JPH11183410A - Eds分析方法及びそのためのサンプル装置 - Google Patents

Eds分析方法及びそのためのサンプル装置

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JPH11183410A
JPH11183410A JP9357191A JP35719197A JPH11183410A JP H11183410 A JPH11183410 A JP H11183410A JP 9357191 A JP9357191 A JP 9357191A JP 35719197 A JP35719197 A JP 35719197A JP H11183410 A JPH11183410 A JP H11183410A
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Japan
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tem
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analysis
eds
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JP9357191A
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English (en)
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Masao Okihara
将生 沖原
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Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素や窒素といった軽元素のEDS分析にお
いても、試料の膜厚に影響を受けることなく、定量精度
の高い分析を行うことができるEDS分析方法及びその
ためのサンプル装置を提供する。 【解決手段】 TEM評価試料10に突出部11を形成
し、この突出部11にTEM観察領域(薄膜化領域)1
2を形成する。このTEM観察領域12はメッシュ材の
底面(B−B′)とFIBによるTEM観察領域12
(A−A′)がある一定角度Ψを持つように傾斜させ、
突出部11とEDS検出器15との角度θの方向にED
S検出器15を配置するようにしている。このTEM評
価試料10をTEM内に挿入することにより、TEM観
察領域12とEDS検出器15のなす角度が、TEM評
価試料10をまったく傾斜することなく、角度Ψだけ大
きくなる角度βのTEM試料を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透過型電子顕微鏡
(以下、TEMという)を用いた際の代表的な元素分析
手法として知られるエネルギー分散型X線分光分析法
(以下、EDS分析方法という)の分析精度を向上させ
るためのEDS分析方法及びそのためのサンプル装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、不良箇所等の特定箇所を狙ったT
EMサンプルの作製法として、例えばK.Nakaji
ma et. al.,J.Vac.Sci.Tech
nol.B 11,2127(1993)に開示されよ
うに、収束イオン顕微鏡(以下、FIBという)を用い
た断面サンプル作製方法が挙げられる。
【0003】このサンプル作製方法では観察所望箇所の
断面が現れるように、周辺部をFIBにより加工する。
この際、電子線の透過能力に制約されるため観察箇所
は、例えば、TEM観察時の電子線の加速電圧が200
kVの場合には、0.2μm前後にまで薄膜化する必要
がある。このように薄膜化された領域においてTEM観
察が可能になる。TEM観察の際に、特定箇所に電子線
を1nm程度の領域に収束し、この時、試料から発生す
る特性X線をEDSにより検出することにより、ナノレ
ベルの領域における構成元素の濃度比率を評価すること
が可能である。
【0004】以上のTEM観察及びEDSによる分析の
手順を順を追って説明する。まず、図7に代表的なFI
BによるTEM試料作製の工程を示す。 (1)まず、図7(a)に示すように、観察を所望する
特定の箇所が中心となるように、TEM評価試料1を、
例えば、ダイシングソウにより、短冊状のチップに加工
する。この時、チップの幅はTEMサンプルホルダー内
