JPH11189847A - コンクリート補強用ステンレス鋼ファイバーおよびその製造方法 - Google Patents

コンクリート補強用ステンレス鋼ファイバーおよびその製造方法

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JPH11189847A JP35643597A JP35643597A JPH11189847A JP H11189847 A JPH11189847 A JP H11189847A JP 35643597 A JP35643597 A JP 35643597A JP 35643597 A JP35643597 A JP 35643597A JP H11189847 A JPH11189847 A JP H11189847A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コンクリート中に埋設使用されたあとに発錆し
たり、表面に錆汁などを発生することのない、コンクリ
ート補強用ステンレス鋼ファイバーを提案すること。 【解決手段】C:0.2 wt%以下、Si:1.5 wt%以下、M
n:1.0 wt%以下、Ni:2.0 超〜5.0wt%、Cr:17.0〜2
0.0wt%、N :0.01〜0.30wt%、残部Feおよび不可避的
不純物からなる、メルトエクストラクション法に基づい
て製造されるステンレス鋼ファイバーであって、実質的
に酸化膜をもたない酸洗表面を有することを特徴とする
コンクリート補強用ステンレス鋼ファイバーおよび、高
温急冷によるファイバーの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、コンクリート補
強に用いる高強度のステンレス鋼ファイバーに関し、特
にメルトエクストラクション法(以下、「ME法」とい
う)にて製造した耐食性に優れたステンレス鋼ファイバ
ーとそれの製造方法を提案する。
【0002】
【従来の技術】一般にコンクリートは、耐久性や圧縮強
度、剛性等に優れるが、反面、引張強度や衝撃強度が低
く、エネルギ−吸収能も小さいために物性的には“もろ
い”という欠点を持っている。この欠点を補うコンクリ
ートとして、従来、ファイバーを混合して補強したファ
イバー補強コンクリート(以下、「FCR」という)が
ある。このFCR用ファイバーとしては、鋼ファイバ
ー、ガラスファイバーのほかに、最近では炭素ファイバ
ーや高分子系ファイバーなどが用いられている。なかで
も鋼ファイバーは、比較的低価格でかつ優れたコンクリ
ート補強性能を持つことから、古くから使用されてい
る。
【0003】そのコンクリート補強用の鋼ファイバーの
製造方法としては、薄板剪断法、鋼線切断法、鋼材切断
法、鋼材切削法等が既知であり、これらの方法を用いて
普通鋼ファイバーやステンレス鋼ファイバーが製造され
てきた。しかし、普通鋼ファイバーは錆がでやすく、発
錆によるコンクリートの変色をきたし美観を損ねるとい
う難点と、鋼ファイバーの腐食で耐久性が劣化するとい
う難点があった。そこでこのような難点のないステンレ
ス鋼ファイバーが注目され、たとえばAISI-430、-431、
CB-30 等に規定された鋼種のステンレス鋼のファイバー
が用いられている。
【0004】しかし、ステンレス鋼の板材や線材等を切
断したりして製造するステンレス鋼ファイバーは、その
形状の自由度が低く、ドッグボーン状(骨のように両端
が膨らんだ形状)などの複雑な形状のものは製造できな
かった。これに対し最近では、外周面に多数の突起を設
けた円柱状ドラムを回転させつつ、その突起端を溶融金
属に接触させて掬い上げることにより、突起端縁上にフ
ァイバー状の凝固金属を生成させて金属ファイバーとす
る上記ME法が開発されている。
【0005】ただし、このME法で製造されたステンレ
ス鋼ファイバーの場合、コンクリ−ト補強用としては十
分な強度が得られないという欠点があった。そこで出願
人は先に、ステンレス鋼の成分組成を工夫して強度を上
げる方法を提案した。 (特許第2506517 号参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ステン
レス鋼ファイバーをME法で製造する場合、高温で長時
間大気にさらすことになるため、表面に厚い酸化スケー
