JP3624894B2 - パン類生地及びパン類の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、全小麦粉量のうち一部の小麦粉を温水を用いて混捏して湯捏種を作成し、この湯捏種を用いてパン類生地を製造する方法、及びこのパン類生地からパン類を製造するパン類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、小麦粉及び熱湯を混捏して湯捏種を作成し、必要に応じて混捏後の湯捏種のあら熱を除去した後、湯捏種と少なくとも小麦粉,イースト,食塩,糖類及び水からなる原料を混捏してパン類生地を作成して醗酵及び焼成をすることにより、しっとりした柔らかさともちもちさを有し、また小麦粉の本来の風味を有するパン類を製造する方法が知られている。
従来、この種の方法としては、例えば、特開昭59−156236号公報、特開2000−262205号公報等に掲載された技術が知られている。
この方法は、例えば、パン類生地を構成する全小麦粉量のうち約5質量%〜50質量%の小麦粉と所定量の熱湯を混捏して湯捏種を作成し、該湯捏種と残りの小麦粉,イースト,イーストフード,食塩,糖類,脱脂粉乳,油脂及びその他の残りのパン類生地を構成する原料を原料の状態で混捏してパン類生地を作成し、醗酵及び焼成することによりパン類生地を製造するというものである。
そして、湯捏種は小麦粉を熱湯で熱処理しているため、小麦澱粉が一部α化(糊化)していることから保水力が向上して、このため湯捏種を使用して作成したパン類は上述した独特の特徴を有するものとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この従来の方法は、以下のような重大な課題を有するものであった。すなわち、従来の技術は小麦粉と熱湯を短時間混捏するものであり、しかも熱湯の温度も直ぐに低下するため、湯捏種に与える熱エネルギーが不足するためか湯捏種の小麦澱粉のα化と低分子化が十分ではなかった。
また、小麦粉の温度変化によって湯捏種の小麦澱粉のα化等が不十分になったり、一定にならないものであった。すなわち、季節によって小麦粉の温度は大きく上下するものであり、夏では小麦粉の温度が30℃以上となり得るため比較的温度が低めの熱湯で捏上温度の調整を図る必要があり、また、この調整を行なっても湯捏種の捏上温度は安定し難いものであった。さらに冬では小麦粉の温度が10℃以下となり得るため100℃の沸騰水を使用したとしても小麦澱粉の十分なα化等を実現するための最低限の捏上温度まで上昇させることが困難であった。そもそも従来の技術は、熱湯の温度低下に伴う熱エネルギーの自然な放出によって湯捏種を作成するものであり、工程管理が難しくバッチごとに均一で安定した湯捏種を作成することには困難が伴うものであった。そして、このように作成された湯捏種の安定性の欠如は当然にこの湯捏種を用いて製造する焼成パン類の小麦粉由来の麦芽糖による甘味や焼成パン類のしっとりした柔らかさやクラストの歯切れや老化防止等の品質にも影響を及ぼすことは免れなかった。
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、一部の小麦粉を温水を用いて加温しながら混捏して湯捏種を作成することにより、湯捏種に十分な熱エネルギーを制御下に与えることにより小麦澱粉のα化と低分子化を促進させて、この湯捏種を用いた焼成パン類の容積の増大を図り、しっとりした柔らかさと経時的な老化防止効果を向上させ、良好な歯切れと口溶けを実現し、小麦粉由来の麦芽糖の生成量が増加し、それによる甘味と香の向上を図り、また、湯捏種の糖度を上げることのできるパン類の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、常時均一に安定した湯捏種を容易に作成することができるようにし、これを用いて製造する焼成パン類の前記品質の安定性を図ったパン類の製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、前記湯捏種を用いたパン類の製造方法において、特に混捏後のパン類生地が過度に柔らかくならず一定の弾力性を有し、過度の粘着性がなくて適度な性状を維持し、機械耐性を有し、焼成したパン類がオーブンスプリングと容積を有し、腰持ちが良く、そして機械的大量製パンにおける焼成パン類の品質が製品間で安定している等品質の向上を図ったパン類の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するための本発明は、
少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉と40〜65℃の温水とを該温水の温度以上の捏上温度になるまで加温しながら混捏して湯捏種を作成するか、又は少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉と40〜65℃の温水とを55〜70℃の捏上温度になるまで加温しながら混捏して湯捏種を作成する湯捏種作成工程と、該湯捏種を用いてパン類生地を作成するパン類生地作成工程とから構成されるパン類生地の製造方法を提供するものである。ここで、「少なくとも」としたのは、上記湯捏種の原材料として、必要に応じて、塩、砂糖、脱脂粉乳、米粉、油脂等の副材料を加えた場合を含む意味である(以下、本明細書において同様)。
また、本発明は、上記のように製造されたパン類生地からパン類を製造するパン類の製造方法を提供する。
パン類生地作成工程においては、湯捏種を用いてパン類生地を作成する方法は何でも良く、例えば、直捏法、中種法、後述する前種法等どのような方法によっても良い。
これにより、少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉と40〜65℃の温水とを、温水の温度以上の捏上温度になるまで、又は55〜70℃の捏上温度になるまで加温しながら混捏して湯捏種を作成するので、従来のように熱湯を用いる場合よりも、湯捏種に十分な熱エネルギーを制御下に与えることにより小麦澱粉のα化と低分子化を促進させることができるようになる。その結果、焼成パン類の容積が増大し、クラスト及びクラムともにしっとりした柔らかさと経時的な老化防止効果が向上し、また、クラスト及びクラムともに歯切れと口溶けが良好となり、さらには、小麦粉由来の麦芽糖の生成量が増加し、それによる甘味と香が向上し、また、湯捏種の糖度が増加する。
また、常時均一に安定した湯捏種を容易に作成することができるようになり、これを用いて製造する焼成パン類の前記品質の安定性が湯捏種の不安定化により阻害されることを防止することができるようになる。
【0006】
上記温水としては、通常40〜65℃の温水を用いるが、好ましくは40℃〜60℃の温水を、より好ましくは45〜60℃の温水を、より一層好ましくは45〜55℃の温水を用いる構成とすることができる。
温水の温度が65℃を超えると、湯捏種の捏上温度が高くなり易く、所定の捏上温度まで早く到達してしまい、湯捏種の混捏時間が短くなって湯捏種に与える熱エネルギーが小さくなってしまい、また、湯捏種の水和にも影響する。こうなると、その小麦澱粉のα化等が不足することになる。これに対し、温水の温度が40℃未満となると、湯捏種の混捏時間が著しく長くなり、作成された湯捏種の安定性が劣ってくる。また、混捏初期において湯捏種と加熱面との温度差が大きくなるため、湯捏種は局部的に加熱温度が大きく異なり、加温の均一性に欠け易く、不均一な湯捏種となり易い。
好ましくは、捏上温度を、55〜70℃にすることが有効である。湯捏種を作成するときの捏上温度、すなわち捏上直後の湯捏種の内部温度は55℃〜70℃に調整する。捏上温度が低いと、湯捏種中の麦芽糖の生成及び小麦澱粉のα化が不十分となり、このためこの湯捏種を使用して作成した焼成パン類は本来の小麦粉に由来する麦芽糖の甘みと香りや、しっとりした柔らかさと良好な歯切れと口溶けが顕著に現れないおそれがある。従って、湯捏種の捏上温度は55℃以上が望ましく、更には60℃以上がより一層望ましい。
これに対し、湯捏種の捏上温度の温度が高いと、小麦澱粉が過度に膨潤し破裂するおそれが生じ、混捏後の湯捏種中の小麦グルテンの熱変性が過度に進むおそれがあり、こうなると本発明によっても上記従来の方法の課題解決効果が顕著に現れないおそれがある。従って、捏上温度は70℃以下が望ましく、更には65℃以下がより一層望ましい。
すなわち、湯捏種の捏上温度は55℃〜70℃が望ましく、更には60℃〜65℃がより一層望ましい。
【0007】
更に、必要に応じ、上記湯捏種作成工程で用いる小麦粉量を、全小麦粉量の内5〜40質量%にする構成としている。この場合、上記小麦粉量を、全小麦粉量の内10〜30質量%にすることがより有効である。好ましくは、上記小麦粉量を、全小麦粉量の内10〜20質量%にすることがより一層有効である。
