JPH11181283A - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

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JPH11181283A
JPH11181283A JP35304997A JP35304997A JPH11181283A JP H11181283 A JPH11181283 A JP H11181283A JP 35304997 A JP35304997 A JP 35304997A JP 35304997 A JP35304997 A JP 35304997A JP H11181283 A JPH11181283 A JP H11181283A
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秀一 田尻
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永一 高取
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた靭性、耐衝撃性、ウエルド強度および
成形加工性を合わせ有するポリフェニレンスルフィド樹
脂組成物を提供する。 【解決手段】 (a)溶融粘度が200〜20000ポ
イズの実質的に熱酸化架橋されていないポリフェニレン
スルフィド67〜98.8重量%、(b)多官能性イソ
シアネート0.1〜3重量%および(c)無水マレイン
酸含有エチレン系共重合体1〜30重量%からなるポリ
フェニレンスルフィド樹脂組成物を製造し、使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた靭性、耐衝
撃性、ウエルド強度および成形加工性をあわせ有するポ
リフェニレンスルフィド樹脂組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィドは、耐熱性、
耐薬品性、成形性等に優れた特性を示す樹脂であり、そ
の優れた特性を生かし、電気・電子機器部材、自動車機
器部材およびOA機器部材等に幅広く使用されている。
【0003】ポリフェニレンスルフィドは、ガラス繊維
等の繊維状無機充填材、炭酸カルシウム、タルク等の粒
状無機充填材を配合することにより、機械的強度、耐熱
性、剛性等を大きく向上させることができる。しかしな
がら、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリアセタール等の各種エンジニアリン
グプラスチックに比較して、靭性が乏しく、脆弱である
といった重大な欠点を有している。このため、多くの用
途への適用が制限されている。
【0004】従来、ポリフェニレンスルフィドの耐衝撃
性を改良するための技術として、エチレン系共重合体を
ブレンドすることが知られている。例えば、特開昭62
−151460号公報(ポリアリーレンスルフィドおよ
びα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル、無水マ
レイン酸からなるエチレン系共重合体からなる樹脂組成
物)等が報告されている。
【0005】しかしながら、特開昭62−151460
号公報に開示された樹脂組成物では、耐衝撃性の改良効
果はみられるが、各種機器部材での使用において重要な
材料特性となる引張り伸び、ウエルド強度の改良効果に
ついては明確にされておらず、また、成形加工時のバリ
発生が著しいため、ポリフェニレンスルフィドの優れた
成形加工性を低下させる。
【0006】また、さらにポリフェニレンスルフィドの
耐衝撃性を改良するための技術として、相溶化剤を使用
することが知られている。例えば、特開平2−2558
62号公報(ポリフェニレンスルフィドと非ブロック型
多官能イソシアネート化合物とを溶融混練してなるポリ
フェニレンスルフィドに、α,β−不飽和カルボン酸ア
ルキルエステル、無水マレイン酸からなるエチレン系共
重合体を含有せしめることからなる樹脂組成物)等が報
告されている。
【0007】しかしながら、特開平2−255862号
公報に開示された樹脂組成物では、耐衝撃性の改良効果
はみられるが、各種機器部材での使用において重要な材
料特性となる引張り伸び、ウエルド強度および成形加工
性の改良効果については明確にされていない。また、特
開平2−255862号公報では、高温で再生されるブ
ロック型イソシアネート化合物の使用は、耐衝撃性に対
してほとんど改良効果がみられないことを明記してい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた靭
性、耐衝撃性、ウエルド強度および成形加工性をあわせ
有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を提供する
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成す
るに至った。
【0010】すなわち、本発明は、(a)溶融粘度が2
