JP3812914B2 - パイプ円周自動溶接装置の左右ウィービング幅補正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイプ円周自動溶接装置に係り、特に、パルス溶接電流波形及びパルス溶接電圧波形を計測・解析し、これに基づいてアーク倣い関連補正を行うパイプ円周自動溶接装置の左右ウィービング補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスパイプライン敷設工事の際には、突き合わせて固定されている2本のパイプの端面を全周溶接により接続する。この溶接を自動溶接により行う場合は、パイプにベルト状のガイドレールを巻き、このガイドレール上に溶接ヘッドを走らせMAG(メタル・アクティブ・ガス)法等により溶接している。アーク倣い関連補正の「アーク倣い」とは、溶接中の電流や電圧を監視して、トーチをワークに対して位置的に倣わせるものである。
【0003】
従来のパイプの突き合せアーク溶接においては、ウィービング等の駆動は、比較的低速のものはパルスモータにより、また、高速なものはサーボモータにより行われるのが一般的である。そして、その溶接の際にトーチをワークに対して最適な位置に保つために、溶接中の電流や電圧を監視して、それらの値が適正になるようトーチの位置をフィーバック制御することも行われている。そのための電流/電圧計測方法は、パルス溶接電流/電圧信号を、低域通過型フィルタを通して平滑化し、A/Dコンバータにより、ディジタルの電流/電圧信号として計測している。ただし、低域通過型フィルタのカットオフ周波数は、パルス溶接電流/電圧の繰り返し周波数よりもはるかに低く設定されていた(例えば、パルス周波数100〜400Hzに対してカットオフ周波数10Hz)。
【0004】
従来のパイプ円周溶接に関する技術として、特開昭63−183776号公報及び特開平4−284973号公報に記載されたものがある。特開昭63−183776号公報に記載の技術は、アーク回転式の全姿勢溶接装置に関するものである。同方式では開先形状が狭開先で高精度加工が必要であり、開先幅の広いワークに対しての適用は難しい。特開平4−284973号公報に記載の技術は、開先部の溶接をリアルタイム制御にする自動アーク溶接法に関するものであるが、パルス溶接電流/電圧の個々のパルス波形の計測の点については解決されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
パイプ円周溶接、高速ウィービング等における最適な溶接を行うためには、高精度なウィービングの制御が必要となる。
【0006】
溶接作業前に開先の形状を計測してそのデータを保持しておくことにより、ある程度の誤差補正は可能であるが、形状計測の実際の計測位置以外の位置についてはデータの補間により対処されるので、開先形状計測のデータのみでは十分な補正が行えないという問題があった。
【0007】
また、従来のパルス溶接電流/電圧の計測では、高速、高精度の電流/電圧波形の計測が困難で、せいぜいパルス溶接電流/電圧の繰り返し周期の10倍程度の応答時間での計測であった。そのため、アーク倣い関連補正のための電流、電圧、ウィービング指令等のタイミングが遅れ、きめ細かな補正が行えないという問題があった。
【0008】
本発明は、高速ウィービングを行いながら鋼管の円周自動溶接を行うパイプ円周自動溶接装置の制御を高精度に行うことを可能にする、アーク倣い関連補正、特に左右ウィービング幅補正方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によるパイプ円周自動溶接装置の左右ウィービング幅補正方法は、突き合わせて固定されている2本のパイプの端面をパルスMAG溶接法により全周溶接する際、パイプの開先に沿ってパイプ円周の接線に直交する左右方向および上下方向にトーチの2次元ウィービングを行う自動溶接装置の左右ウィービング幅補正方法であって、計測したパルス溶接電流に基づいて、1ウィービング周期内の、開先のスロープ部に対応するウィービングの左端および右端における電流パルス周期を求め、計測したパルス溶接電圧に基づいて、1ウィービング周期内の、開先のスロープ部に対応するウィービングの左端および右端におけるアークショート時間を求め、該求められた左端および右端のアークショート時間により前記左端および右端の電流パルス周期をそれぞれ補正し、該補正された左端および右端の電流パルス周期の大きい方を補正電流パルス周期とし、該補正電流パルス周期をその上限値および下限値と比較し、上限値より大きい場合、左右のウィービング幅を広くし、下限値より小さい場合、左右のウィービング幅を狭くするよう、ウィービング幅を補正することを特徴とする。
【0010】
左ウィービング幅は、好ましくは、開先のスロープ部に対応するウィービングの左右端以外の水平移動部分の左側の区間の幅である。右ウィービング幅も同様である。
【0011】
本発明のこの構成によれば、左右端電流パルス周期をそれぞれ左右端アークショート時間で補正したものに基づいて左右のウィービング幅を補正するので、極めて高精度の補正を行うことができる。また、電流電圧波形の測定値をリアルタイムに用いて補正を行うので、極めて応答性の高いウィービング制御を行うことが可能となる。
【0012】
前記アークショート時間による電流パルス周期の補正の一例としては、電流パルス周期からアークショート時間を減算した結果を補正後の電流パルス周期とする。
【0013】
前記ウィービング幅の補正は、例えば、前記補正電流パルス周期と前記上限値または下限値の差に予め定めた係数値を掛けて得られた量を補正量とする。
【0014】
好ましくは、ウィービング周期毎の前記補正量を積算しておき、前回までの積算値と今回の補正量との和が予め定めた限界値を超える場合には、当該限界値と前記積算値との差分を今回の補正量とする。
【0015】
また、好ましくは、前記左右ウィービング幅の補正により、全体のウィービング幅が変わった場合、ウィービング周期を一定とするために、全体のウィービング幅の変化量に応じてウィービング速度を変更する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。ここでは、本発明を高周波パルスMAG溶接に適用した例を説明する。パルスMAG溶接については、例えば、「溶接技術」1989年2月号第67〜76頁に記載されている。
【0017】
図1により本発明の溶接装置の概略構成について述べる。パーソナルコンピュータ1は、自動溶接制御のためのCADデータ(パイプの外径、板厚、材質、開先形状などの設計値)を作成するためのものであり、作成されたデータはフレキシブルディスク(フロッピーディスク)1aに記録される。制御装置2は、自動溶接の実質的な制御(電源およびトーチ位置等の制御)を行うためのものであり、CADデータの格納されたフレキシブルディスク1aからそのCADデータを読み込む。勿論、フレキシブルディスクによらず、周知のデータ通信によってデータ転送を行うようにしてもよい。制御装置2は、この読み込んだデータを用いて実際の溶接条件を設定し、設定された条件に対応して、後述するロジックテーブルに予め記録されたデータにより各種溶接パラメータを設定する。このようなロジックテーブルの詳細およびこれを用いた溶接データの作成については、本願出願人が先に提案した特願平7−173921号に開示されている。
【0018】