に入るように、例えば、3mmとする。また、FIB加
工を容易にするためTEM評価試料1表面は、例えば、
50μmを残すように切り込みを作って突出部2を形成
する。
【0005】(2)次に、図7(b)に示すように、不
良箇所の周辺をFIBによって加工することにより、不
良部を、例えば0.2μmにまで薄膜化する。この時の
加工幅は、薄膜化によって生じるストレスにより薄膜化
領域(EDS分析箇所)3が歪むことを避けるため、通
常は20μm程度とする。 (3)このようにして作製したサンプルを、図7(c)
に示すように、メッシュ材4に張り付けることにより、
TEM観察の際には電子線の入射方向に対して薄膜の断
面が垂直となるような配置となることで、薄膜化領域3
のTEM観察が可能となる。
【0006】次に、EDSによる分析方法について説明
する。図8に示すように、FIBによる薄膜化領域3に
特定の箇所に対して電子線5を1nm程度の領域にまで
収束させる。この時、試料中の構成原子が電子線5と非
弾性散乱を生じることで、原子の内殻電子を励起してイ
オン化状態となる。これにより、空位となったエネルギ
ー準位に外殻電子が落ち込み基底状態に遷移する際に、
そのエネルギー準位差が特性X線6として放出される。
このX線エネルギーは元素固有の値であり、これをED
S検出器(図示なし)で分光分析することにより、試料
中の元素の情報を得ることが可能となる。
【0007】この時、なるべく多くのX線を取り込む必
要があるため、EDS検出器は試料に近づける必要があ
る。TEMの顕微鏡としての分解能を低下させずにED
S検出器を試料に近づけるために、通常はEDS検出器
と試料がなす角度θを20〜25°程度の角度の設定と
なっているものがほとんどである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たEDS検出器を用いた分析を行う上で、特に酸素や窒
素といったいわゆる軽元素に対しては、その特性X線が
試料中で吸収を受け易く、分析精度を低下させるという
問題があった。これについて、模式図および実測データ
を示して説明する。
【0009】図9は電子線が試料に入射して、試料の各
領域から発生した特性X線がEDS検出器に到達するま
での様子を示したものである。今、試料(薄膜化領域)
3の厚さが0.2μmと仮定する。特性X線6は電子線
が通過する全ての領域から発生し、EDS検出器7の方
向に飛び出したものが検出される。
【0010】この図から分かるように、試料3の表面で
発生した特性X線6は真空中を通ってEDS検出器7に
到達するのであるから、全く吸収を受けない。一方、試
料3の底面3Aで発生した特性X線6は試料3中を通過
する必要がある。今、EDS検出器7の取り出し角度θ
を22°であると仮定すると、試料3の底面3Aから発
生する特性X線6が試料3中を通過する距離rは、 r=t/sinθ …(1) で表すことができる。ここで、tはEDS分析箇所の試
料膜厚、θはEDS分析箇所とEDS検出器7のなす角
度である。試料膜厚tが0.2μm、EDS検出器7の
取り出し角度θが22°を上記(1)式に代入すると、
特性X線6が試料3中を通過する距離rは0.53μm
となる。
【0011】図10は実際に熱酸化工程により形成した
シリコン酸化膜の領域を、1nm径の電子線を用いてE
DS分析を行った際の酸素濃度とシリコン濃度の比率を
示したものである。この図に示すデータは、TEM内で
試料を傾斜することにより、試料とEDS検出器のなす
角度θを変化させながら得たものである。試料を傾斜す
る前の試料とEDS検出器のなす角度は22°である。
試料は、FIBにより薄膜化領域の膜厚が0.1μmと
0.2μmの2つを用意した。
【0012】熱酸化工程で形成したシリコン酸化膜は、
化学量論的に正確にSiO2 となっていることが知られ
ており、酸素濃度はシリコン濃度に対して2倍でなけれ
ばならない。図10を見ると、θが小さくなるに従って
酸素濃度が低下していくことがわかる。上記(1)式か
ら明らかなように、θが小さくなるに従って特性X線が
試料中を通過する距離は増大する。つまり、試料中での
酸素の特性X線の吸収が多くなり、化学量論から組成が
あたかもずれているかのような結果が得られてしまうこ
とになる。
【0013】この傾向は試料の膜厚が厚いほど、試料中
を通過する距離は増大するために顕著となる。注目すべ
き点は、今回の測定では、試料を全く傾斜させていない
θ=22°の場合には、試料膜厚が0.2μmと通常の
FIB加工薄膜の試料では、すでに組成分析に影響が現
