JPH11217618A - ステンレス鋼の転炉精錬方法 - Google Patents

ステンレス鋼の転炉精錬方法

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JPH11217618A
JPH11217618A JP1724298A JP1724298A JPH11217618A JP H11217618 A JPH11217618 A JP H11217618A JP 1724298 A JP1724298 A JP 1724298A JP 1724298 A JP1724298 A JP 1724298A JP H11217618 A JPH11217618 A JP H11217618A
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Shinya Kitamura
信也 北村
Tsuyoshi Yamazaki
強 山崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吹錬温度が低い状態でクロムの酸化損失が少
ないステンレス鋼の転炉精錬方法を提供する。 【解決手段】 事前に脱P処理を施した溶銑に酸素ガス
による脱炭精錬を施すステンレス鋼の転炉精錬方法にお
いて、溶鉄の温度を連続的に測定する手段を備え、当該
手段により把握された溶鉄温度に基づき、送酸速度、底
吹き攪拌力、フェロクロム合金添加速度、冷材添加量の
1種または2種以上を制御することを特徴とするステン
レス鋼の転炉精錬方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吹錬温度が低い状
態でクロムの酸化損失を少なくすることができるステン
レス鋼の転炉精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼、特に、フェライト系ステ
ンレス鋼の精錬プロセスとしては、予め脱燐処理をした
高炉溶銑を上底吹き転炉に装入し、漸次炉上よりフェロ
クロム合金を添加しつつ吹酸脱炭し、その後、VOD
(Vacuum OxygenDecarburiza
tion)等の減圧精錬装置にて仕上げ脱炭処理をする
方法が一般に行われている。
【0003】この方法においては、転炉吹酸終了後に酸
化物となってスラグへ移行したクロムの損失分を、フェ
ロシリコン合金やAlなどの還元材を添加し、還元回収
することが広く行われているが、この還元材の合金コス
トが高い上に還元処理中の耐火物溶損が大きいことが、
操業上の問題となっている。
【0004】熱力学によれば炭素濃度C(質量%)、ク
ロム濃度Cr(質量%)と溶鉄温度T(℃)との間には
次式に示す関係がある。
【0005】 log (Cr/C)=−{13800/( T+273)}+8.76 ・・・・・・( 4) 平衡状態として溶鉄温度とC濃度とにより( 4) 式で計
算される平衡Cr濃度(Cr* とする)よりも実際の溶
鋼中Cr濃度が高ければクロムの優先酸化領域となるた
め、脱炭よりも先行してクロムの酸化損失が生じる。
【0006】具体的には、クロムの損失は以下の2つの
領域で生じる。
【0007】まず、転炉吹錬の処理初期で、溶鉄温度が
低い状態で過剰にフェロクロム合金が投入されて、(
4) 式で計算されるCr* よりも溶鋼中のCr濃度が大
きくなりクロムの優先酸化条件に入ることにより起こる
場合である(以下、この領域を第1領域という)。
【0008】次に、吹錬末期においてC濃度が過剰に低
下することで( 4) 式で計算されるCr* が溶鋼中のC
r濃度よりも低くなりクロムの優先酸化条件に入ること
により起こる場合である(以下、この領域を第2領域と
いう)。
【0009】第1領域に対するクロム損失の抑制方法と
して、特開平9−3517号公報には、脱炭精錬するに
際し、精錬炉に装入された溶銑に昇熱材を添加して昇熱
することにより、または、前チャージで生成したクロム
酸化物を含有する脱炭滓を炉内に残存させたまま、アル
ミドロスを添加した後、溶銑を装入して精錬炉内の攪拌
を行い、次いで、炭材の添加と吹酸により昇温還元して
前記脱炭滓中のクロム分を還元し、排滓後のフェロクロ
ム合金添加直後の溶鋼中[C]濃度を2.5〜4.0
