JPH115914A - 難燃性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

難燃性樹脂組成物および成形品

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JPH115914A
JPH115914A JP10507598A JP10507598A JPH115914A JP H115914 A JPH115914 A JP H115914A JP 10507598 A JP10507598 A JP 10507598A JP 10507598 A JP10507598 A JP 10507598A JP H115914 A JPH115914 A JP H115914A
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JP
Japan
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resin
flame
red phosphorus
polyethylene terephthalate
retardant
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JP10507598A
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English (en)
Inventor
Koji Yamauchi
幸二 山内
Hideki Matsumoto
英樹 松本
Shunei Inoue
俊英 井上
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】難燃化効果が極めて高く、かつ樹脂の機械的特
性を低下させない新規非ハロゲン系難燃剤および該難燃
剤を含有することにより難燃性が付与されかつ機械特性
に優れる難燃性樹脂組成物を提供することを課題とす
る。 【解決手段】(A)(a1)熱硬化性樹脂および(a2)ポリエ
チレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレ
ート樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂以外の熱可塑性樹
脂から選択された1種以上100重量部に対して、
(B)ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体
から選択された1種以上のポリエチレンテレフタレート
系樹脂0.1〜50重量部および(C)赤燐0.1〜5
0重量部を含有する難燃性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤燐を含有する新
規非ハロゲン系難燃剤および該難燃剤を使用した難燃性
樹脂組成物に関する。更に詳しくは、少量の添加で可燃
性の樹脂を難燃化することができ、さらに該難燃剤を含
有する樹脂組成物の機械特性の低下が抑制可能な新規難
燃剤および該難燃剤により難燃化された機械特性に優れ
る樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】数多くのプラスチックがそのすぐれた機
械的性質、電気的性質、熱的性質、物理的性質および成
形加工性などの諸特性を生かし、工業用資材、建材、内
装材、機械機構部品、自動車部品、電気・電子部品をは
じめ各種用途に幅広く利用されている。一方、これらプ
ラスチックの多くは本質的に可燃性であるため、プラス
チックの使用に際しては、一般の化学的、物理的諸特性
のバランス以外に火炎に対する安全性、すなわち難燃性
が要求される場合が多い。
【0003】かかる要求によりプラスチックを難燃化す
る化合物としてハロゲン系有機化合物、さらに難燃助剤
としてアンチモン化合物が開発され、これらの難燃剤を
プラスチックにコンパウンドすることに難燃性を付与す
る方法が一般的に使用されている。しかしながら、この
方法には、燃焼の際の発煙量が多いといった問題や金属
を腐食するといった問題があった。
【0004】そこで、近年これらハロゲンを全く含まな
い難燃剤を用いることが強く望まれるようになった。
【0005】これまで、ハロゲン系難燃剤を使わずに熱
可塑性樹脂を難燃化する方法としては、水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウムなどの水和金属化合物を添加
することが広く知られているが、充分な難燃性を得るた
めには、上記水和金属化合物を多量に添加する必要があ
り、樹脂本来の特性が失われるという欠点を有してい
た。
【0006】一方、このような水和金属化合物を使わず
に熱可塑性樹脂を難燃化する方法として赤リンを添加す
ることが、特開昭51−150553号公報、特開昭5
8−108248号公報、特開昭59−81351号公
報、特開平5−78560号公報、特開平5−2871
19号公報、特開平5−295164号公報、特開平5
−320486号公報、特開平5−339417号公報
等に開示されている。また水和金属化合物と赤燐を併用
し、難燃性を向上させる方法が、特開昭59−1701
76号公報に開示されている。しかしながら、いずれの
樹脂組成物もハロゲン系難燃剤を用いない有用な難燃性
樹脂材料ではあるが、難燃性を付与するためには相当量
の赤燐あるいは水和金属化合物を添加しなければならな
い。一般に樹脂材料に赤燐あるいは水和金属化合物のよ
うな無機化合物を添加する場合、樹脂材料中に存在する
無機物が異物となり、クラック発生の核となる。そのた
め、これらの化合物の添加により難燃性は付与できるも
のの、樹脂組成物本来の機械的性質が著しく低下すると
いった問題点を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】すなわち本発明は、非
ハロゲン系難燃剤であり、難燃化効果が極めて高く、か
つ樹脂の機械的特性を低下させない新規難燃剤および該
難燃剤を含有することにより難燃性が付与されかつ機械
特性に優れる難燃性樹脂組成物を提供することを課題と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは以上の状況
を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、ポリエチレンテレフタ
レートおよびその共重合体と赤燐からなる混合物が、可
燃性の樹脂を難燃化するための難燃剤として極めて効果
が高いとともに、該難燃剤を配合した樹脂組成物は高度
に優れた難燃性をし、かつ該難燃剤を使用することによ
り特異的に難燃性樹脂組成物の機械特性の低下が抑制で
き、樹脂組本来の機械特性を保持できることを見いだ
し、本発明に到達した。
【0009】すなわち本発明は、 1.(A)(a1)熱硬化性樹脂および(a2)ポリエチレンテ
レフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹
脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂以外の熱可塑性樹脂から
選択された1種以上100重量部に対して、(B)ポリ
エチレンテレフタレートおよびその共重合体から選択さ
れた1種以上のポリエチレンテレフタレート系樹脂0.
