JP3858150B2 - 転炉における吹錬終点Mn濃度の推定方法 - Google Patents

転炉における吹錬終点Mn濃度の推定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、収容した溶銑に対して酸素を上吹き若しくは底吹きし、溶銑の脱炭精錬を行う転炉吹錬における吹錬終点の溶鋼中Mn濃度を推定する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高炉及び転炉を有する銑鋼一貫製鉄所においては、高炉から出銑された溶銑は、転炉で脱炭精錬される前に、溶銑予備処理と呼ばれる脱硫処理、脱珪処理及び脱燐処理が施されるようになり、これに伴って、転炉ではスラグ発生量を抑えたレススラグ吹錬が行われるようになった。
【0003】
レススラグ吹錬においては、発生スラグ量が極めて少ないため、溶銑中の炭素によるMn鉱石の還元が可能であり、そのため、吹錬中の炉内に積極的にMn鉱石が添加されるようになった。但し、Mn鉱石の還元には、或る程度の時間が必要であり、従って、通常、Mn鉱石は吹錬の中期までに添加されている。Mn鉱石を添加することにより、Mn鉱石に比べてはるかに高価なFe−Mn合金等のMn系合金鉄の使用量が削減され、製造コストの削減に貢献している。従って、レススラグ吹錬においては、吹錬過程の溶融金属中のMn量を制御することが極めて重要な操業因子となっている。尚、溶銑を用いた転炉脱炭精錬では、転炉内に装入された溶銑は吹錬の経過に伴って脱炭されて溶鋼になるが、本発明では、溶銑、溶鋼、及び、溶銑から溶鋼に移行する過程のものを含めて、全て溶融金属と称することとする。但し、明らかに溶銑である場合及び明らかに溶鋼である場合には、それぞれ溶銑又は溶鋼と記す。
【0004】
溶融金属中のMn量を制御する操業アクションとしては、吹錬初期から中期におけるMn鉱石添加量の調整、送酸量調整やランス高さ調整等の上吹き送酸方法の制御、撹拌用ガス吹き込み量の調整等によるスラグ−メタル間の反応制御等々があるが、これらの操業アクションを的確に実施するためには、少なくとも吹錬終点の溶鋼中Mn量がどのようになるかを吹錬中に予測して、操業アクションに反映させる必要がある。正確に予測できない場合には、実施した操業アクションが逆方向に作用し、Mn濃度が規格値よりも高くなったり、又、極めて少なくなったりすることが発生する。
【0005】
このように、吹錬終点の溶鋼中Mn濃度を予測することは極めて重要であり、従来、下記に示す2つの方法により、転炉吹錬終点の溶鋼中Mn量が予測されていた。
【0006】
1つの方法は、吹錬中にサブランスを用いて溶融金属温度及び溶融金属中炭素濃度を測定し、この測定値に基づくMnの溶融金属−スラグ間分配式と、Mn収支式とによって吹錬終点のMn濃度を予測する方法である。
【0007】
この方法では、Mn収支式を用いているため、転炉内の全Mn量、即ち転炉内の初期Mn量、並びに、吹錬中にMn鉱石等により添加される追加Mn量の両方を正確に把握する必要がある。ここで、初期Mn量としては、溶銑中に含まれるMn量と転炉内に残留する残留スラグ中に含まれるMn量とがあり、初期Mn量のうちの溶銑中に含まれるMn量、並びに、吹錬中に添加される追加Mn量は正確に把握することが可能であるが、初期Mn量のうちで残留スラグ中に含まれるMn量は、残留スラグ量そのものを正確に把握できないため、正確に把握することができない。残留スラグ量は目視により推定せざるを得ず、それに基づく計算値には誤差が含まれる。
【0008】
この全Mn量の不正確さに起因して、吹錬終点のMn濃度予測値の精度が十分でなく、そのため、実操業においては、吹錬終点におけるMn濃度の目標値越えをおそれ、目標値よりも低めを狙った操業が行われる。従って、転炉吹錬終了後の出鋼時や二次精錬時に、高価なMn系合金鉄を用いて溶鋼中Mn濃度を調整する必要があった。
【0009】
他の方法は、吹錬途中の溶融金属中Mn濃度を、Mn濃度検出手段を用いてリアルタイムで測定し、測定値から予測する方法である。例えば、特開平9−3518号公報には、吹錬途中の溶融金属中Mn濃度を、Mn濃度検出手段を用いてリアルタイムで測定し、この測定値からMnの酸化速度を求め、その酸化速度から吹錬終点時の溶鋼中Mn濃度を予測する方法が開示されている。
【0010】