%、かつ、溶鋼温度を1450〜1600℃とし、引き
続いて同一炉内でフェロクロム合金を連続的に添加しつ
つ、その時の送酸速度を所定値に制御するステンレス鋼
の吹酸脱炭精錬方法の発明が開示されている。
【0010】また、特開昭61−19716号公報に
は、クロム含有溶銑と冷材を精錬炉に装入し、浴温が1
500℃になる期間30〜60%の不活性ガスを含有す
る酸素ガスを上下方向から同時に吹き込むことにより、
脱炭速度を落とさずに吹錬初期の低温度域でのクロムロ
スを抑制することができ、吹錬終了後のスラグ還元用フ
ェロシリコン合金量を低減させることができる高クロム
鋼の精錬方法の発明が開示されている。
【0011】一方、第2領域に対するクロム損失の抑制
方法として、特開昭61−3815号公報には、鋼浴中
の炭素濃度を2%以下で、鋼浴温度を1650〜180
0℃に保ちながら、供給酸素ガス量、溶鋼量、炭素濃
度、均一混合時間から定まる条件で吹錬することによ
り、鋼浴中のクロム酸化を抑制し、極低炭の高クロム鋼
を得ることのできる発明が開示されている。
【0012】また、特開昭62−130210号公報に
は、溶鋼の浴面下に非酸化性ガスを導入して溶鋼を攪拌
すると同時に、浴面上に酸素と非酸化性ガスの混合ガス
を吹き付けることを特徴とするステンレス鋼の溶製方法
の発明が開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記各
従来技術でも、なお、製造コストや生産性の面で十分で
なく種々の問題を有している。
【0014】すなわち、上記特開平9−3517号公報
に記載の従来技術では、フェロクロム合金の添加開始前
に昇熱を実施する必要があるため、時間と昇熱コストが
かかる上にフェロクロム合金投入後の吹酸中は熱が余剰
となり、冷材を添加しつつ吹酸するという不合理なもの
となっている。
【0015】また、上記特開昭61−19716号公報
に記載の発明では、1500℃に達するまでの間、上吹
きガスと底吹きガスに多量の不活性ガスを混合するため
ガスコストが大幅に増加するという問題がある。
【0016】上記特開昭61−3815号公報に記載の
発明では、クロム損失を抑制するために1650℃〜1
800℃に温度を制御する必要があり、高温状態で長時
間の精錬を実施することによる耐火物溶損が非常に大き
いという問題がある。
【0017】上記特開昭62−130210号公報に記
載の発明では、C濃度が1質量%前後まで脱炭した時点
から多量の非酸化性ガスを上吹きガスと底吹きガスに混
合させるため、ガスコストが大幅に増加するという問題
がある。
【0018】また、従来、通常は、転炉精錬中に溶鉄温
度を連続的に測定することができないので、クロムの酸
化を抑制するために、送酸速度、底吹き攪拌力、フェロ
クロム合金添加速度、冷材添加量の各操作要因を適正に
制御する措置がとれなかった。従って、クロム酸化を抑
制するため、例えば、必要以上の高温状態で吹錬を実施
し耐火物損耗を招くことや、必要以上に送酸速度を低下
させる、または、必要以上にフェロクロム添加速度を遅
くすることで処理時間が延長し生産性を低下させたり、
必要以上に底吹き攪拌力を増加させて羽口の溶損を招く
といった問題点を生じていた。
【0019】そこで、本発明は、上記課題を有利に解決
して、溶鉄の温度を連続的に測定する手段を備えること
で、安価な酸素ガスのみを用いて必要充分な溶鉄温度に
維持した上でクロム損失を抑制できるステンレス鋼の転
炉精錬方法を提供することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ステンレ
ス鋼の転炉精錬においては、溶鉄の温度を連続的に測定
する手段を備えた上で、溶鉄温度の変化に応じて送酸速
度、底吹き攪拌力、フェロクロム合金添加速度、冷材添
加量の各操作要因を制御することで、吹錬温度が低い状
態でクロムの酸化損失を少なくすることが重要であるこ
とを見出した。本発明の要旨は、以下の各方法にある。
【0021】(1) 事前に脱P処理を施した溶銑に酸
素ガスによる脱炭精錬を施すステンレス鋼の転炉精錬方
法において、溶鉄の温度を連続的に測定する手段を備
え、当該手段により把握された溶鉄温度に基づき、送酸
速度、底吹き攪拌力、フェロクロム合金添加速度、冷材
