JPH11194158A - 方位センサ - Google Patents

方位センサ

Info

Publication number
JPH11194158A
JPH11194158A JP10000499A JP49998A JPH11194158A JP H11194158 A JPH11194158 A JP H11194158A JP 10000499 A JP10000499 A JP 10000499A JP 49998 A JP49998 A JP 49998A JP H11194158 A JPH11194158 A JP H11194158A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
atomic
elements
magnetic field
azimuth sensor
impedance effect
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10000499A
Other languages
English (en)
Inventor
Yutaka Naito
豊 内藤
Teruo Bito
輝夫 尾藤
Takashi Hatauchi
隆史 畑内
Teruhiro Makino
彰宏 牧野
Junichi Ouchi
純一 大内
Shinichi Sasagawa
新一 笹川
Akihisa Inoue
明久 井上
Takeshi Masumoto
健 増本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Alps Electric Co Ltd filed Critical Alps Electric Co Ltd
Priority to JP10000499A priority Critical patent/JPH11194158A/ja
Priority to US09/211,126 priority patent/US6232775B1/en
Publication of JPH11194158A publication Critical patent/JPH11194158A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Magnetic Variables (AREA)
  • Geophysics And Detection Of Objects (AREA)
  • Coils Or Transformers For Communication (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 形状を小型にすることが可能であり、かつ地
磁気による磁力線の方位を精密に測定できる方位センサ
を提供する。 【解決手段】 外部磁界による磁力線のX軸およびY軸
方向の成分を検出する第1、第2の磁気インピーダンス
効果素子(以下MI素子と略す)2、3と、MI素子
2、3にバイアス磁化を印加する巻線5、6とを備え、
MI素子2、3が、それぞれに印加される交流電流の電
流路が直交するように同一平面4に配置され、MI素子
2、3が、粒径50nm以下の微細な結晶粒からなる結
晶相と非晶質相とを主体とし、Fe、Co、Niのうち
の1種または2種以上の元素と、Ti、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wのうちの1種または2
種以上の元素と、Bとを含む軟磁性合金であることを特
徴とする方位センサ1を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地磁気による磁力
線の方位を検出する方位センサに関するものであり、特
に、軟磁性合金からなる磁気インピーダンス効果素子を
備えた方位センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】方位センサは、単独で地磁気等の外部磁
界による磁力線の方位を測定できるので、車載用コンパ
ス及びナビゲーションシステム等の自車位置の検出手段
として広く用いられている。
【0003】上述の方位センサの中でも、フラックスゲ
ートセンサーは、その動作原理上安定性に優れ、磁界の
検出感度も10-7〜10-6G程度と高いので、広く用い
られている。しかし、このフラックスゲートセンサー
は、環状の磁心と、この磁心に巻回して磁場を印加する
励磁巻線と、磁心の磁束密度を検出する検出巻線とから
なる構造であるため、形状が塊状となり、小型化が図れ
ないという課題がある。
【0004】一方、別の方位センサとして、磁気抵抗素
子(以下、MR素子と略す)を用いた方位センサは、2
つのMR素子をそれぞれに印加される電流の電流路が互
いに直交するように同一平面内に配置し、これら2つの
MR素子をブリッジ等に接続することにより外部磁界に
よる磁力線の方位を検出するもので、形状が平面状であ
り、小型化を図ることが可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のMR素
子を用いた方位センサは、外部磁界の強度の変化による
MR素子自身の固有抵抗に対する抵抗変化率が3〜6%
程度と小さく、抵抗変化が鋭敏ではないので、地磁気等
の外部磁界による磁力線の精密な方位測定を行うことが
困難であり、方位センサとして適当でないという課題が
あった。
【0006】本発明は上述の課題を解決するためになさ
れたものであって、その形状を小型にすることが可能で
あり、かつ地磁気による磁力線の方位を精密に測定でき
る方位センサを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明の方位セ
ンサは、外部磁界による磁力線の方位の検出手段とし
て、Fe、Co、Niのうちの1種または2種以上の元
素を含み、平均結晶粒径50nm以下の微細な結晶相と
非晶質相とを主体し、交流電流を印加するときにインピ
ーダンスが外部磁界に依存して変化する軟磁性合金から
なる磁気インピーダンス効果素子を備えることを特徴と
する。また、先に記載の磁気インピーダンス効果素子
は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、
Wのうちの1種または2種以上の元素と、Bをさらに含
む軟磁性合金であることを特徴とする。
【0008】本発明の方位センサは、先に記載の方位セ
ンサであって、前記外部磁界による磁力線のX軸方向の
