JPH11179541A - 溶接機の制御方法 - Google Patents

溶接機の制御方法

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JPH11179541A
JPH11179541A JP36599397A JP36599397A JPH11179541A JP H11179541 A JPH11179541 A JP H11179541A JP 36599397 A JP36599397 A JP 36599397A JP 36599397 A JP36599397 A JP 36599397A JP H11179541 A JPH11179541 A JP H11179541A
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生男 壬生
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接速度と、電流/電圧の指令の関係を適正
に保ち、第1層目の溶接においてアークの先端部が確実
に開先先端部まで届くような溶接方法を提供する。 【解決手段】 溶接トーチ高さ制御装置8は、溶接トー
チ高さ設定値と電流制御装置7からの溶接トーチ高さ補
正量との和と、溶接トーチ高さ検出器9の測定値を一致
させるように溶接トーチ2の高さを上下させる。電流制
御装置7からの溶接トーチ高さ補正量は、コンパレータ
12に入力され、所定値を超えた場合には、溶接速度補
正装置13に指令が与えられ、溶接速度補正装置13
は、1ウィービング毎に一定の値だけ増加する溶接速度
補正値を溶接速度制御装置10に出力する。溶接速度制
御装置10は、基準溶接速度にこの溶接速度補正値を加
えたものを溶接速度指令値としてX軸駆動モータ11の
回転を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接機の制御方法
に関するものであり、特に、パイプの円周方向のシーム
部を裏当金無しで溶接する場合の溶接機の制御方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】パイプの円周方向のシームを自動で溶接
する溶接機の構成の例を図4に示す。図4において、パ
ーソナルコンピュータ21は、自動溶接のためのCAD
データを作成するためのものであり、作成されたデータ
はフレキシブルディスク21aに記録される。制御装置
22は、自動溶接の実質的な制御(電源及び溶接トーチ
位置等の制御)を行うためのものであり、フレキシブル
ディスク21aからCADデータを読み込む。そして、
制御装置22は、この読み込んだデータを用いて実際の
溶接条件を設定し、設定された条件に対応して、ロジッ
クテーブルに予め記録されたデータにより各種溶接パラ
メータを設定する。
【0003】さらに、この制御装置22では、設定され
た溶接パラメータを実際の溶接の制御に用いるNC言語
に変換し、変換した言語を制御データとして制御テーブ
ルの形で内部のメモリに記録する。そのメモリに記録さ
れた制御データを用いて、電源装置23、及び溶接ヘッ
ド24を駆動制御すると共に、パルス電圧波形及びパル
ス電流波形の計測・解析値を用いてアーク倣い関連補正
を行う構成となっている。なお、制御装置22の主な制
御項目は、溶接ヘッド24の溶接の電圧、電流、及び溶
接ヘッド24に搭載された溶接トーチ27の、パイプ開
先30に対するウィービング、溶接ヘッド24の移動速
度等である。
【0004】溶接ヘッド24は、電源装置23と送電ケ
ーブル28で接続され、パイプ外周に巻き付けられたガ
イドレール29上に、円周方向に移動可能に装着され
る。溶接ヘッド24には、溶接トーチ27に対して溶接
ワイヤを供給するワイヤ供給部26が搭載されている。
【0005】図5に、制御装置22、電源装置23、溶
接ヘッド24、パイプ25間の電気的な接続関係を示
す。図から分かるように、電源装置23からは、送電ケ
ーブル28を介して、溶接ヘッド24のワイヤ31とパ
イプ25との間にパルス溶接電圧が印加されるようにな
っている。これにより、ワイヤ31とパイプ25表面と
の間にアークが発生する。ワイヤ31は一定速度で送ら