しかし、この方法では、Mn濃度の測定値から酸化速度を算出する関係上、溶融金属中Mn濃度を吹錬中に少なくとも2回は測定しなければならない。リアルタイムで測定可能なMn濃度検出手段がどのようなものであるのか、同号公報には記載されておらず、そのため一概には云えないが、本発明者等が開発したオンラインMn計測センサーは比較的高価であり、1ヒートの吹錬期間に2本以上のオンラインMn計測センサーを使用した場合には、Mn鉱石を使用するコストメリットが極めて少なくなる。従って、2回以上の頻度でリアルタイムにMn濃度を測定して吹錬終点のMn濃度を予測する方法は、コスト的にみて実用的ではない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、収容した溶銑に対して酸素を上吹き若しくは底吹きして、溶銑の脱炭精錬を行う転炉吹錬において、吹錬終点の溶鋼中Mn濃度を、安価に且つ精度良く予測することが可能な推定方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための第1の発明に係る、転炉における吹錬終点Mn濃度の推定方法は、溶銑を収容した転炉内で酸素吹錬して溶銑の脱炭精錬を行う際に、酸素吹錬中の中期以降の同一時点で溶融金属中のMn濃度と溶融金属の温度とを測定し、測定によって得られたMn濃度の実測値及び溶融金属温度の実測値に基づいて転炉内の全Mn量を修正し、修正した全Mn量に基づいて酸素吹錬終点の溶鋼中Mn濃度を予測することを特徴とするものである。
【0013】
第2の発明に係る、転炉における吹錬終点Mn濃度の推定方法は、溶銑を収容した転炉内で酸素吹錬して溶銑の脱炭精錬を行う際に、酸素吹錬中の中期以降の同一時点で溶融金属中のMn濃度と溶融金属の温度とを測定し、測定によって得られた溶融金属温度の実測値と転炉内への原料装入量とに基づいて溶融金属中のMn濃度推定値を算出し、この算出によって得た溶融金属中Mn濃度推定値と、測定によって得た溶融金属中Mn濃度実測値との差分値に基づいて転炉内の全Mn量を修正し、修正した全Mn量に基づいて酸素吹錬終点の溶鋼中Mn濃度を予測することを特徴とするものである。
【0014】
第3の発明に係る、転炉における吹錬終点Mn濃度の推定方法は、第1又は第2の発明において、サブランス先端に取り付けたプローブ内に溶融金属を採取し、採取した溶融金属表面にレーザ光を照射してその反射光を受光し、その光路にある金属蒸気により生じる原子吸光に基づき、溶融金属中のMn濃度を測定することを特徴とするものである。
【0015】
上記構成の本発明に係る、転炉における吹錬終点Mn濃度の推定方法によれば、転炉内の全Mn量が正確に把握されるため、吹錬終点の溶鋼中Mn濃度を精度良く予測することが可能となる。又、溶融金属中のMn濃度の測定は1回で十分であるので、高価なオンラインMn計測センサーの使用本数を少なくすることができ、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明では、溶銑を脱炭精錬するための精錬炉として、慣用の酸素上吹き転炉や酸素底吹き転炉を用いる。上吹き転炉の場合には、炉底に攪拌用ガスを吹き込むための羽口が設置されていてもよい。但し、本発明で用いる転炉には、溶銑中又は溶鋼中のMn濃度をリアルタイムで測定可能なオンラインMn濃度検出手段が設置されている必要がある。
【0017】
このオンラインMn濃度検出手段としては、正確に且つ迅速に測定可能であることから、溶融金属表面にレーザ光を照射してその反射光を受光し、その光路にある金属蒸気により生じる原子吸光に基づいて溶融金属中のMn濃度を測定するMn濃度検出装置を用いることが好ましい。このMn濃度検出装置の1例を図1及び図2に示す。図1は、Mn濃度検出装置の全体構成図、図2は、サブランスの先端に取り付けられた、Mn濃度検出装置のプローブの概略図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、サブランス3の先端に取り付けられたプローブ4を、上吹きランス2からの酸素吹錬中に、転炉1内に収容された溶融金属5中に浸漬させ、プローブ4の下部に設置されたサンプル室16に溶融金属5を流入させる。プローブ4を構成するプローブホルダー11、紙筒12、及び鉄管15の内部には、中継ケーブル7を介してN2 ガスが供給されており、このN2 ガスが紙筒12に設けた孔22から溶融金属5中に気泡20となって流出するので、サンプル室16内のほぼ一定位置に溶融金属5の湯面が形成され、その上部に金属の蒸気層21が形成される。尚、図1の符号6はスラグである。