成分の検出手段である第1の磁気インピーダンス効果素
子と、前記外部磁界による磁力線のY軸方向の成分の検
出手段である第2の磁気インピーダンス効果素子とを備
えることを特徴とする。また、本発明の方位センサは、
先に記載の方位センサであって、前記第1、2の磁気イ
ンピーダンス効果素子は、それぞれに印加される交流電
流の電流路が互いに直交するように同一平面内に配置さ
れたことを特徴とする。また、本発明の方位センサは、
先に記載の方位センサであって、前記第1、2の磁気イ
ンピーダンス効果素子には、それぞれに印加される交流
電流の電流路に沿ってバイアス磁化を印加するための巻
線が巻回されたことを特徴とする。
【0009】本発明の方位センサは、先に記載の方位セ
ンサであって、前記軟磁性金属ガラス合金は、下記の組
成で表されるものであることを特徴とする。 (Fe1-a-bCoaNibcxy 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
り、組成比を示すa、b、c、x、yは、0≦a+b≦
0.1、75原子%≦c≦93原子%、0.5原子%≦
x≦18原子%、4原子%≦y≦9原子%である。ま
た、本発明の方位センサは、先に記載の方位センサであ
って、前記軟磁性金属ガラス合金は、下記の組成で表さ
れるものであることを特徴とする。 (Fe1-a-bCoaNibcxyz 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
り、XはSi、Al、Ge、Gaのうちの1種または2
種以上の元素であり、組成比を示すa、b、c、x、
y、zは、0≦a+b≦0.1、75原子%≦c≦93
原子%、0.5原子%≦x≦18原子%、4原子%≦y
≦9原子%、z≦4原子%である。
【0010】本発明の方位センサは、先に記載の方位セ
ンサであって、前記軟磁性金属ガラス合金は、下記の組
成で表されるものであることを特徴とする。 (Fe1-a-bCoaNibcxyd 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
り、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptのうちの1種
または2種以上の元素であり、組成比を示すa、b、
c、x、y、dは、0≦a+b≦0.1、75原子%≦
c≦93原子%、0.5原子%≦x≦18原子%、4原
子%≦y≦9原子%、d≦4.5原子である。また、本
発明の方位センサは、先に記載の方位センサであって、
前記軟磁性金属ガラス合金は、下記の組成で表されるも
のであることを特徴とする。 (Fe1-a-bCoaNibcxydz 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
り、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptのうちの1種
または2種以上の元素であり、XはSi、Al、Ge、
Gaのうちの1種または2種以上の元素であり、組成比
を示すa、b、c、x、y、d、zは、0≦a+b≦
0.1、75原子%≦c≦93原子%、0.5原子%≦
x≦18原子%、4原子%≦y≦9原子%、d≦4.5
原子、z≦4原子%である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1において、方位センサ1に
は、外部磁界のX軸方向の成分の検出手段である第1の
磁気インピーダンス効果素子(以下、MI素子と略す)
2と、X軸方向に垂直なY軸方向の外部磁界の成分の検
出手段である第2のMI素子3とが備えられている。磁
気インピーダンス効果素子(MI素子)とは、磁気イン
ピーダンス効果(Magneto-Impedance Effect)を有する
素子である。磁気インピーダンス効果とは、ワイヤ状ま
たはリボン状の磁性体に電源からMHz帯域の交流電流
を印加し、この状態で磁性体の長手方向から外部磁界を
印加すると、外部磁界が数ガウス程度の微弱磁界であっ
ても、磁性体の両端に素材固有のインピーダンスによる
電圧が発生し、その振幅が外部磁界の強度に対応して数
十%の範囲で変化する、すなわちインピーダンス変化を
起こす現象をいう。
【0012】第1、2のMI素子2、3は、平均結晶粒
径50nm以下の微細な結晶粒からなる結晶相と非晶質
相とを主体とし、Fe、Co、Niのうちの1種または
2種以上の元素と、Ti、Zr、Hf、V、Nb、T
a、Cr、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素
と、Bとを含む軟磁性合金からなり、その形状は平面視
略矩形である。また、この軟磁性合金は、交流電流を印
加するときにインピーダンスが外部磁界に依存して変化
する磁気インピーダンス効果を示す。第1、2のMI素
子2、3は、それぞれに印加される交流電流の電流路の
方向が互いに直交するように平面4に配置されている。
即ち、第1、2のMI素子2、3は、それぞれの長手方
向の向きが互いに直交するように配置されている。具体
的には、第1、2のMI素子2、3は、平面4に任意の
手段によって固定されている。第1、2のMI素子2、
3の形状は、図1においては板状であるが、これに限ら
れることはなく、棒材、薄帯(リボン)、ワイヤ材、線
材、線材の複数本を撚り合わせたもの等であっても良
い。
【0013】第1、2のMI素子2、3には、第1、2
のMI素子2、3に印加される交流電流の電流路の方向
に沿って、即ち、第1、2のMI素子2、3の長手方向
に沿ってバイアス磁化を印加するための巻線5、6が巻
回されている。巻線5、6の両端は、巻線端子5a、6
aを介して、外部巻線用導線5b、6bに接続されてい
る。第1、2のMI素子2、3の長手方向の両端2a、
3aには、出力電流を取り出すための出力導線7、8、
9が接続されている。導線7、9は、出力端子7a、9
aを介して、出力用外部導線7b、9bに接続されてい
る。また、導線8の両端は、第1のMI素子2の端部2
aと第2のMI素子3の端部3aとに接続されている。
また、導線8は、出力端子8aを介して、出力用外部導
線8bに接続されている。更に、第1、2のMI素子
2、3のそれぞれの長手方向の両端2a、3aには、図
示しない交流電流を印加するための導線が接続されてい
る。
【0014】上述の方位センサ1の動作は次の通りであ
る。図1において、第1、2のMI素子2、3には、図
示しない導線からMHz帯域の交流電流が印加されてい
