JP2001279317A - 溶銑脱燐処理方法 - Google Patents

溶銑脱燐処理方法

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JP2001279317A JP2000096316A JP2000096316A JP2001279317A JP 2001279317 A JP2001279317 A JP 2001279317A JP 2000096316 A JP2000096316 A JP 2000096316A JP 2000096316 A JP2000096316 A JP 2000096316A JP 2001279317 A JP2001279317 A JP 2001279317A
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Takeo Imoto
健夫 井本
Shinya Kitamura
信也 北村
Naoto Sasaki
直人 佐々木
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 転炉型精錬炉による脱燐処理における終点時
の燐分配比のばらつきを低減して生石灰などの副原料コ
ストの削減や処理時間の短縮を実現する。 【解決手段】 転炉型精錬容器の排ガス成分および排ガ
ス流量を連続的に測定すると共に、炉内へ供給された酸
素源と副材料のマスバランスからスラグ中の酸素ポテン
シャルを連続的に計算し、計算値に基づいて送酸条件、
底吹き撹拌条件、副原料の供給量または供給タイミング
の少なくとも1条件以上を決定すると共に、処理溶銑1
tあたりの送酸速度を140Nm3/hr以下としつつ排ガス測
定位置における系外ガスの侵入量を炉内発生ガス量の80
容量%以下に抑制し、脱燐のための送酸時間を16分以
内の範囲とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶銑の脱燐処理を
上吹き転炉、上底吹き転炉、底吹き転炉、AODなどの転
炉型精錬容器で実施する際の炉内反応をモニターし制御
する溶銑脱燐処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶銑予備処理における脱燐反応は、高炭
素、低温での反応を利用できることから、鋼中Pの活量
係数が大きく、酸化発熱反応が有利に進行するため、溶
鋼段階の脱燐よりも反応を有利に進めることができる
が、一方で、脱燐反応と並行して脱炭反応も進行するこ
とから、スラグメタル界面におけるCO気泡の生成に起
因するフォーミングが操業性を阻害する問題点があっ
た。
【0003】従来、主に脱炭精錬を目的に用いられてき
た転炉は、脱炭時に発生する激しいスプラッシュにも対
応できるように装入物体積の5〜10倍の炉容で設計さ
れていることから、フォーミングによる操業阻害に対し
ては比較的操業裕度があり、溶銑脱燐専用炉としても用
いられるようになってきた。転炉を用いた溶銑脱燐処理
の例としては、特開昭63-195209号公報に示されるよう
な、脱燐処理終了後に溶銑を一旦出銑して異なる脱炭用
転炉で脱炭処理する方法や、特開平7-242922号公報に見
られるような、脱燐処理終了後に一旦排滓を行い、同一
転炉で脱炭処理を施す方法などが挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】転炉型精錬容器による
溶銑脱燐に対しては、通常生石灰系のフラックスを添加
して塩基度とスラグボリュームを確保すると共に、スラ
グ中の酸素ポテンシャルを適正なレベルに維持すること
が重要になる。しかし、溶銑予備処理を伴わない直送銑
を脱炭炉内で吹錬して脱炭と脱燐を一工程で処理するい
わゆる普通銑操業では、鋼中の炭素がおおむね0.5質量%
以下の領域で主として脱燐反応が進行するのに対して、
溶銑予備処理における脱燐反応は炭素濃度が4質量%程
度の高炭素域で進行させるものであり、溶銑中の炭素が
スラグメタル界面においてスラグ中の酸素と反応し、ス
ラグ中酸素の還元反応が進行することから、スラグ中の
酸素濃度を適切なレベルに維持するためには、上吹き酸
素や鉄鉱石などの酸素供給、底吹き撹拌力の微妙なコン
トロールが必要となる。しかし、通常の操業では、溶銑
成分や温度、チャージ毎の炉形状の変動などによってス
ラグの滓化速度や組成が大きくばらつき、脱燐処理に求
められるP濃度上限値に対してばらつきを考慮した過剰
処理が必要になることから、生石灰などの副原料使用量
