JPH1120426A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
く、走行末期まで帯電防止を確実に確保し得る空気入り
ラジアルタイヤを提供する。 【解決手段】 環状トレッドの幅方向の一部に、トレッ
ド表面に露出してタイヤ接地面と通電経路を形成する固
有抵抗値が106Ω・cm以下の導電ゴム層が、タイヤ
周方向に連続して/または断続して存在し、この導電ゴ
ム層の厚さ方向両端部に導電ゴム層の厚さ方向収縮を阻
止する幅広のアンカー部が形成されている。
Description
性能などを損なうことなく、走行末期まで帯電防止を確
実に確保し得る空気入りタイヤに関する。
ッドゴムにカーボンブラックが適量含まれており、タイ
ヤの電気抵抗に関する問題や帯電量の蓄積に関する問題
は存在し得なかった。しかしながら、近年環境問題が大
きく取り上げられ、低燃費化への動きが加速されてい
る。低燃費化、即ち転がり抵抗の低減をトレッドゴムの
改良により達成するためには、ロスを発生させる原因と
なるカーボンブラックを減らす必要があり、今日では低
燃費性能に優れたトレッドゴムとして、カーボンブラッ
クの配合量を減らしてシリカを含有したトレッドゴムが
注目され、タイヤの運動性能と低燃費性能とを高い水準
で両立させるために、特にキャップ/ベース構造を有す
る空気入りラジアルタイヤにおいて、シリカ多量配合ゴ
ムをキャップ層のゴムに使用するケースが増加する傾向
にある。その結果、電気抵抗に関する問題および帯電量
の蓄積に関する問題が新たに浮上してきている。
で主に下記の方法が知られている。その一つは、厚い導
電性ゴムシートをトレッド幅方向中央部にトレッド表面
からトレッド下層ゴムまで、或いは薄い導電性ゴムシー
トをトレッドショルダーからサイド内側へ挟み込むもの
である(例えば、欧州特許第658 452号明細書、
米国特許第5518055号明細書および特開平8−3
4204号公報参照)。
るカーボンブラックとは異なった、導電性に優れたカー
ボンブラックを配合したトレッドゴムを用いるというも
のである。
ッド押出し時にトレッド表面に導電性物質、例えば、水
をベースとしたゴム組成物に導電性のカーボンブラック
を配合したセメント等をコーティングする方法である
(例えば、特開平8−120120号公報参照)。この
方法によると、タイヤ加硫後の製品タイヤが乗用車に装
着され踏面部が摩耗しても、踏面部のパターンとして刻
まれている多くの溝の側壁に導電性のコーティング物質
が残存し、これによりタイヤ全体に帯電した静電気を路
面に逸散させることができるとするものである。
方法も各々以下に述べる如き製造上及び品質上の問題が
あり、必ずしも十分に満足の得られるものではなかっ
た。例えば、前記欧州特許第658 452号明細書等
に開示されている如きゴムシートや接触ゴム層では、走
行初期にはその効果は維持されるが、充填剤として汎用
カーボンブラックが使われた場合には走行末期に導電層
の摩耗促進により通電経路が遮断され、帯電防止効果が
消失してしまうという問題があった。特に、シリカ配合
ゴム組成物によるトレッドキャップの耐摩耗性の向上に
伴い、かかる効果を走行末期まで維持するには、導電性
ゴムシートや接触ゴム層の耐摩耗性もトレッドキャップ
ゴムと同様に向上させなければ、走行末期にキャップゴ
ムだけが接地して、結果として帯電防止効果が得られな
くなってしまう。
00重量部に対して導電性カーボンブラックを数重量部
加えた場合、該トレッドゴムの固有抵抗値は低下するも
のの、そのタイヤ本来の目的である低燃費性が著しく悪
化し、またそのカーボンブラック自身、ポリマーとの補
強性が著しく低いため、結果としてタイヤトレッドの耐
摩耗性が低下するという問題がある。
カーボンブラックを配合した水ベースセメントをコーテ
ィングする方法は、セメント材の粘着力が非常に高いこ
とから作業性に極めて劣り、またそのセメント材自身の
放置安定性に問題があり、相分離を生ずるおそれがあ
り、また塗布時の発泡性を防止するために、種々の安定
化剤が必要となり、それらが加硫後フィルム上となった
ゴム組成物の耐久性を低下させ、また加硫時のモールド
汚染の原因となる。さらに、キャップ層のゴム組成物は
疎水性であり、上述の水ベースセメント塗布の際、乾燥
までに時間がかかり、また塗りむらが生じ、結果として
塗布被膜の耐久性が悪化する。さらにまた、加硫時、キ
ャップ層のゴムと水ベースセメントの被覆ゴムとの界面
接着力が低下し、走行中に界面剥離が生じ、走行末期に
は通電経路が断たれ、帯電防止効果が得られなくなって
しまうという問題がある。
性能などを損なうことなく、走行末期まで帯電防止を確
実に確保し得る空気入りタイヤを提供することにある。
解決すべく鋭意検討した結果、特定の固有抵抗値および
所定の形状を有する導電ゴム層を、空気入りタイヤのト
レッドの所定の箇所に適用して通電経路を形成せしめる
ことにより、前記目的を達成し得ることを見出し、本発
明を完成するに至った。
の通りである。 (1)環状トレッドの幅方向の一部に、トレッド表面に
露出してタイヤ接地面と通電経路を形成する固有抵抗値
が106Ω・cm以下の導電ゴム層が、タイヤ周方向に
連続して/または断続して存在し、この導電ゴム層の厚
さ方向両端部に導電ゴム層の厚さ方向収縮を阻止する幅
広のアンカー部が形成されていることを特徴とする空気
入りタイヤである。
導電ゴム層におけるトレッド表面側の最大幅b、その反
対側の最大幅c、これらの間の最小幅aが夫々次式、 b/a≧2、かつ、c/a≧2 で表される関係を満足する空気入りタイヤである。
導電ゴム層における前記アンカー部はトレッド表面側お
よびその反対側のみならず、これらの中間部にも形成さ
れている空気入りタイヤである。
導電ゴム層は、トレッド幅W方向に関し、その中心Xが
次式、 W/4≦X≦3W/4 で表される範囲に位置する空気入りタイヤである。
導電ゴム層は、中央部における幅aが0.5mm〜2.