る。このとき、第1、2のMI素子2、3のそれぞれの
両端2a、3aには、それぞれの素子に固有のインピー
ダンスによる電圧が発生している。図1に示すように、
外部磁界による磁力線の方向を任意とし、この磁力線が
第1のMI素子2に印加されると、第1のMI素子2の
両端に発生するインピーダンスは、この磁力線の第1の
MI素子2の長手方向に対して平行な成分(X軸方向の
成分)の大きさに対応したものとなる。同様に、この磁
力線が第2のMI素子3に印加されると、第2のMI素
子3の両端に発生するインピーダンスは、この磁力線の
第2のMI素子3の長手方向に対して平行な成分(Y軸
方向の成分)の大きさに対応したものとなる。即ち、第
1、2のMI素子2、3に対して、外部磁界による磁力
線の方向が変化すると、これに対応して第1、2のMI
素子2、3のインピーダンスが変化し、第1、2のMI
素子2、3から出力される電圧値が変化することにな
る。このようにして、方位センサ1においては、出力端
子7a、8aから、地磁気のX軸方向の成分の大きさに
対応した電圧値を示す出力電流が取り出され、出力端子
9a、8aから、地磁気のY軸方向の成分の大きさに対
応した電圧値を示す出力電流が取り出される。これらの
出力電流は、外部出力導線7b、8b、9bを介して図
示しない処理部に送られる。処理部では、得られた出力
電流に基づいて地磁気による磁力線の方位が測定され
る。
【0015】従来のMR素子の磁気検出感度が0.1
Oe程度であるのに対し、磁気インピーダンス効果を有
する素子(MI素子)は、10-5 Oe程度の磁気を検
出することが可能である。特に、本発明の第1、2のM
I素子2、3に、コルピッツ発振回路などの自己発振回
路等を接続して数〜数十MHzの交流電流を印加した場
合には、分解能が約10-6 Oeの高感度で外部磁界を
安定に検出できるので、微弱な外部磁界の検出が可能に
なる。従って、第1、2のMI素子2、3の形状を長手
方向の長さを短くしてMI素子固有のインピーダンスを
小さくするような形状とした場合においても、良好な磁
気検出感度が得られるので、方位センサ1の小型化を図
ることが可能となる。
【0016】また、上述したように、本発明の方位セン
サ1には、第1、2のMI素子2、3にバイアス磁化を
印加するための巻線5、6が備えられている。本発明に
係る第1、2のMI素子2、3は、図2Aに示すよう
に、外部磁界ゼロを中心に外部磁界の絶対値に依存して
正負方向にほぼ対称的に出力電圧の変化(インピーダン
ス変化)を示す。第1、2のMI素子2、3にバイアス
磁化を印加しない場合には、図2Bに示すように、外部
磁界による磁力線の方向を第1のMI素子2の長手方向
に対して0〜90゜に変化させると、第1のMI素子2
からの出力電圧が低下する。また、外部磁界による磁力
線の方向を90〜180゜に変化させると、第1のMI
素子2からの出力電圧が上昇する。このとき、0゜と1
80゜における出力電圧の電圧値は同一となり、磁力線
の方向を正確に測定することができない。第1、2のM
I素子2、3にバイアス磁化を印加した場合には、図2
Cに示すように、外部磁界に対するインピーダンスが直
線的に変化する領域を使用することになり、外部磁界に
よる磁力線の方向を0〜180゜に変化した場合でも、
MI素子からの出力電圧の変化が線形的であり、外部磁
界の方向を正確に測定できる。
【0017】第1、2のMI素子2、3に印加するバイ
アス磁化の大きさは、絶対値で0.1〜2 Oeの範囲
であることが好ましい。バイアス磁化の大きさが、0.
1 Oe以下若しくは2 Oe以上の範囲では、外部磁界
に対するインピーダンス変化が線形変化でないので好ま
しくない。従って、バイアス磁化を印加するための巻線
5、6に印加するバイアス電流は、数mAの直流電流で
十分である。
【0018】第1、2のMI素子2、3を構成する軟磁
性合金は、前述のように、平均結晶粒径50nm以下の
微細な結晶粒からなる結晶相と非晶質相とを主体とし、
Fe、Co、Niのうちの1種または2種以上の元素
と、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、
Wのうちの1種または2種以上の元素と、Bとを含むも
のである。
【0019】特に、下記の各組成式で示される軟磁性合
金が好適である。 (Fe1-a-bCoaNibcxy (Fe1-a-bCoaNibcxyz (Fe1-a-bCoaNibcxyd (Fe1-a-bCoaNibcxydXz 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
り、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptのうちの1種
または2種以上の元素であり、XはSi、Al、Ge、
Gaのうちの1種または2種以上の元素であり、組成比
を示すa、b、c、x、y、d、zは、0≦a+b≦
0.1、75原子%≦c≦93原子%、0.5原子%≦
x≦18原子%、4原子%≦y≦9原子%、d≦4.5
原子%、z≦4原子%である。
【0020】これらの組成の軟磁性合金は、平均結晶粒
径50nm以下の体心立方構造の微細な結晶粒からなる
結晶質相と非晶質相とを主体としてなるので、磁歪が少
なく、高い飽和磁束密度と優れた透磁率を示すと共に、
高い磁気インピーダンス効果を示し、第1、2のMI素
子2、3として好適である。
【0021】本発明の組成系において、主成分であるF
eとCoとNiは、磁性を担う元素であり、高い飽和磁
束密度と優れた軟磁気特性を得るために重要である。
【0022】これらの組成の軟磁性合金においては、F
eとCoとNiの添加量の合計を示すcの値は、93原
子%以下である。cが93原子%を超えると液体急冷法
によって非晶質単相を得ることが困難になり、この結
果、熱処理してから得られる合金の組織が不均一になっ
て高い透磁率が得られず、高い磁気インピーダンス効果
が得られないので好ましくない。また、cが75原子%
未満では、飽和磁束密度(Bs)10kG以上を得るこ
とができず、MI素子14が検出する磁場のダイナミッ
クレンジが小さくなってしまうので好ましくない。従っ
て、cの範囲を75原子%≦c≦93原子%とした。ま
た、Feの一部は、磁歪等の調整のためにCoもしくは
Niで置換してもよく、この場合、好ましくはFeの1
0%、さらに好ましくは5%以下とするのがよい。この
範囲外であると透磁率が劣化する。従って前記組成式に
おいてCoとNiの組成比a、bは、0≦a+b≦0.
