JPH11193450A - オートキャンセラ - Google Patents

オートキャンセラ

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JPH11193450A
JPH11193450A JP50098A JP50098A JPH11193450A JP H11193450 A JPH11193450 A JP H11193450A JP 50098 A JP50098 A JP 50098A JP 50098 A JP50098 A JP 50098A JP H11193450 A JPH11193450 A JP H11193450A
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JP
Japan
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atomic
magnetic field
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auto
magnetic
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP50098A
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English (en)
Inventor
Yutaka Naito
豊 内藤
Teruo Bito
輝夫 尾藤
Takashi Hatauchi
隆史 畑内
Teruhiro Makino
彰宏 牧野
Junichi Ouchi
純一 大内
Shinichi Sasagawa
新一 笹川
Akihisa Inoue
明久 井上
Takeshi Masumoto
健 増本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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Priority to US09/211,126 priority patent/US6232775B1/en
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型にすることが可能であり、かつ地磁気に
よる磁力線の方位を精密に測定できる磁気センサを備え
たオートキャンセラを提供する。 【解決手段】 外部磁界の磁力線と逆向きで大きさが等
しいキャンセル磁界をブラウン管4に印加するキャンセ
ルコイル5と、磁気センサ2によって検出された前記外
部磁界による磁力線の方位に基づいてキャンセル磁界の
大きさを制御する制御部3とを具備してなり、磁気セン
サ2は、粒径50nm以下の微細な結晶粒からなる結晶
相と非晶質相とを主体とし、Fe、Co、Niのうちの
1種または2種以上の元素と、Ti、Zr、Hf、V、
Nb、Ta、Cr、Mo、Wのうちの1種または2種以
上の元素と、Bとを含む軟磁性合金からなる磁気インピ
ーダンス効果素子12、13を備えてなることを特徴と
するオートキャンセラ1を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラウン管を備え
たディスプレイ等に備えられる磁気センサを具備してな
るオートキャンセラに関するものであり、特に、軟磁性
合金からなる磁気インピーダンス効果素子を備えた磁気
センサを具備してなるオートキャンセラに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、CAD画像情報の緻密化に伴っ
て、ブラウン管を備えたディスプレイ(以下、CRTデ
ィスプレイと略す。)のシャドウマスク孔のピッチの緻
密化が進んでいる。例えば、画面サイズが14インチの
CRTディスプレイにおいては、0.28mm/ピッチ
となっている。このような高緻密画面では、ブラウン管
内の電子ビームが地磁気等の外部磁界の影響を受け、本
来通過すべき軌跡から外れて、画像の移動、色純度劣化
による色むらの発生といった画質低下が生じるという課
題がある。そこで、最近のCRTディスプレイには、地
磁気の影響を打ち消すオートキャンセラが備えられてい
る。オートキャンセラには、地磁気の方位を検出するた
めの磁気センサと、地磁気による磁力線の方位と逆向き
で等しい大きさの磁界(キャンセル磁界)をブラウン管
に印加するキャンセルコイルと、磁気センサにより検出
された地磁気による磁力線の方位に基づいてキャンセル
磁界の大きさを制御する制御部とが備えられている。
【0003】従来のオートキャンセラには、磁気センサ
として、その動作原理上安定性に優れ、磁界の検出感度
が10-7〜10-6G程度と高いフラックスゲートセンサ
ーが備えられている。しかし、このフラックスゲートセ
ンサーは、環状の磁心と、この磁心に巻回して磁場を印
加する励磁巻線と、磁心の磁束密度を検出する検出巻線
とからなる構造であるため、形状が塊状となり、オート
キャンセラの小型化が図れないという課題がある。
【0004】一方、他の磁気センサとして、磁気抵抗素
子(以下、MR素子と略す)を備えた磁気センサは、2
つのMR素子をそれぞれに印加される電流の電流路が互
いに直交するように同一平面内に配置し、これら2つの
MR素子をブリッジ等に接続することにより外部磁界に
よる磁力線の方位を検出するもので、形状が平面状であ
り、オートキャンセラの小型化を図ることが可能であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のMR素
子を備えた磁気センサは、外部磁界の強度の変化による
MR素子自身の固有抵抗に対する抵抗変化率が3〜6%
程度と小さく、抵抗変化が鋭敏ではないので、地磁気等
の外部磁界による磁力線の精密な方位測定を行うことが
困難であり、キャンセルコイルよって発生させるキャン
セル磁界の大きさを最適化できないために、オートキャ
ンセラを正常に作動させることができないという課題が
あった。
【0006】本発明は上述の課題を解決するためになさ
れたものであって、その形状を小型にすることが可能で
あり、かつ地磁気による磁力線の方位を精密に測定でき
る磁気センサを備えたオートキャンセラを提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明のオート
キャンセラは、外部磁界の磁力線の方位を検出する磁気
センサと、前記磁気センサにより検出された外部磁界の
磁力線の方位と逆向きで大きさが等しいキャンセル磁界
をブラウン管に印加するキャンセルコイルと、前記磁気
センサによって検出された前記外部磁界による磁力線の