【0019】
プローブ4内には、レーザ光19を照射してその反射光を受光する先端光学部14が設置されており、検出装置本体8のレーザ光源9から中継ケーブル7内の光ファイバー13を介して供給されるレーザ光19を、溶融金属5の湯面に照射し、そして、その反射光を受光し、光ファイバー13aを介して検出装置本体8の測光部10に送る。測光部10は、蒸気層21におけるレーザ光19の減衰量に基づいて溶融金属5中のMn濃度を計測する。尚、このプローブ4には、測温素子17及び炭素濃度検出計18が設置されており、溶融金属5の温度及び溶融金属5中の炭素濃度の測定も可能な構造になっている。炭素濃度検出計18は、溶融金属5の凝固温度に基づいて炭素濃度を計測するものである。
【0020】
用いる溶銑は、転炉吹錬の前に予め脱硫処理及び脱燐処理が施され、製品の硫黄濃度レベル及び燐濃度レベルまで低減されていることが好ましい。このように、溶銑中の硫黄濃度及び燐濃度を予め低減させることで、転炉1では脱炭精錬に限った精錬を行うことが可能になり、その結果、転炉1内に装入する生石灰等の造滓剤を少なくすることができるため、生成されるスラグ6が少なくなり、大量のMn鉱石を転炉1内に装入することが可能となるからである。
【0021】
溶銑並びに鉄スクラップ等を転炉1内に装入し、上吹きランス2から酸素を供給して溶銑の脱炭精錬を開始する。この酸素吹錬に前後して、Mn鉱石を転炉1内に供給する。Mn鉱石の投入量は、少なくとも、Mn歩留まりが100%即ちMn鉱石中のMn分が全て還元されて溶融金属5中に移行した場合でも、溶融金属5中のMn濃度が製品のMn規格値を越えない範囲とする必要がある。但し、操業を重ねることにより、Mn歩留まりが自ずと把握されるので、それに応じて決めればよい。この場合、Mn鉱石は、連続的に供給しても、若しくは断続的に供給してもどちらでも構わないが、予め定めた投入量の全量を、酸素吹錬の中期までに転炉1内に投入する。尚、酸素吹錬に前後して、必要に応じて、生石灰やドロマイト等の造滓剤並びに鉄鉱石やミルスケール等の鉄源を転炉1内に装入してもよい。
【0022】
所定量のMn鉱石が既に転炉1内に装入された酸素吹錬の中期以降、サブランス3の先端にプローブ4をセットして、サブランス3を下降させ、前述した方法により溶融金属5中のMn濃度を測定する。同時に、溶融金属5の温度も測定する。そして、この測定により得られたMn濃度の実測値及び溶融金属温度の実測値に基づき、転炉1内の全Mn量を修正し、修正した全Mn量に基づいて酸素吹錬終了時の溶鋼中Mn濃度を予測する。ここで、全Mn量とは、溶銑、前ヒートの残留スラグ、及びMn鉱石等から転炉1内に持ち来される全てのMn量である。以下、全Mn量の修正方法について説明する。
【0023】
先ず、溶融金属温度の実測値を用いて、下記の(1)式に示すMn平衡式から(MnO)/[Mn]を求める。ここで、(1)式における(FeO)値、即ちスラグ6中のFeO濃度(mass%)は、サブランス3の投入時期に応じて決まる固定値を使用して代入する。即ち、予めスラグ6中のFeO濃度の挙動を吹錬パターンに応じて調査しておき、当該ヒートの吹錬パターンに照らし合わせて決定する。又、(1)式におけるTemp(℃)が溶融金属温度の実測値で、a、bは定数である。尚、(1)式における(MnO)はスラグ6中のMnO濃度(mass%)、[Mn]は溶融金属5中のMn濃度(mass%)であり、これ以降全て同一意味でこれらの符号を用いることとする。
【0024】
【数1】
Figure 0003858150
転炉1内のスラグ質量(Ws)は下記の(2)式により表され、一方、転炉1内のMn収支式は下記の(3)式により表される。ここで、(2)式におけるWsはスラグ質量、WSiO2はスラグ6中のSiO2 質量、WCaO はスラグ6中のCaO質量、WMgO はスラグ6中のMgO質量、(他成分)は、SiO2 、CaO、MgO、MnO、FeO以外のスラグ6中の成分である。又、(3)式におけるWmは炉内に在る溶融金属5の質量である。
【0025】
【数2】
Figure 0003858150
【0026】
【数3】
Figure 0003858150
