JP3897320B2 - 油性マーキングペン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油性マーキングペン及び油性マーキングペン用インキ収蔵体に関し、詳しくは、塗膜の非吸収面に対する定着性が高く、表面張力が小さいインキ組成物を用いた油性マーキングペン及び油性マーキングペン用インキ収蔵体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、油性マーキングペン用インキ組成物における溶剤としては、キシレンなどの非極性溶剤が用いられてきたが、近年、安全性などの点からアルコール系やグリコールエーテル系の極性溶剤の使用へと移行している。
【0003】
しかし、非極性溶剤から極性溶剤への使用移行に伴い、油性マーキングペンに要求される、金属、プラスチックなどの非吸収面に筆記した際の塗膜(印字や画像などの筆跡)の定着性が低下する傾向にある。これは、非極性溶剤を用いていた際には塗膜の定着性において作用していたと考えられる非吸収面へのエッチング作用や水素結合などが、極性溶剤の使用により弱まったため、非吸収面表面に対する塗膜の密着性、定着性が損なわれることに起因すると考えられる。
【0004】
そこで、極性溶剤を含有する油性マーキングペン用インキ組成物に、樹脂などを添加することにより、非吸収面に対する塗膜の定着性向上を図っている。しかし、これらのインキ組成物は、塗膜(印字や画像などの筆跡)と、金属やプラスチックなどの非吸収面との定着性が低く、未だ満足の得られるような定着性を有するインキ組成物は得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、塗膜の非吸収面に対する定着性を改善するため、インキ組成物にシリコーン系高分子界面活性剤を含有させると、このインキ組成物は表面張力が低下し、通常のインキ収蔵体に収蔵すると、保存性やインキ流出性が低くなる。
【0006】
従って、本発明の課題は、インキ組成物の表面張力が低くても、保存性及びインキ流出性が優れた油性マーキングペン、およびこのマーキングペン用インキ収蔵体を提供することにある。
本発明の他の課題は、インキ組成物がシリコーン系高分子界面活性剤を含有していても、高い保存性及びインキ流出性を有する油性マーキングペン、およびこのマーキングペン用インキ収蔵体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
従来のアルコール系やグリコールエーテル系溶剤を用いたマーキングペン用インキ組成物では、塗膜中の樹脂や染料等の固形分と、非吸収面表面との密着性及び定着性を改善することを主として検討していたため、インキ組成物による塗膜(筆跡)と、非吸収面との定着性の改善が十分でない。もちろん、塗膜中の樹脂や染料などの固形分と非吸収面表面との密着性及び定着性は塗膜の定着性向上に重要な役割を果たしていることに相違はない。しかし、非吸収面表面に対する塗膜の密着性及び定着性の向上は、同時に塗膜表面に接触する他の物質が塗膜表面に付着するし易さにつながる。従って、塗膜と非吸収面との定着性、密着性の向上対策として、様々な樹脂との組み合わせなどを行うと、塗膜と非吸収面との密着性、定着性は向上するが、同時に塗膜表面の他の物質の付着性も強くなり、手指、布、紙などで擦過された場合に塗膜が付着しやすくなり、実質的な定着性の向上にならない。
【0008】
そこで、本発明者は、かかる知見に基づき鋭意検討した結果、着色剤、極性有機溶剤及び油溶性樹脂を含むインキ組成物に、シリコーン系高分子界面活性剤を含有させると、塗膜と非吸収面との定着性を改善できることを見いだした。シリコーン系高分子界面活性剤は、極性有機溶剤と完全には相溶せず、またシリコーン系高分子界面活性剤の特異的な界面活性のため、インキとして非吸収面へ筆記された際には、シリコーン系高分子界面活性剤は塗膜表面に移行する。その結果、シリコーン系高分子界面活性剤は、塗膜と非吸収面表面との定着性には影響をほとんど及ぼさず、塗膜表面においてその特徴である他の物質への難付着性を発現する。したがって、塗膜が手指、布、紙などで擦過された場合にも塗膜が付着しにくく、その結果として、実質的な非吸収面上の定着性が向上する。すなわち、シリコーン系高分子界面活性剤を含有させたインキ組成物による塗膜は、塗膜と非吸収面表面との密着性、定着性と塗膜表面の他の物質への難付着性を同時に高いレベルで有する。
【0009】
しかし、シリコーン系高分子界面活性剤含有インキ組成物は、表面張力が低い(27dyne/cm以下)ため、慣用のインキ収蔵体(例えば、直液式インキ収蔵体や短繊維で構成されたインキ収蔵体など)に収蔵した油性マーキングペンでは、落下などの衝撃や長期保存によりインキ漏れが生じるとともに、インキ流出性が低下する。