方位に基づいてキャンセル磁界の大きさを制御する制御
部とを具備してなるオートキャンセラにおいて、前記磁
気センサは、外部磁界の検出手段として、Fe、Co、
Niのうちの1種または2種以上の元素を含み、平均結
晶粒径50nm以下の微細な結晶相と非晶質相とを主体
とし、交流電流を印加するときにインピーダンスが外部
磁界に依存して変化する軟磁性合金からなる磁気インピ
ーダンス効果素子を備えてなることを特徴とする。ま
た、先に記載の磁気インピーダンス効果素子は、Ti、
Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wのうちの
1種または2種以上の元素と、Bをさらに含む軟磁性合
金であることを特徴とする。
【0008】本発明のオートキャンセラは、先に記載の
オートキャンセラであって、前記磁気センサは、前記外
部磁界による磁力線のX軸方向の成分の検出手段である
第1の磁気インピーダンス効果素子と、前記外部磁界に
よる磁力線のY軸方向の成分の検出手段である第2の磁
気インピーダンス効果素子とを備えてなることを特徴と
する。また、本発明のオートキャンセラは、先に記載の
オートキャンセラであって、前記第1、2の磁気インピ
ーダンス効果素子が、それぞれに印加される交流電流の
電流路が互いに直交するように同一平面内に配置された
ことを特徴とする。更に、本発明のオートキャンセラ
は、先に記載のオートキャンセラであって、前記第1、
2の磁気インピーダンス効果素子には、それぞれに印加
される交流電流の電流路に沿ってバイアス磁化を印加す
るための巻線が巻回されたことを特徴とする。
【0009】本発明のオートキャンセラは、先に記載の
オートキャンセラであって、前記軟磁性合金が下記の組
成で表されることを特徴とする。 (Fe1-a-bCoaNibcxy 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
り、組成比を示すa、b、c、x、yは、0≦a+b≦
0.1、75原子%≦c≦93原子%、0.5原子%≦
x≦18原子%、4原子%≦y≦9原子%である。ま
た、本発明のオートキャンセラは、先に記載のオートキ
ャンセラであって、前記軟磁性合金が下記の組成で表さ
れることを特徴とする。 (Fe1-a-bCoaNibcxyz 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
り、XはSi、Al、Ge、Gaのうちの1種または2
種以上の元素であり、組成比を示すa、b、c、x、
y、zは、0≦a+b≦0.1、75原子%≦c≦93
原子%、0.5原子%≦x≦18原子%、4原子%≦y
≦9原子%、z≦4原子%である。
【0010】本発明のオートキャンセラは、先に記載の
オートキャンセラであって、前記軟磁性合金が下記の組
成で表されることを特徴とする。 (Fe1-a-bCoaNibcxyd 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
り、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptのうちの1種
または2種以上の元素であり、組成比を示すa、b、
c、x、y、dは、0≦a+b≦0.1、75原子%≦
c≦93原子%、0.5原子%≦x≦18原子%、4原
子%≦y≦9原子%、d≦4.5原子である。また、本
発明のオートキャンセラは、先に記載のオートキャンセ
ラであって、前記軟磁性合金が下記の組成で表されるこ
とを特徴とする。 (Fe1-a-bCoaNibcxydz 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
り、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptのうちの1種
または2種以上の元素であり、XはSi、Al、Ge、
Gaのうちの1種または2種以上の元素であり、組成比
を示すa、b、c、x、y、d、zは、0≦a+b≦
0.1、75原子%≦c≦93原子%、0.5原子%≦
x≦18原子%、4原子%≦y≦9原子%、d≦4.5
原子、z≦4原子%である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1及び図2において、オートキ
ャンセラ1には、外部磁界の磁力線の方位を検出する磁
気センサ2と、外部磁界の磁力線と逆向きで大きさが等
しいキャンセル磁界をブラウン管4に印加するために、
ブラウン管4のフェイス(画面)6の周囲に巻回された
導線からなるキャンセルコイル5と、磁気センサ2によ
って検出された前記外部磁界による磁力線の方位に基づ
いてキャンセル磁界の大きさを制御する制御部3とが備
えられている。キャンセルコイル5の両端5aは、制御
部3に接続されている。
【0012】また、図2において、磁気センサ2には、
外部磁界のX軸方向の成分の検出手段である第1の磁気
インピーダンス効果素子(以下、MI素子と略す)12
と、X軸方向に垂直なY軸方向の外部磁界の成分の検出
手段である第2のMI素子13とが備えられている。磁
気インピーダンス効果素子(MI素子)とは、磁気イン
ピーダンス効果(Magneto-Impedance Effect)を有する
素子である。磁気インピーダンス効果とは、ワイヤ状ま
たはリボン状の磁性体に電源からMHz帯域の交流電流
を印加し、この状態で磁性体の長手方向から外部磁界を
印加すると、外部磁界が数ガウス程度の微弱磁界であっ
ても、磁性体の両端に素材固有のインピーダンスによる
電圧が発生し、その振幅が外部磁界の強度に対応して数
十%の範囲で変化する、すなわちインピーダンス変化を
起こす現象をいう。
【0013】第1、2のMI素子12、13は、平均結
晶粒径50nm以下の微細な結晶相と非晶質相とを主体
とし、Fe、Co、Niのうちの1種または2種以上の
元素と、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、M
o、Wのうちの1種または2種以上の元素と、Bとを含
む軟磁性合金からなり、その形状は平面視略矩形であ
る。また、この軟磁性合金は、交流電流を印加するとき
にインピーダンスが外部磁界に依存して変化する磁気イ
ンピーダンス効果を示す。第1、2のMI素子12、1
3は、それぞれに印加される交流電流の電流路の方向が
互いに直交するように平面14に配置されている。即
ち、第1、2のMI素子12、13は、それぞれの長手
方向の向きが互いに直交するように配置されている。第
1、2のMI素子12、13の形状は、図2においては
板状であるが、これに限られることはなく、棒材、薄帯
(リボン)、ワイヤ、線材、線材の複数本を撚り合わせ
たもの等であっても良い。
