JPH11217499A - 難燃性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

難燃性樹脂組成物およびその成形品

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JPH11217499A
JPH11217499A JP10105074A JP10507498A JPH11217499A JP H11217499 A JPH11217499 A JP H11217499A JP 10105074 A JP10105074 A JP 10105074A JP 10507498 A JP10507498 A JP 10507498A JP H11217499 A JPH11217499 A JP H11217499A
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JP
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flame
red phosphorus
weight
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oxide
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JP10105074A
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English (en)
Inventor
Hideki Matsumoto
英樹 松本
Koji Yamauchi
幸二 山内
Shunei Inoue
俊英 井上
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い難燃性、機械特性、耐トラッキング性を有
し、かつ乾熱処理時に難燃剤がブリードアウトしない難
燃性樹脂組成物を得ることを課題とする。 【解決手段】(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し
て(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂0.1〜50
重量部および(C)赤リン0.1〜30重量部を含有す
る樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非ハロゲン系難燃
剤を使用した難燃性樹脂組成物に関する。更に詳しく
は、難燃性、機械物性に優れ、自動車部品、電気電子部
品、機械部品に好適な難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂、あるいはポリエステル
樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド
樹脂等の熱可塑性樹脂は、その優れた諸特性を生かし、
射出成形材料として機械機構部品、電気電子部品、自動
車部品などの幅広い分野に利用されつつある。一方、こ
れら熱可塑性樹脂は本質的に可燃性であるため、工業用
材料として使用するには一般の化学的、物理的諸特性の
バランス以外に火炎に対する安全性、すなわち難燃性が
要求される場合が多い。
【0003】熱可塑性樹脂に難燃性を付与する方法とし
ては、難燃剤としてハロゲン系有機化合物、さらに難燃
助剤としてアンチモン化合物を樹脂にコンパウンドする
方法が一般的である。しかしながら、この方法には、燃
焼の際の発煙量が多い傾向があった。さらにハロゲン系
難燃剤を配合した樹脂組成物は電気特性が低下するとい
った問題点を有していた。
【0004】そこで、近年これらハロゲンを全く含まな
い難燃剤を用いることが強く望まれるようになった。
【0005】これまで、ハロゲン系難燃剤を使わずに熱
可塑性樹脂を難燃化する方法としては、水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウムなどの水和金属化合物を添加
することが広く知られているが、十分な難燃性を得るた
めには、上記水和金属化合物を多量に添加する必要があ
り、樹脂本来の特性が失われるという欠点を有してい
た。
【0006】一方、このような水和金属化合物を使わず
にポリアミド樹脂を難燃化する方法として赤リンを添加
することが、特開昭60−168757号公報、特開昭
61−219706号公報、特開昭63−89567号
公報、特開平1−129061号公報、特開平2−16
9666号公報、特開平3−197553号公報、特開
平6−145504号公報、特開平6−263983号
公報等に開示されている。また特開平5−320486
号公報には赤リンの添加により難燃性と電気特性を向上
させる方法が開示されている。しかしながら、いずれの
樹脂組成物も厚肉(1/16”)成形品では優れた難燃
性を示すが、近年の樹脂材料薄肉化に伴って要求される
薄肉(1/32”)成形品の難燃性は十分なものが得ら
れないという問題点を有していた。また特開平5−32
0486号公報に記載の方法により得られる樹脂組成物
の難燃性は不十分であり、さらに電気的特性の向上効果
は十分でないといった問題点を有していた。
【0007】さらにいずれの方法により得られる樹脂組
成物は、機械物性の低下や乾熱処理時に難燃剤がブリー
ドアウトするといった問題点を有していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】すなわち本発明は、非
ハロゲン系難燃剤を使用し、厚肉(1/16”)、薄肉
(1/32”)いずれの成形品においても高度な難燃性
を付与すると同時に、機械物性、電気的特性に優れる樹
脂組成物を得ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは以上の状況
を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、ポリアミド樹脂に特定
量のポリエチレンテレフタレート樹脂、赤リンを配合す
ることで高度に優れた難燃性を保持しつつ、機械物性、
電気的特性(耐トラッキング性)に優れた樹脂材料が得
られることを見いだし、本発明に到達した。
【0010】すなわち本発明は、(1)(A)ポリアミ
ド樹脂100重量部に対して(B)ポリエチレンテレフ
タレート樹脂0.1〜50重量部および(C)赤リン
0.1〜30重量部を含有する難燃性樹脂組成物、
(2)(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して
(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂0.1〜30重
量部および(C)赤リン0.1〜30重量部を含有する
難燃性樹脂組成物、(3)ポリアミド樹脂(A)がポリ
アミド6、ポリアミド66およびこれらの共重合体から
選ばれる一種または二種以上である上記(1)または
(2)記載の難燃性樹脂組成物、(4)赤リン(C)が
熱硬化性樹脂で被覆された赤リンである上記(1)〜
(3)のいずれか記載の難燃性樹脂組成物、(5)ポリ
アミド樹脂(A)100重量部に対して充填材5〜14
0重量部をさらに含有してなる上記(1)〜(4)のい
ずれか記載の難燃性樹脂組成物、(6)充填材がガラス
繊維である上記(5)記載の難燃性樹脂組成物、(7)
ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して金属酸化物
0.01〜20重量部をさらに含有してなる上記(1)
〜(6)のいずれか記載の難燃性樹脂組成物、(8)金
属酸化物が酸化カドニウム、酸化亜鉛、酸化第一銅、酸
化第二銅、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化コバルト、酸
化マンガン、酸化モリブデン、酸化スズ、酸化チタンか
ら選ばれる一種または二種以上である上記7記載の難燃
性樹脂組成物、(9)金属酸化物が酸化第一銅、酸化第
二銅、酸化チタンから選ばれる一種または二種以上であ
る上記(8)記載の難燃性樹脂組成物、(10)ポリア
ミド樹脂(A)100重量部に対してフッ素系樹脂0.