湯捏種の小麦粉量が多すぎると、この湯捏種を用いて作成したパン類生地は著しく柔らか過ぎて力が弱く、また粘着性が強い性状となり、さらに機械耐性に欠けるようになる。そしてこのようなパン類生地から作成した焼成パン類は容積が小さく、腰持ちが悪く潰れ易く、さらに機械的大量製パンにおける焼成パン類の品質の安定性に欠けるようになる。これに対し、湯捏種の小麦粉量が少な過ぎると、本発明の湯捏種を用いる特徴が現れなくなる。従って、湯捏種の小麦粉量は上述した量であることが望ましい。湯捏種の小麦粉量は、どの程度焼成パン類に本発明の湯捏種を用いる特徴を与えるかによってその小麦粉量を任意に増減することが可能である。
【0008】
更にまた、必要に応じ、上記温水の量を、小麦粉に対して50〜200質量%にする構成としている。好ましくは、上記温水の量を、小麦粉に対して80〜150質量%にすることがより有効である。これにより、長時間混捏することなく効率的かつ確実に湯捏種に熱エネルギーを与えて小麦澱粉のα化と低分子化を促進させることができるようになる。
また、必要に応じ、上記湯捏種作成工程で、混捏時間を、5〜20分にする構成としている。好ましくは上記混捏時間を8〜15分にすること、より一層好ましくは8〜12分にすることがより有効である。これにより、効率的かつ確実に湯捏種に熱エネルギーを与えて比較的短時間で小麦澱粉のα化と低分子化を促進させることができるようになる。
【0009】
更に、必要に応じ、上記湯捏種作成工程で、油脂を添加して混捏する構成としている。好ましくは、上記湯捏種作成工程で、湯捏種の小麦粉に対して5〜30質量%の油脂を添加して混捏することがより有効である。これにより、湯捏種の作成工程中における湯捏種の蓄熱効果がより高まり、その小麦澱粉のα化と低分子化を一層促進させることができるようになる。また、この湯捏種を用いたパン類生地の作成工程において油脂の添加量を減少させることができるため、混捏時間を短くし、かつ短い混捏時間でもパン類生地の小麦グルテンの十分な結合と発達を達成させることができる。更に、湯捏種の粘着性を軽減し、なめらかな湯捏種を作成することができる。
【0010】
更にまた、必要に応じ、上記湯捏種作成工程後に、湯捏種を低温でねかせて熟成させる熟成工程を設けた構成としている。これにより、小麦蛋白質の乳化作用により湯捏種は油脂と水が安定的に乳化して全体的に均一な水和が進行し、湯捏種の組成を全体的に均質化したり、焼成パン類生地の老化防止効果を向上させたりする。また、湯捏種を用いたパン類生地の作成工程における捏上温度の最適温度(パンの種類,製法により異なるが、通常26〜29℃である。しかし、これに限らない)への調整が容易になる。
この場合、上記熟成工程で、湯捏種を、5〜20℃で12〜24時間ねかせて熟成させることがより有効である。
なお、本発明のパン類とは、食パン、菓子パン、ロールパン、フランスパンその他の焼成することにより製造されるパンをいう。
また、本発明において「加温」とは、湯捏種の作成に適した全ての加熱方法を含む概念であり、後述の実施例に示す加熱方法に限定されるものではない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係るパン類の製造方法について説明する。
先ず、本発明の第一の実施の形態について説明する。図1及び図2に示すように、この本発明の第一の実施の形態の基本的構成は、直捏法(ストレート法)を採用し、少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉を温水を用いて加温しながら混捏して湯捏種を作成する湯捏種作成工程(1−1)と、湯捏種作成工程後に、湯捏種を低温でねかせて熟成させる熟成工程(1−2)と、湯捏種及び少なくとも残量の小麦粉,全量のイースト及び水からなる原料を混捏してパン類生地を作成するパン類生地作成工程(1−3)と、パン類生地を醗酵し、分割して丸めを行ない、ベンチタイムをとって、ガス抜きや整形を行なってからホイロをとるパン類生地醗酵工程(1−4)と、このパン類生地を焼成する焼成工程(1−5)とを備えてなる。
以下、各工程について詳しく説明する。
【0012】
(1−1)湯捏種作成工程
この湯捏種作成工程では、図1に示すように、少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉と40〜65℃の温水とを、温水の温度以上の捏上温度になるまで、または55〜70℃の捏上温度になるまで加温しながら混捏して湯捏種を作成する。
小麦粉量は、好ましくは、全小麦粉量の内5〜40質量%、更に好ましくは、全小麦粉量の内10〜30質量%、更に一層好ましくは、全小麦粉量の内10〜20質量%にする。
小麦粉の他に、食塩,砂糖,脱脂粉乳、米粉等のうちから任意に選択した1種類または2種類以上のものを適宜量、添加することができる。これにより湯捏種及び湯捏種を使用したパン類生地を引き締めることができる。このとき油脂を添加することが望ましく、油脂は、湯捏種の小麦粉に対して5〜30質量%添加することがより望ましい。ここで油脂としてはバター、マーガリン、ショートニング、ラード、その他製パン用油脂であれば固体、液体等の形状を問わず何でも使用することができる。
温水としては40〜65℃の温水を用いるが、好ましくは40〜60℃の温水を、より好ましくは45〜60℃の温水を、より一層好ましくは45〜55℃の温水を用いる。温水の量は、湯捏種の小麦粉に対して50〜200質量%、好ましくは、湯捏種の小麦粉に対して80〜150質量%にする。
捏上温度(終点温度)は、好ましくは55〜70℃、より好ましくは、60〜65℃に設定する。混捏時間は、好ましくは5〜20分、より好ましくは8〜15分、より一層好ましくは8〜12分である。
【0013】
(1−2)熟成工程
図2に戻り、湯捏種を低温でねかせて熟成させる。湯捏種を、好ましくは5〜20℃で12〜24時間ねかせて熟成させる。例えば、15kgに分割して、平らにして樹脂シートに包み込み12〜13℃の空調で17〜18時間熟成させる。
(1−3)パン類生地作成工程
次に、湯捏種と、少なくとも残量の小麦粉,全量のイースト及び水からなる原料とを混捏してパン類生地を作成する。このとき、湯捏種、残量の小麦粉、全量のイースト、水等からなる原料を一緒にミキサーに投入して一度に混捏することができる。
このパン類生地を作成するにあたり使用する小麦粉量は、上記湯捏種を作成したときに使用した小麦粉量の残り量である。また、イーストの量は常法のストレート法における量を添加することが可能である。
また、このパン類生地を作成するときには、これ以外に、イーストフード,酸化剤,生地改良剤,乳化剤,糖類,塩,脱脂粉乳,油脂,乳製品等から選択された1種類または2種類以上のものを適宜使用することが可能である。尚、後述するとおり、油脂は最初に添加しないで、後で途中で添加して混捏することが望ましい。
【0014】
(1−4)パン類生地醗酵工程
このパン類生地を所要時間醗酵する。醗酵は、常法の直捏法の醗酵条件(時間、温度、湿度)を採用することができる。
ここでは、フロアタイムでの醗酵後、分割して丸めを行なう。その後、ベンチタイムをとり、ガス抜きや整形を行なってからホイロする。
(1−5)焼成工程
ホイロ後のパン類生地を焼成する。この焼成したパン類においては、従来のように熱湯を用いる場合よりも、湯捏種の小麦澱粉のα化と低分子化を促進させることができるようになるため、焼成パン類の容積が増大し、クラスト及びクラムともにしっとりした柔らかさと経時的な老化防止効果が向上し、また、クラスト及びクラムともに歯切れと口溶けが良好となり、さらには、小麦粉由来の麦芽糖の生成量が増加し、これによる甘味と香が向上し、また、湯捏種の糖度が増加するようになる。
また、常時均一に安定した湯捏種を容易に作成することができるようになり、これを用いて製造する焼成パン類の前記品質の安定性が湯捏種の不安定化により阻害されることを防止することができるようになる。
【0015】
次に、第二の実施の形態について説明する。
図3に示すように、この本発明の第二の実施の形態の基本的構成は、直捏法を応用しつつ、パン類生地の作成工程については常法の直捏法を改良して本発明に独特の特徴的なものにしたのであるが、少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉を温水を用いて加温しながら混捏して湯捏種を作成する湯捏種作成工程(2−1)と、湯捏種作成工程後に、湯捏種を低温でねかせて熟成させる熟成工程(2−2)と、少なくとも残量の小麦粉,全量のイースト及び水からなる原料を混捏して中間生地を作成する中間生地作成工程(2−3)と、湯捏種と中間生地とを混捏してパン類生地を作成するパン類生地作成工程(2−4)と、パン類生地を醗酵し、分割して丸めを行ない、ベンチタイムをとって、ガス抜きや整形を行なってからホイロをとるパン類生地醗酵工程(2−5)と、このパン類生地を焼成する焼成工程(2−6)とを備えてなる。