の増大や処理時間の延長などコスト的な上昇を招いてい
る。
【0005】溶銑脱燐反応の終点時のばらつきを抑制す
るためには、スラグ中の酸素ポテンシャルをチャージ毎
に連続的にモニターして、目標の酸素ポテンシャルにな
るように送酸条件や撹拌条件を決定し、副原料投入を行
うことが有効である。このようなスラグ中酸素ポテンシ
ャルのモニターを行うためには、炉内への酸素源の実績
供給量と排ガス流量と成分のマスバランスからモニター
する手段の適用が考えられる。特開昭61-159520号公報
には、溶銑予備処理による脱燐を行わない直送銑に対し
て普通銑操業を行い、排ガスマスバランスより吹き止め
時のP,Mn濃度のばらつきを低減する例が記載されて
いる。しかし、溶銑脱燐処理に対して、マスバランスに
よるスラグ中酸素ポテンシャルのモニターを行うための
適正条件はこれまで見いだされていなかった。また、モ
ニターを行ったときの適切な狙い範囲も全く不明であっ
た。
【0006】本発明は、溶銑脱燐処理の終点P濃度のば
らつきを低減し、生石灰などの副原料使用量の削減や処
理時間の短縮を実現することのできる溶銑脱燐処理方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段である本発明は、以下の通りである。
【0008】 転炉型精錬容器の排ガス成分および排
ガス流量を連続的に測定すると共に、炉内へ供給された
酸素源と副材料のマスバランスからスラグ中の酸素ポテ
ンシャルを連続的に計算し、計算値に基づいて送酸条
件、底吹き撹拌条件、副原料の供給量または供給タイミ
ングの少なくとも1条件以上を決定すると共に、処理溶
銑1tあたりの送酸速度を140Nm3/hr以下としつつ排ガ
ス測定位置における系外ガスの侵入量を炉内発生ガス量
の80容量%以下に抑制し、脱燐のための送酸時間を16
分以内の範囲とすることを特徴とする溶銑脱燐処理方
法。
【0009】 の方法において、処理終了後の溶銑
中炭素濃度:[C]≧3.5質量%、スラグ中酸素ポテンシ
ャル:5〜15質量%にコントロールすることが望まし
い。
【0010】 ,の方法において、処理前または
処理中の炉内スラグの酸素ポテンシャルを少なくとも1
回以上測定することが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1に従っ
て説明する。この図は、溶銑脱燐処理中の転炉を模式的
に示したものである。
【0012】転炉1内に溶銑2が装入されており、上吹
きランス3より酸素ガス4を吹酸しつつ、底吹き羽口5
より撹拌ガス6を導入する。上吹きランス3および底吹
き羽口5から炉内に導入された酸素は、溶銑中のP、F
e、Mn、Siを酸化させることによってそれぞれP2
5、FeO、MnO、SiO2を生成してスラグ7中に
分離させると共に、溶銑中のCと反応して炉内でCOと
CO2の混合ガスとして排気ダクト8を介して排気ガス
処理系(図示しない)に排出される。このとき、排気ダ
クト8内の排ガス流量および組成が排ガス測定装置9で
連続的に測定される。脱燐処理に対して必要な生石灰や
鉄鉱石などの副原料は、適宜炉上ホッパー10より炉内
に添加される。
【0013】図中11,12で示した矢印はそれぞれ排
気ファンの吸引方向と炉外空気の侵入方向であり、炉内
で発生するCOガスやダストが系外に排出するのを回避
するために排気ファンの設定吸引流量は炉内の最大発生
ガス流量よりも大きく設計されている。
【0014】脱燐反応を効率よく進めるためには、スラ
グ中の酸素活量を適切な範囲に維持することが必要であ
る。即ち、酸素活量が低すぎるときには、スラグのフォ
スフェイトキャパシティーが低く、脱燐反応の駆動力が
小さいことから比較的長い処理時間の確保や生石灰など
の副原料の多量使用が必要になる一方で、酸素活量が高
すぎるときには、溶銑との脱炭反応が過剰になることに
よるスロッピング発生や耐火物溶損速度の上昇に繋が
る。
【0015】しかし、スラグ中の酸素活量は、スラグ組
成、溶銑温度、圧力、溶銑成分、ガス成分によって規定
されるが、非平衡反応である溶銑脱燐処理における酸素
活量を正確に評価することは困難である。本発明者らの
調査の結果、炉内酸化反応によって生成するP25、F
eO、MnO、SiO2のうち、酸化物質として安定な
SiO2はスラグ中の酸素活量には支配的でなく、残部
のP25、FeO、MnOの形でスラグ中に取り込まれた酸素
と、前チャージのキャリーオーバースラグ中のP25
FeO、MnO中の酸素の合計濃度がスラグ中の酸素活量を良
く表すことが分かっているため、これらの酸素濃度の合