添加量の1種または2種以上を制御することを特徴とす
るステンレス鋼の転炉精錬方法。
【0022】(2) 溶鉄中炭素濃度が1質量%以上、
クロム濃度が5質量%以上の転炉精錬初期の領域で、溶
鉄温度を、装入溶銑量W(ton )、装入スクラップ量S
(ton)、フェロクロム添加量R(ton )、スクラップ
中のクロム濃度PS(質量%)、フェロクロム中のクロ
ム濃度PR(質量%)によって、次式により計算される
温度X(℃)以上で、X+50(℃)以下になるよう
に、送酸速度、フェロクロム合金添加速度の1種または
2種を制御することを特徴とする上記(1)に記載のス
テンレス鋼の転炉精錬方法。
【0023】 X=1400+10×(S×PS+R×PR)/(W+S+R) ・・・・・・(1) (3) 溶鉄中炭素濃度C(質量%)が0.65質量%
以下の転炉精錬末期の領域で、溶鉄温度を、装入溶銑量
W(ton )、装入スクラップ量S(ton )、フェロクロ
ム添加量R(ton )、スクラップ中のクロム濃度PS
(質量%)、フェロクロム中のクロム濃度PR(質量
%)と、炭素濃度C(質量%)によって、次式により計
算される温度Y(℃)以上、Y+50(℃)以下になる
ように、送酸速度、冷材添加量の1種または2種を制御
することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の
ステンレス鋼の転炉精錬方法。
【0024】 X=1400+10×(S×PS+R×PR)/(W+S+R) ・・・・・・(1) Y=X−260×log C ・・・・・・( 2) ここで、炭素濃度は排ガス分析とサブランス測定とを組
み合わせて物質収支計算により推定する方法や、転炉炉
体に設けた観察孔からレーザーを溶鋼に照射して発光ス
ペクトルを分析することで直接測定する方法等により把
握する。
【0025】(4) 送酸速度F(Nm3 /min/ton-iron)
、底吹きガスによる均一混合時間τ(秒) と炭素濃度C
(質量%)によって、次式により計算されるパラメータ
Zが0. 3以上、1. 0以下になるように、送酸速度、
底吹き攪拌力の1種または2種を制御することを特徴と
する上記(3)に記載のステンレス鋼の転炉精錬方法。 Z=(0. 036×F×τ0.7 )/C ・・・・・・( 3) ここで、Fは、上吹きによる送酸速度と底吹きによる送
酸速度の合計である。また、τは、底吹きガス流量Q
(Nm3 / s)、溶鉄温度T(℃)、溶鉄重量W(ton
)、浴深H(m )、浴直径L(m )により( 5) 式、
( 6) 式から計算される。
【0026】 τ=100×{( L2 / H)2/ε}0.337 ・・・・・ (5) ε={371Q( T+273) /W} ×[ln{ 1+(H×100/147)} +0.06{1-300/(T+273)}] ・・・・・ (6)
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の実施態様の模式図を図1に示す。上吹きランス
3と底吹き羽口4を備えた転炉1に溶鋼2が装入されて
おり、そこに、フェロクロム合金ホッパー9から切り出
し装置10、投入シュート11を経てフェロクロム合金
が添加される。転炉1の炉底には測温用羽口13が設置
され、パージガス供給ライン14から供給されるパージ
ガスを導入するノズルの中にイメージファイバー15が
挿入されている。パージガスとしては通常はArを用い
るが、窒素、COであっても構わない。また、ノズルを
開口するために必要に応じて酸素、空気、CO2 を供給
することも可能である。イメージファイバー15で得ら
れた情報は信号処理および測温装置16により画像処理
と信号処理がなされた上で輝度から温度に変換され、溶
鉄の温度情報として出力される。また、排ガス回収設備
12に設置された排ガス流量と排ガス組成の測定装置か
ら、物質収支計算により炭素濃度情報が出力され、切り
出し装置10からのフェロクロム合金添加量と溶鋼量と
により、物質収支計算によりクロム濃度情報が出力され
る。この、溶鉄温度と炭素とクロムの情報によりクロム
損失を抑制するための操業条件が計算され、その指示
を、上吹きガスライン7に設けた上吹きガス流量制御装
置8、底吹きガスライン5に設けた底吹きガス流量制御
装置6と、切り出し装置10に伝達されて操業条件を制