【0014】第1、2のMI素子12、13には、第
1、2のMI素子12、13に印加される交流電流の電
流路の方向に沿って、即ち、第1、2のMI素子12、
13の長手方向に沿ってバイアス磁化を印加するための
巻線15、16が巻回されている。巻線15、16の両
端は、巻線端子15a、16aを介して、外部巻線用導
線15b、16bに接続されている。第1、2のMI素
子12、13の長手方向の両端12a、13aには、出
力電流を取り出すための出力導線17、18、19が接
続されている。導線17、19は、出力端子17a、1
9aを介して、出力用外部導線17b、19bに接続さ
れている。また、導線18の両端は、第1のMI素子1
2の端部12aと第2のMI素子13の端部13aとに
接続されている。また、導線18は、出力端子18aを
介して、出力用外部導線18bに接続されている。更
に、第1、2のMI素子12、13のそれぞれの長手方
向の両端12a、13aには、図示しない交流電流を印
加するための導線が接続されている。
【0015】上述のオートキャンセラ1の動作は次の通
りである。図2において、磁気センサ2の第1、2のM
I素子12、13には、図示しない導線からMHz帯域
の交流電流が印加されている。このとき、第1、2のM
I素子12、13のそれぞれの両端12a、13aに
は、それぞれの素子に固有のインピーダンスによる電圧
が発生している。図2に示すように、地磁気等の外部磁
界による磁力線の方向を任意とし、この磁力線が第1の
MI素子12に印加されると、第1のMI素子12の両
端に発生するインピーダンスは、この磁力線の第1のM
I素子12の長手方向に対して平行な成分(X軸方向の
成分)の大きさに対応したものとなる。同様に、この磁
力線が第2のMI素子13に印加されると、第2のMI
素子13の両端に発生するインピーダンスは、この磁力
線の第2のMI素子13の長手方向に対して平行な成分
(Y軸方向の成分)の大きさに対応したものとなる。即
ち、第1、2のMI素子12、13に対して、地磁気に
よる磁力線の方向が変化すると、これに対応して第1、
2のMI素子12、13のインピーダンスが変化し、第
1、2のMI素子12、13から出力される電圧値が変
化することになる。このようにして、磁気センサ2にお
いては、出力端子17a、18aから、地磁気のX軸方
向の成分の大きさに対応した電圧値を示す出力電流が取
り出され、出力端子19a、18aから、地磁気のY軸
方向の成分の大きさに対応した電圧値を示す出力電流が
取り出される。これらの出力電流は、外部出力導線17
b、18b、19bを介して制御部3内の図示しない処
理部に送られる。処理部では、得られた出力電流に基づ
いて地磁気による磁力線の方位が測定される。
【0016】更に、制御部3においては、地磁気の大き
さが地球上でほぼ一定であることから、磁気センサ2に
よって検出された地磁気の磁力線の方位に基づいて、ブ
ラウン管4のフェイス(画面)6の鉛直方向に対する地
磁気の磁力線の成分の大きさが測定される。この大きさ
に対応した電流を制御部3からキャンセルコイル5に印
加して、地磁気の磁力線と逆向きで大きさが等しいキャ
ンセル磁界を発生させることにより、地磁気による磁力
線が打ち消されてブラウン管4の電子ビームへの影響が
取り除かれ、画像の移動、色純度劣化による色むらを修
正する。
【0017】従来のMR素子の磁気検出感度が0.1
Oe程度であるのに対し、磁気インピーダンス効果を有
する素子(MI素子)は、10-5 Oe程度の磁気を検
出することが可能である。特に、本発明の第1、2のM
I素子12、13に、コルピッツ発振回路などの自己発
振回路等を接続して数〜数十MHzの交流電流を印加し
た場合には、分解能が約10-6 Oeの高感度で外部磁
界を安定に検出できるので、微弱な外部磁界の検出が可
能になる。従って、第1、2のMI素子12、13の形
状を、長手方向の長さを短くしてMI素子固有のインピ
ーダンスを小さくするような形状とした場合においても
良好な磁気検出感度が得られるので、オートキャンセラ
1の小型化を図ることが可能となる。
【0018】また、上述したように、本発明のオートキ
ャンセラ1の磁気センサ2には、第1、2のMI素子1
2、13にバイアス磁化を印加するための巻線15、1
6が備えられている。本発明に係る第1、2のMI素子
12、13は、図3Aに示すように、外部磁界ゼロを中
心に外部磁界の絶対値に依存して正負方向にほぼ対称的
に出力電圧の変化(インピーダンス変化)を示す。
【0019】磁気センサ2の第1、2のMI素子12、
13にバイアス磁化を印加しない場合には、図3Bに示
すように、外部磁界による磁力線の方向を第1のMI素
子12の長手方向に対して0〜90゜に変化させると、
第1のMI素子12からの出力電圧が低下する。また、
外部磁界による磁力線の方向を90〜180゜に変化さ
せると、第1のMI素子12からの出力電圧が上昇す
る。このとき、0゜と180゜における出力電圧の電圧
値は同一となり、磁力線の方向を正確に測定することが
できない。
【0020】第1、2のMI素子12、13にバイアス
磁化を印加した場合には、図3Cに示すように、外部磁
界に対するインピーダンスが直線的に変化する領域を使
用することになり、外部磁界による磁力線の方向を0〜
180゜に変化した場合でも、MI素子からの出力電圧
の変化が線形的であり、外部磁界の方向を正確に測定で
きる。
【0021】第1、2のMI素子12、13に印加する
バイアス磁化の大きさは、絶対値で0.1〜2 Oeの
範囲であることが好ましい。バイアス磁化の大きさが、
0.1 Oe以下若しくは2 Oe以上の範囲では、外部
磁界に対するインピーダンス変化が線形変化でないので
好ましくない。従って、バイアス磁化を印加するための
巻線15、16に印加するバイアス電流は、数mAの直
流電流で十分である。
【0022】第1、2のMI素子12、13を構成する
軟磁性合金は、前述のように、平均結晶粒径50nm以
下の微細な結晶粒からなる結晶相と非晶質相とを主体と
し、Fe、Co、Niのうちの1種または2種以上の元
素と、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、M
o、Wのうちの1種または2種以上の元素と、Bとを含
むものである。
【0023】特に、下記の各組成式で示される軟磁性合
金が好適である。 (Fe1-a-bCoaNibcxy (Fe1-a-bCoaNibcxyz (Fe1-a-bCoaNibcxyd (Fe1-a-bCoaNibcxydXz 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
