JPH11189839A - 高い動的変形抵抗を有する高強度鋼板とその製造方法 - Google Patents

高い動的変形抵抗を有する高強度鋼板とその製造方法

Info

Publication number
JPH11189839A
JPH11189839A JP9360127A JP36012797A JPH11189839A JP H11189839 A JPH11189839 A JP H11189839A JP 9360127 A JP9360127 A JP 9360127A JP 36012797 A JP36012797 A JP 36012797A JP H11189839 A JPH11189839 A JP H11189839A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
steel sheet
strain
temperature
deformation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP9360127A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3619357B2 (ja
Inventor
Osamu Kono
治 河野
Manabu Takahashi
学 高橋
Akihiro Uenishi
朗弘 上西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP36012797A priority Critical patent/JP3619357B2/ja
Publication of JPH11189839A publication Critical patent/JPH11189839A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3619357B2 publication Critical patent/JP3619357B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、フロントサイドメンバー等の衝突
時に高い衝撃エネルギー吸収能を示す高強度鋼板とその
製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 最終的に得られる鋼板のミクロ組織がフ
ェライト、ベイナイトを含み、このいずれかを主相と
し、体積分率で3〜50%の残留オーステナイトを含む
第3相との複合組織であり、かつ相当歪みで0%超10
%以下の予変形を与えた後、5×102 〜5×10
3 (1/s)の歪み速度範囲で変形した時の3〜10%
の相当歪み範囲における変形応力の平均値σdyn(MP
a)が予変形を与える前の5×10-4〜5×10-3(1/
s)の歪み速度範囲で測定された静的な引張り試験にお
ける最大応力TS(MPa)によって表現される式σdyn
≧0.766×TS+250を満足し、かつ歪み1〜5
%の加工硬化指数が0.080以上を満足する高い動的
変形抵抗を有する高強度鋼板である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車部材等に使
用され、衝突時の衝撃エネルギーを効率よく吸収するこ
とによって乗員の安全性確保に寄与することのできる高
い動的変形抵抗を有する高強度熱延鋼板および高強度冷
延鋼板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車衝突時の乗員保護が自動車
の最重要性能として認識され、それに対するための高い
高速変形抵抗を示す材料への期待が高まっている。例え
ば、乗用車の前面衝突においては、フロントサイドメン
バーと呼ばれる部材にこのような材料を適用すれば、前
述の部材が圧潰することで衝撃のエネルギーが吸収さ
れ、乗員にかかる衝撃を緩和することができる。
【0003】自動車の衝突時に各部位が受ける変形の歪
み速度は103 (1/s)程度まで達するため、材料の
衝撃吸収性能を考える場合には、このような高歪み速度
領域での動的変形特性の解明が必要である。また、同時
に省エネルギー、CO2 排出削減を目指して自動車車体
の軽量化を同時に達成することが必須と考えられ、この
ために有効な高強度鋼板のニーズが高まっている。
【0004】例えば、本発明者らは、CAMP−ISI
J Vol.9(1996)pp.1112〜1115
に、高強度薄鋼板の高速変形特性と衝撃エネルギー吸収
能について報告し、その中で、103 (1/s)程度の
高歪み速度領域での動的強度は、10-3(1/s)の低
歪み速度での静的強度と比較して大きく上昇すること、
材料の強化機構によって変形抵抗の歪み速度依存性が変
化すること、この中で、TRIP(変態誘起塑性)型の
鋼やDP(フェライト/マルテンサイト2相)型の鋼が
他の高強度鋼板に比べて優れた成形性と衝撃吸収能を兼
ね備えていることを報告している。
【0005】また、残留オーステナイトを含む耐衝撃特
性に優れた高強度鋼板とその製造方法を提供するものと
して特開平7−18372号公報には、衝撃吸収能を変
形速度の上昇に伴う降伏応力の上昇のみで解決すること
を開示しているが、衝撃吸収能を向上させるために、残
留オーステナイトの量以外に残留オーステナイトの性質
をどのように制御すべきかは明確にされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、自動車衝
突時の衝撃エネルギーの吸収に及ぼす部材構成材料の動
的変形特性はすこしづつ解明されつつあるものの、衝撃
エネルギー吸収能に優れた自動車部品用鋼材としてどの
ような特性に注目し、どのような基準に従って材料選定
を行うべきかは未だ明らかにされていない。また、自動
車用部品用鋼材はプレス成形によって要求された部品形
状に成形され、その後、一般的には塗装焼き付けされた
後に自動車に組み込まれ、実際の衝突現象に直面する。
しかしながら、このような予変形+焼き付け処理を行っ
た後の鋼材の衝突時の衝撃エネルギー吸収能の向上にど
のような鋼材強化機構が適しているかも未だ明らかには
されていない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、フロントサイ
ドメンバー等の衝突時の衝撃エネルギー吸収を担う部品
に成形加工されて使用される鋼材で、高い衝撃エネルギ
ー吸収能を示す高強度鋼板とその製造方法を提供するこ
とを目的としている。先ず、本発明による高い衝撃エネ
ルギー吸収能を示す高強度鋼板は、 (1)最終的に得られる鋼板のミクロ組織がフェライト
および/またはベイナイトを含み、このいずれかを主相
とし、体積分率で3〜50%の残留オーステナイトを含
む第3相との複合組織であり、かつ相当歪みで0%超1
0%以下の予変形を与えた後、5×102 〜5×103
(1/s)の歪み速度範囲で変形した時の3〜10%の
相当歪み範囲における変形応力の平均値σdyn(MPa)
が予変形を与える前の5×10-4〜5×10-3(1/
s)の歪み速度範囲で測定された静的な引張り試験にお
ける最大応力TS(MPa)によって表現される式σdyn
≧0.766×TS+250を満足し、かつ歪み1〜5
%の加工硬化指数が0.080以上を満足する高い動的
変形抵抗を有する高強度鋼板であり、 (2)上記(1)において、更に降伏強さ×歪み1〜5
%の加工硬化指数の値が40以上を満足する高い動的変
形抵抗を有する高強度鋼板である。
【0008】(3)また、最終的に得られる鋼板のミク
ロ組織がフェライトおよび/またはベイナイトを含み、
このいずれかを主相とし、体積分率で3〜50%の残留
オーステナイトを含む第3相との複合組織であり、かつ
相当歪みで0%超10%以下の予変形を与えた後、5×
102 〜5×103 (1/s)の歪み速度範囲で変形し
た時の3〜10%の相当歪み範囲における変形応力の平
均値σdyn(MPa)が予変形を与える前の5×10-4
5×10-3(1/s)の歪み速度範囲で測定された静的
な引張り試験における最大応力TS(MPa)によって表現
される式σdyn≧0.766×TS+250を満足
し、かつ、前記残留オーステナイト中の固溶〔C〕と鋼
材の平均Mn等量{Mn eq=Mn+(Ni+Cr+
Cu+Mo)/2}によって決まる値(M)が、M=6
78−428×〔C〕−33Mneqが70以上250
以下であり、更に予変形を与える前の残留オーステナイ
ト体積分率と相当歪みで5%の予変形を与えた後の残留
オーステナイト体積分率の差が予変形を与える前の残留
オーステナイト体積分率の30%以上であること、歪み
1〜5%の加工硬化指数が0.080以上であること、
前記残留オーステナイトの平均結晶粒径が5μm以下で
あること、前記残留オーステナイトの平均結晶粒径と、
主相であるフェライトもしくはベイナイトの平均結晶粒
径の比が、0.6以下で、主相の平均粒径が10μm以
下、好ましくは6μm以下であること、マルテンサイト
の体積分率が3〜30%、前記マルテンサイトの平均結
晶粒径が10μm以下、好ましくは5μm以下であるこ
と、フェライトの体積分率が40%以上であること、降
伏比が85%以下、引張強さ×全伸びの値が20,00
0以上であること、の何れかを満足する高い動的変形抵
抗を有する高強度鋼板である。
【0009】(4)また、本発明の高強度鋼板は、重量
%で、C:0.03%以上0.3%以下、SiとAlの
一方または双方を合計で0.5%以上3.0%以下、必
要に応じてMn,Ni,Cr,Cu,Moの1種または
2種以上を合計で0.5%以上3.5%以下含み、残部
がFeを主成分とする高強度鋼板であるか、この高強度
鋼板に更に必要に応じて、Nb,Ti,V,P,B,C
a,REMの1種または2種以上を、Nb,Ti,Vに
おいては、それらの1種または2種以上を合計で0.3
%以下、Pにおいては0.3%以下、Bにおいては0.
01%以下、Caにおいては0.0005%以上0.0
1%以下、REM:0.005以上0.05%以下を含
有し、残部がFeを主成分とする高い動的変形抵抗を有
する高強度鋼板である。
【0010】(5)本発明における高い動的変形抵抗を
有する高強度熱延鋼板の製造方法としては、前記(4)
の成分組成を有する連続鋳造スラブを、鋳造ままで熱延
工程へ直送し、もしくは一旦冷却した後に再度加熱した
後、熱延し、Ar3 −50℃〜Ar3 +120℃の温度
の仕上げ温度で熱延を終了し、熱延に引き続く冷却過程
での平均冷却速度を5℃/秒以上で冷却後、500℃以
下の温度で巻き取ることを特徴とする熱延鋼板のミクロ
組織がフェライトおよび/またはベイナイトを含み、い
ずれかを主相とし、体積分率で3〜50%の残留オース
テナイトを含む第3相との複合組織であり、かつ相当歪
みで0%超10%以下の予変形を与えた後、5×102
〜5×103 (1/s)の歪み速度範囲で変形した時の
3〜10%の相当歪み範囲における変形応力の平均値σ
dyn(MPa)が予変形を与える前の5×10-4〜5×1
-3(1/s)の歪み速度範囲で測定された静的な引張
り試験における最大応力TS(MPa)によって表現される