01〜10重量部をさらに含有してなる上記(1)〜
(9)のいずれか記載の難燃性樹脂組成物、(11)耐
トラッキング性が550V以上である上記(6)〜(1
0)いずれかに記載の難燃性樹脂組成物、(12)上記
(1)〜(11)のいずれか記載の難燃性樹脂組成物か
らなる成形品、(13)成形品が機械機構部品、電気電
子部品または自動車部品である上記(12)記載の成形
品、(14)ポリアミド樹脂(A)成分またはポリエチ
レンテレフタレート樹脂(B)成分、および(C)赤燐
を配合するに際し、(A)成分または(B)成分の一部
および(C)赤燐を一旦溶融混練して赤燐高濃度組成物
(D)を製造し、残りの(A)成分または(B)成分お
よび赤燐高濃度組成物(D)を二軸押出機で溶融混練す
ることにより上記(1)〜(12)のいずれか記載の難
燃性樹脂組成物を製造することを特徴とする難燃性樹脂
組成物の製造方法、(15)ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂(B)および赤燐(C)からなるポリアミド樹脂
用難燃剤である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の難燃性樹脂組成物
について具体的に説明する。本発明のポリアミド樹脂
(A)としては、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミン
とジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミドが挙
げられ、これらは脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミ
ドのいずれであってもよい。これらのポリアミド樹脂
(A)は通常公知の方法で製造され、用い得る原料の具
体例としては、例えばε−カプロラクタム、ω−ラウロ
ラクタムなどのラクタム化合物、6−アミノカプロン
酸、12−アミノドデカン酸、11−アミノウンデカン
酸などのアミノカルボン酸化合物、テレフタル酸、イソ
フタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、
シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボ
ン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのジカ
ルボン酸化合物、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ト
リメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、4,4’
−ジアミノジシクロへキシレンメタン、4,4’−ジア
ミノジシクロへキシレンプロパン、2−メチルペンタメ
チレンジアミンなどのジアミン化合物から製造すること
ができる。中でもε−カプロラクタム、ω−ラウロラク
タム、12−アミノドデカン酸、11−アミノウンデカ
ン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバ
シン酸、ドデカンジカルボン酸、1,6−ヘキサメチレ
ンジアミンから選ばれる一種または2種以上の混合物が
好ましく、さらに好ましくはε−カプロラクタム、ω−
ラウロラクタム、12−アミノドデカン酸、11−アミ
ノウンデカン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ
カルボン酸、1,6−ヘキサメチレンジアミンから選ば
れる一種または二種以上の混合物などが挙げられる。
【0012】本発明において有用なポリアミド樹脂とし
ては、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド
46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド6
6(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド61
0(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ポリアミド61
2(ポリヘキサメチレンドデカミド)、ポリアミド11
(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデ
カンアミド)、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテ
レフタルアミド)、ポリアミド6I(ポリヘキサメチレ
ンイソフタルアミド)、ポリアミドMXD6(ポリキシ
レンアジパミド)、ナイロンHTN(ポリ(2−メチル
ペンタメチレンテレフタルアミド))などおよびこれら
の共重合体が挙げられ、これらは1種または2種以上で
用いることができる。なかでもポリアミド6、ポリアミ
ド66、ポリアミド11、ポリアミド12などの脂肪族
ポリアミド、ポリアミド6T/66(ヘキサメチレンテ
レフタルアミド(6T)とヘキサメチレンアジパミド
(66)の共重合体)などの半芳香族ポリアミドおよび
これらの共重合体を好ましく用いることができ、特に好
ましくはポリアミド6、ポリアミド66およびこれらの
共重合体である。
【0013】本発明で使用されるポリエチレンテレフタ
レート樹脂(B)はテレフタル酸あるいはその誘導体を
酸成分に、エチレングリコールあるいはその誘導体をグ
リコール成分に用い重合した高分子量の熱可塑性ポリエ
ステルを指すが、このほかに本発明の目的を損なわない
範囲で酸成分として、イソフタル酸、オルトフタル酸、
ナフタレンジカルボン酸、シュウ酸、アジピン酸、1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸などあるいはそれらの
誘導体を、グリコール成分として、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノ
ールAなどあるいはそれらの誘導体を一部用いることが
できる。中でもテレフタル酸をジカルボン酸成分とし、
グリコール成分として、エチレングリコールとシクロヘ
キサンジメタノールを用いた共重合ポリエチレンテレフ
タレートが好ましく使用される。共重合する場合の共重
合量は、酸成分の30モル%以下、あるいはグリコール
成分の30モル%以下であることが好ましい。
【0014】本発明で用いるポリエチレンテレフタレー
ト樹脂(B)はさらにリンを含有する化合物を共重合成
分として用いることができる。リンを含有する化合物を
共重合成分として用いる場合、その構造はリンを含有す
る化合物で、ポリエチレンテレフタレートと共重合可能
な化合物であれば特に制限はないが、例えば、リンを含
有するジカルボン酸、リンを含有するグリコール、リン
