JPH11192420A - 分離膜およびこれを用いたオレフィンの分離方法 - Google Patents

分離膜およびこれを用いたオレフィンの分離方法

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JPH11192420A
JPH11192420A JP46398A JP46398A JPH11192420A JP H11192420 A JPH11192420 A JP H11192420A JP 46398 A JP46398 A JP 46398A JP 46398 A JP46398 A JP 46398A JP H11192420 A JPH11192420 A JP H11192420A
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彰 島津
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知子 松下
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司 宮崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分離性能および高耐性のオレフィン分離用
膜を提供する。 【解決手段】 含フッ素ポリイミド、ケイ酸エステル、
極性溶媒を主成分とする混合液をガラス板等の基材上に
流延し、極性溶媒を除去することで得られる含フッ素ポ
リイミドとシリカを主成分とする膜をオレフィン分離膜
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含フッ素ポリイミ
ドを含む分離膜およびこの分離膜を用いたオレフィンの
分離方法に関するものであり、さらに詳しくはオレフィ
ンを含む工業上の混合物からオレフィンを分離・濃縮す
るために用いられる含フッ素ポリイミド膜およびこの膜
を用いたオレフィンの分離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】含フッ素ポリイミドの多くは、高いガラ
ス転移温度と剛直でバルキーな分子鎖構造を有するた
め、耐熱性、耐化学薬品性、気体分離性などに優れた膜
分離材料として知られている(例えば、米国特許第38
22202号公報、米国特許第4645824号公
報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の分離膜の多くは、オレフィンに対する分離性能が未
だ十分ではなく、さらに耐性も十分でないという問題が
あった。そのため、オレフィンを含む混合物からのオレ
フィンの膜分離法は、工業的規模では広く普及していな
いのが現状である。
【0004】本発明は、これらの問題点を解決するため
に為されたものであって、オレフィンに対して高い分離
性能と耐性を有する分離膜、およびこの分離膜を使用し
て実施する、性能、コストともに実用的であるオレフィ
ンの分離方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の分離膜は、含フッ素ポリイミドおよびシリ
カを主成分とすることを特徴とする。このような分離膜
とすることにより、オレフィンに対する分離性能および
耐性を向上させることができる。
【0006】前記分離膜は、シリカを3〜40重量%、
さらには5〜25重量%含むことが好ましい。シリカの
含有量が3重量%未満であるとオレフィンに対する分離
性の向上が十分には得られにくくなり、また、40重量
%を超えると膜全体が脆くなり分離膜として要求される
機械的強度を保持できなくなるおそれがある。
【0007】また、前記分離膜は、含フッ素ポリイミ
ド、ケイ酸エステルおよび極性溶媒を含む溶液を基材上
に流延し、前記極性溶媒を除去することにより製造し得
るものであることが好ましい。
【0008】この場合は、前記ケイ酸エステルがフェニ
ル基を有することが好ましい。この好ましい例によれ
ば、オレフィンに対するさらに好ましい選択性が発揮さ
れ得る。
【0009】また、前記分離膜においては、前記含フッ
素ポリイミドが、最小繰り返し単位内に、少なくとも1
つのトリフルオロメチル基(CF3基)を有することが
好ましい。この好ましい例によれば、オレフィンの分離
性能をさらに向上させることができる。
【0010】また、前記分離膜は、緻密膜および非対称
膜から選ばれる少なくとも一つの膜であることが好まし
い。ここで、緻密膜とは、多孔質構造を有さず、炭化水
