JPH11185529A - 高強度誘電体磁器およびその製造方法 - Google Patents
高強度誘電体磁器およびその製造方法Info
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- JPH11185529A JPH11185529A JP9354312A JP35431297A JPH11185529A JP H11185529 A JPH11185529 A JP H11185529A JP 9354312 A JP9354312 A JP 9354312A JP 35431297 A JP35431297 A JP 35431297A JP H11185529 A JPH11185529 A JP H11185529A
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- H—ELECTRICITY
- H05—ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H05K—PRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
- H05K1/00—Printed circuits
- H05K1/02—Details
- H05K1/03—Use of materials for the substrate
- H05K1/0306—Inorganic insulating substrates, e.g. ceramic, glass
Landscapes
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
- Inorganic Insulating Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】優れた強度を有するとともに、高周波領域で低
誘電損失を兼ね備えた誘電体磁器とその製造方法を提供
する。 【解決手段】MgOとAl2 O3 との固溶体粉末と、平
均粒径が1μm以下のAl2 O3 粉末とを、全体モル比
組成がMgO・nAl2 O3 (1<n≦4)を満足する
とともに、Al2 O3 粉末が全Al2 O3 量の0.1〜
70重量%となるように秤量混合された混合物を所定形
状に成形後、1500〜1700℃で焼成することによ
って、MgおよびAlを含有するスピネル型結晶からな
る主結晶相と、α−Al2 O3 からなる異方性形状の副
結晶相と含有する、抗折強度が250MPa以上、測定
周波数8GHzにおける誘電損失が1×10-3以下の磁
器を得る。
誘電損失を兼ね備えた誘電体磁器とその製造方法を提供
する。 【解決手段】MgOとAl2 O3 との固溶体粉末と、平
均粒径が1μm以下のAl2 O3 粉末とを、全体モル比
組成がMgO・nAl2 O3 (1<n≦4)を満足する
とともに、Al2 O3 粉末が全Al2 O3 量の0.1〜
70重量%となるように秤量混合された混合物を所定形
状に成形後、1500〜1700℃で焼成することによ
って、MgおよびAlを含有するスピネル型結晶からな
る主結晶相と、α−Al2 O3 からなる異方性形状の副
結晶相と含有する、抗折強度が250MPa以上、測定
周波数8GHzにおける誘電損失が1×10-3以下の磁
器を得る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体共振器、共
振器支持台、マイクロ波導波路、マイクロ波コンデンサ
ー、マイクロ波IC基板、IC素子用パッケージ、誘電
体アンテナ等の電気通信分野、またはマイクロ波透過窓
等の核融合関係設備分野において好適に利用される高強
度の誘電体磁器およびその製造方法に関する。
振器支持台、マイクロ波導波路、マイクロ波コンデンサ
ー、マイクロ波IC基板、IC素子用パッケージ、誘電
体アンテナ等の電気通信分野、またはマイクロ波透過窓
等の核融合関係設備分野において好適に利用される高強
