JPH11189559A - アルコール類の製造方法 - Google Patents

アルコール類の製造方法

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JPH11189559A
JPH11189559A JP9359656A JP35965697A JPH11189559A JP H11189559 A JPH11189559 A JP H11189559A JP 9359656 A JP9359656 A JP 9359656A JP 35965697 A JP35965697 A JP 35965697A JP H11189559 A JPH11189559 A JP H11189559A
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秀行 池平
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邦彦 村田
Takao Ikariya
隆雄 碇屋
Takeshi Okuma
毅 大熊
Ryoji Noyori
良治 野依
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高純度、高収率で光学活性アルコール類を製
造する実用性に優れた方法を提供する。 【解決手段】 一般式 【化1】 (式中、R1 、R2 は水素原子、ハロゲン原子、置換基
を有していてもよい炭化水素基または複素環基、もしく
はRO−またはRO−CO−で、Rは、置換基を有して
いてもよい炭化水素基または複素環基を示し、R1 およ
びR2 は、結合して環を形成していてもよく、ただ、R
1 およびR2 がともにハロゲン原子となることがないこ
とを示す。)で表されるカルボニル化合物を遷移金属触
媒と含窒素有機化合物と塩基の存在下に水素と反応させ
て水素化し、対応するアルコール類を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この出願の発明は、カルボニル化
合物を医薬、農薬あるいは多くの汎用化学品の合成中間
体として有用なアルコー類に高収率にしかも高速に水素
化することのできるアルコール類の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術とその課題】均一系触媒を使用してカルボ
ニル化合物類の水素化により対応するアルコール類を製
造することは周知である。例えば(1) Comprehensive
OrganometallicChemistry, Vol. 4,931頁(1982), Ed
s.G.Wilkinson, F.G.A.Stone and E.W.Abel に記載され
たルテニウム錯体を用いる方法、(2)Inorg,Nucl.Che
m.Letters,Vol.12,865頁(1976);J.Organomet. Chem.,
Vol.129, 239頁(1977);Chem.Letters,261頁(1982)およ
びTetrahedron Letters, Vol.35,4963頁(1994)に記載さ
れたロジウム錯体を用いる方法、(3) J.Am.Chem.So
c.,Vol.115,3318頁(1993)に記載されたイリジウム錯体
を用いる方法等が知られている。また、(4)J.Am.Che
m.Soc.,Vol.117,2675-2676頁(1995)に記載されるホスフ
ィンおよびジアミン配位子の存在下に水素化する方法な
ども知られている。
【0003】しかしながらこれらの従来の方法では、錯
体触媒の水素化活性が低く、比較的高温あるいは高い水
素圧を必要とするため実用的には必ずしも適さないとい
う問題点がある。さらに、前記(4)文献記載との方法
は、選択性および活性の点で優れているもののホスフィ
ン−ルテニウム錯体を用いているので、毒性の観点から
特に安全とは言えず、かつ、工業的に回収使用する場合
にも難点がたった。
【0004】そこで、この出願の発明は、上記従来技術
における欠点を克服し、安価で実用的なルテニウム錯体
を使用し、極めて高活性な触媒系を提供し、この触媒系
を用いてのアルコール類の製造方法を提供することを目
的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわちこの出願の発明
は、上記課題を解決するものとして、液体反応媒体中に
おいて均一水素化触媒と含窒素有機化合物と塩基と水素
の存在下にカルボニル化合物を対応するアルコール類に
水素化することが特徴とするアルコール類の製造方法を
提供する。
【0006】そしてまた、この出願の発明は、この方法
のための、均一水素化触媒と含窒素有機化合物と塩基と
からなる触媒系をも提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記のとおり
の特徴をもつものであるが、以下、この実施の形態につ
いて詳しく説明する。まず、アルコール類製造のための
原料化合物としてのカルボニル化合物であるが、このも
のはカルボニル基(−CO−)を持つ任意のものであっ
てよいが、代表的には、次式
【0008】
【化2】
【0009】(式中、R1 、R2 は水素原子、ハロゲン
原子、置換基を有していてもよい炭化水素基または複素
環基、もしくはRO−またはRO−CO−で、Rは、置
換基を有していてもよい炭化水素基または複素環基を示
し、R1 およびR2 は、結合して環を形成していてもよ