れ、アークにより溶かされて溶着金属となり、パイプ開
先30内で固まり、母材を構成する。
【0006】図6に、溶接ヘッド24の詳細図を示す。
溶接ヘッド24は、パイプ外周上の位置(時分で示す)
X軸、溶接トーチ27のウィービングの開先部幅方向
(パイプ軸方向)Y軸、及び溶接高さ方向(パイプ半径
方向)Z軸、及び溶接トーチ旋回軸の各軸についてサー
ボ機構を備え、これら4軸は制御装置22により制御さ
れている。ウィービングは2次元ウィービングである。
即ち、溶接溶接トーチ27を溶接進行方向(X軸)に対
して直交するY軸方向及びZ軸方向に、開先部に沿って
移動させている。
【0007】溶接を自動で行うために、いろいろな自動
制御が行われている。その代表的なものを以下に示す。
【0008】<溶接速度制御>溶接ヘッド24のパイプ
円周方向(X軸方向)への進行速度が、プリセットされ
た値になるように制御を行う。具体的には、X軸方向駆
動モータの速度を、プリセット値に制御する。
【0009】<左右アーク倣い>左右アーク倣いは、溶
接トーチ27のウィービング中心が正確にパイプ開先3
0中心を通るようにするものであり、左右電流値が均等
になるように溶接トーチ27中心位置をずらす制御を行
うものである。ウィービングの中心がパイプ開先30中
心に対してずれると、左右端で開先壁との間隔が異な
り、これにより左右端での電流値が異なるようになる。
よって、この電流値の差を検出することにより、ウィー
ビングの中心のずれを検出することができる。従って、
左右端での電流値の差を無くすようにウィービングの中
心位置を調整する。
【0010】<上下アーク倣い>上下アーク倣いは、指
令電流値と計測した電流値が一致するように、溶接トー
チ27の上下方向位置を補正するものである。電流値が
指令電流値よりも高くなったときは、溶接トーチ27が
低すぎてワイヤ突き出し長さが短くなっているものと判
断し、溶接トーチ27を上げる。逆に、電流値が指令電
流値よりも低くなったときは、溶接トーチ27が高すぎ
てワイヤ突き出し長さが長くなっているものと判断し、
溶接トーチ27を下げる。
【0011】図7に、上下アーク倣い制御の制御ブロッ
ク図を示す。電源装置23からのパルス電流を電流検出
装置41で検出し、フィルタ42を通して直流成分を検
出する。電流制御装置43は、この直流成分と電流設定
値を比較し、その偏差に応じて溶接トーチ高さ制御装置
44に指令を出して溶接トーチ高さを変化させる。溶接
トーチ高さ制御装置44は、溶接トーチ高さ検出器45
で検出した溶接トーチ27の高さが、この指令に一致す
るように制御を行う。
【0012】<アーク電圧調整(アーク長補正)>アー
ク電圧調整は、溶接作業時の環境条件によるアーク電圧
の変動を吸収するために、アーク電圧を自動調整するも
のである。具体的には、アークショート時間率が設定さ
れた値となるように電圧指令を調整する。アークショー
トとは、溶接ワイヤと母材や溶融金属との間隔が短くな
りすぎて、両者の間に短絡(ショートが生じた状態のこ
とである。
【0013】図8に、アーク電圧調整制御の制御フロー
図を示す。パルス溶接電圧を検出し(51)、フィルタ
を通して平滑電圧を得る(52)。フィルタリングした
平滑電圧をサンプリングし、ウィービングの半周期の間
にサンプリングした全てのデータを平均化して平均電圧
を求める(53)。
【0014】また、パルス溶接電圧の電圧波形からアー
クショート時間を求める(54)。さらにウィービング
1周期の水平移動部分で検出された全てのアークショー
ト時間を平均して平均アークショート時間を求める(5
5)。
【0015】一方、パルス溶接電流を検出し(56)、
その電流波形から平均電流パルス周期を求める(5
8)。これは、ウィービング1周期の水平部分で検出さ
れた全ての電流パルス周期を平均化して求める。
【0016】このようにして得られた平均電流パルス周
期に対する平均アークショート時間の割合を、平均アー
クショート時間率として求める(59)。アーク長補正
60においては、この平均アークショート時間率が設定
された値となるように、平均電圧の補正量をアーク電圧
調整装置61に与える。アーク電圧調整装置61は、平
