JPH11213612A - 磁気テープカートリッジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 上下ケースによりなるカートリッジケース内
に、磁気テープを巻装した単一のリールが回転可能に収
容され、磁気テープの先端にこの磁気テープを引き出す
ためのリーダピンが固着されている磁気テープカートリ
ッジにおいて、極めて簡易な構成でリーダピンがカート
リッジケースに着脱可能に保持されるようにする。 【解決手段】 リーダピン２１の上下端部のうちの少な
くとも一方に弾性的に当接して、リーダピン２１を着脱
可能に保持するバネ部材３０を、上下ケース２，３のう
ちの少なくとも一方に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、磁気テープカート
リッジに関し、特にカートリッジケース内に磁気テープ
を巻装した単一のリールが回転可能に収容され、この磁
気テープの先端に該磁気テープを引き出すためのリーダ
ピンが固着されてなる磁気テープカートリッジにおい
て、上記カートリッジケースにおける上記リーダピンの
保持構造に関するものである。これらの磁気テープカー
トリッジは主としてコンピュータメモリのバックアップ
として用いられ、その記憶容量も１０ＧＢ程度から１０
０ＧＢ、さらにはそれ以上のものも実用化に向けて検討
が進められている。

【０００２】

【従来の技術】従来、コンピュータ等の外部記憶装置に
用いられる記録媒体として使用されている磁気テープカ
ートリッジには、単一のリールに磁気テープを巻装し、
このリールをカートリッジケース内に回転可能に収容し
たタイプのものが知られている。この磁気テープはコン
ピュータ等のデータ保存用として用いられ、重要な情報
が記憶されているため、テープジャミング等のトラブル
が発生しないように、また不用意に磁気テープが引き出
されないように構成されている。

【０００３】また、上記磁気テープの先端部にはリーダ
部材（本発明ではリーダピン）が固着され、このリーダ
部材をコンピュータ側で引き出して巻き取り又は巻き戻
しを行うようにドライブ装置が構成される。そして、上
記リーダ部材は、カートリッジケースに着脱可能に保持
されるものであり、その保持にはバネ部材を使用するの
が構造上の簡素化等の点で有利である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リーダ
ピンを着脱可能に保持するバネ部材をカートリッジケー
スに取り付ける場合には、一般にプラスチック製のケー
スの一部を溶融させて固定することが行われているが、
このようなバネ部材の固定は組付け工程が煩雑で、生産
性の向上の妨げとなっている。

【０００５】本発明は上記点に鑑みなされたもので、リ
ーダピンをカートリッジケースに着脱可能に保持するバ
ネ部材の極めて簡単な取付け構造を有する磁気テープカ
ートリッジを提供することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、下ケースとこ
の下ケースの上部に重ね合わせられる上ケースとにより
形成されたカートリッジケース内に、磁気テープを巻装
した単一のリールが回転可能に収容され、上記磁気テー
プの先端にこの磁気テープを引き出すためのリーダピン
が固着されている磁気テープカートリッジにおいて、上
記リーダピンの上下端部のうちの少なくとも一方に弾性
的に当接して、このリーダピンを着脱可能に保持するバ
ネ部材が、上下ケースのうちの少なくとも一方に設けら
れていることを特徴とするものである。

【０００７】上記バネ部材は、カートリッジケースと一
体成形された板バネでもよいし、カートリッジケースに
根元部を固定された金属製またはプラスチック製の板バ
ネでもよい。

【０００８】

【発明の効果】本発明によれば、極めて簡易な構成によ
って、リーダピンをカートリッジケースに着脱可能に保
持することができる。特に、バネ部材がカートリッジケ
ースに一体成形で形成されている場合には、バネ部材の
肉厚変化、先端形状変化を自由に設定することができる
とともに、カートリッジケースの組立て時におけるバネ
部材の組付け工程が省略されるから、生産性を向上させ
ることができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施の形態に基
づいて本発明を詳細に説明する。

