JPH11206063A - 電動機および動力伝達装置並びにその製造方法 - Google Patents

電動機および動力伝達装置並びにその製造方法

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JPH11206063A
JPH11206063A JP9368991A JP36899197A JPH11206063A JP H11206063 A JPH11206063 A JP H11206063A JP 9368991 A JP9368991 A JP 9368991A JP 36899197 A JP36899197 A JP 36899197A JP H11206063 A JPH11206063 A JP H11206063A
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茂隆 永松
Kunio Morisawa
邦夫 森沢
Shuji Nagano
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動機の冷却油およびクラッチの作動油の供
給を行う必要から、動力伝達装置の小型化が困難であっ
た。 【解決手段】 クラッチモータのインナロータを入力軸
に結合し、アウタロータを駆動軸に結合し、永久磁石内
包型のアシストモータの回転軸を、入力軸または駆動軸
に選択的に結合可能なクラッチを介して結合して動力伝
達装置を構成する。クラッチをクラッチモータに結合し
つつ、作動油の通路となるクラッチサポートを設ける。
アシストモータのロータは、永久磁石挿入孔と永久磁石
の隙間に冷却油を流すことにより冷却する。ロータの冷
却後の油を飛散してステータのコイルエンドを冷却す
る。アウタロータは凹凸を有する外形とし、凹部を油路
として冷却する。さらにコイルエンドを樹脂モールド
し、近傍に油路を設けて冷却する。以上の手段により動
力伝達装置の小型化を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動機および電動
機を利用した動力伝達装置並びにこれらの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、回転軸を回転させて動力を出
力する目的で種々の電動機が使用されている。電動機に
は、例えば、外周面に永久磁石を貼付したロータと、コ
イルを巻回したステータからなり、コイルに電流を流す
ことによりステータに生じる磁界と永久磁石による磁界
との相互作用によって回転軸を回転させるものがある。
永久磁石を貼付する代わりにコイルを巻回したロータを
備える電動機もある。
【0003】かかる電動機を運転する際には、コイルに
電流を流すことにより、コイルが発熱する。また、ロー
タやステータ自身も、その内部を貫通する磁束の影響に
より発熱する。同様に、例えばロータに貼付された永久
磁石自身も発熱する。これらの発熱は、電動機の内部を
貫通する磁束に影響を与え、運転効率を低下させる。運
転効率を維持するためには、電動機を冷却する必要があ
る。
【0004】一般に電動機は、ハウジングで覆われた形
で種々の装置の動力源として使用されることが多い。従
って、電動機の冷却には、該ハウジング内に冷却媒体の
通路を設け、該通路内を通過する冷媒による冷却、即ち
液冷が適用されることが多い。このとき、電動機のコイ
ルについての絶縁性は確保しておく必要があるため、冷
却は、ハウジング内でコイルと非接触の部位に設けられ
た冷媒路に冷却水を流す方法や、発熱部位近傍に絶縁性
のある機械油等を流す方法によって行われる。機械油等
の絶縁性の冷媒を用いる方法は、絶縁性を保持しつつハ
ウジング内に冷媒路を設ける必要がないため、ハウジン
グを小型化することが可能であり、また、発熱部位の近
傍を冷媒が流れるため、冷却能力も大きい点で優れてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、回転子が回転
する電動機においては、冷却用の油、つまり冷媒を発熱
部位に供給するための通路(以下、冷媒路という)をい
かに確保するかが問題となる。電動機の運転効率を向上
するために、十分な冷却を行おうとすれば、十分な冷媒
路を確保する必要が生じ、通常の構造では電動機自体の
大型化という別の問題を招くことになる。
【0006】また、電動機の中には、インナロータと、
該インナロータの外周に位置し、インナロータに対して
相対的に回転可能なアウタロータとからなる、いわゆる
対ロータ型の電動機もある。かかる電動機では、インナ
ロータおよびアウタロータの双方が回転可能であるた
め、冷却用の油路を確保することがますます困難とな
る。従来、アウタロータを覆うカバー内に冷媒路を設け
た電動機は存在するが、かかる冷媒路を設けるために
は、カバーの径を大きくする必要があり、電動機の小型
化を図ることが困難であった。また、カバーの径が大き
くなれば、アウタロータの慣性が大きくなるため、運転
効率の低下も招いていた。
【0007】一方、上述した種々の電動機を組み合わせ
て構成された動力伝達装置が提案されている。かかる装
置としては、原動機からの出力軸を対ロータ型の電動機
のインナロータに結合し、アウタロータの回転軸を駆動
軸とするとともに、該駆動軸に別の電動機のロータを結
合した構成がある(例えば、特開昭53−133814
記載の技術)。この動力伝達装置は、対ロータ型の電動
機の作用により、原動機からの出力軸を回転数およびト
ルクを変換して駆動軸に伝達しつつ、さらに駆動軸に結
合された電動機により必要なトルクを付加することがで
きるものである。
【0008】上述した課題を解決し、電動機の小型化を
図ることができても、他の要因により、これらの電動機
を利用した動力伝達装置の小型化を図ることができない
場合には、電動機の小型化による利点が大きく減じてし
まうことになる。また、動力伝達装置の大型化は、この
装置がいわゆるハイブリッド車両に搭載されるような物
である場合には、許容されない場合がある。従って、電
動機の小型化に応じて、かかる電動機を利用する動力伝
達装置についても、小型化を図る必要がある。
【0009】本発明は、上記種々の課題を解決するため
になされたものであり、電動機の小型化を図りつつ、十
分な冷却を行う技術を提供することを第1の目的とす
る。また、電動機を利用した動力伝達装置において、装
置の小型化を図る技術を提供することを第2の目的とす
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では
以下の構成を採用した。本発明の第1の電動機は、電機
子コアと、該電機子コアの外周を覆いつつ該電機子コア
と相対的に回転不能に接合されたカバーとを有する電機
子を備え、回転軸を回転させる作用を奏する電動機であ
って、前記電機子コアと前記カバーとは、該電機子コア
の外周面と前記カバーの内周面との間に少なくとも一カ
所の空隙を有する状態で接合されており、前記電動機の
回転中において、前記空隙の少なくとも一部に冷却剤を
供給する供給手段を備えることを要旨とする。
【0011】かかる電動機は、電機子コアとカバーが、
両者の間に、少なくとも一カ所の空隙を有する状態で接
合されており、かかる空隙に冷却材を供給する供給手段
を有している。従って、上記空隙を冷媒の通路(以下、
冷媒路とよぶ)として使用することにより、電動機の冷
却を行うことができる。この場合の冷媒としては、例え
ばいわゆる機械油等、絶縁性のある種々の流体を用いる
ことができ、必ずしも液体に限定はされない。また、電
機子コアとカバーとの空隙を冷媒路として利用すること
により、カバー自体に冷媒路を設ける等の必要がないた
め、電機子コアの径を小さくすることができ、ひいては
電動機自体の小型化を図ることができる。さらに、上記
電動機によれば、発熱部位の一つである電機子コアと冷
媒との接触面積を増加させることができるため、冷却効
率も向上させることができる。
【0012】なお、上記発明によれば電動機の製造上の
利点も存在する。電機子コアとカバーは元来、別の部品
である。例えば、電機子コアまたはカバー自体に冷媒路
を設ける場合には、当該部品に冷媒路を形成する工程が
必要となるのに対し、上記電動機では、両者を接合する
工程に併せて冷媒路を形成することができるため電動機
の製造工程を短縮することもできる。
【0013】ここで「電機子コア」なる用語について定
義する。電機子は、電機子コイルと該コイルが巻回され
る電機子鉄心およびこれらを覆うカバー等から構成され
る。上記発明における電機子コアとは本明細書におい
て、かかる構成を有する電機子のうち、カバーを除いた
部分を意味するものと定義する。従って、電機子コイル
が巻回された電機子鉄心の外周面に絶縁性の塗装がされ
ている場合や、前記冷媒が漏れるのを防止するためのシ
ール加工が施してある場合等はこれらの部分も含めたも
のが電機子コアに相当する。なお、本明細書において、
電機子鉄心なる用語を用いることがあるが、電動機につ
いての一般的用語として用いるものであり、鉄で製造さ
れたものに限定することは意味しない。
【0014】なお、上記電動機は、直流電動機か交流電
動機かの区別は問わず、また、ロータとステータとから
なる電動機の他、いわゆる対ロータ型の電動機であって
も構わない。また、電機子にはロータ(アウタロータも
含む)およびステータの双方が含まれる。
【0015】上記電動機の形状としては、例えば、前記
電機子コアは、軸中心から外周までの距離が、所定の半
径よりも短い部分を有する断面形状であり、前記カバー
は、略円筒状であるものとすることができる。
【0016】こうすれば、電機子コアが前記所定の半径
よりも短い部分において、電機子コアとカバーとの間に
冷媒路となる空隙を造ることができる。また、カバーが
略円筒状であるため、さらに製造が容易になる利点もあ
る。なお、所定の半径とは、カバーの内径に相当する半
径である。
【0017】また、上記電動機において前記電機子コア
は、軸中心から外周までの距離が、所定の半径よりも短
い部分を有する断面形状をなす電機子鉄心と、前記カバ
ーと相対的に回転不能に接合され、かつ前記電機子鉄心