均電圧とこの補正量の差をアーク電圧の設定値として電
圧調整を行う(62)。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】通常、自動溶接機にお
いては、溶接の積層高さが適当な値になるように、溶接
速度と電流/電圧の指令の関係を決めている。ところ
が、溶接環境の変化等により、実際に最適な電流/電圧
は微妙に変わってしまい、必ずしも最適値にはならな
い。溶接速度が溶接時の電流/電圧指令に対して遅すぎ
る場合、積層高さが高くなり過ぎてしまう。逆に、溶接
速度が溶接時の電流/電圧指令に対して早すぎると、積
層高さが低くなり過ぎてしまう。
【0018】特に、溶接速度が遅く、積層高さが高くな
りすぎる場合、第1層目の溶接においては、アークの先
端が溶融池で妨げられて開先先端まで届かないため、リ
ップが溶けないで溶接不良となるという問題点がある。
【0019】また、別の問題点として、溶接中にアーク
が溶融池に触れた場合は、そのときの電流/電圧条件に
関りなく大きな短絡が発生する。これによりアークショ
ート値の平均値が上がり、アークショート率の制御に外
乱を与えるという問題点がある。
【0020】本発明はこのような問題点を解決するため
のなされたもので、溶接速度と、電流/電圧の指令の関
係を適正に保ち、第1層目の溶接においてアークの先端
部が確実に開先先端部まで届くような溶接方法を提供す
ることを課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の手段は、裏当金を用いずパイプの円周方向溶接
を行うに際し、多層溶接の第1層目において、溶接トー
チの上下倣い補正量が所定の範囲を超えた場合、溶接ト
ーチの上下倣い補正量が所定の範囲に復帰するまでの
間、溶接速度を操作することを特徴とする溶接機の制御
方法(請求項1)である。
【0022】2層目以降の溶接においては、溶接の基準
面となる前層の高さが変動するために、溶接トーチはこ
れに倣って大きく上下しなければならない。しかしなが
ら、第1層目の溶接トーチの上下倣い制御においてはこ
の必要はない。その理由は、溶接の開始に先立ち、タッ
チセンサを用いて、パイプの円周方向8点についてパイ
プ開先位置とガイドレールとの位置ずれの測定が行わ
れ、この位置ずれを補正して、常に溶接トーチが開先位
置に倣うようにプリセット制御が行われているので、溶
接の基準面となる開先リップ部と溶接トーチとの相対変
動は大きくならないからである。
【0023】よって、上下倣い制御において、溶接トー
チ位置の補正量が規定量を超えた場合は、第1層目の溶
接自身における積層高さ自体が不適正となっていると判
断する。そして、この場合には、溶接速度を操作する。
【0024】即ち、積層高さが高すぎて溶接トーチ操作
量が溶接トーチ高さを上げる方向に規定量を超えた場合
には、溶接速度を早くする。すると、溶接トーチ位置が
溶融池部分から離れ、アークがリップ部まで届くように
なると共に、積層高さが低くなる。それと共に、溶接ト
ーチ上下倣い制御により溶接トーチ高さが下がり、溶接
トーチの上下倣い補正量が所定の範囲に復帰するので、
この状態で溶接速度の操作を中止して、その速度に保持
する。
【0025】逆に、積層高さが小さすぎて溶接トーチ操
作量が溶接トーチ高さを下げる方向に規定量を超えた場
合には、溶接速度を遅くする。すると、積層高さが大き
くなってくる。それと共に、溶接トーチ上下倣い制御に
より溶接トーチ高さが上がり、溶接トーチの上下倣い補
正量が所定の範囲に復帰するので、この状態で溶接速度
の操作を中止して、その速度に保持する。
【0026】これにより、溶接速度と、電流/電圧の指
令の関係を適正に保ち、第1層目の溶接においてアーク
の先端部が確実に開先先端部(リップ部)まで届くよう
にすることができる。
【0027】前記課題を解決するための第2の手段は、
前記第1の手段であって、溶接速度の操作方法が、溶接
トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げる方向
に一定値を超えたときには一定の加速度で溶接速度を増
加させ、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さ