1〜50重量部および(C)赤燐0.1〜50重量部を
含有する難燃性樹脂組成物、 2.(A)(a1)熱硬化性樹脂および(a2)ポリエチレンテ
レフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹
脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂以外の熱可塑性樹脂から
選択された1種以上100重量部に対して(B)ポリエ
チレンテレフタレートおよびその共重合体から選択され
た1種以上のポリエチレンテレフタレート系樹脂5〜4
0重量部および(C)赤燐0.3〜20重量部を含有す
る難燃性樹脂組成物、 3.(A)(a1)熱硬化性樹脂および(a2)ポリエチレンテ
レフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹
脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂以外の熱可塑性樹脂から
選択された1種以上100重量部に対して(B)ポリエ
チレンテレフタレートおよびその共重合体から選択され
た1種以上のポリエチレンテレフタレート系樹脂5〜2
0重量部および(C)赤燐0.3〜20重量部を含有す
る難燃性樹脂組成物、 4.熱硬化性樹脂(a1)がフェノール樹脂、アミノ樹脂、
エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ウレタン樹脂、メ
ラミン樹脂、アニリン樹脂、フラン樹脂、アルキド樹
脂、キシレン樹脂から選ばれる一種または二種以上の混
合物である前記1〜3いずれか記載の難燃性樹脂組成
物、 5.熱可塑性樹脂(a2)がポリカーボネート、ポリフェニ
レンオキサイド、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスル
フィド、オレフィン系樹脂およびその共重合体、スチレ
ン系樹脂およびその共重合体、酢酸ビニル系樹脂および
その共重合体、アクリル系樹脂およびその共重合体、エ
ーテル系樹脂およびその共重合体、ウレタン系樹脂およ
びその共重合体から選ばれる一種または二種以上の混合
物である前記1〜4いずれか記載の難燃性樹脂組成物、 6.赤燐(C)が熱硬化性樹脂で被覆された赤燐である
前記1〜5のいずれか記載の難燃性樹脂組成物、 7.赤燐(C)を熱水中で処理したときの導電率が0.
1〜1000μS/cmである赤燐である前記1〜6い
ずれか記載の難燃性樹脂組成物、 8.(A)成分100重量部に対して充填材5〜140
重量部をさらに含有してなる前記1〜7のいずれか記載
の難燃性樹脂組成物、 9.充填材がガラス繊維である前記8記載の難燃性樹脂
組成物、 10.前記1〜9のいずれか記載の難燃性樹脂組成物か
らなる成形品、 11.(A)成分または(B)成分、および(C)成分
を配合するに際し、(A)成分または(B)成分の一部
および(C)成分を一旦溶融混練して赤燐高濃度組成物
(D)を製造し、残りの(A)成分または(B)成分お
よび赤燐高濃度組成物(D)を二軸押出機で溶融混練す
ることにより前記1〜9のいずれか記載の難燃性樹脂組
成物を製造することを特徴とする難燃性樹脂組成物の製
造方法、 12.(B)ポリエチレンテレフタレートおよびその共
重合体から選択された1種以上のポリエチレンテレフタ
レート系樹脂および(C)赤燐からなる熱硬化性樹脂(a
1)およびポリエチレンテレフタレート系樹脂、PBT樹
脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂以外の熱可塑性樹脂(a2)
から選択された1種以上の樹脂に用いるための難燃剤で
ある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明の難燃性樹脂組成物
について具体的に説明する。
【0011】本発明で使用される樹脂としては、(a1)熱
硬化性樹脂および(a2)ポリエチレンテレフタレート樹
脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ナイロン樹
脂、ABS樹脂以外の熱可塑性樹脂から選択された1種
以上の樹脂を使用することができる。
【0012】ここで熱硬化性樹脂(a1)とは加熱するとポ
リマー分子間で架橋構造を形成するものであれば特に制
限はないが、例えば、フェノール、クレゾール、キシレ
ノールなどのフェノール類とホルムアルデヒドとの付加
縮合によって生成するフェノール樹脂、アルキド樹脂、
キシレン樹脂、フェノール・フルフラール樹脂などのフ
ラン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、メラミンフェ
ノール樹脂、アニリン樹脂、スルホンアミド樹脂、ベン
ゾグアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂などのアミノ
樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂、不飽和ポリエステル系
熱硬化性樹脂などが挙げられ、これらの中で、特にフェ
ノール系樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリ
エステル、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹
脂、フラン樹脂、アルキド樹脂、キシレン樹脂が好まし
く使用することができる。
【0013】また本発明の熱可塑性樹脂(a2)としては加
熱してもポリマー分子間での架橋構造を形成せず、加熱
により流動性を示し、これを利用して成形加工できる合
成樹脂のことであり、ポリブチレンテレフタレート(P
BT)樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂および(B)成
分であるポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂
以外の熱可塑性樹脂であれば特に制限はないが、その具
体例としては、例えば、ポリカーボネート、ポリフェニ
レンオキサイド、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスル
フィド、ポリエチレン、ポリブチレンなどのポリオレフ
ィン系重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレ
ン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共
役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合
体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチ
レン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メ
タクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピ
レン−g−無水マレイン酸共重合体などのオレフィン系
共重合体、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレ
ン、AS樹脂などのスチレン系重合体、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリ酢酸ビニル共重合体、ポリアクリレート、ポリ
メタクリレート、ポリアクリロニトリルなどのアクリル
系樹脂、ポリホルムアルデヒド、ポリアセタールアルデ
ヒド、ポリエチレンオキシド、ポリシクロオキサブタ
ン、ポリテトラヒドロフランなどのポリエーテル系樹
脂、ポリウレタン、ポリエステルポリエーテルエラスト
マー、ポリエステルポリエステルエラストマー等のエラ
ストマー、ポリブチレンテレフタレート樹脂および
(B)成分であるポリエチレンテレフタレート系樹脂以
外のポリエステル樹脂などが挙げられるが、これらの
内、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、フ
ェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド、オレフィン
系重合体および共重合体、スチレン系樹脂および共重合
体、酢酸ビニル系重合体および共重合体、アクリル系樹
脂および共重合体、エーテル系樹脂および共重合体、ウ
レタン系樹脂および共重合体から選ばれる一種または二
種以上の混合物が好ましく使用することができる。
【0014】本発明の(B)成分はポリエチレンテレフ
タレートおよびその共重合体から選択された1種以上の
ポリエチレンテレフタレート系樹脂であり、実質的にテ
レフタル酸を酸成分に、エチレングリコールをグリコー
ル成分に用いた、主鎖にエステル結合を有するポリエチ
レンテレフタレートの他、本発明の目的を損なわない範
囲で酸成分として、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナ
フタレンジカルボン酸、シュウ酸、アジピン酸、1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸などを、グリコール成分
として、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、ビスフェノールAなどを共重合成分と
して用いたポリエチレンテレフタレート共重合体が挙げ
られる。ポリエチレンテレフタレート共重合体の中で
は、テレフタル酸を酸成分とし、エチレングリコールと
1,4−シクロヘキサンジメタノールから得られるポリ
エチレンテレフタレート共重合体が好ましい。
【0015】上記のような他成分を共重合する場合の共
重合量はポリエチレンテレフタレートの特性を大きく損
なわない範囲であれば特に制限はないが、ジカルボン酸
単位とグリコール単位の総モル数に対し、0〜40モル
%程度であることが好ましく、より好ましくは0〜30
モル%程度であり、さらに好ましくは0〜25モル%程
度、特に好ましくは0〜20モル%程度である。
【0016】本発明に用いるポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂の分子量は特に制限はないが、可燃性の樹脂を
難燃化する効果の点から、通常フェノール/テトラクロ
ロエタンの1:1の混合溶媒を用いて25℃で測定した
固有粘度が0.10〜3.00を使用することができる
が、好ましくは0.25〜2.50、特に好ましくは
0.40〜2.25である。
【0017】また本発明のポリエチレンテレフタレート
系樹脂の添加量は、熱硬化性樹脂(a1)およびPET系樹
脂、PBT樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂以外の熱可
塑性樹脂(a2)から選択された1種以上の樹脂(ただし、
熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の双方を用いる場合はその
合計量)100重量部に対して、0.1〜50重量部、
好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは5〜4
0重量部、特に好ましくは5〜20重量部である。
【0018】次に本発明で使用される赤燐(C)につい
て説明する。
【0019】本発明で使用される赤燐(C)は、そのま
までは不安定であり、また、水に徐々に溶解したり、水
と徐々に反応する性質を有するので、これを防止する処
理を施したものが好ましく用いられる。このような赤燐
の処理方法としては、特開平5−229806号公報に
記載の赤燐の粉砕を行わず、赤燐表面に水や酸素との反
応性が高い破砕面を形成させずに赤燐を微粒子化する方
法、赤燐に水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウ
ムを微量添加して赤燐の酸化を触媒的に抑制する方法、
赤燐をパラフィンやワックスで被覆し、水分との接触を
抑制する方法、ε−カプロラクタムやトリオキサンと混
合することにより安定化させる方法、赤燐をフェノール
系、メラミン系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系な
どの熱硬化性樹脂で被覆することにより安定化させる方
法、赤燐を銅、ニッケル、銀、鉄、アルミニウムおよび
チタンなどの金属塩の水溶液で処理して、赤燐表面に金
属リン化合物を析出させて安定化させる方法、赤燐を水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化チタ
ン、水酸化亜鉛などで被覆する方法、赤燐表面に鉄、コ
バルト、ニッケル、マンガン、スズなどで無電解メッキ
被覆することにより安定化させる方法およびこれらを組