さらに、この制御装置2では、設定された溶接パラメータを実際の溶接の制御に用いるNC言語(数値制御用言語)に変換し、変換した言語を制御データとして制御データテーブルの形で内部のメモリに記録する。このメモリに記録された制御データを用いて、電源装置3、及び溶接ヘッド4を駆動制御するとともに、後述する、パルス電圧波形及びパルス電流波形の計測・解析値を用いてアーク倣い関連補正を行う構成となっている。なお、制御装置2の主な制御項目は、溶接ヘッド4の溶接の電圧、電流、及びヘッド4に搭載された溶接トーチ8のパイプ開先93に対するウィービング、溶接ヘッド4の移動速度等である。ヘッド4は、パイプ外周に巻き付けられたガイドレール12上に、円周方向に移動可能に装着される。ヘッド4には、溶接トーチ8に対して溶接ワイヤを供給するワイヤ供給部6が搭載されている。
【0019】
図2に、制御装置2、電源3、ヘッド4、パイプ5の間の電気的な接続関係を示す。図から分かるように、電源3からは、送電ケーブル9を介して、ヘッド4のワイヤ7とパイプ5との間にパルス溶接電圧が印加されるようになっている。これにより、ワイヤ7とパイプ5表面との間にアーク91(図12)が発生する。溶接用ワイヤ7は一定速度で送られ、アーク91により溶かされて溶着金属92(図12)となり、開先93(図12)内で固まり母材5を接合する。
【0020】
図3に示すように、溶接ヘッド4のパイプ外周上の位置(時分で表す)X軸、トーチ8のウィービングの開先部幅方向(パイプ軸方向)Y軸、及び溶接高さ方向(パイプ半径方向)Z軸、トーチ旋回軸Aの各軸についてサーボ機構を備え、計4軸は制御装置2により制御されている。なお、二次元ウィービングとは、トーチ8を溶接進行方向(X軸)に対して直交するY軸方向およびZ軸方向に、開先部に沿って移動させる動作をいう。
【0021】
図4により、本実施の形態において溶接ヘッド4に付属する部品について説明する。溶接ヘッド4には、X,Y,Zの各軸毎にヘッドの位置変化を検出するためのエンコーダ42x,42y,42z(総称して42で示す)および各軸毎に設けられた機械原点(図示せず)を検出する原点センサ41x,41y,41z(総称して41で示す)が取り付けられている。各軸エンコーダ42は、その軸方向のヘッド移動量に応じた個数のパルスを発生するデバイスであり、このパルス数を計数することにより移動量を求めることができる。但し、X軸エンコーダ42xについては、絶対値エンコーダにより構成し、モータへの電源オフ期間中にもその絶対的な位置を保持することができるようにしてある。Y軸およびZ軸については、現在位置情報が失われたとしても、移動のストロークが小さく、新たに機械原点を検出・設定する手間および時間は問題にならないので、より簡易なインクリメンタル(相対置)エンコーダを採用している。各軸の原点センサ41は、各軸における機械的な原点を示す機械原点を検出するためのセンサであり、例えば、光学的なセンサを用いることができる。X軸の機械原点は、ガイドレール12の円周上の予め定めた1カ所に設けられた指標であり、この例では、ガイドレール12の頂部において設けた光遮断部材(図示せず)である。Y軸の機械原点はトーチのY軸方向の後退位置に設けた光遮断部材(図示せず)である。同様に、Z軸の機械原点はトーチのZ軸方向のほぼ最上位位置に設けた光遮断部材(図示せず)である。勿論、センサは光学的なものに限るものではなく、例えば、近接センサのようなものを利用することもできる。これらの各軸の原点を基準として、トーチの目標位置を指定することができる。これらの原点の検出・設定は、溶接作業の初期作業として行われる。
【0022】
図5により、制御装置2の内部構成を説明する。
【0023】
制御装置2は、制御部223、記憶部(メモリ)221、ハードディスク222、溶接ヘッド制御部230、CRT・キーボード225、パルス波形計測部211を有する。
【0024】
なお、図5の制御装置2内に破線で示すように、コンピュータ1を内蔵する構成としてもよい。制御部223はマイクロプロセッサにより構成することができ、記憶部221はその制御プログラムおよび各種データの格納領域、作業領域を提供するものである。ハードディスク222は、制御プログラムや各種データ等を不揮発的に保存する大容量の記憶装置である。具体的には、ハードディスク222には、予め定められた溶接条件および溶接パラメータが、ロジックテーブル(後述)としてテーブル形式で格納される。制御部223は、記憶部221に記憶されたCADデータを読み出して溶接条件を判定し、この溶接条件に適合する溶接パラメータをロジックテーブルから読み出す。さらに、この読み出した溶接パラメータを、溶接ヘッド4及び電源装置3を制御するための言語に変換して制御データとして制御データテーブル(図示せず)の形で記憶部221に記憶する。この制御データは後述する溶接ヘッド制御部230に送られる。CRT・キーボード225は、制御部223と操作者との間のユーザインタフェースを提供するための表示部および入力部である。溶接ヘッド制御部230は、制御部223からの信号の送受信や、リモート操作装置234との信号の送受信を行うための送受信部231、溶接ヘッド4およびトーチ8の動作を制御するためのサーボモータの駆動指令を出力するヘッド駆動部233、及び電源装置3の制御を行う電源制御部232を有する。パルス波形計測部211は、電源装置3からのパルス溶接電圧およびパルス溶接電流を計測するためのハードウエア回路である。このハードウエア回路の構成例については、図12により後述する。
【0025】
図6に、本実施の形態におけるパイプ円周自動溶接装置の処理のフローチャートを示す。
【0026】
図6において、まず、制御装置2において、CADデータから、パイプの口径、板厚、材質、開先形状等を読み出す(61)。この読み出されたデータを用いて、ロジックテーブルから、溶接条件(積層計画、層,番地毎の電流、電圧、回転速度など)に対応した溶接パラメータを決定する(62、63)。この決定された溶接パラメータをNC言語に変換する(64)。これにより得られたNCデータは、制御データとして制御テーブル(図示せず)に記憶される。また、このNCデータを用いて、電源装置や溶接ヘッドを動作させる(65〜68)。この動作時に、パルス溶接電流・電圧の検出手段を用いてヘッドの位置間隔等を検出し、動作状態が最適状態にセットされているか否かを判定し、正規の動作位置になっていなければ、トーチの軌跡データを補正し、ルートギャップ幅の変化による溶接条件等も補正し、ロジックテーブルのデータにより溶接パラメータを再設定する。この再設定後に運転が継続され、アークの状態を検出し設計値と比較して、随時、アーク電圧等を制御しながら自動溶接を実行する(69〜72)。
【0027】
即ち、予めロジックテーブル62に格納された溶接条件パラメータとして、溶接の各層毎に、各姿勢毎の溶接電流、溶接電圧、ヘッドの移動速度、トーチの回転速度、アークのスタート、エンド位置等を読み出し、これらの溶接条件パラメータに対して、ワイヤによる開先形状計測66の結果に基づいてトーチ軌跡補正67およびルートギャップ幅変化による溶接条件補正68を行う。その後、自動運転を開始し(69)、アークセンス(溶接線倣い)、電流・電圧サンプリング、トーチ位置(上下、左右)制御を行う(70)。また、パルス訛り防止制御、アーク電圧制御を行う(71)。アークセンスに基づいて行われるアーク倣い関連補正の詳細については、後述する。自動溶接の現在の溶接電流、電圧、各軸位置等の各種パラメータおよび各種補正量等は、現在の状態(ステータス)として、CRTにおけるリアルタイム表示により監視することができる(72)。