(2)式及び(3)式を連立させてWsを消去した式に、前述の(1)式から求めた(MnO)/[Mn]を代入すると、[Mn]の二次方程式が得られる。この二次方程式を解くことにより、[Mn]を求めることができる。本発明では、この値をMn濃度推定値と呼ぶ。尚、上記の[Mn]の二次方程式を解く際に、WSiO2、WCaO 、WMgO は造滓剤として転炉1内に添加した数量から求め、FeOは(1)式で使用した数値から求め、他成分は、予めスラグ6中のAl23 、TiO2 、V25 等の成分濃度を調査しておき、この値を用いればよい。又、Wmは溶銑や鉄鉱石等鉄源の質量から求めることができる。この場合に、目視で求めた残留スラグ量を加味して、WSiO2、WCaO 、WMgO 及び全Mn量を求めてもよい。残留スラグ量を加味することで、Mn濃度推定値と、Mn濃度検出装置によるMn濃度実測値との差は小さくなるものの、最終的には両者の差分を修正するので、残留スラグ量が極めて多い場合を除き、敢えて残留スラグ量を加味する必要はない。
【0027】
求めたMn濃度推定値と、Mn濃度検出装置によるMn濃度実測値とを比較対比し、その差分値から下記の(4)式により全Mn量を修正する。ここで、(4)式に示すWfは、サブランス3による測定時のスラグ量であり、下記の(5)式で表される。(5)式において、(MnO)/[Mn]は前述の(1)式から求めた(MnO)/[Mn]を代入し、[Mn]はMn濃度実測値を代入し、WSiO2、WCaO 、WMgO 、FeO、及び(他成分)は、(2)式及び(3)式の連立方程式を解く際に用いた数値を用いればよい。
【0028】
【数4】
Figure 0003858150
【0029】
【数5】
Figure 0003858150
このようにして得られる修正全Mn量が、前ヒートの残留スラグ中に含まれるMn分を加味した数値であり、この数値を用いて酸素吹錬終了時の溶鋼中Mn濃度を予測する。Mn濃度の予測は、原則的に、転炉1内のスラグバランスを表す上記(2)式、及び、左辺の全Mn量の替わりに修正全Mn量とした下記の(6)式に基づいて求めるものとする。
【0030】
【数6】
Figure 0003858150
吹錬終了時の溶鋼中Mn濃度を予測する方法には、幾つかの方法があり、そのうちの1つ目の方法は、スタティックモデルで終点Mn濃度を再計算するものである。先ず、下記の(7)式において、Tempとして吹錬終点時の目標温度を代入すると共に、溶鋼中酸素濃度([O]:mass%)として、溶鋼中の炭素と酸素との濃度積は一定([C]×[O]=一定)であるとの関係式により、吹錬終点の目標炭素濃度から求めた溶鋼中炭素濃度を代入し、(MnO)/[Mn]を求める。そして、求めた(MnO)/[Mn]を(2)式及び(6)式を連立させてWsを消去した[Mn]の二次方程式に代入し、二次方程式から得られた[Mn]を酸素吹錬終点のMn濃度予測値とする方法である。尚、(7)式におけるc、d、e、fは定数である。
【0031】
【数7】
Figure 0003858150
このMn濃度予測値は、サブランス3により溶融金属5中のMn濃度を実測した以降のMn成分を調整するための操業アクションを行う上で、極めて重要である。例えば、Mn濃度予測値が目標とする値よりも低い場合には、Mn鉱石を更に添加する、若しくは、溶融金属5とスラグ6との攪拌を強めてMnの還元を促進させる等のMn濃度上昇の操業アクションを行うことができ、逆に、Mn濃度予測値が目標とする値よりも高い場合には、上吹きランス2の高さを調整する、若しくは、鉄鉱石を添加する等のスラグ6中のFeO濃度を高める操業アクションを行うことで、Mnの規格外れを防止することができる。
【0032】
このスタティックモデルにより予測した終点Mn濃度と、Mn調整のための特段の操業アクションを実施しないままで吹錬を終了し、その吹錬終了時に溶鋼を採取し、採取した試料のカントバックによるMn分析値との対比を図3に示す。図3には、比較のために全Mn量を修正しないままで終点時のMn濃度を予測した場合(従来例)も合わせて示す。この場合も、Mn濃度予測時以降、Mn濃度調整のための特段の操業アクションは実施していない。カントバックによるMn分析値との標準偏差は、従来例では0.092であったが、本発明を実施した場合(本発明例)には0.046になり、全Mn量を補正することによって、精度が向上することが確認された。
【0033】