合せた方法が挙げられるが、好ましくは、赤燐の粉砕を
行わず、赤燐表面に破砕面を形成させずに赤燐を微粒子
化する方法、赤燐をフェノール系、メラミン系、エポキ
シ系、不飽和ポリエステル系などの熱硬化性樹脂で被覆
することにより安定化させる方法、赤燐を水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウム、水酸化チタン、水酸化亜
鉛などで被覆することにより安定化させる方法であり、
特に好ましくは、赤燐表面に破砕面を形成させずに赤燐
を微粒子化する方法、赤燐をフェノール系、メラミン
系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系などの熱硬化性
樹脂で被覆することにより安定化させる方法である。こ
れらの熱硬化性樹脂の中で、フェノール系熱硬化性樹
脂、エポキシ系熱硬化性樹脂で被覆された赤燐が耐湿性
の面から好ましく使用することができ、特に好ましくは
フェノール系熱硬化性樹脂で被覆された赤燐である。
【0020】また、樹脂に配合される前の赤リンの平均
粒径は、成形品の難燃性、機械的強度や表面外観性の点
から50〜0.01μmのものが好ましく、さらに好ま
しくは、45〜0.1μmのものである。
【0021】また、本発明で使用される赤リン(C)の
熱水中で抽出処理した時の導電率(ここで導電率は赤リ
ン5gに純水100mLを加え、例えばオートクレーブ
中で、121℃で100時間抽出処理し、赤リンろ過後
のろ液を250mLに希釈した抽出水の導電率を測定す
る)は、得られる成形品の耐湿性、機械的強度、耐トラ
ッキング性、および表面性の点から通常0.1〜100
0μS/cmであり、好ましくは0.1〜800μS/
cm、さらに好ましくは0.1〜500μS/cmであ
る。
【0022】また、本発明で使用される赤リン(C)の
ホスフィン発生量(ここでホスフィン発生量は、赤リン
5gを窒素置換した内容量500mLの例えば試験管な
どの容器に入れ、10mmHgに減圧後、280℃で1
0分間加熱処理し、25℃に冷却し、窒素ガスで試験管
内のガスを希釈して760mmHgに戻したのちホスフ
ィン(リン化水素)検知管を用いて測定し、つぎの計算
式で求める。ホスフィン発生量(ppm)=検知管指示
値(ppm)×希釈倍率)は、得られる組成物の発生ガ
ス量、押出し、成形時の安定性、溶融滞留時機械的強
度、成形品の表面外観性、成形品による端子腐食などの
点から通常100ppm以下のものが用いられ、好まし
くは50ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下
である。
【0023】好ましい赤リンの市販品としては、燐化学
工業社製“ノーバエクセル”140、“ノーバエクセ
ル”F5などが挙げられる。
【0024】本発明における赤燐(C)の添加量は、熱
硬化性樹脂(a1)およびPET系樹脂、PBT樹脂、ナイ
ロン樹脂、ABS樹脂以外の熱可塑性樹脂(a2)から選択
された1種以上の樹脂(ただし、熱硬化性樹脂と熱可塑
性樹脂の双方を用いる場合はその合計量)100重量部
に対して、0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜4
5重量部、より好ましくは0.2〜40重量部、さらに
好ましくは0.3〜20重量部である。
【0025】また本発明の難燃性樹脂組成物はさらに充
填材を添加することにより、強度、剛性、耐熱性などを
大幅に向上させることができる。
【0026】このような充填材としては、繊維状、粒状
などの非繊維状の充填材のいずれでもよく、具体例とし
ては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊
維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステ
ナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイ
カ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタ
ンおよび酸化アルミニウムなどが挙げられ、なかでもチ
ョップドストランドタイプのガラス繊維が好ましく用い
られる。
【0027】これらの添加量は熱硬化性樹脂(a1)および
PET系樹脂、PBT樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂
以外の熱可塑性樹脂(a2)から選択された1種以上の樹脂
(ただし、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の双方を用いる
場合はその合計量)100重量部に対して5〜140重
量部が好ましく、特に好ましくは5〜100重量部であ
る。
【0028】また本発明の難燃性樹脂組成物はさらにフ
ッ素系樹脂を添加すると難燃性をさらに向上させること
ができる。そのようなフッ素系樹脂としては、ポリテト
ラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、
(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレ
ン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/パーフルオ
ロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオ
ロエチレン/エチレン)共重合体、(ヘキサフルオロプ
ロピレン/プロピレン)共重合体、ポリビニリデンフル
オライド、(ビニリデンフルオライド/エチレン)共重
合体などが挙げられるが、中でもポリテトラフルオロエ
チレン、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアル
キルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチ
レン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラ
フルオロエチレン/エチレン)共重合体、ポリビニリデ
ンフルオライドが好ましく、特にポリテトラフルオロエ
チレン、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合
体が好ましい。
【0029】フッ素系樹脂の添加量は機械物性、成形性