【0028】
図7に、ロジックテーブルの一例を示す。これは、ウィービング停止時間の設定を定めるファイルの例である。この他にも、各種のファイルが存在するが、ここではこの一例のみを示す。このロジックテーブルには、条件項目として、「溶接姿勢」、「層間」、「回転速度」、「ウィーブ幅」の4つの条件について、等しい:「=」、等しくない:「!=」、大きい:「>」、小さい:「<」、以上:「>=」、以下:「<=」のそれぞれの条件に適合するようにデータが収納されている。
【0029】
例えば、次のような条件が与えられたとする。すなわち、溶接条件が上向き、層間が仕上げ、回転速度が100、ウィーブ幅が10.0、とする。この条件に適合するテーブル内容を検索して、テーブルの項目No.5を選択する。これにより、回転速度が120以下、ウィーブ幅が11.0以下、左停止0.15、中停止0.00、右停止0.15の各データが選択される。これらの溶接のためのパラメータが選択されると、次に実際のNC実行制御プログラムにデータが渡される。
【0030】
図8に、CADのプログラム項目とNC制御のプログラムの項目の対応関係を示す。初期値設定時は、CAD情報として、口径、開先情報、サーボパラメータ、アーク倣い補正パラメータ、手直し溶接パラメータが設定される。これらのパラメータは、NC制御用に、口径についてはガイドレール周回パルス数(エンコーダパルス数)に変換され、開先情報についてはタッチセンスの情報に変換される。その他の項目も、図8に示す対応関係でNC制御用に変換される。本システムは、このようして得られたNC制御データに基づいて仮の動作を実行し、それぞれの動作に関して、その検出結果を基に、補正が必要なものは補正を行い、実際の溶接動作に移行する。
【0031】
このように構成することにより、人はCADデータを作成し、溶接ヘッドをパイプにセットすれば、システムが自動的に溶接条件等を決定して自動的に溶接を実行する。その結果、溶接実行時に人が溶接条件等を教示する必要がなくなり、しかも溶接のバラツキが少なくなる。また、殆どの条件をロジックテーブルという形式で記憶しているため、従来用いられている知識処理等の表現形式のIF〜THENを用いた場合に比べ条件の変更、選択理由等も簡単に修正ができる。
【0032】
図9及び図10により、本溶接装置で行う、トーチの2次元ウィービングの例を説明する。図9は、横軸を時間としてY軸位置およびZ軸位置の変化を示したものであり、図10は、X軸方向に沿ってウィービング動作の移動経路を示したものである。ウィービング動作は、図のように、トーチをY軸およびZ軸方向に所定の幅・周期で往復運動させ、トーチの軌跡を波状にするものである。この例では、前述のように、ウィービングの左端(L)、中央(C)、右端(R)で一時的に停止させている。図10の左右での斜めの移動時の速度と、水平移動時の速度とは別個に指定可能である。速度は、ワイヤ先端の移動軌跡に沿った速度(接線速度)で指定される。
【0033】
図11は、ウィービングの指令軌跡と実際のトーチの移動の軌跡(サーボ軌跡)とを対比して示したものである。図の横軸は時間、縦軸はY軸方向位置を示す。図から分かるように、トーチの移動指令に対するサーボ機構の応答の遅延に起因して、サーボ軌跡は指令軌跡より遅れて追従している。図の例では、ウィービング幅(Y軸方向の移動範囲)を、右端、右、中心、左、左端の5区間に分けて、後述する各種データのサンプリングを行っている。各区間の判定は、Y軸エンコーダの出力に応じて、実際の機械的なトーチ位置を示すサーボ軌跡を基に行われる。各区間の境界には、誤差低減のために不感帯を設けてもよい。
【0034】
後述するアーク倣い関連補正では、ウィービングの位置に応じて、次のようなデータを求める。
【0035】
平滑電流値、
平均電流パルス周期、
左端・右端電流パルス周期、
左端・右端アークショート時間
平均アークショート時間、
左・右電流パルス周期、
左・右アークショート時間
なお、アークショートとは、溶接ワイヤ(電極)と母材や溶融金属との間隔が短くなりすぎて、両者の間に短絡(ショート)が生じた状態のことである。
【0036】
図12に、計測用回路211のハードウエア構成例を示す。
【0037】
溶接用電源装置3は、溶接トーチ8に大きなパルス電流を供給する。パルス溶接電流/電圧計測用回路211は、電源装置3からパルス溶接電流信号13およびパルス溶接電圧信号32を得て、それぞれフィルター14および33に入力する。なお、本明細書でいう「電圧信号」および「電流信号」は、それらの信号がそれぞれ溶接電圧を表わす信号および溶接電流を表す信号という意味であり、信号が電圧レベルおよび電流レベルで表されるという意味ではない。通常、これらの電圧信号および電流信号は電圧レベルで表される。
【0038】
図13にパルス溶接電流/電圧信号の一例(フィルター入力)を示す。同図において(a)は電圧信号32、(b)は電流信号13を示す。電圧信号32は、所定周期のパルス波形であり、高周波のノイズ成分15が重畳している。また、このパルス波形のベース電圧部分51には、アークショートの発生を示す電圧低下波形部分50が示されている。この電圧信号32に対応する電流信号13も、電圧信号32と同様に高周波ノイズ成分15を含んでいる。パルス溶接電流信号13には、高周波のノイズ成分15が重畳しており、電圧信号32の波形部分50に対応した波形部分52が示されている。フィルター14および33は、前述したようにパルス電源のパルス周波数よりも高いカットオフ周波数(例えば4KHz)を有するものであり、高周波のノイズ成分15を取り除き、パルス溶接電流信号16およびパルス溶接電圧信号34を出力する。これにより、高周波ノイズによる電気的特性計測の誤動作を防止することができる。また、このようなカットオフ周波数のフィルターを用いることにより、電流信号13および電圧信号32のパルス波形を維持することができ、後述する方法によりパルス単位の電気的特性の計測を可能とする。
【0039】
図14に、フィルター14および33により出力されるパルス溶接電流/電圧信号の一例を示す。同図において(a)は電圧信号、(b)は電流信号を示す。フィルター14、33により電圧信号32および電流信号13からそれぞれの高周波のノイズ成分15を取り除いたものがパルス溶接電流信号16、パルス溶接電圧信号34である。同図中、I1は電流信号のピーク値、E2は電圧信号のベース電圧、T1は電流信号(および電圧信号)のパルス幅、T2は電流信号(および電圧信号)のベース幅、T3は電圧信号(および電流信号)のアークショート幅(アークショート時間)、T4は電流信号(および電圧信号)の繰り返し周期、H1は電流信号16に対するパルス幅及びベース幅計測用スレショルドレベル信号22のレベル、H2は電圧信号34に対するアークショート幅計測用スレショルドレベル信号38のレベルである。
【0040】
アークショート幅を電圧波形から求めるのは、アークショート波形が電圧信号の方に明確に現れやすいからである。また、パルス幅等を電流波形から求めるのは、電圧波形の方がベースレベルとピークレベルの差が大きくかつ明確だからである。但し、本発明はこれらに限られるものではない。
【0041】