0mmである空気入りタイヤである。
環状トレッドは、キャップ層とベース層とからなる2層
構造を有し、該キャップ層は、固有抵抗値108Ω・c
m以上のゴムからなり、前記導電ゴム層は、トレッド表
面からベース層に達する空気入りタイヤである。
導電ゴム層が、トレッド表面からトレッド底面に達する
空気入りタイヤである。
06Ω・cm以下の導電ゴム層用のゴム組成物に使用す
るジエン系ゴムは、スチレンブタジエンゴム(SB
R)、ブタジエンゴム(BR)または天然ゴム(NR)
の少なくとも1種を含むことが耐久性の観点より好まし
い。
窒素吸着比表面積(N2SA)が130m2/g以上で
かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が110ml
/100g以上のカーボンブラックを使用することが好
ましい。このゴム組成物では、かかる小粒径でかつ高ス
トラクチャーのカーボンブラックを使用することで、通
電経路を形成するゴム層の耐久性を向上させ、タイヤの
走行末期まで帯電防止効果を発揮し得るようにする。こ
こでN2SAはASTM D3037−89に、またD
BPはASTM D2414−90に夫々準拠して求め
られる値である。
系ゴム100重量部に対して40重量部未満では補強性
が十分ではなく、一方100重量部を超えると軟化剤が
少ない場合には加硫後に硬くなり過ぎ、割れ等が発生
し、また軟化剤が多い場合には耐摩耗性が低下する。な
お、カーボンブラック以外の配合剤としては、ゴム製品
において通常用いられる配合剤、例えば加硫剤、加硫促
進剤、加硫促進助剤、軟化剤、老化防止剤等が通常用い
られる配合量にて適宜配合されている。
いて具体的に説明する。図1は本発明をキャップ/ベー
ス構造のトレッドに適用した例を示す。本実施形態の空
気入りタイヤは、図1に示すように、前記導電ゴム層2
が、固有抵抗値が108Ω・cm以上であるタイヤトレ
ッドのキャップ層1に踏面からベース層3に達するまで
周方向に連続的に連なって存在する。トレッド表面側及
びベース層側にはこれらの中間部よりもタイヤトレッド
幅方向に膨張する幅広部のアンカー4、5が形成されて
いる。
に関し、その中心Xが次式、 W/4≦X≦3W/4 で表される範囲内にある。XがW/4以上3W/4以下
の範囲内にあると、導電ゴム層が接地領域内に確実に入
り、帯電防止効果が十分に得られる。
向に沿うトレッド表面側の最大幅bと、ベース層側の最
大幅cと、これらの間の幅aとが夫々次式、 b/a≧2かつa/c≧2 で表される関係を満足している。b/aまたはc/aが
2以上の場合には、導電ゴム層の収縮がより一層確実に
阻止され、導電ゴム層のトレッド2表面側にすきまが形
成されず、ベースゴムとの間にすきまが形成されない。
これに対し、トレッド表面側、ベース層側の双方に幅広
部が全くないと、導電ゴム層の収縮を阻止できず、図2
に示すように、押出時には導電ゴム層2がトレッド表面
に露出していても、その後の収縮により加硫時にキャッ
プ層1のゴムの流れ込みによりトレッド表面の導電ゴム
層2が隠れてしまったり(図2(イ))、或いはベース
ゴムに接しなくなったりする(図2(ロ))可能性があ
る。同様のことが、図3、図4に示すトレッドタイプに
ついてもいえる。図3に示すタイプは導電ゴム層2がキ
ャップ層1の表面からベース層3の底面まで達っしてい
る例であり、また図4に示すタイプは導電ゴム層2がト
レッドのミニサイド6としてベース層3に達っしている
例である。
厚さは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは
1.0〜2.0mmである。この厚さが0.5mm未満
であると薄シート出し時の作業性の困難さと、加硫時の
ゴム流れにより通電層が遮断される可能性がある。一
方、4.0mmを超えるとタイヤの転がり抵抗が悪化
し、また偏摩耗の発生を促進させる他、トレッドキャッ
プゴムとの弾性率差に起因する剥離現象が起こりやすく
なり、走行末期まではタイヤとして低電気抵抗値を安定
して維持することが困難となる。導電ゴム層は、周方向
に断続してもよく、接地面に1つ以上存在すればよい。
例に基づき具体的に説明する。下記の表1、2に示す配
合処方に従い、空気入りラジアルタイヤのトレッドキャ