1の範囲が好ましく、0≦a+b≦0.05の範囲がよ
り好ましい。
【0023】Bには、軟磁性合金の非晶質形成能を高め
る効果、結晶組織の粗大化を防ぐ効果、および熱処理工
程において磁気特性に悪影響を及ぼす化合物相の生成を
抑制する効果があると考えられる。
【0024】また、Zr、Hf、Nbは、α-Feに対
してほとんど固溶しないとされるが、合金を急冷して非
晶質化することで、ZrとHfまたはNbを過飽和に固
溶させ、この後に施す熱処理によりこれら元素の固溶量
を調節して一部結晶化し、微細結晶相として析出させる
ことで、得られる軟磁性合金の軟磁気特性を向上させ、
合金薄帯の磁歪を小さくする作用がある。また、微細結
晶相を析出させ、その微細結晶相の結晶粒の粗大化を抑
制するには、結晶粒成長の障害となり得る非晶質相を粒
界に残存させることが必要であると考えられる。さら
に、この粒界非晶質相は、熱処理温度の上昇によってα
−Feから排出されるZr、Hf、Nb等のM元素を固
溶することで軟磁気特性を劣化させるFe−M系化合物
の生成を抑制すると考えられる。よって、Fe−Zr
(Hf、Nb)系の合金にBを添加することが重要とな
る。
【0025】Bの添加量を示すxが、0.5原子%未満
では、粒界の非晶質相が不安定となるため、十分な添加
効果が得られない。また、xが18原子%を越えると、
B-M系およびFe-B系において、ホウ化物の生成傾向
が強くなり、微細結晶組織を得るための熱処理条件が制
約され、良好な軟磁気特性が得られなくなる。このよう
にBの添加量を適切にすることで、析出する微細結晶相
の平均結晶粒径を50nm以下に調整することができ
る。
【0026】また、非晶質相を得やすくするためには、
非晶質形成能の特に高いZr、Hf、Nbのいずれかを
含むことが好ましく、Zr、Hf、Nbの一部は他の4
A〜6A族元素のうち、Ti、V、Ta、Cr、Mo、
Wのいずれかと置換することができる。また、Zr、H
f、Nbのうち、Hfは非常に高価な元素であるため、
原料コストを考慮すると、Zr、Nbのいずれかを含む
ことがより好ましい。こうした元素Mは、比較的遅い拡
散種であり、元素Mの添加は、微細結晶核の成長速度を
小さくする効果、非晶質形成能を持つと考えられ、組織
の微細化に有効である。
【0027】元素Mの添加量を示すyが4原子%未満で
は、核成長速度を小さくする効果が失われ、結晶粒径が
粗大化して良好な軟磁性が得られない。Fe-Hf-B系
合金の場合、Hf=5原子%での平均結晶粒径は13n
mであるのに対してHf=3原子%では39nmと粗大
化する。元素Mの添加量を示すyが9原子%を越える
と、M-B系またはFe-M系の化合物の生成傾向が大き
くなり、良好な特性が得られない他、液体急冷後の薄帯
状合金が脆化し、所定のMI素子の形状に加工すること
が困難となる。
【0028】中でもNb、Cr、Mo、Wは、酸化物の
生成自由エネルギーの絶対値が小さく、熱的に安定であ
り、酸化物を生成しにくい。よって、これらの元素を添
加して軟磁性合金を製造する場合には、製造時の雰囲気
全体を不活性ガス雰囲気ではなく大気中の雰囲気で、も
しくは溶湯を急冷する際に使用するるつぼのノズルの先
端部に不活性ガスを供給しつつ大気中で製造することが
できるので、製造条件が容易となり、MI素子を安価に
製造することができる。
【0029】また、Si、Al、Ge、Gaのうちの1
種または2種以上の元素Xを、4原子%以下含有するこ
とが好ましい。これらは半金属元素として知られてお
り、Feを主成分とする体心立方晶の相に固溶する。こ
れらの元素の含有量が4原子%を越えると磁歪が大きく
なるか、飽和磁束密度が低下するか、透磁率が低下する
ので好ましくない。
【0030】また、元素Xには、軟磁性合金の電気抵抗
を上昇させ、鉄損を低下させる効果があるが、Alはそ
の効果が大きい。またGe、Gaは結晶粒の径を微細化
させる効果がある。従ってSi、Al、Ge、Gaのう
ち、Al、Ge、Gaは添加した効果が特に大きく、A
l、Ge、Gaの単独添加もしくはAlとGe、Alと
Ga、GeとGa、AlとGeとGaの複合添加とする
ことがより好ましい。
【0031】更に、Cu、Ag、Au、Pd、Ptの1
種または2種以上の元素Tを4.5原子%以下含有させ
ると、軟磁気特性が改善される。Cu等のように、Fe
と固溶しない元素を微量添加することにより、組成が揺
らぎ、Cuが結晶化の初期段階にクラスターを形成し、
相対的にFeリッチな領域が生じ、α−Feの核生成頻
度を増加させることができる。また、結晶化温度を示差
熱分析法により測定したところ、上記Cu、Ag等の元
素の添加は結晶化温度をやや低めるようである。これ
は、これらの添加により非晶質中に組成揺らぎが導入さ
れ、その結果、非晶質の安定性が低下したことに起因す
ると考えられる。組成揺らぎを伴った非晶質相が結晶化
する場合、部分的に結晶化しやすい領域が多数でき均一
核生成するため、得られる組成が微細結晶粒組織となる
と考えられる。以上の観点からこれらの元素以外の元素
でも結晶化温度を低下させる元素には、同様の効果が期
待できる。
【0032】尚、これらの元素以外でも耐食性を改善す
るために、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptなどの
白金族元素を添加することも可能である。これらの元素
は、5原子%よりも多く添加すると、飽和磁束密度の劣
化が著しくなるため、添加量は5原子%以下とする必要
がある。
【0033】また、他に、必要に応じてY、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Zn、Cd、I
n、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Se、Te、L
i、Be、Mg、Ca、Sr、Ba等の元素を添加する
ことで軟磁性合金の磁歪を調整することもできる。
【0034】その他、上記組成系の軟磁性合金におい
て、H、N、O、S等の不可避的不純物については所望
の特性が劣化しない程度に含有していても本発明で用い
る軟磁性合金の組成と同一とみなすことができるのは勿
論である。
【0035】上述の第1、2のMI素子2、3は、例え
ば、前記の組成になるように原料を混合した合金をアー
ク溶解、高周波誘導溶解等の手段で溶解してから急冷
し、非晶質を主体とするものを得た後で、この非晶質合
金に対して組織の一部あるいは大部分を結晶化するため
の熱処理を施して線材あるいは薄帯として得ることがで
きる。この範囲の温度で熱処理がなされることで非晶質
相の中の一部が結晶化し、非晶質相と平均結晶粒径50
nm以下の微細な結晶粒とが混合した組織が得られ、第
1、2のMI素子2、3が得られる。
【0036】熱処理により平均結晶粒径50nm以下の
微細結晶組織が析出したのは、急冷状態の非晶質合金薄
帯等が非晶質を主体とする組織となっており、これを加
熱すると、ある温度以上で平均結晶粒径が50nm以下
の、Feを主成分とする体心立方構造の結晶粒からなる
微細結晶相が析出するからである。この体心立方構造を
有するFeの微細結晶相が析出する温度は、合金の組成