く、ただ、R1 およびR2 がともにハロゲン原子となる
ことがないことを示す。)で表われるものが示される。
【0010】炭化水素基としてはアルキル基、アルケニ
ル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリー
ル基、アラルキル基の各種のもので、また複素環基につ
いても、フリル基、チェニル基、イミダゾール基、ピペ
リジル基、ピリジン基、カルバゾール基等の各種のもの
であってよい。一般式(a)で示すカルボニル化合物は
具体的にはR1 、R2 は同じかもしくは異なっていても
よく、さらにR1 とR2 が結合して環を形成してもよい
置換あるいは無置換の基であり、具体的にはR1 、R2
において、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子などが、アルキル基として
は、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチ
ル基、n−アミル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル
基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル
基、メンチル基、2,3,4−トリメチル−3−ペンチ
ル基、2,4−ジメチル−3−ペンチル基などが、アラ
ルキル基としてはベンジル基、2−フェニルエチル基、
2−ナフチルエチル基、ジフェニルメチル基などが、ア
リール基としてはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル
基、フリル基、チオフェニル基、などが、アルケニル基
としては2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル
基、トランス−β−スチリル基、3−フェニル−1−プ
ロペニル基、1−シクロヘキセニル基などが、アルコキ
シル基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキ
シ基、t−ブトキシ基などが、アリールオキシ基として
はフェノキシ基などが、アルキルオキシカルボニル基と
してはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、
t−ブチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボ
ニル基、フェニルオキシカルボニル基などがそれぞれ例
示される。これらの基がさらに置換基で置換されている
場合の置換基としては、前記したと同様のハロゲン原
子、前記したと同様のアルコキシル基、前記したと同様
のアリールオキシ基、メチル基、エチル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、n
−ヘキシル基などの低級アルキル基、n−プロピルチオ
基、t−ブチルチオ基などの低級アルキルチオ基、フェ
ニルチオ基などのアリールチオ基、ニトロ基、水酸基な
どが例示される。
【0011】このようなカルボニル化合物の水素化に
は、この発明では、 均一水素化触媒 含窒素有機化合物 塩基 の三成分触媒系が使用されるが、このうちの均一水素化
触媒については、反応条件下に液体反応媒体は可溶化さ
れる第VIII族金属の遷移金属触媒、なかでも、Rh(ロ
ジウム)、Ru(ルテニウム)、Ir(イリジウム)、
Pt(白金)の錯体が効果的に用いられる。
【0012】代表的な遷移金属媒体触媒としてルテニウ
ム錯体触媒を示すと、次式
【0013】
【化3】
【0014】(Xは水素、ハロゲン原子、カルボキシル
基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、Lは有機配位子等を
示す。mおよびnは0〜6の整数を示す。)のものが示
される。式RuXmLnで示されるルテニウム錯体にお
けるL:有機配位子としては、CO,NO,NH2 ,N
3 なども含め、オレフィン類配位子、アセチレン類配
位子、芳香族化合物配位子、有機含酸素化合物配位子、
有機含硫黄化合物配位子、有機含窒素化合物配位子など
とすることができる。オレフィン類配位子としては、例
えば、エチレン、アリル、ブタジエン、シクロヘキセ
ン、1,3−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオク
タジエン、シクロオクタトリエン、ノルボナジエン、ア
クリル酸エステル、メタクリル酸エステル、シクロペン
タジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、など
が例示される。さらに環状化合物としては、次式で表す
ことができる単環もしくは多環化合物がある。
【0015】
【化4】
【0016】R1 〜R5 は同じかもしくは異なる置換基
からなり、たとえば水素原子、ハロゲン原子、置換基を
有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよ
いアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール
基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を
有していてもよいアルコキシル基またはアルキルオキシ