【0016】
詳しくは、先ず、湯捏種作成工程(2−1),熟成工程(2−2)は、上述した第一の実施の形態と同様である。
(2−3)中間生地作成工程
湯捏種以外の、少なくとも残りの小麦粉,イースト及び水からなるパン類生地を構成する原料をあらかじめ混捏して中間生地を作成する。中間生地を作成するにあたり使用する小麦粉量は、上記湯捏種を作成したときに使用した小麦粉量の残り量である。また、イーストの量は常法のストレート法における量を添加することが可能である。
中間生地を作成するときは、これ以外に、イーストフード,酸化剤,生地改良剤,乳化剤,塩,糖類,脱脂粉乳,油脂,乳製品等から選択された1種類または2種類以上のものを適宜量使用することが可能である。尚、後述するとおり、油脂はこのときに添加しないで、中間生地に湯捏種を加えて混捏した後で最後に添加して混捏することが望ましい。
中間生地を作成するための原料の混捏は、少なくともピックアップステージ(低速攪拌)を経てクリーンアップステージ(水切れ)に入り、小麦粉に水が完全に分散・吸収されて一つの塊状の生地となるまで行なうか、更に、ディベロップメントステージに入り、中間生地の小麦グルテンがある程度発達するまで行なうことが望ましい。これに対し、ファイナルステージに入るまで混捏することは、望ましくない。
【0017】
(2−4)パン類生地作成工程
次に、湯捏種と中間生地とを混捏してパン類生地を作成する。
本発明は、上述した通り前記湯捏種及び前記中間生地を作成した後、中間生地に前記湯捏種を加えて混捏してパン類生地を作成する。
従来の技術はすべて、湯捏種を使用してパン類生地を作成するときには、湯捏種と、残りの小麦粉,イースト,イーストフード,食塩,糖類,脱脂粉乳,油脂,その他残りのパン類生地を構成する原料を原料の状態で混捏してパン類生地を作成するというものであった。これに対し、本実施の形態は、湯捏種及び中間生地をそれぞれ作成した後、この中間生地に湯捏種を加えて混捏してパン類生地を作成する。
パン類生地を作成するための中間生地と湯捏種の混捏は、生地の最適状態が得られるまで行なう。この際、油脂は、上述した通り、中間生地の混捏時には添加しないで、パン類生地を作成するための中間生地と湯捏種の混捏時において小麦グルテンが完全に結合した後に添加して混捏し、パン類生地中に均一に練り込むことが望ましい。小麦グルテンが完全に結合する前に油脂を添加すると結合が阻害されるおそれがあるからである。
本実施の形態では、中間生地を作成するときに使用する小麦粉としては強力粉を使用する必要があり、更には、湯捏種を作成するときに使用する小麦粉としても強力粉を使用することが望ましい。
【0018】
(2−5)パン類生地醗酵工程
このパン類生地を所要時間醗酵する。醗酵は、ここでもまた常法の直捏法の醗酵条件(時間、温度、湿度)を採用することができる。
ここでは、フロアタイムでの醗酵後、分割して丸めを行なう。その後、ベンチタイムをとり、ガス抜きや整形を行なってからホイロする。
(2−6)焼成工程
ホイロ後のパン類生地を焼成する。この焼成したパン類においては、従来のように熱湯を用いる場合よりも、湯捏種の小麦澱粉のα化と低分子化を促進させることができるようになるため、焼成パン類の容積が増大し、クラスト及びクラムともにしっとりした柔らかさと経時的な老化防止効果が向上し、また、クラスト及びクラムともに歯切れと口溶けが良好となり、さらには、小麦粉由来の麦芽糖の生成量が増加し、これによる甘味と香が向上し、また、湯捏種の糖度が増加するようになる。
また、常時均一に安定した湯捏種を容易に作成することができるようになり、これを用いて製造する焼成パン類の前記品質の安定性が湯捏種の不安定化により阻害されることを防止することができるようになる。
更に、湯捏種と予め作成した中間生地とを混捏することにより、湯捏種を使用しても混捏後のパン類生地が過度に柔らかくならず一定の弾力性を有し、過度の粘着性がなくて適度な性状を維持し、機械耐性を有し、焼成パン類はオーブンスプリングと容積が大きく、腰持ちが良く、そして機械的大量製パンにおける焼成品の品質を製品間で安定させることができるようになる。
【0019】
次に、第三の実施の形態について説明する。
図4に示すように、この本発明の第三の実施の形態の基本的構成は、中種法を採用し、少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉を温水を用いて加温しながら混捏して湯捏種を作成する湯捏種作成工程(3−1)と、湯捏種作成工程後に、湯捏種を低温でねかせて熟成させる熟成工程(3−2)と、少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉,全量のイーストもしくは常法において中種に通常添加する標準量のイースト,イーストフード及び水を混捏して中種を作成する中種作成工程(3−3)と、この中種を醗酵させる中種醗酵工程(3−4)と、湯捏種,醗酵後の中種,少なくとも残量の小麦粉及び水からなる原料を混捏してパン類生地を作成するパン類生地作成工程(3−5)と、パン類生地を醗酵し、分割して丸めを行ない、ベンチタイムをとって、ガス抜きや整形を行なってからホイロをとるパン類生地醗酵工程(3−6)と、このパン類生地を焼成する焼成工程(3−7)とを備えてなる。
【0020】
詳しくは、先ず、湯捏種作成工程(3−1),熟成工程(3−2)は、上述の第一の実施の形態と同様である。
(3−3)中種作成工程
他方で、湯捏種以外に、少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉,全イーストもしくは常法において中種に通常添加する標準量のイースト及び水からなる原料を混捏して中種を作成する。
この工程では、小麦粉はパン類生地を構成する全小麦粉量のうち50質量%以上の小麦粉を使用する。ここで使用する小麦粉の量は、全小麦粉量のうち60質量%〜80質量%が望ましい。
(3−4)中種醗酵工程
このようにして中種を作成した後、中種を醗酵させる。常法の中種法の醗酵条件(時間、温度、湿度)を採用することができる。
【0021】
(3−5)パン類生地作成工程
次に、湯捏種と、醗酵後の中種と、少なくとも残量の小麦粉及び水からなる原料を混捏してパン類生地を作成する。
(3−6)パン類生地醗酵工程
このパン類生地を所要時間醗酵する。醗酵は、常法の中種法の醗酵条件(時間、温度、湿度)を採用することができる。
ここでは、フロアタイムでの醗酵後、分割して丸めを行なう。その後、ベンチタイムをとり、ガス抜きや整形を行なってからホイロする。
(3−7)焼成工程
ホイロ後のパン類生地を焼成する。この焼成したパン類においては、従来のように熱湯を用いる場合よりも、湯捏種の小麦澱粉のα化と低分子化を促進させることができるようになるため、焼成パン類の容積が増大し、クラスト及びクラムともにしっとりした柔らかさと経時的な老化防止効果が向上し、また、クラスト及びクラムともに歯切れと口溶けが良好となり、さらには、小麦粉由来の麦芽糖の生成量が増加し、これによる甘味と香が向上し、また、湯捏種の糖度が増加するようになる。
また、常時均一に安定した湯捏種を容易に作成することができるようになり、これを用いて製造する焼成パン類の前記品質の安定性が湯捏種の不安定化により阻害されることを防止することができるようになる。
更に、湯捏種と予め作成した中種と、残量の小麦粉及び水等からなる原料を混捏することにより、湯捏種を使用しても混捏後のパン類生地が過度に柔らかくならず一定の弾力性を有し、過度の粘着性がなくて適度な性状を維持し、機械耐性を有し、焼成パン類はオーブンスプリングと容積が大きく、腰持ちが良く、そして機械的大量製パンにおける焼成品の品質を製品間で安定させることができるようになる。
【0022】
次に、本発明の第四の実施の形態について説明する。図5に示すように、この本発明の第四の実施の形態の基本的構成は、前種法(中種法を応用しつつ、これを改良して本発明に独特の特徴的なものにしたパン製法)を採用し、少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉を温水を用いて加温しながら混捏して湯捏種を作成する湯捏種作成工程(4−1)と、湯捏種作成工程後に、湯捏種を低温でねかせて熟成させる熟成工程(4−2)と、少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉,全イースト量のうち一部のイースト及び水からなる原料を混捏して前種を作成する前種作成工程(4−3)と、この前種を醗酵させる前種醗酵工程(4−4)と、湯捏種,醗酵後の前種及び少なくとも残量の小麦粉,残量のイースト及び水からなる原料を混捏してパン類生地を作成するパン類生地作成工程(4−5)と、パン類生地を醗酵し、分割して丸めを行ない、ベンチタイムをとって、ガス抜きや整形を行なってからホイロをとるパン類生地醗酵工程(4−6)と、このパン類生地を焼成する焼成工程(4−7)とを備えてなる。