度の誘電体磁器およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】近年、通信網の急激な発展に伴って、通信
に使用する周波数域が拡大すると同時に、マイクロ波領
域やミリ波領域などの高周波領域にまで及びつつある。
一方、誘電体磁器は、コンデンサーなどの他に、誘電体
共振器や集積回路基板、誘電体アンテナ、各種高周波回
路のインピーダンス整合等に応用されており、これらに
ついてもマイクロ波やミリ波に対しても適応可能なもの
が望まれている。例えば、フィルターやガンまたはFE
Tマイクロ波発振器の周波数安定化のために必要とな
り、その需要が増大している。
に使用する周波数域が拡大すると同時に、マイクロ波領
域やミリ波領域などの高周波領域にまで及びつつある。
一方、誘電体磁器は、コンデンサーなどの他に、誘電体
共振器や集積回路基板、誘電体アンテナ、各種高周波回
路のインピーダンス整合等に応用されており、これらに
ついてもマイクロ波やミリ波に対しても適応可能なもの
が望まれている。例えば、フィルターやガンまたはFE
Tマイクロ波発振器の周波数安定化のために必要とな
り、その需要が増大している。
【0003】マイクロ波回路素子の大きさは、電磁波の
波長が基準となっており、誘電体を用いたマイクロ波立
体回路内を電磁波が伝搬するときの真空中の波長を
λ0 、誘電率をεとするとλ0 /(ε)1/2 となるた
め、誘電率が高いほど小型化が可能である。しかし、あ
まり誘電率が高すぎるとマイクロ波領域以上の高周波領
域においては加工精度が低下するため適当な誘電率が必
要である。これに対して、現在一般に用いられている複
合ペロブスカイト型化合物を用いた誘電体磁器では、誘
電率が小さいもので約20であるため、より低誘電率の
材料が求められていた。
波長が基準となっており、誘電体を用いたマイクロ波立
体回路内を電磁波が伝搬するときの真空中の波長を
λ0 、誘電率をεとするとλ0 /(ε)1/2 となるた
め、誘電率が高いほど小型化が可能である。しかし、あ
まり誘電率が高すぎるとマイクロ波領域以上の高周波領
域においては加工精度が低下するため適当な誘電率が必
要である。これに対して、現在一般に用いられている複
合ペロブスカイト型化合物を用いた誘電体磁器では、誘
電率が小さいもので約20であるため、より低誘電率の
材料が求められていた。
【0004】また、一方では、セラミックス材料の中で
スピネル系セラミックスは、比誘電率が約8と低いこと
から高周波域用の誘電体磁器として期待されている。
スピネル系セラミックスは、比誘電率が約8と低いこと
から高周波域用の誘電体磁器として期待されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、昨今の移動体通
信の発達により、携帯電話、PHS、PDA等の情報通
信端末が普及してきた。このため、それらの機器に搭載
される電子部品も、屋外での使用を前提として作製され
なければならない。携帯機器は屋外で持ち歩くため、落
下などの衝撃に対して高い信頼性を有していなければな
らず、機器を構成する電子部品にも信頼性の面から、優
れた強度が求められる。
信の発達により、携帯電話、PHS、PDA等の情報通
信端末が普及してきた。このため、それらの機器に搭載
される電子部品も、屋外での使用を前提として作製され
なければならない。携帯機器は屋外で持ち歩くため、落
下などの衝撃に対して高い信頼性を有していなければな
らず、機器を構成する電子部品にも信頼性の面から、優
れた強度が求められる。
【0006】これらの状況に対して、現在一般に用いら
れている複合ペロブスカイト型化合物からなる誘電体磁
器では強度が100MPa程度と低く、その向上が望ま
れていた。
れている複合ペロブスカイト型化合物からなる誘電体磁
器では強度が100MPa程度と低く、その向上が望ま
れていた。
【0007】また、スピネルを主成分とする磁器も強度
が劣るため、引張り応力や衝撃力が加わるような分野に
は使用できなかった。この問題に対してY2 O3 やZr
O2を粒成長を抑制させるための焼結助剤として添加し
たり、焼結体中に微粒子としてZrO2 を分散させるこ