り、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptのうちの1種
または2種以上の元素であり、XはSi、Al、Ge、
Gaのうちの1種または2種以上の元素であり、組成比
を示すa、b、c、x、y、d、zは、0≦a+b≦
0.1、75原子%≦c≦93原子%、0.5原子%≦
x≦18原子%、4原子%≦y≦9原子%、d≦4.5
原子%、z≦4原子%である。
【0024】これらの組成の軟磁性合金は、平均結晶粒
径50nm以下の体心立方構造の微細な結晶粒からなる
結晶質相と非晶質相とを主体としてなるので、磁歪が少
なく、高い飽和磁束密度と優れた透磁率を示すと共に、
高い磁気インピーダンス効果を示し、第1、2のMI素
子12、13として好適である。
【0025】本発明の組成系において、主成分であるF
eとCoとNiは、磁性を担う元素であり、高い飽和磁
束密度と優れた軟磁気特性を得るために重要である。
【0026】これらの組成の軟磁性合金においては、F
eとCoとNiの添加量の合計を示すcの値は、93原
子%以下である。cが93原子%を超えると液体急冷法
によって非晶質単相を得ることが困難になり、この結
果、熱処理してから得られる合金の組織が不均一になっ
て高い透磁率が得られず、高い磁気インピーダンス効果
が得られないので好ましくない。また、cが75原子%
未満では、飽和磁束密度(Bs)10kG以上を得るこ
とができず、第1、2のMI素子12、13が検出する
磁場のダイナミックレンジが小さくなってしまうので好
ましくない。従って、cの範囲を75原子%≦c≦93
原子%とした。また、Feの一部は、磁歪等の調整のた
めにCoもしくはNiで置換してもよく、この場合、好
ましくはFeの10%、さらに好ましくは5%以下とす
るのがよい。この範囲外であると透磁率が劣化する。従
って前記組成式においてCoとNiの組成比a、bは、
0≦a+b≦0.1の範囲が好ましく、0≦a+b≦
0.05の範囲がより好ましい。
【0027】Bには、軟磁性合金の非晶質形成能を高め
る効果、結晶組織の粗大化を防ぐ効果、および熱処理工
程において磁気特性に悪影響を及ぼす化合物相の生成を
抑制する効果があると考えられる。
【0028】また、Zr、Hf、Nbは、α-Feに対
してほとんど固溶しないとされるが、合金を急冷して非
晶質化することで、ZrとHfを過飽和に固溶させ、こ
の後に施す熱処理によりこれら元素の固溶量を調節して
一部結晶化し、微細結晶相として析出させることで、得
られる軟磁性合金の軟磁気特性を向上させ、合金薄帯の
磁歪を小さくする作用がある。また、微細結晶相を析出
させ、その微細結晶相の結晶粒の粗大化を抑制するに
は、結晶粒成長の障害となり得る非晶質相を粒界に残存
させることが必要であると考えられる。さらに、この粒
界非晶質相は、熱処理温度の上昇によってα−Feから
排出されるZr、Hf、Nb等のM元素を固溶すること
で軟磁気特性を劣化させるFe−M系化合物の生成を抑
制すると考えられる。よって、Fe−Zr(Hf、N
b)系の合金にBを添加することが重要となる。
【0029】Bの添加量を示すxが、0.5原子%未満
では、粒界の非晶質相が不安定となるため、十分な添加
効果が得られない。また、xが18原子%を越えると、
B-M系およびFe-B系において、ホウ化物の生成傾向
が強くなり、微細結晶組織を得るための熱処理条件が制
約され、良好な軟磁気特性が得られなくなる。このよう
にBの添加量を適切にすることで、析出する微細結晶相
の平均結晶粒径を50nm以下に調整することができ
る。
【0030】また、非晶質相を得やすくするためには、
非晶質形成能の特に高いZr、Hf、Nbのいずれかを
含むことが好ましく、Zr、Hf、Nbの一部は他の4
A〜6A族元素のうち、Ti、V、Ta、Cr、Mo、
Wのいずれかと置換することができる。また、Zr、H
f、Nbのうち、Hfは非常に高価な元素であるため、
原料コストを考慮すると、Zr、Nbのいずれかを含む
ことがより好ましい。こうした元素Mは、比較的遅い拡
散種であり、元素Mの添加は、微細結晶核の成長速度を
小さくする効果、非晶質形成能を持つと考えられ、組織
の微細化に有効である。
【0031】元素Mの添加量を示すyが4原子%未満で
は、核成長速度を小さくする効果が失われ、結晶粒径が
粗大化して良好な軟磁性が得られない。Fe-Hf-B系
合金の場合、Hf=5原子%での平均結晶粒径は13n
mであるのに対してHf=3原子%では39nmと粗大
化する。元素Mの添加量を示すyが9原子%を越える
と、M-B系またはFe-M系の化合物の生成傾向が大き
くなり、良好な特性が得られない他、液体急冷後の薄帯
状合金が脆化し、所定のMI素子の形状に加工すること
が困難となる。
【0032】中でもNb、Cr、Mo、Wは、酸化物の
生成自由エネルギーの絶対値が小さく、熱的に安定であ
り、酸化物を生成しにくい。よって、これらの元素を添
加して軟磁性合金を製造する場合には、製造時の雰囲気
全体を不活性ガス雰囲気ではなく大気中の雰囲気で、も
しくは溶湯を急冷する際に使用するるつぼのノズルの先
端部に不活性ガスを供給しつつ大気中で製造することが
できるので、製造条件が容易となり、MI素子を安価に
製造することができる。
【0033】また、Si、Al、Ge、Gaのうちの1
種または2種以上の元素Xを、4原子%以下含有するこ
とが好ましい。これらは半金属元素として知られてお
り、Feを主成分とする体心立方晶の相に固溶する。こ
れらの元素の含有量が4原子%を越えると磁歪が大きく
なるか、飽和磁束密度が低下するか、透磁率が低下する
ので好ましくない。
【0034】また、元素Xには、軟磁性合金の電気抵抗
を上昇させ、鉄損を低下させる効果があるが、Alはそ
の効果が大きい。またGe、Gaは結晶粒の径を微細化
させる効果がある。従ってSi、Al、Ge、Gaのう
ち、Al、Ge、Gaは添加した効果が特に大きく、A
l、Ge、Gaの単独添加もしくはAlとGe、Alと
Ga、GeとGa、AlとGeとGaの複合添加とする
ことがより好ましい。
【0035】更に、Cu、Ag、Au、Pd、Ptの1
種または2種以上の元素Tを4.5原子%以下含有させ
ると、軟磁気特性が改善される。Cu等のように、Fe
と固溶しない元素を微量添加することにより、組成が揺
らぎ、Cuが結晶化の初期段階にクラスターを形成し、
相対的にFeリッチな領域が生じ、α−Feの核生成頻
度を増加させることができる。また、結晶化温度を示差
熱分析法により測定したところ、上記Cu、Ag等の元
素の添加は結晶化温度をやや低めるようである。これ
は、これらの添加により非晶質中に組成揺らぎが導入さ
れ、その結果、非晶質の安定性が低下したことに起因す
ると考えられる。組成揺らぎを伴った非晶質相が結晶化