の面から熱硬化性樹脂(a1)およびPET系樹脂、PBT
樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂以外の熱可塑性樹脂(a
2)から選択された1種以上の樹脂(ただし、熱硬化性樹
脂と熱可塑性樹脂の双方を用いる場合はその合計量)1
00重量部に対して通常0.01〜10重量部であり、
好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.2
〜3重量部である。
【0030】また本発明の難燃性樹脂組成物は、さらに
トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌー
ル酸からなる塩を添加することにより、さらに難燃性が
向上する。
【0031】このようなトリアジン系化合物とシアヌー
ル酸またはイソシアヌール酸の塩とは、シアヌール酸ま
たはイソシアヌール酸とトリアジン系化合物との付加物
であり、通常は1対1(モル比)、場合により1対2
(モル比)の組成を有する付加物である。トリアジン系
化合物のうち、シアヌール酸またはイソシアヌール酸と
塩を形成しないものは除外される。
【0032】上記トリアジン系化合物としては下記一般
式(1)で表される化合物等が挙げられる。
【0033】
【化1】 前記一般式(1)においてR1 、R2 、R3 、R4
は同一または相異なる水素、アリール基、アルキル基、
アラルキル基、シクロアルキル基、または−CONH2
である。ここでアリール基としては炭素数6〜15の
もの、アルキル基としては炭素数1〜10のもの、アラ
ルキル基としては炭素数7〜16のもの、シクロアルキ
ル基としては炭素数4〜15のものが好ましい。また、
Rは上式中の−NR12 または−NR34 と同
一の基、またはこれらと独立に水素、アリール基、アル
キル基、アラルキル基、シクロアルキル基、−NH
2 、または−CONH2 から選ばれた基であり、ここ
でアリール基としては炭素数6〜15のもの、アルキル
基としては炭素数1〜10のもの、アラルキル基として
は炭素数7〜16のもの、シクロアルキル基としては炭
素数4〜15のものが好ましい。
【0034】R1 、R2 、R3 、R4 の具体的な例
としては水素、フェニル基、p−トルイル基、α−ナフ
チル基、β−ナフチル基、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブ
チル基、tert−ブチル基、ヒドロキシメチル基、メ
トキシメチル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シク
ロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−メチル−1−ペ
ンチル基、4−メチル−1−シクロヘキシル基、アミド
基などが挙げられるが、中でも水素、フェニル基、メチ
ル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、ベンジ
ル基、アミド基が好ましい。
【0035】また、Rの具体的な例としてはアミノ基、
アミド基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチル
アミノ基、ジエチルアミノ基、モノ(ヒドロキシメチ
ル)アミノ基、ジ(ヒドロキシメチル)アミノ基、モノ
(メトキシメチル)アミノ基、ジ(メトキシメチル)ア
ミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、水
素、フェニル基、p−トルイル基、α−ナフチル基、β
−ナフチル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t
ert−ブチル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シ
クロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−メチル−1−
ペンチル基、4−メチル−1−シクロヘキシル基などが
挙げられるが、中でも水素、アミノ基、アミド基、メチ
ル基、モノ(ヒドロキシメチル)アミノ基、ジ(ヒドロ
キシメチル)アミノ基、モノ(メトキシメチル)アミノ
基、ジ(メトキシメチル)アミノ基、フェニル基、ベン
ジル基が好ましい。
【0036】前記一般式(1)で表わされる化合物とシ
アヌール酸またはイソシアヌール酸との塩のうち、特に
メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2−
アミド−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、
モノ(ヒドロキシメチル)メラミン、ジ(ヒドロキシメ
チル)メラミン、トリ(ヒドロキシメチル)メラミンの
塩が好ましく、とりわけメラミン、ベンゾグアナミン、
アセトグアナミンの塩が好ましい。
【0037】トリアジン系化合物とシアヌール酸または
イソシアヌール酸との塩は、トリアジン系化合物とシア
ヌール酸またはイソシアヌール酸の混合物を水スラリー
となし、良く混合して両者の塩を微粒子状に形成させた
後、このスラリーを濾過、乾燥して得られる粉末であ
り、単なる混合物とは異なる。この塩は完全に純粋であ
る必要は無く、多少未反応のトリアジン系化合物ないし
シアヌール酸、イソシアヌール酸が残存していても良
い。
【0038】また、樹脂に配合される前の塩の平均粒径
は、成形品の難燃性、機械的強度や表面性の点から10
0〜0.01μmが好ましく、さらに好ましくは80〜
10μmである。また、上記塩の分散性が悪い場合に
は、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート
などの分散剤を併用してもかまわない。
【0039】上記塩の使用量は、熱硬化性樹脂(a1)およ
びPET樹脂、PBT樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂
以外の熱可塑性樹脂(a2)から選択された1種以上の樹脂
(ただし、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の双方を用いる
場合はその合計量)100重量部に対して通常、0.0
1〜50重量部、好ましくは0.1〜40重量部、さら
に好ましくは0.5〜30重量部である。