【００１０】図１は本発明による磁気テープカートリッ
ジの一実施の形態の分解斜視図である。

【００１１】磁気テープカートリッジ１は、下リール５
と上リール６とを超音波溶着により結合した単一のリー
ル４に磁気テープ２０を巻装し、上ケース２と下ケース
３とがビス等により締結されて形成されたカートリッジ
ケース７内に、上記リール４を回動可能に収容して構成
されている。

【００１２】下リール５は、外周に磁気テープ２０が巻
回される円筒状のリールハブ２３と、このリールハブ２
３の下端外周から径方向に張り出したフランジ部２４と
を合成樹脂により一体成型したもので、リールハブ２３
の底部外面にリール４を回転駆動するマグネット式の回
転駆動手段を接合させるためのリールプレート８が取り
付けられる。またリールハブ２３の底部内面には、ブレ
ーキボタン９に形成された制止用ギア９Ａと係合して不
使用時のリール４の回転を拘束する制止用ギア２３Ａが
刻設されている。さらにリールハブ２３には、磁気テー
プカートリッジ１を使用する外部記憶装置等の記録再生
装置に設けられたドライブ解除スピンドルが挿通されて
ブレーキボタン９を上方へ移動させるための開口２３Ｂ
が形成されている。

【００１３】ブレーキボタン９は、リールハブ２３と対
向する側に上述した制止用ギア９Ａが形成されており、
それとは反対側に上ケース２に形成されたブレーキガイ
ド突起が嵌合される嵌合溝９Ｂが形成されている。そし
て、ブレーキボタン９はコイルバネ１０により図中下方
に付勢された状態でリールハブ２３内部に装着されてお
り、ブレーキボタン９とリールハブ２３との制止用ギア
９Ａ，２３Ａが噛み合って不使用時におけるリール４の
回転が防止されるようになっている。一方、カートリッ
ジ使用時は、磁気テープ装置のドライブ解除スピンドル
がブレーキボタン９を押圧すると、ブレーキボタン９が
コイルバネ１０の付勢力に抗して図の上方へ移動し、こ
れにより制止用ギア９Ａ，２３Ａの係合が解除され、リ
ール４が回転自在とされる。

【００１４】カートリッジケース７の一側壁には、磁気
テープ２０を引き出すための開口部２６が形成されてい
る。開口部２６にはカートリッジケース７の側壁に平行
な矢印Ａ方向に移動可能なスライドドア２７が取り付け
られている。スライドドア２７は図示しないバネによ
り、開口部２６を閉じる方向に付勢されている。

【００１５】また、磁気テープカートリッジ１はその不
使用時に磁気テープ２０が完全にリール４に巻き込まれ
た状態で、磁気テープ２０の端部に取り付けられたリー
ダピン２１が開口部２６の近傍の上ケース２の下面およ
び下ケース３の上面にそれぞれ形成された凹部２８に着
脱自在に係止される。

【００１６】そして、磁気テープカートリッジ１が対応
する外部記録装置等の記録再生装置にセットされると、
上述したようにブレーキボタン９とリールハブ２３との
制止用ギア９Ａ，２３Ａの係止が解除されてリール４が
回転自在とされるとともに、マグネット式の回転駆動手
段はリールプレート８を介して磁力によってリール４を
非接触で回転する。これとともに、スライドドア２７が
開かれてリーダピン２１がテープ走行路の所定位置に引
き込まれ、磁気テープ２０へのデータの読み書きが可能
となる。

【００１７】上記リーダピン２１は、磁気テープカート
リッジ１を使用する記録再生装置が磁気テープ２０を装
置内のテープ走行路に導入するために保持して引き込む
ものであり、このリーダピン２１を上記凹部２８，２８
に着脱可能に保持するためのバネ部材３０が少なくとも
上ケース２に設けられている。

【００１８】図２〜図４はリーダピン２１の保持構造の
第１の実施の形態を示し、図２は平面図、図３は図２の
III−III 線に沿った断面図、図４は図３のIV−IV線に
沿った断面平面図である。