とにより強度の向上が図られているが、誘電体としての
特性、特に誘電損失が増加するという問題があった。
が劣るため、引張り応力や衝撃力が加わるような分野に
は使用できなかった。この問題に対してY2 O3 やZr
O2を粒成長を抑制させるための焼結助剤として添加し
たり、焼結体中に微粒子としてZrO2 を分散させるこ
とにより強度の向上が図られているが、誘電体としての
特性、特に誘電損失が増加するという問題があった。
【0008】従って、本発明は、優れた強度を有すると
ともに、高周波領域で低誘電損失を兼ね備えた誘電体磁
器とその製造方法を提供することを目的とする。
ともに、高周波領域で低誘電損失を兼ね備えた誘電体磁
器とその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
に対してスピネル系セラミックスに対する高強度化と、
高誘電特性化について検討を重ねた結果、MgO・nA
l2 O3 でで示されるスピネル系セラミックスにおける
Al2 O3 成分の一部を選択的に粒界部よりマトリック
ス中へ異方性形状のα−Al2 O3 を析出させた磁器
が、優れた強度を有するとともに、高周波領域において
も誘電損失(tanδ)の小さい優れた誘電特性を有す
ることを見いだし、本発明に至った。
に対してスピネル系セラミックスに対する高強度化と、
高誘電特性化について検討を重ねた結果、MgO・nA
l2 O3 でで示されるスピネル系セラミックスにおける
Al2 O3 成分の一部を選択的に粒界部よりマトリック
ス中へ異方性形状のα−Al2 O3 を析出させた磁器
が、優れた強度を有するとともに、高周波領域において
も誘電損失(tanδ)の小さい優れた誘電特性を有す
ることを見いだし、本発明に至った。
【0010】即ち、本発明の高強度誘電体磁器は、金属
成分としてAl、Mgを含有し、それらの酸化物による
モル比がMgO・nAl2 O3 (1<n≦4)を満足す
る複合酸化物からなり、MgおよびAlを含有するスピ
ネル型結晶からなる主結晶相と、α−Al2 O3 からな
る異方性形状の副結晶相と含有する、抗折強度が250
MPa以上、測定周波数8GHzにおける誘電損失が1
×10-3以下であることを特徴とする。
成分としてAl、Mgを含有し、それらの酸化物による
モル比がMgO・nAl2 O3 (1<n≦4)を満足す
る複合酸化物からなり、MgおよびAlを含有するスピ
ネル型結晶からなる主結晶相と、α−Al2 O3 からな
る異方性形状の副結晶相と含有する、抗折強度が250
MPa以上、測定周波数8GHzにおける誘電損失が1
×10-3以下であることを特徴とする。
【0011】また、本発明の高強度誘電体磁器の製造方
法は、MgOとAl2 O3 との固溶体粉末と、平均粒径
が1μm以下のAl2 O3 粉末とを、全体モル比組成が
MgO・nAl2 O3 (1<n≦4)を満足するととも
に、Al2 O3 粉末が全Al2 O3 量の0.1〜70重
量%となるように秤量混合された混合物を所定形状に成
形後、1500〜1700℃で焼成することを特徴とす
るものである。
法は、MgOとAl2 O3 との固溶体粉末と、平均粒径
が1μm以下のAl2 O3 粉末とを、全体モル比組成が
MgO・nAl2 O3 (1<n≦4)を満足するととも
に、Al2 O3 粉末が全Al2 O3 量の0.1〜70重
量%となるように秤量混合された混合物を所定形状に成
形後、1500〜1700℃で焼成することを特徴とす
るものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の誘電体磁器は、金属成分
としてAl、Mgを含有し、それらの酸化物によるモル
比がMgO・nAl2 O3 (1<n≦4)を満足する複
合酸化物からなるものである。
としてAl、Mgを含有し、それらの酸化物によるモル
比がMgO・nAl2 O3 (1<n≦4)を満足する複
合酸化物からなるものである。
【0013】本発明の誘電体磁器は、図1の組織の概略
図に示すように、MgO、Al2 O3 を成分とするスピ