式σdyn≧0.766×TS+250を満足し、かつ
歪み1〜5%の加工硬化指数が0.080以上を満足す
る高い動的変形抵抗を有する高強度熱延鋼板の製造方
法、である。
【0011】(6)前記(5)において、熱延の仕上げ
温度がAr3 −50℃〜Ar3 +120℃の温度範囲に
おいて、メタラジーパラメーター:Aが、(1)式およ
び(2)式を満たすような熱間圧延を行い、その後、ラ
ンアウトテーブルにおける平均冷却速度を5℃/秒以上
とし、更に前記メタラジーパラメーター:Aと巻き取り
温度(CT)との関係が(3)式を満たすような条件で
巻き取る高い動的変形抵抗を有する高強度熱延鋼板の製
造方法、である。
【0012】 9≦logA≦18 ・・・・・・・ (1) ΔT≧21×logA−178 ・・ (2) CT≦6×logA+312 ・・・ (3) (7)更に、本発明における高い動的変形抵抗を有する
高強度冷延鋼板の製造方法としては、前記(4)の成分
組成を有する連続鋳造スラブを、鋳造ままで熱延工程へ
直送し、もしくは一旦冷却した後に再度加熱した後、熱
延し、熱延後巻き取った熱延鋼板を酸洗後冷延し、連続
焼鈍工程で焼鈍して最終的な製品とする際に、0.1×
(Ac3 −Ac1 )+Ac1 ℃以上Ac3 +50℃以下
の温度で10秒〜3分焼鈍した後に、1〜10℃/秒の
一次冷却速度で550〜700℃の範囲の一次冷却停止
温度まで冷却し、引き続いて10〜200℃/秒の二次
冷却速度で150〜450℃の二次冷却停止温度まで冷
却した後、150〜500℃の温度範囲で15秒〜20
分保持し、室温まで冷却すること、更に具体的な焼鈍後
の冷却条件が、0.1×(Ac3 −Ac1 )+Ac1
以上Ac3 +50℃以下の温度で10秒〜3分焼鈍した
後に、1〜10℃/秒の一次冷却速度で550〜720
℃の範囲の二次冷却開始温度Tqまで冷却し、引き続い
て10〜200℃/秒の二次冷却速度で、鋼材成分と焼
鈍温度Toで決まる温度:Tem−100℃以上、Te
m以下の二次冷却終了温度Teまで冷却した後、Te−
50℃以上500℃以下の温度Toaで15秒〜20分
保持し、室温まで冷却すること、を特徴とする最終的に
得られる冷延鋼板のミクロ組織がフェライトおよび/ま
たはベイナイトを含み、このいずれかを主相とし、体積
分率で3〜50%の残留オーステナイトを含む第3相と
の複合組織であり、かつ相当歪みで0%超10%以下の
予変形を与えた後、5×102 〜5×103 (1/s)
の歪み速度範囲で変形した時の3〜10%の相当歪み範
囲における変形応力の平均値σdyn(MPa)が予変形を
与える前の5×10-4〜5×10-3(1/s)の歪み速
度範囲で測定された静的な引張り試験における最大応力
TS(MPa)によって表現される式σdyn≧0.766
×TS+250を満足し、かつ歪み1〜5%の加工硬化
指数が0.080以上を満足する高い動的変形抵抗を有
する高強度冷延鋼板の製造方法、である。
【0013】
【発明の実施の形態】自動車等のフロントサイドメンバ
ー等の衝突時の衝撃吸収用部材は、鋼板に曲げ加工やプ
レス成形加工を施すことによって製造される。自動車の
衝突時の衝撃は、このようにして加工された後に一般的
には塗装焼き付けされた後に加えられる。従って、この
ように部材への加工、塗装焼き付け処理が行われた後に
高い衝撃エネルギーの吸収能を示す鋼板が必要となる。
【0014】本発明者らは、前記要求を満足する衝撃吸
収用部材としての高強度鋼板について長年の研究の結
果、このような成形加工された実部材において、鋼板に
適量の残留オーステナイトを含むことが優れた衝撃吸収
特性を示す高強度鋼板に適していることが判明した。す
なわち、最適なミクロ組織は、種々の置換型元素によっ
て容易に固溶強化されるフェライトおよび/またはベイ
ナイトを含み、このいずれかを主相とし、変形中に硬質
のマルテンサイトに変態する残留オーステナイトを体積
分率で3〜50%含む第3相との複合組織である場合に
高い動的変形抵抗を示すことを見いだし、また、初期ミ
クロ組織の第3相にマルテンサイトを含む複合組織であ
る場合にも、或る特定の条件が満足されると高い動的変
形抵抗を有する高強度鋼板が得られることを見いだし
た。
【0015】次に、本発明者らは、上記知見に基づき実
験・検討を進めた結果、フロントサイドメンバー等の衝
撃吸収用部材の成形加工に相当する予変形の量は、部位
によっては最大20%以上に達する場合もあるが、相当
歪みとして0%超10%以下の部位が大半であることも
見いだした。従って、この範囲の予変形の効果を把握す
ることで、部材全体としての予変形後の挙動を推定する
ことが可能であることを見いだした。従って、本発明に
おいては、部材への加工時に与えられる予変形量として
相当歪みにして0%超10%以下の変形を選択した。
【0016】図1は、本発明における衝突時の衝撃エネ
ルギー吸収能の指標である、5×102 〜5×10
3 (1/s)の歪み速度範囲で変形した時の3〜10%
の相当歪み範囲における変形応力の平均値σdynと静
的な素材強度(TS)(これは、5×10-4〜5×10
-3(1/s)の歪み速度範囲で測定された静的な引張り
試験における最大応力TS(MPa)をいう。)との関係を
示したものである。
【0017】フロントサイドメンバー等の衝撃吸収用部
材は、ハット型の断面形状を有しており、このような部
材の高速での衝突圧潰時の変形を本発明者らが解析した
結果、最大では40%以上の高い歪みまで変形が進んで
いるものの、吸収エネルギー全体の70%以上が、高速
の応力−歪み線図の10%以下の歪み範囲で吸収されて
いることを見いだした。従って、高速での衝突エネルギ
ーの吸収能の指標として、10%以下での高速変形時の
動的変形抵抗を採用した。特に、歪み量として3〜10
%の範囲が最も重要であることから、高速引張り変形5
×102 〜5×103 (1/s)の歪み速度範囲で変形
した時の相当歪みで3〜10%の範囲の平均応力σdy
nを以て衝撃エネルギー吸収能の指標とした。
【0018】この高速変形時の3〜10%の平均応力σ
dynは、予変形や焼き付け処理が行われる前の鋼材の
静的な引張り強度{5×10-4〜5×10-3(1/s)
の歪み速度範囲で測定された静的な引張り試験における
最大応力:TS(MPa)}の上昇に伴って大きくなること
が一般的である。従って、鋼材の静的な引張り強度(こ
れは静的な素材強度と同義的である。)を増加させるこ
とは部材の衝撃エネルギー吸収能の向上に直接寄与す
る。しかしながら、鋼材の強度が上昇すると部材への成
形性が劣化し、必要な部材形状を得ることが困難にな
る。従って、同一の引張り強度(TS)で、高いσdy
nを持つ鋼材が望ましい。この関係から、0%超・10
%以下の予変形を与えた後、5×102 〜5×10
3 (1/s)の歪み速度範囲で変形した時の3〜10%
の相当歪み範囲における変形応力の平均値σdyn(MP
a)が予変形を与える前の5×10-4〜5×10-3(1/
s)の歪み速度範囲で測定された静的な引張り試験にお
ける最大応力TS(MPa)によって表現される式σdyn
−TS≧−0.234×TS+250を満足する鋼材
は、実部材としての衝撃吸収エネルギー吸収能が他の鋼
材に比べて高く、部材の総重量を増加させることなく衝
撃吸収エネルギー吸収能を向上させ、高い動的変形抵抗
を有する高強度鋼板を提供することができることを見い
だした。なお上記関係式σdyn−TS≧−0.234
×TS+250はσdyn≧0.766×TS+250
と等価であるので、以降σdyn≧0.766×TS+
250の式を用いて説明する。
【0019】次に、本発明者らは、耐衝突安全性を向上
させるためには、歪み1〜5%の加工硬化指数で表され
る予加工時の加工硬化を高めることにより衝突開始時の
初期変形抵抗を増大させると共に、予変形時に変態した
マルテンサイトの存在を通じて衝突変形中の加工硬化を
高め、σdynを高めることが必要であることも知見し
た。すなわち、上記のように鋼材のミクロ組織を制御さ
れると、図2および図3に示すように、鋼の加工硬化指
数が0.080上、好ましくは0.108以上とするこ
と、また、降伏強さ×歪み1〜5%の加工硬化指数が4
0以上、好ましくは54以上とすることで前述の耐衝突
安全性を高めることができる。自動車用部材の耐衝突安
全性の指標となる動的エネルギー吸収量と、鋼板の加工
硬化指数および降伏強さ×加工硬化指数との関係でみる
と、これらの値が増大すると動的エネルギー吸収量が向
上していることが分かり、自動車用部材の耐衝突安全性
の指標として、同一降伏強度レベルであれば鋼板の加工
硬化指数で、また、降伏強度が異なれば鋼板の降伏強さ
×加工硬化指数で評価することが妥当であると考える。
【0020】動的エネルギー吸収量は、図4a、図4b
および図4cに示したような衝撃圧壊試験法により次の
ようにして求めた。図4bに示すように鋼板を試験片形
状(コーナーR=5mm)に成形し、先端径5.5mmの電
極によりチリ発生電流の0.9倍の電流で35mmピッチ
でスポット溶接3をし、図4aに示すように2つの天板
1間に試験片2を配設した部品(ハット型モデル)と
し、さらに170℃×20分の焼き付け塗装を行った
後、図4cに示すように約150kgの落錘4を約10m
の高さから落下させ、ショック・アブソーバー6を設け
た架台5の上の部品を長手方向に圧壊し、その際の荷重
変位線図の面積から変位=0〜150mmの変形仕事を算
出して、動的エネルギー吸収量とした。
【0021】鋼板の歪み1〜5%の加工硬化指数、降伏
強さ×歪み1〜5%の加工硬化指数は次のようにして求
めた。すなわち、鋼板をJIS−5号試験片(標点距離
50mm、平行部幅25mm)に加工し、歪速度0.001
/Sで引張試験し、降伏強さと加工硬化指数(歪み1〜
5%のn値)を求めた。以下に本発明における鋼材のミ
クロ組織について説明する。
【0022】鋼板に適量の残留オーステナイトが存在す
ると、変形時(成形時)に歪みを受けることにより非常
に硬いマルテンサイトに変態するため、加工硬化指数を
高める作用やくびれを抑制して成形性を高める作用を有
している。前述した適量の残留オーステナイト量とは3
%〜50%であることが好ましい。すなわち、残留オー
ステナイトの体積分率が3%未満では成形後の部材が衝
突変形を受けた際に優れた加工硬化能を発揮することが
できず、変形荷重が低いレベルに止まり変形仕事量が小
さくなるため、動的エネルギー吸収量が低く、耐衝突安
全性向上が達成できないと共に、くびれ抑制硬化が不足
して高い引張強さ×全伸びを得ることができない。一
方、残留オーステナイトの体積分率が50%超では僅か
な成形加工歪みにより連鎖的な加工誘起マルテンサイト
変態が起こり、引張強さ×全伸び向上が期待できず、逆
に打ち抜き時の顕著な硬化に起因する穴拡げ比の劣化を
もたらし、更に部材成形が可能であったとしても成形後
の部材が衝突変形を受けた際に優れた加工硬化能を発揮
することができないという観点から前述の残留オーステ
ナイト量が決定されるものである。
【0023】また、前述の残留オーステナイトの体積分
率が3%〜50%という条件に加え、この残留オーステ
