JPH11192796A - 装飾体付き筆記具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 取付は極力簡単であって、確実な嵌合強度が
得られ、筆記具本体とキャップとの嵌合強度と、装飾体
とキャップとの嵌合強度とを適切な関係とでき、くり返
し嵌合によっても初期の嵌合強度を維持できる装飾体付
き筆記具を提供する。 【解決手段】 筆記具本体とキャップとの嵌合は径方向
の乗り越え嵌合にてなし、キャップと装飾体との嵌合は
周方向の乗り越え嵌合により互いを連結する装飾体付き
筆記具。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、筆記具本体とキャ
ップとこのキャップに被嵌する装飾体とからなる装飾体
付き筆記具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来筆記具に装飾体を取り付けている筆
記具には、装飾体自体がキャップや尾栓等の役割をして
いるものや、キャップや尾栓などの部材に別部材の装飾
体を接着、螺合、径方向の乗り越え嵌合などにより取り
付けたものが知られている。特に、キャップに装飾体を
取り付けてなるものは、装飾体を把持してキャップを筆
記具本体から取り外す場合を考慮すると、装飾体を再び
取り外すことを前提としない場合を除きキャップと筆記
具本体との嵌合強度よりも強い（外れにくい）嵌合強度
にすることが好ましいものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、装飾体
とキャップとの嵌合強度をあまり強くすると、組み立て
嵌合時にも大きな力が必要となり作業上手間がかかるこ
とになった。また、装飾体がキャップに被嵌するので、
キャップと筆記具本体との径方向の乗り越え嵌合時のキ
ャップの拡径を妨げ、キャップと筆記具本体との嵌合に
必要な力が増加しキャップと筆記具本体とが着脱し難く
なり、筆跡の色が異なるなど同形状の他の筆記具のキャ
ップと取り替えたいときなどにも障害となるという問題
があった。このことは装飾体とキャップとの嵌合として
螺合を採用した場合もまた同様であった。加えて、径方
向の乗り越え嵌合方式としたものでは、嵌合強度を強く
することは径方向の乗り越え嵌合代を大きく設定するこ
とであり、乗り越え時に両部材の嵌合部分にかかる力も
大きくなり、繰り返し嵌合の末に嵌合部が摩耗し所望の
嵌合強度が得られなくなるという問題もあった。また、
キャップとして、ポリエチレンテレフタレートやアクリ
ル樹脂等の透明な合成樹脂の射出成形品を採用し、キャ
ップ内に筆跡色の表示部材を設置しているものにおいて
は、装飾体を被嵌することによって筆跡色の表示部材が
外側から見えなくなるという不具合があった。更に、キ
ャップと装飾体との嵌合時に、キャップが筆記具本体に
被嵌している状態の場合には、キャップと筆記具本体と
の嵌合の際の衝撃よりも大きな衝撃が筆記具本体にかか
ることになり、この衝撃によりペン先よりインキが飛散
してキャップ内外をインキで汚してしまうという問題が
あった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、筆記具
本体とキャップとこのキャップに被嵌する装飾体とから
なる装飾体付き筆記具において、前記筆記具本体と前記
キャップとの嵌合がキャップの内壁に形成した内方突起
を筆記具本体の外壁に形成した凸部を乗り越える嵌合と
すると共に、前記装飾体とキャップとの嵌合がキャップ
外壁に形成した突条を装飾体に形成したキャップの頭頂
部挿入開口部に開口する開口部側の幅狭部と奥側の幅広
部とを有する切り欠き部に挿入し、前記突条を切り欠き
部の幅狭部と幅広部との境界に形成される肩部に係合し
てなる装飾体付き筆記具を要旨とする。

