JPH1120376A - 油性マーキングペン - Google Patents

油性マーキングペン

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JPH1120376A
JPH1120376A JP19499197A JP19499197A JPH1120376A JP H1120376 A JPH1120376 A JP H1120376A JP 19499197 A JP19499197 A JP 19499197A JP 19499197 A JP19499197 A JP 19499197A JP H1120376 A JPH1120376 A JP H1120376A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面張力が小さいインキ組成物であっても、
高い保存性及びインキ流出性で収蔵されている油性マー
キングペンを提供する。 【解決手段】太さ2.5デニール以下のフィラメントが
密度0.15〜0.25g/ccで集束して構成されて
いるインキ収蔵体を用いて、油性マーキングペンを得
る。なお、表面張力が小さく、油性マーキングペンに適
した(例えば、塗膜の定着性が高い)インキ組成物とし
ては、シリコーン系高分子界面活性剤(例えば、ポリオ
キシプロピレン変性シリコーン、カルボキシ変性シリコ
ーンなど)を含有しているインキ組成物が例示できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油性マーキングペ
ンに関し、詳しくは、塗膜の非吸収面に対する定着性が
高く、表面張力が小さいインキ組成物を用いた油性マー
キングペンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、油性マーキングペン用インキ組成
物における溶剤としては、キシレンなどの非極性溶剤が
用いられてきたが、近年、安全性などの点からアルコー
ル系やグリコールエーテル系の極性溶剤の使用へと移行
している。
【0003】しかし、非極性溶剤から極性溶剤への使用
移行に伴い、油性マーキングペンに要求される、金属、
プラスチックなどの非吸収面に筆記した際の塗膜(印字
や画像などの筆跡)の定着性が低下する傾向にある。こ
れは、非極性溶剤を用いていた際には塗膜の定着性にお
いて作用していたと考えられる非吸収面へのエッチング
作用や水素結合などが、極性溶剤の使用により弱まった
ため、非吸収面表面に対する塗膜の密着性、定着性が損
なわれることに起因すると考えられる。
【0004】そこで、極性溶剤を含有する油性マーキン
グペン用インキ組成物に、樹脂などを添加することによ
り、非吸収面に対する塗膜の定着性向上を図っている。
しかし、これらのインキ組成物は、塗膜(印字や画像な
どの筆跡)と、金属やプラスチックなどの非吸収面との
定着性が低く、未だ満足の得られるような定着性を有す
るインキ組成物は得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、塗膜の非吸収
面に対する定着性を改善するため、インキ組成物にシリ
コーン系高分子界面活性剤を含有させると、このインキ
組成物は表面張力が低下し、通常のインキ収蔵体に収蔵
すると、保存性やインキ流出性が低くなる。
【0006】従って、本発明の課題は、インキ組成物の
表面張力が低くても、保存性及びインキ流出性が優れた
油性マーキングペン、およびこのマーキングペン用イン
キ収蔵体を提供することにある。本発明の他の課題は、
インキ組成物がシリコーン系高分子界面活性剤を含有し
ていても、高い保存性及びインキ流出性を有する油性マ
ーキングペン、およびこのマーキングペン用インキ収蔵
体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】従来のアルコール系やグ
リコールエーテル系溶剤を用いたマーキングペン用イン
キ組成物では、塗膜中の樹脂や染料等の固形分と、非吸
収面表面との密着性及び定着性を改善することを主とし
て検討していたため、インキ組成物による塗膜(筆跡)
と、非吸収面との定着性の改善が十分でない。もちろ
ん、塗膜中の樹脂や染料などの固形分と非吸収面表面と
の密着性及び定着性は塗膜の定着性向上に重要な役割を
果たしていることに相違はない。しかし、非吸収面表面
に対する塗膜の密着性及び定着性の向上は、同時に塗膜
表面に接触する他の物質が塗膜表面に付着するし易さに