する場合、部分的に結晶化しやすい領域が多数でき均一
核生成するため、得られる組成が微細結晶粒組織となる
と考えられる。以上の観点からこれらの元素以外の元素
でも結晶化温度を低下させる元素には、同様の効果が期
待できる。
【0036】尚、これらの元素以外でも耐食性を改善す
るために、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptなどの
白金族元素を添加することも可能である。これらの元素
は、5原子%よりも多く添加すると、飽和磁束密度の劣
化が著しくなるため、添加量は5原子%以下とする必要
がある。
【0037】また、他に、必要に応じてY、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Zn、Cd、I
n、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Se、Te、L
i、Be、Mg、Ca、Sr、Ba等の元素を添加する
ことで軟磁性合金の磁歪を調整することもできる。
【0038】その他、上記組成系の軟磁性合金におい
て、H、N、O、S等の不可避的不純物については所望
の特性が劣化しない程度に含有していても本発明で用い
る軟磁性合金の組成と同一とみなすことができるのは勿
論である。
【0039】上述の第1、2のMI素子12、13は、
例えば、前記の組成になるように原料を混合した合金を
アーク溶解、高周波誘導溶解等の手段で溶解してから急
冷し、非晶質を主体とするものを得た後で、この非晶質
合金に対して組織の一部あるいは大部分を結晶化するた
めの熱処理を施して線材あるいは薄帯として得ることが
できる。この範囲の温度で熱処理がなされることで非晶
質相の中の一部が結晶化し、非晶質相と平均結晶粒径5
0nm以下の微細な結晶粒とが混合した組織が得られ、
第1、2のMI素子12、13が得られる。
【0040】熱処理により平均結晶粒径50nm以下の
微細結晶組織が析出したのは、急冷状態の非晶質合金薄
帯等が非晶質を主体とする組織となっており、これを加
熱すると、ある温度以上で平均結晶粒径が50nm以下
の、Feを主成分とする体心立方構造の結晶粒からなる
微細結晶相が析出するからである。この体心立方構造を
有するFeの微細結晶相が析出する温度は、合金の組成
によるが480〜550℃程度である。またこのFeの
微細結晶相が析出する温度よりも高い温度では、Fe3
B、あるいは合金にZrが含まれる場合にはFe3Zr
等の軟磁気特性を悪化させる化合物相が析出する。この
ような化合物相が析出する温度は、合金の組成によるが
740〜810℃程度である。したがって、本発明にお
いて、非晶質合金薄帯等を熱処理する際の保持温度は4
80℃〜810℃の範囲で、体心立方構造を有するFe
を主成分とする微細結晶相が好ましく析出しかつ上記化
合物相が析出しないように、合金の組成に応じて好まし
く設定される。
【0041】上記の熱処理温度まで昇温するときの昇温
速度は、20〜200℃/分の範囲が好ましく、40〜
200℃/分の範囲とするのがより好ましい。昇温速度
が遅いと製造時間が長くなるので昇温速度は速い方が好
ましいが、加熱装置の性能上、200℃/分程度が上限
とされる。
【0042】また、非晶質合金薄帯等を上記保持温度に
保持する時間は、0〜60分間とすることができ、合金
の組成によっては0分、すなわち昇温後直ちに降温させ
て保持時間無しとしても、高い磁気インピーダンス効果
を得ることができる。また、保持時間は60分より長く
しても磁気特性は向上せず、製造時間が長くなり生産性
が悪くなるので好ましくない。また、特にCuおよびS
i、殊にSiを含まない組成の場合には、10分以下の
保持時間で優れたMI素子を得ることができる。これ
は、Siを添加した場合には、FeにSiを充分に固溶
させる必要があり、保持時間を長くする必要があるから
である。
【0043】特に、本発明の合金組成物を用いてMI素
子の線材を製造するには、例えば特開平4−32335
1号公報に記載されているような流体冷却法や、単ロー
ルを用いた急冷法を利用することができる。流体冷却法
は基本的には、前記の合金組成物を溶融し、溶融物を冷
却液層中に連続的に噴出して線状に冷却固化させる方法
である。更に具体的には、冷却液層を噴流とする方法
(噴流法)と遠心力で保持する方法(遠心法)と、実施
例で示す溶液引き出し紡糸法とがある。
【0044】このうち噴流法は、概略を図4に示すよう
に、先ず冷却液受槽35中の冷却液Lを冷却液加圧ポン
プ36により加圧し、冷却器37により所定の温度に冷
却した後、液体加圧タンク30により所定の圧力に加圧
する。次に、加圧された冷却液Lを、冷却液体噴出ノズ
ル31により所定の速度で噴出させて噴流38を形成
し、この噴流38は冷却液受槽35に循環させる。一
方、前述した合金組成物42は、加熱炉41で溶融し、
溶融合金噴出装置32に送り、アルゴンガス圧によりこ
の溶融合金噴出装置32から噴出させる。噴出した溶融
合金流39は、前述の冷却液体噴出ノズル31から噴出
された冷却液の噴流38によって急速に冷却固化され、
MI素子線材33となる。得られたMI素子線材33
は、巻き取り機34によって巻き取られる。
【0045】遠心法は、図5に示すように、原料の合金
組成物をルツボ54の送入口51からアルゴンガスによ
り送入し、これを加熱炉45で加熱溶融する。この間、
図示しない駆動モーターにより回転ドラム46を所定の
回転速度に回転しておく。次いで冷却液Lを冷却液供給
管50から回転ドラム46の内側に供給し、遠心力によ
り冷却液層48を形成する。次にルツボ54の先端ノズ
ル52を下降して冷却液層48の液面に接近させると共
にルツボ54内を加圧し、溶融組成物44を冷却液層4
8の液面に向かって噴出させる。ルツボ54の内部に
は、原料の酸化を防ぐため、絶えず不活性ガスを送入
し、不活性雰囲気に保つ。冷却液層48の液面に向かっ
て噴出された合金は冷却固化されMI素子線材53とな
り、噴出方向と回転ドラム46の回転方向および遠心力
の合力により冷却液層48の中を進み、回転ドラム46
の内壁に沿って順次巻き重ねられる。紡糸終了後に管5
0の先端を冷却液層48中に挿入し、冷却液を吸引排出
する。その後、回転ドラム46を停止し、回転ドラム4
6の内壁に集積したMI素子線材53を取り出す。
【0046】また、単ロールを用いた急冷法は、図6に
示すように、回転している鋼製あるいは銅製などの金属
ロール60上に置かれたノズル61より溶融金属62を
アルゴンガスなどの不活性ガスの圧力を適宜加えて金属
ロール60上に噴出させて急冷して薄帯63を得ること
ができる。薄帯63は、MI素子の設計仕様により所望
の幅に切断して使用しても良い。