御する。
【0028】他の実施態様の模式図を図2に示す。この
場合には、分析用羽口19が転炉炉底に設置され、パー
ジガス供給ライン20から供給されるパージガスを導入
するノズルを通して分析用ファイバー21が挿入されて
いる。パージガスとしては炭素のような軽元素成分を測
定するためにはArを用いるが、窒素、COであっても
構わない。また、ノズルを開口するために必要に応じて
酸素、空気、CO2 を供給することも可能である。分析
方法としては、例えば、特開昭60−42644号公報
に開示されているようにレーザーによる発光を利用した
分光分析法がある。
【0029】このような方法で、事前に脱P処理を施し
た溶銑に酸素ガスによる脱炭精錬とフェロクロム合金の
添加を施すステンレス鋼の転炉精錬を実施すると、溶鉄
の温度を連続的に測定する手段が備えられているため
に、得られた溶鉄温度の情報に基づき、送酸速度、底吹
き攪拌力、フェロクロム合金添加速度、冷材添加量の1
種または2種以上を制御することが可能となる。このた
め、冶金特性上からは不必要な高温状態として耐火物損
耗を招くことや、必要以上に送酸速度を低下させること
で、または、必要以上にフェロクロム添加速度を遅くす
ることで処理時間が延長して生産性を低下させること
や、必要以上に底吹き攪拌力を増加させて羽口の溶損を
招くことといった問題点が解決され、効率的にクロム損
失を抑制できるステンレス鋼の転炉精錬方法が可能とな
る。
【0030】ここで、事前に脱P処理を施した溶銑に酸
素ガスによる脱炭精錬を施すステンレス鋼の転炉精錬を
実施する場合に限定したのは以下の理由による。
【0031】クロム濃度の高い溶鉄を通常の生石灰系フ
ラックスで脱Pすることは困難なため、製品規格を満足
するP濃度を得るには、事前に溶銑脱P処理を実施する
必要がある。溶銑脱P処理としては、トピードカーや溶
銑鍋での脱燐処理や、転炉でフェククロム合金の添加前
に脱燐精錬を実施し、出鋼排滓した後、再び転炉に装入
する方法が挙げられる。
【0032】また、脱炭精錬においては、フェロクロム
合金を脱炭精錬前に一括して炉前から装入する方法や、
フェロクロム合金を脱炭精錬中に炉上から連続的に添加
する方法があるが、溶融還元炉等により予めクロム濃度
の高い溶銑を製造して転炉に装入する方法もある。
【0033】本発明における数値の限定は以下の理由に
よる。
【0034】請求項2に記載の本発明は、炭素濃度が高
い第1領域でのクロム酸化を抑制する条件を示したもの
である。炭素濃度を1質量%以上としたのは第1領域で
あることを限定するためであり、これよりも低い炭素濃
度の場合にはクロムの酸化挙動は炭素濃度に大きく依存
するため、炭素濃度の変化に応じた吹錬を実施しない限
りクロム酸化は抑制できないためである。上限は特に規
定しないが、クロム含有溶銑の飽和溶解度である7質量
%以下であることが必要である。
【0035】溶鉄温度をX〜X+50にしたのは、Xよ
りも低い溶鉄温度で操業した場合には図3に示すように
クロムの酸化ロスが大きくなるためであり、逆にX+5
0よりも高いと必要以上の高温にさらされるため耐火物
溶損が大きくなるためである。
【0036】請求項3または請求項4に記載の本発明
は、炭素濃度が低い第2領域でのクロム酸化を抑制する
条件である。請求項3に記載の本発明おいて、炭素濃度
を0.65質量%以下としたのは第2領域であることを
限定するためであり、これよりも高い炭素濃度の場合に
は、クロムの酸化挙動は炭素濃度に依存しないため、炭
素濃度の変化に応じた吹錬をすると必要以上の高温吹錬
となり大きな耐火物溶損が生じるためである。下限は特
に規定しないが、吹き止め温度が1800℃程度を上限
とすると0. 1質量%以上であることが望ましい。
【0037】溶鉄温度をY〜Y+50にしたのは、Yよ
りも低い溶鉄温度で操業した場合には図4に示すように
クロムの酸化ロスが大きくなるためであり、逆にY+5
0よりも高いと必要以上の高温にさらされるため耐火物
溶損が大きくなるためである。
【0038】請求項4に記載の本発明において、パラメ
ータZを0.3以上、1. 0以下にしたのは、1. 0よ
りも大きいとクロムの酸化ロスが大きくなるためであ
る。また、0. 3未満であると送酸速度Fが小さくなり