によるが480〜550℃程度である。またこのFeの
微細結晶相が析出する温度よりも高い温度では、Fe3
B、あるいは合金にZrが含まれる場合にはFe3Zr
等の軟磁気特性を悪化させる化合物相が析出する。この
ような化合物相が析出する温度は、合金の組成によるが
740〜810℃程度である。したがって、本発明にお
いて、非晶質合金薄帯等を熱処理する際の保持温度は4
80℃〜810℃の範囲で、体心立方構造を有するFe
を主成分とする微細結晶相が好ましく析出しかつ上記化
合物相が析出しないように、合金の組成に応じて好まし
く設定される。
【0037】上記の熱処理温度まで昇温するときの昇温
速度は、20〜200℃/分の範囲が好ましく、40〜
200℃/分の範囲とするのがより好ましい。昇温速度
が遅いと製造時間が長くなるので昇温速度は速い方が好
ましいが、加熱装置の性能上、200℃/分程度が上限
とされる。
【0038】また、非晶質合金薄帯等を上記保持温度に
保持する時間は、0〜60分間とすることができ、合金
の組成によっては0分、すなわち昇温後直ちに降温させ
て保持時間無しとしても、高い磁気インピーダンス効果
を得ることができる。また、保持時間は60分より長く
しても磁気特性は向上せず、製造時間が長くなり生産性
が悪くなるので好ましくない。また、特にCuおよびS
i、殊にSiを含まない組成の場合には、10分以下の
保持時間で優れたMI素子を得ることができる。これ
は、Siを添加した場合には、FeにSiを充分に固溶
させる必要があり、保持時間を長くする必要があるから
である。
【0039】特に、本発明の合金組成物を用いてMI素
子の線材を製造するには、例えば特開平4−32335
1号公報に記載されているような流体冷却法や、単ロー
ルを用いた急冷法を利用することができる。流体冷却法
は基本的には、前記の合金組成物を溶融し、溶融物を冷
却液層中に連続的に噴出して線状に冷却固化させる方法
である。更に具体的には、冷却液層を噴流とする方法
(噴流法)と遠心力で保持する方法(遠心法)と、実施
例で示す溶液引き出し紡糸法とがある。
【0040】このうち噴流法は、概略を図3に示すよう
に、先ず冷却液受槽35中の冷却液Lを冷却液加圧ポン
プ36により加圧し、冷却器37により所定の温度に冷
却した後、液体加圧タンク30により所定の圧力に加圧
する。次に、加圧された冷却液Lを、冷却液体噴出ノズ
ル31により所定の速度で噴出させて噴流38を形成
し、この噴流38は冷却液受槽35に循環させる。一
方、前述した合金組成物42は、加熱炉41で溶融し、
溶融合金噴出装置32に送り、アルゴンガス圧によりこ
の溶融合金噴出装置32から噴出させる。噴出した溶融
合金流39は、前述の冷却液体噴出ノズル31から噴出
された冷却液の噴流38によって急速に冷却固化され、
MI素子線材33となる。得られたMI素子線材33
は、巻き取り機34によって巻き取られる。
【0041】遠心法は、図4に示すように、原料の合金
組成物をルツボ54の送入口51からアルゴンガスによ
り送入し、これを加熱炉45で加熱溶融する。この間、
図示しない駆動モーターにより回転ドラム46を所定の
回転速度に回転しておく。次いで冷却液Lを冷却液供給
管50から回転ドラム46の内側に供給し、遠心力によ
り冷却液層48を形成する。次にルツボ54の先端ノズ
ル52を下降して冷却液層48の液面に接近させると共
にルツボ54内を加圧し、溶融組成物44を冷却液層4
8の液面に向かって噴出させる。ルツボ54の内部に
は、原料の酸化を防ぐため、絶えず不活性ガスを送入
し、不活性雰囲気に保つ。冷却液層48の液面に向かっ
て噴出された合金は冷却固化されMI素子線材53とな
り、噴出方向と回転ドラム46の回転方向および遠心力
の合力により冷却液層48の中を進み、回転ドラム46
の内壁に沿って順次巻き重ねられる。紡糸終了後に管5
0の先端を冷却液層48中に挿入し、冷却液を吸引排出
する。その後、回転ドラム46を停止し、回転ドラム4
6の内壁に集積したMI素子線材53を取り出す。
【0042】また、単ロールを用いた急冷法は、図5に
示すように、回転している鋼製あるいは銅製などの金属
ロール60上に置かれたノズル61より溶融金属62を
アルゴンガスなどの不活性ガスの圧力を適宜加えて金属
ロール60上に噴出させて急冷して薄帯63を得ること
ができる。薄帯63は、MI素子の設計仕様により所望
の幅に切断して使用しても良い。
【0043】上述の方位センサ1に備えられた軟磁性合
金からなる第1、2の磁気インピーダンス効果素子(M
I素子)2、3は、平均結晶粒径50nm以下の体心立
方構造の微細な結晶粒からなる結晶相と非晶質相とを主
体としてなり、磁歪が少なく、高い飽和磁束密度と優れ
た透磁率を示すと共に、高い磁気インピーダンス効果を
示し、方位センサ1の感度を高くなるので、地磁気のよ
うな微弱な外部磁界を検出することができる。また、上
述の第1、2のMI素子2、3を構成する軟磁性合金
は、Fe、Co、Niのうちの1種または2種以上の元
素と、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、M
o、Wのうちの1種または2種以上の元素と、Bとを含
むものであり、加工性に優れ、薄帯状、薄膜状または線
材状のMI素子を容易に得ることができるので、方位セ
ンサ1の製造コストを低くすることができる。特に、T
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wのう
ちの1種または2種以上の元素を含むので、組織中に非
晶質相を容易に形成させることができる。更に、上述の
第1、2のMI素子2、3は、外部磁界の検出感度が高
いので、第1、2のMI素子2、3の大きさを小さくす
ることが可能となり、方位センサ1の形状を小型化でき
る。
【0044】上述の方位センサ1は、外部磁界のX軸方
向の成分の検出手段である第1のMI素子2と、Y軸方
向の外部磁界の成分の検出手段である第2のMI素子3
とを備え、第1、2のMI素子2、3は、それぞれに印
加される交流電流の電流路が互いに直交するように同一
平面4内に配置され、第1、2のMI素子2、3に印加
される交流電流の電流路に沿ってバイアス磁化を印加す
る巻線5、6が巻回されたものであるので、地磁気によ
る磁力線の方位を正確に測定できる。
【0045】また、上述の第1、2のMI素子2、3
は、外部磁界が−2 Oe〜+2 Oe程度の微弱磁界の
範囲において、出力電圧の値の変化が穏やかであると共
に出力電圧の値の変化が線形的で定量性が良好であるの
で、方位センサ1の外部磁界による磁力線の方位測定の
精度をより高くすることができる。また、外部磁界の方
位を測定するための出力電圧を処理する回路構成が比較
的簡単になり、方位センサ1の製造コストを下げること
ができる。更に、第1、2のMI素子2、3に印加する
バイアス磁化は最大でも2 Oe程度と小さくて済むの
で、バイアス磁化を印加するための回路構成を簡単にす
ることができる。
【0046】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明がこ