の外周を実質的に空隙なく覆う電機子ケースとを有する
ものとすることもできる。
【0018】こうすれば、電機子ケースとカバーとの間
に冷媒路となる空隙を構成することができる。また、一
般に電機子鉄心は、薄板を軸方向に積層して構成される
ため、冷媒が漏れる可能性があるが、上記構成によれば
その可能性はない。
【0019】さらに、上記電機子ケースはカバーと相対
的に回転不能に接合されており、所定の半径よりも短い
部分を有する断面形状をなす電機子鉄心を空隙なく覆う
ものである。従って、電機子鉄心を電機子ケースに対し
相対的に回転不能にするためには、該電機子ケースに電
機子鉄心を挿入するだけで十分である。この結果、回転
軸回りの電動機の重量バランスを向上することができ、
また、製造を容易にすることもできる。
【0020】かかる電機子ケースの製造は、種々の方法
により可能であるが、電機子ケースを非常に低コストで
製造することができる方法として、薄板からなる筒をグ
ローブ転造により変形させて製造されたケースであるも
のとすることが望ましい。
【0021】さらに、上記電動機は、前記回転軸まわり
に回転可能なロータと、該ロータに対し相対的に回転可
能な電機子からなる対ロータ電動機であるものとするこ
ともできる。
【0022】上記発明は、電機子の小型化を図ることが
できるため、ロータに適用すれば慣性を低減することが
できる利点がある。かかる観点から、対ロータ型の電動
機に適用した場合には、非常に有効性が高いものであ
る。
【0023】本発明の第1の電機子の製造方法は、回転
軸を回転させる電動機の電機子を製造する製造方法であ
って、少なくとも軸中心から外周までの距離が、所定の
半径よりも短い部分を有する断面形状からなる電機子鉄
心を形成する工程と、該電機子鉄心の外径と略同一の内
径を有する円筒を形成する工程と、前記円筒を前記電機
子鉄心の外周を実質的に空隙なく覆う形状に変形させた
電機子ケースを形成する工程と、該電機子ケースの最大
径と略同一の内径の円筒状部分を有するカバーを形成す
る工程と、該カバーと前記電機子ケースとの接面を相対
的に回転不能に結合する工程と、前記電機子ケースに電
機子鉄心を挿入する工程とを備えることを要旨とする。
【0024】かかる製造方法により、先に説明した第1
の電動機について、一例としての構成を有する電機子を
製造することができる。かかる製造方法では、軸中心か
ら外周までの距離が、所定の半径よりも短い部分を有す
る断面形状からなる電機子鉄心の外径と略同一の内径を
有する円筒を、該電機子鉄心の外周を覆う形状に変形さ
せることにより、電機子ケースを形成する。かかる成形
には種々の方法を適用することができるが、転造による
加工が可能である。
【0025】また、電機子ケースを上述した形状に変形
した後に電機子鉄心を挿入するものとしてもよいし、円
筒状の電機子ケースに電機子鉄心を挿入した後に該電機
子ケースを上記形状に変形するものとしてもよい。かか
る変形方法としては、火薬の爆発時の圧力を利用した、
いわゆる爆発成形等が挙げられる。
【0026】上記電機子ケースとカバーとの結合には、
溶接や接着など、周知の種々の技術を適用することがで
きる。また、いわゆる拡散接合などにより両者を一体的
に結合する方法を用いるものとしてもよい。
【0027】本発明の第2の電動機は、電機子鉄心と該
電機子鉄心に巻回された電機子コイルを有する電機子を
備え、回転軸を回転させる作用を奏する電動機であっ
て、前記電機子は、前記電機子を覆い、前記電機子コイ
ルが前記電機子鉄心から軸方向にはみ出した部分である
コイルエンドの近傍に冷却剤が通過する空隙を有するカ
バーと、該コイルエンドから該カバーへの熱伝達を可能
とする熱伝達部材とを有し、前記電動機の回転中におい
て、電機子鉄心と前記カバーとの空隙に冷却剤を供給す
る供給手段を備えることを要旨とする。
【0028】かかる電動機によれば、コイルエンド近傍
に冷媒路を設けることができるため、コイルエンドを効
率よく冷却することができる。電動機にある種々の発熱
部位のうち、電流が流れることにより発熱するコイルエ
ンドはもっとも発熱量が大きく、また電動機への効率に
も最も影響を与える部分である。上記発明では、該コイ
ルエンドとカバーとの間に熱伝達部材による熱伝達経路
を形成することで、カバーに設けられた冷媒路によりコ
イルエンドの冷却を可能とした。かかる熱伝達部材とし
ては、コイルエンドとカバーとの間の空間を熱伝達性の
樹脂で埋めたものや、絶縁加工を施した金属部剤で両者
を連結する方法等が挙げられる。
【0029】かかる電動機において、前記冷却材が通過
する空隙は、前記カバーに形成された溝部と、該溝部と
前記コイルエンドとを仕切る仕切り板により構成される
空隙であり、前記熱伝達部材は、前記コイルエンドと前
記仕切り板との間の熱伝達が可能となるように樹脂成形
された部材であるものとすることができる。
【0030】かかる電動機によれば、カバーに形成され
た溝部と仕切板の両者により冷媒路を形成するため、冷
媒路の加工を容易に行うことができる。また、この仕切
り板とコイルエンドとの間を樹脂で埋めることにより
(以下、モールドとよぶ)、先に形成された冷媒路を保
持したまま、両者間の熱伝達を可能にすることができ
る。従来より、コイルエンドを樹脂でモールドすること
により、カバーへの熱伝達を可能にする技術は知られて
いたが、本発明では、上述の仕切り板の採用により、冷
媒路をコイルエンド近傍に残したまま、モールドするこ
とが可能となった。この結果、コイルエンドの冷却を非
常に効率的に行うことができる。
【0031】また、上記電動機においては、前記冷却剤
が通過する空隙とは別に、前記電機子の内周面から外周
面に貫通する冷却剤の通路を備えるものとすることもで
きる。
【0032】電機子の内周側にロータが存在する場合、
かかる部分に冷却剤が多量に入り込むと、電機子内周面
との間で摩擦抵抗を生じることになり、電動機の運転効
率を低下させることになる。上記電動機によれば、電機
子の内周面から外周面に貫通する冷媒路を有しているた
め、電機子内周面に入り込んだ冷媒が上記摩擦抵抗を生
じる程にたまることがない。
【0033】本発明の第2の電機子の製造方法は、回転
軸を回転させる電動機の電機子を製造する製造方法であ
って、(a) 電機子を構成する電機子鉄心から軸方向
にはみ出したコイルエンドを有するように電機子コイル
を巻回する工程と、(b) 該電機子を覆うカバーであ
って、前記コイルエンド近傍に冷却材が通過するための
溝部を有するカバーを形成する工程と、(c) 前記溝
部と前記コイルエンドを仕切り板により仕切った上で、
前記カバーと前記電機子鉄心とを結合する工程と、
(d) 前記回転軸に結合された回転子が回転する空間
を内部に残しつつ、前記コイルエンドと前記仕切り板と
一体的に樹脂で結合する工程とを備えることを要旨とす
る。
【0034】かかる製造方法により、先に説明した第2
の電動機について、一例としての構成を有する電機子を
製造することができる。先に説明した通り、カバーに形
成された溝部を仕切り板により仕切った上で、コイルエ
ンドを樹脂でモールドするため、コイルエンド付近に冷
媒路を容易に形成することができる。
【0035】上記電機子の製造方法において、前記工程
(d)に先立って、(e1) 前記溝部とは別に、前記
電機子の内周面から外周面に貫通する貫通孔を形成する
工程と、(e2) 前記工程(d)を施した結果、前記
電機子の内周面から外周面に貫通する状態で前記貫通孔
が存在するように、該貫通孔への樹脂の流入を防止する
工程とを備えるものとすることもできる。
【0036】こうすれば、上述のコイルエンドに対する
樹脂によるモールドを行いつつ、電機子の内周面から外
周面に貫通する貫通孔を容易に形成することができる。
【0037】本発明の第3の電動機は、回転軸に結合さ
れた回転子が、該回転軸の軸方向に沿って形成された永
久磁石挿入孔に挿入された永久磁石を有する磁石内包型
の電動機であって、前記永久磁石の径方向の厚さは、前
記永久磁石挿入孔の径方向の間隔よりも小さくなってお
り、前記電動機の回転中において、該永久磁石と永久磁
石挿入孔との間に径方向に生じる空隙に、冷却剤を供給
する供給手段を備えることを要旨とする。
【0038】かかる電動機は、永久磁石の径方向の厚さ
が、永久磁石磁石挿入孔の径方向の間隔よりも小さくな
っているため、電動機の回転中においては、遠心力によ
り両者の間に一定の空隙が生じる。上記電動機では、か
かる空隙に冷媒を供給することにより、永久磁石の冷却
を効率的に行うことができる。
【0039】本発明の第4の電動機は、回転軸に結合さ
れ、該回転軸方向に沿って冷却剤が通過する空隙を有す
る回転子と、該空隙に冷却剤を供給する供給手段と、電
機子鉄心と電機子コイルとからなり前記回転子の外周に
位置する電機子を備える電動機であって、前記回転子
は、前記電動機の回転中において、前記電機子コイルが
前記電機子からはみ出した部分に、該回転子から排出さ
れる冷却剤が飛散する位置に冷却剤の排出孔を有するこ
とを要旨とする。
【0040】かかる電動機では、電動機の運転中に、回
転子の軸方向に冷媒を通過させることにより、該回転子
を冷却する。この冷媒は、該回転子の一端から排出され
るが、上記電動機では、排出された冷媒が、回転しの外
周に位置する電機子のコイルエンドに飛散するように排
出孔が設けられている。従って、排出された冷媒は、さ
らにコイルエンドをも冷却することができる。この結
果、上記電動機によれば電動機の冷却を効率的に行うこ
とができる。
【0041】なお、回転子に設けられた冷媒路として
は、種々の経路が可能であり、回転子が先に説明した磁
石内包型のロータである場合には、永久磁石と永久磁石
挿入孔との間の空隙を利用するものとすることができる
のは当然である。また、冷媒は、回転子の軸方向の中央
付近から供給し両端から排出するものとしてもよいし、
軸方向に回転子の一端から供給し他端から排出するもの
としてもよい。
【0042】かかる電動機において、前記回転子は、前
記排出孔が該回転子の第1の端部に有する前記空隙と、
前記排出孔が該回転子の他の端部に有する前記空隙とを