00〜20000ポイズの実質的に熱酸化架橋されてい
ないポリフェニレンスルフィド67〜98.8重量%、
(b)多官能性イソシアネート0.1〜3重量%および
(c)無水マレイン酸含有エチレン系共重合体1〜30
重量%からなることを特徴とするポリフェニレンスルフ
ィド樹脂組成物、さらに繊維状または非繊維状の補強材
5〜180重量部を添加してなるポリフェニレンスルフ
ィド樹脂組成物に関する。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明に使用される実質的に熱酸化架橋さ
れていないポリフェニレンスルフィドとは、重合反応を
終了した時点で得られるポリフェニレンスルフィドを酸
素存在下での硬化処理を行わないものを意味しており、
その溶融粘度は、測定温度315℃,荷重10kgの条
件下、直径1mm,長さ2mmのダイスを用いて高化式
フローテスターで測定した溶融粘度が200〜2000
0ポイズ、好ましくは400〜5000ポイズである。
溶融粘度が200ポイズ未満では靭性およびウエルド強
度の改良効果が乏しく、溶融粘度が20000ポイズを
越えると成形加工し難く、好ましくない。1000〜2
0000ポイズでは特に優れた改良効果を示し、成形加
工性に優れるため好ましい。
【0013】本発明に使用される実質的に熱酸化架橋さ
れていないポリフェニレンスルフィドは、その構成単位
としてp−フェニレンスルフィド単位
【0014】
【化1】
【0015】を70モル%以上、特に90モル%以上含
有しているものが好ましい。
【0016】また、構成単位が30モル%未満、好まし
くは10モル%未満であれば、下記に示されるm−フェ
ニレンスルフィド単位
【0017】
【化2】
【0018】o−フェニレンスルフィド単位
【0019】
【化3】
【0020】フェニレンスルフィドスルホン単位
【0021】
【化4】
【0022】フェニレンスルフィドケトン単位
【0023】
【化5】
【0024】フェニレンスルフィドエーテル単位
【0025】
【化6】
【0026】ジフェニレンスルフィド単位
【0027】
【化7】
【0028】等の共重合単位を含有していてもさしつか
えない。
【0029】アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウ
ム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、
硫化セシウムおよびそれらの混合物が挙げられ、これら
は水和物の形で使用してもさしつかえない。これらアル
カリ金属硫化物は、水硫化アルカリ金属とアルカリ金属
塩基とを反応させることによって得られるが、ジハロベ
ンゼンの重合系内への添加に先立ってその場で調整され
ても、また系外で調整されたものを用いてもさしつかえ
ない。
【0030】ジハロベンゼンとしては、p−ジクロロベ
ンゼン、p−ジブロモベンゼン、p−ジヨードベンゼ
ン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m
−ジヨードベンゼン、1−クロロ−4−ブロモベンゼン
等が挙げられる。
【0031】重合溶媒としては、極性溶媒が好ましく、
特に非プロトン性で、高温でアルカリに対して安定な有
機アミドが好ましい溶媒である。有機アミドの若干の例
としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジ
メチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N
−メチル−ε−カプロラクタム、N−エチル−2−ピロ
リドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチ
ルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラ
ン、テトラメチル尿素等およびそれらの混合物が挙げら
れる。
【0032】また、溶媒として使用される有機アミドの
量は、重合によって生成するポリマーに対し150〜3
500重量%、好ましくは250〜1500重量%とな
る範囲で使用することができる。重合は200〜300
℃、好ましくは220〜280℃にて0.5〜30時
間、好ましくは1〜15時間攪拌下にて行われる。
【0033】さらに、本発明に使用されるポリフェニレ
ンスルフィドは、実質的に熱酸化架橋されていないポリ
フェニレンスルフィドであって、直鎖状のものであって
も、トリハロ以上のポリハロ化合物を少量添加して若干
の架橋または分岐構造を導入したものであっても、窒素
等の非酸化性の不活性ガス中で加熱処理を施したもので
あってもかまわないし、さらにこれらの構造の混合物で
あってもかまわない。また、特に上記のポリフェニレン
スルフィドは、脱イオン処理(酸洗浄や熱水洗浄等)あ
るいはアセトン、メチルアルコール等の有機溶媒による
洗浄処理を行うことによって、イオン、オリゴマー等の
不純物を低減させたものが好ましい。
【0034】本発明に使用される実質的に熱酸化架橋さ
れていないポリフェニレンスルフィドの配合量は67〜