素の透過性が膜への溶解性と膜中における拡散性により
支配される膜をいう。また非対称膜とは、膜の一方の表
面が緻密層となっており、内部と裏面は多孔質構造を有
する膜をいう。これらの概念は、分離膜の業界では一般
に知られているものである。
【0011】本発明のオレフィンの分離方法は、前記分
離膜の膜の一方の面にオレフィンを含む炭化水素混合物
を接触させ、前記オレフィンを選択的に透過させること
を特徴とする。このような分離方法とすることにより、
オレフィンに対して高い分離性と耐性を有し、実用的に
満足し得る性能とコストとを有するオレフィンの選択的
膜分離方法とすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の分離膜に使用し得る含フ
ッ素ポリイミドは、例えば上記従来技術として説明した
ようなそれ自体は公知の含フッ素ポリイミドを適用する
ことができる。このような含フッ素ポリイミドは、例え
ば、以下の式(化1)により示されるものが好ましい。
【0013】
【化1】
【0014】但し、Aは芳香族、脂環族もしくは脂肪族
炭化水素基からなる4価の有機基を示し、Rは2価の芳
香族、脂肪族もしくは脂肪族炭化水素基、またはこれら
の炭化水素基が2価の有機結合基で結合された2価の有
機基を示し、AおよびRの少なくとも1つは、フルオロ
アルキル基、好ましくはトリフルオロメチル基を有し、
rは正の整数で重合度を示す。
【0015】また、含フッ素ポリイミドは、共重合体で
あってもよく、この場合は例えば式(化2)により示さ
れるようなものであってもよい。
【0016】
【化2】
【0017】但し、A1およびA2は上記Aと同様であ
り、R1およびR2は上記Rと同様であり、A1、A2、R
1およびR2の少なくとも1つは、フルオロアルキル基、
好ましくはトリフルオロメチル基を有し、mおよびnは
正の整数を示す。
【0018】A、A1およびA2としては、少なくとも一
つのプロトンが、フルオロアルキル基、好ましくはトリ
フルオロメチル基で置換された芳香族、脂環族または脂
肪族炭化水素基からなる4価の有機基であることが好ま
しく、例えば下記式(化3)で表される4価の有機基を
好ましく用いることができる。
【0019】
【化3】
【0020】また、R、R1およびR2としては、少なく
とも一つのプロトンが、メチル基(CH3基)、トリフ
ルオロメチル基、メトキシ基(OCH3基)およびクロ
ロ基(Cl基)から選ばれる少なくとも一つの置換基に
より置換された芳香族、脂環族もしくは脂肪族炭化水素
基、またはこれらの炭化水素基が2価の有機結合基で結
合された2価の有機基であることが好ましく、例えば下
記式(化4)〜(化11)で示されるものを好ましく用
いることができる。
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】
【0028】
【化11】
【0029】なお、含フッ素ポリイミドは、50モル%
以下であれば含フッ素ポリイミド以外のポリスルホン、
ポリエーテルスルホンなどのポリマーとの共重合体また
は混合物であってもよい。
【0030】本発明で用いられる含フッ素ポリイミド
は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物(ただ
し、酸成分およびアミン成分中の少なくとも一方の成分
にはフッ素含有基を含む。)を用いて、例えば、米国特
許第3959350号明細書に記載されているような公
知の重合方法で得られる。例えば、いずれかにフッ素含
有基を含むテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物
をほぼ等モル量を用い、極性溶媒中、約80℃以下の温
度、好ましくは0〜60℃で撹拌し、ポリアミック酸を
重合する。
【0031】得られたポリアミック酸の極性溶媒溶液
に、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンな
どの第3級アミン化合物、無水酢酸、塩化チオニル、カ
ルボジイミドなどのイミド化促進剤を添加し、5〜15
0℃の温度で撹拌し、イミド化する。イミド化反応後、
重合時の極性溶媒やイミド化促進剤を除去するために、
多量のアセトン、アルコールまたは水などの溶液に滴下
し精製することにより、膜材料として好適なポリイミド
樹脂が得られる。
【0032】イミド化反応は、イミド化促進剤を添加す
ることなく、ポリアミック酸溶液を100〜400℃、
好ましくは120〜300℃で加熱してイミド化しても
よい。このように、イミド化促進剤を添加することなく