つながる。従って、塗膜と非吸収面との定着性、密着性
の向上対策として、様々な樹脂との組み合わせなどを行
うと、塗膜と非吸収面との密着性、定着性は向上する
が、同時に塗膜表面の他の物質の付着性も強くなり、手
指、布、紙などで擦過された場合に塗膜が付着しやすく
なり、実質的な定着性の向上にならない。
【0008】そこで、本発明者は、かかる知見に基づき
鋭意検討した結果、着色剤、極性有機溶剤及び油溶性樹
脂を含むインキ組成物に、シリコーン系高分子界面活性
剤を含有させると、塗膜と非吸収面との定着性を改善で
きることを見いだした。シリコーン系高分子界面活性剤
は、極性有機溶剤と完全には相溶せず、またシリコーン
系高分子界面活性剤の特異的な界面活性のため、インキ
として非吸収面へ筆記された際には、シリコーン系高分
子界面活性剤は塗膜表面に移行する。その結果、シリコ
ーン系高分子界面活性剤は、塗膜と非吸収面表面との定
着性には影響をほとんど及ぼさず、塗膜表面においてそ
の特徴である他の物質への難付着性を発現する。したが
って、塗膜が手指、布、紙などで擦過された場合にも塗
膜が付着しにくく、その結果として、実質的な非吸収面
上の定着性が向上する。すなわち、シリコーン系高分子
界面活性剤を含有させたインキ組成物による塗膜は、塗
膜と非吸収面表面との密着性、定着性と塗膜表面の他の
物質への難付着性を同時に高いレベルで有する。
【0009】しかし、シリコーン系高分子界面活性剤含
有インキ組成物は、表面張力が低い(27dyne/c
m以下)ため、慣用のインキ収蔵体(例えば、直液式イ
ンキ収蔵体や短繊維で構成されたインキ収蔵体など)に
収蔵した油性マーキングペンでは、落下などの衝撃や長
期保存によりインキ漏れが生じるとともに、インキ流出
性が低下する。
【0010】そこで、本発明者は、インキ組成物の表面
張力が27dyne/cm以下であっても、インキ漏れ
を防止できるとともに、インキ流出性が高い油性マーキ
ングペンを得るべく、さらなる鋭意検討を重ねた結果、
特定の太さを有するフィラメント(長繊維)が特定の密
度で集束されているインキ収蔵体を用いると、インキ組
成物の表面張力が低くても、インキ漏れを防止できると
ともに、インキ流出性を改善できる油性マーキングペン
が得られることを見いだし本発明を完成した。すなわち
本発明の油性マーキングペンは、太さが2.5デニール
以下のフィラメントが密度0.15〜0.25g/cc
で集束されているインキ収蔵体に、表面張力が27dy
ne/cm以下のインキ組成物を収蔵している。
【0011】前記インキ組成物としては、着色剤、極性
有機溶剤、油溶性樹脂及びシリコーン系高分子界面活性
剤を含有しているインキ組成物が使用できる。このよう
なインキ組成物は、極性有機溶剤を使用しているにもか
かわらず、シリコーン系高分子界面活性剤を含有してい
るため、筆跡の塗膜の定着性が高く、例えば、溶剤とし
てキシレンなどの非極性溶剤を用いた場合と同等又はそ
れ以上の塗膜の定着性を、金属、プラスチックなどの非
吸収面で確保できる。
【0012】前記シリコーン系高分子界面活性剤には、
ポリオキシプロピレン変性シリコーンやカルボキシ変性
シリコーンなどが含まれる。シリコーン系高分子界面活
性剤の数平均分子量は、2,000〜20,000であ
る。シリコーン系高分子界面活性剤の使用量としては、
インキ組成物全量に対して0.01〜10重量%程度が
好適に使用できる。
【0013】より具体的には、極性有機溶剤には、アル
コール系又はグリコールエーテル系有機溶剤が含まれ
る。これらの極性有機溶剤は、人体に対してだけでな
く、使用方法においても安全性が高い。
【0014】油溶性樹脂(以下、単に「樹脂」と称する
場合がある)には、ケトン系樹脂、フェノール系樹脂、
キシレン系樹脂、ロジン樹脂、スチレン−有機酸共重合
体、ポリアクリル酸エステルなどが含まれる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(インキ組成物)表面張力が低いインキ組成物として
は、例えば、シリコーン系高分子界面活性剤を含む油性
マーキングペン用インキ組成物が例示できる。シリコー
ン系高分子界面活性剤は、塗膜(筆跡)表面で他の物質
に対して難付着性を示すため、塗膜の非吸収面に対する
定着性を向上することができる。また、油性マーキング
ペン用インキ組成物には、着色剤、極性有機溶剤、油溶
性樹脂等が含まれている。