【0040】さらに、本発明の難燃剤や難燃性樹脂組成
物に対して本発明の目的を損なわない範囲でヒンダード
フェノール系酸化防止剤、イオウ系などの酸化防止剤や
熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、および染料・
顔料を含む着色剤などの通常の添加剤を1種以上添加す
ることができる。
【0041】本発明の難燃性樹脂組成物は通常公知の方
法で製造される。
【0042】例えば、熱硬化性樹脂(a1)およびPET系
樹脂、PBT樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂以外の熱
可塑性樹脂(a2)から選択された1種以上の樹脂(A)、
ポリエチレンテレフタレート系樹脂(B)、赤燐(C)
およびその他の必要な添加剤を予備混合して、またはせ
ずに押出機などに供給して十分溶融混練することにより
調製されるが、好ましくは、ハンドリング性や生産性の
面から、(A)成分の一部、もしくは(B)成分の一部
と赤燐(C)を一旦溶融混練して、実際に難燃性樹脂組
成物に配合されるべき赤リン量よりも赤リン濃度の高い
樹脂組成物(D)を製造し、残りの(A)成分もしくは
(B)成分に赤リン濃度の高い樹脂組成物(D)および
その他の任意に用いることができる添加剤を溶融混練す
ることにより調製される。
【0043】あるいは(A)成分の一部、もしくは
(B)成分の一部と赤リン(C)およびその他の任意に
用いることができる添加剤の一部または全部を一旦溶融
混練して、実際に難燃性樹脂組成物に配合されるべき赤
リン量よりも赤リン濃度の高い樹脂組成物(D)を製造
し、残りの(A)成分もしくは(B)成分に赤リン高濃
度樹脂組成物(D)および残りの添加剤が有る場合には
その添加剤を溶融混練することにより調製される。
【0044】また熱硬化性樹脂(a1)の場合、熱硬化性樹
脂の原料となるモノマー、ポリエチレンテレフタレート
系樹脂(B)、赤燐(C)およびその他の必要な添加剤
あるいは通常公知の硬化剤を予備混合することにより調
製することができるが、好ましくは、ハンドリング性や
生産性の面から、(B)成分の一部と赤燐(C)を一旦
溶融混練して、実際に難燃性樹脂組成物に配合されるべ
き赤リン量よりも赤リン濃度の高い樹脂組成物(D)を
製造し、熱硬化性樹脂(a1)の原料および(B)成分に
赤リン濃度の高い樹脂組成物(D)およびその他の任意
に用いることができる添加剤を予備混合することにより
調製される。あるいは熱硬化性(a1)の原料となるモノ
マーの一部と赤燐(C)を一旦予備混合することによ
り、実際に難燃性樹脂組成物に配合されるべき赤燐量よ
りも赤燐濃度の高い樹脂組成物(D)を製造し、残りの
熱硬化性樹脂(a1)の原料となるモノマーと(B)成分
に赤リン高濃度樹脂組成物(D)および任意に用いるこ
とができる添加剤を溶融混練することにより調製され
る。なお、この場合においても任意に用いることができ
る添加剤は、その一部または全部を赤リン高濃度樹脂組
成物(D)を製造する段階で添加してもよい。
【0045】上記において、実際に難燃性樹脂組成物に
配合されるべき赤リン量よりも赤リン濃度の高い樹脂組
成物(D)を製造する段階で、その他の任意に用いるこ
とができる添加剤を配合する場合、これらの任意に用い
ることができる添加剤はあらかじめ赤リンと混合してお
くことが好ましい。
【0046】特に任意に用いることができる添加剤の中
でも、赤リンの安定剤として使用される金属酸化物、特
に酸化チタンを添加する場合、酸化チタンは赤リン高濃
度品(D)を製造する段階で配合することが好ましく、
さらにあらかじめ赤リンと酸化チタンをヘンシェルミキ
サー等の機械的な混合装置を用いて混合しておくと、赤
リンの安定性、赤リンの分散性や得られる樹脂組成物の
非着色性を向上することができる。
【0047】かかる赤リン濃度の高い樹脂組成物(D)
は、いわゆるマスターペレットの形態で好ましく用いら
れるが、それに限定されず、いわゆるチップ状、粉末
状、液状あるいはそれらの混合物の形態であってもよ
い。またかかる(D)成分と配合する(A)成分、
(B)成分、あるいは熱硬化性樹脂(a1)の原料となるモ
ノマーの形状は特に制限はないが、いわゆるチップ状、
粉末状、液状あるいは、チップ状と粉末状、液状の混合
物であってもよい。さらに、(D)成分と、それと配合
する(A)成分、(B)成分、あるいは熱硬化性樹脂(a
1)の原料となるモノマーの形態、大きさ、形状はほぼ同
等、あるいは互いに似通っていることが均一に混合し得
る点で好ましい。樹脂組成物を製造するに際し、例えば
“ユニメルト”タイプのスクリューを備えた単軸押出
機、二軸、三軸押出機およびニーダタイプの混練機など
を用いることができる。
【0048】また上記の如く、本発明はポリエチレンテ
レフタレートおよびポリエチレンテレフタレート共重合
体から選択された1種以上のポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂(B)および赤燐(C)により熱硬化性樹脂(a
1)およびPET系樹脂、PBT樹脂、ナイロン樹脂、A
BS樹脂以外の熱可塑性樹脂(a2)から選択された1種以
上の樹脂(A)に難燃性を付与するものである。
【0049】従って、本発明のポリエチレンテレフタレ
ート系樹脂(B)および赤燐(C)からなる樹脂組成物
は、熱硬化性樹脂(a1)およびPET系樹脂、PBT樹
脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂以外の熱可塑性樹脂(a2)
からなる1種以上の樹脂(A)の難燃剤として使用する
ことができる。
【0050】かくして得られる難燃性樹脂組成物は通常
公知の方法で成形することができ、射出成形、押出成
形、圧縮成形などの成形品、シート、フィルムなどの成
形品とすることができる。なかでも射出成形品用途に特
に好適であり、その特徴を活かして電気・電子部品、機
械機構部品、自動車部品、工業用資材、建材、内装材と
して有用に用いることができる。
【0051】
【実施例】以下実施例により本発明の効果を更に詳細に
説明する。ここで部とはすべて重量部をあらわす。各特
性の測定方法は以下の通りである。
【0052】(1)機械特性 射出成形により得たダンベル試験片についてASTM
D−638に従い引張降伏強度を測定した。
【0053】また機械特性保持率は強度保持率=(難燃
剤を含有する樹脂組成物の引張強度および破断伸び)/