【0010】
そこで、本発明者は、インキ組成物の表面張力が27dyne/cm以下であっても、インキ漏れを防止できるとともに、インキ流出性が高い油性マーキングペンを得るべく、さらなる鋭意検討を重ねた結果、特定の太さを有するフィラメント(長繊維)が特定の密度で集束されているインキ収蔵体を用いると、インキ組成物の表面張力が低くても、インキ漏れを防止できるとともに、インキ流出性を改善できる油性マーキングペンが得られることを見いだし本発明を完成した。すなわち本発明の油性マーキングペンは、太さが2.5デニール以下のフィラメントが密度0.15〜0.25g/ccで集束されているインキ収蔵体に、表面張力が27dyne/cm以下のインキ組成物を収蔵している。
【0011】
前記インキ組成物としては、着色剤、極性有機溶剤、油溶性樹脂及びシリコーン系高分子界面活性剤を含有しているインキ組成物が使用できる。このようなインキ組成物は、極性有機溶剤を使用しているにもかかわらず、シリコーン系高分子界面活性剤を含有しているため、筆跡の塗膜の定着性が高く、例えば、溶剤としてキシレンなどの非極性溶剤を用いた場合と同等又はそれ以上の塗膜の定着性を、金属、プラスチックなどの非吸収面で確保できる。
【0012】
前記シリコーン系高分子界面活性剤には、ポリオキシプロピレン変性シリコーンやカルボキシ変性シリコーンなどが含まれる。シリコーン系高分子界面活性剤の数平均分子量は、2,000〜20,000である。シリコーン系高分子界面活性剤の使用量としては、インキ組成物全量に対して0.01〜10重量%程度が好適に使用できる。
【0013】
より具体的には、極性有機溶剤には、アルコール系又はグリコールエーテル系有機溶剤が含まれる。これらの極性有機溶剤は、人体に対してだけでなく、使用方法においても安全性が高い。
【0014】
油溶性樹脂(以下、単に「樹脂」と称する場合がある)には、ケトン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、ロジン樹脂、スチレン−有機酸共重合体、ポリアクリル酸エステルなどが含まれる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(インキ組成物)
表面張力が低いインキ組成物としては、例えば、シリコーン系高分子界面活性剤を含む油性マーキングペン用インキ組成物が例示できる。シリコーン系高分子界面活性剤は、塗膜(筆跡)表面で他の物質に対して難付着性を示すため、塗膜の非吸収面に対する定着性を向上することができる。また、油性マーキングペン用インキ組成物には、着色剤、極性有機溶剤、油溶性樹脂等が含まれている。
【0016】
(シリコーン系高分子界面活性剤)
シリコーン系高分子界面活性剤としては、特に制限されず、ポリエーテル変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の変性シリコーンを用いることができる。好ましいシリコーン系高分子界面活性剤には、ポリエーテル変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーンが含まれる。シリコーン系高分子界面活性剤は単独で又は複数混合して使用できる。
【0017】
ポリエーテル変性シリコーンの中でも、ポリエーテルとしてポリオキシプロピレンの含有量が多い変性シリコーン(例えば、ポリエーテル中のポリオキシプロピレンの含有量が50重量%以上(好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上)であるポリエーテル変性シリコーン)、特にポリエーテルがポリオキシプロピレンのみで構成されているポリエーテル変性シリコーン(「ポリオキシプロピレン変性シリコーン」と称する)が好適に使用できる。
【0018】
ポリオキシプロピレン変性シリコーンやカルボキシ変性シリコーンは極めて高い難付着性を発現できる。これらの変性シリコーン含有インキ組成物により筆記すると、極性有機溶剤の蒸発又は揮発に伴い、前記変性シリコーン(ポリオキシプロピレン変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン)が塗膜表面に移行し易いためである。
【0019】
シリコーン系高分子界面活性剤は、特に限定されず、市販の変性シリコーンオイルを使用できる。ポリオキシプロピレン変性シリコーンオイルとしては、例えば、東芝シリコーン社から商品名「TSF4460」が市販されており、また、共栄社化学社から商品名「グラノール115」が市販されている。カルボキシ変性シリコーンとしては、例えば、東芝シリコーン社から商品名「TSF4770」が市販されており、また、信越化学工業社から商品名「X−22−3710」、「X−22−162A」、「X−22−3701E」が市販されている。