れらの実施例に限定されないのは勿論である。 (MI素子の製造)以下の表1の組成となるように原料
を秤量混合し、減圧Ar雰囲気下にアーク溶解炉を用い
て溶融し、組成物のインゴットを製造した。このインゴ
ットをルツボ内に入れて高周波誘導加熱により溶融し、
減圧Ar雰囲気下で回転している銅製の冷却ロール(単
ロール)上に溶湯を噴出させ急冷して薄帯を得た。この
薄帯を、長さ31mmに切り出して実施例のMI素子と
した。
【0047】 「表1」 試料No. 組成 Bs(T) μ'(1kHz ) 1 Fe84Zr3.5Nb3.58Cu1 1.53 10000 0 2 Fe84Zr3.5Nb3.58Cu1 1.53 10000 0 3 Fe85.6Zr3.3Nb3.36.6Cu1 1.57 150000 4 Fe85.6Zr3.3Nb3.36.6Cu1 1.57 150000 5 Fe84Nb79 1.52 40000 6 Fe84Nb79 1.52 40000 7 Fe84Nb79 1.52 40000 8 Fe84Nb79 1.52 40000 9 Fe90Nb73 1.70 30000 10 Fe90Nb73 1.70 30000 11 (Fe0.985Co0.01590Nb73 1.70 30000 12 (Fe0.985Co0.01590Nb73 1.70 30000 13 Fe73.5Si13.59Nb3Cu1 1.20 100000 14 Fe73.5Si13.59Nb3Cu1 1.20 100000 磁歪 薄帯幅 昇温速度 温度 保持時間 試料No. λs(×10-6) (℃/分) (℃) (分) 1 0.3 1mm 40 680 0 2 0.3 0.3mm 40 680 0 3 −0.3 1mm 40 680 0 4 −0.3 0.3mm 40 680 0 5 0.3 1mm 180 650 5 6 0.3 0.3mm 180 650 5 7 0.0 1mm 180 750 1 8 0.0 0.3mm 180 750 1 9 −1.0 1mm 180 600 5 10 −1.0 0.3mm 180 600 5 11 0.0 1mm 180 650 5 12 0.0 0.3mm 180 650 5 13 2.0 1mm 40 550 60 14 2.0 0.3mm 40 550 60
【0048】(MI効果の測定)実施例のMI素子を図
6に示す磁界検知回路に挿入し、400kHzの交流電
流を印加した状態で、試料の長さ方向に外部磁界Hexを
印加し、外部磁界Hex(Oe)と発生した出力電圧(m
V)との関係をプロットした。外部磁界Hexは、0 O
eからスタートし、5 Oe、0 Oe、−5 Oe、0
Oeと連続的に往復 変化させた。増幅倍率は10倍に
設定した。測定結果を図7〜図13に示す。
【0049】図6に示す磁界検知回路は、ブロックA,
BおよびCからなり、それぞれ、高周波電源部、外部磁
界(Hex)検知部および増幅出力部である。MI素子
(Mi)は外部磁界検知部(B)に挿入されている。高
周波電源部(A)は、高周波交流電流を発生し外部磁界
検知部(B)に供給するための回路であってその方式は
特に限定されない。ここでは一例として、安定化コルビ
ッツ発振回路を採用したものを掲げる。自己発振方式で
はこの他に磁気変調を利用した振幅変調(AM)、周波
数変調(FM)、または位相変調(PM)をかけて磁界
感知作動をさせることもできる。外部磁界検知部(B)
はMI素子(Mi)と復調回路とからなり、高周波電源
部(A)から供給された高周波交流電流により待機状態
とされたMI素子が外部磁界(Hex)に感応して発生
したインピーダンス変化を、復調回路により復調し、増
幅出力部(C)に伝送する。増幅出力部(C)は差動増
幅回路と出力端子とを有する。この出力端子からMI素
子からの出力電圧(mV)を得る。
【0050】図7〜図13より、実施例のMI素子は、
−2 Oe〜+2 Oe程度の微弱磁界帯域において高感
度で良好な定量性を示し、特に、No.5〜8、13、
14の試料においては、ヒステリシスも僅少であること
から、優れたMI素子であることがわかる。特に、リボ
ン幅が約1mmの試料に比べてリボン幅が0.3mmの
試料が良好な応答性を有している。これは、薄帯幅が少
ない方が線材に近い試料形状をなしているためである。
また、いずれの試料においてもSiを含まない系(Fe
ZrNbBCu系、FeNbB系、FeZrB系、Fe
CoZrB系)においては飽和磁束密度が1.5〜1.7
0Tの優れた値を示し、30000〜100000の優
れた透磁率を示し、磁歪も小さい特性を有している。こ
れに対してSiを含む系(FeSiBNbCu系)にお
いても飽和磁束密度は若干低いものの、100000の
透磁率が得られた。更に、Siを含まない系においては
熱処理条件として保持時間を0〜5分と少なくしても良
好な軟磁気特性が得られるが、Siを含む系においては
保持時間が60分程度で良好な軟磁気特性が得られた。
【0051】このようにして、飽和磁束密度が大きく、
更に透磁率が高いという軟磁気特性に優れた軟磁性合金
を得ることが可能となり、この軟磁性合金からなるMI
素子を用いて方位センサを作製した場合には、微弱な地
磁気の検出が可能となり、方位測定の精度をより高くで
きると予想される。
【0052】また、このような軟磁性合金からなるMI
素子を方位センサに使用した場合には、外部磁界に対応
する出力電圧の値が大きく、外部磁界の検出感度が高い
ために微弱な地磁気を検出できると共に、出力電圧を処
理して外部磁界の方位を測定するための回路構成を簡単
にできる。また、バイアス磁化は、絶対値で2 Oe程
度の磁化をかければよいので、バイアス磁化を印加する
ための回路構成も簡単にできる。
【0053】また、図14において、試料No.5のM
I素子は、従来のFe78Si1913の組成のMI素子よ
りも出力電圧の電圧値が高く、外部磁界の検出感度が高
いことがわかる。更に、試料No.5のMI素子は、微
弱磁界の範囲内(−2 Oe〜+2 Oe)で従来の(F
0.06Co0.9472.5Si12.515 の組成のMI素子
よりも出力電圧の立ち上がりが緩やかであるので、定量
性が良好となり、これを用いた方位センサの回路構成が
容易となる。
【0054】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
方位センサは、Fe、Co、Niのうちの1種または2
種以上の元素を含み、平均結晶粒径50nm以下の体心
立方構造の微細な結晶粒からなる結晶相と非晶質相とを
主体とする軟磁性合金からなる磁気インピーダンス効果
素子(MI素子)を備えており、このMI素子は、磁歪
が少なく、高い飽和磁束密度と優れた透磁率を示すと共
に、高い磁気インピーダンス効果を示すので、方位セン
サの感度が高くなり、地磁気のような微弱な外部磁界を
検出することができる。また、本発明に係るMI素子を
構成する軟磁性合金は、Fe、Co、Niのうちの1種
または2種以上の元素と、Ti、Zr、Hf、V、N
b、Ta、Cr、Mo、Wのうちの1種または2種以上
の元素と、Bとを含むものであり、加工性に優れ、薄帯