れていることである。このように、試料の膜厚や試料と
EDS検出器のなす角度θによって酸素や窒素等の軽元
素を含むEDSの分析は大きく影響を受けるために、定
量に関する信頼性を著しく低下させる。
【0014】一方、TEM内で試料を傾斜させることに
より、試料とEDS検出器のなす角度を大きくすること
により、上記の問題を回避する方法が従来より用いられ
ていた。しかし、例えば、半導体のような積層構造の界
面のEDS分析を行うような場合は、図11に示すよう
に、試料を傾斜させることにより、界面そのものが電子
線5の入射軸から傾斜してしまう。このため、分析領域
に界面以外の領域が入ってしまうことになり、界面の組
成を正確に評価することはできなくなる。
【0015】このように、EDS分析を行う上で、特に
酸素や窒素といったいわゆる軽元素に対する分析精度を
上げることができないという問題点があった。本発明
は、上記問題点を除去し、酸素や窒素といった軽元素の
EDS分析においても、試料の膜厚に影響を受けること
なく、定量精度の高い分析を行うことができるEDS分
析方法及びそのためのサンプル装置を提供することを目
的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、 〔1〕TEM評価試料の薄膜化領域内の特定箇所に電子
線を収束照射することで発生する特性X線をEDS検出
器により分析するEDS分析方法において、前記EDS
分析領域自体を傾斜させ、このEDS分析領域の底面か
ら反射する特性X線のTEM試料内での行程距離を小さ
くするようにしたものである。
【0017】〔2〕TEM評価試料の薄膜化領域内の特
定箇所に電子線を収束照射することで発生する特性X線
をEDS検出器により分析するEDS分析方法におい
て、前記EDS分析領域の分析箇所に近接するととも
に、特性X線の通過箇所となる領域を消失させた消失領
域を形成し、前記EDS分析領域の底面から反射する特
性X線のTEM試料内での行程距離を小さくするように
したものである。
【0018】〔3〕上記〔2〕記載のEDS分析方法に
おいて、前記消失領域をFIBにより形成するようにし
たものである。 〔4〕上記〔2〕記載のEDS分析方法において、前記
消失領域を電子線により形成するようにしたものであ
る。 〔5〕TEM評価試料の薄膜化領域内の特定箇所に電子
線を収束照射することで発生する特性X線をEDS検出
器により分析するサンプル装置において、前記EDS分
析領域の分析箇所に近接するとともに、特性X線の通過
箇所となる領域に形成される消失領域を備えるようにし
たものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。図1は本発明の第1実施例を示すT
EM試料とその分析の説明図である。この図に示すよう
に、TEM評価試料10に突出部11を形成し、この突
出部11にTEM観察領域(薄膜化領域)12を形成す
る。このTEM観察領域12はメッシュ材の底面(B−
B′)とFIBによるTEM観察領域12(A−A′)
が、ある一定角度Ψを持つように傾斜させ、TEM評価
試料10とEDS検出器15のなす角度がθになる方向
にEDS検出器15を配置する。
【0020】このTEM評価試料10をTEM内に挿入
することにより、TEM評価試料10とEDS検出器1
5のなす角度θが、試料をまったく傾斜することなく、
角度θから更に、角度Ψだけ大きくなる角度βの方向に
TEM観察領域12を得ることができる。このように、
第1実施例によれば、TEM内でTEM評価試料10を
傾斜させることなく、TEM観察領域12とEDS検出
器15のなす角度βを角度θから更に、角度Ψだけ大き
くすることができる。
【0021】図10の実測データから明らかなように、
TEM観察領域12とEDS検出器15のなす角度β
が、例えば10°大きくなることで、酸素の分析精度
は、薄膜化領域の厚さが0.2μmの試料においても急
激に改善されることが分かる。このように酸素や窒素と
いった軽元素のEDS分析においても、試料の膜厚に影
響を受けることなく、定量精度の高い分析を行うことが
可能となる。
【0022】また、TEM内で試料を傾斜させる必要が
ないため、半導体のような積層構造の界面においても、
図11に示すように、界面が電子線の入射軸から傾斜す
ることなく、EDS分析が可能となり、分析の精度を向
上することが可能となる。図2は本発明の第1実施例を
示すTEM試料の第1の作製方法の説明図である。
【0023】まず、図2(a)に示すように、観察を所
望する特定の箇所が中心となるように、サンプル(TE