を含有するヒドロキシカルボン酸あるいはそれらの誘導
体等が挙げられ、具体的には下記一般式(1)〜(1
3)で表される化合物を好ましく使用することができ
る。
【0015】
【化1】
【化2】
【0016】かかる共重合成分を共重合する場合の共重
合量は、酸成分の30モル%以下、あるいはグリコール
成分の30モル%以下であることが好ましい。
【0017】本発明に用いるポリエチレンテレフタレー
トは、フェノール/テトラクロロエタンの1:1の混合
溶媒を用いて25℃で測定した固有粘度が0.25〜
3.00dl/g、特に0.40〜2.25dl/gの
範囲にあるものが好適である。
【0018】また、本発明におけるポリエチレンテレフ
タレート樹脂(B)の添加量は、ポリアミド樹脂100
重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.1
〜30重量部、より好ましくは1〜30重量部、さらに
好ましくは2〜27重量部、特に好ましくは5〜25重
量部である。添加量が0.1重量部に満たない場合は難
燃性に劣る傾向にあり、50重量部を越える場合には、
十分な難燃性が得られず、機械物性も劣ったものとな
る。
【0019】次に本発明で使用される赤燐(C)につい
て説明する。
【0020】本発明で使用される赤燐(C)は、そのま
までは不安定であり、また、水に徐々に溶解したり、水
と徐々に反応する性質を有するので、これを防止する処
理を施したものが好ましく用いられる。このような赤燐
の処理方法としては、特開平5−229806号公報に
記載の赤燐の粉砕を行わず、赤燐表面に水や酸素との反
応性が高い破砕面を形成させずに赤燐を微粒子化する方
法、赤燐に水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウ
ムを微量添加して赤燐の酸化を触媒的に抑制する方法、
赤燐をパラフィンやワックスで被覆し、水分との接触を
抑制する方法、ε−カプロラクタムやトリオキサンと混
合することにより安定化させる方法、赤燐をフェノール
系、メラミン系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系な
どの熱硬化性樹脂で被覆することにより安定化させる方
法、赤燐を銅、ニッケル、銀、鉄、アルミニウムおよび
チタンなどの金属塩の水溶液で処理して、赤燐表面に金
属リン化合物を析出させて安定化させる方法、赤燐を水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化チタ
ン、水酸化亜鉛などで被覆する方法、赤燐表面に鉄、コ
バルト、ニッケル、マンガン、スズなどで無電解メッキ
被覆することにより安定化させる方法およびこれらを組
合せた方法が挙げられるが、好ましくは、赤燐の粉砕を
行わず、赤燐表面に破砕面を形成させずに赤燐を微粒子
化する方法、赤燐をフェノール系、メラミン系、エポキ
シ系、不飽和ポリエステル系などの熱硬化性樹脂で被覆
することにより安定化させる方法、赤燐を水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウム、水酸化チタン、水酸化亜
鉛などで被覆することにより安定化させる方法であり、
特に好ましくは、赤燐表面に破砕面を形成させずに赤燐
を微粒子化する方法、赤燐をフェノール系、メラミン
系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系などの熱硬化性
樹脂で被覆することにより安定化させる方法である。こ
れらの熱硬化性樹脂の中で、フェノール系熱硬化性樹
脂、エポキシ系熱硬化性樹脂で被覆された赤燐が耐湿性
の面から好ましく使用することができ、特に好ましくは
フェノール系熱硬化性樹脂で被覆された赤燐である。
【0021】また、樹脂に配合される前の赤リンの平均
粒径は、成形品の難燃性、機械的強度や表面外観性の点
から50〜0.01μmのものが好ましく、さらに好ま
しくは、45〜0.1μmのものである。
【0022】また、本発明で使用される赤リン(C)の
熱水中で抽出処理した時の導電率(ここで導電率は赤リ
ン5gに純水100mLを加え、例えばオートクレーブ
中で、121℃で100時間抽出処理し、赤リンろ過後
のろ液を250mLに希釈した抽出水の導電率を測定す
る)は、得られる成形品の耐湿性、機械的強度、耐トラ
ッキング性、および表面性の点から通常0.1〜100
0μS/cmであり、好ましくは0.1〜800μS/
cm、さらに好ましくは0.1〜500μS/cmであ
る。
【0023】また、本発明で使用される赤リン(C)の
ホスフィン発生量(ここでホスフィン発生量は、赤リン
5gを窒素置換した内容量500mLの例えば試験管な
どの容器に入れ、10mmHgに減圧後、280℃で1
0分間加熱処理し、25℃に冷却し、窒素ガスで試験管
内のガスを希釈して760mmHgに戻したのちホスフ
ィン(リン化水素)検知管を用いて測定し、つぎの計算
式で求める。ホスフィン発生量(ppm)=検知管指示
値(ppm)×希釈倍率)は、得られる組成物の発生ガ
ス量、押出し、成形時の安定性、溶融滞留時機械的強
度、成形品の表面外観性、成形品による端子腐食などの
点から通常100ppm以下のものが用いられ、好まし
くは50ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下
である。
【0024】好ましい赤リンの市販品としては、燐化学
工業社製“ノーバエクセル”140、“ノーバエクセ
ル”F5などが挙げられる。
【0025】本発明における赤リン(C)の添加量は、
ポリアミド樹脂100重量部に対して0.1〜30重量
部、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは2〜2
7重量部、さらに好ましくは5〜25重量部である。添
加量が0.1重量部に満たない場合は難燃性に劣る傾向
にある。また30重量部を越える場合には、機械物性も
劣ったものとなる一方、難燃性もかえって悪化するよう
になる。
【0026】本発明の難燃性樹脂組成物はさらに赤リン
の安定剤として金属酸化物を添加することにより、押出
し、成形時の安定性や強度、耐熱性などを向上させるこ
とができる。このような金属酸化物の具体例としては、
酸化カドミウム、酸化亜鉛、酸化第一銅、酸化第二銅、
酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化コバルト、酸化マンガ
ン、酸化モリブデン、酸化スズおよび酸化チタンなどが
挙げられるが、なかでも酸化カドミウム、酸化第一銅、
酸化第二銅、酸化チタンが好ましく、特に酸化第一銅、
酸化第二銅、酸化チタンが好ましい。
【0027】金属酸化物の添加量は機械物性、成形性の
面からポリアミド樹脂(A)100重量部に対して0.