カルボニル基を示すことができる。具体的には、ハロゲ
ン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ
素原子などが、アルキル基としては、たとえばメチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−アミル
基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル
基、n−オクチル基、n−ノニル基、メンチル基、2,
3,4−トリメチル−3−ペンチル基、2,4−ジメチ
ル−3−ペンチル基などが、アラルキル基としてはベン
ジル基、2−フェニルエチル基、2−ナフチルエチル
基、ジフェニルメチル基などが、アリール基としてはフ
ェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フリル基、チオ
フェニル基、などが、アルケニル基としては2−メチル
−1−プロペニル基、2−ブテニル基、トランス−β−
スチリル基、3−フェニル−1−プロペニル基、1−シ
クロヘキセニル基などが、アルコキシル基としてはメト
キシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、t−ブトキシ
基などが、アリールオキシ基としてはフェノキシ基など
が、アルキルオキシカルボニル基としてはメトキシカル
ボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブチルオキシカ
ルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、フェニルオ
キシカルボニル基などがそれぞれ例示される。これらの
基がさらに置換基で置換されている場合の置換基として
は、前記したと同様のハロゲン原子、前記したと同様の
アルコキシル基、前記したと同様のアリールオキシ基、
メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
t−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基などの低
級アルキル基、n−プロピルチオ基、t−ブチルチオ基
などの低級アルキルチオ基、フェニルチオ基などのアリ
ールチオ基、ニトロ基、水酸基などが例示される。置換
基はその数は1〜5の任意の数であり、場所は任意の場
所を選ぶことができる。
【0017】アセチレン類配位子としては、アセチレ
ン、1,2−ジメチルアセチレン、1,4−ペンタジイ
ン、1,2−ジフェニルアセチレン、などが例示され
る。芳香族化合物配位子としては、ベンゼン、p−シメ
ン、メシチレン、ヘキサメチルベンゼン、ナフタレン、
アントラセンなどが例示されるが、さらに配位子となり
得る芳香族化合物は、次式で表すことができる単環もし
くは多環芳香族化合物である。
【0018】
【化5】
【0019】Ra 〜Rf は同じかもしくは異なる置換基
からなり、たとえば水素、飽和あるいは不飽和炭化水素
基、アリル基、異原子を含む官能基を示すことができ
る。例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−
ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル等のアルキル
基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、
シクロヘキシル等のシクロアルキル基、ベンジル、ビニ
ル、アリル、フェニル、ナフチルなどの不飽和炭化水素
等の基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルコキシカ
ルボニル基等の異原子を含む官能基を示すことができ
る。置換基はその数は1〜6の任意の数であり、場所は
任意の場所を選ぶことができる。
【0020】有機含酸素化合物配位子としては、例え
ば、アセテート、ベンゾエート、アセチルアセトナート
などが例示される。有機含硫黄化合物配位子としては、
例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルフィド、
チオフェン、二硫化炭素、硫化炭素、チオフェノールな
どが例示される。
【0021】有機含窒素化合物配位子としては、例え
ば、アセトニトリル、ベンゾニトリル、t−ブチルイソ
シアニド、ピリジン、1,10−フェナントロリン、
2,2′−ビピリジルなどが例示される。たとえば以上
のような配位子を持つ金属錯体触媒は、各種の方法によ
って合成ないし調整することができる。
【0022】たとえば出発原料となるルテニウム錯体の
例としては、塩化ルテニウム(III)水和物、臭化ルテニ
ウム(III) 水和物、沃化ルテニウム(III) 水和物等の無
機ルテニウム化合物、〔2塩化ルテニウム(ノルボルナ
ジエン)〕多核体、〔2塩化ルテニウム(シクロオクタ
ジエン)〕多核体等のジエンが配位したルテニウム化合
物、〔2塩化ルテニウム(ベンゼン)〕二核体、〔2塩
化ルテニウム(p−シメン)〕二核体、〔2塩化ルテニ
ウム(トリメチルベンゼン)〕二核体、〔2塩化ルテニ
ウム(ヘキサメチルベンゼン)〕二核体等の芳香族化合
物が配位したルテニウム錯体等が用いられる。この他、
ジアミン配位子あるいはジアミン配位子と置換可能な配
位子を有するルテニウム錯体であれば、特に、上記に限
定されるものではない。例えば、COMPREHENSIVE ORGANO