図12の計測用回路211中のピークホールド回路17は、タイミング信号20で決まる時間間隔毎に、フィルター14から出力されるパルス溶接電流信号16のピーク値を検出、保持する。このピーク値は、タイミング信号20にしたがってA/D変換回路18によりディジタル信号19に変換される。タイミング信号20は、後述する割込回路24による制御装置2への割込に応じて制御装置2が出力する。
【0042】
コンパレータ21は、制御装置2から与えられるスレショルドレベル信号22とパルス溶接電流信号16とを比較し(図14(b)参照)、パルス溶接電流信号16がスレショルドレベル信号22を越えた時に、その出力信号23を低レベルとし、パルス溶接電流信号16がスレショルドレベル信号22より小さくなった時に、出力信号23を高レベルとする。割込回路24は、出力信号23の立ち下がりエッジで制御装置2へ割込信号を出力する。これにより、制御装置2は、溶接電流信号13のパルス波形の立ち上がりを認識し、前述したタイミング信号20を発生する。後述するように、これを高速ウィービング時におけるアーク中溶接線倣い制御等の処理のためのタイミングとして利用することができる。出力信号23はカウンタ25に入力され、反転回路27による出力信号23の反転信号はカウンタ30に入力される。カウンタ25は、出力信号23が高レベルの期間(すなわち、電流信号16がスレショルド信号22より低レベルの期間)、イネーブルされ、制御装置2からのクロック信号43を計数する。これによって、電流信号16の時間T2が求められ、ベース幅26として出力される。一方、カウンタ25は、出力信号23が低レベルの期間(すなわち、電流信号16がスレショルド信号22より高レベルの期間)、イネーブルされ、制御装置2からのクロック信号44を計数する。これによって、電流信号16の時間T1がもとまり、パルス幅31として出力される。このパルス幅31に基づいて、パルス訛りを防止することができる。パルス周期T4は、時間T1と時間T2の加算処理により求められる。あるいは指令値からパルス周期を求めることもできる。後述するように、パルス周期は、アークショート幅とともに、アーク中溶接線倣い制御等に利用することができる。
【0043】
コンパレータ37は、制御装置2から与えられるアークショート用スレショルドレベル信号38と電圧信号34とを比較し(図14(a)参照)、電圧信号34がアークショート用スレショルドレベル信号38より小さくなった時に、その出力信号39を高レベルとし、電圧信号34がスレショルドレベル信号38を越えた時に、出力信号39を低レベルとする。カウンタ41は出力信号39が高レベルの期間、制御装置2からのクロック信号45を計数する。これによって、電圧信号34の時間T3が求められ、アークショート幅42として出力される。なお、スレショルドレベル信号22、アークショート用スレショルドレベル信号38は、溶接作業条件の変化(パイプ径、鋼種等)に応じて、制御装置2により可変制御できる。なお、46はパルス電流/電圧計測用回路211と制御装置2との間の信号であり、前述した各種の信号を含む。
【0044】
なお、高精度な計測を行うためには当然ながら、クロック信号43、44、45としては、被計測対象の時間幅に比べて十分短い周期を有するものを用いる。
【0045】
図15は、図12に示した計測用回路211の各信号に関するタイミングの概要を示したものである。16、34はフィルター14、33の出力で、図14に示したものと同じである。このフィルター14から出力される電流信号16の立ち上がりエッジでコンパレータ21の出力信号23が立ち下がり、これにより前述した割込回路24が制御装置2に割込をかける。制御装置2はこれに応答してタイミング信号20を発生する。このタイミング信号20により、ピークホールド回路17の出力がリセットされ、続いて、次のタイミング信号20発生までの間、信号16のピーク値を検出し保持する。この例では、ピーク値は信号16のパルスの高レベルの値であり、これが次のタイミングパルス信号20の発生まで保持される。コンパレータ21の出力信号23は、電流信号16のベース幅時間T2の期間高レベルとなり、この期間が前述のようにカウンタ25により計測される。反転回路27の出力信号28は出力信号23を反転した波形であり、その高レベル期間が電流信号16のパルス幅時間T1に相当する。この時間T1は、前述のようにカウンタ30により計測される。コンパレータ37の出力信号39は、電圧信号34のアークショート時間T3の間、高レベルとなり、この時間T3が前述したカウンタ41により計測される。
【0046】
なお、図示の例では、アークショート幅と、パルス幅・パルス周期の計測を同じ低域通過フィルターの出力で行ったが、パルス幅・周期の方を若干低いカットオフ周波数(例えば1kHz)の別のフィルターを用いて、ノイズによる誤動作を低減するようにしてもよい。
【0047】
また、図示しないが平滑電流、平滑電圧を計測するためには、従来と同様、低いカットオフ周波数(例えば10Hz)の低域通過フィルターを用いて、計測することができる。アーク出力指令による実際のアーク出力電流・電圧値と、波形計測から得られる電流・電圧値には、溶接電源の出力波形の特性によって、差が存在する。そのため、次式に示すように、各種サンプリング処理にて算出したデータに、予め求めた電流・電圧差を考慮して補正を加えた値を、電流・電圧フィードバック値として用いる。
【0048】
Ifb=Iad+IOFSmod
Vfb=Vad+VOFSmod
ここに、Ifbは、電流フィードバック値、Vfbは電圧フィードバック値、Iadは計測電流値、Vadは計測電圧値、IOFSmodは電源モードによって変わる電流誤差、VOFSmodは電源モードによって変わる電圧誤差である。
【0049】
後述するアーク倣い補正、アーク電圧調整等の制御は、この補正後の電流・電圧フィードバック値を用いて行う。以下の説明における電流値および電圧値は、特に言及しなくても、この補正後のものである。
【0050】
次に、本発明によるアーク倣い補正について、以下に説明する。溶接電流、溶接電圧の計測に基づく各種データのサンプリングは、平均電流・電圧値計測処理/パルス波形計測処理と、インターバルタイマ処理の2段階で行う。平均電流・電圧計測処理は、一定周期(例えば1ms)毎に起動される処理であり、前述した低いカットオフ周波数にて平滑化された電流電圧フィードバック値を読み出し、前記誤差を加味した値を求める。パルス波形計測処理は、フィードバックパルス周期(計測されたパルス周期)毎に起動され、前述した溶接電流電圧波形に基づいて検出されたピーク電流・電圧値、パルス周期、ピークパルス幅、アークショート時間を読み出す。インターバルタイマ処理は、一定周期(例えば4ms)毎に起動され、パルス波形計測処理より出力される電流・電圧・アークショート時間値を平均化する。このインターバルタイマ周期は、サーボ制御周期とも呼ぶ。また、ウィービング動作中は、ウィービング位置に応じて、右端、右、中、左、左端の各区間の各種平均値を求める。ウィービング動作中でない場合は、32ms分(8個)のデータの平均化を行う。
【0051】
図16は、パルス溶接電流13およびパルス溶接電圧32の計測結果に基づいて左右アーク倣い補正量、上下アーク倣い補正量を得るための手順およびそのために用いる信号を示すものである。
【0052】
<左右アーク倣い>
