JP3654617B2 - 溶接機の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接機の制御方法に関するものであり、特に、パイプの円周方向のシーム部を裏当金無しで溶接する場合の溶接機の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パイプの円周方向のシームを自動で溶接する溶接機の構成の例を図4に示す。図4において、パーソナルコンピュータ21は、自動溶接のためのCADデータを作成するためのものであり、作成されたデータはフレキシブルディスク21aに記録される。制御装置22は、自動溶接の実質的な制御(電源及び溶接トーチ位置等の制御)を行うためのものであり、フレキシブルディスク21aからCADデータを読み込む。そして、制御装置22は、この読み込んだデータを用いて実際の溶接条件を設定し、設定された条件に対応して、ロジックテーブルに予め記録されたデータにより各種溶接パラメータを設定する。
【0003】
さらに、この制御装置22では、設定された溶接パラメータを実際の溶接の制御に用いるNC言語に変換し、変換した言語を制御データとして制御テーブルの形で内部のメモリに記録する。そのメモリに記録された制御データを用いて、電源装置23、及び溶接ヘッド24を駆動制御すると共に、パルス電圧波形及びパルス電流波形の計測・解析値を用いてアーク倣い関連補正を行う構成となっている。なお、制御装置22の主な制御項目は、溶接ヘッド24の溶接の電圧、電流、及び溶接ヘッド24に搭載された溶接トーチ27の、パイプ開先30に対するウィービング、溶接ヘッド24の移動速度等である。
【0004】
溶接ヘッド24は、電源装置23と送電ケーブル28で接続され、パイプ外周に巻き付けられたガイドレール29上に、円周方向に移動可能に装着される。溶接ヘッド24には、溶接トーチ27に対して溶接ワイヤを供給するワイヤ供給部26が搭載されている。
【0005】
図5に、制御装置22、電源装置23、溶接ヘッド24、パイプ25間の電気的な接続関係を示す。図から分かるように、電源装置23からは、送電ケーブル28を介して、溶接ヘッド24のワイヤ31とパイプ25との間にパルス溶接電圧が印加されるようになっている。これにより、ワイヤ31とパイプ25表面との間にアークが発生する。ワイヤ31は一定速度で送られ、アークにより溶かされて溶着金属となり、パイプ開先30内で固まり、母材を構成する。
【0006】
図6に、溶接ヘッド24の詳細図を示す。溶接ヘッド24は、パイプ外周上の位置(時分で示す)X軸、溶接トーチ27のウィービングの開先部幅方向(パイプ軸方向)Y軸、及び溶接高さ方向(パイプ半径方向)Z軸、及び溶接トーチ旋回軸の各軸についてサーボ機構を備え、これら4軸は制御装置22により制御されている。ウィービングは2次元ウィービングである。即ち、溶接溶接トーチ27を溶接進行方向(X軸)に対して直交するY軸方向及びZ軸方向に、開先部に沿って移動させている。
【0007】
溶接を自動で行うために、いろいろな自動制御が行われている。その代表的なものを以下に示す。
【0008】
<溶接速度制御>
溶接ヘッド24のパイプ円周方向(X軸方向)への進行速度が、プリセットされた値になるように制御を行う。具体的には、X軸方向駆動モータの速度を、プリセット値に制御する。
【0009】
<左右アーク倣い>
左右アーク倣いは、溶接トーチ27のウィービング中心が正確にパイプ開先30中心を通るようにするものであり、左右電流値が均等になるように溶接トーチ27中心位置をずらす制御を行うものである。ウィービングの中心がパイプ開先30中心に対してずれると、左右端で開先壁との間隔が異なり、これにより左右端での電流値が異なるようになる。よって、この電流値の差を検出することにより、ウィービングの中心のずれを検出することができる。従って、左右端での電流値の差を無くすようにウィービングの中心位置を調整する。
【0010】
<上下アーク倣い>
上下アーク倣いは、指令電流値と計測した電流値が一致するように、溶接トーチ27の上下方向位置を補正するものである。電流値が指令電流値よりも高くなったときは、溶接トーチ27が低すぎてワイヤ突き出し長さが短くなっているものと判断し、溶接トーチ27を上げる。逆に、電流値が指令電流値よりも低くなったときは、溶接トーチ27が高すぎてワイヤ突き出し長さが長くなっているものと判断し、溶接トーチ27を下げる。