イミド化反応を行う場合は、例えば、ポリアミック酸溶
液を多量のアセトンまたはアルコールなどの溶液に滴下
して得られたポリアミック酸粉末やポリアミック酸溶液
から溶媒を蒸発させて得られたポリアミック酸の固体
(蒸発の際、沈殿剤などを加えてポリアミック酸粉末を
形成させ、濾別してもよい。)を100〜400℃に加
熱してイミド化することにより、膜材料として好適なポ
リイミドが得られる。
【0033】上記で用いる極性溶媒としては、特に限定
されないが、N−メチルピロリドン、ピリジン、ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、テトラメチル尿素、フェノール、クレゾー
ル、テトラハイドロフランなどを好適に用いることがで
きる。
【0034】本発明の分離膜の製造方法は、例えば、含
フッ素ポリイミド、ケイ酸エステル、アルコールおよび
有機系極性溶媒を含むポリマー溶液を調製し、このポリ
マー溶液に水、酸触媒、アルコールを含む水溶液を加
え、所定時間撹拌し、ケイ酸エステルを加水分解させ、
次いで重縮合させることにより、シリカと含フッ素ポリ
イミドとが混合した製膜液を調製し、この製膜液を基材
上に流延し、加熱することなどにより溶媒を除去する方
法を適用できる。
【0035】ケイ酸エステルとしては、例えば、テトラ
メトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポ
キシシラン、テトラブトキシシランなどのオルトケイ酸
の低級アルキルエステル、トリメトキシメチルシラン、
ジメトキシジメチルシラン、トリエトキシジエチルシラ
ン、ジエトキシジエチルシランなどのアルコキシアルキ
ルシラン、およびジフェニルジメトキシシラン、フェニ
ルトリメトキシシランなどのオルガノアルコキシシラン
を用いることができる。
【0036】また、酸触媒は、無機酸であっても有機酸
であってもよく、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シ
ュウ酸などを用いることができる。酸触媒は、アルコキ
シル基の急速な加水分解を抑制し、含フッ素ポリイミド
溶液中のシリカ粒子を微小とする効果を発揮する。
【0037】酸触媒の添加などにより、分離膜中に存在
するシリカ粒子の粒径を、1μm以下、さらには0.3
μm以下とすることが好ましい。
【0038】また、アルコールとしては、例えばメチル
アルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ルを用いることできる。アルコールは、急激な反応の抑
制に効果的で、その使用は酸化物の沈殿を抑制できるた
めに好ましい。
【0039】また、有機系極性溶媒としては、例えばN
−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレ
ングリコールメチルエーテル、1,2−ジメトキシメタ
ン、テトラヒドロフラン、クロロホルムなどを用いるこ
とができる。
【0040】前記製膜液において、含フッ素ポリイミド
の濃度は3〜40重量%、好ましくは10〜30重量%
である。製膜液には、必要に応じて、膨潤剤、分散剤、
増粘剤などを加えてもよい。
【0041】分離膜を緻密膜として製膜する場合には、
特に限定されないが、例えば前記製膜液をガラス、金
属、プラスチックなどの平滑な表面を有する平板状また
は管状の基材上に好ましくは略一定の厚さで流延し、次
いで加熱処理などにより溶媒を除去する方法が好適に用
いられる。一方、分離膜を非対称膜として製膜する場合
には、特に限定されないが、生産性やコスト面を考慮す
ると湿式相転換製膜法によることが好ましい。具体的に
は、製膜液をガラス、金属、プラスチックなどの平板や
管、または織布、不織布などの多孔質体である基材上に
好ましくは略一定の厚さで流延し、この基材とともに凝
固液に浸漬する方法、あるいは製膜液を同心円状の2重
構造のノズルから押し出し、凝固液に浸漬して非対称膜
を調製し、その後、膜を乾燥する方法により製膜するこ
とができる。
【0042】ここで、凝固液としては、製膜液中の含フ
ッ素ポリイミドおよびシリカは溶解しないが、製膜液中
の溶媒類と相溶性のある溶媒であれば、特に限定される
ことなく使用できる。具体的には、水もしくはエタノー
ル、メタノール、イソプロパノールなどのアルコールま
たはこれらの混合液を用いることができ、特に水が好適
に用いられる。
【0043】また、製膜液を基材上に流延する手段とし
ては、例えば、ドクターナイフ、ドクタープレート、ア