計を酸素ポテンシャル(質量%)として、前チャージか
らのキャリーオーバースラグ量と組成や、転炉内へ装入
した生石灰の重量などから炉内のスラグ重量Ws(k
g)を評価し、炉内への送酸量、排ガス情報からマスバ
ランスを計算してスラグ中の酸素ポテンシャルの経時変
化をリアルタイムで評価する。また、処理前溶銑の炭素
濃度から、排ガスによって積算される脱炭消費分を差し
引くことによって溶銑中の炭素濃度についてもリアルタ
イムで計算評価することができる。このようにして求め
たスラグ中酸素ポテンシャルと溶銑中の炭素成分に基づ
いて、望ましい溶銑成分、スラグ酸素ポテンシャルにコ
ントロールするための制御を行う。
【0016】具体的な制御の手段としては、送酸条件
(ランス高さ、送酸量、ガス混合比、複数ノズルからの
ガス流量比)、底吹き撹拌条件(撹拌ガス流量、ガス種
類)、副原料の供給量または供給タイミングがある。連
続判定されるスラグ酸素ポテンシャルを高くする場合、
送酸条件としては、ランス高さ上昇によるソフトブロー
化、送酸量増加、CO2混合などによる火点冷却、複数
ノズルからの噴出ガスの合体を防止するランスパターン
の選択等、底吹き撹拌条件としては、撹拌ガス流量低
下、溶銑中への溶解度の高いガス混合比の増加等、副原
料投入としては鉄鉱石などの酸化副材の投入などによっ
て酸素ポテンシャルを高めることができる。一方、連続
判定されるスラグ酸素ポテンシャルを低くする場合、送
酸条件としては、ランス高さ下降によるハードブロー
化、送酸量低下、COガスなどの還元性ガスの混合、複
数ノズルからの噴出ガスの合体を促進するランスパター
ンの選択等、底吹き撹拌条件としては、撹拌ガス流量増
加、溶銑中での膨張率の高いガス混合比の増加等、副原
料投入としては炭材やアルミなどのスラグ脱酸材の投入
などによって酸素ポテンシャルを低めることができる。
【0017】また、上吹きと底吹きを合わせた送酸速度
は、処理溶銑1tあたりの送酸速度を140Nm3/hr以下と
し、かつ、排ガス測定位置における系外ガスの侵入を炉
内発生ガスの80容量%以下に抑制し、送酸時間は16分
以内の範囲とすることが必要である。送酸速度を140Nm3
/hr以下にするのは、それを超す送酸速度にした場合、
通常塩基度が1〜2程度で行われる脱燐スラグのフォー
ミングが激しくなり操業が困難になるためである。系外
からの侵入量を炉内発生ガスの80容量%以下に抑制する
のは、侵入ガスが発生ガスの80容量%超になると排ガス
起因の測定誤差が大きくなるためである。また、送酸時
間を16分以内とするのは、鋼中炭素濃度やスラグ酸素
ポテンシャルの積算に伴う誤差が大きくなり、精度的な
問題点が発生するのを防ぐためである。
【0018】また、脱燐処理終了時点における炭素濃度
を3.5質量%以上確保しつつ、酸化鉄、酸化マンガン、酸
化燐として含まれる酸素の濃度は5〜15質量%になる
ようにコントロールすることが望ましい。炭素濃度が3.
5質量%未満ではPの活量係数の低下に起因すると考えら
れる反応停滞が見られ、また、酸素ポテンシャルの代表
指標である酸化鉄、酸化マンガン、酸化燐として含まれ
る酸素の濃度が5質量%未満では十分な脱燐の分配比が得
られず、15質量%超では溶銑とスラグ中酸素の反応が
激しく、スロッピングを発生することから安定な操業が
確保できないためである。
【0019】前述の説明では、処理中の溶銑成分、添加
材などの条件から、酸素ポテンシャルをFeO,Mn
O,P25に含有される酸素の合計濃度で表している
が、例えば高クロム溶銑の脱燐時には酸素活量に大きな
影響を与えるCr23なども考慮する必要があるし、こ
こにに含有される酸素が酸素活量に対して等価に見なし
得ない場合もあることから、酸素ポテンシャルの定義と
しては、溶銑脱燐処理においてスラグ中に1質量%以上
含まれる金属酸化物の内、SiO2より標準生成自由エ
ネルギー(△G゜)の大きい(即ち還元されやすい)酸
化物に含まれる酸素を酸化物毎に係数を設けるなどして
酸素活量に代用できる指標とする。
【0020】また、前述のごとく、スラグ中酸素ポテン
シャルは、前チャージからのキャリーオーバースラグの
影響を受ける他、操業中の酸素ポテンシャルの積算計算
誤差が発生することから、実測値により計算値との誤差
を補正して再計算を行うことが精度向上のためには有効
である。このための分析手法としては、ジルコニア等の
酸素濃淡電池によるFeO活量測定値に基づいて求めた
オンライン酸素ポテンシャル測定や、鉄と鋼Vol.85(199
9)No.2,86頁に示されるようなオンサイト迅速蛍光X線