98.8重量%、好ましくは75〜95重量%である。
配合量が98.8重量%を越えると本発明の改良効果が
少なく、67重量%未満の場合は耐熱性、強度の低下が
顕著となり、また加工性も悪化するため好ましくない。
75〜95重量%では本発明の改良効果が著しいため好
ましい。
【0035】本発明に使用される多官能性イソシアネー
トは、市販のブロック型,非ブロック型のものが使用で
きる。
【0036】本発明に使用される多官能性ブロック型イ
ソシアネートは、分子内に2個以上のイソシアネート基
を有し、そのイソシアネート基を揮発性の活性水素化合
物と反応させて、常温では不活性としたものである。多
官能性ブロック型イソシアネートの種類は特に規定しな
いが、一般的には、アルコール類、フェノール類、ε−
カプロラクタム、オキシム類、活性メチレン化合物類等
のブロック剤によりイソシアネート基がマスクされた構
造を有する。これらのブロック型イソシアネートは、一
般的に常温では反応しないため保存安定性に優れるが、
通常140〜200℃の加熱によりイソシアネート基が
再生され、優れた反応性を示すものである。
【0037】また、本発明に使用される多官能性非ブロ
ック型イソシアネートは、具体的には、4,4´−ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニル
プロパンジイソシアネート、トルエンジイソシアネー
ト、フェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシア
ネートフェニル)スルホン、トリイソシアネートベンゼ
ン等が例示される。
【0038】特に、効果、毒性および保存安定性等の取
扱い面から多官能性ブロック型イソシアネートが好まし
い。
【0039】本発明に使用される多官能性イソシアネー
トの配合量は0.1〜3重量%、好ましくは0.2〜2
重量%である。配合量が0.1重量%未満では本発明の
改良効果が少なく、また、3重量%を越えると成形時の
分解ガスの発生および金型汚染が著しいため好ましくな
い。配合量が0.2〜2重量%では、改良効果が著し
く、かつガスの発生および金型汚染が抑えられるため好
ましい。
【0040】本発明に使用される無水マレイン酸含有エ
チレン系共重合体は、市販のものが使用できる。本発明
に使用される無水マレイン酸含有エチレン系共重合体の
種類は特に規定しないが、曲げ剛性率[測定方法はAS
TM D747(1995年)準拠]が800kg/c
2以下かつ引張り破壊伸び[測定方法はJIS K6
730(1995年)準拠]が400%以上であり、ガ
ラス転移温度が−20℃以下のものが、本発明の改良効
果が特に著しいため好ましい。
【0041】本発明に使用される無水マレイン酸含有エ
チレン系共重合体の配合量は1〜30重量%、好ましく
は3〜20重量%である。配合量が3〜20重量%では
改良効果が著しく、ガスの発生が抑えられるため好まし
い。
【0042】本発明に使用される繊維状の補強材として
は、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アルミナ繊維、
チタン酸カリウムウィスカー、硼酸アルミニウムウィス
カー、酸化亜鉛ウィスカー等が挙げられる。また非繊維
状の補強材としては、炭酸カルシウム、マイカ、シリ
カ、タルク、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、ワラ
ステナイト、ゼオライト、ガラスビーズ、ガラスパウダ
ー等が挙げられる。これらの補強材は2種以上を併用す
ることができ、必要によりシラン系,チタン系のカップ
リング剤で表面処理をして使用することができる。特に
好ましい補強材は、繊維状補強材ではガラス繊維、炭素
繊維であり、非繊維状補強材では炭酸カルシウム、タル
クである。
【0043】また、本発明に使用される繊維状または非
繊維状の補強材の配合量は、(a)溶融粘度が200〜
20000ポイズの実質的に熱酸化架橋されていないポ
リフェニレンスルフィド67〜98.8重量%、(b)
多官能性イソシアネート0.1〜3重量%および(c)
無水マレイン酸含有エチレン系共重合体1〜30重量%
からなる合計100重量部に対して5〜180重量部で
あり、好ましくは10〜100重量部である。この範囲
であれば本発明の改良効果を損なわないため好ましい。
【0044】本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を逸
脱しない範囲で、各種熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、例
えば、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、フェノー
ル樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂、ポリオレフィ
ン、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンオキサ
イド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル
イミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、
ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィ
ドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン等の1種
以上を混合して使用することができる。
【0045】また、本発明の樹脂組成物は、本発明の目
的を逸脱しない範囲で、従来公知の離型剤、滑剤、熱安
定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、発泡剤、
防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤、染料,
顔料等の着色剤、帯電防止剤等の添加剤を1種以上併用
しても良い。
【0046】本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組
成物の製造方法としては、従来使用されている加熱溶融
混練方法を用いることができる。例えば、単軸または二
軸押出機、ニーダー、ミル、ブラベンダー等による加熱
溶融混練方法が挙げられるが、特に混練能力に優れた二
軸押出機による溶融混練方法が好ましい。また、この際
の混練温度は特に限定されるものではないが、通常28
0〜400℃の中から任意に選ぶことができる。さら
に、得られた組成物は、射出成形機、押出成形機、トラ
ンスファー成形機、圧縮成形機等を用いて任意の形状に
成形することができる。
【0047】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもので
はない。
【0048】参考例1(ポリフェニレンスルフィドの合
成) 15lのオートクレーブに、N−メチル−2−ピロリド
ンを5l仕込み、120℃に昇温した後、Na2S・
2.8H2O 1866gを仕込み、攪拌しながら徐々
に205℃まで昇温して、水を407g留出させた。こ
の系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン
2080gを添加した。225℃に昇温し、5時間重
合させた後、250℃に昇温し、さらに250℃にて3
時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却したスラ
リーを大量の水中に投入して重合体を析出させ、濾別、
純水による洗浄を繰り返し行った後、一晩加熱真空乾燥
を行うことにより重合体を単離した。得られたポリフェ
ニレンスルフィドの溶融粘度は840ポイズであった。
この様にして得られた実質的に熱酸化架橋されていない
ポリフェニレンスルフィドをPPS−Iとする。
【0049】参考例2(ポリフェニレンスルフィドの合
成) 参考例1と同様にして重合を行った後、得られたポリフ
ェニレンスルフィドをアセトン中に投入し、撹拌後濾別
した。さらに純水による洗浄を繰り返し行った後、一晩
加熱真空乾燥を行うことにより重合体を単離した。得ら
れたポリフェニレンスルフィドの溶融粘度は980ポイ
ズであった。この様にして得られた実質的に熱酸化架橋
されていないポリフェニレンスルフィドをPPS−II
とする。
【0050】参考例3(ポリフェニレンスルフィドの合
成) 参考例1と同様にして重合を行った後、得られたポリフ
ェニレンスルフィドを窒素雰囲気下235℃で加熱処理
したところ、溶融粘度は1080ポイズであった。この
様にして得られた実質的に熱酸化架橋されていないポリ
フェニレンスルフィドをPPS−IIIとする。
【0051】参考例4(ポリフェニレンスルフィドの合
成) 15lのオートクレーブに、N−メチル−2−ピロリド
ンを5l仕込み、120℃に昇温した後、Na2S・
2.8H2O 1866gを仕込み、攪拌しながら徐々
に205℃まで昇温して、水を407g留出させた。こ
の系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン
2080gを添加した。225℃に昇温し、2時間重
合させた後、250℃に昇温し、さらに250℃にて
2.5時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し
たスラリーを大量の水中に投入して重合体を析出させ、
濾別、純水による洗浄を繰り返し行った後、一晩加熱真
空乾燥を行うことにより重合体を単離した。得られたポ
リフェニレンスルフィドの溶融粘度は420ポイズであ
った。この様にして得られたポリフェニレンスルフィド
をさらに空気雰囲気下235℃で加熱硬化処理し、溶融
粘度を1200ポイズとした。この様にして得られたポ
リフェニレンスルフィドをPPS−IVとする。
【0052】実施例1 参考例1で得られたPPS−I、多官能性ブロック型イ
ソシアネート(武田薬品工業(株)製、タケネート P
W−2400)、無水マレイン酸含有エチレン系共重合