【0023】
詳しくは、先ず、湯捏種作成工程(4−1),熟成工程(4−2)は、上記第一の実施の形態と同様である。
(4−3)前種作成工程
他方で、湯捏種以外に、少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉,全イースト量のうち一部のイースト及び水からなる原料を混捏して前種を作成する。
この工程では、小麦粉はパン類生地を構成する全小麦粉量のうち20質量%〜50質量%の小麦粉を使用する。ここで使用する小麦粉の量は、全小麦粉量のうち30質量%〜50質量%がより望ましい。
また、前種を作成する工程では、全イースト量のうち一部のイーストを使用する。イースト量を全小麦粉量に基づいて0.5質量%〜1.5質量%とすることが望ましい。
(4−4)前種醗酵工程
このようにして前種を作成した後、前種を醗酵させる。この前種の醗酵は常法の中種法における中種醗酵条件を採用して行なうことが可能である。
(4−5)パン類生地作成工程
次に、湯捏種と、醗酵後の前種と、少なくとも残量の小麦粉,残量のイースト及び水からなる原料を混捏してパン類生地を作成する。このとき、湯捏種と、醗酵後の前種と、残量の小麦粉、残量のイースト、水等からなる原料を一緒にミキサーに導入して一度に混捏することができる。しかし、油脂を添加するときには、混捏の途中で添加することが望ましい。イースト量は0.3質量%〜1.6質量%とすることが望ましい。
更に、上記前種作成工程において使用するイースト量と、上記パン類生地作成工程において使用するイースト量とを合わせた全イースト量は、全小麦粉量に対して1.5質量%〜3.0質量%とすることが望ましく、1.5質量%〜2.5質量%とすることがより一層望ましい。
【0024】
(4−6)パン類生地醗酵工程
このパン類生地を所要時間醗酵する。醗酵は、常法の中種法の醗酵条件(時間、温度、湿度)を採用することができる。
ここでは、フロアタイムでの醗酵後、分割して丸めを行なう。その後、ベンチタイムをとり、ガス抜きや整形を行なってからホイロする。
(4−7)焼成工程
ホイロ後のパン類生地を焼成する。この焼成したパン類においては、従来のように熱湯を用いる場合よりも、湯捏種の小麦澱粉のα化と低分子化を促進させることができるようになるため、焼成パン類の容積が増大し、クラスト及びクラムともにしっとりした柔らかさと経時的な老化防止効果が向上し、また、クラスト及びクラムともに歯切れと口溶けが良好となり、さらには、小麦粉由来の麦芽糖の生成量が増加し、これによる甘味と香が向上し、また、湯捏種の糖度が増加するようになる。
また、常時均一に安定した湯捏種を容易に作成することができるようになり、これを用いて製造する焼成パン類の前記品質の安定性が湯捏種の不安定化により阻害されることを防止することができるようになる。
更に、湯捏種と予め作成した前種と、残量の小麦粉,残量のイースト及び水等からなる原料を混捏することにより、湯捏種を使用しても混捏後のパン類生地が過度に柔らかくならず一定の弾力性を有し、過度の粘着性がなくて適度な性状を維持し、機械耐性を有し、焼成パン類はオーブンスプリングと容積が大きく、腰持ちが良く、そして機械的大量製パンにおける焼成品の品質を製品間で安定させることができるようになる。
しかも、本発明は、従来の中種法のようにあらかじめ全小麦粉量のうち70質量%の小麦粉,全量のイースト及びイーストフードを混捏して中種を作成するものではないため、中種法のように大量の小麦粉から構成される中種の醗酵が進むことから、アルコール、有機酸等の醗酵生成物の生成量が多くなって焼成品は小麦粉に由来する麦芽糖の甘味と香が消されることもない。
従って、本発明によれば、湯捏種を使用して直捏法により製造したパン類に特徴的な、小麦粉に由来する麦芽糖の甘味と香が失われずにこれを極力維持しつつ、従来の技術の課題を解決する。
【0025】
次に、本発明の実施の形態の変形例を示す。これは、上記第三及び第四の実施の形態において、パン類生地作成工程で、湯捏種を醗酵後の中種または前種で被覆してから、ミキサーヘ投入し、混捏するものである。被覆にあたり、醗酵後の中種または前種から大部分または一部の空気が脱気される。これにより、粘着性が著しく増した湯捏種を、小麦グルテンが十分に結合して、伸展性を有する醗酵後の中種または前種で保護しながらパン類生地を均一に混捏することができるようになり、より一層本発明の効果の達成に有効であると言える。
【0026】
次にまた、本発明の実施の形態の別の変形例を示す。これは、上記第四の実施の形態において、上記前種を作成する工程においてイーストフード,酸化剤,酵素剤及び乳化剤その他の生地改良剤を添加しないことが望ましいとするものである。上記従来の技術の中種法では、一般的に、イーストフード,酸化剤及び酵素剤は中種の混捏工程で添加することが多く、また乳化剤も中種の混捏工程で添加することがあり得る。しかし、本発明では、これらの生地改良剤を前種を作成する工程で添加すると、前種の醗酵が進み過ぎたり、混捏後のパン類生地の醗酵条件の変化に対する許容性が小さくなったりするため、このような現象は避けることが望ましい。
【0027】
尚、上記第三及び第四の実施の形態においては、少なくとも中種または前種作成工程及びパン類生地作成工程において使用する小麦粉を強力粉とすることが望ましい。小麦粉として一部に薄力粉及び/または中力粉を使用するときには、使用量を少なめに加減しないと、混捏後のパン類生地は柔らか過ぎて力が弱く、パン類生地を焼成した製品も腰持ちが悪い等の上記従来の技術の課題を十分に解決することができないおそれがある。さらには、湯捏種の小麦粉も強力粉とすることが最も望ましい。
【0028】
【実施例】
次に、各実施例について説明する。
[実施例1−1]
実施例1−1は、湯捏種作成工程及び熟成工程の例である。
湯捏種作成は、以下のような工程による。
1)ニーダーに50℃の温水を入れる。
ニーダーとしては、蒸気加熱式、ガス直火式等が知られているが、本実施例においては蒸気加熱式のものを用いる。これは、概略、撹拌装置を備えた缶体と該缶体を覆うジャケット部とからなり、ジャケット部に高温の蒸気を供給することにより缶体を温め、缶体内部に投入した食材を間接的に加温しながら撹拌するものである。
2)油脂の一部,小麦粉,塩,砂糖(上白糖)の順にニーダーに入れる。
湯捏種の生地配合比を図6(a)に示す。ここでは、油脂の配合比が湯捏種の小麦粉に対して20質量%である。
3)蒸気を通さないで、1分間粗混ぜをして均一な状態にする。
4)蒸気圧を約0.05MPa程度で加温しながら24回転/分で約10分間混捏を行ない、生地温度62〜63℃に捏ね上げる。混捏時、糊化が進んでくると、生地がまとまり出し、生地の色が若干黄色がかってくるので捏上の判断基準とする。
これにより湯捏種が作成される。
【0029】
そして、この湯捏種を熟成工程で熟成する。
湯捏種は、15kgに分割して、平らにして樹脂シートに包み込み、あら熱を除去し、12〜13℃の空調で17〜18時間熟成させる。
【0030】
[実施例1−2]
実施例1−2は、上記実施例1−1と略同様であるが、図6(b)に示すように、湯捏種の生地配合比において、油脂の配合比を湯捏種の小麦粉に対して10質量%にしている。
[実施例1−3]
実施例1−3は、上記実施例1−1と略同様であるが、図6(c)に示すように、湯捏種の生地配合において、油脂を加えていない(油脂の配合比を0質量%)。
【0031】
[実施例2]
実施例2は、上記第二の実施の形態の実施例である。湯捏種としては、上記実施例1−1,実施例1−2及び実施例1−3で作成した湯捏種のいずれかを用いた。
(1)中間生地作成工程
湯捏種以外の、小麦粉その他のパン生地を構成する全原料(但し、油脂を除く)を添加して低速2分、中速4〜5分で混捏することにより中間生地を作成する。中間生地の原料配合比を図7に示す。中間生地はある程度グルテン結合が進んでいる。
(2)パン類生地作成工程
また、実施例2において、パン類生地作成工程は以下のようにした。
中間生地に上記の湯捏種を湯捏種の小麦粉が全小麦粉量の20質量%となるように添加して低速1分、中速5分で混捏する。混捏生地に油脂を添加して低速1分、中速5分で混捏する。捏上温度を27℃に調整する。
これによりパン生地が作成される。
【0032】
(3)その後の製造工程
第一醗酵(フロアタイム) 60分間