01〜20重量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜
10重量部である。
【0028】本発明の難燃性樹脂組成物はさらに充填材
を添加することにより、強度、剛性、耐熱性などを大幅
に向上させることができる。
【0029】このような充填材は繊維状であっても粒状
などの非繊維状であってもよく、その具体例としては、
ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アス
ベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステナイト、
ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレ
ー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび
酸化アルミニウムなどが挙げられ、なかでもチョップド
ストランドタイプのガラス繊維が好ましく用いられる。
【0030】これらの添加量はポリアミド樹脂(A)1
00重量部に対して5〜140重量部が好ましく、特に
好ましくは5〜100重量部である。
【0031】本発明の難燃性樹脂組成物はさらにフッ素
系樹脂を添加すると燃焼時の液滴の落下(ドリップ)が
抑制される。そのようなフッ素系樹脂としては、ポリテ
トラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレ
ン、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピ
レン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/パーフル
オロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフル
オロエチレン/エチレン)共重合体、(ヘキサフルオロ
プロピレン/プロピレン)共重合体、ポリビニリデンフ
ルオライド、(ビニリデンフルオライド/エチレン)共
重合体などが挙げられるが、中でもポリテトラフルオロ
エチレン、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロア
ルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエ
チレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テト
ラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、ポリビニリ
デンフルオライドが好ましく、特にポリテトラフルオロ
エチレン、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重
合体が好ましい。
【0032】フッ素系樹脂の添加量は機械物性、成形性
の面からポリアミド樹脂(A)100重量部に対して通
常0.01〜10重量部であり、好ましくは0.1〜5
重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部である。
【0033】本発明の難燃性樹脂組成物はさらにヒンダ
ードフェノール系の酸化安定剤を併用すると長期間高温
にさらされても極めて良好な機械物性が維持されること
が見いだされた。このような安定剤としては例えば、ト
リエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−
5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ルホスホネート ジエチルエステル、1,3,5−トリ
メチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビスもしくはト
リス(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、N,N’−ヘキサメチレンビス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシ
ンナマミド)、N,N’−トリメチレンビス(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミ
ド)などが挙げられる。
【0034】本発明においては、このようなヒンダード
フェノール系酸化安定剤を必要に応じて添加することが
できるが、その際のヒンダードフェノール系酸化安定剤
の添加量は通常、ポリアミド樹脂(A)100重量部に
対し0.01〜3重量部、好ましくは0.02〜2重量
部、更に好ましくは0.03〜0.5重量部である。
【0035】本発明の難燃性樹脂組成物はさらにトリア
ジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸の
塩を添加すると、より高度な難燃性を付与することがで
きる。本発明のトリアジン系化合物とシアヌール酸また
はイソシアヌール酸の塩とは、シアヌール酸またはイソ
シアヌール酸とトリアジン系化合物との付加物であり、
通常は1対1(モル比)、場合により1対2(モル比)
の組成を有する付加物である。トリアジン系化合物のう
ち、シアヌール酸またはイソシアヌール酸と塩を形成し
ないものは除外される。
【0036】上記トリアジン系化合物としては下記一般
式(14)で表される化合物等が挙げられる。
【0037】
【化3】
【0038】前記一般式(1)においてR1 、R2
3 、R4 は同一または相異なる水素、アリール基、
アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基、または
−CONH2 である。ここでアリール基としては炭素
数6〜15のもの、アルキル基としては炭素数1〜10
のもの、アラルキル基としては炭素数7〜16のもの、
シクロアルキル基としては炭素数4〜15のものが好ま
しい。また、Rは上式中の−NR12 または−NR
34 と同一の基、またはこれらと独立に水素、アリ
ール基、アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル
基、−NH2 、または−CONH2 から選ばれた基で
あり、ここでアリール基としては炭素数6〜15のも
の、アルキル基としては炭素数1〜10のもの、アラル
キル基としては炭素数7〜16のもの、シクロアルキル
基としては炭素数4〜15のものが好ましい。
【0039】R1 、R2 、R3 、R4 の具体的な例
としては水素、フェニル基、p−トルイル基、α−ナフ
チル基、β−ナフチル基、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブ
チル基、tert−ブチル基、ヒドロキシメチル基、メ
トキシメチル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シク
ロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−メチル−1−ペ
ンチル基、4−メチル−1−シクロヘキシル基、アミド
基などが挙げられるが、中でも水素、フェニル基、メチ
ル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、ベンジ
ル基、アミド基が好ましい。
【0040】また、Rの具体的な例としてはアミノ基、
アミド基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチル
アミノ基、ジエチルアミノ基、モノ(ヒドロキシメチ
ル)アミノ基、ジ(ヒドロキシメチル)アミノ基、モノ
(メトキシメチル)アミノ基、ジ(メトキシメチル)ア
ミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、水
素、フェニル基、p−トルイル基、α−ナフチル基、β
−ナフチル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t
ert−ブチル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シ
クロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−メチル−1−
ペンチル基、4−メチル−1−シクロヘキシル基などが
挙げられるが、中でも水素、アミノ基、アミド基、メチ
ル基、モノ(ヒドロキシメチル)アミノ基、ジ(ヒドロ
キシメチル)アミノ基、モノ(メトキシメチル)アミノ
基、ジ(メトキシメチル)アミノ基、フェニル基、ベン
ジル基が好ましい。
【0041】前記一般式(1)で表わされる化合物とシ
アヌール酸またはイソシアヌール酸との塩のうち、特に
メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2−
アミド−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、
モノ(ヒドロキシメチル)メラミン、ジ(ヒドロキシメ
チル)メラミン、トリ(ヒドロキシメチル)メラミンの
塩が好ましく、とりわけメラミン、ベンゾグアナミン、
アセトグアナミンの塩が好ましい。
【0042】トリアジン系化合物とシアヌール酸または
イソシアヌール酸との塩は、トリアジン系化合物とシア
ヌール酸またはイソシアヌール酸の混合物を水スラリー
となし、良く混合して両者の塩を微粒子状に形成させた
後、このスラリーを濾過、乾燥して得られる粉末であ
り、単なる混合物とは異なる。この塩は完全に純粋であ
る必要は無く、多少未反応のトリアジン系化合物ないし
シアヌール酸、イソシアヌール酸が残存していても良
い。
【0043】また、上記塩の平均粒径は、成形品の難燃
性、機械的強度や表面性の点から100〜0.01μm
が好ましく、さらに好ましくは80〜10μmである。
また、上記塩の分散性が悪い場合には、トリス(β−ヒ
ドロキシエチル)イソシアヌレートなどの分散剤を併用
してもかまわない。
【0044】上記塩の使用量はポリアミド樹脂(A)1
00重量部に対して通常、0.01〜50重量部、好ま
しくは0.1〜40重量部、さらに好ましくは0.5〜
30重量部である。
【0045】さらに、本発明の難燃性樹脂組成物に対し
て本発明の目的を損なわない範囲でヒンダードフェノー
ル系以外のリン系、イオウ系などの酸化防止剤や熱安定
剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、および染料・顔料を
含む着色剤などの通常の添加剤を1種以上添加すること
ができる。
【0046】本発明の難燃性樹脂組成物は通常公知の方
法で製造される。例えば、ポリアミド樹脂(A)、ポリ
エチレンテレフタレート樹脂(B)、赤リン(C)およ
びその他の必要な添加剤を予備混合して、またはせずに
押出機などに供給して十分溶融混練することにより調製
されるが、好ましくは、ハンドリング性や生産性の面か
ら、ポリアミド樹脂(A)の一部、もしくはポリエチレ
ンテレフタレート樹脂(B)の一部と赤リン(C)を一
旦溶融混練して、実際に難燃性樹脂組成物に配合される
べき赤リン量よりも赤リン濃度の高い樹脂組成物(D)
を製造し、残りのポリアミド樹脂(A)もしくはポリエ
チレンテレフタレート樹脂(B)に赤リン濃度の高い樹
脂組成物(D)およびその他の任意に用いることができ
る添加剤を溶融混練することにより調製される。
【0047】あるいはポリアミド樹脂(A)の一部、も
しくはポリエチレンテレフタレート樹脂(B)の一部と
赤リン(C)およびその他の任意に用いることができる
添加剤を一旦溶融混練して、実際に難燃性樹脂組成物に
配合されるべき赤リン量よりも赤リン濃度の高い樹脂組
成物(D)を製造し、残りのポリアミド樹脂(A)もし
くはポリエチレンテレフタレート樹脂(B)に赤リン高
濃度樹脂組成物(D)および赤リン濃度の高い樹脂組成
物(D)の段階で添加した任意に用いることができる添
加剤以外の添加剤を溶融混練することにより調製され
る。
【0048】上記のように実際に難燃性樹脂組成物に配
合されるべき赤リン量よりも赤リン濃度の高い樹脂組成
物(D)を製造する段階で、その他の任意に用いること
ができる添加剤を配合する場合、これらの任意に用いる
ことができる添加剤はあらかじめ赤リンと混合しておく
ことが好ましい。