を下げる方向に一定値を超えたときは一定の減速度で溶
接速度を減少させる方法であることを特徴とするもので
ある。
【0028】この手段においては、積層高さが大きすぎ
て溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げ
る方向に一定値を超えたときには一定の加速度で溶接速
度を増加させる。溶接速度の増加により、溶接トーチ位
置が溶融池部分から離れ、アークがリップ部まで届くよ
うになると共に、積層高さが低くなる。逆に、積層高さ
が小さすぎて溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ
高さを下げる方向に一定値を超えたときは一定の減速度
で溶接速度を減少させる。溶接速度の減少により、積層
高さが低くなる。
【0029】前記課題を解決するための第3の手段は、
前記第1の手段であって、溶接速度の操作方法が、溶接
トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げる方向
に一定値を超えたときには1ウィービング毎に一定量溶
接速度を増加させ、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接
トーチ高さを下げる方向に一定値を超えたときは1ウィ
ービング毎に一定量溶接速度を減少させるもの(請求項
3)である。
【0030】本手段においては、溶接速度を1ウィービ
ング毎に一定量ずつ変化させるので、溶接速度の制御を
ウィービングに同期させて行うことができる。作用効果
は、前記第2の手段と同じである。
【0031】前記課題を解決するための第4の手段は、
裏当金を用いずパイプの円周方向溶接を行うに際し、多
層溶接の第1層目において、溶接トーチの上下倣い補正
量が所定の範囲を超えた場合、溶接トーチの上下倣い補
正量が所定の範囲に復帰するまでの間、アークショート
率を操作することを特徴とする溶接機の制御方法(請求
項4)である。
【0032】前記第1の手段の説明で述べたように、第
1層目の溶接において、上下倣い制御における溶接トー
チ位置の補正量が規定量を超えた場合は、第1層目の溶
接自身における積層高さ自体が不適性となっていると判
断する。そして、この場合には、アークショート率を操
作する。
【0033】即ち、積層高さが高すぎて溶接トーチ操作
量が溶接トーチ高さを上げる方向に規定量を超えた場合
には、アークショート率を上げる。すると、溶接電圧が
低くなり、入熱量が低下して積層高さが低くなる。する
と、溶接トーチの上下倣い制御により溶接トーチ高さが
下がり、アークがリップ部まで届くようになる。溶接ト
ーチの上下倣い補正量が所定の範囲に復帰したとき、ア
ークショート率の操作を中止して、その時の値に保持す
る。
【0034】逆に、積層高さが低すぎて溶接トーチ操作
量が溶接トーチ高さを下げる方向に規定量を超えた場合
には、アークショート率を下げる。すると、溶接電圧が
高くなり、入熱量が上昇して積層高さが高くなる。する
と、溶接トーチの上下倣い制御により溶接トーチ高さが
上がり、適正な位置に保たれる。溶接トーチの上下倣い
補正量が所定の範囲に復帰したとき、アークショート率
の操作を中止して、その時の値に保持する。
【0035】前記課題を解決するための第5の手段は、
前記第4の手段であって、アークショート率の操作方法
が、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上
げる方向に一定値を超えたときには一定の増加率でアー
クショート率を増加させ、溶接トーチの上下倣い補正量
が溶接トーチ高さを下げる方向に一定値を超えたときは
一定の減少率でアークショート率を減少させる方法であ
ることを特徴とするもの(請求項5)である。
【0036】この手段においては、積層高さが大きすぎ
て溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げ
る方向に一定値を超えたときには一定の増加率でアーク
ショート率を増加させる。アークショート率の増加と共
に溶接電圧が低下し、入熱量が低下するので、積層高さ