左右アーク倣いは、開先内での単一パス(1層を1回のパスで溶接)にて、トーチのウィービング中心が正確に開先中心を通るようにするため、左右電流値が均等になるように、トーチ中心位置をずらす制御を行うものである。ウィービングの中心が開先に対してずれると、左右端でトーチと開先壁との間隔が異なり、両者の電流値が異なる。この電流値の差を確認することによりウィービング中心のずれを検出することができる。しかし、平滑電流122は前述のように低いカットオフ周波数で平滑したものであり、この信号からは左右端の電流値を精度よく求めることができない。そこで、本例では、電流パルス周期と電流値とは比例することに着目し、パルス周期に基づいて電流値を推測するようにしたものである。ただし、本発明者等の実験により、左右端においてアークショートが発生した場合には、その程度に応じて電流パルス周期が増加することが判明した。そこで、電流パルス周期をアークショート時間で補正することとした。なお、この前提条件として、本例では、ウィービング周期50ms以上(周波数20Hz以下)、ウィービングY軸速度5m/分以下、電流パルス周期1ms以下を想定している。
【0053】
具体的には、より高精度に左右電流値を求めるために、まず、前記平滑電流122からウィービング1周期内の水平移動部分(左端右端を除く)の全サンプリングポイントの平滑電流値を平均した平均電流値135を求める。水平部分としたのは、この部分で比較的にアークが安定だからである。一方、パルス電流13の電流波形からピーク電流値、パルス周期、パルス幅、アークショート時間を求める(123)。さらに、ウィービング1周期内の水平移動部分の全パルス周期を平均した平均パルス周期150を求める。この平均パルス周期150と、前記平均電流値135とから、パルス周期−電流値変換係数126を次式により求める。
【0054】
周期−電流値変換係数TAR=Iav/Tav (A/ms)
ここに、Iavは平均電流値(A)、Tavは平均周期(ms)を示す。
【0055】
電流波形(123)から、左端電流パルス周期および右端電流パルス周期161を求める。この際、全体的な傾向にて制御を行うため、左右とも最左端、最右端を含む数ポイントの電流パルス周期を平均化する。平均化するポイント数は、ウィービング周期により可変とする。例えば、ウィービング周期(Hz)が1Hz未満なら32ポイント、2Hz未満なら16ポイント、4Hz未満なら8ポイント、16Hz未満なら2ポイント、16Hz以上ならば1ポイントというように可変とする。
【0056】
一方、パルス溶接電圧32の電圧波形測定から、そのピーク電圧、パルス周期パルス幅およびアークショート時間を求める(125)。さらにこの測定結果に基づいて、左端および右端アークショート時間を求める(143)。この際、すべての有意情報を考慮して制御するために、左右とも最左点および最右点を含む数ポイントのアークショート時間を平均化する。平均化するポイント数は、前述と同様にウィービング周期により可変とする。
【0057】
上記左右端電流パルス周期と左右端アークショート時間に基づいて、左右端制御電流パルス周期を求める(163)。すなわち、次式のように、左右端の電流パルス周期からアークショート時間を引いた時間を、制御電流パルス周期とする。
【0058】
Tl=Tls−Sl
Tr=Trs−Sr
ここに、Tlsは左端電流パルス周期(μs)、Trsは右端電流パルス周期(μs)、Tlは左端制御電流パルス周期(μs)、Trは左端制御電流パルス周期(μs)、Slは左端アークショート時間(μs)、Srは右端アークショート時間を表わす。このように、パルス周期からアークショート時間を引くのは、次の理由による。すなわち、アークショートが生じた場合に、アークショートが生じない場合に比べて、電流パルス周期が伸びると考えられ、これを補償するため電流パルス周期からアークショート時間を引くのである。
【0059】
そこで、次式により、左電流値および右電流値128を求める。
【0060】
El=Tl・TAR
Er=Tr・TAR
ここに、El,Erはそれぞれ左電流値右電流値(A)、TlおよびTrは、それぞれ右端制御電流パルス周期および左端制御電流パルス周期(μs)を表す。この左右電流値128は前述したステータス情報として表示される。
【0061】
このようにして求められた前回のウィービングの左右電流値128を用いて、両電流値が均等になるように、今回のウィービングの中心位置をずらすようトーチの位置制御を行う(129,130)。この補正量分の移動は、1ウィービング周期全体にかけて、サーボ制御周期毎に徐々に行う。すなわち、一度に補正量分の移動を行うのではなく、1ウィービング周期内に分散させて小刻みに移動させる。分散した個々の移動量は、1ウィービング周期内に何回のサーボ制御周期があるかが分かるので、その回数で全補正量を分割した量とする。このように一度に一括して全補正量分の移動を行わないのは、一度に大きな左右方向の移動を行うとアークに大きな影響が現れ、左右アーク倣い補正に起因して左右のアークのバランスが崩れてしまうという事態が生じるからである。例えば、中央から左側へ移動を始めるウィービングの開始時に一括して移動を行うと、左側のみがその影響を受け、右側との間でアンバランスとなるからである。
【0062】
なお、溶接条件によって左右電流値128が不均一になることを考慮して、左右電流差の評価時には後述するようにオフセットAoを加味する。また、電流波形の信頼性を考慮して微小の左右電流差に対して反応しないようにする不感帯を設ける。この不感帯幅は、ウィービング幅に応じて変化させることが好ましい。また、左右アーク倣い補正の誤動作が発生している状態で、無制限にアーク倣い補正が作動するのを防ぐため、左右アーク倣い補正量の左右補正リミットLMTl,LMTr(μm)を設ける。左右電流差Adおよび今回補正量ΔYnは、次式で求められる。
【0063】
Ad=El−Er
|Ad+Ao|>=NSBlrの場合、
ΔYn=(Ad+Ao)・Glr
ΔYn>0かつ|Σ(ΔY)+ΔYn|>=LMTrの場合、
ΔYn=LMTr−Σ(ΔY)
ΔYn<0かつ|Σ(ΔY)+ΔYn|>=LMTlの場合、
ΔYn=LMTl−Σ(ΔY)
ここに、NSBlrは不感帯幅(A)、Glrは左右アーク倣いゲイン(μm/A)、Σ(ΔY)は前回までの補正量の積算値(μm)を表す。左右電流オフセット、不感帯幅、左右アーク倣いゲイン、左右補正リミットの各値は、予め指定された値である。
【0064】
図17は、パルス溶接電流13の計測結果に基づいて上下アーク倣い補正量を得るための手順およびそのために用いる信号を示すものである。
【0065】
<上下アーク倣い>
上下アーク倣いは、指令電流値と計測した電流値とが一致するように、トーチの上下方向位置を補正するものである。前述のように、トーチと開先壁との間隔が異なると電流値が変わるので、これを利用する。原則的には、電流値が指令電流値よりも高くなったときはトーチが低すぎてワイヤ突き出し長さが短くなっているものと判断し、トーチを上げる。逆に、電流値が指令電流値よりも低くなったときはトーチが高すぎてワイヤ突き出し長さが長くなっているものと判断し、トーチを下げる。
【0066】
具体的には、前述と同様の平滑電流122から求めた平均電流135から上下アーク倣い補正を指示する(136)。この場合も、指令電流差に対する不感帯を設ける。また、上下アーク倣い補正の誤動作が発生している状態で無制限にアーク倣い補正が作動するのを防止するため、上下アーク倣い補正量の補正リミットを設ける。
【0067】
今回補正量ΔZnは次のようにして求められる。