【0049】特に任意に用いることができる添加剤の中
でも、赤リンの安定剤として使用される金属酸化物、特
に酸化チタンを添加する場合、酸化チタンは赤リン高濃
度品(D)を製造する段階で配合することが好ましく、
さらにあらかじめ赤リンと酸化チタンをヘンシェルミキ
サー等の機械的な混合装置を用いて混合しておくと、赤
リンの安定性、赤リンの分散性や得られる樹脂組成物の
非着色性を向上することができる。
【0050】かかる赤リン濃度の高い樹脂組成物(D)
は、いわゆるマスターペレットの形態で好ましく用いら
れるが、それに限定されず、いわゆるチップ状、粉末
状、あるいはそれらの混合物の形態であってもよい。ま
たかかる(D)成分と配合するポリアミド樹脂、ポリエ
チレンテレフタレート樹脂はペレット状であることが好
ましいが、それに限定されず、いわゆるチップ状、粉末
状あるいは、チップ状と粉末状の混合物であってもよ
い。さらに、(D)成分と、それと配合するポリアミド
樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂の形態、大き
さ、形状はほぼ同等、あるいは互いに似通っていること
が均一に混合し得る点で好ましい。樹脂組成物を製造す
るに際し、例えば“ユニメルト”タイプのスクリューを
備えた単軸押出機、二軸、三軸押出機およびニーダタイ
プの混練機などを用いることができる。
【0051】また上記の如く、本発明は(B)ポリエチ
レンテレフタレートおよび/またはポリエチレンテレフ
タレート共重合体および赤燐(C)によりポリアミド樹
脂に難燃性を付与させるものである。
【0052】従って、本発明の(B)ポリエチレンテレ
フタレートおよび/またはポリエチレンテレフタレート
共重合体および赤燐(C)からなる樹脂組成物は、ポリ
アミド樹脂の難燃剤として使用することができる。
【0053】本発明の難燃性樹脂組成物は、特異的に耐
トラッキング性に優れることが見出された。一般に樹脂
組成物の耐トラッキング性は、充填剤の配合により顕著
に低下することが知られている。しかしながら本発明の
樹脂組成物は充填剤を配合しても特異的に耐トラッキン
グ性に優れることが見いだされた。
【0054】本発明の樹脂組成物の耐トラッキング性は
充填剤を配合あるいは配合しないことよって異なるが、
特に充填剤を配合したポリアミド樹脂組成物の場合、耐
トラッキング性は、多くの場合、550V以上とするこ
とが可能であり、好ましい場合560V以上、更に好ま
しい場合600V以上とすることが可能である。なお、
ここでいう耐トラッキング性は組成物を成形した80m
m×80mm、厚さ3mmの試験片について、IEC1
12試験規格に従い測定されるものである。
【0055】かくして得られる難燃性樹脂組成物は通常
公知の方法で成形することができ、射出成形、押出成
形、圧縮成形などの成形品、シート、フィルムなどの成
形物品とすることができる。なかでも射出成形品用途に
特に好適であり、その特徴を活かして機械機構部品、電
気電子部品、自動車部品として有用に用いることができ
る。
【0056】
【実施例】以下実施例により本発明の効果を更に詳細に
説明する。
【0057】参考例1 (A)ポリアミド樹脂 <A−1>ポリアミド6であるアミランCM1010
(東レ(株)製)を使用した。
【0058】<A−2>ポリアミド66であるアミラン
CM3001(東レ(株)製)を使用した。
【0059】<A−3>ポリアミド66共重合体とし
て、下記ポリアミド共重合体を製造した。
【0060】ヘキサメチレンジアンモニウムテレフタレ
ート(6T塩)30モル%とヘキサメチレンジアンモニ
ウムアジペート(AH塩)70モル%の混合水溶液(固
形原料濃度60重量%)を加圧重合缶に仕込み、攪拌下
に昇温し、水蒸気圧19kg/cm2で1.5時間反応させた
後約2時間かけて徐々に放圧し、更に常圧窒素気流下で
約30分反応し,相対粘度2.63(硫酸中)のポリアミ
ド6T/66を得た。
【0061】融点278℃
【0062】<A−4>ポリアミド66共重合体とし
て、下記ポリアミド共重合体を製造した。
【0063】ヘキサメチレンジアンモニウムテレフタレ
ート(6T塩)62モル%、ヘキサメチレンジアンモニ
ウムイソテレフタレート(6I塩)26モル%とヘキサ
メチレンジアンモニウムアジペート(AH塩)12モル
%の混合水溶液(固形原料濃度60重量%)を加圧重合
缶に仕込み、攪拌下に昇温し、水蒸気圧35kg/cm2で1
時間反応させた後約2時間かけて徐々に放圧し、ポリア
ミドを得た。ついでこのポリアミドを乾燥した後、二軸
押出機を用いてシリンダー温度330℃で溶融重合し、
相対粘度2.3(硫酸中)のポリアミド6T/6I/6
6を得た。
【0064】融点320℃
【0065】参考例2 (B)ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂 <B−1>固有粘度が0.65(25℃、フェノール/
テトラクロロエタンの1:1の混合溶媒)のポリエチレ
ンテレフタレートを使用した。
【0066】<B−2>テレフタル酸をジカルボン酸成
分とし、エチレングリコール単位とシクロヘキサンジメ
タノール単位のモル比が70/30の共重合ポリエチレ
ンテレフタレート“イースター”GN002(イースト
マン・コダック社製)を使用した。
【0067】参考例3 (C)赤リン “ノーバエクセル140”(燐化学工業社製)を使用し
た。
【0068】参考例4 (D)ポリアミド樹脂の赤リン
高濃度品 参考例1に示したポリアミド樹脂100重量部に対し
て、赤リン(燐化学工業社製“ノーバエクセル14
0”)を50重量部混合し、窒素フローを行いながら、
スクリュー径30mm、L/D=45.5の同軸方向回
転2軸押出機(日本精鋼社製、TEX−30)を用いて
樹脂温度260〜280℃で溶融押出し、ポリアミドの
赤リン高濃度品を製造した。
【0069】参考例5 (E)ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂の赤燐高濃度品 参考例2に示したポリエチレンテレフタレート樹脂10
0重量部に対して、赤リン(燐化学工業社製“ノーバエ
クセル140”)を50重量部混合し、窒素フローを行
いながら、スクリュー径30mm、L/D=45.5の