【０００５】

【作用】キャップと筆記具本体との嵌合はキャップの内
壁に形成した内方突起を筆記具本体の外壁に形成した凸
部を乗り越える、径方向の乗り越え嵌合を採用し、キャ
ップと装飾体との嵌合は、装飾体に形成した切り欠き部
の互いに対峙する係止部による周方向の乗り越え嵌合を
採用することによって、キャップと装飾体の抜き差しの
嵌合に必要な力は極力小さく抑えつつ、容易にキャップ
と筆記具本体との嵌合よりも比較的外れ難い嵌合を得る
ことができ、繰り返し着脱を行っても初期の嵌合強度を
極力維持することができる。また、このことは、装飾体
の切り欠き部により、装飾体のキャップ取付孔が容易に
拡径することも影響し、キャップと装飾体との嵌合強度
に影響されないキャップと筆記具本体との径方向の乗り
越え嵌合を得ることができる。この切り欠き部があるこ
とによって、透明なキャップの筆跡色表示部材も外から
確認できる。また、キャップの内部に筆記具のペン先を
封鎖する弾性体を設置することによってキャップと装飾
体とを嵌合する際の比較的大きな衝撃によってもペン先
よりのインキの飛散は抑制することができるものであ
る。

【０００６】

【実施例１】以下、図面に基づき一例について説明す
る。筆記具本体１とキャップ２とが装着された状態を示
す図１に示したように、筆記具本体１は、アクリルニト
リルスチレン製の軸筒３内に、インキを収容するポリプ
ロピレン製のパイプ体先端にペン先としてのボールペン
チップ４を有するリフィル５を内蔵し、軸筒３の先部に
前記ボールペンチップ４の先端のボールを先端突出する
先がね６を螺着している。

【０００７】この筆記具本体１のペン先部分を保護する
ために、透明性のポリエチレンテレフタレート樹脂製の
キャップ２内壁には等間隔に４点の内方突起７が形成さ
れ、軸筒１の外壁に形成された環状の凸部８と径方向の
乗り越え嵌合により嵌合し装着状態を維持する。また、
キャップ２内部にはペン先であるボールペンチップ４と
直接当接して、ボールペンチップ４のインキ吐出孔（図
示せず）を閉鎖するニトリルブタジエンラバー（ＮＢ
Ｒ）製やシリコンゴム製の弾性パッキン９が配置されて
いる。この弾性パッキン９は筆跡を形成するインキの色
に着色されており、透明性のキャップ２のそとからイン
キ色を確認できるようになっている。また、キャップ２
は外壁にクリップ１０を一体に形成しており、クリップ
１０も透明性の合成樹脂にて形成されることによりクリ
ップを通しても前述の筆跡色表示部材である弾性パッキ
ン９の色を視認可能である。

【０００８】装飾体１１の外観斜視図を図２に示す。装
飾体１１は、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂
製の有底筒状の部材であり、キャップ２の頭頂部を挿入
する挿入口に連続して開口する切り欠き部１２を有して
いる。切り欠き部１２は挿入口側の幅狭部１３と奥側の
幅広部１４とからなっており、幅狭部１３はキャップ２
のクリップ１０の幅より狭く、幅広部１４の幅はクリッ
プ１０の幅以上に設定されている。

【０００９】筆記具本体１とキャップ２と装飾体１１と
をそれぞれ連結させた状態を示す図３と図３のＩ−ＩＩ
線矢視図に示すように、クリップ１０を切り欠き部１２
に当てはめて装飾体１１内にキャップ２を挿入する際、
クリップ１０が幅狭部１３に位置する際にはクリップ１
０は装飾体１１の周方向の挟持力を受け、これに対して
装飾体１１は切り欠き部１２を中心に拡開する。そし
て、クリップ１０が幅狭部１３と幅広部１４との境界で
ある肩部１５を通過する際に切り欠き部１２が閉じて肩
部１５によってクリップ１０が係止される。ここで、図
示のものは幅広部１４の幅がクリップ１０の幅より大き
く設定されており、嵌合が完了した段階ではクリップ１
０はキャップの挟持力を受けていない。このようにする
ことによって装飾体１１の経時的な変形は抑制され所望
の嵌合強度を持続させることができるものである。ま
た、切り欠き部１２を有することによって、透明性のク
リップ１０を通してキャップ内の筆跡色表示部材である
弾性パッキン９の色を視認することができるものであ
る。