【0068】
|Ad|>=NSBudの場合、
ΔZn=Ad・Gud
ΔZn>0かつ|Σ(ΔZ)+ΔZ|>=LMTuの場合、
ΔZn=LMTu−Σ(ΔZ)
ΔZn<0かつ|Σ(ΔZ)+ΔZ|>=LMTdの場合、
ΔZn=LMTd−Σ(ΔZ)
ここに、Adは指令電流差(A)、NSBudは不感帯幅(A)、Gudは上下アーク倣いゲイン(μm/A)、Σ(ΔZ)は前回までの補正量の積算値(μm)、LMTu,LMTdは上下補正量リミット(μm)を表す。不感帯幅、上下アーク倣いゲイン、及び上下補正量リミットは、予め指定された値である。
【0069】
このようにしてあるウィービング周期期間に上下アーク倣い補正量ΔZnを求め、次のウィービングの開始点で、一度にその補正量だけトーチを上下移動させる(137)。このように一度に補正を行うのは、上下方向へのトーチの補正を左右アーク倣いのように分散させて異なるY軸位置で補正を行うと却って左右のアンバランスが生じるからである。
【0070】
一方、電流波形からアーク鈍り検出133を行う(123)。アーク鈍りとは、抵抗値等の影響により電流のパルス波形が鈍る(立ち上がり立ち下がり速度が低下してパルス幅が広がる)ことをいう。アーク鈍りの一因は、ワイヤの突き出し長さが大となりアーク長が長くなることである。これによってシールドガスが溶融池まで届かない等の理由により正常なパルス溶接ができなくなる。そこで、サーボ制御周期毎に、パルス幅またはパルスピーク値に基づいてアーク鈍りが発生しているか否かをチェックする。すなわち、補正電流パルス幅が、予め定められた許容値より大きくなったときにアーク鈍りが発生したと判定する。許容値は、指令パルス幅に対する割合(%)で指定することもできる。
【0071】
具体的には、今回のパルス幅PWnが次式を満たすことで検出する。
【0072】
PWn>=PWlim または、
PWn/tp>=PRat
ここに、PWlimは予め指定されたパルス幅上限値、tpは指令パルス幅、PRatは予め指定されたパルス幅比上限値(0.1%)を示す。パルス幅の単位は0.01msである。
【0073】
アーク鈍りの検出時に、予め指定された速度Vsでトーチを下げていくよう指示する(134)。これにより、ワイヤの突き出し長さが減少し、抵抗が減少して鈍りが収まる。アーク鈍り補正は、補正電流パルス幅が鈍り検出値以下である状態が一定時間続いたときに終了する。
【0074】
なお、アーク鈍り補正を行っているときには、上下アーク倣い補正136は無効とする(149)。
【0075】
また、アークスタート時の異常電流値が計測されることによる悪影響を回避するため、アークスタート時は指定された時間だけアーク鈍り補正を無効とする。トーチの補正幅はプログラム/パラメータにより指定する。
【0076】
平均電流135は、ステータスデータとして表示される(148)。
【0077】
なお、上下アーク倣いとは関係ないが、電流波形123のアークショート時間が予め定められた許容時間以上になることでアーク切れを検出する(131)。ただし、アークスタート時のアーク切れは無視する。このアーク切れ発生位置(X軸位置)はアーク切れ発生位置テーブルに記録する(132)。
【0078】
次に、図18に、パルス溶接電圧32およびパルス溶接電流13の計測結果に基づくアーク電圧の調整の手順およびそのために用いる信号を示す。
【0079】
<アーク電圧調整>
アーク電圧調整は、溶接作業時の環境条件によるアーク電圧の変動を吸収するために、アーク電圧を自動調整するものである。具体的には、パルス電圧32を低いカットオフ周波数でフィルタリングした平滑電圧124をサンプリングし、ウィービングの半周期の間にサンプリングしたすべてのデータを平均化して平均電圧138を求める。
【0080】
また、パルス電圧32の電圧波形からアークショート時間を求める(125)。さらに、ウィービング1周期の水平移動部分で検出されたすべてのアークショート時間を平均化して平均アークショート時間181を求める。
【0081】
一方、パルス電流13の電流波形123から平均電流パルス周期150を求める。これは、ウィービング1周期の水平部分で検出されたすべての電流パルス周期を平均化して求める。
【0082】
このようにして得られた平均電流パルス周期に対する平均アークショート時間の割合を、次式のように、平均アークショート時間率として求める(183)。
【0083】
ASn=ASav/Tav・1000
ここに、ASnは今回アークショート時間率(0.1%)、ASavは平均アークショート時間(μs)、Tavは平均電流パルス周期(μs)を表わす。なお、平均アークショート時間率はステータス表示される。
【0084】
このようにして求められた平均アークショート時間率が適正な値になるように電圧指令を調整する(140)。すなわち、
ASn>ASVupの場合、
ASd=ASn−ASVup
ASn<ASVloの場合、
ASd=ASn−ASVlo
ここにASnは今回アークショート時間率(0.1%)、ASVupは許容アークショート時間率上限値(0.1%)、ASdは今回アークショート時間率差(0.1%)、ASVloは許容アークショート時間率下限値(0.1%)である。
【0085】
これらより、今回電圧調整量ΔVn(単位は0.1V)は、次式で求められる。
【0086】
ΔVn=ASd・Gas
ここに、Gasは電圧計算係数(単位は0.1V/100%)である。
【0087】
本願出願人が先に提案した特願平8−74035号においては、平均アークショート時間そのものに基づいてアーク長補正を行った。この先行例では、電流パルス周期の大きさ、すなわち指令電流値に応じて平均アークショート時間がばらつくため、高電流から低電流までの広範囲をカバーするために、複数の電流領域ごとに補正係数(平均アークショート時間を補正電圧に変換するための係数)を切り替える必要があった。本実施の形態では、平均アークショート時間そのものではなく、それの平均電流パルス周期に対する割合である平均アークショート時間率を導入したので、1つの電圧計算係数(Gas)で広い電流範囲をカバーすることが可能になった。
【0088】
図18のアーク電圧調整(141)では、指令電圧(アーク長補正量ΔVnを含む)と、測定した平均電圧138が一致するように電圧指令を調整する。ここでアーク電圧調整の誤動作が発生している状態で無制限にアーク電圧調整が動作するのを防ぐため、電圧調整量のリミットを設ける。
【0089】
ΔVn=(Vc+Val)−Vfb
ここに、Vcは指令電圧値(0.1V)、Valはアーク長補正量(0.1V)、Vfbは出力電圧(フィードバック)値(0.1V)である。
【0090】
但し、ΔVn>ΔVmaxの場合、
ΔVn=ΔVmax
ここに、ΔVmaxは許容される1回の最大電圧調整量(0.1V)である。
【0091】
また、Vlo<=ΔVn<=Vupの場合、
ΔVn=0
とする。
【0092】
ΔVn>0かつ|Σ(ΔV)+ΔVn|>=VLMuの場合、
ΔVn=VLMu−Σ(ΔV)
ΔVn<0かつ|Σ(ΔV)+ΔVn|>=VLMdの場合、
ΔVn=VLMd−Σ(ΔV)
ここに、Σ(ΔV)は前回までの電圧調整量の積算値(0.1V)、VLMuは最大電圧調整量(増)(0.1V)、VLMd最大電圧調整量(減)(0.1V)を示す。
【0093】
このようにしてアーク電圧調整量ΔVnを求め、ウィービング半周期毎に、ウィービングの中央の位置で電圧を修正する(142)。