同軸方向回転2軸押出機(日本精鋼社製、TEX−3
0)を用いて樹脂温度270〜290℃で溶融押出し、
ポリエチレンテレフタレート樹脂の赤リン高濃度品を製
造した。
【0070】実施例1〜35、比較例1〜14 参考例に示したポリアミド樹脂100重量部に対して固
有粘度が0.65(25℃、フェノール/テトラクロロ
エタンの1:1の混合溶媒)のポリエチレンテレフタレ
ート(以下PETと略す)、赤リン(燐化学工業社製
“ノーバエクセル140”)、あるいは参考例4、5に
示した赤燐高濃度品およびその他の添加剤を表1〜3に
示した配合組成で混合し、窒素フローを行いながら、ス
クリュ径30mm、L/D45.5の同方向回転2軸押
出機(日本製鋼社製、TEX−30:スクリュは2条ネ
ジで相互の噛み合い3.5mmの2本のスクリュを使用
し、L/D=4の45度に傾いた10枚のニーディング
ディスクからなるスクリュエレメントを順逆の順番で設
け、さらに逆フルフライトエレメントを設けた混練力の
強いスクリュ形状)を用いて樹脂温度260〜280℃
で溶融押出した。得られたペレットを乾燥後、射出成形
(金型温度80〜140℃)によりASTMD−638
に規定されている引張試験片およびUL94に基く難燃
性評価用試験片を調製し、次の条件で物性を測定した。
【0071】(1)機械特性 射出成形により得たダンベル試験片についてASTM
D−638に従い引張降伏強度を測定した。
【0072】(2)難燃性 射出成形により得た難燃性評価用試験片についてUL9
4に定められている評価基準に従い難燃性を評価した。
難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>HBの順に低
下する。
【0073】(3)ブリードアウト特性 射出成形により得た試験片を温度120℃で100時間
乾熱処理した後、光学顕微鏡で試験片表面を観察した。
ブリードアウトは、○:析出物はほとんど観察されな
い、×:析出物が観察されるの判定で評価を行った。
【0074】(4)耐トラッキング性 射出成形により得た80mm×80mm、厚さ3mmの
試験片についてIEC112試験規格に従い耐トラッキ
ング試験を行い、CTI(Comparative T
racking Index)を測定した。
【0075】各サンプルの難燃性、機械特性、ブリード
アウト特性、耐トラッキング性の測定結果を表1〜3に
まとめて示す。
【0076】また、表中のGFはガラス繊維(日東紡績
社製“CS3PE941S”)、フッ素系樹脂はポリテ
トラフルオロエチレン(社製“テフロン6J”)、シア
ヌール酸塩はメラミンシアヌレート(日産化学社製”M
C440”)、酸化安定剤とはペンタエリスルチル−テ
トラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート](チバ・ガイギー社
製”IR−1010”)、金属酸化物は酸化第一銅(試
薬)のことを表わす。
【0077】尚、ガラス繊維を配合する場合は、樹脂組
成物中のガラス繊維重量%が30%になるように配合し
た。一連の結果を表1〜3に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】実施例1〜14と比較例1〜6の評価結果
より、ポリアミド樹脂に本発明の特定量のPETまたは
その共重合体と赤リンを配合することにより特異的に高
度な難燃性が発現し、かつ乾熱処理時に難燃剤がブリー
ドアウトしない樹脂組成物が得られることがわかる。す
なわち比較例1、2ではPA6、PA66に赤リンを配
合すると、1/16”ではV−0であるが、薄肉1/3
2”ではV−2となり、十分な難燃性が得られない。ま
た乾熱処理により、ブリード物が認められる。比較例3
〜6より、PETまたは赤リンの添加量が多くなると機
械物性が低下し、難燃性も悪化する。一方実施例5〜1
4に示すように、本発明の特定量のPETと赤リンを併
用すると、1/32”でもV−1の難燃性が達成される
とともに、ブリードアウト特性も改良されることがわか
る。また実施例1〜4に示すように、PETと赤リンを
いずれも5〜25重量部添加すると、さらに優れた機械
物性を保持しつつ、1/32”でもV−0が達成できる
ことがわかる。
【0082】また、実施例15〜19の評価結果より、
特定量のPETまたはその共重合体と赤リン、更にフッ
素系樹脂やシアヌール酸塩等を併用するとさらに燃焼時
間が短くなり、より優れた難燃性が得られることがわか
る。
【0083】実施例20〜24と比較例7〜14の評価
結果より、ガラス繊維で強化した場合にも非強化系と同
様にポリアミド樹脂に特定量のPETまたはその共重合
体と赤リンを配合することにより、特異的に優れた難燃
性が付与され、かつ難燃剤がブリードアウトせず、さら
にCTI600V以上の高い耐トラッキング性が得られ
ることがわかる。
【0084】特に比較例7、8に示したように、ガラス
繊維で強化したナイロンの耐トラッキング性はそれぞれ
CTIが500Vと、ガラス繊維の配合により耐トラッ
キング性は顕著に低下する。また比較例9、10に示し
た様にガラス繊維で強化したナイロンに赤リンを配合す
ると耐トラッキング性は向上するが、近年要求されてい
る耐トラッキング性を満足するレベルではない。一方実
施例20〜24に示したように、ガラス繊維で強化した
ナイロンに特定量の赤リンとPETを併用することによ
りCTI600V以上の高い耐トラッキング性が得られ
ることがわかる。尚、表1および2には示していない
が、非強化系の耐トラッキング性はいずれもCTI60
0V以上である。
【0085】実施例25〜31より、更にフッ素系樹脂
やシアヌール酸塩等を併用すると燃焼時間がさらに短く
なり、高度に優れた難燃性が得られることがわかる。
【0086】実施例32〜35と実施例26、30の比
較から、ポリアミド樹脂からなる赤リン高濃度品(実施
例32、33)あるいはポリエチレンテレフタレート樹
脂からなる赤燐高濃度品(実施例34、35)を用いる
ことにより、燃焼時間が短縮され、さらに機械特性が向
上することがわかる。
【0087】実施例36、37、比較例15、16 参考例3、4に示した共重合ポリアミド樹脂(A−3、
A−4)100重量部に対して固有粘度が0.65(2