分析法などに基づいた測定を少なくとも1回以上行うこ
とが有効である。精度向上のためには、実測をできるだ
け多く行うことが有効となるが、測定のためのサブラン
スや分析コストが必要で、一回の測定に数分を要するこ
とから、通常20分以内に行われる転炉型精錬容器によ
る溶銑脱燐処理においては1〜5回の測定が好ましい。
【0021】
【実施例】350t上底吹き転炉による試験操業を行っ
た。
【0022】表1に試験操業において用いた処理前溶銑
の成分範囲を示す。この組成の溶銑を転炉吹酸する場
合、吹錬初期に優先的にSiが酸化されて以後無視できる
濃度まで低下すると共に生成したSiO2がスラグに移動す
ることが分かっているため、処理前溶銑成分から予想さ
れるSiO2発生量に対してCaO/SiO2(kg/kg)が1.2になる分
量の生石灰を吹錬初期に添加して初期スラグ重量を計算
し、Siの燃焼に見合う酸素分はスラグ中の酸素ポテンシ
ャルには含まれないとして差し引き、排ガスとなって排
出される酸素との残差がスラグ中の酸化鉄、酸化マンガ
ン、酸化燐として含まれる酸素として評価し、この濃度
を酸素ポテンシャル(質量%)として評価した。即ち、 酸素ポテンシャル(質量%)=(積算送酸量(kg)−排カ゛スか
らの排出酸素量(kg)−Si酸化酸素量(kg))/スラク゛重量Ws
(kg)×100 とした。ここで、酸素ポテンシャルの代表値は酸化鉄、
酸化マンガン、酸化燐で評価したが、前述のように、鋼
種の違いによるメタルの成分や副原料の違いにより、考
慮する酸化物およびその酸化物の酸素ポテンシャルに対
する寄与係数等は当業者が適宜選択するものである。
【0023】
【表1】
【0024】本実施例では、前チャージにおける残留ス
ラグの排滓除去を徹底して行ったために、初期の溶銑Si
濃度と添加生石灰のみで初期スラグ量を 初期スラグ重量(kg)=溶銑重量(kg)×Si濃度(mass%)/10
0×SiO2分子量/Si分子量+CaO投入重量(kg) と評価したが、前チャージスラグの混入や、耐火物保護
のためのドロマイト添加などを行うときは、その影響分
を考慮した初期組成を設定することは当業者が適宜なし
得ることである。また、Wsの経時変化は溶銑中のFe,M
n,Pが代表的な割合で酸化、還元されてステップ毎スラ
グ重量が変化するものとして逐次計算評価した。
【0025】また、排ガス測定装置位置におけるガスに
は系外からの侵入空気が存在するが、空気中の酸素と窒
素の割合は21:79で一定と見なせるため、排ガス測
定位置で検出される窒素濃度の21/79は系外からの
侵入分として炉内からの排出酸素分からキャンセルした
が、系外からの侵入空気が炉内発生ガスの80容量%を
超える領域では、排ガスダクト内の混合不良と考えられ
る測定誤差が大きくなることが判明したため、侵入空気
の割合が80容量%を超えないように排気ファンの吸引
量を適宜調整して操業を行った。本実施例では、脱燐処
理時間は12〜14分の範囲で、送酸速度は35000Nm3/h
(処理溶銑1tあたり100Nm3/h)とした。処理終了時の酸
素ポテンシャルが5〜15質量%の範囲になるように目
標を設定し、酸素ポテンシャルが目標値よりも小さくな
ると予測された場合には鉄鉱石を添加し、また、酸素ポ
テンシャルが目標値を超えると予想された場合には底吹
き撹拌力を増加させてコントロールを行った結果、目標
とする酸素ポテンシャル範囲からの外れは発生しなかっ
た。また、処理中の溶銑中の炭素濃度は3.5質量%を下
限値として、モニター情報より下限値以下になることが
予想された場合には炭材をホッパーより添加して調整し
た。
【0026】図2には、処理終了後の溶銑成分とスラグ
成分の分析値より求めた燐分配比(スラグ中P濃度(質量
%)/溶銑中P濃度(質量%))を縦軸に、スラグの分析値よ
り求めた実績の酸素ポテンシャル代表値(酸化鉄、酸化
マンガン、酸化燐として含まれる酸素濃度)を横軸にし
て本発明の結果(12ch分 ●印)と初期配合のみ決定して
吹錬を行った従来操業の結果(12ch分 ○印)を示した。
酸素ポテンシャルモニターを行っていない従来操業では
処理後の酸素ポテンシャルが2〜17%(標準偏差=
4.6)にばらついたのに対して、ROモニターを実施し
た本発明では全チャージにおいて目標の5〜15%(標
準偏差=2.5)の範囲に制御できており、燐分配比>1
00が達成できた。また、従来法では、炭素濃度モニター
を行っていないため、終点の炭素濃度が目標値の3.5質
量%を下回っているチャージが2chあり、酸素ポテン