M評価試料)を、例えばダイシングソウにより短冊状の
チップ21に加工する。この時、チップの幅はTEMサ
ンプルホルダー内に入るように、例えば3mmとする。
さらに、FIB加工を容易にするため、サンプル表面を
例えば50μm残すように切り込みを作り、突出部22
を形成する。
【0024】そこで、この突出部22を、図2(a)に
示すように、FIB加工を施す際に試料21をFIBの
イオンビームの入射軸からΨだけ傾斜させて配置する。
これをFIBによって加工することにより、TEM観察
領域(薄膜化領域)23を例えば0.2μmにまで薄膜
化する。この時の加工幅は、薄膜化によって生じるスト
レスにより薄膜化領域23が歪むことを避けるため、通
常は20μm程度とする。このようにして作製したサン
プルを、図2(b)に示すように、メッシュ材24に張
り付けることにより、第1実施例に示したTEMサンプ
ルを作製することができる。
【0025】このようにして、第1実施例の第1の作製
方法によれば、FIB加工を施す際に試料21をFIB
のイオンビームの入射軸からΨだけ傾斜させて配置する
だけで、第1実施例に示したTEMサンプルの作製が可
能となる。これにより、TEM内で試料21を傾斜させ
ることがなく、TEM観察領域23とEDS検出器25
のなす角度βを、角度θより一定角度Ψだけ大きくする
ことができる。
【0026】上記したような、作用効果を奏することが
できる。図3は本発明の第1実施例を示すTEM試料の
第2の作製方法の説明図である。まず、観察を所望する
特定の箇所が中心となるように、サンプルを、例えばダ
イシングソウにより短冊状のチップ31に加工する。チ
ップ31の幅はTEMサンプルホルダー内に入るよう
に、例えば3mmとする。さらに、FIB加工を容易に
するため、サンプル表面を例えば50μm残すように切
り込みを作り、突出部32を形成する。この時、ダイシ
ングソウのステージに試料を取り付ける際にΨだけ、試
料となるチップ31が傾斜するように取り付けてからダ
イシングを行う。
【0027】これにより、図3(a)に示すように、ダ
イシングによるカット面が試料表面に対して垂直な方向
からΨだけ傾斜した形状となる。次に、突出部(試料)
32をFIBによって試料表面に対して垂直な方向から
加工することにより、TEM観察領域(薄膜化領域)3
3を例えば0.2μmにまで薄膜化する。この時の加工
幅は、薄膜化によって生じるストレスにより薄膜化領域
33が歪むことを避けるため、通常は20μm程度とす
る。
【0028】このようにして作製したサンプルを、図3
(b)に示すように、メッシュ材34に張り付けること
により、TEMサンプルが作製される。なお、図3にお
いて、35はEDS検出器である。このように、第1実
施例の第2の作製方法によれば、ダイシングを施す際に
試料31をダイシングソウのステージからΨだけ傾斜さ
せて配置するだけで、TEMサンプルの作製が可能とな
る。これにより、TEM内で試料31を傾斜させること
なく、TEM観察領域33とEDS検出器35のなす角
度βを角度θより更に一定角度Ψだけ大きくすることが
できる。
【0029】上記したような、作用効果を奏することが
できる。次に、本発明の第2実施例について説明する。
図4は本発明の第2実施例を示すTEM試料とその分析
の説明図である。図4(a)に示すように、EDSで分
析を所望する箇所の近傍で、特性X線の通過箇所となる
領域を、薄膜化領域41の分析所望箇所(分析領域)4
2から、例えば0.2μm程度離れた所から消失させる
消失領域44を設ける。
【0030】この試料をTEM内に挿入することで、試
料を全く傾斜させることなく、試料内での特性X線46
の吸収を抑制することが可能となる。このように、第2
実施例によれば、図4(b)に示すように、分析所望箇
所42から、例えば0.2μm程度離れた領域が消失領
域44となっていることにより、分析所望箇所42の特
に試料の底部で発生した特性X線46が試料内を通過す
る距離を約半分に低減することができる。なお、図4に
おいて、43は電子線、45はEDS検出器である。
【0031】また、図10の実測データの結果から明ら
かなように、酸素のような軽元素の特性X線46におい
ても試料が薄い場合には吸収を受けず、分析の定量精度
が向上することが分かる。さらに、この第2実施例のT
EM試料の構造にすることにより、たとえ、薄膜化領域
41の厚さが0.2μm以上ある試料においても、特性
X線46の吸収を抑制することが可能となる。
【0032】このように、酸素や窒素といった軽元素の