ナイトの平均結晶粒径が5μm以下、好ましくは3μm
以下とすることが望ましい条件となる。仮に、残留オー
ステナイトの体積分率が3%〜50%を満たしていて
も、その平均結晶粒径が5μm超になると、鋼中に残留
オーステナイトを微細分散させることができないため、
この残留オーステナイトのもつ特性の向上作用が局所的
に止まるので好ましくない。また、好ましくは、前述し
た残留オーステナイトの平均結晶粒径と、主相であるフ
ェライトもしくはベイナイトの平均粒径の比が、0.6
以下で、主相の平均粒径が10μm以下、好ましくは6
μm以下であるようなミクロ組織を有している場合に優
れた耐衝突安全性と成形性を示すことが明らかになっ
た。
【0024】更に、本発明者らは、同一レベルの引張強
度(TS:MPa)に対して、前述した相当歪みで3%〜1
0%の範囲での平均応力:σdynは部材への加工が行
われる以前の鋼板中に含まれる残留オーステナイト中の
固溶炭素量:〔C〕で表記、(重量%)と鋼材の平均M
n等量(Mn eq):Mn eq=Mn+(Ni+C
r+Cu+Mo)/2、によって変化することが見いだ
された。残留オーステナイト中の炭素濃度は、X線解析
やメスバウアー分光により実験的に求めることができ、
例えば、MoのKα線を用いたX線解析によりフェライ
トの(200)面、(211)面およびオーステナイト
の(200)面、(220)面、(311)面の積分反
射強度を用いて、Journal of The Iron and Steel Inst
itute, 206 (1968), p60に示された方法にて算出でき
る。本発明者らが行った実験結果から、このようにして
得られた残留オーステナイト中の固溶炭素量〔C〕と鋼
材に添加されている置換型合金元素から求められるMn
eqを用いて計算される値:Mが、M=678−42
8×〔C〕−33×Mn eqが70以上250以下
で、かつ予変形を与える前の残留オーステナイト体積分
率(V0 )と相当歪みで5%の予変形を与えた後の残留
オーステナイト体積分率(V9 )の差:{(V0)−
(V3 )}が予変形を与える前の残留オーステナイト体
積分率の30%以上である場合に、同一の静的引張強度
(TS)に対して大きなσdynを示すことが同時に見
いだされた。この場合において、M>250では実質的
に変形中の残留オーステナイトの変態による強度上昇の
効果が極めて低い歪み領域にのみ限られるために、部材
への予変形時にほぼ全ての残留オーステナイトが浪費さ
れ、高速変形時のσdynの上昇に寄与しなくなること
から、Mの上限を250とした。また、Mが70未満の
場合には、変形途中での残留オーステナイトの変態は進
行するものの、変態の進行が低歪み領域では十分に起こ
らないことから、相当歪みで3%〜10%の範囲での平
均応力σdynが低いままに保たれ、静的な引張強度T
Sに対してσdyn≧0.766×TS+250の関係
を満足しなくなるのでMの下限を70とした。
【0025】また、残留オーステナイトの存在位置に関
しては、軟質なフェライトが主に変形時の歪みを受ける
ため、フェライトに隣接していない残留γ(オーステナ
イト)は歪みを受け難く、その結果1〜5%程度の変形
ではマルテンサイトへ変態し難くなり、その効果が薄れ
るため残留オーステナイトはフェライトに隣接すること
が好ましい。そのため、フェライトは、その体積分率が
40%以上、好ましくは60%以上で、かつその平均結
晶粒径(平均円相当径に相当)が10μm以下、好まし
くは6μm以下であることが好ましい。前述したよう
に、フェライトは構成組織の中で最も軟質な組織である
ため、降伏強さ×歪み1〜5%の加工硬化指数および降
伏比を決定する重要な因子である。そのため、上記体積
分率の規制値内とすることが好ましい。更に、フェライ
トの体積分率増と細粒化により、未変態オーステナイト
の炭素濃度が増加して微細分散化するため、未変態オー
ステナイトから生成するマルテンサイトおよび残部組織
の微細化と残留オーステナイトの体積分率増・微細化に
有効に作用し、耐衝突安全性および成形性の向上に寄与
する。
【0026】次に、マルテンサイトは、その体積分率が
3%〜30%で、しかもその平均結晶粒径(平均円相当
径に相当)が10μm以下、好ましくは6μm以下であ
ることが好ましい。マルテンサイトは、主に周囲のフェ
ライトに可動転位を発生させることにより降伏比の低
減、加工硬化指数の向上に寄与するため、上記規制値を
満足することにより、耐衝突安全性および成形性をより
一層向上させ、より好ましい特性レベルである降伏強さ
×歪み1〜5%の加工硬化指数≧54、かつ降伏比≦7
5%を達成することができる。このマルテンサイトの体
積分率と平均結晶粒径との関係は、体積分率が少なくて
も平均結晶粒径が大きくても、その作用が局所的な影響
に止まり、前記特性を満足させることができなくなる。
なお、このマルテンサイトの存在位置に関しては、マル
テンサイトがフェライトに隣接していない場合、マルテ
ンサイトの可動転位等の影響はフェライトに及び難いた
め、その効果が薄れる。従って、マルテンサイトはフェ
ライトに隣接することが好ましい。上述したミクロ組織
および諸特性を創出する高強度鋼板の化学成分とその含
有規制値について説明する。本発明で使用される高強度
鋼板は、重量%で、C:0.03%以上0.3%以下、
SiとAlの一方または双方を合計で0.5%以上3.
0%以下、必要に応じてMn,Ni,Cr,Cu,Mo
の1種または2種以上を合計で0.5%以上3.5%以
下含み、残部がFeを主成分とする高強度鋼板である
か、この高強度鋼板に更に必要に応じて、Nb,Ti,
V,P,B,CaまたはREMの1種または2種以上
を、Nb,Ti,Vにおいては、それらの1種または2
種以上を合計で0.3%以下、Pにおいては0.3%以
下、Bにおいては0.01%以下、Caにおいては0.
0005%以上0.01%以下、REM:0.005以
上0.05%以下を含有し、残部がFeを主成分とする
高い動的変形抵抗を有する高強度鋼板である。これらの
化学成分とその含有量(何れも重量%)について詳述す
る。
【0027】C:Cは、オーステナイトを室温で安定化
させて残留させるために必要なオーステナイトの安定化
に貢献する最も安価な元素であるために、本発明におい
て最も重要な元素と言える。鋼材の平均C量は、室温で
確保できる残留オーステナイト体積分率に影響を及ぼす
のみならず、製造の加工熱処理中に未変態オーステナイ
ト中に濃化することで、残留オーステナイトの加工に対
する安定性を向上させることができる。しかしながら、
この添加量が0.03%未満の場合には、最終的に残留
オーステナイト体積分率を3%以上確保することができ
ないので0.03%を下限とした。一方、鋼材の平均C
量が増加するに従って確保可能な残留オーステナイト体
積分率は増加し、残留オーステナイト体積分率を確保し
つつ残留オーステナイトの安定性を確保することが可能
となる。しかしながら、鋼材のC添加量が過大になる
と、必要以上に鋼材の強度を上昇させ、プレス加工等の
成形性を阻害するのみならず、静的な強度上昇に比して
動的な応力上昇が阻害されると共に、溶接性を劣化させ
ることによって部品としての鋼材の利用が制限されるよ
うになるためにC量の上限を0.3%とした。
【0028】Si,Al:Si,Alは共にフェライト
の安定化元素であり、フェライト体積分率を増加させる
ことによって鋼材の加工性を向上させる働きがある。ま
た、Si,Al共にセメンタイトの生成を抑制し、効果
的にオーステナイト中へCを濃化させることを可能とす
ることから、室温で適当な体積分率のオーステナイトを
残留させるためには不可欠な添加元素である。このよう
なセメンタイト生成抑制機能を持つ添加元素としては、
Si,Al以外にPやCu,Cr,Mo等が挙げられ、
このような元素を適切に添加することも同様な効果が期
待される。しかしながら、SiとAlの1種もしくは双
方の合計が0.5%未満の場合には、セメンタイト生成
抑制の効果が十分でなく、オーステナイトの安定化に最
も効果的な添加されたCの多くが炭化物の形で浪費さ
れ、本発明に必要な残留オーステナイト体積分率を確保
することができないか、もしくは残留オーステナイトの
確保に必要な製造条件が大量生産工程の条件に適しない
ため下限を0.5%とした。また、SiとAlの1種も
しくは双方の合計が3.0%を超える場合には、母相で
あるフェライトもしくはベイナイトの硬質化や脆化を招
き、歪み速度上昇による変形抵抗の増加を阻害するばか
りでなく、鋼材の加工性の低下、靱性の低下、更には鋼
材コストの上昇を招き、また、化成処理等の表面処理特
性が著しく劣化するために3.0%を上限とした。ま
た、特に優れた表面性状が要求される場合には、Si≦
0.1%とすることによりSiスケールを回避するか、
逆にSi≧1.0%とすることによりSiスケールを全
面に発生させて目立たせなくすることも考えられる。
【0029】Mn,Ni,Cr,Cu,Mo:Mn,N
i,Cr,Cu,Moは全てオーステナイト安定化元素
であり、室温でオーステナイトを安定化させるためには
有効な元素である。特に、溶接性の観点からCの添加量
が制限される場合には、このようなオーステナイト安定
化元素を適量添加することによって効果的にオーステナ
イトを残留させることが可能となる。また、これらの元
素はAlやSiほどではないがセメンタイトの生成を抑
制する効果があり、オーステナイトへのCの濃化を助け
る働きもする。更に、これらの元素は、Al,Siと共
にマトリックスであるフェライトやベイナイトを固溶強
化させることによって、高速での動的変形抵抗を高める
働きも持つ。しかし、これらの元素の1種または2種以
上の添加の合計が0.5%未満の場合には、必要な残留
オーステナイトの確保ができなくなると共に、鋼材の強
度が低くなり、有効な車体軽量化が達成できなくなるこ
とから、下限を0.5%とした。一方、これらの合計が
3.5%を超える場合には、母相であるフェライトもし
くはベイナイトの硬質化を招き、歪み速度上昇による変
形抵抗の増加を阻害するばかりでなく、鋼材の加工性の
低下、靱性の低下、更には鋼材コストの上昇を招くため
に上限を3.5%とした。
【0030】必要に応じて添加されるNb,Ti,V
は、炭化物、窒化物、もしくは炭窒化物を形成すること
によって鋼材を高強度化することができるが、その合計
が0.3%を超える場合には母相であるフェライトやベ
イナイト粒内もしくは粒界に多量の炭化物、窒化物、も
しくは炭窒化物として析出し、高速変形時の可動転位発
生源となって高い動的変形抵抗を得ることができなくな
る。また、炭化物の生成は、本発明にとって最も重要な
残留オーステナイト中へのCの濃化を阻害し、Cを浪費
することから上限を0.3%とした。
【0031】また、必要に応じてB或いはPが添加され
る。Bは、粒界の強化や鋼材の高強度化に有効である
が、その添加量が0.01%を超えるとその効果が飽和
すると共に必要以上に鋼板強度を上昇させ、高速変形時
の変形抵抗の上昇を阻害すると共に、部品への加工性も
低下させることになるので、その上限を0.01%とし
た。また、Pは、鋼材の高強度化や残留オーステナイト