ルが不可避に生成する。ところで、こうした酸化スケー
ル付着ファイバーを、外観を重視するような用途で使う
ときには、該酸化スケールに起因する錆汁が発生するこ
とによって、美観を損ねるという問題点があった。こう
した理由により、コンクリート補強用材料として、酸化
スケールのないステンレス鋼ファイバーへの要望はあっ
たが、とくにME法では非酸化性の制御雰囲気での製造
が不可欠となるが、そのためには大規模な設備を必要と
し、現実的ではないという問題点があった。
【0007】本発明の目的は、従来技術が抱えている上
述した問題点を解決することにあり、コンクリート中に
埋設使用されたあとに発錆したり、コンクリート表面に
錆汁などを発生することのない、コンクリート補強用ス
テンレス鋼ファイバーおよびその製造方法を提案するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上掲の目的を実現する手
段について鋭意研究した結果、耐食性や強度については
ステンレス鋼の成分組成を工夫することにより、またコ
スト的にはME法の適用により、そして発錆防止につい
ては高温冷却過程を短時間の急冷処理で対処し、常温に
達したら酸洗して酸化スケールを剥離すること、が有効
であるとの結論に達した。
【0009】すなわち、本発明は、C:0.2 wt%以下、
Si:1.5 wt%以下、Mn:1.0 wt%以下、Ni:2.0 超〜5.
0 wt%、Cr:17.0〜20.0wt%、N :0.01〜0.30wt%、残
部Feおよび不可避的不純物からなる、メルトエクストラ
クション法に基づいて製造されるステンレス鋼ファイバ
ーであって、実質的に酸化膜をもたない酸洗表面を有す
ることを特徴とする。
【0010】上記のステンレス鋼ファイバーは次のよう
な方法, 即ち、C:0.2 wt%以下、Si:1.5 wt%以下、
Mn:1.0 wt%以下、Ni:2.0 超〜5.0 wt%、Cr:17.0〜
20.0wt%、N :0.01〜0.30wt%、残部Feおよび不可避的
不純物からなる、メルトエクストラクション法に基づい
て製造されたステンレス鋼ファイバーを、凝固後の冷却
過程において、700 ℃まで冷却される温度域での保持時
間を1時間以内とする冷却を行い、そして室温近傍まで
冷却した後は酸洗することによって製造することができ
る。また、本発明においては、上記保持時間の調整は、
溶湯から掬いだしたステンレス鋼ファイバーを、移動冷
却体上に受けることにより行うようにすることが好まし
い。さらに、本発明においては、上記移動冷却体の速度
を、保持時間に合わせて調整することにより、とくに10
00〜700 ℃の温度域を1時間以内で通過させることが好
ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の特徴は、上記ME法によ
り、耐食性に優れたコンクリ−ト補強用ステンレス鋼フ
ァイバーを安価に製造するようにしたことにある。本発
明の他の特徴は、マルテンサイトを含むフェライト組
織、あるいはマルテンサイトを含むフェライト- オース
テナイト組織になる成分組成とし、このことにより、溶
融状態から空気中で冷却するME法の適用に必要な、あ
る程度の高温耐酸化性を確保できるとともに、高強度で
(コンクリート混練時に折れ曲りや変形させることがな
くて均一に分散させることができる)、高延性、高靱性
を有する(コンクリート混練時に破断せず、かつFRC
に衝撃力が加わった時にもこれを十分吸収できる)コン
クリート補強用として好適なステンレス鋼ファイバーを
得ることにある。本発明のさらに他の特徴は、溶融状態
から凝固した直後の高温状態 (≧700 ℃) の鋼ファイバ
ーを速やかに冷却することで、酸化被膜の生成を抑制す
ると共に、常温近傍に到達したときに酸洗を施して、実
質的に酸化膜のない耐食酸洗面を形成することにある。
このことによって、本発明のステンレス鋼ファイバー
は、コンクリートに埋設したときに錆汁を発生するよう
なことがなくなる。なお、低価格のコンクリート補強用
ステンレス鋼ファイバーを得るためには、ステンレス鋼
の材質そのものが安価であることが必要である。そのた
め、本発明で用いるステンレス鋼としては、クロム系ス
テンレス鋼または低ニッケル含有ステンレス鋼を用いる
ことが好ましい。