EDS分析においても、試料の膜厚に影響を受けること
なく、定量精度の高い分析を行うことが可能となる。ま
た、TEM内で試料を傾斜させる必要がないため、半導
体のような積層構造の界面においても、図11に示すよ
うに、界面が電子線の入射軸から傾斜することなく、E
DS分析が可能となり、分析の精度を向上させることが
できる。
【0033】図5は本発明の第2実施例を示すTEM試
料の第1の作製方法の説明図である。まず、観察を所望
する特定の箇所を通常のFIB加工により形成する。こ
の後、図5に示すように、薄膜化領域51の分析所望箇
所52の近辺でEDS検出器55に向かう側を、分析所
望箇所52から、例えば0.2μm残してFIB53で
切削する。これにより、第2実施例に示したTEMサン
プルが作製される。
【0034】このように、第2実施例によれば、FIB
53により分析所望箇所52の近辺で、図5(a)に示
すように、EDS検出器55に向かう側を、つまり、特
性X線56が試料内を通過するはずの領域を、分析所望
箇所52から、例えば0.2μm残してFIB53で切
削するだけで、TEMサンプルを作製することができ
る。
【0035】通常のFIBによるTEMサンプル加工で
は、試料にほぼ垂直にイオンビームを入射し、切削加工
するが、このFIB加工は、FIBのビームの入射軸か
ら試料を60°程度傾斜させることで加工断面の観察と
同時に行うことが可能である。これにより、図5(b)
に示すように、分析所望箇所52から、例えば0.2μ
m程度離れた領域が消失領域54となることにより、分
析所望箇所52の特に試料の底部で発生した特性X線5
6が試料内を通過する距離を低減することが可能とな
る。
【0036】今、試料膜厚が0.2μmと仮定すると、
特性X線56が試料内を通過する距離は約半分に低減す
ることができる。また、図10の実測データの結果から
明らかなように、酸素のような軽元素の特性X線におい
ても試料が薄い場合には吸収を受けず、分析の定量精度
が向上することが分かる。この第2実施例の第1の作製
方法によれば、たとえ、薄膜化領域51の厚さが0.2
μm以上ある試料においても、特性X線56の吸収を抑
制することが可能となる。更に、酸素や窒素といった軽
元素のEDS分析においても、試料の膜厚に影響を受け
ることなく、定量精度の高い分析を行うことが可能とな
る。また、TEM内で試料を傾斜させる必要がないた
め、半導体のような積層構造の界面においても、図11
に示すように、界面が電子線の入射軸から傾斜すること
なく、EDS分析が可能となり、分析の精度を向上する
ことが可能となる。
【0037】図6は本発明の第の第2実施例を示すTE
M試料の第2の作製方法の説明図である。まず、観察を
所望する特定の箇所を通常のFIB加工により形成す
る。この試料をTEMに挿入した後、図6(a)に示す
ように、薄膜化領域61の分析所望箇所62の近辺でE
DS検出器65に向かう側を、分析箇所から、例えば
0.2μm残してTEMの電子線63を大電流で当てる
ことにより切削する。これにより、TEMサンプルを作
製することができる。
【0038】これにより、図6(b)に示すように、分
析所望箇所62から、例えば、0.2μm程度離れた領
域が消失領域64となることにより、分析所望箇所62
の特に試料の底部で発生した特性X線66が試料内を通
過する距離を低減することが可能である。この第2実施
例の第2の作製方法によれば、TEM観察中に、分析所
望箇所62の近辺でEDS検出器65に向かう側を、つ
まり特性X線66が試料内を通過するはずの領域を、分
析所望箇所62から、例えば、0.2μm残してTEM
の電子線63を大電流で当てることにより切削するだけ
で、TEMサンプルの作製が可能となる。電界放出型の
電子銃を持つTEMでは、電子線63を収束させた際に
非常に大きな電流が得られるため、これをそのまま試料
に投射すると、薄膜化領域61に穴が開いてしまうこと
が知られている。そのため、通常の分析は、ある程度電
流量を落とすことで実施される。
【0039】ここでは、この大電流の電子線63を用い
ることでTEM観察と同時にEDS分析用のTEMサン
プルの加工を行うことが可能となる。今、試料膜厚が
0.2μmと仮定すると、特性X線66が試料内を通過
する距離は約半分に低減することができる。また、図1
0の実測データの結果から明らかなように、酸素のよう
な軽元素の特性X線においても試料が薄い場合には、吸
収を受けず、分析の定量精度が向上することが分かる。
【0040】また、たとえ薄膜化領域62の厚さが0.