【0047】上述のオートキャンセラ1の磁気センサ2
には、平均結晶粒径50nm以下の体心立方構造の微細
な結晶粒からなる結晶相と非晶質相とを主体とする軟磁
性合金からなる磁気インピーダンス効果素子(MI素
子)が備えられており、磁歪が少なく、高い飽和磁束密
度と優れた透磁率を示すと共に、高い磁気インピーダン
ス効果を示し、磁気センサ2の感度を高くなるので、地
磁気のような微弱な外部磁界を検出することができる。
また、本発明に係るMI素子は、外部磁界の検出感度が
高いので、第1、2のMI素子12、13の大きさを小
さくすることが可能となり、オートキャンセラ1を小型
化できる。更に、本発明に係るMI素子は、Fe、C
o、Niのうちの1種または2種以上の元素と、Ti、
Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wのうちの
1種または2種以上の元素と、Bとを含むものであり、
加工性に優れ、薄帯、薄膜または線材等のMI素子を容
易に得ることができるので、このMI素子をオートキャ
ンセラ1に用いた場合には、MI素子の形状の自由度が
高い故に、磁気センサ2の設計が容易になり、更にMI
素子の加工等が容易であり、オートキャンセラ1の製造
が容易になると共に、製造コストを低減できる。
【0048】上述のオートキャンセラ1の磁気センサ2
には、外部磁界のX軸方向の成分の検出手段である第1
のMI素子12と、Y軸方向の外部磁界の成分の検出手
段である第2のMI素子13とが備えられ、第1、2の
MI素子12、13は、それぞれに印加される交流電流
の電流路が互いに直交するように同一平面14内に配置
され、第1、2のMI素子12、13に印加される交流
電流の電流路に沿ってバイアス磁化を印加する巻線1
5、16が巻回されたものであるので、地磁気による磁
力線の方位を正確に測定することが可能となり、キャン
セルコイル5により発生させるキャンセル磁界の大きさ
を最適にすることができる。
【0049】また、上述の第1、2のMI素子12、1
3は、外部磁界が−2 Oe〜+2Oe程度の微弱磁界
の範囲において、出力電圧の値の変化が穏やかであると
共に出力電圧の値の変化が線形的で定量性が良好である
ので、磁気センサ2の外部磁界による磁力線の方位測定
の精度をより高くすることが可能となり、キャンセル磁
界の大きさを最適にすることができる。また、外部磁界
の方位を測定するための出力電圧を処理する回路構成が
比較的簡単になり、オートキャンセラ1の製造コストを
下げることができる。更に、第1、2のMI素子12、
13に印加するバイアス磁化は最大でも2Oe程度と小
さくて済むので、バイアス磁化を印加するための回路構
成を簡単にすることができる。
【0050】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明がこ
れらの実施例に限定されないのは勿論である。 (MI素子の製造)以下の表1の組成となるように原料
を秤量混合し、減圧Ar雰囲気下にアーク溶解炉を用い
て溶融し、組成物のインゴットを製造した。このインゴ
ットをルツボ内に入れて高周波誘導加熱により溶融し、
減圧Ar雰囲気下で回転している銅製の冷却ロール(単
ロール)上に溶湯を噴出させ急冷して薄帯を得た。この
薄帯を、長さ31mmに切り出して実施例のMI素子と
した。
【0051】 「表1」 試料No. 組成 Bs(T) μ'(1kHz ) 1 Fe84Zr3.5Nb3.58Cu1 1.53 10000 0 2 Fe84Zr3.5Nb3.58Cu1 1.53 10000 0 3 Fe85.6Zr3.3Nb3.36.6Cu1 1.57 150000 4 Fe85.6Zr3.3Nb3.36.6Cu1 1.57 150000 5 Fe84Nb79 1.52 40000 6 Fe84Nb79 1.52 40000 7 Fe84Nb79 1.52 40000 8 Fe84Nb79 1.52 40000 9 Fe90Nb73 1.70 30000 10 Fe90Nb73 1.70 30000 11 (Fe0.985Co0.01590Nb73 1.70 30000 12 (Fe0.985Co0.01590Nb73 1.70 30000 13 Fe73.5Si13.59Nb3Cu1 1.20 100000 14 Fe73.5Si13.59Nb3Cu1 1.20 100000 磁歪 薄帯幅 昇温速度 温度 保持時間 試料No. λs(×10-6) (℃/分) (℃) (分) 1 0.3 1mm 40 680 0 2 0.3 0.3mm 40 680 0 3 −0.3 1mm 40 680 0 4 −0.3 0.3mm 40 680 0 5 0.3 1mm 180 650 5 6 0.3 0.3mm 180 650 5 7 0.0 1mm 180 750 1 8 0.0 0.3mm 180 750 1 9 −1.0 1mm 180 600 5 10 −1.0 0.3mm 180 600 5 11 0.0 1mm 180 650 5 12 0.0 0.3mm 180 650 5 13 2.0 1mm 40 550 60 14 2.0 0.3mm 40 550 60
【0052】(MI効果の測定)実施例のMI素子を図
7に示す磁界検知回路に挿入し、400kHzの交流電
流を印加した状態で、試料の長さ方向に外部磁界Hexを
印加し、外部磁界Hex(Oe)と発生した出力電圧(m
V)との関係をプロットした。外部磁界Hexは、0 O
eからスタートし、5 Oe、0 Oe、−5 Oe、0
Oeと連続的に往復 変化させた。増幅倍率は10倍に
設定した。測定結果を図8〜図14に示す。
【0053】図7に示す磁界検知回路は、ブロックA,
BおよびCからなり、それぞれ、高周波電源部、外部磁
界(Hex)検知部および増幅出力部である。MI素子
(Mi)は外部磁界検知部(B)に挿入されている。高
周波電源部(A)は、高周波交流電流を発生し外部磁界
検知部(B)に供給するための回路であってその方式は
特に限定されない。ここでは一例として、安定化コルビ
ッツ発振回路を採用したものを掲げる。自己発振方式で
はこの他に磁気変調を利用した振幅変調(AM)、周波
数変調(FM)、または位相変調(PM)をかけて磁界
感知作動をさせることもできる。外部磁界検知部(B)
はMI素子(Mi)と復調回路とからなり、高周波電源
部(A)から供給された高周波交流電流により待機状態
とされたMI素子が外部磁界(Hex)に感応して発生
したインピーダンス変化を、復調回路により復調し、増
幅出力部(C)に伝送する。増幅出力部(C)は差動増
幅回路と出力端子とを有する。この出力端子からMI素
子からの出力電圧(mV)を得る。
【0054】図8〜図14より、実施例のMI素子は、