の確保に有効であるが、0.2%を超えて添加された場
合には鋼材コストの上昇を招くばかりでなく、主相であ
るフェライト、ベイナイトの変形抵抗を必要以上に高
め、高速変形時の変形抵抗の上昇を阻害したり、耐置き
割れ性の劣化や疲労特性、靱性の劣化を招くことから
0.2%を上限とした。なお、二次加工性、靱性、スポ
ット溶接性、リサイクル性の劣化防止の観点から0.0
2%以下とすることが望ましい。また、不可避的不純物
として含まれるSについては、硫化物系介在物による成
形性(特に穴拡げ比)、スポット溶接性の劣化防止の観
点から0.01%以下とすることが望ましい。
【0032】更に、Caは、硫化物系介在物の形態制御
(球状化)により、成形性(特に穴拡げ比)を向上させ
るために0.0005%以上添加するが、その効果の飽
和、前記介在物増加による逆の効果(穴拡げ比劣化)の
点から上限を0.01%とした。また、REMもCaと
同様の効果があるためその添加量を0.005%〜0.
05%とした。
【0033】次に、本発明による高強度鋼板を得るため
の製造方法について熱延鋼板および冷延鋼板のそれぞれ
の製造方法を詳細に説明する。本発明における高い動的
変形抵抗を有する高強度熱延鋼板および冷延鋼板とも、
その製造方法としては、前述した成分組成を有する連続
鋳造スラブを、鋳造ままで熱間圧延工程へ直送し、もし
くは一旦冷却した後に再度加熱した後、熱間圧延を行
う。この熱延においては、通常の連続鋳造に加え、薄肉
連続鋳造および熱延連続化技術(エンドレス圧延)の適
用も可能であるが、フェライト体積分率の低下、薄鋼板
ミクロ組織の平均結晶粒径の粗大化を考慮すると仕上げ
熱延入側における鋼片厚(初期鋼片厚)は25mm以上と
することが好ましい。また、この熱間圧延においては、
最終パス圧延速度は上記の問題から500mpm 以上、好
ましくは600mpm 以上で熱延を行うことが好ましい。
【0034】特に、高強度熱延鋼板の製造において、上
記熱間圧延における仕上げ温度は、鋼材の化学成分によ
って決まるAr3 −50℃〜Ar3 +120℃の温度範
囲で行うことが好ましい。Ar3 −50℃未満では加工
フェライトが生成し、動的変形抵抗σdyn、1〜5%
の加工硬化能、成形性を劣化させる。Ar3 +120℃
超では鋼板ミクロ組織の粗大化等から動的変形抵抗σd
yn、1〜5%の加工硬化能等を劣化させると共にスケ
ール疵の観点からも好ましくない。前述のようにして熱
間圧延された鋼板は巻き取り工程に入るが、その前にラ
ンアウトテーブル上で冷却される。この際の平均冷却速
度は5℃/sec以上である。冷却速度については残留
オーステナイト占積率の確保の観点から決定される。な
お、この冷却方法は一定の冷却速度で行っても、途中で
低冷却速度の領域を含むような複数種類の冷却速度の組
み合わせであってもよい。
【0035】次に、熱間圧延された鋼板は巻き取り工程
に入り、500℃以下の巻き取り温度で巻き取られるこ
とが好ましい。この巻き取り温度が500℃を超えると
残留オーステナイト占積率の低下が起こる。また、マル
テンサイトを得たい場合にはこの巻き取り温度を350
℃以下とする。なお、前述の巻き取りの条件は、巻き取
り後そのまま熱延鋼板として供される場合の条件であ
り、更に冷延し、焼鈍して使用に供される冷延鋼板の場
合には上記制限条件は不要であり、通常の製造条件で巻
き取っても良い。
【0036】特に、本発明においては熱延工程における
仕上げ温度、仕上げ入側温度と巻き取り温度との間には
相関関係があることを見いだした。すなわち、図5およ
び図6に示すように前記仕上げ温度、仕上げ入側温度と
巻き取り温度との間には一義的に決まる特定の条件があ
る。すなわち、熱延の仕上げ温度がAr3 −50℃〜A
3 +120℃の温度範囲において、メタラジーパラメ
ーター:Aが、(1)式および(2)式を満たすような
熱間圧延を行う。ただし、前記メタラジーパラメータ
ー:Aとは以下のように表わすことができる。
【0037】A=εM ×exp{(75282−427
45×Cep)/〔1.978×(FT+273)〕} ただし、FT:仕上げ温度(℃) Ceq:炭素当量=C+Mneq/6(%) Mneq:マンガン当量=Mn+(Ni+Cr+Cu+M
o)/2(%) ε* :最終パス歪み速度(s-1
【0038】
【数1】
【0039】h1 :最終パス入側板厚 h2 :最終パス出側板厚 r:(h1 −h2 )/h1 R:ロール径 v:最終パス出側速度 ΔT:仕上げ温度(仕上最終パス出側温度)−仕上げ入
側温度(仕上げ第一パス入側温度) Ar3 :901−325C%+33Si%−92Mneq その後、ランアウトテーブルにおける平均冷却速度を5
℃/秒以上とし、更に前記メタラジーパラメーター:A
と巻き取り温度(CT)との関係が(3)式を満たすよ
うな条件で巻き取ることが好ましい。
【0040】 9≦logA≦18 ・・・・・・・ (1) ΔT≧21×logA−178 ・・ (2) CT≦6×logA+312 ・・・ (3) 前記(1)式において、logAが9未満では残留γの
生成、ミクロ組織微細化の観点から不十分となり、動的
変形抵抗σdyn、1〜5%の加工硬化能等を劣化させ
る。また、logAが18超ではそれを達成するための
設備が過大となる。また、(2)式において、(2)式
の条件を満たさない場合には残留γが過度に安定とな
り、変形途中での残留γの変態は進行するものの、変態
の進行が低歪み領域では十分に起こらず、動的変形抵抗
σdyn、1〜5%の加工硬化能等を劣化させる。な
お、(2)式に示したようにΔTの下限はlogAの低
下により緩和される。また、設備の長大化、残留オース
テナイト体積分率の低下およびミクロ組織の粗大化の観
点からΔTの上限を300℃とするのが好ましい。更
に、巻き取り温度が(3)式の関係を満たさないと、残
留γ量確保に悪影響が出たり、残留γが得られた場合に
も残留γが過度に安定となり、変形途中での残留γの変
態は進行するものの、変態の進行が低歪み領域では十分
に起こらず、動的変形抵抗σdyn、1〜5%の加工硬
化能等を劣化させる。なお、巻き取り温度の限界はlo
gAの増大により緩和される。
【0041】なお、初期マルテンサイト占積率≧3%の
場合にはCT≦350℃としてもよい。但し、過度のマ
ルテンサイト生成を抑える意味からCT≧250℃とす
ることが好ましい。次に、本発明による冷延鋼板は、熱
延、巻き取り後の各工程を経た鋼板を、圧下率40%以
上で冷間圧延に付され、次いで前記冷間圧延を経た鋼板
は焼鈍に付される。この焼鈍は、図7に示すような焼鈍
サイクルを有する連続焼鈍が最適であり、この連続焼鈍
工程で焼鈍して最終的な製品とする際に、0.1×(A
3−Ac1 )+Ac1 ℃以上Ac3 +50℃以下の温
度Toで10秒〜3分焼鈍した後に、1〜10℃/秒の
一次冷却速度で550〜720℃の範囲の一次冷却停止
温度Tqまで冷却し、引き続いて10〜200℃/秒の
二次冷却速度で二次冷却停止温度Teまで冷却した後、
Toaで15秒〜20分保持し、室温まで冷却する。前
記焼鈍温度Toは、鋼材の化学成分によって決まる温度
Ac1 およびAc3 温度(例えば、「鉄鋼材科学」:W.
C. Leslie著、丸善、p 273.)で表される0.1×(A
3 −Ac1 )+Ac1 ℃未満の場合には、焼鈍温度で
得られるオーステナイト量が少ないので、最終的な鋼板
中に安定して残留オーステナイトを残すことが出来ない
ため0.1×(Ac3 −Ac1 )+Ac1 ℃を下限とし
た。また、焼鈍温度がAc3 +50℃を超えても何ら鋼
板の特性を改善できず、しかもコスト上昇を招くために
焼鈍温度の上限をAc3 +50℃とした。この温度での
焼鈍時間は、鋼板の温度均一化とオーステナイト量の確
保のために最低10秒以上必要であるが、3分を超える
と前記効果が飽和し、コスト上昇の原因となる。
【0042】前記一次冷却は、オーステナイトからフェ
ライトへの変態を促し未変態のオーステナイト中にCを
濃化させてオーステナイトの安定化を図るために必要で
ある。この冷却速度が1℃/秒未満にすると、長大な生
産ラインが必要になること、生産性が悪化する等の点か
ら1℃/秒が下限となる。一方、冷却速度が10℃/秒
超になるとフェライト変態が十分起こらず、最終的な鋼
板中の残留オーステナイト確保が困難になるため10℃
/秒を上限とした。この一次冷却が550℃未満まで行
なわれると、冷却中にパーライトが生成し、オーステナ
イト安定化元素であるCの浪費が起こり、最終的に十分
な量の残留オーステナイトが得られなくなる。また、前
記冷却が720℃超までしか行われなかった場合にはフ
ェライト変態の進行が十分でなくなる。
【0043】引き続き行われる二次冷却の急速冷却は、
冷却中にパーライト変態や鉄炭化物の析出が起こらない
ような冷却速度として最低10℃/秒以上が必要になる
が、200℃/秒超にすると設備能力上困難となる。ま
た、この二次冷却の冷却停止温度が150℃未満の場合
には、冷却前に残っていたオーステナイトのほぼ全てが
マルテンサイトに変態して最終的に残留オーステナイト
を確保できなくなる。また、この冷却停止温度が450
℃超になると最終的に得られる動的変形抵抗σdynが
低下する。
【0044】鋼板中に残留しているオーステナイトを室
温で安定化させるためには、その一部をベイナイトに変
態させることでオーステナイト中の炭素濃度を更に高め
ることが好ましい。二次冷却停止温度がベイナイト変態
処理のために保持される温度より低温である場合には保
持温度まで加熱される。この時の加熱速度は5℃/秒〜
50℃/秒の範囲であれば鋼板の最終的な特性を劣化さ
せることはない。また、逆に二次冷却停止温度がベイナ
イト処理温度よりも高温の場合は、ベイナイト処理温度
まで5℃/秒〜200℃/秒の冷却速度で強制的に冷却
しても、予め目標温度が設定された加熱ゾーンに直接搬
送されても、鋼板の最終的な特性を劣化させることはな
い。一方、鋼板が150℃未満で保持された場合にも、
また500℃超に保持された場合にも、十分な量の残留
オーステナイトを確保できないことから、保持温度の範
囲を150℃〜500℃とした。この時、150℃〜5
00℃の保持が15秒未満ではベイナイト変態の進行が
十分でないことから最終的に必要な量の残留オーステナ
イトを得ることができず、また20分超ではベイナイト
変態後に鉄炭化物の析出やパーライト変態が起こり、残
留オーステナイト生成に不可欠なCを浪費してしまい、
必要な量の残留オーステナイトを得ることができなくな
るために、保持時間を15秒〜20分の範囲とした。ベ
イナイト変態を促進させるために行う150℃〜500
℃の保持は、等温での保持であっても、または、この温
度範囲であれば意識的の温度変化を与えても最終的な鋼
板の特性を劣化させることはない。
【0045】更に、本発明における焼鈍後の好ましい冷
却条件としては、0.1×(Ac3−Ac1 )+Ac1
℃以上Ac3 +50℃以下の温度で10秒〜3分焼鈍し
た後に、1〜10℃/秒の一次冷却速度で550〜72
0℃の範囲の二次冷却開始温度Tqまで冷却し、引き続
いて10〜200℃/秒の二次冷却速度で、鋼材成分と
焼鈍温度Toで決まる温度:Tem−100℃以上、T