混在させて、該回転子の周方向に複数有するものとする
こともできる。
【0043】軸方向に回転子の一端から冷媒を供給し、
他端から排出する電動機の場合においては、排出された
冷媒では、軸方向のいずれか一方のコイルエンドしか冷
却することができない。上記発明の電動機によれば、回
転子に複数の冷媒路が設けられており、冷媒が一の軸方
向に通過する冷媒路と、逆の方向に通過する冷媒路とが
存在する。かかる電動機が運転されれば、結局回転子の
両端から冷媒が排出されることになるため、その外周に
位置する電機子の双方のコイルエンドを冷却することが
できる。
【0044】本発明の第1の動力伝達装置は、同じ中心
軸まわりに回転可能な第1、第2、第3の回転軸と、該
第1の回転軸に結合された第1の回転子および第2の回
転軸に結合され該第1の回転子に対し相対的に回転可能
な第2の回転子からなる対ロータ電動機と、該第3の回
転軸に結合された第3の回転子および該第3の回転子周
りに固定された固定子からなる電動機と、該第3の回転
軸を前記第1の回転軸および第2の回転軸に選択的に結
合可能な結合装置とを備え、前記第1の回転軸から入力
された動力を前記第2の回転軸に伝達する動力伝達装置
であって、該結合装置を前記対ロータ電動機または前記
電動機のいずれか一方にのみ機械的に結合された状態で
保持可能とし、かつ、該結合装置を作動するための作動
油が通過する経路を構成する保持部材を有することを要
旨とする。
【0045】かかる動力伝達装置は、電動機と対ロータ
電動機を備える点では、従来技術として説明した動力伝
達装置(特開昭53−133814記載の動力伝達装
置)と同様であるが、更に、技術電動機の回転子に結合
された第3の回転軸を、動力が入力される第1の回転軸
と動力を出力する第2の回転軸にいずれか一方に選択的
に結合可能な結合装置を有している点で相違する。かか
る構成は、従来にはなかたものであるため、本発明の効
果を説明するに当たり、最初にこの結合装置の意義につ
いて説明する。
【0046】電動機と対ロータ電動機を用いた動力伝達
装置は従来より提案されていた。かかる動力伝達装置の
構成例を図29に示す。この動力伝達装置は、図29に
示す通り、原動機EGの出力軸CSに対ロータ電動機C
Mのインナロータを結合し、この対ロータ電動機のアウ
タロータを駆動軸DSに結合するとともに、さらに該駆
動軸DSに電動機AMのロータを結合した構成をなして
いる。
【0047】かかる動力伝達装置の作用を図30を用い
て説明する。図30は、図29に示した動力伝達装置に
より、原動機EGから回転数Ne,トルクTeで出力さ
れている動力を、駆動軸DSから回転数Nd,トルクT
dなる動力に変換して出力する場合の動力の変換を示し
ている。動力伝達効率が100%とすれば、当然、動力
PWについて、PW=Ne×Te=Nd×Tdが成立す
る。図30中の曲線は、動力PWが一定となる回転数お
よびトルクの関係を示している。
【0048】図30に示すように、駆動軸DSの回転数
Ndが原動機EGの回転数Neよりも小さい場合(言い
換えれば、Td>Teのとき)には、対ロータ電動機C
Mは、インナロータが回転数Ne、アウタロータが回転
数Ndでそれぞれ回転しているため、アウタロータのイ
ンナロータに対する相対的な回転は、駆動軸DSの回転
方向と逆方向になる。このとき、対ロータ電動機CMで
はかかる相対的な滑りに応じた電力が回生されることに
なる。駆動軸DSには、原動機EGから出力されたトル
クTeから、回生に要する負荷分だけ減じられたトルク
が伝達される。
【0049】駆動軸DSへの出力が要求されているトル
クTdは原動機EGの出力トルクTeよりも大きいた
め、駆動軸DSに結合された電動機AMに電力を供給し
て力行することにより、不足分のトルクを付加する必要
がある。この電力には、先に対ロータ電動機CMで回生
された電力が充てられる。上述の動力伝達装置は、かか
る作用により原動機EGから出力される動力を所望のト
ルクおよび回転数に変換して駆動軸DSに出力すること
ができる。
【0050】一方、駆動軸DSの回転数Ndが原動機E
Gの回転数Neよりも大きい場合(言い換えれば、Td
<Teのとき)、上述の例とは逆にアウタロータのイン
ナロータに対する相対的な回転は、駆動軸DSの回転方
向と同方向になる。従って、対ロータ電動機CMを力行
して回転数を増大する必要がある。原動機EGから出力
されているトルクTeを、駆動軸DSに要求されている
トルクTdに一致させるため、電動機AMは回生運転す
ることにより駆動軸DSに負荷を与える。この回生時に
得られた電力は、対ロータ電動機CMに供給される。
【0051】以上から明らかな通り、駆動軸DSの回転
数Ndが原動機EGの回転数Neよりも低い場合には駆
動軸DSに結合された電動機AMが力行運転されること
になり、高い場合には対ロータ電動機CMが力行運転さ
れることになる。この結果、対ロータ電動機CMおよび
電動機AMれぞれ負のトルクの出力に相当する回生運転
から、正のトルクを出力する力行運転まで幅広い運転状
態で運転できる必要が生じるため、それぞれの定格値を
大きくする必要がある。これは、各電動機の大型化を招
き、また、全体的な運転効率の低下を招くことにもな
る。
【0052】電動機AMと対ロータ電動機CMとを用い
た動力伝達装置は、上述した構成の他に、原動機EGの
出力軸CSに電動機AMのロータおよび対ロータ電動機
CMのインナロータを結合し、駆動軸DSにアウタロー
タを結合する構成も可能である。かかる構成を採る動力
伝達装置では、上述した動力伝達装置とは逆に、駆動軸
DSの回転数Ndが原動機EGの回転数Neよりも低い
場合には対ロータ電動機CMが力行運転され、高い場合
には電動機AMが力行運転される。
【0053】従って、電動機AMと対ロータ電動機CM
とを用いた動力伝達装置において、電動機AMのロータ
を原動機EGの出力軸CSと駆動軸DSに選択的に結合
可能な結合装置、例えばクラッチを設け、駆動軸DSの
回転数Ndが原動機EGの回転数Neよりも低い時には
電動機AMを駆動軸DSに結合させ、高い時には出力軸
CSに結合させるように制御すれば、電動機AMを常に
力行運転することができる。当然、対ロータ電動機CM
は常に回生運転されることになる。かかる動力伝達装置
によれば、電動機AMおよび対ロータ電動機CMの運転
状態を、比較的狭い範囲に限定することができる。この
結果、それぞれの電動機として各運転状態に適したもの
を用いることができ、動力伝達装置の小型化および効率
向上を図ることができる。
【0054】本発明の動力伝達装置に備えられた結合装
置は、このように動力伝達装置の小型化および効率向上
に必要不可欠なものである。本発明の動力伝達装置は、
かかる意義を有する結合装置を前記対ロータ電動機また
は前記電動機のいずれか一方にのみ機械的に結合された
状態で保持可能とし、かつ、該結合装置を作動するため
の作動油が通過する経路を構成する保持部材を有してい
る。上述した結合装置を備える動力伝達装置の構成は、
多くの要素を相関をもたせて結合することが必要となる
ため、一般には製造が困難な非常に複雑な構成となる。
これに対し、本発明では、上述の保持部材を有すること
により、対ロータ電動機または電動機のいずれか一方と
結合装置とが一体的に構成可能となり、製造が非常に容
易になる。また、かかる保持部材にこの結合装置を作動
するための作動油が通過する経路を設けているため、別
途、作動油の経路を設ける場合に比較し、動力伝達装置
全体の小型化を図ることができる。さらに、かかる発明
によれば、保持部材が結合された対ロータ電動機または
電動機の冷却用の冷媒と結合装置の作動油とを兼用する
ことが可能となり、装置の一層の小型化を図ることが可
能となる利点もある。
【0055】上記動力伝達装置においては、さらに前記
中心軸方向に、前記電動機に結合された前記第3の回転
軸の一端を支持する第1の軸受け、前記電動機、前記第
3の回転軸の他端を支持する第2の軸受け、前記結合装
置、前記第2の回転軸の一端を支持する第3の軸受け、
前記対ロータ電動機、前記第2の回転軸の他端を支持す
る第4の軸受けの順に配列された構造をなし、前記第1
の軸受けを保持する第1のハウジングと、前記第2の軸
受けを保持する第2のハウジングと、前記保持部材を介
して前記結合装置、前記第3および第4の軸受けを保持
する第3のハウジングを有し、該第1のハウジング、第
2のハウジングおよび第3のハウジングは、各結合部位
につき、三者が一の締結部材で締結され、かつ、該結合
部位は、該締結部材の中心軸を前記動力伝達装置の中心
軸に向けて平行移動することにより構成される平面内
に、他の締結部材が存在しない部位であることを特徴と
するものとしてもよい。
【0056】かかる動力伝達装置では、装置の外形を構
成するハウジングを小型化することができる。上述の保
持部材を有しない動力伝達装置の場合、ハウジングの結
合により、電動機、対ロータ電動機、および結合装置を
それぞれ固定していくことになる。かかる場合には、例
えば3つのハウジングを一の締結部材でまとめて結合す
ることは非常に困難である。また、電動機および対ロー
タ電動機の軸受けを順に固定していく必要から、ハウジ
ングは最低3つが必要となる。この結果、上述の保持部
材を有しない動力伝達装置の場合には、例えば、第1と
第2のハウジングを一の締結部材で結合し、これらと第
3のハウジングとをさらに別の締結部材で締結すること
が必要となる。このように2つの締結部材を使用する場
合には、ハウジングの機械的強度を保持する関係上、結
合部位を径方向に所定の間隔だけ開ける必要があるか
ら、動力伝達装置がその分大型化することになる。
【0057】これに対し、本発明の動力伝達装置では、
保持部材により結合装置を電動機等に予め固定すること
が可能であるため、3つのハウジングを一の締結部材で
まとめて結合することができる。かかる構造を採ること
により、上述した締結部位の間隔が不要となるから、動
力伝達装置の外径を小さくすることができる。また、本
発明の動力伝達装置は、該締結部材の中心軸を前記動力
伝達装置の中心軸に向けて平行移動することにより構成
される平面内に、他の締結部材が存在しない部位を締結