【００１０】図５に他の一例を示す。装飾体１１の切り
欠き部１２の形状を工夫した例である。即ち、上述の一
例のように切り欠き部１２の幅狭部１３を平行な２辺に
よって形成されるものとせず、挿入口側から奥側に向か
って次第に幅が狭くなる傾斜した辺により形成されたも
のとしてある。クリップ１０を挿入するにあたって、幅
狭部１２の挿入口部分ではクリップ１０に挟持力が付与
されないか弱い挟持力が付与されるものとし、クリップ
１０を奥側に移動するに従って次第に挟持力が強くな
り、肩部１５に位置する時最大の挟持力となるようにし
ている。この最大の挟持力がキャップ２を離脱させると
きに必要な力であり、嵌合強度である。つまり、前例で
は幅狭部１３の範囲のクリップ１０の移動に際して大き
い力が必要であったが、本例のように幅狭部の挟持力が
次第に高まるようになしたので、もっとも大きな力が必
要な時点はクリップ１０が肩部１５を乗り越える瞬間の
みとすることができ、総合的には嵌合させやすく抜けに
くい関係を得ることができる。また、幅狭部１３を形成
する２辺は上述の例のような直線以外に、なだらかな曲
線により形成することもできるし、図６に示すような平
行な２辺と互いに対峙する突起部とが組み合わされたも
のとすることもできる。

【００１１】以上の他にも本発明の要旨を逸脱しない限
りで種々なせるものである。一例を挙げると、装飾体１
１を透明な合成樹脂にて成形することもできるし、装飾
体にキーホルダー用のリングを取り付けたり、人形や公
告表示板等を一体に取り付けられたものとすることもで
きる。

【００１２】

【発明の効果】本発明によれば、作業が簡便な組み立て
品とすることができ、キャップと筆記具本体との乗り越
え嵌合を妨げることがなく、各部の着脱は容易に行うこ
とができるものでありながら、装飾体を把持したままキ
ャップより筆記具本体を取り外すことができ、装飾体に
嵌合する同形状の他の筆記具のキャップと取り替えるこ
とも容易になすことができ、繰り返し嵌合後にも初期の
嵌合強度が弱くなりにくいものとすることができる。ま
た、透明性を有するキャップを採用した場合、キャップ
内に筆跡色の表示部材を設置しているものにおいては、
装飾体を被嵌しても筆跡色の表示部材が外側から視認可
能であり、更に、キャップと装飾体との嵌合時に、大き
な衝撃が筆記具本体に付与されたとしても、この衝撃に
よりペン先よりインキが飛散してキャップ内外をインキ
で汚してしまうことを極力抑制することができるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】一例を示す要部断面図。

【図２】一例を示す斜視図。

【図３】一例を示す外観図。

【図４】図３のＩ−ＩＩ線断面矢視図。

【図５】他の一例を示す斜視図。

【図６】変形例を示す斜視図。

【符号の説明】

１ 筆記具本体 ２ キャップ ３ 軸筒 ４ ボールペンチップ ５ リフィル ６ 先がね ７ 内方突起 ８ 凸部 ９ 弾性パッキン １０ クリップ １１ 装飾体 １２ 切り欠き部 １３ 幅狭部 １４ 幅広部 １５ 肩部

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 筆記具本体とキャップとこのキャップに
   被嵌する装飾体とからなる装飾体付き筆記具において、
   前記筆記具本体と前記キャップとの嵌合がキャップの内
   壁に形成した内方突起と筆記具本体の外壁に形成した凸
   部とが乗り越える嵌合とすると共に、前記装飾体とキャ
   ップとの嵌合がキャップ外壁に形成した突条を装飾体に
   形成したキャップの頭頂部挿入口に開口する開口部側の
   幅狭部と奥側の幅広部とを有する切り欠き部に挿入し、
   前記突条を切り欠き部の幅狭部と幅広部との境界に形成
   される肩部に係合してなる装飾体付き筆記具。
2. 【請求項２】 前記幅広部の幅が突条の幅より広いこと
   を特徴とした請求項１記載の装飾体付き筆記具。
3. 【請求項３】 前記キャップの外壁に形成した突条がク
   リップであることを特徴とする請求項１または２記載の
   装飾体付き筆記具。
4. 【請求項４】 前記キャップが透明性を有する合成樹脂
   の射出成形品よりなりキャップの内孔に筆跡色表示部材
   を設置してなることを特徴とする請求項１乃至３の何れ
   かに記載の装飾体付き筆記具。
5. 【請求項５】 前記筆記具がペン先としてボールペンチ
   ップを有し、前記色表示部材が、キャップ装着時にボー
   ルペンチップ先端と当接しインキ通路を封鎖する弾性体
   であることを特徴とする請求項４記載の装飾体付き筆記
   具。