【0016】(シリコーン系高分子界面活性剤)シリコ
ーン系高分子界面活性剤としては、特に制限されず、ポ
リエーテル変性シリコーン、カルボキシ変性シリコー
ン、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等
の変性シリコーンを用いることができる。好ましいシリ
コーン系高分子界面活性剤には、ポリエーテル変性シリ
コーン、カルボキシ変性シリコーンが含まれる。シリコ
ーン系高分子界面活性剤は単独で又は複数混合して使用
できる。
【0017】ポリエーテル変性シリコーンの中でも、ポ
リエーテルとしてポリオキシプロピレンの含有量が多い
変性シリコーン(例えば、ポリエーテル中のポリオキシ
プロピレンの含有量が50重量%以上(好ましくは70
重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上)である
ポリエーテル変性シリコーン)、特にポリエーテルがポ
リオキシプロピレンのみで構成されているポリエーテル
変性シリコーン(「ポリオキシプロピレン変性シリコー
ン」と称する)が好適に使用できる。
【0018】ポリオキシプロピレン変性シリコーンやカ
ルボキシ変性シリコーンは極めて高い難付着性を発現で
きる。これらの変性シリコーン含有インキ組成物により
筆記すると、極性有機溶剤の蒸発又は揮発に伴い、前記
変性シリコーン(ポリオキシプロピレン変性シリコー
ン、カルボキシ変性シリコーン)が塗膜表面に移行し易
いためである。
【0019】シリコーン系高分子界面活性剤は、特に限
定されず、市販の変性シリコーンオイルを使用できる。
ポリオキシプロピレン変性シリコーンオイルとしては、
例えば、東芝シリコーン社から商品名「TSF446
0」が市販されており、また、共栄社化学社から商品名
「グラノール115」が市販されている。カルボキシ変
性シリコーンとしては、例えば、東芝シリコーン社から
商品名「TSF4770」が市販されており、また、信
越化学工業社から商品名「X−22−3710」、「X
−22−162A」、「X−22−3701E」が市販
されている。
【0020】シリコーン系高分子界面活性剤の分子量
(数平均分子量)は、特に制限されず、例えば、1,0
00〜30,000、好ましくは2,000〜20,0
00、さらに好ましくは5,000〜20,000程度
である。分子量が低すぎると耐水性が低下し、高すぎる
と塗膜表面に移行しにくくなり、難付着性が低く、定着
性が低下する場合がある。
【0021】シリコーン系高分子界面活性剤の使用量
は、その種類や他の成分(着色剤、樹脂など)の種類に
応じて、例えば、インキ全量に対して0.01〜10重
量%、好ましくは0.2〜4.0重量%程度である。こ
れらの範囲を越えると、シリコーン系高分子界面活性剤
は塗膜の表面のみならず、塗面近くにも移行し、かえっ
て塗面に対する付着性の阻害などの副次的作用が生じ
る。一方、これらの範囲より少ないと、塗膜の難付着性
が低く、定着性が低下する。
【0022】(着色剤)着色剤は特に限定されるもので
はない。着色剤としては、安全性が高いものが好まし
い。また、後述する極性有機溶剤に可溶な着色剤、又は
溶解助剤(可溶化剤)を用いて極性有機溶剤に溶解させ
ることができる着色剤を好適に使用できる。着色剤に
は、例えば、油溶性黒色ニグロシン染料(中央合成化学
社製、商品名:オイルブラック2030など)、油溶性
黒色染料(オリエント化学社製、商品名:バリファスト
ブラック3810など)、油溶性赤色染料(オリエント
化学社製、商品名:バリファストレッド1308な
ど)、油溶性青色染料(BASF社製、商品名:ネオザ
ポンブルー807など)、油溶性黄色染料(保土谷化学
社製、商品名:スピンイエローC−GNHなど)などの
油溶性染料が含まれる。着色剤は、単独で又は複数混合
して使用できる。着色剤の使用量は、インキ全量に対し
て1〜15重量%、好ましくは3〜12重量%である。
着色剤の使用量が過多であると粘度が上昇し、筆記性が
低下する。一方、過小であると筆跡濃度が低い。
【0023】(極性有機溶剤)極性有機溶剤は、従来安
全性の点で問題があったベンゼン、トルエンなど非極性
溶剤に代わるもので、アルコール系溶剤、グリコールエ
ーテル系溶剤を例示できるが、格別限定されるものでは
ない。アルコール系溶剤としては、特に炭素数が1〜4
の脂肪族アルコール、例えばメチルアルコール、エチル
アルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピ
ルアルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチル
アルコール、ターシャルブチルアルコールが好ましい。
グリコールエーテル系溶剤としては、例えばプロピレン
グリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール
モノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリ
コールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ
エチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ
プロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモ
ノブメチルエーテルアセテート等を挙げることができ
る。好ましいグリコールエーテル系溶剤には、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコー
ルモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメ
チルエーテルが含まれる。
【0024】極性有機溶剤は、単独で又は複数混合して
使用でき、その使用量はインキ全量に対して50〜96
重量%、好ましくは64〜92重量%程度である。極性
有機溶剤の使用量が多すぎると、筆跡の濃度が低下す
る。一方、少なすぎると粘度が上昇して筆記性が低くな
り、また、着色剤、油溶性樹脂などの溶解性が低い。
【0025】(樹脂)樹脂は、前記極性有機溶剤に可溶
な樹脂であれば特に限定されない。好ましくは安全であ
ることが求められる。樹脂としては、例えば、ケトン系
樹脂、フェノール系樹脂(例えば、アルキルフェノール
樹脂、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂な
ど)、キシレン系樹脂(例えば、アルキルフェノール変
性キシレン樹脂、ロジン変性キシレン樹脂など)、ロジ
ン樹脂、スチレン−有機酸共重合体(例えば、スチレン
−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合
体、スチレン−無水マレイン酸共重合体など)、ポリア
クリル酸エステルなどが好適に使用される。樹脂は、単
独でまたは複数混合して用いることができる。樹脂の使
用量は、例えば、インキ全量に対して3〜25重量%、
好ましくは5〜20重量%程度である。樹脂の使用量が
これらの範囲を越えると粘度が上昇し、筆記性が低下す
る。一方、これらの範囲より少ないと塗膜(筆跡)の塗
面に対する密着性が低い。
【0026】その他、油性マーキングペン用インキ組成
物には、粘度調整剤、構造粘性付与剤、染料可溶化剤、
乾燥性付与剤などの各種の添加剤などが配合されていて
もよい。各種添加剤は特に限定されず、公知の添加剤を
広く利用できる。
【0027】(製造方法)前記インキ組成物は、前記成
分(着色剤、極性有機溶剤、樹脂、シリコーン系高分子
界面活性剤など)を混合して調製できる。インキ組成物
の調製方法としては、特に限定されないが、例えば、極
性有機溶剤と樹脂とを、加熱下で(例えば、50℃で)
で攪拌して混合し、続けて、着色剤と、必要に応じて各
種の添加剤を加え、加熱下で(例えば、50℃で)攪拌
混合する。攪拌混合後、加熱をやめて、シリコーン系高
分子界面活性剤を加え、攪拌混合して調製する方法等が
例示できる。
【0028】インキ組成物は、インキとして非吸収面
(ブリキ板などの金属板、ポリエチレンやポリプロピレ
ンなどで形成されたフィルムやシートなどのプラスチッ
クフィルムやシートなどの筆記面であって、油性インキ
をほとんど吸収しない面)に筆記された際の塗膜の定着
性が優れているので、油性マーキングペン用インキ組成
物として有用である。また、このインキ組成物では、溶
剤としてアルコール系やグリコールエーテル系の極性有
機溶剤を用いているため、従来のキシレンなどの非極性
有機溶剤を使用しているインキ組成物に比べて、人体に
対してだけでなく、使用方法や製造方法などにおいて
も、安全性が極めて高い。
【0029】(油性マーキングペン)前記インキ組成物
は、シリコーン系高分子界面活性剤を含有しているた
め、表面張力が小さい。インキ組成物の表面張力は、シ