ネル型結晶相1を主相とするものであり、副結晶相とし
て、α−Al2 O3 からなる異方性結晶相2を含有する
ものである。かかる組織構造において、主結晶相は平均
粒径が1〜10μmの結晶粒子として、また、異方性結
晶相2は、短軸径が1〜5μmであり、平均アスペクト
比が4〜9の大きさからなることが望ましい。
図に示すように、MgO、Al2 O3 を成分とするスピ
ネル型結晶相1を主相とするものであり、副結晶相とし
て、α−Al2 O3 からなる異方性結晶相2を含有する
ものである。かかる組織構造において、主結晶相は平均
粒径が1〜10μmの結晶粒子として、また、異方性結
晶相2は、短軸径が1〜5μmであり、平均アスペクト
比が4〜9の大きさからなることが望ましい。
【0014】本発明によれば、図1に示すような組織構
造によって、磁器の強度を向上させることができる。こ
のα−Al2 O3 副結晶相は、焼結過程でスピネル型結
晶中に固溶していたAl2 O3 をスピネル型結晶の粒界
に存在するAl2 O3 結晶核からスピネル型結晶相から
なるマトリックスを横断するように析出、成長した組織
構造による異方性粒子結晶のプルアウトによる靭性向上
により磁器の強度が向上するものである。
造によって、磁器の強度を向上させることができる。こ
のα−Al2 O3 副結晶相は、焼結過程でスピネル型結
晶中に固溶していたAl2 O3 をスピネル型結晶の粒界
に存在するAl2 O3 結晶核からスピネル型結晶相から
なるマトリックスを横断するように析出、成長した組織
構造による異方性粒子結晶のプルアウトによる靭性向上
により磁器の強度が向上するものである。
【0015】また、Al2 O3 がスピネル型結晶中に固
溶するとアルミニウムにより陽イオン格子欠陥を生成
し、磁器の誘電損失を増加させるが、このAl2 O3 を
スピネル結晶から析出させることにより、スピネル中の
格子欠陥を減少させ、誘電損失を低減させることができ
る。
溶するとアルミニウムにより陽イオン格子欠陥を生成
し、磁器の誘電損失を増加させるが、このAl2 O3 を
スピネル結晶から析出させることにより、スピネル中の
格子欠陥を減少させ、誘電損失を低減させることができ
る。
【0016】ここで、MgOとAl2 O3 とのモル比を
上記の範囲に限定したのは、前記n値がn=1では、α
−Al2 O3 が析出せず、強度の改善がなされず、n>
4では、磁器の誘電率が増大するためである。なお、n
値は、1.5≦n≦2.5であることが望ましい。
上記の範囲に限定したのは、前記n値がn=1では、α
−Al2 O3 が析出せず、強度の改善がなされず、n>
4では、磁器の誘電率が増大するためである。なお、n
値は、1.5≦n≦2.5であることが望ましい。
【0017】次に、上記誘電体磁器の製造方法について
説明すると、まず、原料粉末として、MgO・Al2 O
3 固溶体粉末と、平均粒径が1μm以下のAl2 O3 粉
末とを準備する。そして、これらの粉末を用いて、Mg
OとAl2 O3 との全体モル比組成がMgO・nAl2
O3 (1<n≦4、特に1.5≦n≦4)を満足すると
ともに、Al2 O3 粉末が全Al2 O3 量の0.1〜7
0重量%、特に0.1〜30重量%となるように秤量混
合する。
説明すると、まず、原料粉末として、MgO・Al2 O
3 固溶体粉末と、平均粒径が1μm以下のAl2 O3 粉
末とを準備する。そして、これらの粉末を用いて、Mg
OとAl2 O3 との全体モル比組成がMgO・nAl2
O3 (1<n≦4、特に1.5≦n≦4)を満足すると
ともに、Al2 O3 粉末が全Al2 O3 量の0.1〜7
0重量%、特に0.1〜30重量%となるように秤量混
合する。
【0018】その後、この混合物を所望の成形手段、例
えばドクターブレード法などのシート成形法、金型プレ
ス法、冷間静水圧プレス、押し出し成形法、圧延法等に
より任意の形状に成形する。
えばドクターブレード法などのシート成形法、金型プレ
ス法、冷間静水圧プレス、押し出し成形法、圧延法等に
より任意の形状に成形する。
【0019】そして、この成形体を大気中などの酸化性