が低くなってアークがリップ部まで届くようになる。逆
に、積層高さが小さすぎて溶接トーチの上下倣い補正量
が溶接トーチ高さを下げる方向に一定値を超えたときは
一定の減少率でアークショート率を減少させる。アーク
ショート率の現象と共に溶接電圧が増大し、入熱量が増
加するので、積層高さが高くなって、アーク高さも適正
な位置に保たれる。
【0037】前記課題を解決するための第6の手段は、
前記第4の手段であって、アークショート率の操作方法
が、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上
げる方向に一定値を超えたときには1ウィービング毎に
一定量アークショート率を増加させ、溶接トーチの上下
倣い補正量が溶接トーチ高さを下げる方向に一定値を超
えたときは1ウィービング毎に一定量アークショート率
を減少させる方法であることを特徴とするもの(請求項
6)である。
【0038】本手段においては、アークショート率を1
ウィービング毎に一定量ずつ変化させるので、アークシ
ョート率の制御をウィービングに同期させて行うことが
できる。作用効果は、前記第5の手段と同じである。
【0039】前記課題を解決するための第7の手段は、
裏当金を用いずパイプの円周方向溶接を行うに際し、多
層溶接の第1層目において、実測アークショート率が基
準値を超えた場合、実測アークショート率が当該基準値
であるとして、アークショート率制御を行うことを特徴
する溶接機の制御方法(請求項7)である。
【0040】溶接中にアークが溶融池に触れた場合は、
そのときの電流/電圧条件に関りなく大きな短絡が発生
する。これによりアークショート値の平均値が上がり、
アークショート率の制御に外乱を与える。これを防ぐた
めに、実測アークショート率が基準値を超えた場合、ア
ークが溶融池に触れているものとして、この実測値を制
御に使用しないようにする。即ち、実測値を当該基準値
(上限値)に置き換えてその後の制御処理を行う。これ
により、アークが溶融池に触れたときの外乱を避けるこ
とができる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の例を
図を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態
を示すブロック図である。図1において1は電源装置、
2は溶接トーチ、3はワイヤ、4は開先、5は溶接電流
検出器、6はフィルタ、7は電流制御装置、8は溶接ト
ーチ高さ制御装置、9は溶接トーチ高さ検出器、10は
溶接速度制御装置、11はX軸駆動モータ、12はコン
パレータ、13は溶接速度補正装置である。
【0042】電源装置1からの溶接電流は、溶接トーチ
2に支えられたワイヤ3に供給され、パイプの開先4と
の間でアークが発生して溶接が行われる。溶接電流は、
溶接電流検出器5で検出され、フィルタ6で平滑化され
た後、電流制御装置7に入力される。電流制御装置7
は、この実測電流と電流設定値を比較し、実測電流を電
流設定値に一致させるような指令を、溶接トーチ高さ補
正量として、溶接トーチ高さ制御装置8に送出する。溶
接トーチ2の高さは、溶接トーチ高さ検出器9によって
検出されている。溶接トーチ高さ制御装置8は、溶接ト
ーチ高さ設定値と電流制御装置7からの溶接トーチ高さ
補正量との和と、溶接トーチ高さ検出器9の測定値を一
致させるように溶接トーチ2の高さを上下させる。
【0043】電流制御装置7からの溶接トーチ高さ補正
量は、コンパレータ12に入力される。コンパレータ1
2はX1〜X4(X1<X2<X3<X4)の4つの基準値を
有している。
【0044】もし、溶接トーチ高さ補正量がX4を超え
た場合には、溶接速度補正装置13に指令が与えられ、
溶接速度補正装置13は、1ウィービング毎に一定の値
だけ増加する溶接速度補正値を溶接速度制御装置10に
出力する。溶接速度制御装置10は、基準溶接速度にこ
の溶接速度補正値を加えたものを溶接速度指令値として
X軸駆動モータ11の回転を制御する。
【0045】これにより、溶接速度は徐々に増加し、そ
れに伴って溶接層の高さが減少する。すると、溶接電流
が低下するので、電流制御装置7は、溶接トーチ高さを