【００１９】リーダピン２１は、図３に示すように、磁
気テープ２０の先端部が固着される中央軸部２１ａの両
側に記録再生装置側から係合保持される細軸部２１ｂ，
２１ｂが形成され、その両端部に、リーダピン２１をカ
ートリッジケース７に係合保持するためのフランジ２１
ｃ、２１ｃが形成されている。各フランジ２１ｃは、上
述のように、開口部２６近傍の上ケース２の下面および
下ケース３の上面にそれぞれ形成された凹部２８にそれ
ぞれ挿入係止されるとともに、上ケース２の下面および
下ケース３の上面にそれぞれ取り付けられたバネ部材３
０によって両フランジ２１ｃ，２１ｃが着脱可能に保持
される。

【００２０】バネ部材３０は、上ケース２および下ケー
ス３と一体成形により形成されており、上ケース２およ
び下ケース３を厚さ方向に貫通するヘアピン状の切溝３
１によって、自由端をカートリッジケース７の開口部２
６に向けたカンチレバー（片持ち梁）形式の板バネを構
成している。そして、図３から明らかなように、バネ部
材３０の先端部には、カートリッジケース７の内方に向
かって凸となる山型の斜面を備えた保持部３０ａが形成
されている。

【００２１】以上の構成において、図３においては左方
から、また図４においては上方から、リーダピン２１が
開口部２６内へ挿入されると、上述のように開口部２６
近傍の上ケース２の下面および下ケース３の上面にそれ
ぞれ形成された凹部２８内に各フランジ２１ｃが挿入さ
れ、このときのフランジ２１ｃの外周のリーディング側
（図３の右側）がバネ部材３０の保持部３０ａの前方側
（図３の左側）の斜面に当接することにより、バネ部材
３０が弾性的に変形して、フランジ２１ｃの通過が許容
される。そして、フランジ２１ｃの外周のリーディング
側の面が凹部２８の奥面２８ａに当接した時点で、係合
部３０ａが弾性的に復元してフランジ２１ｃの外周のト
レーリング側を係止する。

【００２２】したがって、フランジ２１ｃ，２１ｃは、
凹部２８の奥面２８ａとバネ部材３０の保持部３０ａと
の間に挟着された態様で保持され、リーダピン２１が所
定位置に固定される。

【００２３】次に、磁気テープカートリッジ１が対応す
る外部記録装置等の記録再生装置にセットされ、リーダ
ピン２１の細軸部２１ｂ，２１ｂが記録再生装置側から
係合保持されてリーダピン２１がカートリッジケース７
内から磁気テープ２０を伴って引き出される場合には、
このときの各フランジ２１ｃの外周のリーディング側
（図３の左側）がバネ部材３０の保持部３０ａの後方側
（図３の右側）の斜面に当接することにより、バネ部材
３０が弾性的に変形して、フランジ２１ｃの通過が許容
され、リーダピン２１が記録再生装置内に引き込まれ
る。

【００２４】このように、本実施の形態においては、極
めて簡易な構成によって、リーダピン２１をカートリッ
ジケース７に着脱可能に保持することができる。また、
バネ部材３０，３０がカートリッジケース７に一体成形
で形成されていることにより、バネ部材３０の肉厚変
化、先端形状変化を自由に設定することができるととも
に、カートリッジケース７の組立て時におけるバネ部材
の組付け工程が省略されるから、生産性を向上させるこ
とができる。

【００２５】なお、本実施の形態では、バネ部材３０が
上ケース２および下ケース３の双方に形成されている
が、もしリーダピン２１の上下の横方向の引出し力を同
一にすることが可能であれば、バネ部材３０を一方のケ
ースのみに、例えば上ケース２のみに設けたものでもよ
い。

【００２６】次に、図５〜図７は、リーダピン２１の保
持構造の第２の実施の形態を示し、図５は平面図、図６
は図５のVI−VI線に沿った断面図、図７（ａ），（ｂ）
はバネ部材の形状を示す斜視図である。