【0094】
次に、図19に、パルス電流13およびパルス溶接電圧32の計測結果に基づくウィービング幅の補正の手順およびそのために用いる信号を示す。
【0095】
<ウィービング幅補正>
ウィービング幅補正は、開先幅に対してウィービング幅を適切なものとするためのものであり、ウィービングの水平移動部分の幅を左右同時に変更する。なお、前記左右アーク倣いもウィービングを左右方向の移動量を補正するものであるが、左右アーク倣いは前述したようにウィービングにおけるトーチ中心位置をずらすものであるのに対し、ウィービング幅補正は、ウィービングの左右の幅を増減するものであり、両補正は別個独立に機能する。
【0096】
ウィービング幅補正は、図16において説明したと同様、左端・右端電流パルス周期161を左端・右端アークショート時間143で補正して得た左端・右端制御電流パルス周期163に基づいて、次の手順により行う(144)。
【0097】
まず、左端制御電流パルス周期Tlと右端制御電流パルス周期Trを比較して、
1)左端制御電流パルス周期>右端制御電流パルス周期の場合、
左端制御電流パルス周期を今回制御電流パルス周期Tnとする。すなわち、
Tl>Trの場合、Tn=Tl
2)左端制御電流パルス周期<右端制御電流パルス周期の場合、
左端電流パルス周期を今回制御電流パルス周期Tnとする。すなわち、
Tl<Trの場合、Tn=Tr
次に、
1)今回制御電流パルス周期>上限値の場合、左右両側のウィービング幅を広くする。
【0098】
2)下限値<=今回制御電流パルス周期<=上限値の場合、何もしない。
【0099】
3)今回制御電流パルス周期<下限値の場合、左右両側のウィービング幅を狭くする。
【0100】
ウィービング幅補正の誤動作が発生している状態で無制限にウィービング幅補正が作動するのを防ぐため、補正量のリミットを設ける。
【0101】
ウィービング幅変更時の今回の変更量ΔWn(μm)は、以下のとおりである。
【0102】
i) 今回制御電流パルス周期Tn>上限値Tupの場合、
ΔWn=(Tup−Tn)/1000・Gwms
但し、|Σ(ΔW)+ΔWn)|>=WLMsの場合、
ΔWn=WLMs−Σ(ΔW)
ii) 今回制御電流パルス周期Tn<下限値Tdnの場合、
ΔWn=(Tdn−Tn)/1000・Gwme
但し、|Σ(ΔW)+ΔWn)|>=WLMeの場合、
ΔWn=WLMe−Σ(ΔW)
ここに、Gwmsはウィービング幅変更係数(μm/ms)(狭)、Gwmeはウィービング幅変更係数(広)(μm/ms)、Σ(ΔW)は前回までのウィービング幅変更量の積算値(μm)、WLMsは最大ウィービング幅変更量(狭)(μm)、WLMeは最大ウィービング幅変更量(広)(μm)である。
【0103】
なお、Tup,Tdn,Gwme,Gwms,WLMe,WLMsは予め指定される値である。
【0104】
このようにウィービング幅の調整を行った結果、全体のウィービング幅が変わった場合、ウィービング周期を一定にするため、次式に従ってウィービング速度を変更する。
【0105】
KF=(W+ΔW)/W
NFw=KF・Fw
ここに、KFはウィービング速度変更係数、Wはウィービングの水平部分の幅(μm)、ΔWはウィービング幅変更量、Fwはウィービングの水平部分の速度、NFwは変更後のウィービングの水平部分の速度(μm/sec)である。
【0106】
次に、図20に、ウィービング軌跡補正の手順およびそのために用いる信号を示す。
【0107】
<ウィービング軌跡補正>
ウィービング軌跡補正は、溶接面、特に不規則なビード形状に対して、トーチのウィービング軌跡(ここではZ軸位置)を適切なものとするためのものであり、ウィービング軌跡の補正は、ウィービング水平移動部分の左・右のZ軸高さをそれぞれ独立して変更可能とすることにより行う。なお、前述した上下アーク倣いもトーチのZ軸位置を制御するものであったが、上下アーク倣いが用いる信号は平滑電流122の平均電流値135であるためその補正はウィービング幅全域に対するものであるのに対し、ウィービング軌跡補正は、ウィービング幅内での左・右の各区間での微調整を行うことを可能とするものである。
【0108】
ウィービング軌跡補正は、原理的には、パルス電流13に基づく電流波形125から左および右(ウィービングの水平移動部分の左および右の区間)の各電流パルス周期を求め(146)、これらの上限および下限許容値との比較結果により、左・右の各ウィービング高さ(トーチ高さ)を調整するものである。ただし、左右の電流パルス周期には、それぞれ左右のアークショート時間(145)を加味する。これは、前述したように電流パルス周期はアークショートの発生により変化するため、このアークショートの時間で電流パルス周期を補正するものである。
【0109】
左右の電流パルス周期146は、ウィービングの水平移動部分で検出された電流パルス周期を、各区間毎にその数ポイントのパルス周期を平均化したものである。その平均化数は、前述したようにウィービング周期に応じて可変である。左右のアークショート時間145としては、各区間内の数ポイントのアークショート時間を平均化したものを用いる。この場合も、平均化数はウィービング周期に応じて可変とする。
【0110】
左右の電流パルス周期146と左右のアークショート時間145とに基づいて、左右の制御電流パルス周期201を次のように求める。
【0111】
すなわち、次式のように、左右端の電流パルス周期からアークショート時間を引いた時間を、制御電流パルス周期とする。
【0112】
Tl=Tls−Sl
Tr=Trs−Sr
前述したように、Tlsは左端電流パルス周期(μs)、Trsは右端電流パルス周期(μs)、Tlは左端制御電流パルス周期(μs)、Trは左端制御電流パルス周期(μs)、Slは左端アークショート時間(μs)、Srは右端アークショート時間(μs)を表わす。
【0113】
さて、ウィービング軌跡補正147では、左・右の各制御電流パルス周期201に応じて、以下のようにウィービング高さを補正する。これによって、ワイヤ突き出し長さが一定になるようにする。
【0114】
i) 左制御電流パルス周期が上限値を超える場合には、ウィービング左高さを低くし、
ii) 左制御電流パルス周期が上限値以下、かつ下限値以上であれば、ウィービング左の高さを変更せず、
iii) 左制御電流パルス周期が下限値より小さい場合、ウィービング左高さを高くし、
iv) 右制御電流パルス周期が上限値を超える場合には、ウィービング右高さを低くし、
v)右制御電流パルス周期が上限値以下、かつ下限値以上であれば、ウィービング右の高さを変更せず、
vi) 右制御電流パルス周期が下限値より小さい場合、ウィービング右高さを高くする。
【0115】
ウィービング軌跡補正の誤動作が発生している状態で、無制限にウィービング軌跡補正が動作するのを防ぐために補正量のリミットを設けている。
【0116】
ウィービングの左・右の高さ変更時の今回変更量ΔZは以下のように決定される。なお、
i) 制御電流パルス周期>上限値(すなわちTn>Tup)の場合、
ΔZn=(Tup−Tn)/1000・Gup
但し、|Σ(ΔZn)+ΔZn|<=ZLMdの場合、
ΔZn=ZLMd−Σ(ΔZn)
ここに、ΔZnはΔZlまたはΔZr(μm)、Tupは制御電流パルス周期上限値(μs)、TnはTlまたはTr、Gupは上方向ウィービング高さ変更係数(μm/ms)、Σ(ΔZn)は前回までのウィービング高さ変更量(μm)、ZLMuは上方向最大ウィービング高さ変更量(μm)である。