−2 Oe〜+2 Oe程度の微弱磁界帯域において高感
度で良好な定量性を示し、特に、No.5〜8、13、
14の試料においては、ヒステリシスも僅少であること
から、優れたMI素子であることがわかる。特に、リボ
ン幅が約1mmの試料に比べてリボン幅が0.3mmの
試料が良好な応答性を有している。これは、薄帯幅が少
ない方が線材に近い試料形状をなしているためである。
また、いずれの試料においてもSiを含まない系(Fe
ZrNbBCu系、FeNbB系、FeZrB系、Fe
CoZrB系)においては飽和磁束密度が1.5〜1.7
0Tの優れた値を示し、30000〜100000の優
れた透磁率を示し、磁歪も小さい特性を有している。こ
れに対してSiを含む系(FeSiBNbCu系)にお
いても飽和磁束密度は若干低いものの、100000の
透磁率が得られた。更に、Siを含まない系においては
熱処理条件として保持時間を0〜5分と少なくしても良
好な軟磁気特性が得られるが、Siを含む系においては
保持時間が60分程度で良好な軟磁気特性が得られた。
【0055】このようにして、飽和磁束密度が大きく、
更に透磁率が高いという軟磁気特性に優れた軟磁性合金
を得ることが可能となり、この軟磁性合金からなるMI
素子を用いて磁気センサを作製した場合には、微弱な地
磁気の検出が可能となり、オートキャンセラのキャンセ
ルコイルにより発生させるキャンセル磁界の大きさを最
適にできると予想される。
【0056】また、このような軟磁性合金からなるMI
素子をオートキャンセラの磁気センサに使用した場合に
は、外部磁界に対応する出力電圧の値が大きく、外部磁
界の検出感度が高いために微弱な地磁気を検出できると
共に、出力電圧を処理して外部磁界の方位を測定するた
めの回路構成を簡単にできる。また、バイアス磁化は、
絶対値で2 Oe程度の磁化をかければよいので、バイ
アス磁化を印加するための回路構成も簡単にできる。
【0057】また、図15において、試料No.5のM
I素子は、従来のFe78Si1913の組成のMI素子よ
りも出力電圧の電圧値が高く、外部磁界の検出感度が高
いことがわかる。更に、試料No.5のMI素子は、微
弱磁界の範囲内(−2 Oe〜+2 Oe)で従来の(F
0.06Co0.9472.5Si12.515 の組成のMI素子
よりも出力電圧の立ち上がりが緩やかであるので、定量
性が良好となり、これを用いたオートキャンセラの磁気
センサの回路構成が容易となる。
【0058】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
オートキャンセラは、平均結晶粒径50nm以下の体心
立方構造の微細な結晶粒からなる結晶相と非晶質相とを
主体とし、Fe、Co、Niのうちの1種または2種以
上の元素と、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素と、B
とを含む軟磁性合金からなる磁気インピーダンス効果素
子(MI素子)を備えており、外部磁界の変化に対する
検出感度が高いので、微弱な地磁気を検出することがで
きると共に、MI素子の大きさを小さくすることが可能
となり、オートキャンセラを小型化できる。
【0059】また、本発明のオートキャンセラは、外部
磁界のX軸方向及びY軸方向の成分の検出手段である上
述の軟磁性合金からなる第1、2のMI素子を備え、第
1、2のMI素子は、それぞれに印加される交流電流の
電流路が互いに直交するように同一平面内に配置され、
MI素子に印加される交流電流の電流路に沿ってバイア
ス磁化を印加する巻線が巻回されたものでありバイアス
磁化を印加できるので、地磁気のような外部磁界による
磁力線の方位を正確に測定することが可能となり、キャ
ンセルコイルにより発生させるキャンセル磁界の大きさ
を最適にすることにより、オートキャンセラを正常に動
作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態であるオートキャンセラ
を示す斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態であるオートキャンセラ
の磁気センサを示す平面図である。
【図3】 本発明の実施の形態であるMI素子の外部磁
界と出力電圧との関係を示す図であって、AはMI素子
の外部磁化と出力電圧との関係を示すグラフであり、B
は外部磁界の磁力線の方向をMI素子の長手方向に対し
て0〜180゜の範囲で変化させたときの外部磁界と出
力電圧との関係を示すグラフであり、CはMI素子のバ
イアス磁化をかけてBと同様にの外部磁界の磁力線の方
向を変化させたときの外部磁界と出力電圧との関係を示
すグラフである。
【図4】 本発明のオートキャンセラのMI素子の一製
造法を示す工程図である。
【図5】 本発明のオートキャンセラのMI素子の他の
一製造法を示す工程図である。
【図6】 本発明のオートキャンセラのMI素子の他の
一製造法を示す工程図である。
【図7】 本発明のMI素子を用いた磁気検知回路を示
す回路図である。
【図8】 実施例で得られたNo.1、2の試料の磁界
感応性を示す図である。
【図9】 実施例で得られたNo.3、4の試料の磁界
感応性を示す図である。
【図10】 実施例で得られたNo.5、6の試料の磁
界感応性を示す図である。
【図11】 実施例で得られたNo.7、8の試料の磁
界感応性を示す図である。
【図12】 実施例で得られたNo.9、10の試料の
磁界感応性を示す図である。
【図13】 実施例で得られたNo.11、12の試料
の磁界感応性を示す図である。
【図14】 実施例で得られたNo.13、14の試料
の磁界感応性を示す図である。
【図15】 試料No.5のMI素子及び従来のMI素
子の磁界感応性を示す図である。
【符号の説明】
1 オートキャンセラ 2 磁気センサ 3 制御部 4 ブラウン管 5 キャンセルコイル 6 フェイス(画面) 12 第1のMI素子 13 第2のMI素子 14 平面 15 バイアス磁化を印加するための巻線 16 バイアス磁化を印加するための巻線 17 出力導線 18 出力導線 19 出力導線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内藤 豊 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 尾藤 輝夫 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 畑内 隆史 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 大内 純一 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 笹川 新一 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内元支倉35番地 川 内住宅11−806 (72)発明者 増本 健 宮城県仙台市青葉区上杉3丁目8番22号