2つ目の方法は、転炉1から発生する排ガス成分に基づいて行っている排ガスモデル計算による推定炭素濃度及び推定溶融金属温度を用いてMn濃度を予測する方法である。この場合には、推定炭素濃度から、前述の溶解濃度積一定の関係を用いて酸素濃度を求め、求めた酸素濃度及び推定溶融金属温度を(7)式に代入して(MnO)/[Mn]を求め、そして、求めた(MnO)/[Mn]を(2)式及び(6)式を連立させてWsを消去した[Mn]の二次方程式に代入し、この二次方程式から得られた[Mn]を酸素吹錬終点のMn濃度予測値とする方法である。
【0034】
排ガスモデル計算は、逐次周期的に計算可能であり、サブランス3による測定以降のMn濃度の変動を、逐次監視することができる。
【0035】
3つ目の方法は、酸素吹錬終点時に、Mn濃度検出装置が設置されていない従来のプローブにより溶鋼中炭素濃度及び溶鋼温度を実測し、これらの値から前述と同様に(7)式、並びに、(2)式及び(6)式を用いてMn濃度を推定する方法であり、この場合には、酸素吹錬終点時のカントバック分析を省略することができる。
【0036】
このように、吹錬途中で実測した溶融金属5中のMn濃度及び溶融金属温度を用いて転炉1内の全Mn量を修正し、修正した全Mn量に基づいて酸素吹錬終点時の溶鋼中炭素濃度を予測するので、高い精度で吹錬終点時の溶鋼中Mn濃度を予測することが可能となる。そして、予測したMn濃度に応じて操業アクションを行うことができるため、高価なMn系合金鉄の使用量を削減することが可能となり、高価なオンラインMn計測センサーの使用本数が少ないことも相まって、製造コストを大幅に削減することが可能となる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、吹錬途中で実測した溶融金属中のMn濃度及び溶融金属温度を用いて全Mn量を修正し、修正した全Mn量に基づいて酸素吹錬終点時の溶鋼中炭素濃度を予測するので、高い精度で吹錬終点時の溶鋼中Mn濃度を予測することが可能となる。そして、予測したMn濃度に応じて操業アクションを行うことができるため、高価なMn系合金鉄の使用量を削減することが可能となり、高価なオンラインMn計測センサーの使用本数が少ないことも相まって、製造コストを大幅に削減することができ、工業上有益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いたMn濃度検出装置の全体構成図である。
【図2】図1に示すMn濃度検出装置のプローブの概略図である。
【図3】本発明により予測した終点Mn濃度と、吹錬終了時に溶鋼から採取した試料のカントバックによるMn分析値との対比を示す図である。
【符号の説明】
1 転炉
2 上吹きランス
3 サブランス
4 プローブ
5 溶融金属
6 スラグ
7 中継ケーブル
8 検出装置本体
9 レーザ光源
10 測光部
11 プローブホルダー
12 紙筒
13 光ファイバー
14 先端光学部
15 鉄管
16 サンプル室
17 測温素子
18 炭素濃度検出計
19 レーザ光
20 気泡
21 蒸気層
22 孔

Claims (3)

  1. 溶銑を収容した転炉内で酸素吹錬して溶銑の脱炭精錬を行う際に、酸素吹錬中の中期以降の同一時点で溶融金属中のMn濃度と溶融金属の温度とを測定し、測定によって得られたMn濃度の実測値及び溶融金属温度の実測値に基づいて転炉内の全Mn量を修正し、修正した全Mn量に基づいて酸素吹錬終点の溶鋼中Mn濃度を予測することを特徴とする、転炉における吹錬終点Mn濃度の推定方法。
  2. 溶銑を収容した転炉内で酸素吹錬して溶銑の脱炭精錬を行う際に、酸素吹錬中の中期以降の同一時点で溶融金属中のMn濃度と溶融金属の温度とを測定し、測定によって得られた溶融金属温度の実測値と転炉内への原料装入量とに基づいて溶融金属中のMn濃度推定値を算出し、この算出によって得た溶融金属中Mn濃度推定値と、測定によって得た溶融金属中Mn濃度実測値との差分値に基づいて転炉内の全Mn量を修正し、修正した全Mn量に基づいて酸素吹錬終点の溶鋼中Mn濃度を予測することを特徴とする、転炉における吹錬終点Mn濃度の推定方法。
  3. サブランス先端に取り付けたプローブ内に溶融金属を採取し、採取した溶融金属表面にレーザ光を照射してその反射光を受光し、その光路にある金属蒸気により生じる原子吸光に基づき、溶融金属中のMn濃度を測定することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の転炉における吹錬終点Mn濃度の推定方法。
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