体(エルフ・アトケム社製、ボンダイン AX−839
0[曲げ剛性率<100kg/cm2、引張り破壊伸び
900%]およびガラス繊維(平均繊維径9μm,カッ
ト長3mmのチョップドストランド)を表1に示す割合
で配合した後、二軸押出機を用いて300℃で溶融混練
し、ペレット化した。ついで、成形品の引張り伸び、I
zod衝撃強度、ウエルド強度を評価するため、射出成
形機によって試験片を作成し、測定を行った。引張り伸
び、ウエルド強度の測定はASTM D638、Izo
d衝撃強度の測定はASTM D256(各々1995
年)に準拠した。また、実施例中のバリ長さは以下の測
定法によって得られた値である。図1の如き、A;10
μmのクリアランスを持つバーフロー(10×0.5m
mt)金型を使用し、樹脂組成物を射出成形機を用い
て、射出圧力500kg/cm2にて成形したときに、
Aのクリアランス部分に発生したバリの長さを万能投影
機を用いて測定し、バリ長さとした。
【0053】結果を表2に示す。得られた樹脂組成物
は、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度および成形加工性に
優れたものであった。
【0054】実施例2 参考例2で得られたPPS−IIを使用する以外は実施
例1と同様の操作および評価を行った。配合組成を表1
に、結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性、
耐衝撃性、ウエルド強度および成形加工性に優れたもの
であった。
【0055】実施例3〜5 参考例3で得られたPPS−IIIを使用する以外は実
施例1と同様の操作および評価を行った。配合組成を表
1に、結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭
性、耐衝撃性、ウエルド強度および成形加工性に優れた
ものであった。
【0056】実施例6 参考例2で得られたPPS−IIおよび無水マレイン酸
含有エチレン系共重合体(エルフ・アトケム社製、ボン
ダイン LX−4110[曲げ剛性率750kg/cm
2、引張り破壊伸び700%]を使用する以外は実施例
1と同様の操作および評価を行った。配合組成を表1
に、結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性、
耐衝撃性、ウエルド強度および成形加工性に優れたもの
であった。
【0057】実施例7 参考例2で得られたPPS−IIを使用し、補強材とし
てガラス繊維と炭酸カルシウムを併用した以外は実施例
1と同様の操作および評価を行った。配合組成を表1
に、結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、補強材
添加量が多いにもかかわらず靭性、耐衝撃性、ウエルド
強度および成形加工性に優れたものであった。
【0058】実施例8 参考例2で得られたPPS−IIを使用し、補強材を使
用しない以外は実施例1と同様の操作および評価を行っ
た。配合組成を表1に、結果を表2に示す。得られた樹
脂組成物は、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度および成形
加工性に優れたものであった。
【0059】実施例9 多官能性イソシアネートとして4,4´−ジフェニルメ
タンジイソシアネートを使用する以外は実施例2と同様
の操作および評価を行った。配合組成を表1に、結果を
表2に示す。得られた樹脂組成物は、靭性、耐衝撃性、
ウエルド強度および成形加工性に優れたものであった。
【0060】比較例1 参考例2で得られたPPS−IIを用い、各成分を表1
に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作および評価
を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は成
形加工性に優れるものであったが、靭性、耐衝撃性はい
ずれも劣るものであった。
【0061】比較例2 参考例2で得られたPPS−IIを用い、各成分を表1
に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作および評価
を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、
靭性、耐衝撃性、ウエルド強度および成形加工性がいず
れも劣るものであった。
【0062】比較例3 参考例4で得られたPPS−IVを用い、各成分を表1
に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作および評価
を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、
靭性、耐衝撃性、ウエルド強度がいずれも劣るものであ
った。
【0063】比較例4 参考例2で得られたPPS−IIを用い、各成分を表1
に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作および評価