プリケーターなどを利用することができる。また、本発
明の分離膜の形状は、特に限定されないが、チューブ状
(中空糸状を含む)、平膜状が好ましい。
【0044】なお、本発明の分離膜を非対称膜とする場
合には、多孔質有機高分子系支持体、多孔質無機系支持
体、または高分子からなる非対称膜の表面に、製膜液を
流延し、その後溶媒を除去することにより得られる複合
膜としてもよい。
【0045】以上に説明した分離膜に、オレフィンを含
む炭化水素混合物を接触させ、この膜を通して、オレフ
ィンを選択的に透過させ分離することにより、オレフィ
ンに対して高い分離性と耐性を有するオレフィンの選択
的膜分離方法を実現できるが、取り扱う炭化水素の物性
や分離操作の圧力・分離操作によっては、浸透気化法に
よりオレフィンの選択的分離方法を実施してもよい。
【0046】本発明の分離膜は、緻密膜としても、分離
性能、コストの両面から実用的なオレフィンの選択的分
離を実施できる点にも特徴を有する。すなわち、緻密層
をもつ高分子膜を用いて特定の低分子を高度に分離する
ためには、特定の低分子についてのみ溶解性と拡散性が
大きいような材料を膜素材として用いることが効果的で
あるが、このような高分子緻密膜は、炭化水素の膜への
溶解により高分子膜が可塑化あるいは膨潤し、その結
果、特定の低分子を拡散性の相違により分離し得る高分
子マトリックス中のセグメント間隙の存在確率が減少
し、結果的に分離性能の低下を招く場合が少なくない。
本発明の分離膜によれば、緻密膜としても、炭化水素の
溶解による高分子鎖の高次構造の変化を抑制できるた
め、炭化水素を高度に分離することができる。
【0047】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。 (実施例)式(化12)で示される繰り返し単位を有す
る含フッ素ポリイミドを以下の方法で合成した。
【0048】
【化12】
【0049】5,5′−2,2′−トリフルオロ−1−
(トリフルオロメチル)エチリデン−ビス−1,3−イ
ソベンゾフランジオン(6FDA)0.1molと2,
2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパ
ン(BAAF)0.1molをN−メチル−2−ピロリ
ドン(NMP)溶液中で4時間反応させポリアミック酸
を得た。この後、ピリジン0.3molと無水酢酸0.
3molを加え、15時間イミド化反応を行った。反応
後、更にNMPを加えて8重量%に希釈し、過剰量の水
中に上記NMP溶液を滴下した後に精製し、式(化1
2)で表される繰り返し単位を構造単位とする含フッ素
ポリイミドを得た。得られた含フッ素ポリイミドの物性
値は、ガラス転移温度が301℃で、重量平均分子量は
159,000であった。
【0050】この含フッ素ポリイミド8.00gにジエ
チレングリコールジメチルエーテル46.3gを加え、
室温下で24時間撹拌し溶解した。次いでこの含フッ素
ポリイミド溶液に、メタノール0.410gとジフェニ
ルジメトキシシラン(信越シリコーン製、品番LS53
00)2.00gを添加し、室温下2時間撹拌し、ポリ
マー溶液を調製した。このポリマー溶液に1.75重量
%の塩酸水溶液0.310gとメタノール0.413g
から成る混合液を徐々に滴下し、室温にて3時間撹拌す
ることでジフェニルジメトキシシランの加水分解と縮合
反応を行い含フッ素ポリイミドとシリカを含む有機−無
機混合液を得た。次に、この有機−無機混合液を濾過
し、静置して十分に脱泡し、製膜液を調製した。この製
膜液をアプリケータを用いガラス板上に、幅20cm、
厚さ250μmで流延し、110℃で1時間、130℃
で3時間、さらに真空下200℃にて24時間乾燥を行
い、完全に溶媒を除去することによりシリカが18重量
%含有した含フッ素ポリイミドとシリカを主成分とする
厚さ14〜30μmの緻密膜を得た。
【0051】この緻密膜について、FE−SEM(Hi
tachi、S−4000)を用いて加速電圧3.15
kVで断面観察を行った結果を図1に示す。また、この
緻密膜について、XMA(Kevex製デルタIV)を
用いて膜厚方向に沿ってSi元素のライン分析を行った
結果を図2に示す。図1、図2からわかるようにこの緻
密膜はシリカが巨大な凝集粒子を形成することなく幅広
く存在するものであった。
【0052】次に、この膜について、温度25℃、供給
圧力2atmにて、1,3−ブタジエン50vol%、
n−ブタン50vol%混合ガスの分離性能を評価した
結果を表1に示す。