2μm以上ある試料においても、特性X線66の吸収を
抑制することが可能となる。このように、酸素や窒素と
いった軽元素のEDS分析においても、試料の膜厚に影
響を受けることなく、定量精度の高い分析を行うことが
可能となる。また、TEM内で試料を傾斜させる必要が
ないため、半導体のような積層構造の界面においても、
図11に示すように、界面が電子線の入射軸から傾斜す
ることなく、EDS分析が可能となり、分析の精度を向
上することが可能となる。
【0041】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能
であり、これらを本発明の範囲から排除するものではな
い。
【0042】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、以下のような効果を奏することができる。 (A)請求項1又は2記載の発明によれば、酸素や窒素
といった軽元素のEDS分析においても、試料の膜厚に
影響を受けることなく、定量精度の高い分析を行うこと
ができる。
【0043】(B)請求項3記載の発明によれば、薄膜
化領域の分析所望箇所の近辺でEDS検出器に向かう側
を、分析所望箇所から、例えば0.2μm残してFIB
で切削するだけで、容易に、TEMサンプルを作製する
ことができる。 (C)請求項4記載の発明によれば、TEM観察中に、
分析所望箇所の近辺でEDS検出器に向かう側を、つま
り特性X線が試料内を通過するはずの領域を、分析所望
箇所から、例えば、0.2μm残してTEMの電子線を
大電流で当てることにより切削するだけで、TEMサン
プルの作製が可能となる。
【0044】(D)請求項5記載の発明によれば、ED
S分析領域の分析箇所に近接するとともに、特性X線の
通過箇所となる領域に形成される消失領域を設けること
により、酸素や窒素といった軽元素のEDS分析におい
ても、試料の膜厚に影響を受けることなく定量精度の高
い分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すTEM試料とその分
析の説明図である。
【図2】本発明の第1実施例を示すTEM試料の第1の
作製方法の説明図である。
【図3】本発明の第1実施例を示すTEM試料の第2の
作製方法の説明図である。
【図4】本発明の第2実施例を示すTEM試料とその分
析の説明図である。
【図5】本発明の第2実施例を示すTEM試料の第1の
作製方法の説明図である。
【図6】本発明の第2実施例を示すTEM試料の第2の
作製方法の説明図である。
【図7】従来の代表的なFIBによるTEM試料作製の
工程を示す図である。
【図8】従来の電子線プローブによる試料からの特性X
線発生の様子を示す図である。
【図9】従来の電子線より励起された特性X線がEDS
検出器に到達するまでの行路を示す図である。
【図10】シリコン酸化膜からのEDS分析による酸素
濃度とシリコン濃度比の試料傾斜角度依存性を示す図で
ある。
【図11】TEM内で試料を傾斜した際のEDS分析の
様子を示す図である。
【符号の説明】
10 TEM評価試料 11,22,32 突出部 12,23,33,41,51,61 TEM観察領
域(薄膜化領域) 15,25,35,45,55,65 EDS検出器 21,31 短冊状のチップ(試料) 24,34 メッシュ材 42,52,62 分析所望箇所 43,63 電子線 44,54,64 消失領域 46,56,66 特性X線 53 FIB

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TEM評価試料の薄膜化領域内の特定箇
    所に電子線を収束照射することで発生する特性X線をE
    DS検出器により分析するEDS分析方法において、 前記EDS分析領域自体を傾斜させ、該EDS分析領域
    の底面から反射する特性X線のTEM試料内での行程距
    離を小さくすることを特徴とするEDS分析方法。
  2. 【請求項2】 TEM評価試料の薄膜化領域内の特定箇
    所に電子線を収束照射することで発生する特性X線をE
    DS検出器により分析するEDS分析方法において、 前記EDS分析領域の分析箇所に近接するとともに、特
    性X線の通過箇所となる領域を消失させた消失領域を形
    成し、前記EDS分析領域の底面から反射する特性X線
    のTEM試料内での行程距離を小さくすることを特徴と
    するEDS分析方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のEDS分析方法におい
    て、前記消失領域をFIBにより形成することを特徴と
    するEDS分析方法。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のEDS分析方法におい
    て、前記消失領域を電子線により形成することを特徴と
    するEDS分析方法。
  5. 【請求項5】 TEM評価試料の薄膜化領域内の特定箇
    所に電子線を収束照射することで発生する特性X線をE
    DS検出器により分析するサンプル装置において、 前記EDS分析領域の分析箇所に近接するとともに、特
    性X線の通過箇所となる領域に形成される消失領域を備
    えるサンプル装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007163160A (ja) * 2005-12-09 2007-06-28 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 集束イオンビーム加工方法およびそれを用いた透過型電子顕微鏡試料の作製方法
CN105092326A (zh) * 2015-07-21 2015-11-25 中国工程物理研究院计量测试中心 倒装芯片封装器件开封方法
CN105510097A (zh) * 2015-12-18 2016-04-20 山东省分析测试中心 一种基于透射电子显微镜的陶瓷材料失效分析方法

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