下げるような溶接トーチ高さ補正量を溶接トーチ高さ制
御装置8に送出し、これによって溶接トーチ高さは低く
なってくる。そして、溶接トーチ高さ補正量がX3以下
となったとき、溶接速度補正装置13からの溶接速度補
正値の増加が止まり、そのときの値にホールドされる。
【0046】逆に、溶接トーチ高さ補正量がX1を下回
った場合には、コンパレータ12より溶接速度補正装置
13に指令が与えられ、溶接速度補正装置13は、1ウ
ィービング毎に一定の値だけ減少する溶接速度補正値を
溶接速度制御装置10に出力する。溶接速度制御装置は
10は、基準溶接速度にこの溶接速度補正値を加えたも
のを溶接速度指令値としてX軸駆動モータ11の回転を
制御する。
【0047】これにより、溶接速度は徐々に減少し、そ
れに伴って溶接層の高さが増加する。すると、溶接電流
が増加するので、電流制御装置7は、溶接トーチ高さを
上げるような溶接トーチ高さ補正量を溶接トーチ高さ制
御装置8に送出し、これによって溶接トーチ高さは高く
なってくる。そして、溶接トーチ高さ補正量がX2以上
となったとき、溶接速度補正装置13からの溶接速度補
正値の減少が止まり、そのときの値にホールドされる。
【0048】以上の説明においては、溶接速度補正値の
増加、減少の割合は、1ウィービング毎に一定量とした
が、一定の加減速度を持つようにしてもよい。また、増
加する場合と減少する場合の変化の大きさを変えるよう
にしてもよい。
【0049】本発明の第2の実施の形態を図2を用いて
説明する。図2において、図1と同じ構成要素には同じ
符号を付して、その説明を省略する。図2において、1
4はアークショート率補正装置、15は溶接電圧検出
器、16はアークショート率算出装置、17はアークシ
ョート率制御装置である。
【0050】電源装置1からの溶接電流は、溶接トーチ
2に支えられたワイヤに供給され、パイプの開先4との
間でアークが発生して溶接が行われる。溶接電流は、溶
接電流検出器5で検出され、フィルタ6で平滑化された
後、電流制御装置7に入力される。電流制御装置7は、
この実測電流と電流設定値を比較し、実測電流を電流設
定値に一致させるような指令を、溶接トーチ高さ補正量
として、溶接トーチ高さ制御装置8に送出する。溶接ト
ーチ2の高さは、溶接トーチ高さ検出器9によって検出
されている。溶接トーチ高さ制御装置8は、溶接トーチ
高さ設定値と電流制御装置7からの溶接トーチ高さ補正
量との和と、溶接トーチ高さ検出器9の測定値を一致さ
せるように溶接トーチ2の高さを上下させる。
【0051】アークショート率演算装置16は、溶接電
圧検出器15の出力電圧波形からアークショート時間を
求める。さらにウィービング1周期の水平移動部分で検
出された全てのアークショート時間を平均して平均アー
クショート時間を求める。一方、溶接電流検出器5で検
出した溶接電流波形より、平均電流パルス周期を求め
る。これは、ウィービング1周期の水平部分で検出され
た全ての電流パルス周期を平均化して求める。このよう
にして得られた平均電流パルス周期に対する平均アーク
ショート時間の割合を、平均アークショート率として求
める。
【0052】アークショート率制御装置は、アークショ
ート率算出装置16で算出されたアークショート率が基
準アークショート率となるように、電源装置1の溶接電
圧を制御する。即ち、アークショート率が基準以下であ
るときは溶接電圧を下げ、アークショート率が基準以上
であるときは溶接電圧を上げる。
【0053】電流制御装置7からの溶接トーチ高さ補正
量は、コンパレータ12に入力される。コンパレータ1
2はX1〜X4(X1<X2<X3<X4)の4つの基準値を
有している。
【0054】もし、溶接トーチ高さ補正量がX4を超え
た場合には、アークショート率補正装置14に指令が与
えられ、溶接速度補正装置14は、1ウィービング毎に
一定の値だけ増加するアークショート率補正値をアーク
ショート率制御装置17に出力する。アークショート率
制御装置17は、基準アークショート率にこのアークシ
ョート率補正値を加えたものをアークショート率指令値
とし、実際のアークショート率がこの値となるような溶
接電圧指令を電源装置1に与える。
【0055】これにより、溶接電圧は徐々に低下し入熱