【0012】ME法でステンレス鋼ファイバーを製造す
るに当たっては、次のような条件が要求される。 溶鋼の表面に多量のスラグが発生しないこと 溶鋼表面に多量のスラグが発生すると、回転ドラム面の
突起と溶融金属との接触が妨げられて、ファイバーの生
産性が低下するためである。 溶鋼の流動性が適度であること 溶鋼の流動性が大きい場合、回転ドラムの突起に溶鋼が
掬い上げられ難く、形状が不均−になる上に生産性も低
下する。一方、流動性が小さすぎると、溶鋼が一度に掬
い上げられやすく、形状が不均−な固まりとなりやす
い。そこで、寸法精度、形状などが良好なファイバーを
形成するために適切な溶鋼の流動性が要求される。
【0013】また、製造されたステンレス鋼ファイバー
については、次のような特性が要求される。 大気中で生産可能な耐酸化性に優れた組成であるこ
と、 ME法というのは、製造時にフアイバーを高温で大気に
さらすことになるため、ファイバーの表面が酸化されや
すい。この点、もし素材自身が十分な耐酸化性を有して
いないと、ME法により大気中を高温で飛行している間
にファイバーが焼失してしまう場合がある。そのため、
ME法による製造される材料は十分な耐酸化性を有する
ことが必要とされる。また、製造されたステンレス鋼フ
ァイバーをコンクリート補強に用いるには、高強度であ
ると共に高延性、高靭性を有することが要求される。 コンクリート埋設時に発錆したり、錆汁を出さない
こと、 コンクリート打放しの屋内外壁など、特に外観を重視す
るような用途では、ファイバー素材の耐食性が十分であ
っても、ファイバー自体に生成している酸化皮膜が溶出
して錆汁を発生し、美観を損ねる場合がある。そこで、
このような錆が出ないファイバーの要求がある。
【0014】本発明者らは、このような実情に鑑み、そ
の要求に応え得るコンクリート補強用ステンレス鋼ファ
イバーを提供すべく研究を重ねた結果、Cが0.03〜0.2
wt%、Siが1.5 wt%以下、Mnが1.0 wt%以下、Niが2.0
超〜5.0 wt%、Crが17.0〜20.0wt%、N が0.01〜0.30wt
%を含有し、残部がFeと不可避的不純物からなる成分組
成のものがもっとも好適であり、さらにME法による製
造後の高温冷却過程を制御しやすく、冷却後は硝弗酸な
どの酸による酸洗によって酸化スケールを完全に除去で
きるようなファイバーの構成が有効であるとの結論を得
た。
【0015】本発明にかかるステンレス鋼の各成分の臨
界的意義は次の通りである。 C量:0.2 wt%以下 Cは、安価で高強度の材質を得るのに有効な元素であ
り、少なくとも0.03wt%程度は含有することが望まれ
る。しかし、炭素量の増加と共にファイバー表面の酸化
が激しくなり、多量に添加するとステンレスファイバー
の製造が不能となることが判明した。そこで含有量の上
限を0.2 wt%とした。
【0016】Si量:1.5 wt%以下 Siは、溶鋼の流動性を調整する元素として、また脱酸剤
として必要であるが、フェライト生成元素であり、これ
を多量に添加するとバランスの上からNi、C、Nなどのオ
ーステナイト安定化元素を増加させることが必要となる
ため、含有量の上限を1.5 wt%とした。
【0017】Ni量:2.0 超〜5.0 wt% Niは、オ−ステナイト安定化元素であり、2wt%超の添
加で多量のマルテンサイトが生成することがわかった。
とくに、このNiの増加と共に強度、延性、靭性が向上す
るが、耐酸化性は劣化し、ファイバー表面のスケールが
増大する。従って、Ni含有量の上限を5.0 wt%とした。
【0018】Cr量:17.0〜20.0wt% Crは、ステンレス鋼としての耐食性、耐酸化性を確保す
るために重要な役割を担う元素である。本発明において
は、Niを2.0 超〜5.0 wt%含有するので、耐酸化性を確
保するためにはこのCrを最低17.0wt%添加することが必
要である。一方、Cr含有量が20.0wt%を超えると、オー
ステナイト安定化元素との兼ね合いから金属組織上高強
度化が困難となる。
【0019】N:0.01〜0.30wt% Nは、Cと同様に強力なオーステナイト安定化元素であ
り、高強度ファイバーを得るために必要な元素である。
とくに本発明のように、高Cr、低C、低Niの成分組成を
有するものでは、高強度ファイバーを得るために最低0.