シャル値が目標の範囲ではあるが燐分配比が低下してい
る。これは、C濃度の低下によって溶銑中のP活量が低
下したために分配比が低下したものと考えられる。ま
た、従来法では酸素ポテンシャル値が15質量%を超えた
チャージがあるが、このときはスロッピングが激しくな
り、途中で吹錬を停止したため十分な燐分配比の確保が
できなかった。
【0027】また、更なる酸素ポテンシャルの判定精度
向上を目的とした試験において、処理開始初期のスラグ
を採取して得た分析値から得られる酸素ポテンシャルの
測定値に基づいて、スラグ採取時点における計算酸素ポ
テンシャル値を補正し、分析スラグ採取時間以降の操業
中の排ガス濃度と流量、上吹きおよび底吹きガス流量と
組成情報、添加副原料の種類や投入量、タイミングをレ
コーダーに記録して、オフラインで操業中の酸素ポテン
シャル変化をシミュレートした結果、同一処理条件にお
いても処理後の酸素ポテンシャル値のばらつきを標準偏
差で1.8質量%程度まで低減できることが分かった。
【0028】本発明によって、スラグへの燐分配比を高
位に安定的に維持できるようになることから、ばらつき
を見越した生石灰投入量の増大や処理時間の延長、成分
外れ時の再処理率の低減等コスト削減、処理時間短縮の
両面で大きなメリットが得られることが確認できた。
【0029】
【発明の効果】本発明によって、転炉型精錬容器におけ
る脱燐処理の燐分配比を安定的に高位に維持できること
から、生石灰などの副原料コストを削減でき、また処理
時間の短縮が可能になり、低コスト、高生産性の確保が
可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための装置の例を模式的に示
す図である。
【図2】本発明の実施の結果得られた燐分配比を従来法
と比較して示す図である。
【符号の説明】
1 転炉 2 溶銑 3 上吹きランス 4 酸素ガス 5 底吹き羽口 6 撹拌ガス 7 スラグ 8 排気ダクト 9 排ガス測定装置 10 炉上ホッパー 11 排気ファンの吸引方向 12 炉外空気の侵入方向
フロントページの続き (72)発明者 佐々木 直人 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 Fターム(参考) 4K002 AB01 AB04 AC07 AC08 AD02 AD05 AE01 AF02 AF03 BF05 CA02 4K014 AA03 AB03 AB04 AC01 AC08 AC13 AC16 AC17 AD00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転炉型精錬容器の排ガス成分および排ガ
    ス流量を連続的に測定すると共に、炉内へ供給された酸
    素源と副材料のマスバランスからスラグ中の酸素ポテン
    シャルを連続的に計算し、計算値に基づいて送酸条件、
    底吹き撹拌条件、副原料の供給量または供給タイミング
    の少なくとも1条件以上を決定すると共に、処理溶銑1
    tあたりの送酸速度を140Nm3/hr以下としつつ排ガス測
    定位置における系外ガスの侵入量を炉内発生ガス量の80
    容量%以下に抑制し、脱燐のための送酸時間を16分以
    内の範囲とすることを特徴とする溶銑脱燐処理方法。
  2. 【請求項2】 処理終了後の溶銑中炭素濃度:[C]≧
    3.5質量%、スラグ中酸素ポテンシャル:5〜15質量%
    にコントロールすることを特徴とする請求項1記載の溶
    銑脱燐処理方法。
  3. 【請求項3】 処理前または処理中の炉内スラグの酸素
    ポテンシャルを少なくとも1回以上測定することを特徴
    とする請求項1または2記載の溶銑脱燐処理方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100868430B1 (ko) * 2002-10-02 2008-11-11 주식회사 포스코 전로취련방법
JP2019077932A (ja) * 2017-10-26 2019-05-23 Jfeスチール株式会社 精錬処理条件の決定方法、精錬設備の制御方法及び溶鉄の精錬処理方法

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KR100868430B1 (ko) * 2002-10-02 2008-11-11 주식회사 포스코 전로취련방법
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