リコーン系高分子界面活性剤の種類や含有量に応じて、
例えば、27dyne/cm以下(例えば、27〜10
dyne/cm)、好ましくは26〜18dyne/c
m程度である。
【0030】インキ組成物は、表面張力が低いため、油
性マーキングペン用として使用する場合、特定の太さを
有するフィラメント(長繊維)を特定の密度で集束し、
空隙の大きさを一定にしたインキ収蔵体に収蔵して用い
る。このようなインキ収蔵体では、インキ漏れを防止で
き、また、インキ収蔵体内における空隙の大きさを一定
にすることができるため、インキ流出性を向上できる。
直液式のインキ収蔵体(インキタンクに直接インキを充
填する方法によるインキ収蔵体)では、インキ組成物の
表面張力が低いため、落下などによる衝撃や長期保存中
にインキ漏れが生じる。また、インキ収蔵体がステープ
ル(短繊維)で構成されていれば、繊維の密度を一定に
して集束できないため、インキ収蔵体内の空隙の大きさ
を一定にできず、インキ流出性が低下する。
【0031】本発明において、インキ収蔵体に用いる繊
維としては、フィラメント(長繊維)に加工することが
できるものであれば、特に制限なく慣用の繊維を用いる
ことができる。このような繊維としては、例えば、アク
リル系樹脂、エステル系樹脂、ポリプロピレンなどで構
成された繊維等を用いることができる。
【0032】フィラメントの太さは、例えば、2.5デ
ニール以下(例えば、0.5〜2.3デニール)、特に
2.1デニール以下(例えば、1〜2.1デニール程
度)であるのが好ましい。フィラメントの太さが太すぎ
ると、インキの流出が多くなり、インキ漏れが生じる。
【0033】さらに、フィラメントは、密度0.15〜
0.25g/cc(特に0.16〜0.24g/cc)
で集束されているのが好ましい。密度が過大であると、
インキの流出が少なすぎてかすれの原因となる。一方、
過小であると、インキの流出が大きすぎて、インキ漏れ
が生じる。
【0034】本発明のインキ収蔵体は、前記太さを有す
るフィラメントを前記密度の範囲になるように、慣用の
方法により、撚りをかけず、また、折り返さずに一端か
ら一端まで直線状に集束し、インキ組成物を充填させて
製造できる。本発明の油性マーキングペンは、前記イン
キ収蔵体を用いて、慣用の方法により作製でき、ペン先
としてフェルトや繊維束等が使用され、インキ組成物と
しては前記シリコーン系高分子界面活性剤を含むインキ
組成物が好適に使用できる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて
より詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。 (調製例1)エタノール15重量部、イソプロピルアル
コール15重量部、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテル(ダウ・ケミカル社製、商品名「ダワノールP
M」)40重量部、ジプロピレングリコールモノメチル
エーテル(ダウ・ケミカル社製、商品名「ダワノールD
PM」)9.5重量部、ケトン樹脂(日立化成社製、商
品名「ハイラック111」)7重量部、アルキルフェノ
ール変性キシレン樹脂(三菱瓦斯社製、商品名「ニカノ
ールHP−100」)2重量部を、50℃で1時間加熱
攪拌混合し、続けて、油溶性青色染料(BASF社製、
商品名「ネオザポンブルー807」)8重量部、油溶性
黄色染料(保土谷化学社製、商品名「スピロンイエロー
C−GNH」)3重量部を投入し、さらに50℃、30
分間加熱攪拌混合する。混合後、加熱をやめて、ポリオ
キシプロピレン変性シリコーン(共栄社化学社製、商品
名「グラノール115」)0.5重量部を投入し、10
分間攪拌混合して油性マーキングペン用インキ組成物を
得た。このインキ組成物の表面張力は22dyne/c
mであった。
【0036】(調製例2)ポリオキシプロピレン変性シ
リコーンに代えて、カルボキシ変性シリコーン(信越化
学工業社製、商品名「X−22−3710」)を用いる
以外、調製例2と同様にして油性マーキングペン用イン
キ組成物を調製した。このインキ組成物の表面張力は2
5dyne/cmであった。
【0037】調製例1および2で得られた油性マーキン
グペン用インキ組成物を、フェルトをペン先として使用
した筆記具(サクラクレパス社製油性マーカー、商品名
「ペンタッチ」)に充填し、これを用いて非吸収面(ブ