量が減少するので、それに伴って溶接層の高さが減少す
る。すると、溶接電流が低下するので、電流制御装置7
は、溶接トーチ高さを下げるような溶接トーチ高さ補正
量を溶接トーチ高さ制御装置8に送出し、これによって
溶接トーチ高さは低くなってくる。そして、溶接トーチ
高さ補正量がX3以下となったとき、アークショート率
補正装置14からの溶接速度補正値の増加が止まり、そ
のときの値にホールドされる。
【0056】逆に、溶接トーチ高さ補正量がX1を下回
った場合には、アークショート率制御装置17に指令が
与えられ、アークショート率制御装置17は、1ウィー
ビング毎に一定の値だけ減少するアークショート率補正
値をアークショート率制御装置17に出力する。アーク
ショート率制御装置17は、基準アークショート率にこ
のアークショート率補正値を加えたものをアークショー
ト率指令値とし、実際のアークショート率がこの値とな
るような溶接電圧指令を電源装置1に与える。
【0057】これにより、溶接電圧は徐々に上昇し入熱
量が増加するので、それに伴って溶接層の高さが増加す
る。そして、溶接トーチ高さ補正量がX2以上となった
とき、アークショート率補正装置14からのアークショ
ート率補正値の減少が止まり、そのときの値にホールド
される。
【0058】以上の説明においては、アークショート率
補正値の増加、減少の割合は、1ウィービング毎に一定
量としたが、一定の加減速度を持つようにしてもよい。
また、増加する場合と減少する場合の変化の大きさを変
えるようにしてもよい。
【0059】本発明の第3の実施の形態を、図2、図3
を用いて説明する。図3は、図2におけるアークショー
ト率算出装置16に入力される溶接電圧と溶接電流の信
号波形を示す図である。両波形とも、ベース部分にパル
ス状の電圧、電流が重畳された波形であり、18、19
がアークショートに対応する部分である。前述したよう
に、アーク長を制御するアーク長補正においては、この
アークショート時間の平均電流パルス周期に対する割合
をアークショート率として算出し、これを一定に制御す
るようにしている。
【0060】しかしながら、アークが溶融池に接触した
場合には、このアークショート時間がアーク長と関係な
く異常に長くなるので、この値を用いてアーク長補正を
行うと制御が乱れる原因となる。そこで、アークショー
ト率算出装置16において、算出されるアークショート
率に上限を設け、実際に検出されたアークショート率が
この上限を超えた場合には、アークショート率は上限値
であるとして出力を行う。これにより、アークが溶融池
に接触した場合の、アーク長補正に対する外乱を防止す
ることができる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、裏当金を用いずパイプの円周方向溶接を行うに際
し、多層溶接の第1層目において、溶接トーチの上下倣
い補正量が所定の範囲を超えた場合、溶接トーチの上下
倣い補正量が所定の範囲に復帰するまでの間、溶接速度
又はアークショート率を操作しているので、溶接層高さ
が大きすぎてアークが開先先端に届かなかったり、溶接
層高さが小さすぎるようになることを防止することがで
きる。
【0062】また、実測アークショート率が基準値を超
えた場合、実測アークショート率が当該基準値であると
して、アークショート率制御を行うので、アークが溶接
池に触れた場合でも、アーク長補正制御における外乱の
発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のブロック図であ
る。
【図2】本発明の第2の実施の形態のブロック図であ
る。
【図3】溶接電圧と溶接電流の波形を示す図である。
【図4】自動溶接機の構成の例を示す図である。
【図5】自動溶接機の電気的な接続関係を示す図であ
る。
【図6】溶接ヘッドの詳細を示す図である。
【図7】従来の上下アーク倣い制御の制御ブロックを示
す図である。
【図8】従来のアーク電圧調整制御の制御フローを示す
図である。
【符号の説明】