部位とすることにより、装置の更なる小型化を図ってい
る。かかる部位を締結部位とすれば、他の締結部材との
干渉を考慮する必要がなくなり、中心軸から結合部位ま
での距離を最も短くすることができるため、装置を小型
化することが可能になるのである。
【0058】
【発明の実施の形態】(1)全体構成 本発明の実施の形態について、実施例に基づいて以下に
説明する。図1は、本発明の電動機および動力伝達装置
を用いた動力出力装置の概略構成を示す説明図である。
【0059】この動力出力装置は、エンジン10のクラ
ンクシャフトに動力伝達装置100の入力軸102が結
合されている。この動力伝達装置100の内部は、大き
くはアシストモータ200、クラッチモータ300と3
つの回転軸を有するクラッチ110から構成されてい
る。動力伝達装置100の入力軸102は、クラッチ1
10の第1の回転軸112に結合されると共に、クラッ
チモータ300のインナロータ310に機械的に結合さ
れている。クラッチモータ300のアウタロータ340
はクラッチ110の第2の回転軸114に結合されると
ともに、駆動軸104にも結合されている。また、アシ
ストモータ200のロータ210はクラッチ110の第
3の回転軸116に結合されている。クラッチ110は
油圧により作動する湿式多板クラッチであり、アシスト
モータ200のロータ210が結合された第3の回転軸
116を、入力軸102に結合された第1の回転軸11
2、またはアウタロータ340が結合された第2の回転
軸114に選択的に結合可能としている。
【0060】かかる構成により、入力軸102から入力
された動力は、クラッチモータ300のインナロータ3
10とアウタロータ340の電磁的な結合を介して、電
力を回生しつつ、所望の回転数に変換され、駆動軸10
4に伝達される。また、所望のトルクが駆動軸104か
ら出力されるように、アシストモータ200を力行する
ことによりトルクが付加される。アシストモータ200
を力行するための電力には、クラッチモータ300の回
生電力が用いられる。こうして、エンジン10から出力
された動力は、回転数およびトルクの異なる動力として
駆動軸104に出力される。
【0061】動力出力装置の機械的な構成は、上述の通
りであるが、エンジン10等の運転を制御するために、
種々の装置が電気的に接続されている。エンジン10に
は、その運転を制御するためのEFIECU20が接続
されている。EFIECU20は、内部にCPU,RA
M,ROMを備えるマイクロコンピュータである。ま
た、アシストモータ200およびクラッチモータ300
は、それぞれトランジスタインバータを構成する駆動回
路30,40に接続されている。これらの駆動回路3
0,40は、制御ユニット50に接続されており、制御
ユニットから出力される信号に基づいて、トランジスタ
インバータを構成する各トランジスタのオン・オフが制
御される。また、駆動回路30,40は、電源としての
バッテリ60に接続されている。このバッテリ60は、
クラッチモータ300からの発電量とアシストモータ2
00等での消費電力のバランスが崩れている場合に、充
放電される。
【0062】制御ユニット50には、EFIECU20
も接続されており、制御ユニット50はEFIECU2
0を介してエンジン10の運転をも制御する。こうし
て、制御ユニット50の制御により、動力出力装置は要
求された動力を駆動軸104から適切に出力することが
できるようになっている。なお、制御ユニット50およ
びEFIECU20には、各要素を制御するために必要
となるセンサやスイッチ類が接続されているが、本発明
では、これらの制御に主眼があるものではないため、省
略した。
【0063】(2)アシストモータ200の構成 次に、上述の動力伝達装置100を構成する各要素につ
いて、詳細な構成を説明する。まず、アシストモータ2
00の構成について説明する。このアシストモータ20
0は、詳しくは永久磁石内包型の三相同期モータであ
る。図2は、回転軸270を含む平面における断面図で
ある。図3は、回転軸270に直交する断面における断
面図である。図2および図3に示す通り、このアシスト
モータ200は、ステータ240、ロータ210、回転
軸270およびこれらを収納するステータケース250
とからなる。
【0064】ステータ240は、無方向性電磁鋼板の薄
板を打ち抜いて形成された板状ステータ242を回転軸
270方向に積層することにより形成されており、その
断面形状は、図3に示すように、計12個のティース2
44を備える。板状ステータ242の表面は絶縁層およ
び接着層が形成されており、ステータ240はこの板状
ステータ242を積層し互いに押圧した状態とした上
で、接着層を加熱・溶融して一応固定される。この後、
ステータ240には、ティース244間に形成されたス
ロット246に、ステータ240に回転磁界を生じさせ
るコイル248が巻回される。コイル248の巻回の仕
方には、種々の方法があり、また周知の技術でもあるた
め、ここでは説明を省略する。こうしてコイル248が
巻回されたステータ240をステータケース250に組
み付け、ボルト孔に固定用のステータ固定用ボルト25
2を通し、これを締め付けて全体を固定する。
【0065】ロータ210も同様に、無方向性電磁鋼板
を打ち抜いて成形した板状ロータ212を回転軸270
方向に複数枚積層して構成されている。この板状ロータ
212は、図3に示すように、外周面に均等に8カ所の
突極213ないし220を備える。これらの突極213
ないし220のうち、直交する4カ所の突極217ない
し220には永久磁石221ないし224を挿入するた
めの永久磁石挿入孔217aないし220aが設けられ
ている。板状ロータ212を積層した後、図2に示した
断面形状をなす回転軸270を圧入し、積層した板状ロ
ータ212を仮止めする。電磁鋼板を素材とする板状ロ
ータ212は、その表面に絶縁層と接着層が形成されて
おり、積層後所定温度に加熱され、接着層が溶融するこ
とにより固定される。こうして形成された状態のロータ
210をロータコア225と呼ぶものとする。
【0066】こうしてロータコア225を形成した後、
先に説明した永久磁石挿入孔217aないし220aに
永久磁石221ないし224を挿入する。これらの永久
磁石221ないし224は、ロータ210の半径方向に
磁化されており、その極性は隣り合う磁石同士が互いに
異なる磁極となっている。例えば、永久磁石221は外
周面がN極であり、その隣の永久磁石222は外周面が
S極となっている。永久磁石221ないし224が挿入
された後、ロータコア225の両端には、回転軸270
と一体となってロータケースを構成するフタ226,2
27が固定される。
【0067】こうして形成されたロータ210を、先に
説明したステータ240が固定されたステータケース2
50に軸受け228,229を介して固定することによ
り、アシストモータ200が完成する。ステータ240
に巻回されたコイル248に三相交流を流すことによ
り、回転磁界を生じさせれば、ロータ210に挿入され
た永久磁石221ないし224により生じる磁界との相
互作用により、回転軸270まわりにロータ210が回
転する。
【0068】次に、アシストモータ200の運転中に、
これを冷却するための構成について説明する。図4はロ
ータ210の永久磁石挿入孔217aを示す拡大図であ
る。永久磁石挿入孔217aないし220aを有するロ
ータコア225を形成した後に、該挿入孔に永久磁石2
21ないし224を挿入する都合から、図4に示す通り
永久磁石221ないし224の外寸は、永久磁石挿入孔
217aないし220aの内寸よりもやや小さく作られ
ている。図4では、径方向を強調して示しているが、周
方向にも若干の隙間が生じている。
【0069】このような隙間を有するアシストモータ2
00が運転されると、永久磁石挿入孔217aないし2
20aに挿入された永久磁石221ないし224には遠
心力が作用するため、永久磁石221ないし224は外
周方向に押しやられ、図5に示す通り、永久磁石挿入孔
217aないし220aの内周面に空隙GP1が生じ
る。本実施例では、かかる隙間GP1に冷却用の油を通
過させることにより、ロータ210の発熱部位の一つで
ある永久磁石221ないし224の冷却を可能としてい
る。
【0070】図6は永久磁石221ないし224とロー
タコア225の間の空隙GP1に油を供給する様子を示
した説明図である。図3では図示を省略したが、ロータ
210の回転軸270には、図6に示す通り、冷媒とし
ての油の通路276(以下、油路という)が軸方向に形
成されている。この油は後述するクラッチ110の作動
油と同一の油であり、いわゆる機械油である。油路27
6は、ロータ210の回転軸270から、ロータ210
の支持部272内を通り、さらにロータ210のロータ
ケース274内を外周方向に通って、永久磁石挿入孔2
17aないし220aの一端に至る。冷媒としての油
は、かかる油路276を経て永久磁石挿入孔217aな
いし220aの一端から入り、永久磁石挿入孔217a
ないし220aと永久磁石221ないし224との空隙
GP1を軸方向に通って、他端の排出口278から排出
される。
【0071】このように油路276を形成すれば、回転
軸270から油を供給するため、ロータ210が回転中
であっても油路276を確保できる利点がある。また、
アシストモータ200の運転中、油には図6の支持部2
72やケース274において遠心力が作用するため、外
部から油圧ポンプ等で油を強制的に供給しなくても、油
路276に油を通過させることができる利点もある。な
お、図6に示した様に永久磁石挿入孔217aないし2
20aの一端から他端に向けて油を通過させるような油
路276の他、図6に破線で示す通り、ロータコア22
5の内部を半径方向に貫通するように油路276を設
け、永久磁石挿入孔217aないし220aの中央から
両端に向けて油を通過させるようにしてもよい。かかる
油路276は、ロータコア225の内部に空隙ができる
ため、ロータ210の磁気回路的には好ましくないが、
油路276を形成しやすいという利点がある。
【0072】なお、図6では、ロータケース274とロ