分割(ディバイター使用) 500g
丸め(ラウンダー使用)
中間醗酵(ベンチタイム) 28℃ 20分間
圧廷(ガス抜き)
カーリング(圧廷生地の巻込整形)・M字折り(自動機械使用)
ホイロ 38℃ 50分間
焼成 200℃ 35分間
【0033】
(実施例2の結果)
このようにして製造されたパン類生地は、適度な伸展性と柔軟性を有し、粘着性が控えめであり、その後の機械製造工程中における弛みや切断がなく、粘着性の悪化もなく、パン類生地を焼成した食パンは、容積が大きく、しっとりした柔らかさと経時的な老化防止効果を奏し、小麦粉に由来する麦芽糖の甘味や香があり、また、湯捏種の糖度が増加した。
【0034】
[実施例3−1]
実施例3−1は、上記第三の実施の形態の実施例である。湯捏種としては、上記実施例1−3で作成した湯捏種(油脂なし)を用いることもできるが、ここでは、実施例1−1で作成した湯捏種を用いた実施例について記述する。
(1)中種作成工程及び中種醗酵工程
湯捏種以外に、全小麦粉量のうち一部の小麦粉,全イースト,水等からなる原料を混捏して中種を作成する。図8(a)に中種作成の原料の配合比を示す。
そして、図8(b)に示す条件で中種を作成するとともに、その後、中種を醗酵させた。
常法の中種法の醗酵条件(時間、温度、湿度)を採用することができる。
【0035】
(2)パン類生地作成工程
湯捏種と、醗酵後の中種と、残量の小麦粉,水等からなる原料を混捏してパン類生地を作成した。図9(a)にパン類生地原料の配合比を示す。また、図9(b)に製造条件を示す。
(3)その後の製造工程
図9(b)の条件で、パン類生地をフロアタイムでの醗酵後、分割して丸めを行ない、その後、ベンチタイムをとり、ガス抜きや整形を行なってからホイロをとった。ホイロ後、パン類生地を焼成して食パンを作成した。
【0036】
[実施例3−2]
実施例3−2は、上記第三の実施の形態(中種法)の実施例である。
(1)湯捏種作成工程及び熟成工程
湯捏種としては、図10(a)に示す配合で、50℃の温水を加えて加温しながら混捏し、捏上後、−5℃で24時間熟成したものを用いた。
(2)中種作成工程及び中種醗酵工程
湯捏種とは別に、全小麦粉量のうち一部の小麦粉,全イースト,水等からなる原料を混捏して中種を作成する。図10(b)に中種作成の原料の配合比を示す。
そして、図10(c)に示す条件で中種を作成するとともに、その後、中種を醗酵させた。
常法の中種法の醗酵条件(時間、温度、湿度)を採用することができる。
【0037】
(3)パン類生地作成工程
湯捏種と、醗酵後の中種と、残量の小麦粉,水等からなる原料を混捏してパン類生地を作成した。図11(a)にパン類生地原料の配合比を示す。また、図11(b)に製造条件を示す。
(4)その後の製造工程
図11(b)の条件で、パン類生地をフロアタイムでの醗酵後、分割して丸めを行ない、その後、ベンチタイムをとり、ガス抜きや整形を行なってからホイロをとった。ホイロ後、パン類生地を焼成して食パンを作成した。
【0038】
[実施例3−3]
実施例3−3は、上記第三の実施の形態(中種法)の実施例である。
(1)湯捏種作成工程及び熟成工程
湯捏種としては、図12(a)に示す配合で50℃の温水を加えて加温しながら混捏し、捏上後、15℃で16時間熟成したものを用いた。
(2)中種作成工程及び中種醗酵工程
湯捏種とは別に、全小麦粉量のうち一部の小麦粉,全イースト,水等からなる原料を混捏して中種を作成する。図12(b)に中種作成の原料の配合比を示す。
そして、図12(c)に示す条件で中種を作成するとともに、その後、中種を醗酵させた。
【0039】
(3)パン類生地作成工程
湯捏種と、醗酵後の中種と、残量の小麦粉,水等からなる原料を混捏してパン類生地を作成した。図13(a)にパン類生地原料の配合比を示す。また、図13(b)に製造条件を示す。
(4)その後の製造工程
図13(b)の条件で、パン類生地をフロアタイムでの醗酵後、分割して丸めを行ない、その後、ベンチタイムをとり、ガス抜きや整形を行なってからホイロをとった。ホイロ後、パン類生地を焼成して食パンを作成した。
【0040】
[実施例3−4]
実施例3−4は、上記第三の実施の形態(中種法)の実施例である。これは、用いる湯捏種以外は、実施例3−3と同様である。
(1)湯捏種作成工程及び熟成工程
湯捏種としては、図14(a)に示す配合で50℃の温水を加えて加温しながら混捏し、捏上後、15℃で16時間熟成したものを用いた。実施例3−3と異なる点は、湯捏種に油脂を添加していることである。
(2)中種作成工程及び中種醗酵工程
湯捏種とは別に、全小麦粉量のうち一部の小麦粉,全イースト,水等からなる原料を混捏して中種を作成する。図14(b)に中種作成の原料の配合比を示す。
そして、図14(c)に示す条件で中種を作成するとともに、その後、中種を醗酵させた。
【0041】
(3)パン類生地作成工程
湯捏種と、醗酵後の中種と、残量の小麦粉,水等からなる原料を混捏してパン類生地を作成した。図15(a)にパン類生地原料の配合比を示す。また、図15(b)に製造条件を示す。
(4)その後の製造工程
図15(b)の条件で、パン類生地をフロアタイムでの醗酵後、分割して丸めを行ない、その後、ベンチタイムをとり、ガス抜きや整形を行なってからホイロをとった。ホイロ後、パン類生地を焼成して食パンを作成した。
【0042】
[実施例4−1]
実施例4−1は、上記第四の実施の形態の実施例である。湯捏種としては、上記実施例1−3で作成した湯捏種(油脂なし)を用いることもできるが、ここでは上記実施例1−2で作成した湯捏種を用いた実施例について記述する。
(1)前種作成工程及び前種醗酵工程
湯捏種以外に、全小麦粉量のうち一部の小麦粉,全イースト量のうち一部のイースト,水からなる原料を混捏して前種を作成した。図16(a)に前種作成の原料の配合比を示す。
そして、図16(b)に示す条件で前種を作成するとともに、その後、前種を醗酵させた。
【0043】
(2)パン類生地作成工程
湯捏種と、醗酵後の前種と、残量の小麦粉,残量のイースト,水等からなる原料を混捏してパン類生地を作成した。図17(a)にパン類生地原料の配合比を示す。また、図17(b)に製造条件を示す。
(3)その後の製造工程
図17(b)に示す条件で、パン類生地をフロアタイムでの醗酵後、分割して丸めを行ない、その後、ベンチタイムをとり、ガス抜きや整形を行なってからホイロをとった。ホイロ後、パン類生地を焼成して食パンを作成した。
【0044】
[実施例4−2]
実施例4−2は、上記第四の実施の形態の実施例である。
(1)湯捏種作成工程及び熟成工程
湯捏種としては、図18(a)に示す配合で50℃の温水を加えて、加温しながら混捏して捏上後、15℃で16時間熟成したものを用いた。
湯捏種作成条件は、図18(b)に示す条件で行なわれた。
(2)前種作成工程及び前種醗酵工程
湯捏種とは別に、全小麦粉量のうち一部の小麦粉,全イースト量のうち一部のイースト,水からなる原料を混捏して前種を作成した。図19(a)に前種作成の原料の配合比を示す。
そして、図19(b)に示す条件で前種を作成するとともに、その後、前種を醗酵させた。
【0045】
(3)パン類生地作成工程
湯捏種と、醗酵後の前種と、残量の小麦粉,残量のイースト,水等からなる原料を混捏してパン類生地を作成した。図20(a)にパン類生地原料の配合比を示す。また、図20(b)に製造条件を示す。
(4)その後の製造工程
図20(b)に示す条件で、パン類生地をフロアタイムでの醗酵後、分割して丸めを行ない、その後、ベンチタイムをとり、ガス抜きや整形を行なってからホイロをとった。ホイロ後、パン類生地を焼成した。
尚、各実施例ではパン類生地の整形による形状(プルマン,ワンローフ)によりホイロ時間や焼成時間を調整した。
【0046】
【比較例】
次に、比較例を説明する。
[比較例1−1]
比較例1−1は、湯捏種を使用しないで、作成した。その他は実施例3−2と同様に常法の中種法で作成した例である。
【0047】
[比較例1−2]
比較例1−2は、用いる湯捏種以外は、実施例3−2と同様である。
湯捏種としては、図21に示す配合で、95℃の熱湯を加えて混捏し(加温しない)捏上後、−5℃で24時間熟成したものを用いた。即ち、実施例3−2と異なる点は、湯捏種に用いる熱湯の温度を95℃にして加温しないことである。
【0048】
[比較例1−3]
比較例1−3は、用いる湯捏種以外は、実施例3−3と同様である。
湯捏種としては、図22に示す配合で、20℃の水を加えて加温しながら混捏して捏上後、15℃で16時間熟成したものを用いた。即ち、実施例3−3と異なる点は、湯捏種に用いる水の温度を20℃にしていることである。
【0049】
[比較例1−4]
比較例1−4は、用いる湯捏種以外は、実施例3−4と同様である。