雰囲気中で1500〜1700℃の温度で焼成すること
により相対密度98%以上に緻密化することができる。
雰囲気中で1500〜1700℃の温度で焼成すること
により相対密度98%以上に緻密化することができる。
【0020】この焼結過程で、添加したアルミナ粉末を
結晶核としてMgO・Al2 O3 固溶体からAl2 O3
を容易に析出させて、異方性形状のα−Al2 O3 に成
長させることができるとともに、MgO・Al2 O3 固
溶体、言い換えれば、スピネル型結晶中の格子欠陥を減
少させ、磁器の誘電損失を低減させることができる。
結晶核としてMgO・Al2 O3 固溶体からAl2 O3
を容易に析出させて、異方性形状のα−Al2 O3 に成
長させることができるとともに、MgO・Al2 O3 固
溶体、言い換えれば、スピネル型結晶中の格子欠陥を減
少させ、磁器の誘電損失を低減させることができる。
【0021】なお、上記製造方法において、添加するA
l2 O3 粉末の添加量が全Al2 O3 中の0.1重量%
未満では、固溶した固溶体中のAl2 O3 を析出させる
ための結晶核としての作用が不十分であり、α−Al2
O3 の析出が期待できず、同時に誘電損失の増大を招
く。望ましくは、0.5重量%以上がよい。
l2 O3 粉末の添加量が全Al2 O3 中の0.1重量%
未満では、固溶した固溶体中のAl2 O3 を析出させる
ための結晶核としての作用が不十分であり、α−Al2
O3 の析出が期待できず、同時に誘電損失の増大を招
く。望ましくは、0.5重量%以上がよい。
【0022】また、添加するAl2 O3 量が全Al2 O
3 中の70重量%を越えると、磁器の強度が低下する。
3 中の70重量%を越えると、磁器の強度が低下する。
【0023】なお、添加するα−Al2 O3 粉末の平均
粒径が1μmを越えると、析出するα−Al2 O3 副結
晶相の粒子径が大きくなりすぎて磁器の強度を低下させ
る原因となる。
粒径が1μmを越えると、析出するα−Al2 O3 副結
晶相の粒子径が大きくなりすぎて磁器の強度を低下させ
る原因となる。
【0024】本発明の製造方法によれば、焼成の降温
時、あるいは焼成後に1000〜1200℃において酸
化性雰囲気中でアニールすることによってα−Al2 O
3 の析出を促進することもできる。
時、あるいは焼成後に1000〜1200℃において酸
化性雰囲気中でアニールすることによってα−Al2 O
3 の析出を促進することもできる。
【0025】本発明の誘電体磁器において、上記Al2
O3 、MgO以外の成分として、例えば、Si、Fe、
Ga等の元素が原料中の不可避不純物、あるいは製造工
程中において混入する場合があるが、これらの成分、酸
化物換算で全量中0.2重量%以下であれば、とりわけ
本発明の効果に影響を及ぼすことはない。
O3 、MgO以外の成分として、例えば、Si、Fe、
Ga等の元素が原料中の不可避不純物、あるいは製造工
程中において混入する場合があるが、これらの成分、酸
化物換算で全量中0.2重量%以下であれば、とりわけ
本発明の効果に影響を及ぼすことはない。
【0026】
【実施例】純度99.9%、平均粒径0.8μmのMg
O・nAl2 O3 と、α−Al2O3 粉末を用いて、M
gOとAl2 O3 の全体組成およびα−Al2 O3 粉末
の全Al2 O3 量に対する重量比率が表1、表2となる
ように配合混合した。混合後のスラリーを80℃大気中
にて乾燥し80メッシュの篩を通して評価粉末を得た。
O・nAl2 O3 と、α−Al2O3 粉末を用いて、M
gOとAl2 O3 の全体組成およびα−Al2 O3 粉末
の全Al2 O3 量に対する重量比率が表1、表2となる
ように配合混合した。混合後のスラリーを80℃大気中
にて乾燥し80メッシュの篩を通して評価粉末を得た。
【0027】この粉末を金型プレスにて1000Kg/
cm2 で直径60mm、厚み2mmと、50mm×4m
m×3mmの角柱に成形し、大気中1650℃の温度で
2時間保持して焼成し、相対密度98%以上の焼結体を
得た。
cm2 で直径60mm、厚み2mmと、50mm×4m