過ぎるため精錬時間が延びて生産性を悪化させるためで
あり、さらには、底吹きガスによる均一混合時間τを小
さくするために多量の底吹きガスが必要となるため羽口
耐火物の溶損が大きくなるためである。
【0039】
【実施例】(実施例1)6トン規模の上底吹き転炉で、
下記の試験を行った。
【0040】上吹きランスは、主孔が直径12mmの4
孔ランスとし、試験によってはランス中心に直径10m
mの単孔の副孔を設けた。主孔からの酸素供給速度は1
500〜800Nm3 /hr で、副孔からの酸素供給速度は
400〜200Nm3 /hr とした。底吹きには、二重管羽
口を用い、酸素と冷却ガスであるプロパンガスを供給し
た。底吹き羽口からの酸素流量は、約100Nm3 /hr と
し、実験によって羽口本数を変更して攪拌力を変化させ
た。
【0041】溶鉄温度の連続測定は、次のようにして行
った。すなわち、炉底に設けた直径5mmのArガス吹き
込み孔にイメージファイバーを挿入し輝度イメージを得
た。得られた輝度イメージは、Ar気泡を介して見た溶
鉄の輝度だけではなく、周囲のガス吹き込みパイプや吹
き込み孔出口部に生成された地金(マッシュルーム)の
輝度も含まれているため、これを画像処理して、真の溶
鉄部の輝度情報のみを抽出し温度に換算した。Ar流量
は6Nm3 /hr とした。
【0042】炭素濃度は、排ガス濃度、排ガス流量と、
吹酸中に採取した中間サンプルの分析値から計算した。
【0043】脱燐処理を実施したC=4. 2質量%、S
i=0. 05質量%、Mn=0. 05質量%、P=0.
020質量%、S=0. 005質量%、温度=1350
℃の溶銑を転炉に装入後、上吹きランスから送酸し脱炭
した。吹酸中の溶鉄温度の変化に対応して、フェロクロ
ム合金を、添加速度と送酸速度を制御しつつ、炉上より
連続的に添加した。フェロクロム合金の添加終了後も送
酸を続けたが、溶鉄温度の変化に対応して送酸速度を制
御した。吹き止め条件は、おおよそ、C=0.3質量
%、Cr=12. 35質量%、溶鉄温度=1655℃で
あった。
【0044】本実施例での吹酸中の溶鉄温度、炭素濃
度、クロム濃度( 推定値) とX、Yの推移を図5に示
す。第1領域では溶鉄温度がX〜X+50、第2領域で
は溶鉄温度がY〜Y+50の範囲を維持しているためク
ロム歩留まりは95%と高く、また、最高溶鉄温度が1
650℃程度であるため耐火物溶損も極めて軽微であっ
た。
【0045】(実施例2)上記実施例1の実験条件に加
え、さらに、第2領域において、パラメータZが0. 7
〜0. 9になるように送酸速度と均一混合時間を制御し
た。その結果、クロム歩留まりは97. 2%と高く、ま
た、耐火物溶損も極めて軽微であった。
【0046】(実施例3)本実施例では、上吹き、底吹
き、および、測温方法は実施例1と同一の条件とした。
なお、ここでは、第1領域で溶鉄温度をX〜X+50の
範囲に、また、第2領域で溶鉄温度をY〜Y+50の範
囲にする制御は行わなかった。
【0047】脱燐処理を実施したC=4. 25質量%、
Si=0. 05質量%、Mn=0.05質量%、P=0.
022質量%、S=0. 005質量%、温度=135
5℃の溶銑を転炉に装入後、上吹きランスから送酸し脱
炭した。吹酸中の溶鉄温度の変化に対応して、フェロク
ロム合金を、添加速度と送酸速度を制御しつつ、炉上よ
り連続的に添加した。フェロクロム合金の添加終了後も
送酸を続けたが、溶鉄温度の変化に対応して送酸速度を
制御した。吹き止め条件は、おおよそ、C=0. 3質量
%、Cr=11. 7質量%、溶鉄温度=1715℃であ
った。一部の期間ではあるが、第1領域で溶鉄温度がX
〜X+50の範囲から、また、第2領域で溶鉄温度がY
〜Y+50の範囲から逸脱したため、クロム歩留まりは
90%に留まり、また、最高溶鉄温度も1700℃を越
えるため軽微な耐火物溶損が生じた。
【0048】(比較例1)比較例も、上記実施例と同じ
6トン規模の上底吹き転炉で実施した。
【0049】ここで、上吹き、底吹き条件は、上記実施
例と同一の条件としたが、溶鉄温度の推移は、吹錬中に
サブランスで2〜3回測温し、その結果で推定した。
【0050】脱燐処理を実施したC=4. 3質量%、S
i=0. 05質量%、Mn=0. 05質量%、P=0.