em以下の二次冷却終了温度Teまで冷却した後、Te
−50℃以上500℃以下の温度Toaで15秒〜20
分保持し、室温まで冷却する方法である。これは、図8
に示すような連続焼鈍サイクルにおける急冷終点温度T
eを成分と焼鈍温度Toとの関数として表し、ある限界
値以下で焼鈍する方法であり、更に過時効温度Toaの
範囲を前記急冷終点温度Teとの関係で規定したもので
ある。
【0046】ここで、Temとは、急冷開始時点Tqで
残留しているオーステナイトのマルテンサイト変態開始
温度である。すなわち、Temは、オーステナイト中の
C濃度の影響を除外した値(T1)とC濃度の影響を示
す値(T2)の差:Tem=T1−T2である。ここ
で、T1とは、C以外の固溶元素濃度によって計算され
る温度であり、また、T2は鋼板の成分で決まるAc1
とAc3 および焼鈍温度Toによって決まるTqでの残
留オーステナイト中のC濃度から計算される温度であ
る。また、Ceq* は、前記焼鈍温度Toで残留してい
るオーステナイト中の炭素当量である。従って、T1
は、 T1=561−33×{Mn%+(Ni+Cr+Cu+
Mo)/2}、 また、T2は、 Ac1 =723−0.7×Mn%−16.9×Ni%+
29.1×Si%+16.9×Cr%、および、 Ac3 =910−203×(C%)1/2 −15.2×N
i%+44.7×Si%+104×V%+31.5×M
o%−30×Mn%−11×Cr%−20×Cu%+7
0×P%+40×Al%+400×Ti%、 と焼鈍温度Toにより表現され、 Ceq* =(Ac3 −Ac1 )×C/(To−Ac1
+(Mn+Si/4+Ni/7+Cr+Cu+1.5M
o)/6が、 0.6超の場合には、T2=474×(Ac3 −A
1 )×C/(To−Ac 1 )、0.6以下の場合に
は、T2=474×(Ac3 −Ac1 )×C/{3×
(Ac3 −Ac1 )×C+〔(Mn+Si/4+Ni/
7+Cr+Cu+1.5Mo)/2−0.85〕×(T
o−Ac1 )}、により表現される。
【0047】すなわち、Teが(Tem−100)℃未
満の場合には、オーステナイトの殆ど全てがマルテンサ
イトに変態することから、必要な量の残留オーステナイ
トを得ることができない。また、TeがTemを超える
と得られる鋼板が軟質となり、静的な強度(TS)から
期待される動的な強度が得られなくなるためにTeの上
限はTemとした。また、Toaが500℃以上ではパ
ーライトもしくは鉄炭化物が生成し、残留オーステナイ
ト生成に不可欠なCを浪費してしまい、必要な量の残留
オーステナイトが得られなくなる。一方、ToaがTe
−50℃未満の場合には、付加的な冷却設備が必要であ
ったり、連続焼鈍炉の炉温と鋼板の温度差に起因した材
質のバラツキが大きくなることから、この温度を下限と
した。
【0048】以上述べたような鋼板組成と製造方法を採
用することにより、鋼板のミクロ組織がフェライトおよ
び/またはベイナイトを含み、このいずかを主相とし、
体積分率で3〜50%の残留オーステナイトを含む第3
相との複合組織であり、かつ相当歪みで0%超10%以
下の予変形を与えた後、5×10 2 〜5×103 (1/
s)の歪み速度範囲で変形した時の3〜10%の相当歪
み範囲における変形応力の平均値σdyn(MPa)が予変
形を与える前の5×10-4〜5×10-3(1/s)の歪
み速度範囲で測定された静的な引張り試験における最大
応力TS(MPa)によって表現される式σdyn≧0.7
66×TS+250を満足し、かつ歪み1〜5%の加工
硬化指数が0.080以上を満足する高い動的変形抵抗
を有する高強度鋼板を得ることが可能になる。なお、本
発明による鋼板は、焼鈍、調質圧延、電気めっき等を施
して目的とする製品とすることも可能である。
【0049】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて説明する。 〈実施例1〉表1に示す15種類の鋼材を1050〜1
250℃に加熱し、表2に示す製造条件にて、熱間圧
延、冷却、巻取を行い、熱延鋼板を製造した。本発明に
よる成分条件と製造条件を満足する鋼板は、表3と表4
に示すように残留オーステナイト中の固溶〔C〕と鋼材
の平均Mneqで決まるM値が70以上250以下であ
る初期残留オーステナイトを体積分率で3%以上50%
以下含有しているとともに、(初期残留オーステナイト
体積率−5%予変形後残留オーステナイト体積分率)/
初期残留オーステナイト体積分率≧0.3という適度な
安定性を有しており、何れもσdyn≧0.766×T
S+250,1〜5%の加工硬化指数≧0.080,1
〜5%の加工硬化指数×降伏強さ≧40という優れた耐
衝突安全性を示すとともに成形性とスポット溶接性をも
兼備していることが明らかである。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】〈実施例2〉表5に示す25種類の鋼材を
Ar3以上で熱延を完了し冷却後巻き取り、酸洗後冷延
した。その後、各鋼の成分からAc1,Ac3の各温度
を求め、表6に示すような焼鈍条件で加熱、冷却、保持
を行い、その後室温まで冷却した。本発明による製造条
件と成分条件を満足する各鋼板は、表7、表8に示すよ
うに、残留オーステナイト中の固溶〔C〕と鋼材の平均
Mneqで決まるM値が70以上250以下で、何れも
σdyn≧0.076×TS+250、歪み1〜5%の
加工硬化指数の値が40以上という優れた耐衝突安全性
を示すことが明らかである。
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】ミクロ組織は以下の方法で評価した。フェ
ライト、ベイナイト、マルテンサイト及び残部組織の同
定、存在位置の観察、及び平均結晶粒径(平均円相当
径)と占積率の測定はナイタール試薬及び特開昭59−
219473に開示された試薬により鋼板圧延方向断面
を腐食した倍率1000倍の光学顕微鏡写真により行っ
た。
【0060】残留オーステナイトの平均円相当径は特願
平3−351209で開示された試薬により圧延方向断
面を腐食し、倍率1000倍の光学顕微鏡写真より求め
た。また、同写真によりその存在位置を観察した。残留
オーステナイト体積分率(Vγ:単位は%)はMo−K
α線によるX線解析で次式に従い、算出した。
【0061】Vγ=(2/3){100/(0.7×α
(211)/γ(220)+1)}+(1/3){10
0/(0.78×α(211)/γ(311)+1)} 但し、α(211)、γ(220)、α(211)、γ
(311)は面強度を示す。残留γのC濃度(Cγ:単
位は%)はCu−Kα線によるX線解析でオーステナイ
トの(200)面、(220)面、(311)面の反射
角から格子定数(単位はオングストローム)を求め、次
式に従い、算出した。
【0062】 Cγ=(格子定数−3.572)/0.033 特性評価は以下の方法で実施した。引張試験はJIS5
号(標点距離50mm、平行部幅25mm)を用い歪速度
0.001/sで実施し、引張強さ(TS)、降伏強さ
(YS)、全伸び(T.El)、加工硬化指数(歪1%
〜5%のn値)を求め、YS×加工硬化指数、降伏比
(YR=YS/TS×100),TS×T.Elを計算
した。
【0063】伸びフランジ性は20mmの打ち抜き穴をバ
リのない面から30度円錐ポンチで押し拡げ、クラック
が板厚を貫通した時点での穴径(d)と初期穴径
(d0 ,20mm)との穴拡げ比(d/d0 )を求めた。
スポット溶接性は鋼板板厚の平方根の5倍の先端径を有
する電極によりチリ発生電流の0.9倍の電流で接合し
たスポット溶接試験片をたがねで破断させた時にいわゆ
る剥離破断を生じたら不適とした。
【0064】
【発明の効果】上述したように、本発明は従来にない優
れた耐衝突安全性および成形性を兼ね備えた自動車用高
強度熱延鋼板および冷延鋼板を低コストで、しかも安定
的に提供することが可能になり、高強度鋼板の使用用途
および使用条件が格段に拡大されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における衝突時の衝撃エネルギー吸収能
の指標である、5×102 〜5×103 (1/s)の歪
み速度範囲で変形した時の3〜10%の相当歪み範囲に
おける変形応力の平均値σdyn−TSとTSとの関係
を示す図。
【図2】鋼板の歪み1〜5%の加工硬化指数と動的エネ
ルギー吸収量(J)との関係を示す図。
【図3】鋼板の降伏強さ×歪み1〜5%の加工硬化指数
と動的エネルギー吸収量(J)との関係を示す図。
【図4】aは、図3における動的エネルギー吸収量測定
用の衝撃圧壊試験に用いた部品(ハットモデル)の概観
図、bは、図4aに用いた試験片の断面図、cは、衝撃
圧壊試験方法の模式図。
【図5】本発明における熱延工程におけるΔTとメタラ
ジーパラメーターAとの関係を示す図。
【図6】本発明における熱延工程における巻き取り温度
とメタラジーパラメーターAとの関係を示す図。
【図7】本発明における連続焼鈍工程における焼鈍サイ
クルを示す模式図。
【図8】本発明における連続焼鈍工程における二次冷却
停止温度(Te)とその後の保持温度(Toa)との関
係を示す図。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最終的に得られる鋼板のミクロ組織がフ
    ェライトおよび/またはベイナイトを含み、このいずれ
    かを主相とし、体積分率で3〜50%の残留オーステナ
    イトを含む第3相との複合組織であり、かつ相当歪みで
    0%超10%以下の予変形を与えた後、5×102 〜5
    ×103 (1/s)の歪み速度範囲で変形した時の3〜
    10%の相当歪み範囲における変形応力の平均値σdy
    n(MPa)が予変形を与える前の5×10-4〜5×10-3
    (1/s)の歪み速度範囲で測定された静的な引張り試
    験における最大応力TS(MPa)によって表現される式σ
    dyn≧0.766×TS+250を満足し、かつ歪み
    1〜5%の加工硬化指数が0.080以上を満足するこ
    とを特徴とする高い動的変形抵抗を有する高強度鋼板。
  2. 【請求項2】 更に、降伏強さ×歪み1〜5%の加工硬
    化指数の値が40以上を満足することを特徴とする請求
    項1記載の高い動的変形抵抗を有する高強度鋼板。
  3. 【請求項3】 最終的に得られる鋼板のミクロ組織がフ
    ェライトおよび/またはベイナイトを含み、このいずれ
    かを主相とし、体積分率で3〜50%の残留オーステナ
    イトを含む第3相との複合組織であり、かつ相当歪みで
    0%超10%以下の予変形を与えた後、5×102 〜5
    ×103 (1/s)の歪み速度範囲で変形した時の3〜
    10%の相当歪み範囲における変形応力の平均値σdy
    n(MPa)が予変形を与える前の5×10-4〜5×10-3
    (1/s)の歪み速度範囲で測定された静的な引張り試
    験における最大応力TS(MPa)によって表現される式σ
    dyn≧0.766×TS+250を満足し、かつ、前