ータコア225との境界を油路276として示している
が、ロータケース274内部に油路276を形成するも
のとしても構わない。また、図7に示すように、油がス
テータ240のコイルエンド249a,249b部分に
飛散するような位置および角度で油の排出孔278を設
けてもよい。コイルエンド249a,249bとは、ス
テータ240に巻回したコイル248がステータ240
のティース244から軸方向にはみ出した部分をいう。
ロータ210にかかる排出孔278を設ければ、ロータ
210の回転中において、永久磁石221ないし224
の冷却に用いられた油は、その後コイルエンド249a
に飛散し、コイエルエンド249aを冷却することがで
きる。
【0073】この場合、図7に示した構成では、ステー
タ240の一方のコイルエンド249aしか冷却するこ
とができない。これに対し、図8に示す通り、4カ所備
えられている永久磁石挿入孔217aないし220aに
対し、油の通過する方向を一部の挿入孔で逆転させるよ
うにするものとしてもよい。図8中に矢印で示したの
は、それぞれ永久磁石挿入孔217aないし220aに
生じる空隙に油が通過する方向を意味している。かかる
構成によれば、ロータ210の回転時にはその両端から
油が排出されることになるため、ステータ240の両端
のコイルエンド249a,249bを冷却することがで
きる。なお、図8では隣接する挿入孔で油の通過する方
向を逆転させているが、少なくとも一カ所の永久磁石挿
入孔で油の通過する方向が異なっていればよく、いずれ
の挿入孔で方向を逆転させるかについては自由に選択可
能である。
【0074】ステータ240の冷却については、後述す
るクラッチモータ300と同様の方法を適用しているた
め、ここではその詳細については省略する。以上で説明
したアシストモータ200によれば、その運転中におい
て永久磁石221ないし224およびステータ240の
コイルエンド249a,249b等の発熱部位を効率的
に冷却することができる。この結果、アシストモータ2
00を効率的に運転することができる。また、冷却に必
要となる油路276には、永久磁石挿入型の電動機にお
いて必然的に生じる空隙を利用している。従って、油路
276の形成に際し、アシストモータ200の大型化を
招くこともない。さらに、かかる冷却において、油の供
給は遠心力の作用により行われるため、油圧ポンプ等の
外的な動力を必要としないという利点も有している。
【0075】(3)クラッチモータ300の構成 次に、クラッチモータ300の構成について説明する。
図9は、回転軸302,304を含む平面についてのク
ラッチモータ300の断面図である。図9に示す通り、
クラッチモータ300は、対ロータ型の三相同期モータ
として構成されており、回転軸302に結合されたイン
ナロータ310と、別の回転軸304に結合されたアウ
タロータ340から構成されている。両回転軸302,
304の回転中心は一致している。
【0076】インナロータ310は、アシストモータ2
00におけるロータ210と同様、永久磁石内包型の構
成をしている。つまり、無方向性電磁鋼板を打ち抜いて
形成され、突極を有する断面形状をなす板状インナロー
タ312を積層してインナロータコア314が構成さ
れ、この突極に設けられた永久磁石挿入孔に永久磁石が
挿入されている。また、図9では図示を省略するが、ア
シストモータ200におけるロータ210と同様、永久
磁石と永久磁石挿入孔との隙間に冷却用の油を供給する
ための油路が設けられている。
【0077】アウタロータ340についても、無方向性
電磁鋼板を打ち抜いて形成された板状アウタロータ34
2を軸方向に積層して形成されている点については、イ
ンナロータ310と同様である。図10にアウタロータ
340の断面形状を示す。図10に示す通り、アウタロ
ータ340は、外径が一定ではない断面形状をなしてい
る。つまり、アウタロータ340の外周は、ティース3
44の位置および各ティース344の中間において凹状
になっている。
【0078】かかる断面形状をなす板状アウタロータ3
42は、複数積層された後、加熱され、接着層が溶融す
ることにより固定される。この状態をアウタロータコア
346346と呼ぶものとする。こうして形成されたア
ウタロータコア346をその外周を隙間無く覆うことが
できるアウタロータアウタロータケース350に挿入す
る。かかるアウタロータケース350は、上記アウタロ
ータコア346の最大外径と等しい内径を有する筒を鉄
の薄板等で形成した後、いわゆるグローブ転造により径
方向に凹凸を付けることで成形される。本実施例では、
厚さ2ミリ程度の鉄の薄板を使用した。
【0079】なお、このようにアウタロータケース35
0を形成した後、アウタロータコア346を挿入するも
のとしてもよいし、筒状のアウタロータケース350に
アウタロータコア346を挿入した後、アウタロータケ
ース350を図10に示した形状に変形させるものとし
てもよい。こうすれば、アウタロータコア346とアウ
タロータケース350との一体性をより強固にすること
ができる。かかる加工法としては例えば、爆発成形等が
挙げられる。
【0080】こうしてアウタロータコア346をアウタ
ロータケース350に挿入した後、各ティース344に
コイルを巻回する。コイルの巻回方法は、周知であるた
め省略する。アウタロータケース350に挿入されコイ
ルが巻回されたアウタロータ340は、さらに円筒状の
アウタロータアウタロータカバー352に挿入される。
アウタロータカバー352とアウタロータケース350
とは、接面で溶接されて固定される。もちろん、先にア
ウタロータカバー352とアウタロータケース350を
溶接により固定しておいてから、アウタロータコア34
6を挿入するものとしてもよい。
【0081】このアウタロータカバー352は、図9に
示す通り、駆動軸104につながる回転軸304に結合
されている。回転軸304はインナロータ310の軸受
け309を支持する一方、スリップリング105a,1
05b,105cを有している。アウタロータ340の
コイルへの電流は、このスリップリング105a,10
5b,105cを介して供給される。さらに、アウタロ
ータカバー352の他端には、インナロータ310の他
方の軸受け308を支持するフタ354がボルト356
により固定される。こうしてアウタロータ340が完成
する。
【0082】このように構成されたアウタロータ340
によれば、アウタロータケース350とアウタロータカ
バー352との間に形成された空隙GP2(図10参
照)を油路として利用することにより、冷却をすること
ができる。冷却用の油は、回転軸304の軸中心からア
ウタロータカバー352を通って図10の各空隙GP2
に供給される。この供給は、アシストモータ200と同
様、遠心力の作用により行われる。
【0083】かかる空隙GP2を利用した冷却によれ
ば、従来のアウタロータ340に比べて種々の利点があ
る。比較のために従来のアウタロータ340の断面を図
11に示す。従来は、図11に示す通り、アウタロータ
340aのアウタロータケース350aの押し出し成形
等により、油路GP3を形成していた。機械的な強度を
保持しつつ、かかる油路GP3を確保する必要性から、
アウタロータケース350aにはある程度の肉厚が必要
とされており、従ってその小型化には限界があった。
【0084】これに対し、本実施例におけるアウタロー
タ340では、アウタロータケース350とアウタロー
タカバー352との空隙GP2を油路として利用するこ
とにより、アウタロータカバー352の機械的強度を低
下させることなくアウタロータ340の外径を小さくす
ることができる。また、かかる空隙GP2を油路として
利用すれば、冷却用の油と発熱部位との接触面積が従来
の油路GP3(図11参照)に比較して大きくなるた
め、冷却を効率的に行うことができる利点もある。
【0085】さらに、従来のアウタロータケース350
aおよびアウタロータ346aはともに円形断面をなし
ているため、相対的な回転を制止するために、キー35
5を用いる必要があった。これに対し、本実施例におけ
るアウタロータ340では、アウタロータカバー352
とアウタロータケース350が溶接されており、アウタ
ロータケース350とアウタロータコア346とは相対
的に回転不能な断面形状をなしているため、キーを用い
る必要がない。この結果、アウタロータ340を構成す
る部品点数を減らすことができ、組立を簡易にすること
ができる。
【0086】図10に示した通り、アウタロータ340
の油路GP2はティース344の位置と、各ティース3
44の中央に設けられている。これらの油路GP2は、
アウタロータコア346の外周面のいずれの箇所にも設
けることができるが、アウタロータ340の発熱部位と
の関係から、かかる箇所に設けるのが効率的である。つ
まり、アウタロータ340では、コイルに電流を流すこ
とにより、ティース344間に巻回されたコイルが発熱
する。また、いわゆる磁界の鉄損によりアウタロータコ
ア346自体も発熱する。当然、アウタロータコア34
6自体についても各ティース344が最も発熱しやす
い。従って、図10に示した部位に油路GP2を設けれ
ば、アウタロータ340の冷却を非常に効率的に行うこ
とができる。
【0087】なお、アウタロータケース350は、空隙
GP2に油を通過させる際の油漏れを防ぐためのもので
あるため、アウタロータコア346の外周面に油漏れが
生じないようなシール加工を施すことで置き換えてもよ
い。こうすれば、アウタロータケース350の厚み分だ
け小型化を図ることができると同時に重量軽減や部品点
数削減等の利点も生じる。この際、アウタロータコア3
46と、アウタロータカバー352との相対的な回転を
制止するために、両者を接面で接着するものとしてもよ
いし、図11に示したようなキーを用いるものとしても
よい。
【0088】また、本実施例では、アウタロータケース
350とアウタロータカバー352とを溶接により固定
するものとしたが、接着やリベット等による締結、拡散
接合等の種々の接合方法を用いることができる。また、
アウタロータケース350とアウタロータカバー352