湯捏種としては、図23に示す配合で、20℃の水を加えて加温しながら混捏して捏上後、15℃で16時間熟成したものを用いた。即ち、実施例3−4と異なる点は、湯捏種に用いる水の温度を20℃にしていることである。
【0050】
[比較例2]
比較例2は、前種法であり、用いる湯捏種以外は、実施例4−2と同様である。
湯捏種は、図24(a)に示す配合で、図24(b)に示す条件に従って作成した。即ち、湯捏種作成で用いる熱湯の温度を80℃にして、加温しないものである。
【0051】
【比較試験】
上述した各実施例及び各比較例について、以下の各分析及び製品の評価を行なった。尚、容積及び比容積の測定はワンローフ型食パン(生地分割重量260g)を製造して実施し、その他の試験はプルマン型食パン(生地分割重量500g)を製造して実施した。
[分析1]
実施例3−2,実施例4−2,比較例1−2に用いた冷却(熟成)後の湯捏種について、α化(糊化)度を調べた。
α化(糊化)度は、湯捏種を凍結乾燥後に粉砕したものをサンプルとして図25(a)に示す条件でDSCに供して60℃付近に見られるアミロペクチンのα化(糊化)に伴う吸熱エネルギーを検出することにより糊化エンタルピーを求めた。結果を図26(a)に示す。
この結果から、実施例3−2,実施例4−2の湯捏種は、比較例1−2に比べて糊化エンタルピーが低く、小麦澱粉の糊化が進んでいること(老化が遅いこと。以下同様の試験では同旨である。)、特に油脂を添加した実施例4−2は小麦澱粉の糊化が著しく進んでいることがわかる。
【0052】
[分析2]
実施例4−2及び比較例1−2に用いた湯捏種の冷却後について、糖組成を調べた。
糖組成は、湯捏種を凍結乾燥後に粉砕したものの水溶液をサンプルとして、図25(b)に示す条件で高速液体クロマトグラフィーにより求めた。結果を図26(b)に示す。
この結果から、実施例4−2の湯捏種は、比較例1−2に比べて麦芽糖が多く生成されていることがわかる。
【0053】
[分析3]
実施例3−2及び比較例1−2に用いた湯捏種の冷却後について、水溶性蛋白質の含有量を調べた。
水溶性蛋白質は、上記[分析2]と同様のものをサンプルとして、図25(c)に示す条件でBCA法により求めた。結果を図26(c)に示す。
この結果から、実施例3−2の湯捏種は、比較例1−2に比べて水溶性蛋白質が少なく、小麦蛋白質の熱損傷がより大きいことがわかる。これは、実施例3−2の湯捏種には比較例1−2に比べてより大きな熱エネルギーが加えられていることを示唆している。
【0054】
[分析4]
実施例3−2,実施例4−2,比較例1−2で作成した焼成後のパンについてα化(糊化)度を調べた。
α化(糊化)度の測定は、上記[分析1]と同様に行なった。ここでは、パンにおいて、焼成後に常温で保存した状態で焼成日から1日後(D+1)、2日後(D+2)、3日後(D+3)、6日後(D+6)のパンのクラム(内部)のα化(糊化)度の測定を行ない、経時変化を調べた。結果を図27(a)に示す。この結果から、実施例3−2,実施例4−2のパンは、比較例1−2に比べて糊化エンタルピーが低く、小麦澱粉の糊化が進んでいること、特に油脂を添加した実施例4−2は小麦澱粉の糊化が著しく進んでいることがわかる。
【0055】
[分析5]
実施例3−2,実施例4−2及び比較例1−2で作成したパンについて、クラムの糖組成を同様に調べた。結果を図27(b)に示す。
実施例3−2及び実施例4−2のパンは、比較例1−2に比べて麦芽糖が多く含まれていること、特に油脂を添加した実施例4−2は麦芽糖が著しく多く含まれていることがわかる。
【0056】
[分析6]
実施例3−2及び比較例1−2で作成した焼成後のパンについて、容積を測定した。結果を図28(a)に示す。
この結果から、実施例3−2のパンは比較例1−2に比べてオーブンスプリングが良好なため容積、比容積ともに大きいことがわかる。
【0057】
[分析7]
実施例3−2及び比較例1−2で作成したパンについて、官能試験を行なった。結果を図28(b)に示す。これは湯捏種を使用せずに、その他は同様にして製造した通常の食パンと比較した評価である。
この結果から、実施例3−2の食パンは湯捏種を使用しない通常の食パンと比べて甘味及びクラストの口溶けが大変良好であり、クラムのしっとりした柔らかさも良好であること、また比較例1−2に比べてみても甘味及びクラストの口溶けが大変良好であることがわかる。
【0058】
[分析8]
また、実施例3−2,実施例4−2及び比較例1−2で作成したパンについてクラスト(耳部)の破断強度を調べた。
破断強度は、歯切れの良さを調べるためであり、図29(a)に示す条件で行なった。数値が小さい程、歯切れが良い状態を示す。
ここでは、パンにおいて、焼成後に常温で保存した状態で焼成日から1日後(D+1)、2日後(D+2)、3日後(D+3)、6日後(D+6)のパンのクラスト(耳部)の破断強度の経時変化を調べた。結果を図30(a)(b)に示す。
また、比較例1−1として湯捏種を使用しないで、その他は実施例3−2と同様に常法の中種法で作成したパンにおいても1日後(D+1)、2日後(D+2)、4日後(D+4)のパンのクラスト(耳部)のクラストの破断強度を図30(a)に示す。
この結果から、実施例3−2及び実施例4−2のパンは比較例1−2に比べて、焼成日から1日後,2日後,3日後及び6日後のいずれにおいても、クラストの破断強度が小さく、歯切れが良いこと、特に油脂を添加した実施例4−2はそれが著しいことがわかる。
【0059】
[分析9]
また、実施例3−2,実施例4−2,比較例1−2で作成したパンについてクラム(内部)の応力を調べた。
応力は、クラムの柔らかさを調べるためであり、図29(b)に示す条件で行なった。
ここでは、パンにおいて、焼成後に常温で保存した状態で焼成日から1日後(D+1)、2日後(D+2)、3日後(D+3)、6日後(D+6)のパンのクラム(内部)の応力の経時変化を調べた。結果を図31に示す。
この結果から、実施例3−2及び実施例4−2のパンは比較例1−2に比べて、焼成日から1日後,2日後,3日後及び6日後のいずれにおいても、クラムの応力が小さく、柔らかいことがわかる。
【0060】
[分析10]
実施例4−2,比較例2に用いた冷却(熟成)後の湯捏種について、α化(糊化)度及び糖度(ブリックス)を調べた。
α化(糊化)度は、上記[分析1]と同様にして湯捏種を凍結乾燥後に粉砕したものをサンプルとして図25(a)に示す条件でDSCに供して糊化エンタルピーを測定して求めた。また、糖度は市販の糖度計で測定して求めた。結果を図32(a)に示す。
この結果から、実施例4−2の湯捏種は、比較例2に比べて糊化エンタルピーが低く、小麦粉の糊化が著しく進んでいることがわかる。
また、前者は後者に比べて糖度が高くなっていることがわかる。
【0061】
[分析11]
実施例4−2及び比較例2で作成したパンについて、容積を測定した。結果を図32(b)に示す。
この結果から、実施例4−2のパンは比較例2に比べて容積、比容積ともに大きいことがわかる。
【0062】
[分析12]
実施例3−4,比較例1−4に用いた冷却(熟成)後の湯捏種について、糊化度を調べた。
α化(糊化)度は、上記[分析1]と同様にして湯捏種を凍結乾燥後に粉砕したものをサンプルとして図25(a)に示す条件でDSCに供して糊化エンタルピーを測定して求めた。結果を図33(a)に示す。
この結果から、実施例3−4の湯捏種は、比較例1−4に比べて糊化エンタルピーが低く、小麦澱粉の糊化が進んでいることがわかる。
【0063】
[分析13]
実施例3−4,比較例1−4に用いた湯捏種の冷却後について、上記[分析2]と同様にして糖組成を調べた。
糖組成は図25(b)に示す条件で高速液体クロマトグラフィーにより求めた。結果を図33(b)に示す。
この結果から、実施例3−4の湯捏種は、比較例1−4に比べて麦芽糖が多く、生成されていることがわかる。
【0064】
[分析14]
実施例3−4,比較例1−4に用いた湯捏種の冷却後について、上記[分析3]と同様にして水溶性蛋白質の含有量を調べた。
結果を図33(c)に示す。
この結果から、実施例3−4の湯捏種は、比較例1−4に比べて水溶性蛋白質が少なく、小麦蛋白質の熱損傷がより大きいことがわかる。これは、実施例3−4の湯捏種には比較例1−4に比べてより大きな熱エネルギーが加えられていることを示唆している。
【0065】
[分析15]
実施例3−3,実施例3−4,比較例1−3,比較例1−4で作成したパンについて、容積を測定した。結果を図34(a)に示す。
この結果から、実施例3−3及び実施例3−4の食パン(山型)は、比較例1−3及び比較例1−4に比べてオーブンスプリングが良好なため容積、比容積ともに大きく、特に湯捏種に油脂を添加した実施例3−4はそれらが著しく大きいことがわかる。
【0066】
[分析16]