を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、
靭性、耐衝撃性、ウエルド強度および成形加工性がいず
れも劣るものであった。
【0064】比較例5 参考例2で得られたPPS−IIを用い、各成分を表1
に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作および評価
を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は、
靭性、耐衝撃性、ウエルド強度に劣り、さらにペレット
乾燥時および成形時の発生ガスが非常に多く、実用に耐
えうるものではなかった。
【0065】比較例6 参考例2で得られたPPS−IIを用い、各成分を表1
に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作および評価
を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物はウ
エルド強度は優れていたが、靭性、耐衝撃性に劣るもの
であった。
【0066】比較例7 参考例3で得られたPPS−IIIを用い、各成分を表
1に示す割合で配合し、実施例1と同様の操作および評
価を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物は
発生ガスが多量のため、成形することができなかった。
【0067】比較例8 参考例2で得られたPPS−IIを用い、各成分を表1
に示す割合で配合し、補強材としてガラス繊維と炭酸カ
ルシウムを併用した以外は実施例1と同様の操作および
評価を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物
は、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度が低く、さらに成形
加工性にも劣るものであった。
【0068】比較例9 参考例2で得られたPPS−IIを用い、各成分を表1
に示す割合で配合し、補強材としてガラス繊維と炭酸カ
ルシウムを併用した以外は実施例1と同様の操作および
評価を行った。結果を表2に示す。得られた樹脂組成物
は、靭性、耐衝撃性、ウエルド強度が著しく低く、さら
に成形加工性にも劣るものであった。
【0069】比較例10 参考例2で得られたPPS−IIを用い、各成分を表1
に示す割合で配合し、補強材を使用しない以外は実施例
1と同様の操作および評価を行った。結果を表2に示
す。得られた樹脂組成物は靭性に優れるが、耐衝撃性、
ウエルド強度、成形加工性に劣るものであった。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、特定のポリフェニレンスルフィドに、多官能
性イソシアネートおよび無水マレイン酸含有エチレン系
共重合体、必要に応じて繊維状または非繊維状の補強材
を配合することにより、優れた靭性、耐衝撃性およびウ
エルド強度をあわせ有するポリフェニレンスルフィド樹
脂組成物が得られ、電気・電子機器部材、自動車機器部
材およびOA機器部材等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の組成物のバリ長さを測定するために
用いたバーフロー金型である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 23:26)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)溶融粘度が200〜20000ポイ
    ズの実質的に熱酸化架橋されていないポリフェニレンス
    ルフィド67〜98.8重量%、(b)多官能性イソシ
    アネート0.1〜3重量%および(c)無水マレイン酸
    含有エチレン系共重合体1〜30重量%からなることを
    特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のポリフェニレンスルフィ
    ド樹脂組成物100重量部に対し、繊維状または非繊維
    状の補強材5〜180重量部を添加してなることを特徴
    とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002167510A (ja) * 2000-11-30 2002-06-11 Tosoh Corp ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP2015514156A (ja) * 2012-04-13 2015-05-18 ティコナ・エルエルシー 動的に加硫されたポリアリーレンスルフィド組成物
JP2015520254A (ja) * 2012-04-13 2015-07-16 ティコナ・エルエルシー ブロー成形された熱可塑性組成物

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