【0053】(比較例1)1,2,3,4−ブタンテト
ラカルボン酸二無水物と4,4′−オキシジアニリンか
ら合成したポリイミド(略称BTC−4,4′−OD
A)16重量部に有機溶媒としてN−メチル−2−ピロ
リドンを84重量部を加え、100℃で12時間撹拌し
溶解した。その後、濾過し、静置して十分に脱泡し、製
膜液を調製した。得られた製膜液をアプリケータを用い
てガラス板上に、幅20cm、厚さ200μmで流延
し、110℃で1時間、130℃で3時間、さらに真空
下200℃にて24時間加熱処理を施し、厚さ27〜3
0μmの脂肪族ポリイミドよりなる緻密膜を得た。次に
この膜について、実施例1と同様にして混合ガスの分離
性能を評価した結果を表1に示す。
【0054】(比較例2)ポリスルホン(Udel Polysul
fon,P−3500)16重量部に有機溶媒としてN−
メチル−2−ピロリドンを84重量部を加え、100℃
で12時間撹拌し溶解した。その後、濾過し、静置して
十分に脱泡し、製膜液を調製した。得られた製膜液をア
プリケータを用いてガラス板上に、幅20cm、厚さ2
00μmで流延し、110℃で1時間、130℃で3時
間、さらに真空下150℃で72時間加熱処理を施し、
厚さ27〜30μmのポリスルホンよりなる緻密膜を得
た。次にこの膜について、実施例1と同様にして混合ガ
スの分離性能を評価した結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】表1において、PC4H6は上記条件における
上記混合ガス所定時間膜透過後の1,3−ブタジエンの
透過係数[cm3(STP)cm/cm2s cmHg]であり、PC4H6/P
C4H1 0は同じく上記条件における上記混合ガス所定時間
膜透過後の1,3−ブタジエンとn−ブタンの分離係数
比である。
【0057】表1から明らかな通り、実施例による分離
膜はオレフィンに対する高い分離性能を経時的に維持す
ることが確認できた。このように、本実施例による分離
膜によれば、性能面、コスト面においても実用的に満足
し得るオレフィンを含む炭化水素混合物からのオレフィ
ンの分離方法を実施することができる。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
含フッ素ポリイミドとシリカを主成分とする、オレフィ
ンに対して高い分離性能と耐性を有する分離膜を提供す
ることができ、また、この分離膜を用いることにより、
性能、コストにおいても実用的に満足できるオレフィン
の分離方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の分離膜の例の断面の走査型電子顕微
鏡写真(倍率5000倍)である。
【図2】 本発明の分離膜の例について、XMA(X線
マイクロアナライザー)により断面方向にSi元素ライ
ン分析を実施した結果を示す図である(写真は倍率20
00倍)。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 11/02 C07C 11/02 (72)発明者 池田 健一 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含フッ素ポリイミドおよびシリカを主成
    分とする分離膜。
  2. 【請求項2】 シリカを3〜40重量%含む請求項1に
    記載の分離膜。
  3. 【請求項3】 含フッ素ポリイミド、ケイ酸エステルお
    よび極性溶媒を含む溶液を基材上に流延し、前記極性溶
    媒を除去することにより製造し得る請求項1または2に
    記載の分離膜。
  4. 【請求項4】 前記ケイ酸エステルが、フェニル基を有
    する請求項3に記載の分離膜。
  5. 【請求項5】 前記含フッ素ポリイミドが、最小繰り返
    し単位内に、少なくとも1つのトリフルオロメチル基を
    有する請求項1〜4のいずれかに記載の分離膜。
  6. 【請求項6】 前記分離膜が、緻密膜および非対称膜か
    ら選ばれる少なくとも一つの膜である請求項1〜5のい
    ずれかに記載の分離膜。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の分離膜
    の一方の面にオレフィンを含む炭化水素混合物を接触さ
    せ、前記オレフィンを選択的に透過させることを特徴と
    するオレフィンの分離方法。
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