実施例3−3,実施例3−4,比較例1−3,比較例1−4で作成したパンについて、官能試験を行なった。結果を図34(b)に示す。これは湯捏種を使用せずに、その他は同様にして製造した通常の食パンと比較した評価である。
この結果から、実施例3−3及び実施例3−4の食パンは湯捏種を使用しない通常の食パンと比べて甘味及びクラストの口溶けが大変良好であり、クラムのしっとりした柔らかさも良好であること、またそれぞれ比較例1−3及び比較例1−4に比べてみても甘味及びクラストの口溶けが大変良好であることがわかる。
【0067】
[分析17]
また、実施例3−4,比較例1−4で作成したパンについてクラスト(耳部)の破断強度を調べた。
破断強度は、歯切れの良さを調べるためであり、図29(a)に示す条件で行なった。数値が小さい程、歯切れが良い状態を示す。
ここでは、パンにおいて、常温で保存した状態で1日後(D+1)、2日後(D+2)、3日後(D+3)、6日後(D+6)のパンのクラスト(耳部)の破断強度の経時変化を調べた。結果を図35に示す。
この結果から、焼成日から2日後には若干の数値の逆転がみられるものの、1日後,3日後及び6日後のいずれにおいても、クラストの破断強度が小さく、歯切れが良いことがわかる。
【0068】
[分析18]
また、実施例3−4,比較例1−4で作成したパンについてクラム(内部)の応力を調べた。
応力は、クラムの柔らかさを調べるためであり、図29(b)に示す条件で行なった。
ここでは、パンにおいて、常温で保存した状態で1日後(D+1)、2日後(D+2)、3日後(D+3)、6日後(D+6)のパンのクラム(内部)の応力の経時変化を調べた。結果を図36に示す。
この結果から、実施例3−4のパンは比較例1−4に比べて、焼成日から3日後には若干の数値の逆転がみられるものの、1日後,2日後,及び6日後のいずれにおいても、クラムの応力が小さく、柔らかいことがわかる。
【0069】
[分析19]
実施例3−3で作成した湯捏種(油脂なし)と比較例1−3で作成した湯捏種について、捏上時の湯捏種の均一性の差を調べた。
その結果、実施例3−3で作成した湯捏種は、外観、色、硬さ、温度がほぼ均一であるのに対し、比較例1−3で作成した湯捏種はそれらすべてが非常に不均一なものであった。
湯捏種の均一性は、加温しながらの混捏時に種の任意の10箇所以上をデジタル温度計を差し込んで温度を測定して調べた。各時間の最低温度と最高温度の経時変化を図37に示す。また、捏上後の湯捏種の均一性の比較試験結果を図38に示す。
【0070】
比較例1−3では、湯捏種を小麦粉に常温(20℃)の水を加えて、加温しながら混捏するが、このとき熱源と接する加熱面(ニーダー利用の場合は、90℃であり、コンロを利用する場合は数百℃である。)と湯捏種の原料との温度差が大きく、このため、湯捏種は即座に熱変性(澱粉のα化,グルテンの変性)が起こり、かつ熱変性に伴うエネルギーの吸収部分が形成されるため、その他の部分に熱が伝達しにくく、混捏時間が長くなり、また加温の均一性に欠け易い。不均一な湯捏種は、ダマを作り、製パンの混捏時になかなかミキサー中で溶けほぐれず、結果的に最終製品となる焼成パン中にもダマとなって現れる。また、焼成パン中に糊化が進んでいる部分と不十分な部分が混在するため、硬い部分と柔らかい部分が混在した状態となったり、小麦粉が粉の状態のまま残ってしまう場合もある。工業的な大量生産等で一回の仕込量が増えるほど混捏時間が長くなり、また不均一な湯捏種となり易い。
【0071】
これに対し、実施例3−3の湯捏種は、50℃の温水を用いているので比較例1−3のときよりも湯捏種の加熱面と接する部分と他の部分の温度差が小さく、また、50℃の温水をニーダー内に入れてから湯捏種の原材料をニーダー内に入れるので熱変性温度のやや下からの加熱開始となり、全体が熱変性開始温度にいたるまでの時間が短く、不均一になる事態を防止できる。
そのため、湯捏種は比較的短時間の混捏で均一な種となり良好な焼成パンを作成することができる。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のパン類の製造方法によれば、少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉と40〜65℃の温水とを、温水の温度以上の捏上温度になるまで、または55〜70℃の捏上温度になるまで加温しながら混捏して湯捏種を作成するので、従来のように熱湯を用いる場合よりも、湯捏種に十分な熱エネルギーを制御下に与えることにより小麦澱粉のα化と低分子化を促進させることができるようになる。その結果、焼成パン類の容積が増大し、クラスト及びクラムともにしっとりした柔らかさと経時的な老化防止効果が向上し、また、クラスト及びクラムともに歯切れと口溶けが良好となり、さらには、小麦粉由来の麦芽糖の生成量が増加し、それによる甘味と香が向上し、また、湯捏種の糖度が増加するようになる。
また、常時均一に安定した湯捏種を容易に作成することができるようになり、これを用いて製造する焼成パン類の前記品質の安定性が混捏種の不安定化により阻害されることを防止することができるようになる。
【0073】
そして、温水として、45〜60℃の温水を用いる好ましい実施の形態の場合には、所定の捏上温度まで早く到達してしまったり湯捏種の混捏時間が著しく長くなってしまう事態を防止することができ、より一層、湯捏種の小麦澱粉のα化と低分子化を促進させることができるようになる。その結果、焼成パン類の容積が増大し、クラスト及びクラムともにしっとりした柔らかさと経時的な老化防止効果が向上し、また、クラスト及びクラムともに歯切れと口溶けが良好となり、さらには、小麦粉由来の麦芽糖の生成量の増加により甘味と香が向上し、全体的に糖度が増加するようになる。
また、捏上温度を、55〜70℃、好ましくは、60℃〜65℃にする場合には、捏上温度が低くなって湯捏種中の麦芽糖の生成及び小麦澱粉のα化が不十分となったり、湯捏種の捏上温度の温度が高くなって小麦澱粉が過度に膨潤し破裂するおそれが生じたりする事態を防止することができ、本発明による効果をより一層発揮させることができる。
【0074】
更に、湯捏種作成工程で用いる小麦粉量を、全小麦粉量の内5〜40質量%、好ましくは、10〜30質量%、より好ましくは、10〜20質量%にする場合には、湯捏種の小麦粉量が多すぎてパン類生地が著しく柔らか過ぎて力が弱くなったり、粘着性が強い性状となる等の事態を防止することができ、本発明による効果をより一層発揮させることができる。
更にまた、温水の量を、小麦粉に対して50〜200質量%、好ましくは、80〜150質量%にする場合には、長時間混捏することなく効率的かつ確実に湯捏種に熱エネルギーを与えて小麦澱粉のα化と低分子化を促進させることができるようになる。
また、湯捏種作成工程で、混捏時間を、5〜20分、好ましくは、8〜15分にする場合には、効率的かつ確実に湯捏種に熱エネルギーを与えて比較的短時間で小麦澱粉のα化と低分子化を促進させることができるようになる。
【0075】
更に、湯捏種作成工程で、油脂を添加して混捏する場合、好ましくは、湯捏種の小麦粉に対して5〜30質量%の油脂を添加して混捏する場合には、湯捏種の作成工程中における湯捏種の蓄熱効果がより高まり、その小麦澱粉のα化と低分子化を一層促進させることができるようになる。また、この湯捏生地を用いたパン類生地の作成工程において油脂の添加量を減少させることができるため、混捏時間を短くし、かつ短い混捏時間でもパン類生地の小麦グルテンの十分な結合と発達を達成させることができる。更に、湯捏種の粘着性を軽減し、なめらかな湯捏種を作成することができる。
【0076】
更にまた、湯捏種作成工程後に、湯捏種を低温でねかせて熟成させる熟成工程を設けた場合には、小麦蛋白質の乳化作用により湯捏種は油脂と水が安定的に乳化して全体的に均一な水和が進行し、そのため、湯捏種の組成を全体的に均質化させたり、焼成パン類生地の老化防止効果を向上させることができる。
【0077】
更には、特にパン類生地の混捏において、直捏法であれば前記中間生地作成工程を介在させて湯捏種と該中間生地を混捏することにより、または、中種法もしくは上述した前種法を採用することにより、湯捏種を使用しても混捏後のパン類生地が過度に柔らかくならず一定の弾力性を有し、過度の粘着性がなくて適度な性状を維持し、機械耐性を有し、焼成パン類はオーブンスプリングと容積が大きく、腰持ちが良く、そして機械的大量製パンにおける焼成品の品質を製品間で安定させることができる等、品質の大幅な向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るパン類の製造方法において、湯捏種作成工程の内容を示す図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態に係るパン類の製造方法を示す工程図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態に係るパン類の製造方法を示す工程図である。