m×3mmの角柱に成形し、大気中1650℃の温度で
2時間保持して焼成し、相対密度98%以上の焼結体を
得た。
【0028】得られた焼結体を直径50mm、厚み1m
mの円盤形状と、45mm×3mm×2mmの角柱状に
加工研磨した。そして、測定周波数8GHzでの測定に
よって誘電率(εr)、誘電損失(tanδ)、及びJ
ISR1601に基づく4点曲げ抗折試験による抗折強
度の測定を行った。また、波長λ=1.5418ÅのC
uKα線によるX線回折により試料の結晶相を同定し
た。これらの測定結果は、表1、表2に示した。
mの円盤形状と、45mm×3mm×2mmの角柱状に
加工研磨した。そして、測定周波数8GHzでの測定に
よって誘電率(εr)、誘電損失(tanδ)、及びJ
ISR1601に基づく4点曲げ抗折試験による抗折強
度の測定を行った。また、波長λ=1.5418ÅのC
uKα線によるX線回折により試料の結晶相を同定し
た。これらの測定結果は、表1、表2に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】表1、表2の結果から明らかな様に、Mg
O・nAl2 O3 のn=1である試料No.1では、Al
2 O3 の析出が認められず、破壊靱性値および抗折強度
とも低い。n>4以上である試料No.13、14のとき
は誘電率が8を越え、機械的特性も劣化するものであっ
た。また、添加するAl2 O3 量が0.1重量%未満の
試料No.1、15、16では、抗折強度が250MPa
未満となり、測定周波数8GHzにおける誘電損失が1
×10-3を越える。Al2 O3 量が70重量%を越える
試料No.29では、機械的特性が劣化した。また、添加
するアルミナ粉末の粒子径が1μmを越える試料No.3
0、31のときも、抗折強度が250MPa未満とな
る。
O・nAl2 O3 のn=1である試料No.1では、Al
2 O3 の析出が認められず、破壊靱性値および抗折強度
とも低い。n>4以上である試料No.13、14のとき
は誘電率が8を越え、機械的特性も劣化するものであっ
た。また、添加するAl2 O3 量が0.1重量%未満の
試料No.1、15、16では、抗折強度が250MPa
未満となり、測定周波数8GHzにおける誘電損失が1
×10-3を越える。Al2 O3 量が70重量%を越える
試料No.29では、機械的特性が劣化した。また、添加
するアルミナ粉末の粒子径が1μmを越える試料No.3
0、31のときも、抗折強度が250MPa未満とな
る。
【0032】これに対して、本発明に従い作製した試料
は、いずれも結晶相として異方性形状の平均アスペクト
比が4〜9のα−Al2 O3 が析出しており、誘電率8
以下、測定周波数8GHzにおける誘電損失が1×10
-3以下、抗折強度250MPa以上、破壊靱性3.5M
Pa・m1/2 以上の優れた特性を示した。
は、いずれも結晶相として異方性形状の平均アスペクト
比が4〜9のα−Al2 O3 が析出しており、誘電率8
以下、測定周波数8GHzにおける誘電損失が1×10
-3以下、抗折強度250MPa以上、破壊靱性3.5M
Pa・m1/2 以上の優れた特性を示した。
【0033】これらの中でも、n値が1.5以上、Al
2 O3 の添加量を30重量%以下とした試料は、誘電率
8、測定周波数8GHzにおける誘電損失が0.8×1
0-4以下、抗折強度500MPa以上の優れた特性を示
した。
2 O3 の添加量を30重量%以下とした試料は、誘電率
8、測定周波数8GHzにおける誘電損失が0.8×1
0-4以下、抗折強度500MPa以上の優れた特性を示
した。
【0034】尚、上記焼結体中には、ICP発光分析結
果によれば、Si、Fe、Gaなどの元素が酸化物換算
で0.2重量%含まれていた。
果によれば、Si、Fe、Gaなどの元素が酸化物換算
で0.2重量%含まれていた。
【0035】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明の誘電体磁
器は、スピネル型結晶相を主相とする磁器であって、マ