    記残留オーステナイト中の固溶〔C〕と鋼材の平均Mn
    等量{Mn eq=Mn+(Ni+Cr+Cu+Mo)
    /2}によって決まる値(M)が、M=678−428
    ×〔C〕−33Mn eqが70以上250以下であ
    り、更に、予変形を与える前の残留オーステナイト体積
    分率と相当歪みで5%の予変形を与えた後の残留オース
    テナイト体積分率の差が予変形を与える前の残留オース
    テナイト体積分率の30%以上であり、かつ歪み1〜5
    %の加工硬化指数が0.080以上を満足することを特
    徴とする高い動的変形抵抗を有する高強度鋼板。
  4. 【請求項4】 前記残留オーステナイトの平均結晶粒径
    が5μm以下であり、かつ前記残留オーステナイトの平
    均結晶粒径と、主相であるフェライトもしくはベイナイ
    トの平均結晶粒径の比が、0.6以下で、主相の平均粒
    径が10μm以下、好ましくは6μm以下であることを
    特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の高い動的
    変形抵抗を有する高強度鋼板。
  5. 【請求項5】 マルテンサイトの体積分率が3〜30
    %、前記マルテンサイトの平均結晶粒径が10μm以
    下、好ましくは5μm以下であることを特徴とする請求
    項1〜4の何れか1項に記載の高い動的変形抵抗を有す
    る高強度鋼板。
  6. 【請求項6】 前記フェライトの体積分率が40%以上
    であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記
    載の高い動的変形抵抗を有する高強度鋼板。
  7. 【請求項7】 降伏比が85%以下、引張強さ×全伸び
    の値が20,000以上であることを特徴とする請求項
    1〜6の何れか1項に記載の高い動的変形抵抗を有する
    高強度鋼板。
  8. 【請求項8】 前記鋼板が、重量%で、C:0.03%
    以上0.3%以下、SiとAlの一方または双方を合計
    で0.5%以上3.0%以下、必要に応じてMn,N
    i,Cr,Cu,Moの1種または2種以上を合計で
    0.5%以上3.5%以下含み、残部がFeを主成分と
    することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載
    の高い動的変形抵抗を有する高強度鋼板。
  9. 【請求項9】 前記鋼板が、更に必要に応じて、重量%
    で、Nb,Ti,V,PまたはBの1種または2種以上
    を、Nb,Ti,Vにおいては、それらの1種または2
    種以上を合計で0.3%以下、Pにおいては0.3%以
    下、Bにおいては0.01%以下を含有することを特徴
    とする請求項8記載の高い動的変形抵抗を有する高強度
    鋼板。
  10. 【請求項10】 前記鋼板が、更に必要に応じて、重量
    %で、Ca:0.0005%以上0.01%以下、RE
    M:0.005以上0.05%以下を含有することを特
    徴とする請求項8または9記載の高い動的変形抵抗を有
    する高強度鋼板。
  11. 【請求項11】 重量%で、C:0.03%以上0.3
    %以下、SiとAlの一方または双方を合計で0.5%
    以上3.0%以下、必要に応じてMn,Ni,Cr,C
    u,Moの1種または2種以上を合計で0.5%以上
    3.5%以下含み、更に必要に応じてNb,Ti,V,
    P,B,Ca,REMの1種または2種以上を、Nb,
    Ti,Vにおいては、それらの1種または2種以上を合
    計で0.3%以下、Pにおいては0.3%以下、Bにお
    いては0.01%以下、Caにおいては0.0005%
    以上0.01%以下、REM:0.005以上0.05
    %以下を含有し、残部がFeを主成分とする連続鋳造ス
    ラブを、鋳造ままで熱延工程へ直送し、もしくは一旦冷
    却した後に再度加熱した後、熱延し、Ar3 −50℃〜
    Ar3 +120℃の温度の仕上げ温度で熱延を終了し、
    熱延に引き続く冷却過程での平均冷却速度を5℃/秒以
    上で冷却後、500℃以下の温度で巻き取ることを特徴
    とする熱延鋼板のミクロ組織がフェライトおよび/また
    はベイナイトを含み、このいずれかを主相とし、体積分
    率で3〜50%の残留オーステナイトを含む第3相との
    複合組織であり、かつ相当歪みで0%超10%以下の予
    変形を与えた後、5×102 〜5×103 (1/s)の
    歪み速度範囲で変形した時の3〜10%の相当歪み範囲
    における変形応力の平均値σdyn(MPa)が予変形を与
    える前の5×10-4〜5×10-3(1/s)の歪み速度
    範囲で測定された静的な引張り試験における最大応力T
    S(MPa)によって表現される式σdyn≧0.766×
    TS+250を満足し、かつ歪み1〜5%の加工硬化指
    数が0.080以上を満足する高い動的変形抵抗を有す
    る高強度熱延鋼板の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記熱延の仕上げ温度がAr3 −50
    ℃〜Ar3 +120℃の温度範囲において、メタラジー
    パラメーター:Aが、(1)式および(2)式を満たす
    ような熱間圧延を行い、その後、ランアウトテーブルに
    おける平均冷却速度を5℃/秒以上とし、更に前記メタ
    ラジーパラメーター:Aと巻き取り温度(CT)との関
    係が(3)式を満たすような条件で巻き取ることを特徴
    とする請求項11記載の高い動的変形抵抗を有する高強
    度熱延鋼板の製造方法。 9≦logA≦18 ・・・・・・・ (1) ΔT≧21×logA−178 ・・ (2) CT≦6×logA+312 ・・・ (3)
  13. 【請求項13】 重量%で、C:0.03%以上0.3
    %以下、SiとAlの一方または双方を合計で0.5%
    以上3.0%以下、必要に応じてMn,Ni,Cr,C
    u,Moの1種または2種以上を合計で0.5%以上
    3.5%以下含み、更に必要に応じてNb,Ti,V,
    P,B,Ca,REMの1種または2種以上を、Nb,
    Ti,Vにおいては、それらの1種または2種以上を合
    計で0.3%以下、Pにおいては0.3%以下、Bにお
    いては0.01%以下、Caにおいては0.0005%
    以上0.01%以下、REM:0.005以上0.05
    %以下を含有し、残部がFeを主成分とする連続鋳造ス
    ラブを、鋳造ままで熱延工程へ直送し、もしくは一旦冷
    却した後に再度加熱した後、熱延し、熱延後巻き取った
    熱延鋼板を酸洗後冷延し、連続焼鈍工程で焼鈍して最終
    的な製品とする際に、0.1×(Ac3 −Ac1 )+A
    1 ℃以上Ac3 +50℃以下の温度で10秒〜3分焼
    鈍した後に、1〜10℃/秒の一次冷却速度で550〜
    720℃の範囲の一次冷却停止温度まで冷却し、引き続
    いて10〜200℃/秒の二次冷却速度で150〜45
    0℃の二次冷却停止温度まで冷却した後、150〜50
    0℃の温度範囲で15秒〜20分保持し、室温まで冷却
    することを特徴とする冷延鋼板のミクロ組織がフェライ
    トおよび/またはベイナイトを含み、このいずれかを主
    相とし、体積分率で3〜50%の残留オーステナイトを
    含む第3相との複合組織であり、かつ相当歪みで0%超
    10%以下の予変形を与えた後、5×102 〜5×10
    3 (1/s)の歪み速度範囲で変形した時の3〜10%
    の相当歪み範囲における変形応力の平均値σdyn(MP
    a)が予変形を与える前の5×10-4〜5×10-3(1/
    s)の歪み速度範囲で測定された静的な引張り試験にお
    ける最大応力TS(MPa)によって表現される式σdyn
    ≧0.766×TS+250を満足し、かつ歪み1〜5
    %の加工硬化指数が0.080以上を満足する高い動的
    変形抵抗を有する高強度冷延鋼板の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記連続焼鈍工程で焼鈍して最終的な
    製品とする際に、0.1×(Ac3 −Ac1 )+Ac1
    ℃以上Ac3 +50℃以下の温度で10秒〜3分焼鈍し
    た後に、1〜10℃/秒の一次冷却速度で550〜72
    0℃の範囲の二次冷却開始温度Tqまで冷却し、引き続
    いて10〜200℃/秒の二次冷却速度で、鋼材成分と
    焼鈍温度Toで決まる温度:Tem−100℃以上、T
    em以下の二次冷却終了温度Teまで冷却した後、Te
    −50℃以上500℃以下の温度Toaで15秒〜20
    分保持し、室温まで冷却することを特徴とする冷延鋼板
    のミクロ組織がフェライトおよび/またはベイナイトを
    含み、このいずれかを主相とし、体積分率で3〜50%
    の残留オーステナイトを含む第3相との複合組織であ
    り、かつ相当歪みで0%超10%以下の予変形を与えた
    後、5×102 〜5×103 (1/s)の歪み速度範囲
    で変形した時の3〜10%の相当歪み範囲における変形
    応力の平均値σdyn(MPa) が予変形を与える前の5×
    10-4〜5×10-3(1/s)の歪み速度範囲で測定さ
    れた静的な引張り試験における最大応力TS(MPa)によ
    って表現される式σdyn≧0.766×TS+250
    を満足し、かつ歪み1〜5%の加工硬化指数が0.08
    0以上を満足することを特徴とする請求項13記載の高
    い動的変形抵抗を有する高強度冷延鋼板の製造方法。
JP36012797A 1997-12-26 1997-12-26 高い動的変形抵抗を有する高強度鋼板とその製造方法 Expired - Fee Related JP3619357B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36012797A JP3619357B2 (ja) 1997-12-26 1997-12-26 高い動的変形抵抗を有する高強度鋼板とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36012797A JP3619357B2 (ja) 1997-12-26 1997-12-26 高い動的変形抵抗を有する高強度鋼板とその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11189839A true JPH11189839A (ja) 1999-07-13
JP3619357B2 JP3619357B2 (ja) 2005-02-09