【0011】
図7に、上下アーク倣い制御の制御ブロック図を示す。電源装置23からのパルス電流を電流検出装置41で検出し、フィルタ42を通して直流成分を検出する。電流制御装置43は、この直流成分と電流設定値を比較し、その偏差に応じて溶接トーチ高さ制御装置44に指令を出して溶接トーチ高さを変化させる。溶接トーチ高さ制御装置44は、溶接トーチ高さ検出器45で検出した溶接トーチ27の高さが、この指令に一致するように制御を行う。
【0012】
<アーク電圧調整(アーク長補正)>
アーク電圧調整は、溶接作業時の環境条件によるアーク電圧の変動を吸収するために、アーク電圧を自動調整するものである。具体的には、アークショート時間率が設定された値となるように電圧指令を調整する。アークショートとは、溶接ワイヤと母材や溶融金属との間隔が短くなりすぎて、両者の間に短絡(ショートが生じた状態のことである。
【0013】
図8に、アーク電圧調整制御の制御フロー図を示す。パルス溶接電圧を検出し(51)、フィルタを通して平滑電圧を得る(52)。フィルタリングした平滑電圧をサンプリングし、ウィービングの半周期の間にサンプリングした全てのデータを平均化して平均電圧を求める(53)。
【0014】
また、パルス溶接電圧の電圧波形からアークショート時間を求める(54)。さらにウィービング1周期の水平移動部分で検出された全てのアークショート時間を平均して平均アークショート時間を求める(55)。
【0015】
一方、パルス溶接電流を検出し(56)、その電流波形から平均電流パルス周期を求める(58)。これは、ウィービング1周期の水平部分で検出された全ての電流パルス周期を平均化して求める。
【0016】
このようにして得られた平均電流パルス周期に対する平均アークショート時間の割合を、平均アークショート時間率として求める(59)。アーク長補正60においては、この平均アークショート時間率が設定された値となるように、平均電圧の補正量をアーク電圧調整装置61に与える。アーク電圧調整装置61は、平均電圧とこの補正量の差をアーク電圧の設定値として電圧調整を行う(62)。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
通常、自動溶接機においては、溶接の積層高さが適当な値になるように、溶接速度と電流/電圧の指令の関係を決めている。ところが、溶接環境の変化等により、実際に最適な電流/電圧は微妙に変わってしまい、必ずしも最適値にはならない。溶接速度が溶接時の電流/電圧指令に対して遅すぎる場合、積層高さが高くなり過ぎてしまう。逆に、溶接速度が溶接時の電流/電圧指令に対して早すぎると、積層高さが低くなり過ぎてしまう。
【0018】
特に、溶接速度が遅く、積層高さが高くなりすぎる場合、第1層目の溶接においては、アークの先端が溶融池で妨げられて開先先端まで届かないため、リップが溶けないで溶接不良となるという問題点がある。
【0019】
また、別の問題点として、溶接中にアークが溶融池に触れた場合は、そのときの電流/電圧条件に関りなく大きな短絡が発生する。これによりアークショート値の平均値が上がり、アークショート率の制御に外乱を与えるという問題点がある。
【0020】
本発明はこのような問題点を解決するためのなされたもので、溶接速度と、電流/電圧の指令の関係を適正に保ち、第1層目の溶接においてアークの先端部が確実に開先先端部まで届くような溶接方法を提供することを課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、裏当金を用いずパイプの円周方向溶接を行うに際し、多層溶接の第1層目において、溶接トーチの上下倣い補正量が所定の範囲を超えた場合、溶接トーチの上下倣い補正量が所定の範囲に復帰するまでの間、溶接速度を操作する溶接機の制御方法であって、溶接速度の操作方法が、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げる方向に一定値を超えたときには一定の加速度で溶接速度を増加させ、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを下げる方向に一定値を超えたときは一定の減速度で溶接速度を減少させる方法であることを特徴とする溶接機の制御方法(請求項1)である。