1 電源装置 2 溶接トーチ 3 ワイヤ 4 開先 5 溶接電流検出器 6 フィルタ 7 電流制御装置 8 溶接トーチ高さ制御装置 9 溶接トーチ高さ検出器 10 溶接速度制御装置 11 X軸駆動モータ 12 コンパレータ 13 溶接速度補正装置 14 アークショート率補正装置 15 溶接電圧検出器 16 アークショート率算出装置 17 アークショート率制御装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 裏当金を用いずパイプの円周方向溶接を
    行うに際し、多層溶接の第1層目において、溶接トーチ
    の上下倣い補正量が所定の範囲を超えた場合、溶接トー
    チの上下倣い補正量が所定の範囲に復帰するまでの間、
    溶接速度を操作することを特徴とする溶接機の制御方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の溶接機の制御方法であ
    って、溶接速度の操作方法が、溶接トーチの上下倣い補
    正量が溶接トーチ高さを上げる方向に一定値を超えたと
    きには一定の加速度で溶接速度を増加させ、溶接トーチ
    の上下倣い補正量が溶接トーチ高さを下げる方向に一定
    値を超えたときは一定の減速度で溶接速度を減少させる
    方法であることを特徴とする溶接機の制御方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の溶接機の制御方法であ
    って、溶接速度の操作方法が、溶接トーチの上下倣い補
    正量が溶接トーチ高さを上げる方向に一定値を超えたと
    きには1ウィービング毎に一定量溶接速度を増加させ、
    溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを下げる
    方向に一定値を超えたときは1ウィービング毎に一定量
    溶接速度を減少させるものであることを特徴とする溶接
    機の制御方法。
  4. 【請求項4】 裏当金を用いずパイプの円周方向溶接を
    行うに際し、多層溶接の第1層目において、溶接トーチ
    の上下倣い補正量が所定の範囲を超えた場合、溶接トー
    チの上下倣い補正量が所定の範囲に復帰するまでの間、
    アークショート率を操作することを特徴とする溶接機の
    制御方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の溶接機の制御方法であ
    って、アークショート率の操作方法が、溶接トーチの上
    下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げる方向に一定値を
    超えたときには一定の増加率でアークショート率を増加
    させ、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを
    下げる方向に一定値を超えたときは一定の減少率でアー
    クショート率を減少させる方法であることを特徴とする
    溶接機の制御方法。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の溶接機の制御方法であ
    って、アークショート率の操作方法が、溶接トーチの上
    下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げる方向に一定値を
    超えたときには1ウィービング毎に一定量アークショー
    ト率を増加させ、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接ト
    ーチ高さを下げる方向に一定値を超えたときは1ウィー
    ビング毎に一定量アークショート率を減少させる方法で
    あることを特徴とする溶接機の制御方法。
  7. 【請求項7】 裏当金を用いずパイプの円周方向溶接を
    行うに際し、多層溶接の第1層目において、実測アーク
    ショート率が基準値を超えた場合、実測アークショート
    率が当該基準値であるとして、アークショート率制御を
    行うことを特徴する溶接機の制御方法。
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