【００２７】本実施の形態においても、上述した第１の
実施の形態と同様に、バネ部材３０が、上ケース２およ
び下ケース３と一体成形により形成されているが、第１
の実施の形態におけるバネ部材３０が、カートリッジケ
ース７に対するリーダピン２１の挿入・引出し方向に沿
って延びているのに対し、本実施例では、バネ部材３０
の延長方向がカートリッジケース７に対するリーダピン
２１の挿入・引出し方向と直交している。そのため、バ
ネ部材３０の先端部に形成されてリーダピン２１のフラ
ンジ２１ｃを保持する保持部３０ａが、図７（ａ），
（ｂ）に示すような方向に面する山型の斜面を備えてい
る。

【００２８】そして、リーダピン２１のフランジ２１ｃ
は、第１の実施の形態と同様に、凹部２８の奥面２８ａ
と保持部材３０の係合部３０ａとの間に挟着された態様
で保持される。

【００２９】図８は、リーダピン２１の保持構造の第３
の実施の形態を示す、図３に対応する要部の断面図であ
る。本実施の形態では、バネ部材３０が上ケース２およ
び／または下ケース３にかしめ方式で固着された金属製
またはプラスチック製の板ばねよりなる点が第１の実施
例と異なっている。このため、図９に示すように、バネ
部材３０の根元部にはかしめ用の突起３０ｂが形成さ
れ、この突起３０ｂが例えば上ケース２に形成された孔
２ａ内に上ケース２の下面側から挿入され、上ケース２
の上面に形成された凹部２ｂ内に突出した突起３０ｂの
先端部がかしめられて凹部２ｂ内に大径部３０ｃを形成
するようになっている。

【００３０】次の図１０は、リーダピン２１の保持構造
の第４の実施の形態を示す要部の断面図である。

【００３１】上述した第３の実施の形態では、バネ部材
３０の自由端である保持部３０ａがカートリッジケース
７の開口部２６側に臨み、奥側の根元部においてカート
リッジケース７にかしめ付けられているが、本実施の形
態ではこれとは反対に、バネ部材３０の根元部がカート
リッジケース７の開口部２６側でかしめ付けられてお
り、バネ部材３０の保持部３０ａを構成する自由端が凹
部２８の奥面２８ａに近接している。そして、この場合
の保持部３０ａは山型の斜面を備えておらず、リーダピ
ン２１のフランジ２１ｃの端面に弾接し、フランジ２１
ｃは凹部２８の奥面２８ａまたはリブ等によって所定位
置に位置決めされる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による磁気テープカートリッジの一実施
の形態の分解斜視図

【図２】リーダピンの保持構造の第１の実施の形態を示
す平面図

【図３】図２の III−III 線に沿った断面図

【図４】図３のIV−IV線に沿った断面平面図

【図５】リーダピンの保持構造の第２の実施の形態を示
す平面図

【図６】図５のVI−VI線に沿った断面図

【図７】そのバネ部材の形状を示す斜視図

【図８】リーダピンの保持構造の第３の実施の形態を示
す、図３に対応する要部の断面図

【図９】図８におけるバネ部材のかしめ部の拡大断面図

【図１０】リーダピンの保持構造の第４の実施の形態を
示す要部の断面図

【符号の説明】

１ 磁気テープカートリッジ ２ 上ケース ３ 下ケース ４ リール ７ カートリッジケース ２０ 磁気テープ ２１ リーダピン ２１ｃ フランジ ２６ 開口部 ２７ スライドドア ２８ 凹部 ３０ バネ部材 ３０ａ 保持部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下ケースと該下ケースの上部に重ね合わ
   せられる上ケースとにより形成されたカートリッジケー
   ス内に、磁気テープを巻装した単一のリールが回転可能
   に収容され、前記磁気テープの先端に該磁気テープを引
   き出すためのリーダピンが固着されてなる磁気テープカ
   ートリッジにおいて、 前記リーダピンの上下端部のうちの少なくとも一方に弾
   性的に当接して、該リーダピンを着脱可能に保持するバ
   ネ部材が、前記上下ケースのうちの少なくとも一方に設
   けられていることを特徴とする磁気テープカートリッ
   ジ。