【0020】
シリコーン系高分子界面活性剤の分子量(数平均分子量)は、特に制限されず、例えば、1,000〜30,000、好ましくは2,000〜20,000、さらに好ましくは5,000〜20,000程度である。分子量が低すぎると耐水性が低下し、高すぎると塗膜表面に移行しにくくなり、難付着性が低く、定着性が低下する場合がある。
【0021】
シリコーン系高分子界面活性剤の使用量は、その種類や他の成分(着色剤、樹脂など)の種類に応じて、例えば、インキ全量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.2〜4.0重量%程度である。これらの範囲を越えると、シリコーン系高分子界面活性剤は塗膜の表面のみならず、塗面近くにも移行し、かえって塗面に対する付着性の阻害などの副次的作用が生じる。一方、これらの範囲より少ないと、塗膜の難付着性が低く、定着性が低下する。
【0022】
(着色剤)
着色剤は特に限定されるものではない。着色剤としては、安全性が高いものが好ましい。また、後述する極性有機溶剤に可溶な着色剤、又は溶解助剤(可溶化剤)を用いて極性有機溶剤に溶解させることができる着色剤を好適に使用できる。着色剤には、例えば、油溶性黒色ニグロシン染料(中央合成化学社製、商品名:オイルブラック2030など)、油溶性黒色染料(オリエント化学社製、商品名:バリファストブラック3810など)、油溶性赤色染料(オリエント化学社製、商品名:バリファストレッド1308など)、油溶性青色染料(BASF社製、商品名:ネオザポンブルー807など)、油溶性黄色染料(保土谷化学社製、商品名:スピンイエローC−GNHなど)などの油溶性染料が含まれる。着色剤は、単独で又は複数混合して使用できる。着色剤の使用量は、インキ全量に対して1〜15重量%、好ましくは3〜12重量%である。着色剤の使用量が過多であると粘度が上昇し、筆記性が低下する。一方、過小であると筆跡濃度が低い。
【0023】
(極性有機溶剤)
極性有機溶剤は、従来安全性の点で問題があったベンゼン、トルエンなど非極性溶剤に代わるもので、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤を例示できるが、格別限定されるものではない。アルコール系溶剤としては、特に炭素数が1〜4の脂肪族アルコール、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチルアルコール、ターシャルブチルアルコールが好ましい。グリコールエーテル系溶剤としては、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。好ましいグリコールエーテル系溶剤には、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルが含まれる。
【0024】
極性有機溶剤は、単独で又は複数混合して使用でき、その使用量はインキ全量に対して50〜96重量%、好ましくは64〜92重量%程度である。極性有機溶剤の使用量が多すぎると、筆跡の濃度が低下する。一方、少なすぎると粘度が上昇して筆記性が低くなり、また、着色剤、油溶性樹脂などの溶解性が低い。
【0025】
(樹脂)
樹脂は、前記極性有機溶剤に可溶な樹脂であれば特に限定されない。好ましくは安全であることが求められる。樹脂としては、例えば、ケトン系樹脂、フェノール系樹脂(例えば、アルキルフェノール樹脂、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂など)、キシレン系樹脂(例えば、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、ロジン変性キシレン樹脂など)、ロジン樹脂、スチレン−有機酸共重合体(例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体など)、ポリアクリル酸エステルなどが好適に使用される。樹脂は、単独でまたは複数混合して用いることができる。樹脂の使用量は、例えば、インキ全量に対して3〜25重量%、好ましくは5〜20重量%程度である。樹脂の使用量がこれらの範囲を越えると粘度が上昇し、筆記性が低下する。一方、これらの範囲より少ないと塗膜(筆跡)の塗面に対する密着性が低い。
【0026】
その他、油性マーキングペン用インキ組成物には、粘度調整剤、構造粘性付与剤、染料可溶化剤、乾燥性付与剤などの各種の添加剤などが配合されていてもよい。各種添加剤は特に限定されず、公知の添加剤を広く利用できる。