とを一体的に成形するものとしても構わない。
【0089】本実施例のアウタロータ340では、コイ
ルエンド349a,349bの冷却を効率的に行うため
に、図9にハッチングで示した部位Mld等、コイルエ
ンド349a,349bを樹脂で覆いつつ(以下、モー
ルドという)、コイルエンド349a,349b付近に
も油路374,376を形成している。かかる油路37
4,376の形成について説明する。
【0090】図12は、アウタロータカバー352にア
ウタロータコア346を挿入した上で、さらに樹脂でモ
ールドするための中子370(図12において黒く塗り
つぶした部分)を挿入した状態を示している。図10に
示す通り、アウタロータカバー352には、コイルエン
ド349a,349b付近に油路374,376の一部
を形成する溝部が形成されている。かかる溝部をオーリ
ング377ないし379でシールした上で、仕切り板3
80,381でふさぎ、アウタロータコア346を挿入
する。そして、インナロータ310が回転する部分に相
当する形状を有する中子370を挿入する。
【0091】この状態で、図12に示すA部から樹脂を
流入すれば、ハッチングで示した領域Bに樹脂が流入す
る。こうしてコイルエンド349a,349bを樹脂で
モールドすることができる。この際、先に説明した仕切
り板380,381の作用により、アウタロータカバー
352に形成された溝部には樹脂が流入せず、そのまま
油路374,376として残存することになる。このよ
うにして本実施例のアウタロータ340ではコイルエン
ド349a,349b付近に油路374,376を形成
しているのである。
【0092】コイルエンド349a,349bの放熱性
を向上するために、これらを樹脂でモールドする技術は
従来より採用されていた。本実施例における樹脂のモー
ルドとの比較のため、従来の技術によるモールドの概要
を図13に示す。図13に示す通り、ロータ210が回
転する部分に中子370を挿入して、コイルエンド34
9a,349bを樹脂でモールドする点では本実施例に
おけるモールドと同じである。但し、従来のモールドで
は、図12で示した仕切り板380,381を用いてお
らず、コイルエンド349a,349bとアウタロータ
カバー352とが一切の空隙なくモールドされる(図1
3のOMld部分参照)。つまり、従来のモールドで
は、コイルエンド349a,349b近傍に冷却用の油
が通過する通路を設けることは不可能であった。これに
対し、本実施例におけるモールドでは、先に説明した通
り、アウタロータカバー352に形成された溝部を仕切
り板380,381で覆った後に樹脂でモールドするこ
とにより、コイルエンド349a,349b近傍に油路
374,376を形成することを可能としている。
【0093】本実施例では、樹脂によるモールドにおい
て、さらにアウタロータカバー352の内周面から外周
面に貫通する孔382を設けている。かかる孔382の
形成について、図14を用いて説明する。図14は樹脂
のモールドを行う際において、中子370を挿入した状
態を示す説明図である。図12に示す通り、アウタロー
タ340のアウタロータカバー352には、内周面から
外周面に貫通する孔382が形成されている。樹脂でモ
ールドする際には、ロータ210の回転部分に相当する
中子370に加えて、この孔382をふさぐための挿入
棒384を挿入する。この挿入棒384は、図14に示
す通り、中子370自体も貫通して挿入されている。こ
のように中子370および挿入棒384を挿入した後、
図12で説明したのと同様に樹脂を流入する。樹脂が固
まった後、中子370および挿入棒384を除去すれ
ば、冷却用の油路374,376の他にアウタロータカ
バー352の内周面から外周面に貫通する孔382を有
する状態でコイルエンド349a,349bがモールド
される。
【0094】以上で説明した樹脂のモールド部分を拡大
して図15ないし図17に示す。図15は、インナロー
タ310が挿入される開口部付近のコイルエンド349
bを拡大して示した拡大図である。図15に矢印で示す
通り、冷却用の油が流れる油路376が形成されてい
る。また、コイルエンド349a,349bは樹脂でモ
ールドされており、冷却用の油路374,376と熱伝
達による熱交換が可能となっているため、この油により
冷却される。
【0095】図16は、アウタロータ340が回転軸3
04と結合されている側のコイルエンド349a近傍を
拡大して示した拡大図である。図16に示す通り、冷却
用の油が流れる油路374が形成されており、樹脂でモ
ールドされたコイルエンド349aが冷却可能になって
いる。
【0096】図17は、アウタロータ340が駆動軸1
04と結合されている側のコイルエンド349aについ
て、アウタロータカバー352の内周面から外周面への
貫通孔382を有する部分を拡大して示した拡大図であ
る。図17に示す通り、この貫通孔382は、冷却用の
油が流れる油路374とは別の通路として形成されてい
る。図17に示した油路374は、軸対称に形成されて
おり、図14に示した油路374と一体となっているた
め、この油路374には、図14に示した油供給口37
5から油が供給される。
【0097】図17に示した貫通孔382の作用につい
て説明する。冷却用の油が、インナロータ310とアウ
タロータ340の間の空隙に多量にたまった場合、油の
粘性による抵抗が作用し、両者の相対的な回転を妨げ
る。これは、クラッチモータ300の運転効率を低下さ
せる原因となる。本実施例のように、アウタロータ34
0の内周面から外周面への貫通孔382を設ければ、イ
ンナロータ310とアウタロータ340との空隙にたま
った油は、遠心力の作用により、この貫通孔382を通
じてアウタロータカバー352の外部に排出される。従
って、かかる貫通孔382を有するアウタロータでは、
油の粘性に起因する抵抗を生じることがなく、クラッチ
モータ300の運転効率を低下させることもない。
【0098】なお、本実施例では、樹脂が固まった後、
上記挿入棒384を除去しやすいように貫通孔382は
アウタロータカバー352内周面s1から外周面s2に
かけてテーパさせてあるが、一定の径からなる孔382
としても構わない。但し、遠心力の作用により油を排出
する効果を考慮すれば、貫通孔382の側面とクラッチ
モータ300の回転軸302との距離が、アウタロータ
カバー352の外周面s2に近づくにつれて大きくなる
ように貫通孔382を形成することが望ましい。本実施
例において形成している貫通孔382はかかる条件を具
備するものであり、また、他の貫通孔382bとして図
18に示すもの等が挙げられる。
【0099】本実施例では、遠心力が作用しやすいよう
に貫通孔382の一部382aをアウタロータカバー3
52の径方向に形成しているが、図17に破線で示す通
り、駆動軸104と平行な方向に貫通するように形成す
るものとしても構わない。かかる貫通孔382では、遠
心力の作用が弱まるものの、加工が容易という利点があ
る。
【0100】(4)クラッチおよびハウジングの構成 次に、クラッチ110およびハウジング106,10
7,108の構成について説明する。ハウジング10
6,107,108は、アシストモータ200、クラッ
チモータ300、クラッチ110等を覆いつつ固定し、
動力伝達装置100の外形を構成する部材である。ハウ
ジングはアシストモータ200の両端の軸受け228お
よび229を固定し、さらにクラッチモータ300の両
端の軸受け307,308および309,306をそれ
ぞれ固定する必要性から、最低3つの部分から構成され
る。本実施例においても、図19に示す通り、3つのハ
ウジング106,107,108から、動力伝達装置1
00は構成されている。これらの詳細な構造について、
まずクラッチ110の構成から図20を用いて説明す
る。
【0101】本実施例では、クラッチ110として、図
20に示す湿式多板クラッチ110を用いている。湿式
多板クラッチ110自体は、いわゆるオートマチック車
のトランスミッション等に使用されている周知のもので
あるため、詳細な説明は省略する。本実施例では、油圧
で作動する湿式多板クラッチ110によりアシストモー
タ200の回転軸270が結合された第3の回転軸11
6を、動力伝達装置100の入力軸102が結合された
第1の回転軸112または駆動軸104に結合された第
2の回転軸114に選択的に結合可能としている。つま
り、図20において、クラッチC1を接続状態としてク
ラッチC2を切り離し状態とすれば、第3の回転軸11
6は第1の回転軸112に結合されることになる。ま
た、クラッチC1を切り離し状態としてクラッチC2を
接続状態とすれば、第3の回転軸116は第2の回転軸
114に結合されることになる。
【0102】本実施例では、図20に示す通り、クラッ
チサポート120により、このクラッチ110をクラッ
チモータ300と一体に保持可能としている点に特徴が
ある。クラッチサポート120の内部には、クラッチ1
10を作動するための油圧経路118が形成されてい
る。かかるクラッチサポート120を設けることによ
り、クラッチ110の作動油の通路118が短くできる
利点がある。クラッチサポート120がない場合の油圧
経路118aの例を図19に示す。クラッチサポート1
20がない場合には、図19に破線で示す通り、ハウジ
ンング107部分を利用して油圧経路118aを構成す
ることになるため、経路長が非常に長くなる。クラッチ
110の応答性は、油圧経路の長さに関係するから、本
実施例ではクラッチサポート120を設け、油圧経路1
18を短くしたことにより、クラッチ110の応答性を
向上することができる。
【0103】また、クラッチサポート120がない場合
には、ハウジング106,107,108の組み付け時
に、クラッチモータ300、クラッチモータ300の三
者を固定していく必要が生じるため、組み立てが困難と
なる。これに対し、本実施例では、クラッチサポート1
20を用いることにより、まずクラッチモータ300と
クラッチ110のみを組み立て、次にアシストモータ2
00を結合するという2段階で動力伝達装置100を組
み立てることができるため、製造が容易になるという利