【図4】本発明の第三の実施の形態に係るパン類の製造方法を示す工程図である。
【図5】本発明の第四の実施の形態に係るパン類の製造方法を示す工程図である。
【図6】本発明の実施例に係る湯捏種の原料配合比を示し、(a)は実施例1−1の原料配合比,(b)は実施例1−2の原料配合比,(c)は実施例1−3の原料配合比を示す表図である。
【図7】本発明の実施例2のパン類生地の原料配合比を示す表図である。
【図8】本発明の実施例3−1の製造条件を示し、(a)は中種の原料配合比,(b)はその工程条件を示す表図である。
【図9】本発明の実施例3−1の製造条件を示し、(a)はパン類生地の原料配合比,(b)はパン類生地の作成及びその後の工程条件を示す表図である。
【図10】本発明の実施例3−2の製造条件を示し、(a)は湯捏種の原料配合比,(b)は中種の原料配合比,(c)はその工程条件を示す表図である。
【図11】本発明の実施例3−2の製造条件を示し、(a)はパン類生地の原料配合比,(b)はパン類生地の作成及びその後の工程条件を示す表図である。
【図12】本発明の実施例3−3の製造条件を示し、(a)は湯捏種の原料配合比,(b)は中種の原料配合比,(c)はその工程条件を示す表図である。
【図13】本発明の実施例3−3の製造条件を示し、(a)はパン類生地の原料配合比,(b)はパン類生地の作成及びその後の工程条件を示す表図である。
【図14】本発明の実施例3−4の製造条件を示し、(a)は湯捏種の原料配合比,(b)は中種の原料配合比,(c)はその工程条件を示す表図である。
【図15】本発明の実施例3−4の製造条件を示し、(a)はパン類生地の原料配合比,(b)はパン類生地の作成及びその後の工程条件を示す表図である。
【図16】本発明の実施例4−1の製造条件を示し、(a)は前種の原料配合比,(b)はその工程条件を示す表図である。
【図17】本発明の実施例4−1の製造条件を示し、(a)はパン類生地の原料配合比,(b)はパン類生地の作成及びその後の工程条件を示す表図である。
【図18】本発明の実施例4−2の製造条件を示し、(a)は湯捏種の原料配合比,(b)はその工程条件を示す表図である。
【図19】本発明の実施例4−2の製造条件を示し、(a)は前種の原料配合比,(b)はその工程条件を示す表図である。
【図20】本発明の実施例4−2の製造条件を示し、(a)はパン類生地の原料配合比,(b)はパン類生地の作成及びその後の工程条件を示す表図である。
【図21】比較例1−2に係る湯捏種の原料配合比を示す表図である。
【図22】比較例1−3に係る湯捏種の原料配合比を示す表図である。
【図23】比較例1−4に係る湯捏種の原料配合比を示す表図である。
【図24】比較例2の製造条件を示し、(a)は湯捏種の原料配合比,(b)はその工程条件を示す表図である。
【図25】分析条件に係り、(a)は糊化エンタルピーの測定条件を示し、(b)は糖組成の測定条件を示し、(c)は水溶性蛋白質の測定条件を示す表図である。
【図26】(a)は、実施例3−2、実施例4−2及び比較例1−2に係る湯捏種の糊化エンタルピー測定結果、(b)は、実施例4−2及び比較例1−2に係る湯捏種の糖組成の測定結果、(c)は実施例3−2及び比較例1−2に係る湯捏種の蛋白質測定結果を示す表図である。
【図27】(a)は、実施例3−2、実施例4−2及び比較例1−2に係るパンの糊化エンタルピー測定結果、(b)は、実施例3−2,実施例4−2及び比較例1−2に係るパンの糖組成の測定結果を示す表図である。
【図28】(a)は、実施例3−2及び比較例1−2に係るパンの製品容積、(b)は、実施例3−2及び比較例1−2に係るパンの官能試験結果を示す表図である。
【図29】分析条件に係り、(a)はクラストの破断強度の測定条件を示し、(b)はクラムの応力の測定条件を示す表図である。
【図30】(a)は、実施例3−2、実施例4−2、比較例1−1及び比較例1−2に係るパンのクラストの経時変化を示す表図であり、(b)は、そのグラフ図である。
【図31】実施例3−2、実施例4−2及び比較例1−2に係るパンのクラムの経時変化を示す表図である。
【図32】(a)は、実施例4−2及び比較例2に係る湯捏種の糊化エンタルピー測定結果及び糖度(ブリックス)測定結果、(b)は、実施例4−2及び比較例2に係るパンの製品容積を示す表図である。
【図33】(a)は、実施例3−4及び比較例1−4に係る湯捏種の糊化エンタルピー測定結果、(b)は、実施例3−4及び比較例1−4に係る湯捏種の糖組成の測定結果、(c)は、実施例3−4及び比較例1−4に係る湯捏種の蛋白質測定結果を示す表図である。
【図34】(a)は、実施例3−3、実施例3−4、比較例1−3、比較例1−4に係るパンの製品容積、(b)は、実施例3−3、実施例3−4、比較例1−3、比較例1−4に係るパンの官能試験結果を示す表図である。
【図35】実施例3−4及び比較例1−4に係るパンのクラストの経時変化を示す表図である。
【図36】実施例3−4及び比較例1−4に係るパンのクラムの経時変化を示す表図である。
【図37】実施例3−3と比較例1−3に係る湯捏種の生地の均一性を調べるため混捏時の各時間の湯捏種の局部における最低温度と最高温度の経時変化を示す表図である。
【図38】実施例3−3と比較例1−3に係る湯捏種の捏上後の生地の均一性の比較試験結果を示す表図である。

Claims (15)

  1. 少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉と40〜65℃の温水とを該温水の温度以上の55〜70℃の捏上温度になるまで加温しながら混捏して湯捏種を作成する湯捏種作成工程と、該湯捏種を用いてパン類生地を作成するパン類生地作成工程とを備えたことを特徴とするパン類生地の製造方法。
  2. 上記温水として、45〜60℃の温水を用いることを特徴とする請求項記載のパン類生地の製造方法。
  3. 上記捏上温度を、60〜65℃にしたことを特徴とする請求項1または2記載のパン類生地の製造方法。
  4. 上記湯捏種作成工程で用いる小麦粉量を、全小麦粉量の内5〜40質量%にしたことを特徴とする請求項1,2または3記載のパン類生地の製造方法。
  5. 上記小麦粉量を、全小麦粉量の内10〜30質量%にしたことを特徴とする請求項1,2または3記載のパン類生地の製造方法。
  6. 上記小麦粉量を、全小麦粉量の内10〜20質量%にしたことを特徴とする請求項1,2または3記載のパン類生地の製造方法。
  7. 上記温水の量を、湯捏種の小麦粉に対して50〜200質量%にしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のパン類生地の製造方法。
  8. 上記温水の量を、湯捏種の小麦粉に対して80〜150質量%にしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のパン類生地の製造方法。
  9. 上記湯捏種作成工程で、混捏時間を、5〜20分にしたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のパン類生地の製造方法。
  10. 上記混捏時間を、8〜15分にしたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のパン類生地の製造方法。
  11. 上記湯捏種作成工程で、油脂を添加して混捏することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のパン類生地の製造方法。
  12. 上記湯捏種作成工程で、湯捏種の小麦粉に対して5〜30質量%の油脂を添加して混捏することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のパン類生地の製造方法。
  13. 上記湯捏種作成工程後に、湯捏種を低温でねかせて熟成させる熟成工程を設けたことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のパン類生地の製造方法。
  14. 上記熟成工程で、湯捏種を、5〜20℃で12〜24時間ねかせて熟成させることを特徴とする請求項13記載のパン類生地の製造方法。
  15. 前記請求項1乃至14のいずれか一つの請求項に記載のパン類生地の製造方法により製造されたパン類生地からパン類を製造することを特徴とするパン類の製造方法。
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