【0027】
(製造方法)
前記インキ組成物は、前記成分(着色剤、極性有機溶剤、樹脂、シリコーン系高分子界面活性剤など)を混合して調製できる。インキ組成物の調製方法としては、特に限定されないが、例えば、極性有機溶剤と樹脂とを、加熱下で(例えば、50℃で)で攪拌して混合し、続けて、着色剤と、必要に応じて各種の添加剤を加え、加熱下で(例えば、50℃で)攪拌混合する。攪拌混合後、加熱をやめて、シリコーン系高分子界面活性剤を加え、攪拌混合して調製する方法等が例示できる。
【0028】
インキ組成物は、インキとして非吸収面(ブリキ板などの金属板、ポリエチレンやポリプロピレンなどで形成されたフィルムやシートなどのプラスチックフィルムやシートなどの筆記面であって、油性インキをほとんど吸収しない面)に筆記された際の塗膜の定着性が優れているので、油性マーキングペン用インキ組成物として有用である。また、このインキ組成物では、溶剤としてアルコール系やグリコールエーテル系の極性有機溶剤を用いているため、従来のキシレンなどの非極性有機溶剤を使用しているインキ組成物に比べて、人体に対してだけでなく、使用方法や製造方法などにおいても、安全性が極めて高い。
【0029】
(油性マーキングペン)
前記インキ組成物は、シリコーン系高分子界面活性剤を含有しているため、表面張力が小さい。インキ組成物の表面張力は、シリコーン系高分子界面活性剤の種類や含有量に応じて、例えば、27dyne/cm以下(例えば、27〜10dyne/cm)、好ましくは26〜18dyne/cm程度である。
【0030】
インキ組成物は、表面張力が低いため、油性マーキングペン用として使用する場合、特定の太さを有するフィラメント(長繊維)を特定の密度で集束し、空隙の大きさを一定にしたインキ収蔵体に収蔵して用いる。このようなインキ収蔵体では、インキ漏れを防止でき、また、インキ収蔵体内における空隙の大きさを一定にすることができるため、インキ流出性を向上できる。直液式のインキ収蔵体(インキタンクに直接インキを充填する方法によるインキ収蔵体)では、インキ組成物の表面張力が低いため、落下などによる衝撃や長期保存中にインキ漏れが生じる。また、インキ収蔵体がステープル(短繊維)で構成されていれば、繊維の密度を一定にして集束できないため、インキ収蔵体内の空隙の大きさを一定にできず、インキ流出性が低下する。
【0031】
本発明において、インキ収蔵体に用いる繊維としては、フィラメント(長繊維)に加工することができるものであれば、特に制限なく慣用の繊維を用いることができる。このような繊維としては、例えば、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ポリプロピレンなどで構成された繊維等を用いることができる。
【0032】
フィラメントの太さは、例えば、2.5デニール以下(例えば、0.5〜2.3デニール)、特に2.1デニール以下(例えば、1〜2.1デニール程度)であるのが好ましい。フィラメントの太さが太すぎると、インキの流出が多くなり、インキ漏れが生じる。
【0033】
さらに、フィラメントは、密度0.15〜0.25g/cc(特に0.16〜0.24g/cc)で集束されているのが好ましい。密度が過大であると、インキの流出が少なすぎてかすれの原因となる。一方、過小であると、インキの流出が大きすぎて、インキ漏れが生じる。
【0034】
本発明のインキ収蔵体は、前記太さを有するフィラメントを前記密度の範囲になるように、慣用の方法により、撚りをかけず、また、折り返さずに一端から一端まで直線状に集束し、インキ組成物を充填させて製造できる。本発明の油性マーキングペンは、前記インキ収蔵体を用いて、慣用の方法により作製でき、ペン先としてフェルトや繊維束等が使用され、インキ組成物としては前記シリコーン系高分子界面活性剤を含むインキ組成物が好適に使用できる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(調製例1)
エタノール15重量部、イソプロピルアルコール15重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウ・ケミカル社製、商品名「ダワノールPM」)40重量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウ・ケミカル社製、商品名「ダワノールDPM」)9.5重量部、ケトン樹脂(日立化成社製、商品名「ハイラック111」)7重量部、アルキルフェノール変性キシレン樹脂(三菱瓦斯社製、商品名「ニカノールHP−100」)2重量部を、50℃で1時間加熱攪拌混合し、続けて、油溶性青色染料(BASF社製、商品名「ネオザポンブルー807」)8重量部、油溶性黄色染料(保土谷化学社製、商品名「スピロンイエローC−GNH」)3重量部を投入し、さらに50℃、30分間加熱攪拌混合する。混合後、加熱をやめて、ポリオキシプロピレン変性シリコーン(共栄社化学社製、商品名「グラノール115」)0.5重量部を投入し、10分間攪拌混合して油性マーキングペン用インキ組成物を得た。このインキ組成物の表面張力は22dyne/cmであった。