点もある。さらに、クラッチサポート120により、ク
ラッチ110とクラッチモータ300が一体的に構成可
能であることから、アシストモータ200結合前の状態
においても単体機能試験が可能となる利点もある。本実
施例では、油圧を制御する制御部70がクラッチモータ
300に結合されているため、クラッチサポート120
をクラッチモータ300側に取り付ける構成としたが、
クラッチ110をアシストモータ200に取り付ける構
成としても構わない。
【0104】本実施例のように、クラッチサポート12
0を用いれば、さらに動力伝達装置100の外径を小型
化可能とすることができる。先に説明した通り、クラッ
チサポート120を用いた場合には、ハウジング10
6,107,108の組み付けにおいては、クラッチモ
ータ300とアシストモータ200のみを固定すればよ
いため、組み立てが非常に容易となる。この結果、3つ
の部分からなるハウジング106,107,108を一
つのステータ固定用ボルト109で締結することが可能
となる。図21に本実施例におけるハウジング106,
107,108の締結部分の様子を示す。図21に示す
ように、第1のハウジング106,107,108から
第3のハウジング106,107,108まで貫通する
孔をあけ、ここにボルト109を通して締結することに
よりハウジング106,107,108が一体的に締結
される。図21では、図示を省略したが、本実施例の動
力伝達装置100は、かかる締結部位を外周に4カ所設
けている。また、図22に示す通り、締結部位におい
て、外周に凸部Pを設けて締結することにより、動力伝
達装置100全体の外径が大きくなることを回避してい
る。さらに、締結部位と中心軸を結ぶ平面内に他のボル
ト等の干渉物が存在しない箇所を締結部位として選択す
ることにより、凸部Pの最大外径をも小さくしている。
【0105】比較のために、従来の動力伝達装置100
における締結部分を図23に示す。先に説明した通り、
従来の動力伝達装置100ではクラッチサポート120
を有していないため、ハウジング106a,107a,
108aの組み付けにおいて、アシストモータ200、
クラッチ110、クラッチモータ300の三者を固定し
ていく必要がある。かかる場合には、3つの部分からな
るハウジング106a,107a,108aを一度に締
結することは非常に困難となるため、図23に示す通
り、まず第1のハウジング106aと第2のハウジング
107aをボルト109aにより締結し、次にこれらと
第3のハウジング108aをボルト109bにより締結
することになる。かかる場合には、図24に示す通り、
第1のハウジング106aと第2のハウジング107a
との締結部分において、凸部P1,P2を設けることに
なり、さらにその外側に第3のハウジング108aを締
結するための凸部を設けることになる。この結果、動力
伝達装置100全体の外径は非常に大きくなってしま
う。従来から、動力伝達装置100の外径を可能な限り
小さく設計するための試みはなされていた。その一つが
先に説明した締結部にのみ設けられた凸部P1,P2で
ある。しかし、従来の動力伝達装置100では、組み付
け時の作業性も考慮すると、図19に示すように多くの
締結部を設ける必要があり、小型化に限界が生じてい
た。本実施例では、クラッチサポート120を採用する
ことにより、従来、通常の設計努力が払われてきた限界
を超えて動力伝達装置100の小型化を図ることを可能
としたのである。
【0106】以上で説明した電動機および動力伝達装置
100によれば、従来には得られなかった種々の効果を
得ることができる。まず、アシストモータ200および
クラッチモータ300については、各モータの発熱部位
に油路を確保することにより、効率的に冷却を行うこと
ができる。この結果、各モータの運転効率を向上するこ
とができる。また、油路の確保に際し、モータの機械的
強度を犠牲にする部分が少ないため、モータの小型化を
図ることもできる。
【0107】動力伝達装置100について見れば、クラ
ッチ110の油圧経路を兼用するクラッチサポート12
0を設けたことにより、クラッチ110の応答性を向上
することができるとともに、動力伝達装置100の製造
を容易にすることができる。また、この効果に伴って、
ハウジング106,107,108の3つの部材を一の
締結部材で締結できるようになり、動力伝達装置100
を小型化することができる。
【0108】(5)構成の変形例 なお、上記実施例では、図1に示した構成からなる動力
伝達装置100を例にとって説明したが、本発明は、他
の種々の構成からなる電動機および動力伝達装置100
に適用可能である。本発明を適用可能な変形例を図25
以降に示す。
【0109】動力伝達装置の構成としては、例えば、図
25に示すようにエンジン10とアシストモータ200
の間にクラッチ110aを取り付けるものとしても構わ
ない。また、上記実施例では一つのクラッチ110でア
シストモータ200の結合状態を切り替えるものとして
いるが、図26に示した通り、アシストモータ200と
動力伝達装置100の入力軸102との結合および切り
離しを行う第1クラッチ110bと、駆動軸104との
結合および切り離しを行う第2クラッチ111bの2つ
のクラッチを用いるものとしてもよい。図27に示す通
り、アシストモータ200aとクラッチモータ300a
の配置を置換することも可能である。同様にアシストモ
ータ200等の各要素を配置を変更した種々の構成が可
能である。
【0110】また、実施例の動力伝達装置100では、
クラッチモータ300とアシストモータ200とを軸方
向に並べたが、図28に示すように、アシストモータ2
00bをクラッチモータ300bの径方向外側に配置す
るものとしてもよい。かかる配置を採ることにより、装
置の軸方向の長さを大幅に短くすることができ、装置全
体をよりコンパクトなものとすることができる。なお、
かかる構成においても、更に、クラッチ110d等の配
置を変更した種々の構成が可能である。
【0111】以上、本発明の種々の実施例について説明
してきたが、本発明はこれらに限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の形態による実
施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動力伝達装置100を用いた動力出力
装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】動力伝達装置100に用いられるアシストモー
タ200の中心軸を含む断面図である。
【図3】動力伝達装置100に用いられるアシストモー
タ200の中心軸に直交する平面における断面図であ
る。
【図4】アシストモータ200の突極部の拡大図であ
る。
【図5】アシストモータ200が回転している場合にお
ける突極部の拡大図である。
【図6】アシストモータ200のロータ210における
油路を示す説明図である。
【図7】アシストモータ200のロータ210における
油路の第2の態様を示す説明図である。
【図8】アシストモータ200のロータ210における
油の通過方向の組み合わせを示す説明図である。
【図9】動力伝達装置100に用いられるクラッチモー
タ300の中心軸を含む断面図である。
【図10】動力伝達装置100に用いられるクラッチモ
ータ300の中心軸に直交する平面における断面図であ
る。
【図11】従来のステータの中心軸に直交する平面にお
ける断面図である。
【図12】本実施例における樹脂モールドの加工方法を
示す説明図である。
【図13】従来における樹脂モールドの加工方法を示す
説明図である。
【図14】本実施例における貫通孔の形成方法を示す説
明図である。
【図15】インナロータ310が挿入される開口部付近
のコイルエンド349bを拡大して示した拡大図であ
る。
【図16】アウタロータ340が駆動軸104と結合さ
れている側のコイルエンド349a近傍を拡大して示し
た拡大図である。
【図17】アウタロータ340の貫通孔の部分を示す拡
大図である。
【図18】アウタロータ340の貫通孔の他の態様を示
す拡大図である。
【図19】動力伝達装置の概略構成を示す説明図であ
る。
【図20】クラッチサポート120の概略構成を示す説
明図である。
【図21】本実施例におけるハウジングの結合の様子を
示す説明図である。
【図22】本実施例におけるハウジングの締結部分の正
面図である。
【図23】従来におけるハウジングの結合の様子を示す
説明図である。
【図24】従来におけるハウジングの締結部分の正面図
である。
【図25】本発明の動力伝達装置の第1の変形例を示す
説明図である。
【図26】本発明の動力伝達装置の第2の変形例を示す
説明図である。
【図27】本発明の動力伝達装置の第3の変形例を示す
説明図である。
【図28】本発明の動力伝達装置の第4の変形例を示す
説明図である。
【図29】従来の動力伝達装置の構成を示す説明図であ
る。
【図30】動力伝達装置の作用を示す説明図である。
【符号の説明】
10・・・エンジン 12・・・クランクシャフト 20・・・EFIECU 30,40・・・駆動回路 50・・・制御ユニット 60・・・バッテリ 70・・・油圧制御部 100,100a,100b,100c・・・動力伝達
装置 102・・・入力軸 104・・・駆動軸 105a,105b,105c・・・スリップリング 106,107,108・・・ハウジング 106a,107a,108a・・・ハウジング 109,109a,109b・・・ボルト 110,110a,110b,110c,110d・・
・湿式多板クラッチ 111b・・・第2クラッチ 112・・・第1の回転軸 114・・・第2の回転軸 116・・・第3の回転軸 118,118a・・・油圧経路 120・・・クラッチサポート 200,200a,200d・・・アシストモータ 210・・・ロータ 212・・・板状ロータ 213,214,215,216・・・突極 217,218,219,220・・・突極 217a,218a,219a220a・・・永久磁石