021質量%、S=0. 005質量%、温度=1360
℃の溶銑を転炉に装入後、上吹きランスから送酸し脱炭
した。フェロクロム合金は一定の添加速度で炉上より連
続的に添加した。フェロクロム合金の添加終了後も送酸
を続けたが、送酸速度は予め決められたパターンで制御
した。吹き止め条件は、おおよそ、C=0. 25質量
%、Cr=10. 7質量%、溶鉄温度=1785℃であ
った。この時のクロム歩留まりは82%でしかなく、ま
た、最高溶鉄温度が高いため耐火物が激しく溶損した。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
吹錬温度が低い状態でクロムの酸化損失が少ないステン
レス鋼の転炉精錬が可能となるため、本発明は、工業的
に価値の高い発明であると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様の模式図である。
【図2】本発明の他の実施態様の模式図である。
【図3】Xとクロム歩留まりの関係を示した実験結果。
【図4】Yとクロム歩留まりの関係を示した実験結果。
【図5】実施例1における吹酸中の溶鉄温度、炭素濃
度、クロム濃度( 推定値) とX、Yの推移を示す実験結
果。
【符号の説明】
1 転炉 2 溶鋼 3 上吹きランス 4 底吹き羽口 5 底吹きガスライン 6 底吹きガス流量制御装置 7 上吹きガスライン 8 上吹きガス流量制御装置 9 フェロクロム合金ホッパー 10 切り出し装置 11 投入シュート 12 排ガス回収設備 13 測温用羽口 14 パージガス供給ライン 15 イメージファイバー 16 信号処理および測温装置 17 排ガス流量、組成測定装置 18 クロム濃度推定機構 19 分析用羽口 20 パージガス供給ライン 21 分析用ファイバー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 事前に脱P処理を施した溶銑に酸素ガス
    による脱炭精錬を施すステンレス鋼の転炉精錬方法にお
    いて、溶鉄の温度を連続的に測定する手段を備え、当該
    手段により把握された溶鉄温度に基づき、送酸速度、底
    吹き攪拌力、フェロクロム合金添加速度、冷材添加量の
    1種または2種以上を制御することを特徴とするステン
    レス鋼の転炉精錬方法。
  2. 【請求項2】 溶鉄中炭素濃度が1質量%以上、クロム
    濃度が5質量%以上の転炉精錬初期の領域で、溶鉄温度
    を、装入溶銑量W(ton )、装入スクラップ量S(ton
    )、フェロクロム添加量R(ton )、スクラップ中の
    クロム濃度PS(質量%)、フェロクロム中のクロム濃
    度PR(質量%)によって、次式により計算される温度
    X(℃)以上で、X+50(℃)以下になるように、送
    酸速度、フェロクロム合金添加速度の1種または2種を
    制御することを特徴とする請求項1に記載のステンレス
    鋼の転炉精錬方法。 X=1400+10×(S×PS+R×PR)/(W+S+R) ・・・・・・(1)
  3. 【請求項3】 溶鉄中炭素濃度C(質量%)が0.65
    質量%以下の転炉精錬末期の領域で、溶鉄温度を、装入
    溶銑量W(ton )、装入スクラップ量S(ton )、フェ
    ロクロム添加量R(ton )、スクラップ中のクロム濃度
    PS(質量%)、フェロクロム中のクロム濃度PR(質
    量%)と、炭素濃度C(質量%)によって、次式により
    計算される温度Y(℃)以上、Y+50(℃)以下にな
    るように、送酸速度、冷材添加量の1種または2種を制
    御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載
    のステンレス鋼の転炉精錬方法。 X=1400+10×(S×PS+R×PR)/(W+S+R) ・・・・・・(1) Y=X−260×log C ・・・・・・( 2)
  4. 【請求項4】 送酸速度F(Nm3 /min/ton-iron) 、底吹
    きガスによる均一混合時間τ( 秒) と炭素濃度C(質量
    %)によって、次式により計算されるパラメータZが
    0. 3以上、1. 0以下になるように、送酸速度、底吹
    き攪拌力の1種または2種を制御することを特徴とする
    請求項3に記載のステンレス鋼の転炉精錬方法。 Z=(0. 036×F×τ0.7 )/C ・・・・・・( 3)
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