01wt%のNを添加する必要がある。一方、0.30wt%を超
えて添加するとファイバー中にブローホール状の欠陥が
生じるため、含有量の上限を0.30wt%wt%とした。
【0020】上述した各成分量の限定は、高強度、高延
性、高靱性のステンレス鋼ファイバーを得るために、オ
ーステナイト相とフェライト相との生成、およびファイ
バー製造中にマルテンサイトを生成させるべくオーステ
ナイト安定度を考慮して決定されたものである。また、
溶鋼を大気中で凝固させて金属ファイバーを製造するM
E法に適用すべく、ファイバー表面のスケール発生量を
制限する必要から、C、Mn、Niなどの酸化促進元素と、
Cr、Siなど酸化抑制元素とのバランスを考慮して決定さ
れたものである。
【0021】次に、本発明にかかる製造方法について説
明する。この方法の特徴は、上述したように、高温の冷
却過程を速やかに通過冷却することと、常温到達時に酸
洗を施すことにある。まず、大気中で冷却凝固した鋼フ
ァイバーを冷却するに当たっては、高温域における冷却
速度を以下のような条件で行うことにある。即ち、本発
明の冷却条件は、凝固後、例えば1050〜700 ℃の温度域
での保持時間を1時間以内、好ましくは30分以内とす
る。
【0022】実際に本発明者らが研究したところによれ
ば、種々の鋼ファイバーについて酸洗を行ったところ、
スケール剥離の難易が同一ロット内でも大きくばらつい
ており、酸洗条件を決定することが難しいことがわかっ
た。そこで種々の冷却条件で鋼ファイバーを製造し、酸
洗試験を行ったところ、1000〜700℃の温度域に1時間
以上保持した試料については酸洗によるスケールの剥離
が極めて悪いことが判明した。その原因についての詳細
はわかっていないが、高温域で生成した酸化スケール
が、上記温度に長時間保持されることによりステンレス
鋼母材と反応し、緻密な酸化相がスケールと母材との界
面に生成するためと考えている。このことは、1000℃以
上の温度域、または 700℃以下の温度域に1時間以上保
持した鋼ファイバーの酸洗性には影響が少なかったこと
からも裏付けられた。このような理由で、本発明では、
700℃以上の温度域、より好ましくは1000〜700 ℃の温
度域でのステンレス鋼ファイバーの保持時間を1時間以
内とすることにした。
【0023】上記冷却条件を満たすために、本発明で
は、溶湯から掬い出した凝固鋼ファイバーを、とりあえ
ず冷却面が更新移動する、例えば金属ベルト上に受け止
め、このベルトの移動速度を調節して冷却制御を行うよ
うにする。このように冷却体が移動すると、従来のよう
に単に受皿に収容するときのように山形に堆積して保温
状態が長く続くようなことがなくなる。その結果、高温
域を速やかに冷却して酸化皮膜が急速に成長するのを阻
止することができるようになる。
【0024】次に、本発明では、上記鋼ファイバーを室
温まで冷却し、この温度域において硝弗酸などのの酸を
用いて酸洗する。例えば、10%硝弗酸などが好適に用い
られる。
【0025】なお、この発明のステンレス鋼ファイバー
は、コンクリート以外にセメントを使用したモルタル
や、ポリマーを使用したポリマーコンクリートなどの補
強用としても、まったく同様に適用することが可能であ
る。また、本発明は、上記の説明に記載された内容だけ
に限らず、他の技術への適用も可能である。
【0026】
【実施例】以下、この発明の実施例を比較例と対比して
説明する。表1に、この発明によるステンレス鋼ファイ
バーの実施例1〜11と、比較例12〜19との化学成分を示
す。各ステンレス鋼ファイバー 1〜19は、径0.4 m 、長
さ30mm程度のものをME法により製造した。すなわち、