挿入孔 221,222,223,224・・・永久磁石 225・・・ロータコア 226,227・・・フタ 228,229・・・軸受け 240・・・ステータ 242・・・板状ステータ 244・・・ティース 246・・・スロット 248・・・コイル 249a、249b・・・コイルエンド 250・・・ステータケース 252・・・ステータ固定用ボルト 270・・・回転軸 272・・・支持部 274・・・ロータケース 276・・・油路 278・・・排出孔 300,300a,300d・・・クラッチモータ 302,304・・・回転軸 306,307,308,309・・・軸受け 310・・・インナロータ 312・・・板状インナロータ 314・・・インナロータコア 340,340a・・・アウタロータ 342・・・板状アウタロータ 344・・・ティース 346,346a・・・アウタロータコア 349a,349b・・・コイルエンド 350,350a・・・アウタロータケース 352・・・アウタロータカバー 354・・・フタ 355・・・キー 356・・・ボルト 370・・・中子 374,376・・・油路 375・・・油供給口 377,378,379・・・オーリング 380,381・・・仕切り板 382,382a,382b・・・貫通孔 384・・・挿入棒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永野 周二 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電機子コアと、該電機子コアの外周を覆
    いつつ該電機子コアと相対的に回転不能に接合されたカ
    バーとを有する電機子を備え、回転軸を回転させる作用
    を奏する電動機であって、 前記電機子コアと前記カバーとは、該電機子コアの外周
    面と前記カバーの内周面との間に少なくとも一カ所の空
    隙を有する状態で接合されており、 前記電動機の回転中において、前記空隙の少なくとも一
    部に冷却剤を供給する供給手段を備える電動機。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電動機であって、 前記電機子コアは、軸中心から外周までの距離が、所定
    の半径よりも短い部分を有する断面形状であり、 前記カバーは、略円筒状である電動機。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の電動機であって、 前記電機子コアは、 軸中心から外周までの距離が、所定の半径よりも短い部
    分を有する断面形状をなす電機子鉄心と、 前記カバーと相対的に回転不能に接合され、かつ前記電
    機子鉄心の外周を実質的に空隙なく覆う電機子ケースと
    を有する電動機。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の電動機であって、 前記電機子ケースは薄板からなる筒をグローブ転造によ
    り変形させて製造されたケースである電動機。
  5. 【請求項5】 前記電動機は、 前記回転軸まわりに回転可能なロータと、 該ロータに対し相対的に回転可能な電機子からなる対ロ
    ータ電動機である請求項1記載の電動機。
  6. 【請求項6】 電機子鉄心と該電機子鉄心に巻回された
    電機子コイルを有する電機子を備え、回転軸を回転させ
    る作用を奏する電動機であって、 前記電機子は、 前記電機子を覆い、前記電機子コイルが前記電機子鉄心
    から軸方向にはみ出した部分であるコイルエンドの近傍
    に冷却剤が通過する空隙を有するカバーと、 該コイルエンドから該カバーへの熱伝達を可能とする熱
    伝達部材とを有し、前記電動機の回転中において、電機
    子鉄心と前記カバーとの空隙に冷却剤を供給する供給手
    段を備える電動機。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の電動機であって、 前記冷却材が通過する空隙は、前記カバーに形成された
    溝部と、該溝部と前記コイルエンドとを仕切る仕切り板
    により構成される空隙であり、 前記熱伝達部材は、前記コイルエンドと前記仕切り板と
    の間の熱伝達が可能となるように樹脂成形された部材で
    ある電動機。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の電動機であって、 前記冷却剤が通過する空隙とは別に、前記電機子の内周
    面から外周面に貫通する冷却剤の通路を備える電動機。
  9. 【請求項9】 回転軸に結合された回転子が、該回転軸
    の軸方向に沿って形成された永久磁石挿入孔に挿入され
    た永久磁石を有する磁石内包型の電動機であって、 前記永久磁石の径方向の厚さは、前記永久磁石挿入孔の
    径方向の間隔よりも小さくなっており、 前記電動機の回転中において、該永久磁石と永久磁石挿
    入孔との間に径方向に生じる空隙に、冷却剤を供給する
    供給手段を備える電動機。
  10. 【請求項10】 回転軸に結合され、該回転軸方向に沿
    って冷却剤が通過する空隙を有する回転子と、該空隙に
    冷却剤を供給する供給手段と、電機子鉄心と電機子コイ
    ルとからなり前記回転子の外周に位置する電機子を備え
    る電動機であって、 前記回転子は、前記電動機の回転中において、前記電機
    子コイルが前記電機子からはみ出した部分に、該回転子
    から排出される冷却剤が飛散する位置に冷却剤の排出孔
    を有する電動機。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の電動機であって、 前記回転子は、 前記排出孔が該回転子の第1の端部に有する前記空隙
    と、前記排出孔が該回転子の他の端部に有する前記空隙
    とを混在させて、該回転子の周方向に複数有する電動
    機。
  12. 【請求項12】 同じ中心軸まわりに回転可能な第1、
    第2、第3の回転軸と、 該第1の回転軸に結合された第1の回転子および該第2
    の回転軸に結合され該第1の回転子に対し相対的に回転
    可能な第2の回転子からなる対ロータ電動機と、 該第3の回転軸に結合された第3の回転子および該第3
    の回転子周りに固定された固定子からなる電動機と、 該第3の回転軸を前記第1の回転軸または第2の回転軸
    に選択的に結合可能な結合装置とを備え、 前記第1の回転軸から入力された動力を前記第2の回転
    軸に伝達する動力伝達装置であって、 該結合装置を前記対ロータ電動機または前記電動機のい
    ずれか一方にのみ機械的に結合された状態で保持可能と
    し、かつ、該結合装置を作動するための作動油が通過す
    る経路を構成する保持部材を有する動力伝達装置。
  13. 【請求項13】 請求項12の動力伝達装置であって、
    さらに前記中心軸方向に、 前記電動機に結合された前記第3の回転軸の一端を支持
    する第1の軸受け、 前記電動機、 前記第3の回転軸の他端を支持する第2の軸受け、 前記結合装置、 前記第2の回転軸の一端を支持する第3の軸受け、 前記対ロータ電動機、 前記第2の回転軸の他端を支持する第4の軸受けの順に
    配列された構造をなし、 前記第1の軸受けを保持する第1のハウジングと、前記
    第2の軸受けを保持する第2のハウジングと、前記保持
    部材を介して前記結合装置、前記第3および第4の軸受
    けを保持する第3のハウジングを有し、 該第1のハウジング、第2のハウジングおよび第3のハ
    ウジングは、各結合部位につき、三者が一の締結部材で
    締結され、 かつ、該結合部位は、該締結部材の中心軸を前記動力伝
    達装置の中心軸に向けて平行移動することにより構成さ
    れる平面内に、他の締結部材が存在しない部位であるこ
    とを特徴とする動力伝達装置。
  14. 【請求項14】 回転軸を回転させる電動機の電機子を
    製造する製造方法であって、少なくとも軸中心から外周
    までの距離が、所定の半径よりも短い部分を有する断面
    形状からなる電機子鉄心を形成する工程と、 該電機子鉄心の外径と略同一の内径を有する円筒を形成
    する工程と、 前記円筒を前記電機子鉄心の外周を実質的に空隙なく覆
    う形状に変形させた電機子ケースを形成する工程と、 該電機子ケースの最大径と略同一の内径の円筒状部分を
    有するカバーを形成する工程と、 該カバーと前記電機子ケースとの接面を相対的に回転不
    能に結合する工程と、 前記電機子ケースに電機子鉄心を挿入する工程とを備え
    る電機子の製造方法。
  15. 【請求項15】 回転軸を回転させる電動機の電機子を
    製造する製造方法であって、(a) 電機子を構成する
    電機子鉄心から軸方向にはみ出したコイルエンドを有す
    るように電機子コイルを巻回する工程と、(b) 該電
    機子を覆うカバーであって、前記コイルエンド近傍に冷
    却材が通過するための溝部を有するカバーを形成する工
    程と、(c) 前記溝部と前記コイルエンドを仕切り板
    により仕切った上で、前記カバーと前記電機子鉄心とを
    結合する工程と、(d) 前記回転軸に結合された回転
    子が回転する空間を内部に残しつつ、前記コイルエンド
    と前記仕切り板と一体的に樹脂で結合する工程とを備え
    る電機子の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項15の電機子の製造方法であっ
    て、前記工程(d)に先立って、(e1) 前記溝部と
    は別に、前記電機子の内周面から外周面に貫通する貫通
    孔を形成する工程と、(e2) 前記工程(d)を施し
    た結果、前記電機子の内周面から外周面に貫通する状態
    で前記貫通孔が存在するように、該貫通孔への樹脂の流
    入を防止する工程とを備える電機子の製造方法。
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