METALIC CHEMISTRY II7巻 294−296ページに示
された、種々のルテニウム錯体を出発原料として用いる
ことができる。
【0023】以上の錯体についてはルテニウム以外にも
ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金の錯体も好ま
しくは使用されるが、なかでもルテニウム錯体が高い活
性を有する。もちろん本発明に用いられる錯体はこれに
何ら限定されるものではない。上記の第VIII族遷移金属
錯体の使用量は反応容器や経済性によっても異なるが反
応基質であるカルボニル化合物に対してモル比1/10
0〜1/100,000用いることができ、好ましくは
1/200〜1/10,000の範囲でとする。
【0024】また、この発明に用いられる塩基について
は、たとえば一般式MYで示されるものであって、Mは
アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属であり、Yはヒ
ドロキシル基あるいはアルコキシ基、メルカプト基、ナ
フチル基を示すもの、具体的にはKOH、KOCH3
KOCH(CH3 2 、KC108 、LiOH、LiO
CH3 、LiOCH(CH3 2 等が例示される。さら
に四級アンモニウム塩も同様に用いることができる。
【0025】上記の塩基の使用量は第VIII族遷移金属錯
体に対して0.5〜100当量であり、好ましくは2〜
40当量が望ましい。さらにこの発明においては、含窒
素有機化合物を反応系に使用するが、この場合の含窒素
有機化合物としては、代表的にはアミン、アミン誘導
体、ニトリル、イソシアニド等があるが、なかでもアミ
ンまたはアミン誘導体が適当なものとして挙げられる。
【0026】使用に適したアミン化合物は一般式NR3
4 5 で示される第1級アミンまたは第2級アミン、
あるいは一般式NR6 7 N−Z−NR8 9 で示され
るジアミンがある。ここで、(R3 、R4 、R5
6 、R7 、R8 、R9 は、たとえば水素あるいは炭素
数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリル
基、アリール基等の炭化水素基のうちの同一あるいは異
なる基を示し、環状アミンを形成してもよい。またZは
炭素数1〜5のアルキル基、シクロアルキル基、アリー
ル基等の炭化水素基から選ばれる基を示す。その例とし
てアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピル
アミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミ
ン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベ
ンジルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプ
ロピルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロペンチルア
ミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ジ
フェニルアミン、フェニルエチルアミン、ピペリジン、
ピペラジンなどのモノアミン化合物、さらにメチレンジ
アミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパ
ン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタ
ン、2,3−ジアミノブタン、1,2−シクロペンタン
ジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、N−メチ
ルエチレンジアミン、N,N′−ジメチルエチレンジア
ミン、N,N,N′−トリメチルエチレンジアミン、
N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、
o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンなど
ジアミン化合物が例示される。
【0027】これら化合物の使用量は遷移金属錯体に対
し、モノアミン化合物の場合は1〜20当量で、さらに
2〜8当量が好適であり、ジアミン化合物の場合は0.
5〜20当量で好ましくは1〜6当量の範囲である。こ
の発明の還元反応においては、これらアミン化合物の添
加は必須であり、比較例に記載したように添加しない場
合には、還元生成物の収率は極端に低下する。
【0028】この発明の方法では、液体溶媒は、反応原
料、触媒系を可溶化するものであれば適宜に用いること
ができる。その例としては、トルエン、キシレンなどの
芳香族溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族溶媒、塩
化メチレンなどのハロゲン含有炭化水素溶媒、エーテ
ル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メタノ
ール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ベ
ンジルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトニト
リル、DMF、N−メチルピロリドン、ピリジン、DM