ップゴムおよび導電ゴム層に用いるゴム組成物を夫々調
製した。
形状で導電ゴム層2として用いて、サイズ195/65
R15の空気入りラジアルタイヤのキャップ層1のW/
2(トレッド幅Wの2分の1の箇所)の位置にベース層
3に達するまでタイヤ周方向に連続的に配置した(実施
例1〜4,比較例1)。また、同様の導電ゴムを図3に
示す如く同サイズの空気入りラジアルタイヤのW/2の
位置にベース層3底部に達するまでタイヤ周方向に連続
的に配した(実施例5)。さらに、同様の導電ゴムを図
4に示す如くミニサイド6として同サイズの空気入りラ
ジアルタイヤの両サイドにベース層3に達するまでタイ
ヤ周方向に連続的に配置した(実施例6)。加硫後の新
品タイヤにおける導電ゴム層2のゲージは下記の表3に
示す通りである。ここで、導電ゴム層における最大幅を
b、最小幅をaとしてある。なお、従来例として導電ゴ
ム2を挿入しないタイヤを同様にして製造した。
は、次のようにして求めた。即ち、GERMAN AS
SOCIATION OF RUBBER INDUS
TRYのWdK 110 シート3に準拠してヒューレ
ットパッカード(HEWLETT PACKARD)社
製モデルHP4339Aのハイレジスタンスメーターを
使用し、図5のようにして測定した。図中、11はタイ
ヤ、12は鋼板、13は絶縁板、14はハイレジスタン
スメーターであり、絶縁板13上の鋼板12とタイヤ1
1のリムとの間に1000Vの電流を流して測定した。
にして求めた。即ち、円盤形状のサンプルを作製し、半
径:r=2.5cm、厚さ:t=0.2cmの部分の電
気抵抗値Rを、図6に示すアドバンス社製絶縁抵抗試験
箱を用いて測定し、次式により固有抵抗値ρを計算し
た。 ρ=(a/t)R 式中、aは断面積(=π×r2)、tは厚さである。な
お、図6中、Aは主電極、Bは対電極、Cはガード電
極、tは試料の厚さを示す。新品時および50%摩耗時
の抵抗値を下記の表3および表4に示す。
入りタイヤにおいては、特定の固有抵抗値および特定の
形状を有する導電ゴム層を、空気入りタイヤのトレッド
の所定の箇所に適用して通電経路を形成せしめたことに
より、耐摩耗性や低燃費性能を損なうことなく、走行末
期まで帯電防止効果が良好に確保された。
断面図である。
の加硫時における変化を示す説明図である。
示す断面図である。
ドを示す断面図である。
である。
Claims (7)
- 【請求項1】 環状トレッドの幅方向の一部に、トレッ
ド表面に露出してタイヤ接地面と通電経路を形成する固
有抵抗値が106Ω・cm以下の導電ゴム層が、タイヤ
周方向に連続して/または断続して存在し、この導電ゴ
ム層の厚さ方向両端部に導電ゴム層の厚さ方向収縮を阻
止する幅広のアンカー部が形成されていることを特徴と
する空気入りタイヤ。 - 【請求項2】 前記導電ゴム層におけるトレッド表面側
の最大幅b、その反対側の最大幅c、これらの間の最小
幅aが夫々次式、 b/a≧2、かつ、c/a≧2 で表される関係を満足する請求項1記載の空気入りタイ
ヤ。 - 【請求項3】 前記導電ゴム層における前記アンカー部
はトレッド表面側およびその反対側のみならず、これら
の中間部にも形成されている請求項1または2記載の空
気入りタイヤ。 - 【請求項4】 前記導電ゴム層は、トレッド幅W方向に
関し、その中心Xが次式、 W/4≦X≦3W/4 で表される範囲に位置する請求項1〜3のうちいずれか
一項記載の空気入りタイヤ。 - 【請求項5】 前記導電ゴム層は、中央部における幅a
が0.5mm〜2.0mmである請求項1〜4のうちい
ずれか一項の空気入りタイヤ。 - 【請求項6】 前記環状トレッドは、キャップ層とベー
ス層とからなる2層構造を有し、該キャップ層は、固有
抵抗値108Ω・cm以上のゴムからなり、前記導電ゴ
ム層は、トレッド表面からベース層に達する請求項1〜
5のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。 - 【請求項7】 前記導電ゴム層が、トレッド表面からト
レッド底面に達する請求項1〜5のうちいずれか一項記
載の空気入りタイヤ。
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