5℃、フェノール/テトラクロロエタンの1:1の混合
溶媒)のポリエチレンテレフタレート(以下PETと略
す)、赤リン(燐化学工業社製“ノーバエクセル14
0”)およびその他の添加剤を表4に示した配合組成で
混合し、窒素フローを行いながら、スクリュ径30m
m、L/D45.5の同方向回転2軸押出機(日本製鋼
社製、TEX−30:スクリュは2条ネジで相互の噛み
合い3.5mmの2本のスクリュを使用し、L/D=4
の45度に傾いた10枚のニーディングディスクからな
るスクリュエレメントを順逆の順番で設け、さらに逆フ
ルフライトエレメントを設けた混練力の強いスクリュ形
状)を用いて樹脂温度280〜340℃で溶融押出し
た。それ以外の操作は実施例1〜35、比較例1〜14
と同様に行った。一連の結果を表4に示す。
【0088】
【表4】
【0089】実施例36、37と比較例15、16の比
較から、6T/66および6T/6I/66からなる共
重合ポリアミド樹脂においても本発明の特定量のPET
またはその共重合体と赤リンを配合することにより特異
的に高度な難燃性が発現し、かつ乾熱処理時に難燃剤が
ブリードアウトしない樹脂組成物が得られることがわか
る。また耐トラッキング性についてもPETと赤燐を配
合することで向上することがわかる。
【0090】
【発明の効果】(1)本発明の特定量のポリエチレンテ
レフタレートまたは/およびその共重合体と赤リンを含
有した樹脂組成物は、従来公知の他の赤リン含有難燃性
樹脂組成物よりも優れた難燃性、機械特性、耐トラッキ
ング性を有し、かつ乾熱処理時に難燃剤がブリードアウ
トしない。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08G 63/692 C08G 63/692 (C08L 77/00 67:02 27:12)

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し
    て(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂0.1〜50
    重量部および(C)赤リン0.1〜30重量部を含有す
    る難燃性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し
    て(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂0.1〜30
    重量部および(C)赤リン0.1〜30重量部を含有す
    る難燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】ポリアミド樹脂(A)がポリアミド6、ポ
    リアミド66およびこれらの共重合体から選ばれる一種
    または二種以上である請求項1または2記載の難燃性樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】赤リン(C)が熱硬化性樹脂で被覆された
    赤リンである請求項1〜3のいずれか記載の難燃性樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】ポリアミド樹脂(A)100重量部に対し
    て充填材5〜140重量部をさらに含有してなる請求項
    1〜4のいずれか記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】充填材がガラス繊維である請求項5記載の
    難燃性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】ポリアミド樹脂(A)100重量部に対し
    て金属酸化物0.01〜20重量部をさらに含有してな
    る請求項1〜6のいずれか記載の難燃性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】金属酸化物が酸化カドニウム、酸化亜鉛、
    酸化第一銅、酸化第二銅、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸
    化コバルト、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化ス
    ズ、酸化チタンから選ばれる一種または二種以上である
    請求項7記載の難燃性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】金属酸化物が酸化第一銅、酸化第二銅、酸
    化チタンから選ばれる一種または二種以上である請求項
    8記載の難燃性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】ポリアミド樹脂(A)100重量部に対
    してフッ素系樹脂0.01〜10重量部をさらに含有し
    てなる請求項1〜9のいずれか記載の難燃性樹脂組成
    物。
  11. 【請求項11】耐トラッキング性が550V以上である
    請求項6〜10いずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】請求項1〜11のいずれか記載の難燃性
    樹脂組成物からなる成形品。
  13. 【請求項13】成形品が機械機構部品、電気電子部品ま
    たは自動車部品である請求項12記載の成形品。
  14. 【請求項14】ポリアミド樹脂(A)成分またはポリエ
    チレンテレフタレート樹脂(B)成分、および(C)赤
    燐を配合するに際し、(A)成分または(B)成分の一
    部および(C)赤燐を一旦溶融混練して赤燐高濃度組成
    物(D)を製造し、残りの(A)成分または(B)成分
    および赤燐高濃度組成物(D)を二軸押出機で溶融混練
    することにより請求項1〜12のいずれか記載の難燃性
    樹脂組成物を製造することを特徴とする難燃性樹脂組成
    物の製造方法。
  15. 【請求項15】ポリエチレンテレフタレート樹脂(B)
    および赤燐(C)からなるポリアミド樹脂用難燃剤。
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