状、薄膜状または線材状のMI素子を容易に得ることが
できるので、方位センサの製造コストを低くすることが
できる。更に、本発明に係るMI素子は、外部磁界の検
出感度が高いので、MI素子の大きさを小さくすること
が可能となり、方位センサの形状を小型化できる。
【0055】また、本発明の方位センサは、外部磁界の
X軸方向の成分の検出手段である第1のMI素子と、Y
軸方向の外部磁界の成分の検出手段である第2のMI素
子とを備え、第1、2のMI素子は、それぞれに印加さ
れる交流電流の電流路が互いに直交するように同一平面
内に配置され、MI素子に印加される交流電流の電流路
に沿ってバイアス磁化を印加する巻線が巻回されたもの
でありバイアス磁化を印加できるので、地磁気のような
外部磁界による磁力線の方位を正確に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態である方位センサを示す
平面図である。
【図2】 本発明の実施の形態であるMI素子の外部磁
界と出力電圧との関係を示す図であって、AはMI素子
の外部磁化と出力電圧との関係を示すグラフであり、B
は外部磁界の磁力線の方向をMI素子の長手方向に対し
て0〜180゜の範囲で変化させたときの外部磁界と出
力電圧との関係を示すグラフであり、CはMI素子のバ
イアス磁化をかけてBと同様にの外部磁界の磁力線の方
向を変化させたときの外部磁界と出力電圧との関係を示
すグラフである。
【図3】 本発明の方位センサのMI素子の一製造法を
示す工程図である。
【図4】 本発明の方位センサのMI素子の他の一製造
法を示す工程図である。
【図5】 本発明の方位センサのMI素子の他の一製造
法を示す工程図である。
【図6】 本発明のMI素子を用いた磁気検知回路を示
す回路図である。
【図7】 実施例で得られたNo.1、2の試料の磁界
感応性を示す図である。
【図8】 実施例で得られたNo.3、4の試料の磁界
感応性を示す図である。
【図9】 実施例で得られたNo.5、6の試料の磁界
感応性を示す図である。
【図10】 実施例で得られたNo.7、8の試料の磁
界感応性を示す図である。
【図11】 実施例で得られたNo.9、10の試料の
磁界感応性を示す図である。
【図12】 実施例で得られたNo.11、12の試料
の磁界感応性を示す図である。
【図13】 実施例で得られたNo.13、14の試料
の磁界感応性を示す図である
【図14】 試料No.5のMI素子及び従来のMI素
子の磁界感応性を示す図である。
【符号の説明】
1 方位センサ 2 第1のMI素子 3 第2のMI素子 4 平面 5 バイアス磁化を印加するための巻線 6 バイアス磁化を印加するための巻線 7 出力導線 8 出力導線 9 出力導線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内藤 豊 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 尾藤 輝夫 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 畑内 隆史 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 大内 純一 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 笹川 新一 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内元支倉35番地 川 内住宅11−806 (72)発明者 増本 健 宮城県仙台市青葉区上杉3丁目8番22号

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部磁界による磁力線の方位の検出手段
    として、Fe、Co、Niのうちの1種または2種以上
    の元素を含み、平均結晶粒径50nm以下の微細な結晶
    相と非晶質相とを主体し、交流電流を印加するときにイ
    ンピーダンスが外部磁界に依存して変化する軟磁性合金
    からなる磁気インピーダンス効果素子を備えることを特
    徴とする方位センサ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の磁気インピーダンス効
    果素子は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、
    Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素と、Bをさ
    らに含む軟磁性合金であることを特徴とする方位セン
    サ。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の方位セ
    ンサであって、 前記外部磁界による磁力線のX軸方向の成分の検出手段
    である第1の磁気インピーダンス効果素子と、 前記外部磁界による磁力線のY軸方向の成分の検出手段
    である第2の磁気インピーダンス効果素子とを備えるこ
    とを特徴とする方位センサ。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の方位センサであって、 前記第1、2の磁気インピーダンス効果素子は、それぞ
    れに印加される交流電流の電流路が互いに直交するよう
    に同一平面内に配置されたことを特徴とする方位セン
    サ。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の方位センサであって、
    前記第1、2の磁気インピーダンス効果素子には、それ
    ぞれに印加される交流電流の電流路に沿ってバイアス磁
    化を印加するための巻線が巻回されたことを特徴とする
    方位センサ。
  6. 【請求項6】 請求項1または請求項2に記載の方位セ
    ンサであって、前記軟磁性合金は、下記の組成で表され
    るものであることを特徴とする方位センサ。 (Fe1-a-bCoaNibcxy 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
    r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
    り、組成比を示すa、b、c、x、yは、0≦a+b≦
    0.1、75原子%≦c≦93原子%、0.5原子%≦
    x≦18原子%、4原子%≦y≦9原子%である。
  7. 【請求項7】 請求項1または請求項2に記載の方位セ
    ンサであって、前記軟磁性合金は、下記の組成で表され
    るものであることを特徴とする方位センサ。 (Fe1-a-bCoaNibcxyz 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
    r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
    り、XはSi、Al、Ge、Gaのうちの1種または2