リキ板、ポリエチレン板)に直線を筆記して、30分乾
燥した後、塗膜を綿棒で500g荷重にて擦過した。し
かし、擦過による塗膜の変化はなかった。
【0038】(実施例1)インキ収蔵体として、太さが
1.5デニール、2.1デニール、3.0デニールの3
種のフィラメントを、それぞれ密度0.14g/cc、
0.16g/cc、0.20g/cc、0.24g/c
c、0.26g/ccで集束して形成した15種類のイ
ンキ収蔵体を用いた。これらのインキ収蔵体に、調製例
1のインキ組成物を満インキ量の80%(容積%)にな
るように充填し、インキを充填したインキ収蔵体を作製
した。この充填インキ収蔵体を、ペン先としてフェルト
を使用している筆記具(サクラクレパス社製油性マーカ
ー、商品名「ペンタッチ」)にセットした。これらの筆
記具を、インキ流出性を評価するとともに、50℃で一
ヶ月保存してインキ漏れの有無を調べた。これら評価結
果を表1に示す。なお、インキ流出性における評価基準
は、流出が多いのを×、流出性がよいのを○、流出が少
ないのを△とし、表1中では、インキ流出性のことを単
に「流出」と称した。また、インキ漏れのことは、表1
中では、単に「漏れ」と称した。
【0039】
【表1】
【0040】(実施例2)調製例1のインキ組成物に代
えて、調製例2のインキ組成物を用いる以外、実施例1
と同様にしてインキを充填したインキ収蔵体を作製し
た。このインキ収蔵体を用いて、実施例1と同様にして
インキ流出性及びインキ漏れを評価し、その結果を表2
に示した。
【0041】
【表2】
【0042】本発明の油性マーキングペン用インキ収蔵
体は、インキ組成物が表面張力を低下させるシリコーン
系高分子界面活性剤を含んでいるにもかかわらず、イン
キ流出性及び保存性に優れている。
【0043】
【発明の効果】本発明の油性マーキングペンは、特定の
太さのフィラメントが特定の密度で集束して構成されて
いるインキ収蔵体を用いているので、収蔵するインキ組
成物の表面張力が低くても、保存性及びインキ流出性が
高い。従って、インキ組成物がシリコーン系高分子界面
活性剤を含有していても、油性マーキングペンは、長期
間にわたりインキ漏れを起こさず、優れたインキ流出性
を有している。そのため、安全性が優れ、かつ塗膜の定
着性が高いインキ組成物を使用できるとともに、保存性
及びインキ流出性が改善された油性マーキングペンを提
供できる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 太さ2.5デニール以下のフィラメント
    が密度0.15〜0.25g/ccで集束されているイ
    ンキ収蔵体に、表面張力が27dyne/cm以下のイ
    ンキ組成物を収蔵している油性マーキングペン。
  2. 【請求項2】 インキ組成物が着色剤、極性有機溶剤、
    油溶性樹脂及びシリコーン系高分子界面活性剤を含んで
    いる請求項1記載の油性マーキングペン。
  3. 【請求項3】 シリコーン系高分子界面活性剤がポリオ
    キシプロピレン変性シリコーン又はカルボキシ変性シリ
    コーンである請求項2記載の油性マーキングペン。
  4. 【請求項4】 シリコーン系高分子界面活性剤の数平均
    分子量が2000〜20000である請求項2記載の油
    性マーキングペン。
  5. 【請求項5】 シリコーン系高分子界面活性剤を、イン
    キ組成物全量に対して0.01〜10重量%含む請求項
    2及至4のいずれかの項に記載の油性マーキングペン。
  6. 【請求項6】 極性有機溶剤がアルコール系溶剤又はグ
    リコールエーテル系溶剤である請求項2及至5のいずれ
    かの項に記載の油性マーキングペン。
  7. 【請求項7】 油溶性樹脂がケトン系樹脂、フェノール
    系樹脂、キシレン系樹脂、ロジン樹脂、スチレン−有機
    酸共重合体およびポリアクリル酸エステルから選択され
    た少なくとも一種である請求項2及至6のいずれかの項
    に記載の油性マーキングペン。
  8. 【請求項8】 表面張力が27dyne/cm以下のイ
    ンキ組成物を収蔵するためのインキ収蔵体であって、太
    さ2.5デニール以下のフィラメントが密度0.15〜
    0.25g/ccで集束されている油性マーキングペン
    用インキ収蔵体。
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