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部磁界の磁力線の方位を検出する磁気
    センサと、前記磁気センサにより検出された外部磁界の
    磁力線の方位と逆向きで大きさが等しいキャンセル磁界
    をブラウン管に印加するキャンセルコイルと、 前記磁気センサによって検出された前記外部磁界による
    磁力線の方位に基づいてキャンセル磁界の大きさを制御
    する制御部とを具備してなるオートキャンセラにおい
    て、 前記磁気センサは、外部磁界の検出手段として、Fe、
    Co、Niのうちの1種または2種以上の元素を含み、
    平均結晶粒径50nm以下の微細な結晶相と非晶質相と
    を主体とし、交流電流を印加するときにインピーダンス
    が外部磁界に依存して変化する軟磁性合金からなる磁気
    インピーダンス効果素子を備えてなることを特徴とする
    オートキャンセラ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の磁気インピーダンス効
    果素子は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、
    Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素と、Bをさ
    らに含む軟磁性合金であることを特徴とするオートキャ
    ンセラ。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のオート
    キャンセラであって、 前記磁気センサは、前記外部磁界による磁力線のX軸方
    向の成分の検出手段である第1の磁気インピーダンス効
    果素子と、 前記外部磁界による磁力線のY軸方向の成分の検出手段
    である第2の磁気インピーダンス効果素子とを備えてな
    ることを特徴とするオートキャンセラ。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のオートキャンセラであ
    って、 前記第1、2の磁気インピーダンス効果素子が、それぞ
    れに印加される交流電流の電流路が互いに直交するよう
    に同一平面内に配置されたことを特徴とするオートキャ
    ンセラ。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のオートキャンセラであ
    って、 前記第1、2の磁気インピーダンス効果素子には、それ
    ぞれに印加される交流電流の電流路に沿ってバイアス磁
    化を印加するための巻線が巻回されたことを特徴とする
    オートキャンセラ。
  6. 【請求項6】 請求項1または請求項2に記載のオート
    キャンセラであって、前記軟磁性合金は、下記の組成で
    表されるものであることを特徴とするオートキャンセ
    ラ。 (Fe1-a-bCoaNibcxy 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
    r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
    り、組成比を示すa、b、c、x、yは、0≦a+b≦
    0.1、75原子%≦c≦93原子%、0.5原子%≦
    x≦18原子%、4原子%≦y≦9原子%である。
  7. 【請求項7】 請求項1または請求項2に記載のオート
    キャンセラであって、前記軟磁性合金は、下記の組成で
    表されるものであることを特徴とするオートキャンセ
    ラ。 (Fe1-a-bCoaNibcxyz 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
    r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
    り、XはSi、Al、Ge、Gaのうちの1種または2
    種以上の元素であり、組成比を示すa、b、c、x、
    y、zは、0≦a+b≦0.1、75原子%≦c≦93
    原子%、0.5原子%≦x≦18原子%、4原子%≦y
    ≦9原子%、z≦4原子%である。
  8. 【請求項8】 請求項1または請求項2に記載のオート
    キャンセラであって、前記軟磁性合金は、下記の組成で
    表されるものであることを特徴とするオートキャンセ
    ラ。 (Fe1-a-bCoaNibcxyd 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
    r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
    り、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptのうちの1種
    または2種以上の元素であり、組成比を示すa、b、
    c、x、y、dは、0≦a+b≦0.1、75原子%≦
    c≦93原子%、0.5原子%≦x≦18原子%、4原
    子%≦y≦9原子%、d≦4.5原子である。
  9. 【請求項9】 請求項1または請求項2に記載のオート
    キャンセラであって、前記軟磁性合金は、下記の組成で
    表されるものであることを特徴とするオートキャンセ
    ラ。 (Fe1-a-bCoaNibcxydz 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
    r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
    り、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptのうちの1種
    または2種以上の元素であり、XはSi、Al、Ge、
    Gaのうちの1種または2種以上の元素であり、組成比
    を示すa、b、c、x、y、d、zは、0≦a+b≦
    0.1、75原子%≦c≦93原子%、0.5原子%≦
    x≦18原子%、4原子%≦y≦9原子%、d≦4.5
    原子、z≦4原子%である。
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