【0117】
ii) 制御電流パルス周期<下限値(すなわちTn<Tdn)の場合、
ΔZn=(Tdn−Tn)/1000・Gdn
但し、|Σ(ΔZn)+ΔZn|<=ZLMuの場合、
ΔZn=ZLMu−Σ(ΔZn)
ここに、Tdnは制御電流パルス周期下限値(μs)、Gdnは下方向ウィービング高さ変更係数(μm/ms)、ZLMdは下方向最大ウィービング高さ変更量(μm)である。
【0118】
このようなウィービング軌跡補正を行った結果、全体のウィービング軌跡が変わった場合、ウィービング周期を一定にするために、次のように、ウィービング速度を変更する。
【0119】
ここに、WLnは軌跡補正後のウィービング水平部分の移動距離(μm)、WLは指令されたウィービングの水平部分の移動距離(μm)、ΔZlは左ウィービング差高(μm)、ΔZrは右ウィービング差高(μm)、KFはウィービング速度変更係数、Fwはウィービングの水平部分の速度(μm/sec)、NFwは変更後のウィービングの水平部分の速度(μm/sec)である。Tup、Tdn,Gup,Gdn,ZLMu,ZLMdは、予め指定された値である。
【0120】
なお、左・右アークショート時間145はステータス表示される。
【0121】
以上のように、各層毎の上下左右アーク倣い補正、ウィービング幅・軌道補正等を行うことにより、開先幅変動、特に開先幅の広いものについても十分アークを追従させ、溶着量を増加させ、ビードの形状を平坦にでき、また、ブローホール、アンダーカット等も防止できる効果がある。
【0122】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、システム構成および処理の具体的内容は例示であり、請求の範囲を逸脱することなく種々の変形・変更が可能である。例えば、上記説明中で挙げた具体的な各種数値は単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
【0123】
【発明の効果】
本発明によれば、高速ウィービングを行いながら鋼管の円周自動溶接を行うパイプ円周自動溶接装置の制御を高精度に行うことができる。すなわち、1ウィービング周期内のウィービングの左右端電流パルス周期を左右端アークショート時間で補正し、この補正値に基づいて左右電流値を求め、さらにこの左右電流値の誤差を次のウィービング周期の左右ウィービング幅に反映させるので、極めて高精度でかつ応答性の高い補正を行うことができ、ひいては、自動溶接の信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパイプ円周自動溶接装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】図1の溶接装置の各部の電器的接続関係の説明図である。
【図3】図1の溶接装置におけるヘッドおよびトーチの動作の説明図である
【図4】図1の溶接装置におけるヘッドの付属部品の説明図である。
【図5】図1の溶接装置の制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【図6】図1の溶接装置の処理のフローチャートを示す。
【図7】図6に示した処理で用いられるロジックテーブルの一例の説明図である。
【図8】図6に示した処理で用いられるCADとNCの制御項目の対応関係の説明図である。
【図9】図1の溶接装置で行われるウィービング動作におけるトーチ位置の時間的変化を示すタイミング図である。
【図10】図9のウィービング動作におけるトーチの軌跡の説明図である。
【図11】ウィービング動作における指令軌跡とサーボ軌跡の関係を示すタイミング図である。
【図12】図5に示したパルス波形計測部211の構成例を示すブロック図である。
【図13】図12の電圧信号及び電流信号を示す波形図である。
【図14】図12のフィルタリング後の電圧信号及び電流信号を示す波形図である。
【図15】図12のパルス波形計測部の動作を説明するためのタイミング図である。
【図16】本発明による左右アーク倣い補正の説明図である。
【図17】本発明による上下アーク倣い補正の説明図である。
【図18】本発明によるアーク長補正およびアーク電圧調整の説明図である。
【図19】本発明によるウィービング幅補正の説明図である。
【図20】本発明によるウィービング軌跡補正の説明図である。
【符号の説明】
1…コンピュータ、2…制御装置、3…電源装置、4…ヘッド、5…パイプ、6…ワイヤ供給部、7…ワイヤ、8…溶接トーチ、12…ガイドレール、16…電流信号、32…電圧信号、91…アーク、92…溶着金属、93…開先、41…センサ、42…エンコーダ、211…パルス波形計装部、221…記憶部、222…ハードディスク、223…制御部、225…CRT,キーボード、230…溶接ヘッド制御部、231…送受信部、232…電源制御部、233…ヘッド駆動部、234…リモート操作装置。
Claims (5)
- 突き合わせて固定されている2本のパイプの端面をパルスMAG溶接法により全周溶接する際、パイプの開先に沿ってパイプ円周の接線に直交する左右方向および上下方向にトーチの2次元ウィービングを行う自動溶接装置の左右ウィービング幅補正方法であって、
計測したパルス溶接電流に基づいて、1ウィービング周期内の、開先のスロープ部に対応するウィービングの左端および右端における電流パルス周期を求め、計測したパルス溶接電圧に基づいて、1ウィービング周期内の、開先のスロープ部に対応するウィービングの左端および右端におけるアークショート時間を求め、
該求められた左端および右端のアークショート時間により前記左端および右端の電流パルス周期をそれぞれ補正し、
該補正された左端および右端の電流パルス周期の大きい方を補正電流パルス周期とし、
該補正電流パルス周期をその上限値および下限値と比較し、
上限値より大きい場合、左右のウィービング幅を広くし、下限値より小さい場合、左右のウィービング幅を狭くするよう、ウィービング幅を補正することを特徴とするパイプ円周自動溶接装置の左右ウィービング幅補正方法。 - 前記アークショート時間による電流パルス周期の補正においては、電流パルス周期からアークショート時間を減算した結果を補正後の電流パルス周期とすることを特徴とする請求項1記載のパイプ円周自動溶接装置の左右ウィービング幅補正方法。
- 前記ウィービング幅の補正は、前記補正電流パルス周期と前記上限値または下限値の差に予め定めた係数値を掛けて得られた量を補正量とすることを特徴とする請求項1または2記載のパイプ円周自動溶接装置の左右ウィービング幅補正方法。
- ウィービング周期毎の前記補正量を積算しておき、前回までの積算値と今回の補正量との和が予め定めた限界値を超える場合には、当該限界値と前記積算値との差分を今回の補正量とする請求項1、2または3記載のパイプ円周自動溶接装置の左右ウィービング幅補正方法。
- 前記左右ウィービング幅の補正により、全体のウィービング幅が変わった場合、ウィービング周期を一定とするために、全体のウィービング幅の変化量に応じてウィービング速度を変更することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパイプ円周自動溶接装置の左右ウィービング幅補正方法。
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