(難燃剤を含有しない樹脂組成物の引張強度および破断
伸び)×100より算出した。
【0054】(2)難燃性 射出成形により得た難燃性評価用試験片についてUL9
4に定められている評価基準に従い難燃性を評価した。
難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>HBの順に低
下する。
【0055】実施例1〜5、比較例1〜8 (A)熱可塑性樹脂、(B)ポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂、(C)赤燐およびその他の添加剤を配合し、
溶融押出し、難燃性樹脂組成物を製造した。
【0056】熱可塑性樹脂としてポリエチレン(三菱化
成:ノバJ5050)、エチレン−酢酸ビニル共重合体
(三井石油化学:エバフレックス250)、ポリメタク
リレート(三菱レーヨン:アクリペットMD)、ポリカ
ーボネート(ユーピロンMS−3000)、ポリウレタ
ン(日本ポリウレタン:パラプレン258−M)を用い
た。赤燐は燐化学工業(株)社製”ノーバエクセル”1
40(:平均粒径29.7μm、赤燐5gに純水100
mlを加え、オートクレーブ中、121℃で100時間
抽出処理し、赤燐を濾過した後の濾液を250mlに希
釈し、導電率計(横河電機社製、パーソナルSCメータ
ー)を用いて測定した時の送電率200μmS/cm)
を使用した。
【0057】またポリエチレンテレフタレート系樹脂
(B)として、ポリエチレンテレフタレート(東レ社
製”T900E”)(B−1)、テレフタル酸をジカル
ボン酸成分とし、エチレングリコール単位とシクロヘキ
サンジメタノール単位のモル比が70/30の”イース
ター”GN002(イーストマン・コダック社製)(B
−2)を使用した。
【0058】また比較例で用いた、水酸化マグネシウム
は協和化学社製”キスマ5A”を用いた。
【0059】さらに比較例で用いたナイロン66(N
6)は、東レ社製”CM3001”を、エポキシ樹脂は
シェル社製 エピコート828を使用した。
【0060】上記熱可塑性樹脂100重量部に対して表
1に示す配合組成で赤リンおよびその他の添加剤を混合
し、スクリュ径30mm、L/D45.5の同方向回転
2軸押出機(日本製鋼社製、TEX−30:スクリュは
2条ネジで相互の噛み合い3.5mmの2本のスクリュ
を使用し、L/D=4の45度に傾いた10枚のニーデ
ィングディスクからなるスクリュエレメントを順逆の順
番で設け、さらに逆フルフライトエレメントを設けた混
練力の強いスクリュ形状)を用いて樹脂温度200〜2
80℃で溶融押出した。得られたペレットを乾燥後、射
出成形(金型温度室温〜120℃)によりASTMD−
638に規定されている引張試験片およびUL94に基
く難燃性評価用試験片を調製した。
【0061】各サンプルの難燃性および機械特性保持率
の結果を表1にまとめて示す。
【0062】
【表1】
【0063】実施例1〜5、比較例1〜8の比較から、
ポリエチレンテレフタレート系樹脂と赤燐の組合せによ
り、難燃性が付与できるだけでなく、樹脂本来の機械特
性が保持されることがわかる。また比較例1〜5より、
赤燐単独では難燃性が得られず、また比較例6、7、8
から、本発明のポリエチレンテレフタレート系樹脂の代
わりに、ナイロン66あるいはエポキシ樹脂を用いても
難燃性は付与できないことがわかる。また水酸化マグネ
シウムでは難燃性が得られず、さらに機械特性の低下が
著しいことがわかる。
【0064】実施例6〜8、比較例9〜11 熱硬化性樹脂としてメラミン樹脂(日本カーバイド社
製:ニカレジン8−176)、エポキシ樹脂(シェル社
製 エピコート828)、不飽和ポリエステル(日立化
成社製:ポリセット650ML)を用いた。
【0065】上記熱硬化性樹脂100重量部に対して表
1に示す配合組成で赤リンおよびその他の添加剤をヘン
シェルミキサーで混合した。なお使用したポリエチレン
テレフタレート系樹脂(B−2)は、あらかじめ粉砕器
で粉砕し、分級することにより微粉末化させた(平均粒
径50μm) 混合した配合組成物を金型に入れ、架橋温度(100〜
300℃)で圧縮成型してASTMD−638に規定さ
れている引張試験片およびUL94に基く難燃性評価用
試験片を調製した。各サンプルの難燃性および機械特性
保持率の結果を表1にまとめて示す。
【0066】実施例6〜8、比較例9〜11の比較か
ら、ポリエチレンテレフタレート系樹脂と赤燐の組合せ
により、難燃性が付与できるだけでなく、樹脂本来の機
械特性が保持されることがわかる。一方、赤燐単独では
難燃性が得られず、さらに機械特性の低下が著しいこと
がわかる。
【0067】実施例9、比較例12 PPS樹脂(東レ:トレリナA504、ガラス繊維40
%)100重量部に対して表1に示す配合組成で赤リン
およびその他の添加剤を混合し、スクリュ径30mm、
L/D45.5の同方向回転2軸押出機(日本製鋼社
製、TEX−30:スクリュは2条ネジで相互の噛み合
い3.5mmの2本のスクリュを使用し、L/D=4の
45度に傾いた10枚のニーディングディスクからなる
スクリュエレメントを順逆の順番で設け、さらに逆フル
フライトエレメントを設けた混練力の強いスクリュ形
状)を用いて樹脂温度300〜320℃で溶融押出し
た。得られたペレットを乾燥後、射出成形(320℃、
金型温度130℃)によりASTMD−638に規定さ
れている引張試験片およびUL94に基く難燃性評価用
試験片を調製した。
【0068】実施例9、比較例12の比較から、PPS
とポリエチレンテレフタレートだけでは、難燃性が低下
するのに対し、PPSにポリエチレンテレフタレート/
赤燐を配合することにより難燃性が付与できることがわ
かる。
【0069】
【発明の効果】本発明の特定量のポリエチレンテレフタ
レート系樹脂と赤リンを含有した樹脂組成物は、従来公
知の他の赤リン含有難燃性樹脂組成物あるいは水酸化マ
グネシウム含有難燃性樹脂組成物に優れた難燃性と機械
特性を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 67:02)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(a1)熱硬化性樹脂および(a2)ポリエ
    チレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレ
    ート樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂以外の熱可塑性樹
    脂から選択された1種以上100重量部に対して、
    (B)ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体
    から選択された1種以上のポリエチレンテレフタレート
    系樹脂0.1〜50重量部および(C)赤燐0.1〜5
    0重量部を含有する難燃性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)(a1)熱硬化性樹脂および(a2)ポリエ
    チレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレ
    ート樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂以外の熱可塑性樹
    脂から選択された1種以上100重量部に対して(B)
    ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体から選
    択された1種以上のポリエチレンテレフタレート系樹脂
    5〜40重量部および(C)赤燐0.3〜20重量部を
    含有する難燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(A)(a1)熱硬化性樹脂および(a2)ポリエ
    チレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレ
    ート樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂以外の熱可塑性樹
    脂から選択された1種以上100重量部に対して(B)
    ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体から選
    択された1種以上のポリエチレンテレフタレート系樹脂
    5〜20重量部および(C)赤燐0.3〜20重量部を
    含有する難燃性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】熱硬化性樹脂(a1)がフェノール樹脂、アミ
    ノ樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ウレタン
    樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、フラン樹脂、アル
    キド樹脂、キシレン樹脂から選ばれる一種または二種以
    上の混合物である請求項1〜3いずれか記載の難燃性樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】熱可塑性樹脂(a2)がポリカーボネート、ポ
    リフェニレンオキサイド、フェノキシ樹脂、ポリフェニ
    レンスルフィド、オレフィン系樹脂およびその共重合
    体、スチレン系樹脂およびその共重合体、酢酸ビニル系
    樹脂およびその共重合体、アクリル系樹脂およびその共
    重合体、エーテル系樹脂およびその共重合体、ウレタン
    系樹脂およびその共重合体から選ばれる一種または二種
    以上の混合物である請求項1〜4いずれか記載の難燃性
    樹脂組成物。
  6. 【請求項6】赤燐(C)が熱硬化性樹脂で被覆された赤
    燐である請求項1〜5のいずれか記載の難燃性樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】赤燐(C)を熱水中で処理したときの導電
    率が0.1〜1000μS/cmである赤燐である請求
    項1〜6いずれか記載の難燃性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】(A)成分100重量部に対して充填材5
    〜140重量部をさらに含有してなる請求項1〜7のい
    ずれか記載の難燃性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】充填材がガラス繊維である請求項8記載の
    難燃性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれか記載の難燃性樹
    脂組成物からなる成形品。
  11. 【請求項11】(A)成分または(B)成分、および
    (C)成分を配合するに際し、(A)成分または(B)
    成分の一部および(C)成分を一旦溶融混練して赤燐高
    濃度組成物(D)を製造し、残りの(A)成分または
    (B)成分および赤燐高濃度組成物(D)を二軸押出機
    で溶融混練することにより請求項1〜9のいずれか記載
    の難燃性樹脂組成物を製造することを特徴とする難燃性
    樹脂組成物の製造方法。
  12. 【請求項12】(B)ポリエチレンテレフタレートおよ
    びその共重合体から選択された1種以上のポリエチレン
    テレフタレート系樹脂および(C)赤燐からなる熱硬化
    性樹脂(a1)およびポリエチレンテレフタレート系樹脂、
    PBT樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂以外の熱可塑性
    樹脂(a2)から選択された1種以上の樹脂に用いるための
    難燃剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4793968A (en) * 1982-12-29 1988-12-27 Sermatech International, Inc. Surface modified powder metal parts and methods for making same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4793968A (en) * 1982-12-29 1988-12-27 Sermatech International, Inc. Surface modified powder metal parts and methods for making same

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