各実施例および比較例毎に、プロパンガスでシールした
溶鋼の表面から水冷ドラムを用いてME法によりステン
レス鋼ファイバーを製造した。凝固してドラムから分離
した後のファイバーは、大気中で冷却されて鋼製ベルト
または鉄板上に落下させて冷却した。この間、各ファイ
バーの表面は、本発明実施例と比較例とでは差はある
が、それぞれ酸化を受けており、組織的には程度の差は
あるものの、いずれもマルテンサイト変態が起こってい
た。ただし、本発明法に従うものでは、鋼製ベルトを移
動させながら鋼ファイバーを受けることで、この鋼ファ
イバーが多量に積み重なるようなことがなく、しかも10
00〜700 ℃温度域保持時間は1時間以内となるように制
御したものである。一方、比較例のものは、鉄板を移動
させずにファイバーを受け続け、ファイバーが山形に積
み重なることで1000〜700℃の保持時間が約1.5 時間以
上となったものである。
【0027】a.得られた各ステンレス鋼ファイバー表
面の酸化状況の評価を目視検査した。そして、酸化が少
なくコンクリート補強用として使用可能なものを○、酸
化スケールが多くて使用不可のものを×で示した。ま
た、ステンレス鋼ファイバーの引張強さは、ファイバー
引張り試験装置を用いて求めた。その試験の条件は、チ
ャック間10mmでクロスヘッド速度0.3 mm/min とし、試
験片の長さを30mmとしてその重量を測定すると共に、比
重を7.8 一定として断面積を求めて算出した。 b.さらに、ステンレス鋼ファイバーの曲げ試験は、先
端R0.5 、刃先角度60°の2個のバイトで挟んで実っ直
ぐに保持した試験片を、一回目は左に、二回目は右に、
三回目は左にと、交互に折曲して破断にいたった曲げ回
数をもとめて、10本の試験片の平均値で評価した。 c.なお、FRC製造時のファイバー破断、折れ曲がり
試験は、FRCを製造した後、未硬化状態でそのコンク
リートを水洗してステンレスファイバーを回収し、各フ
ァイバーの破断、折れ曲がり状態を観察して以下のよう
に表記した。 ○:破断なし、折れ曲がり10%以下 ×:不良(破断) ●:不良(折れ曲がり) なお、このステンレス鋼ファイバーの曲げ強度は、ステ
ンレス鋼を含有しないプレーンコンクリートと、ステン
レスファイバーを1vol%混入したFRCとの曲げ強度を
それぞれに測定し、プレーンコンクリートに対する当該
FRCの強度比を求めて評価したものである。
【0028】各項目ごとの評価結果によれば、Crの含有
量を17wt%以上とした本発明例のステンレス鋼ファイバ
ーでは酸化スケールは少なく、ファイバー形状も正常で
あったが、Cr含有量が17wt%以下で高C、高Niとした比
較例のものは酸化が激しく、一部のファイバーはカール
した形状であった。また、ファイバー単体の引張強さに
ついては、全般的に大きな値を示しており、本発明例の
ファイバーも最低でも99kgf/mm2 あり、とくに問題はな
いレベルであった。曲げ試験結果については、比較例1
3, 14, 15の試料で1回で破断している。一般に、この
曲げ試験で、一回程度の曲げで破断するファイバーはF
RC製造中のコンクリートとの混練で破断してしまうこ
とから、コンクリート補強性能が小さい。この意味で
は、表1の比較例13、14、15に示したような組成のファ
イバーでは、混練後のコンクリート強度はあまり期待で
きない。つまり、コンクリート補強用ステンレス鋼ファ
イバーとしては、FRC製造中に破断しない程度の延性
が必要である。逆に、延性が十分あっても(曲げ回数が
多い)、引張り強度が低いとFRC製造中にファイバー
が折れ曲がり、均一にコンクリート内に分散しにくくな
って、やはり実用上の補強効果が少なくなることが比較