Family

ID=18468022

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36012797A Expired - Fee Related JP3619357B2 (ja) 1997-12-26 1997-12-26 高い動的変形抵抗を有する高強度鋼板とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3619357B2 (ja)

Cited By (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002080931A (ja) * 2000-09-07 2002-03-22 Nippon Steel Corp 加工性とスポット溶接性に優れた高強度冷延鋼板および高強度めっき鋼板とその製造方法
JP2002226944A (ja) * 2001-02-02 2002-08-14 Kawasaki Steel Corp 化成処理性および耐食性に優れる熱延高張力鋼板およびその製造方法
WO2002101112A2 (en) * 2001-06-06 2002-12-19 Nippon Steel Corporation High-strength hot-dip galvanized steel sheet and hot-dip galvannealed steel sheet having fatigue resistance, corrosion resistance, ductility and plating adhesion, after severe deformation, and a method of producing the same
JP2004204350A (ja) * 2002-12-10 2004-07-22 Nippon Steel Corp 塗装後耐食性に優れた良加工性高強度冷延鋼板
EP1389639A3 (en) * 2002-07-29 2005-06-08 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) Steel sheet with excellent bendability
JP2005325393A (ja) * 2004-05-13 2005-11-24 Jfe Steel Kk 高強度冷延鋼板およびその製造方法
JP2006510802A (ja) * 2002-12-20 2006-03-30 ユジノール(ソシエテ アノニム) 冷間圧延多相鋼製品の製造のための鋼組成物
JP2007162078A (ja) * 2005-12-14 2007-06-28 Nippon Steel Corp 高強度鋼板及びその製造方法
JP2007177271A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Nippon Steel Corp 穴拡げ性に優れた高強度冷延薄鋼板及びその製造方法
JP2007177272A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Nippon Steel Corp 穴拡げ性に優れた高強度冷延薄鋼板及びその製造方法
WO2007111164A1 (ja) * 2006-03-28 2007-10-04 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho 加工性に優れた高強度鋼板
EP2236638A1 (en) * 2009-03-31 2010-10-06 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho High-strength cold-rolled steel sheet excellent in workability and shape freezing property
JP2011038120A (ja) * 2009-08-06 2011-02-24 Nippon Steel Corp 延性、溶接性及び表面性状に優れた高強度鋼板及びその製造方法
JP2011149066A (ja) * 2010-01-22 2011-08-04 Sumitomo Metal Ind Ltd 冷延鋼板および熱延鋼板ならびにそれらの製造方法
WO2014097559A1 (ja) * 2012-12-18 2014-06-26 Jfeスチール株式会社 低降伏比高強度冷延鋼板およびその製造方法
EP2730671B1 (en) 2011-07-06 2017-11-01 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Hot-dip plated cold-rolled steel sheet and process for producing same
EP2730672B1 (en) 2011-07-06 2018-02-14 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Cold-rolled steel sheet
WO2022004817A1 (ja) * 2020-06-30 2022-01-06 Jfeスチール株式会社 鋼板、部材及びそれらの製造方法
WO2022004820A1 (ja) * 2020-06-30 2022-01-06 Jfeスチール株式会社 亜鉛めっき鋼板、部材及びそれらの製造方法
CN114585758A (zh) * 2019-10-11 2022-06-03 杰富意钢铁株式会社 高强度钢板和碰撞吸收构件以及高强度钢板的制造方法
CN114585759A (zh) * 2019-10-11 2022-06-03 杰富意钢铁株式会社 高强度钢板和碰撞吸收构件以及高强度钢板的制造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4716359B2 (ja) * 2005-03-30 2011-07-06 株式会社神戸製鋼所 均一伸びに優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55117504A (en) * 1979-02-28 1980-09-09 Kobe Steel Ltd Manufacture of steel sheet for high toughness line-pipe
JPH07207413A (ja) * 1994-01-12 1995-08-08 Nippon Steel Corp 加工性に優れた引張強さ45〜65kgf/mm2 の高強度複合組織冷延鋼板とその製造方法
JPH08291361A (ja) * 1995-04-21 1996-11-05 Kawasaki Steel Corp 耐衝撃性に優れる自動車用鋼板
JPH09241788A (ja) * 1996-03-04 1997-09-16 Kawasaki Steel Corp 耐衝撃性に優れる高張力鋼板およびその製造方法
JP3530356B2 (ja) * 1997-09-24 2004-05-24 新日本製鐵株式会社 高い動的変形抵抗を有する衝突時衝撃吸収用良加工性高強度冷延鋼板とその製造方法
JP3530353B2 (ja) * 1997-09-24 2004-05-24 新日本製鐵株式会社 高い動的変形抵抗を有する衝突時衝撃吸収用高強度冷延鋼板とその製造方法
JP3530355B2 (ja) * 1997-09-24 2004-05-24 新日本製鐵株式会社 高い動的変形抵抗を有する衝突時衝撃吸収用高強度熱延鋼板とその製造方法
JP3530354B2 (ja) * 1997-09-24 2004-05-24 新日本製鐵株式会社 高い動的変形抵抗を有する衝突時衝撃吸収用良加工性高強度熱延鋼板とその製造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55117504A (en) * 1979-02-28 1980-09-09 Kobe Steel Ltd Manufacture of steel sheet for high toughness line-pipe
JPH07207413A (ja) * 1994-01-12 1995-08-08 Nippon Steel Corp 加工性に優れた引張強さ45〜65kgf/mm2 の高強度複合組織冷延鋼板とその製造方法
JPH08291361A (ja) * 1995-04-21 1996-11-05 Kawasaki Steel Corp 耐衝撃性に優れる自動車用鋼板
JPH09241788A (ja) * 1996-03-04 1997-09-16 Kawasaki Steel Corp 耐衝撃性に優れる高張力鋼板およびその製造方法
JP3530356B2 (ja) * 1997-09-24 2004-05-24 新日本製鐵株式会社 高い動的変形抵抗を有する衝突時衝撃吸収用良加工性高強度冷延鋼板とその製造方法
JP3530353B2 (ja) * 1997-09-24 2004-05-24 新日本製鐵株式会社 高い動的変形抵抗を有する衝突時衝撃吸収用高強度冷延鋼板とその製造方法
JP3530355B2 (ja) * 1997-09-24 2004-05-24 新日本製鐵株式会社 高い動的変形抵抗を有する衝突時衝撃吸収用高強度熱延鋼板とその製造方法
JP3530354B2 (ja) * 1997-09-24 2004-05-24 新日本製鐵株式会社 高い動的変形抵抗を有する衝突時衝撃吸収用良加工性高強度熱延鋼板とその製造方法