    種以上の元素であり、組成比を示すa、b、c、x、
    y、zは、0≦a+b≦0.1、75原子%≦c≦93
    原子%、0.5原子%≦x≦18原子%、4原子%≦y
    ≦9原子%、z≦4原子%である。
  8. 【請求項8】 請求項1または請求項2に記載の方位セ
    ンサであって、前記軟磁性合金は、下記の組成で表され
    るものであることを特徴とする方位センサ。 (Fe1-a-bCoaNibcxyd 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
    r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
    り、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptのうちの1種
    または2種以上の元素であり、組成比を示すa、b、
    c、x、y、dは、0≦a+b≦0.1、75原子%≦
    c≦93原子%、0.5原子%≦x≦18原子%、4原
    子%≦y≦9原子%、d≦4.5原子である。
  9. 【請求項9】 請求項1または請求項2に記載の方位セ
    ンサであって、前記軟磁性合金は、下記の組成で表され
    るものであることを特徴とする方位センサ。 (Fe1-a-bCoaNibcxydz 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
    r、Mo、Wのうちの1種または2種以上の元素であ
    り、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptのうちの1種
    または2種以上の元素であり、XはSi、Al、Ge、
    Gaのうちの1種または2種以上の元素であり、組成比
    を示すa、b、c、x、y、d、zは、0≦a+b≦
    0.1、75原子%≦c≦93原子%、0.5原子%≦
    x≦18原子%、4原子%≦y≦9原子%、d≦4.5
    原子、z≦4原子%である。
JP10000499A 1997-12-26 1998-01-05 方位センサ Withdrawn JPH11194158A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10000499A JPH11194158A (ja) 1998-01-05 1998-01-05 方位センサ
US09/211,126 US6232775B1 (en) 1997-12-26 1998-12-14 Magneto-impedance element, and azimuth sensor, autocanceler and magnetic head using the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10000499A JPH11194158A (ja) 1998-01-05 1998-01-05 方位センサ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11194158A true JPH11194158A (ja) 1999-07-21

Family

ID=11475462

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10000499A Withdrawn JPH11194158A (ja) 1997-12-26 1998-01-05 方位センサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11194158A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7282822B2 (en) * 2002-06-20 2007-10-16 Covial De Vice Ab Sensor
CN102620724A (zh) * 2011-01-26 2012-08-01 新科实业有限公司 地磁传感器装置以及数字罗盘

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7282822B2 (en) * 2002-06-20 2007-10-16 Covial De Vice Ab Sensor
CN102620724A (zh) * 2011-01-26 2012-08-01 新科实业有限公司 地磁传感器装置以及数字罗盘

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6232775B1 (en) Magneto-impedance element, and azimuth sensor, autocanceler and magnetic head using the same
JP5316921B2 (ja) Fe基軟磁性合金、およびこれを用いた磁性部品
KR19990023947A (ko) 자기임피던스효과 소자와 이를 사용한 자기헤드,박막자기헤드, 방위센서 및 오토캔슬러
JP2000073148A (ja) Fe基軟磁性合金
JP3342767B2 (ja) Fe基軟磁性合金
KR100252495B1 (ko) Fe기 연자성 합금의 제조방법
JP2003213331A (ja) Fe基軟磁性合金の製造方法及びFe基軟磁性合金
JP2501860B2 (ja) 磁気センサ―及び電流センサ―並びにこれを用いた装置
CN106575567B (zh) 变流器用芯及其制造方法以及具备该芯的装置
JP4600285B2 (ja) ナノコンポジット磁石、ナノコンポジット磁石用急冷合金、およびこれらの製造方法ならびに判別方法
JPH11194158A (ja) 方位センサ
US4657604A (en) Fine amorphous metal wires
US4473400A (en) Magnetic metallic glass alloy
JPH11193450A (ja) オートキャンセラ
JPH11195519A (ja) 磁気インピーダンス効果素子
JP3850655B2 (ja) 軟磁性合金及び軟磁性合金薄帯
JP2002322546A (ja) Fe基軟磁性合金およびそれを用いた磁心
US4657605A (en) Fine amorphous metal wires
JP3294938B2 (ja) Fe系軟磁性合金
JP3255216B2 (ja) Fe基微結晶軟磁性合金
JPH11203633A (ja) 磁気ヘッド
JPH10102215A (ja) 微細結晶永久磁石用鉄基合金及びその製造方法
JPH1164475A (ja) フラックスゲートセンサー用の磁心及びフラックスゲートセンサー用の磁心の製造方法
JP4212820B2 (ja) Fe基軟磁性合金とその製造方法
JP4529198B2 (ja) 微量の希土類金属を含む鉄基永久磁石およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050405