例12の試験結果に現れている。
【0029】次に、各試料の耐食性について試験した。
この試験は、 酸化皮膜のついた状態のファイバーについて、酸洗
後の孔食電位を測定したもの (ただし、この測定はJIS
に基づき3.5 %NaCl溶液を用いて40℃で行った) であ
る。 それぞれのファイバーをシャーレー中の酸性a (pH
=4 、Cl=200pppm )、アルカリ性b (pH=8.0 、Cl-
=200ppm)の溶液中に浸漬し、14日放置して発錆の有無
を観察したもので、発錆のなかったもの (○) 、材料表
面に発錆が認められたが錆汁とはならなかったもの
(△) 、錆汁の発生したもの (×) として、目視評価し
た。 ファイバーを混入したコンクリート試験片を用意
し、14日間浸漬放置して発錆の有無を観察したもの、 の3通りで行った。その結果を表1に示すが、比較例1
3, 14, 15は曲げ特性が劣り、比較例16, 17, 18, 19
は、曲げ性は良好であるものの、抽出まま酸洗材である
にもかかわらず、発錆試験で発錆してしまい、SFRC
用ファイバーとして不適であることがわかった。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかるコ
ンクリート補強用ステンレス鋼ファイバーは、ファイバ
ー製造時の耐酸化性が十分にあり、またコンクリートと
の混練時に破断、変形することなく均−に分散し、かつ
コンクリートの曲げ強度を75〜125%も向上させること
ができる。しかも、錆びてコンクリートの美観を損なっ
たり耐久性を劣化させるおそれが全くない。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.2 wt%以下、Si:1.5 wt%以下、
    Mn:1.0 wt%以下、Ni:2.0 超〜5.0 wt%、Cr:17.0〜
    20.0wt%、N :0.01〜0.30wt%、残部Feおよび不可避的
    不純物からなる、メルトエクストラクション法に基づい
    て製造されるステンレス鋼ファイバーであって、実質的
    に酸化膜をもたない酸洗表面を有することを特徴とする
    コンクリート補強用ステンレス鋼ファイバー。
  2. 【請求項2】 C:0.2 wt%以下、Si:1.5 wt%以下、
    Mn:1.0 wt%以下、Ni:2.0 超〜5.0 wt%、Cr:17.0〜
    20.0wt%、N :0.01〜0.30wt%、残部Feおよび不可避的
    不純物からなる、メルトエクストラクション法に基づい
    て製造されたステンレス鋼ファイバーを、凝固後の冷却
    過程において、700 ℃まで冷却される温度域での保持時
    間を1時間以内とする冷却を行い、そして室温近傍まで
    冷却した後は酸洗することを特徴とするステンレス鋼フ
    ァイバーの製造方法。
  3. 【請求項3】 上記保持時間の調整を、溶湯から掬いだ
    したステンレス鋼ファイバーを移動冷却体上に受けるこ
    とにより行うようにしたことを特徴とする請求項2に記
    載の製造方法。
  4. 【請求項4】 移動冷却体の速度を保持時間に合わせて
    調節することを特徴とする請求項2または3に記載の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106636706A (zh) * 2016-12-26 2017-05-10 宁夏大学 一种用于3D打印的TiAl合金丝及其制备方法
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