Cited By (42)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4664475B2 (ja) * 2000-09-07 2011-04-06 新日本製鐵株式会社 加工性とスポット溶接性に優れた高強度冷延鋼板および高強度めっき鋼板とその製造方法
JP2002080931A (ja) * 2000-09-07 2002-03-22 Nippon Steel Corp 加工性とスポット溶接性に優れた高強度冷延鋼板および高強度めっき鋼板とその製造方法
JP2002226944A (ja) * 2001-02-02 2002-08-14 Kawasaki Steel Corp 化成処理性および耐食性に優れる熱延高張力鋼板およびその製造方法
JP4534362B2 (ja) * 2001-02-02 2010-09-01 Jfeスチール株式会社 化成処理性および耐食性に優れる熱延高張力鋼板およびその製造方法
US7267890B2 (en) 2001-06-06 2007-09-11 Nippon Steel Corporation High-strength hot-dip galvanized steel sheet and hot-dip galvannealed steel sheet having fatigue resistance corrosion resistance ductility and plating adhesion after servere deformation and a method of producing the same
WO2002101112A2 (en) * 2001-06-06 2002-12-19 Nippon Steel Corporation High-strength hot-dip galvanized steel sheet and hot-dip galvannealed steel sheet having fatigue resistance, corrosion resistance, ductility and plating adhesion, after severe deformation, and a method of producing the same
WO2002101112A3 (en) * 2001-06-06 2004-10-14 Nippon Steel Corp High-strength hot-dip galvanized steel sheet and hot-dip galvannealed steel sheet having fatigue resistance, corrosion resistance, ductility and plating adhesion, after severe deformation, and a method of producing the same
US7824509B2 (en) 2001-06-06 2010-11-02 Nippon Steel Corporation High-strength hot-dip galvanized steel sheet and hot-dip galvannealed steel sheet having fatigue resistance, corrosion resistance, ductility and plating adhesion, after severe deformation, and a method of producing the same
US8216397B2 (en) 2001-06-06 2012-07-10 Nippon Steel Corporation High-strength hot-dip galvanized steel sheet and hot-dip galvannealed steel sheet having fatigue resistance, corrosion resistance, ductility and plating adhesion, after severe deformation, and a method of producing the same
EP1389639A3 (en) * 2002-07-29 2005-06-08 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) Steel sheet with excellent bendability
JP2004204350A (ja) * 2002-12-10 2004-07-22 Nippon Steel Corp 塗装後耐食性に優れた良加工性高強度冷延鋼板
JP4856876B2 (ja) * 2002-12-20 2012-01-18 アルセロールミタル フランス 冷間圧延多相鋼製品の製造のための鋼組成物
JP2006510802A (ja) * 2002-12-20 2006-03-30 ユジノール(ソシエテ アノニム) 冷間圧延多相鋼製品の製造のための鋼組成物
JP2011231406A (ja) * 2002-12-20 2011-11-17 Arcelormittal France 冷間圧延多相鋼製品の製造のための鋼組成物
JP2005325393A (ja) * 2004-05-13 2005-11-24 Jfe Steel Kk 高強度冷延鋼板およびその製造方法
JP2007162078A (ja) * 2005-12-14 2007-06-28 Nippon Steel Corp 高強度鋼板及びその製造方法
JP2007177272A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Nippon Steel Corp 穴拡げ性に優れた高強度冷延薄鋼板及びその製造方法
JP2007177271A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Nippon Steel Corp 穴拡げ性に優れた高強度冷延薄鋼板及びその製造方法
WO2007111164A1 (ja) * 2006-03-28 2007-10-04 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho 加工性に優れた高強度鋼板
US8465600B2 (en) 2006-03-28 2013-06-18 Kobe Steel, Ltd. High-strength steel sheet having excellent workability
EP2236638A1 (en) * 2009-03-31 2010-10-06 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho High-strength cold-rolled steel sheet excellent in workability and shape freezing property
US8349471B2 (en) 2009-03-31 2013-01-08 Kobe Steel, Ltd. High-strength cold-rolled steel sheet excellent in workability and shape freezing property
JP2011038120A (ja) * 2009-08-06 2011-02-24 Nippon Steel Corp 延性、溶接性及び表面性状に優れた高強度鋼板及びその製造方法
JP2011149066A (ja) * 2010-01-22 2011-08-04 Sumitomo Metal Ind Ltd 冷延鋼板および熱延鋼板ならびにそれらの製造方法
EP2730672B1 (en) 2011-07-06 2018-02-14 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Cold-rolled steel sheet
EP2730671B1 (en) 2011-07-06 2017-11-01 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Hot-dip plated cold-rolled steel sheet and process for producing same
JPWO2014097559A1 (ja) * 2012-12-18 2017-01-12 Jfeスチール株式会社 低降伏比高強度冷延鋼板およびその製造方法
EP2937433A4 (en) * 2012-12-18 2016-02-17 Jfe Steel Corp COLD LAMINATED STEEL SHEET, OF HIGH STRENGTH AND LOW ELASTICITY RATIO AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME
CN104870676A (zh) * 2012-12-18 2015-08-26 杰富意钢铁株式会社 低屈服比高强度冷轧钢板及其制造方法
KR20150082612A (ko) * 2012-12-18 2015-07-15 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 저항복비 고강도 냉연 강판 및 그의 제조 방법
WO2014097559A1 (ja) * 2012-12-18 2014-06-26 Jfeスチール株式会社 低降伏比高強度冷延鋼板およびその製造方法
US10144996B2 (en) 2012-12-18 2018-12-04 Jfe Steel Corporation High strength cold rolled steel sheet with low yield ratio and method of manufacturing the same
JP5858174B2 (ja) * 2012-12-18 2016-02-10 Jfeスチール株式会社 低降伏比高強度冷延鋼板およびその製造方法
CN114585758A (zh) * 2019-10-11 2022-06-03 杰富意钢铁株式会社 高强度钢板和碰撞吸收构件以及高强度钢板的制造方法
CN114585759B (zh) * 2019-10-11 2023-04-07 杰富意钢铁株式会社 高强度钢板和碰撞吸收构件以及高强度钢板的制造方法
CN114585758B (zh) * 2019-10-11 2023-03-24 杰富意钢铁株式会社 高强度钢板和碰撞吸收构件以及高强度钢板的制造方法
CN114585759A (zh) * 2019-10-11 2022-06-03 杰富意钢铁株式会社 高强度钢板和碰撞吸收构件以及高强度钢板的制造方法
WO2022004817A1 (ja) * 2020-06-30 2022-01-06 Jfeスチール株式会社 鋼板、部材及びそれらの製造方法
JP7031801B1 (ja) * 2020-06-30 2022-03-08 Jfeスチール株式会社 亜鉛めっき鋼板、部材及びそれらの製造方法
CN115698362A (zh) * 2020-06-30 2023-02-03 杰富意钢铁株式会社 钢板、构件及它们的制造方法
JP7031800B1 (ja) * 2020-06-30 2022-03-08 Jfeスチール株式会社 鋼板、部材及びそれらの製造方法
WO2022004820A1 (ja) * 2020-06-30 2022-01-06 Jfeスチール株式会社 亜鉛めっき鋼板、部材及びそれらの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3619357B2 (ja) 2005-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6544354B1 (en) High-strength steel sheet highly resistant to dynamic deformation and excellent in workability and process for the production thereof
KR100334949B1 (ko) 동적변형 특성이 우수한 듀얼 페이즈형 고강도 강판 및 그 제조방법
JP3619357B2 (ja) 高い動的変形抵抗を有する高強度鋼板とその製造方法
KR100318213B1 (ko) 높은 동적 변형 저항을 가진 고 강도 강 시트 및 그 제조 방법
JP3793350B2 (ja) 動的変形特性に優れたデュアルフェーズ型高強度冷延鋼板とその製造方法
JP3492176B2 (ja) 高い動的変形抵抗を有する良加工性高強度鋼板とその製造方法
US6319338B1 (en) High-strength steel plate having high dynamic deformation resistance and method of manufacturing the same
JP2000239791A (ja) 耐衝撃性に優れた超微細粒熱延鋼板
JPH1161326A (ja) 耐衝突安全性及び成形性に優れた自動車用高強度鋼板とその製造方法
JP3936440B2 (ja) 耐衝突安全性と成形性に優れた自動車用高強度鋼板とその製造方法
JP3401427B2 (ja) 耐衝撃性に優れた高強度鋼板
JPH10259448A (ja) 静的吸収エネルギー及び耐衝撃性に優れた高強度鋼板並びにその製造方法
JPH10273752A (ja) 耐衝突安全性及び成形性に優れた自動車用高強度鋼板とその製造方法
JP3530353B2 (ja) 高い動的変形抵抗を有する衝突時衝撃吸収用高強度冷延鋼板とその製造方法
JP2002294400A (ja) 高張力鋼板およびその製造方法
JP2000290745A (ja) 疲労特性と衝突安全性に優れた加工用高強度鋼板及びその製造方法
JPH10158735A (ja) 耐衝突安全性及び成形性に優れた自動車用熱延高強度薄鋼板とその製造方法
JP3530356B2 (ja) 高い動的変形抵抗を有する衝突時衝撃吸収用良加工性高強度冷延鋼板とその製造方法
JPH10317096A (ja) 耐衝突安全性に優れた自動車用高強度鋼板とその製造方法
JP4237912B2 (ja) 高い動的変形抵抗と良好な成形性を有する高強度冷延鋼板とその製造方法
JP2001335891A (ja) 延性と耐衝撃特性に優れた高張力鋼板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040511

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20040525

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040723

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20040723

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041102

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041112

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071119

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081119

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081119

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091119

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101119

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101119

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111119

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111119

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121119

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121119

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131119

Year of fee payment: 9

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131119

Year of fee payment: 9

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131119

Year of fee payment: 9

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees