JP3401427B2 - 耐衝撃性に優れた高強度鋼板 - Google Patents

耐衝撃性に優れた高強度鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は主としてプレス成形
等の加工が施されて自動車用部品とされる自動車用薄鋼
板に関し、特に自動車が走行中に万一衝突した場合に優
れた耐衝撃性が求められる部品の素材鋼板として好適な
高強度鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車用鋼板は軽量化や安全対策
のために、様々な高強度化が図られてきた。その中に
は、鋼板に加工性を付与するフェライト相と、高強度を
付与する低温変態生成物であるベイナイト相やマルテン
サイト相を生成させて、加工性と高強度化の両立を図っ
た高強度鋼板がある。例えば、特開平6−240356
号公報や特開平3−180426号公報には、フエライ
ト相に加えてベイナイト相を生成させて加工性と高強度
を付与した高強度鋼板が開示されている。また、特開平
3−46540号公報や特開平2−1218号公報に
は、同様にフェライト相に加えてマルテンサイト相を生
成させて加工性と高強度を付与した高強度鋼板が開示さ
れている。
【0003】さらに、例えば特開昭60−43425号
公報に開示されているように、フェライト、ベイナイ
ト、マルテンサイトの外に残留γを導入して高強度化に
伴う加工性劣化を防止する技術も提案されている。
【0004】近年では、加工性のみならず、耐衝撃性に
優れた様々な鋼板が提案されている。例えば、特開平7
−18372号公報や特開平4−235253号公報に
は主要な組織をフェライト相やベイナイト相とし、さら
にこれらとは別に残留γを組織中に加えて耐衝撃特性を
向上させた高強度鋼板が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単にベ
イナイト相を主相とし、さらに残留γを加えても特開平
4−235253号公報の実施例に記載されているよう
に、低温における落下衝突による割れの発生、つまり低
温におけるクラックの発生伝搬は低減できても、実際の
自動車の衝突の際に引き起こされる高速変形時の衝突衝
撃エネルギーの吸収特性は特に良いわけではなかった。
【0006】本発明はかかる問題に鑑みなされたもの
で、プレス成形性が良好で、しかも高速変形時における
耐衝撃性に優れた高強度鋼板を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らの調査の結
果、自動車の衝突においては鋼板部材が最終的に圧壊し
た場合、耐衝撃性に対して素材鋼板としてはわずかに塑
性変形したところの特性が重要であることがわかった。
言い換えると、自動車での衝突による破壊や衝撃の特性
は、低温における鋼板のクラックの発生や伝搬特性には
無関係であり、具体的には高速変形モードにおける衝撃
吸収エネルギーは高速引張試験(歪み速度≧100
-1)により得られた応力−歪み曲線において歪みがお
よそ0〜5%までの単位体積当たりの吸収エネルギーの
大小によって影響されることがわかった。この吸収エネ
ルギーを高めるためには、素材鋼板の組織を単にベイナ
イト相を主相とし、残留γを加えただけでは不十分であ
り、発明者らによる研究の結果、特定の組織にする必要
が知見された。
【0008】すなわち、本発明者らは、高速変形モー
ド(歪み速度100s-1以上)で降伏点が高くなるベイ
ナイト相を鋼板組織の全相に拡げること、ほとんど全
相をベイナイト組織とした上に、高速変形モードにおい
て高い加工硬化率を得るために、ベイナイト相中に残留
γを生成させること、このベイナイトの硬度、さらに
は残留γ中の固溶炭素量を調整することにより、成形部
材の衝撃吸収エネルギーを高め得ることを見出した。
【0009】上記知見を基にしてなされた本発明は、相
中に残留γを有するベイナイト相を90面積%以上
し、前記残留γの量が1〜15%であり、ベイナイト相
の硬度が250Hv以下としたものである。この際、残
留γ中の固溶炭素量を1.5%以下とするのがよい。ま
た、鋼板成分としては、重量%で、 C :0.10〜0.25%、 Si:3.0%以下、 Mn:2.5%以下、 P :0.03%以下、 S :0.01%以下、 N :0.010%以下、 Al:0.02〜2.00%、 および残部実質的にFeとするものである。
【0010】本発明の鋼板について、まず鋼板組織につ
いて詳説する。本発明鋼板の組織は残留γを含むベイナ
イト相を90面積%以上とするもので、好ましくは全組
織の95面積%以上、より好ましくは組織中のほぼ全部
が残留γを含むベイナイト組織を呈するのがよい。これ
により高速変形モードでの降伏強度を高めることができ
る。もっとも、特性に影響しない程度の微量(10面積
%未満、好ましく5面積%未満)であればベイナイトお
よび残留γ以外の相(実質的にはフェライト)が含まれ
てもよい。
【0011】前記ベイナイト相の硬度については、25
0Hv以下、好ましくは220Hv以下とする。これに
より、高速変形時の衝撃吸収エネルギーが向上すること
が認められた。その理由は以下によるものと推察され
る。すなわち、250Hvを越える硬度であれば、鋼板
をプレス成形した場合にベイナイト相の加工において残
留γのほとんどが歪み誘起変態を起こし、プレス成形後
の鋼板中には残留γが少なくなるため、成形部材の衝撃
吸収エネルギーが低くなる。これに対して、ベイナイト
相の硬度が250Hv以下であるとベイナイト相に塑性
変形能があるために、プレス成形後の鋼板中に残留γが
適量残存した状態となり、鋼板加工部材の衝撃吸収エネ
ルギーが高くなるものと考えられる。
【0012】また、ベイナイト相中には、全組織に対し
て1〜15%(X線測定による測定量)の残留γが含有
されていることが必須である。ベイナイト相中に生成し
た残留γは、高速変形時のベイナイト相の変形とともに
歪誘起変態して高い加工硬化を示すことにより、高い衝
撃吸収エネルギーを示すが、残留γの量が15%を越え
た場合には、これを含むベイナイト相の降伏強度があま
り上昇せずに、逆に衝撃吸収エネルギーを低下させるよ
うになる。その理由は残留γ量が多過ぎると、完全に塑
性変形せず残存する残留γが多くなるため、高速変形モ
ードでのベイナイト相の降伏強度を低下させるものと思
われる。このため残留γの量は15%以下、好ましくは
10%以下とする。一方、残留γ量が1%未満では、ベ
イナイトに塑性変形能があるとはいえ、プレス成形後に
残存する残留γ量が過少となり、衝撃吸収エネルギーが
減少するようになる。
【0013】さらに、残留γの変形に対する歪誘起変態
のしやすさは、残留γの安定性に影響され、この安定性
は残留γ中の固溶炭素量に関係する。このため、高速変
形の初期段階で歪み誘起変態による加工硬化を有効に利
用することによって、耐衝撃特性をより向上させるに
は、残留γの安定性はある程度低い方がよく、残留γ中
の固溶炭素量を1.5%以下、より好ましくは1.0%
以下に規制するのがよい。
【0014】次に、前記組織を生成しやすい本発明鋼板
の成分について説明する。単位は重量%である。
【0015】C:0.10〜0.25% Cは必要な強度を得て、さらに組織中のほぼ全相をベイ
ナイト相とし、さらにそのベイナト相中に残留γを生成
させるために重要な元素である。0.10%未満では、
全相ベイナイトとすることができず、またオーステナイ
ト相からの冷却速度を非常に大きくしてベイナイト相を
生成させても、このベイナイト相中に残留γを残存させ
ることができない。一方、C量が0.25%を越える場
合、鋼中の組織にはパーライト相が生成しやすくなるば
かりでなく、特にスポット溶接性が急激に劣化して実用
上の障害となる。このため、C量は下限を0.10%、
上限を0.25%とする。
【0016】Si:3.0%以下 SiはCと同様に鋼の高強度化に寄与する元素である。
また、Siは熱延材料の巻取処理や冷延焼鈍材料の焼鈍
熱処理中にベイナイト相がパーライトに分解することを
押さえ、ベイナイト相中に残存するオーステナイト(残
留γ)が炭化物に分解することを抑える効果があり、残
留γを含む全相ベイナイトの生成には有効な元素であ
る。このため、Siは1.0%以上含有することが好ま
しい。しかし、多量に添加すると組織中にフェライト相
が生成し易くなり、全相ベイナイト組織の生成を阻害す
る。また、実用的な点では多量に添加した場合には、そ
のスケール生成のために鋼板表面の欠陥が多くなる。こ
のため、Si量の上限を3.0%とする。
【0017】Mn:2.5%以下 MnもCやSiと同様に、鋼の高強度化に寄与する元素
である。また、オーステナイト中の固溶炭素量の固溶限
を上げ、残留γを生成し易くする。このため、Mnは
1.0%以上含有することが好ましい。しかし、多量に
添加した場合には中心偏析の原因となってスラブ割れ
や、加工性劣化の原因となる。よって、上限を2.5%
とする。
【0018】P:0.03%以下 Pは固溶強化として働く元素であり、高強度化のために
有効である。しかし、多量に添加した場合には偏析し易
い元素であるために割れや加工性劣化を招く。このた
め、上限を0.03%とする。
【0019】S:0.01%以下 SはMnSの形態で介在物として鋼中に存在し、熱間で
の割れや加工中の割れ発生の原因となる。また、伸びフ
ランジ性等を劣化させるために、含有量を少なくする方
が良い。しかし、製鋼上の限界を考慮して、その上限を
0.01%とする。
【0020】N:0.010%以下 Nはオーステナイト相の安定化元素であり、オーステナ
イト中に固溶してγ相の生成を促進し、その分解を抑え
る効果がある。しかし、0.010%を越えるとその効
果は飽和し、またAlが含有する場合ではAlNなどの
介在物を生成して材質劣化を引き起こすことがある。こ
のため、上限を0.010%とする。
【0021】Al:0.02〜2.00% Alは鋼の脱酸成分としておよそ0.02〜0.100
%が残存する。また、Alはパーライト変態を押える効
果があり、ベイナイト相中に生成した残留γの分解を抑
える効果がある。この効果は2.00を超えると飽和す
るようになる。また、多量にAlを添加した場合にはア
ルミナなどの介在物が生成して材質劣化を引き起こすこ
とがある。このため上限を2.00%とする。
【0022】本発明鋼板は上記成分および残部実質的に
Feで形成されるが、下記のNi、Nb、Tiの一種以
上を添加することができ、(1) 主成分+Ni、(2) 主成
分又は前記(1) の成分+Nb、(3) 主成分,前記(1) 又
は(2) の成分+Tiのいずれかとすることができる。
【0023】Ni:2.0%以下 Niはオーステナイト安定化元素であり、残留γを生成
させ、さらに残留γの分解を抑える効果がある。しか
し、2.0%を越えて添加すると鋼板の硬化を招き、加
工性などを劣化させる。このため、上限を2.0%とす
る。
【0024】Nb:0.1%以下 Nbは組織を細粒化するとともに均一化して、焼き入れ
性の向上による高強度化に寄与する。しかし、0.1%
を越えて添加すると、変形抵抗を高めて熱延や冷延が困
難になるため、上限を0.1%とする。
【0025】Ti:0.1%以下 Tiはスラブ割れを防止し、組織の均一化に有効である
が、0.1%を越えて添加すると、溶接性が劣化するよ
うになるため、上限を0.1%とする。
【0026】次に、本発明鋼板の製造方法の一例につい
て説明する。上記成分の鋼を用いて、一旦オーステナイ
ト相に加熱後またはオーステナイト域にて圧延を終了し
た後、フェライト変態が生じることのない急冷により、
およそ400℃前後の温度まで冷却し、その後空冷し、
あるいはその温度である程度保持した後空冷することに
より、相中に残留γを含む全相ベイナイト組織を持つ鋼
板を得ることができる。もちろん本発明の意図している
組織を得るための製造条件として上記条件に限定される
ものではない。
【0027】
【実施例】下記表1の化学成分の鋼を溶製して、実験用
スラブとした後に1200℃に加熱後、仕上げ温度90
0℃以上にて熱延を終了し、70℃/sにて480℃ま
で冷却後、巻取り温度に相当する390〜430℃にて
0〜60分間保持して空冷して熱延鋼板を作製した。ま
た、1200℃に加熱後、仕上げ温度950℃にて熱延
を終了した後、空冷した熱延板を酸洗後、冷間圧延を施
し、ソルトバス処理にて一旦オーステナイト相に加熱
後、70℃/sにて400℃の温度まで冷却後、400
℃で10〜30分間保持後、空冷を行って冷延鋼板を作
製した。鋼板の板厚はいずれも板厚1.6mmであった。
【0028】
【表1】
【0029】得られた鋼板から組織観察用のサンプルを
取り、断面をレペラー腐食によって顕微鏡観察して、フ
ェライトの有無および量、ベイナイト相とその内部に残
留γがあるか否かを確認した。また、ベイナイト相の硬
度については、ミクロビッカースにより、およそ10個
程度の各粒の硬度を測定し、その平均値を採用した。ま
た、残留γ量はX線測定によってその量を測定した。残
留γ中に含まれるC量についてはX線回折によるピーク
のずれを測定してオーステナイト格子のずれからC%濃
度を評価した。これらの測定結果、評価結果を熱延後の