SOなどヘテロ原子を含む有機溶媒を用いることができ
る。反応生成物がアルコールであることからアルコール
系溶媒が好適である。これら液体溶媒は単独でも用いる
ことができるがこれらのうちから混合溶媒としても使う
ことができる。
【0029】溶媒の量は反応基質の溶解度および経済性
により判断される。2−プロパノールの場合基質濃度は
1%以下の低濃度から基質だけの無溶媒に近い状態で行
うことができるが、好ましくは20〜50重量%で用い
ることができる。この発明の方法における水素の圧力
は、1〜200気圧の範囲で、好ましくは3〜100気
圧の範囲が望ましい。
【0030】反応温度は経済性を考慮して15℃から1
00℃で行うことが好ましいが25〜40℃の室温付近
で反応を実施することができる。しかしながら本発明に
おいては−30〜0℃の低温でも反応が進行することを
特徴としている。反応時間は反応基質濃度、温度、圧力
等の反応条件によって異なるが数分から10時間で反応
は完結する。
【0031】反応は反応形式がバッチ式においても連続
式においても実施することができる。
【0032】
【実施例】以下実施例を示し、さらに詳しくこの発明方
法について説明する。実施例1 〔RuCl2 (cod)〕2 (2.8mg,0.01m
mol)とKOH(0.04mmol)とエチレンジア
ミン(0.02mmol)とベンゾフェノン(91m
g,5.0mmol)を10moの2−プロパノールと
2mlのトルエンおよび100μlのDMFに溶解させ
脱気しアルゴン置換した後100mlの金属製オートク
レーブに全量を移した後水素を所定圧(40気圧)まで
仕込み反応を開始した。
【0033】反応液を3時間攪拌の後、反応圧力を常圧
にもどし反応液のTLCモニター(シリカゲル:n−ヘ
キサン/酢酸エチル=4/1)、高速液体クロマトグラ
フィーおよびNMRにより生成物であるベンズヒドロー
ルの同定と定量を行った。反応基質はすべて消費され、
生成物の収率は99%以上であった。実施例2 〔RuCl2 (cod)〕2 (2.8mg,0.01m
mol)とKOH(0.04mmol)とエチレンジア
ミン(0.02mmol)と2−クロルベンゾフェノン
(1.083g,5.0mmol)を10moの2−プ
ロパノールと2mlのトルエンおよび100μlのDM
Fに溶解させ脱気しアルゴン置換した後100mlの金
属製オートクレーブに全量を移した後水素を所定圧(4
0気圧)まで仕込み反応を開始した。
【0034】反応液を3時間攪拌の後、反応圧力を常圧
にもどし反応液のTLCモニター(シリカゲル:n−ヘ
キサン/酢酸エチル=4/1)、高速液体クロマトグラ
フィーおよびNMRにより生成物であるベンズヒドロー
ルの同定と定量を行った。反応基質はすべて消費され、
生成物の収率は97%以上であった。実施例3 〔RuCl2 (cod)〕2 (2.8mg,0.01m
mol)とKOH(0.04mmol)と1,2−ジフ
ェニルエチレンジアミン(0.02mmol)と2,
4′−ジクロルベンゾフェノン(1.255g,5.0
mmol)を10mlの2−プロパノールと2mlのト
ルエンおよび100μlのDMFに溶解させ脱気しアル
ゴン置換した後100mlの金属製オートクレーブに全
量を移した後水素を所定圧(40気圧)まで仕込み反応
を開始した。
【0035】反応液を3時間攪拌の後、反応圧力を常圧
にもどし反応液のTLCモニター(シリカゲル:n−ヘ
キサン/酢酸エチル=4/1)、高速液体クロマトグラ
フィーおよびNMRにより生成物であるベンズヒドロー
ルの同定と定量を行った。反応基質はすべて消費され、
生成物の収率は96%以上であった。実施例4 〔RuCl2 (p−cymene)〕2 (6.1mg,
0.01mmol)とKOH(0.04mmol)と
1,2−ジフェニルエチレンジアミン(0.02mmo
l)と4−クロルベンゾフェノン(1.083g,5.
0mmol)を10mlの2−プロパノールと2mlの
トルエンに溶解させ脱気しアルゴン置換した後100m
lの金属製オートクレーブに全量を移した後水素を所定
圧(40気圧)まで仕込み反応を開始した。
【0036】反応液を3時間攪拌の後、反応圧力を常圧
にもどし反応液のTLCモニター(シリカゲル:n−ヘ
キサン/酢酸エチル=4/1)、高速液体クロマトグラ
フィーおよびNMRにより生成物であるベンズヒドロー
ルの同定と定量を行った。反応基質はすべて消費され、
生成物の収率は98%であった。実施例5 〔RuCl2 (p−cymene)〕2 (6.1mg,
0.01mmol)とKOH(0.04mmol)と
1,2−ジフェニルエチレンジアミン(0.02mmo
l)とアセトフェノン(0.601g,5.0mmo
l)を10mlの2−プロパノールと2mlのトルエン
および100μlのDMFに溶解させ脱気しアルゴン置
換した後100mlの金属製オートクレーブに全量を移
した後水素を所定圧(40気圧)まで仕込み反応を開始
した。
【0037】反応液を3時間攪拌の後、反応圧力を常圧
にもどし反応液をガスクロマトグラフィー、高速液体ク
ロマトグラフィーおよびNMRにより生成物である1−
フェニルエタノールの同定と定量を行った。反応基質は
すべて消費され、生成物の収率は98%であった。実施例6 〔RuCl2 (p−cymene)〕2 (6.1mg,
0.01mmol)とKOH(0.04mmol)と
1,2−ジフェニルエチレンジアミン(0.02mmo
l)とシクロヘキサノン(0.491g,5.0mmo