【0036】
(調製例2)
ポリオキシプロピレン変性シリコーンに代えて、カルボキシ変性シリコーン(信越化学工業社製、商品名「X−22−3710」)を用いる以外、調製例2と同様にして油性マーキングペン用インキ組成物を調製した。このインキ組成物の表面張力は25dyne/cmであった。
【0037】
調製例1および2で得られた油性マーキングペン用インキ組成物を、フェルトをペン先として使用した筆記具(サクラクレパス社製油性マーカー、商品名「ペンタッチ」)に充填し、これを用いて非吸収面(ブリキ板、ポリエチレン板)に直線を筆記して、30分乾燥した後、塗膜を綿棒で500g荷重にて擦過した。しかし、擦過による塗膜の変化はなかった。
【0038】
(実施例1)
インキ収蔵体として、太さが1.5デニール、2.1デニール、3.0デニールの3種のフィラメントを、それぞれ密度0.14g/cc、0.16g/cc、0.20g/cc、0.24g/cc、0.26g/ccで集束して形成した15種類のインキ収蔵体を用いた。これらのインキ収蔵体に、調製例1のインキ組成物を満インキ量の80%(容積%)になるように充填し、インキを充填したインキ収蔵体を作製した。この充填インキ収蔵体を、ペン先としてフェルトを使用している筆記具(サクラクレパス社製油性マーカー、商品名「ペンタッチ」)にセットした。これらの筆記具を、インキ流出性を評価するとともに、50℃で一ヶ月保存してインキ漏れの有無を調べた。これら評価結果を表1に示す。なお、インキ流出性における評価基準は、流出が多いのを×、流出性がよいのを○、流出が少ないのを△とし、表1中では、インキ流出性のことを単に「流出」と称した。また、インキ漏れのことは、表1中では、単に「漏れ」と称した。
【0039】
【表1】
【0040】
(実施例2)
調製例1のインキ組成物に代えて、調製例2のインキ組成物を用いる以外、実施例1と同様にしてインキを充填したインキ収蔵体を作製した。このインキ収蔵体を用いて、実施例1と同様にしてインキ流出性及びインキ漏れを評価し、その結果を表2に示した。
【0041】
【表2】
【0042】
本発明の油性マーキングペン用インキ収蔵体は、インキ組成物が表面張力を低下させるシリコーン系高分子界面活性剤を含んでいるにもかかわらず、インキ流出性及び保存性に優れている。
【0043】
【発明の効果】
本発明の油性マーキングペンは、特定の太さのフィラメントが特定の密度で集束して構成されているインキ収蔵体を用いているので、収蔵するインキ組成物の表面張力が低くても、保存性及びインキ流出性が高い。従って、インキ組成物がシリコーン系高分子界面活性剤を含有していても、油性マーキングペンは、長期間にわたりインキ漏れを起こさず、優れたインキ流出性を有している。そのため、安全性が優れ、かつ塗膜の定着性が高いインキ組成物を使用できるとともに、保存性及びインキ流出性が改善された油性マーキングペンを提供できる。
Claims (5)
- 着色剤、極性有機溶剤、油溶性樹脂及びシリコーン系高分子界面活性剤を含むインキ組成物であって、
前記極性有機溶剤がアルコール系溶剤又はグリコールエーテル系溶剤であり、
前記シリコーン系高分子界面活性剤がカルボキシ変性シリコーンであり、
その表面張力が27dyne/cm以下であるインキ組成物が、
太さ2.5デニール以下のフィラメントが密度0.15〜0.25g/ccで集束されているインキ収蔵体に、収蔵されている油性マーキングペン。 - 前記インキ収蔵体は、撚りをかけずに集束されている請求項1記載の油性マーキングペン。
- 前記シリコーン系高分子界面活性剤の数平均分子量が2000〜20000である請求項1または2に記載の油性マーキングペン。
- シリコーン系高分子界面活性剤を、インキ組成物全量に対して0.01〜10重量%含む請求項1乃至3のいずれかの項に記載の油性マーキングペン。
- 油溶性樹脂がケトン系樹脂、キシレン系樹脂、ロジン樹脂、スチレン−有機酸共重合体およびポリアクリル酸エステルから選択された少なくとも一種である請求項1乃至4のいずれかの項に記載の油性マーキングペン。
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