保持温度および保持時間とともに表2に示す。
【0030】前記鋼板を用いて、図2に示す衝撃圧壊試
験部材を製作した。この試験部材は横断面がハット形の
本体1をプレス成形により製作後、開口部に同材質の鋼
板からなる平板2を付設して、開口縁に形成されたフラ
ンジ部にて長手方向に50mmピッチでスポット溶接し、
さらに長手方向の両端に端板3,3を溶接したものであ
る。同図の数字は寸法(mm)を示す。
【0031】前記衝撃圧壊試験部材を用いて高速変形時
の衝撃吸収エネルギーを測定した。図3は測定に用いた
衝撃圧壊試験装置であり、ベースプレート10にはガイ
ド柱12が立設され、該ガイド柱12に落錘13が上下
移動自在に設けられ、落錘13はガイド柱12の上部に
て切離し装置14により着脱自在に支持されている。該
切離し装置14は電動ウインチ15によって上下移動自
在にとされ、落錘13を所定の落下高さに支持してい
る。一方、前記ガイド柱12の基部には基台11が備え
られ、該基台11の内部には落錘13の中心線上にロー
ドセル16が設けられ、その上に前記衝撃圧壊試験部材
17が立設されている。また、基台11の上部には衝撃
吸収用パイプ18が載置されている。
【0032】試験条件は落錘13の重量を約200kgと
し、落錘13の衝突時の速度が50km/hrとなるように
落下高さ(落錘下端から試験部材上端までの距離)を1
1.3mに調節した。この試験装置により、圧壊による
歪み−応力特性を調査し、試験部材に落錘が衝突してか
ら150mm変位するまでの衝撃吸収エネルギーを求め、
この値によって高速変形時の耐衝撃特性を評価した。試
験結果を表2に併せて示す。また、試料No. 1から15
について衝撃吸収エネルギーに対する残留γおよびベイ
ナイト相硬度との関係を整理したグラフを図1に示す。
【0033】
【表2】
【0034】表2および図1より、試料No. 1および2
は残留γが生成しておらず、フェライト・ベイナイト組
織であるため、衝撃吸収エネルギーが低い。また、試料
No.3は残留γ量が多いため、衝撃吸収エネルギーが低
く、試料No. 11〜13はベイナイト相の硬度が高いた
め、やはり衝撃吸収エネルギーが低い。
【0035】他の試料は発明例であり、良好な結果が得
られているが、試料No. 7は残留γ量がやや多く、No.
14,15はベイナイト相の硬度がやや高く、No. 1
6,34は残留γ中の固溶炭素量がやや多いため、それ
ぞれ衝撃吸収エネルギーが若干劣る。また、No. 21,
22は残留γ中の固溶炭素量が比較的多いため、固溶炭
素量が1.5%以下のものに比して衝撃吸収エネルギー
がやや劣る。
【0036】
【発明の効果】本発明の高強度鋼板によれば、良好な加
工性を有するとともに、高速変形時の耐衝撃性に優れ、
特に衝突時の耐衝撃性が要求される自動車用部品の素材
高強度鋼板として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における衝撃吸収エネルギーに対する残
留γ量とベイナイト相硬度との関係を示すグラフ図であ
る。
【図2】実施例で用いた衝撃圧壊試験部材の構造図であ
り、(a)は斜視図、(b)はA線断面図である。
【図3】衝撃圧壊試験装置の全体説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−235253(JP,A) 特開 平11−189839(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.10〜0.25%、 Si:3.0%以下、 Mn:2.5%以下、 P :0.03%以下、 S :0.01%以下、 N :0.010%以下、 Al:0.02〜2.00%、 および残部実質的にFeからなり、 相中に残留γを有す
    るベイナイト相を90面積%以上とし、前記残留γの量
    が1〜15%であり、ベイナイト相の硬度が250Hv
    以下である耐衝撃性に優れた高強度鋼板。
  2. 【請求項2】 さらに、 Ni:2.0%以下、 Nb:0.1%以下、 Ti:0.1%以下 の一種以上を含む 請求項1に記載した耐衝撃性に優れた
    高強度鋼板。
  3. 【請求項3】 残留γ中の固溶炭素量が1.5%以下で
    ある請求項1又は2に記載した耐衝撃性に優れた高強度
    鋼板。
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