させ、この
    チップ状油脂含有パン生地をフロアータイムで醗酵さ
    せ、分割・丸目工程の後、中間醗酵工程を経て、パン生
    地を圧延してガス抜きを行ない、成形し、その後、焙
    炉、焼成するロールパンの製造方法において、上記パン
    生地を圧延してガス抜きを行なうにあたり、圧延工程終
    了時におけるパン生地の厚さを2.2〜3.4mmとし
    たことを特徴とするロールパンの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記パン生地にチップ状油脂を添加する
    にあたり、チップ状油脂と一緒にばい焼小麦粉を添加す
    ることを特徴とする請求項1記載のロールパンの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 上記パン生地にチップ状油脂を添加する
    にあたり、あらかじめチップ状油脂の表面にばい焼小麦
    粉を付着させて添加することを特徴とする請求項2記載
    のロールパンの製造方法。
  4. 【請求項4】 上記パン生地にチップ状油脂を添加する
    にあたり、チップ状油脂に対し3〜10重量%のばい焼
    小麦粉を添加することを特徴とする請求項2または3記
    載のロールパンの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記中間醗酵工程の時間を、5〜15分
    間としたことを特徴とする請求項1,2,3または4記
    載のロールパンの製造方法。
  6. 【請求項6】 上記フロアータイムを5〜15分間とし
    たことを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載
    のロールパンの製造方法。
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