イクロ波領域での低誘電損失、低誘電率を実現でき、且
つ高い抗折強度を有するものであり、これにより、屋外
で使用する機器に搭載されるマイクロ波やミリ波に適応
した誘電体共振器、マイクロ波導波路、マイクロ波コン
デンサー、マイクロ波IC基板、IC素子用パッケー
ジ、誘電体アンテナ等のあらゆる分野への応用を拡大す
ることができる。
器は、スピネル型結晶相を主相とする磁器であって、マ
イクロ波領域での低誘電損失、低誘電率を実現でき、且
つ高い抗折強度を有するものであり、これにより、屋外
で使用する機器に搭載されるマイクロ波やミリ波に適応
した誘電体共振器、マイクロ波導波路、マイクロ波コン
デンサー、マイクロ波IC基板、IC素子用パッケー
ジ、誘電体アンテナ等のあらゆる分野への応用を拡大す
ることができる。
【図1】本発明の高強度誘電体磁器の組織構造を説明す
るための概略図である。
るための概略図である。
1 スピネル型結晶相 2 α−Al2 O3 型結晶相
Claims (2)
- 【請求項1】金属成分としてAlおよびMgを含有し、
それらの酸化物によるモル比がMgO・nAl2 O
3 (1<n≦4)を満足する複合酸化物からなり、Mg
およびAlを含有するスピネル型結晶からなる主結晶相
と、α−Al2 O3からなる異方性形状の副結晶相と含
有し、抗折強度が250MPa以上、測定周波数8GH
zにおける誘電損失が1×10-3以下であることを特徴
とする高強度誘電体磁器。 - 【請求項2】MgOとAl2 O3 との固溶体粉末と、平
均粒径が1μm以下のAl2 O3 粉末とを、全体モル比
組成がMgO・nAl2 O3 (1<n≦4)を満足する
とともに、Al2 O3 粉末が全Al2 O3 量の0.1〜
70重量%となるように秤量混合された混合物を所定形
状に成形後、1500〜1700℃で焼成することを特
徴とする高強度誘電体磁器の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35431297A JP3439972B2 (ja) | 1997-12-24 | 1997-12-24 | 高強度誘電体磁器およびその製造方法 |
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JP35431297A JP3439972B2 (ja) | 1997-12-24 | 1997-12-24 | 高強度誘電体磁器およびその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH11185529A true JPH11185529A (ja) | 1999-07-09 |
JP3439972B2 JP3439972B2 (ja) | 2003-08-25 |
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JP (1) | JP3439972B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004097854A1 (ja) * | 2003-04-30 | 2004-11-11 | Asahi Glass Company, Limited | 強誘電体薄膜形成用液状組成物および強誘電体薄膜の製造方法 |
-
1997
- 1997-12-24 JP JP35431297A patent/JP3439972B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004097854A1 (ja) * | 2003-04-30 | 2004-11-11 | Asahi Glass Company, Limited | 強誘電体薄膜形成用液状組成物および強誘電体薄膜の製造方法 |
JPWO2004097854A1 (ja) * | 2003-04-30 | 2006-07-13 | 旭硝子株式会社 | 強誘電体薄膜形成用液状組成物および強誘電体薄膜の製造方法 |
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