l)を10mlの2−プロパノールと2mlのトルエン
および100μlのDMFに溶解させ脱気しアルゴン置
換した後100mlの金属製オートクレーブに全量を移
した後水素を所定圧(40気圧)まで仕込み反応を開始
した。
【0038】反応液を3時間攪拌の後、反応圧力を常圧
にもどし反応液をガスクロマトグラフィー、高速液体ク
ロマトグラフィーおよびNMRにより生成物であるシク
ロヘキサノールの同定と定量を行った。反応基質はすべ
て消費され、生成物の収率は95%であった。実施例7 〔RuCl2 (p−cymene)〕2 (6.1mg,
0.01mmol)とKOH(0.04mmol)と
1,2−ジフェニルエチレンジアミン(0.02mmo
l)と2−オクタノン(0.641g,5.0mmo
l)を10mlの2−プロパノールと2mlのトルエン
に溶解させ脱気しアルゴン置換した後100mlの金属
製オートクレーブに全量を移した後水素を所定圧(40
気圧)まで仕込み反応を開始した。
【0039】反応液を3時間攪拌の後、反応圧力を常圧
にもどし反応液をガスクロマトグラフィー、高速液体ク
ロマトグラフィーおよびNMRにより生成物である2−
オクタノールの同定と定量を行った。反応基質はすべて
消費され、生成物の収率は95%であった。比較例1 〔RuCl2 (cod)〕2 (2.8mg,0.01m
mol)とKOH(0.04mmol)とベンゾフェノ
ン(91mg,5.0mmol)を10mlの2−プロ
パノールと2mlのトルエンに溶解させ脱気しアルゴン
置換した後100mlの金属製オートクレーブに全量を
移した後水素を所定圧(40気圧)まで仕込み反応を開
始した。反応液を18時間攪拌の後、反応圧力を常圧に
もどし反応液のTLCモニター(シリカゲル:n−ヘキ
サン/酢酸エチル=4:1)、高速液体クロマトグラフ
ィーおよびNMRにより生成物であるベンズヒドロール
の同定と定量を行った。反応基質97%を残存し、生成
物の収率は3%以下であった。
【0040】
【発明の効果】この出願の発明は、以上詳しく説明した
とおり、安価で実用的な、高活性ルテニウム触媒を使用
し、効率的にアルコール類を製造することが可能とな
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 35/08 C07C 35/08 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 池平 秀行 京都府向日市上植野町菱田1−5 (72)発明者 村田 邦彦 愛知県豊田市八草町釜ノ前551−2 KS マンションD−20 (72)発明者 碇屋 隆雄 東京都北区田端4−5−5−602 (72)発明者 大熊 毅 愛知県愛知郡長久手町戸田谷1505 ハビテ ーション3−B (72)発明者 野依 良治 愛知県日進市梅森町新田135−417

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体反応媒体中において均一水素化触媒
    と含窒素有機化合物と塩基と水素の存在下にカルボニル
    化合物を対応するアルコール類に水素化することを特徴
    とするアルコール類の製造方法。
  2. 【請求項2】 均一系水素化触媒が反応条件下に液体反
    応媒体に可溶化される第VIII族金属の遷移金属触媒であ
    る請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 遷移金属触媒が、ロジウム、ルテニウ
    ム、イリジウム、または白金の金属錯体である請求項2
    の方法。
  4. 【請求項4】 含窒素有機化合物が、アミン化合物ある
    いはアミン誘導体である請求項1ないし3のいずれかの
    方法。
  5. 【請求項5】 塩基がアルカリ金属またはアルカリ土類
    金属の水酸化物あるいは塩であるか四級アンモニウム塩
    である請求項1ないし4のいずれかの方法。
  6. 【請求項6】 カルボニル化合物が一般式 【化1】 (式中、R1 、R2 は水素原子、ハロゲン原子、置換基
    を有していてもよい炭化水素基または複素環基、もしく
    はRO−またはRO−CO−で、Rは、置換基を有して
    いてもよい炭化水素基または複素環基を示し、R1 およ
    びR2 は、結合して環を形成していてもよく、ただ、R
    1 およびR2 がともにハロゲン原子となることがないこ
    とを示す。)で表わされる請求項1ないし5のいずれか
    の方法。
  7. 【請求項7】 液体反応媒体中において均一系水素化触
    媒と含窒素有機化合物と塩基の存在下に調製される触
    媒。
  8. 【請求項8】 均一系水素化触媒が反応条件下に液体反
    応媒体に可溶化される第VIII族金属の遷移金属触媒であ
    る請求項7の触媒。
  9. 【請求項9】 触媒がロジウム、ルテニウム、イリジウ
    ム、白金の金属錯体である請求項7または8の触媒。
  10. 【請求項10】 含窒素有機化合物がアミン化合物ある
    いはアミン誘導体である請求項7ないし9のいずれかの
    方法。
  11. 【請求項11】 塩基がアルカリ金属またはアルカリ土
    類金属の水酸化物あるいは塩であるか四級アンモニウム
    塩である請求項7ないし10のいずれかの触媒。
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