【0022】
2層目以降の溶接においては、溶接の基準面となる前層の高さが変動するために、溶接トーチはこれに倣って大きく上下しなければならない。しかしながら、第1層目の溶接トーチの上下倣い制御においてはこの必要はない。その理由は、溶接の開始に先立ち、タッチセンサを用いて、パイプの円周方向8点についてパイプ開先位置とガイドレールとの位置ずれの測定が行われ、この位置ずれを補正して、常に溶接トーチが開先位置に倣うようにプリセット制御が行われているので、溶接の基準面となる開先リップ部と溶接トーチとの相対変動は大きくならないからである。
【0023】
よって、上下倣い制御において、溶接トーチ位置の補正量が規定量を超えた場合は、第1層目の溶接自身における積層高さ自体が不適正となっていると判断する。そして、この場合には、溶接速度を操作する。
【0024】
即ち、積層高さが高すぎて溶接トーチ操作量が溶接トーチ高さを上げる方向に規定量を超えた場合には、溶接速度を早くする。すると、溶接トーチ位置が溶融池部分から離れ、アークがリップ部まで届くようになると共に、積層高さが低くなる。それと共に、溶接トーチ上下倣い制御により溶接トーチ高さが下がり、溶接トーチの上下倣い補正量が所定の範囲に復帰するので、この状態で溶接速度の操作を中止して、その速度に保持する。
【0025】
逆に、積層高さが小さすぎて溶接トーチ操作量が溶接トーチ高さを下げる方向に規定量を超えた場合には、溶接速度を遅くする。すると、積層高さが大きくなってくる。それと共に、溶接トーチ上下倣い制御により溶接トーチ高さが上がり、溶接トーチの上下倣い補正量が所定の範囲に復帰するので、この状態で溶接速度の操作を中止して、その速度に保持する。
【0026】
これにより、溶接速度と、電流/電圧の指令の関係を適正に保ち、第1層目の溶接においてアークの先端部が確実に開先先端部(リップ部)まで届くようにすることができる。
【0028】
この手段においては、積層高さが大きすぎて溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げる方向に一定値を超えたときには一定の加速度で溶接速度を増加させる。溶接速度の増加により、溶接トーチ位置が溶融池部分から離れ、アークがリップ部まで届くようになると共に、積層高さが低くなる。逆に、積層高さが小さすぎて溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを下げる方向に一定値を超えたときは一定の減速度で溶接速度を減少させる。溶接速度の減少により、積層高さが低くなる。
【0029】
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、溶接速度の操作方法が、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げる方向に一定値を超えたときには1ウィービング毎に一定量溶接速度を増加させ、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを下げる方向に一定値を超えたときは1ウィービング毎に一定量溶接速度を減少させるもの(請求項2)である。
【0030】
本手段においては、溶接速度を1ウィービング毎に一定量ずつ変化させるので、溶接速度の制御をウィービングに同期させて行うことができる。作用効果は、前記第1の手段と同じである。
【0031】
前記課題を解決するための第3の手段は、裏当金を用いずパイプの円周方向溶接を行うに際し、多層溶接の第1層目において、溶接トーチの上下倣い補正量が所定の範囲を超えた場合、溶接トーチの上下倣い補正量が所定の範囲に復帰するまでの間、アークショート率を操作することを特徴とする溶接機の制御方法(請求項3)である。
【0032】
前記第1の手段の説明で述べたように、第1層目の溶接において、上下倣い制御における溶接トーチ位置の補正量が規定量を超えた場合は、第1層目の溶接自身における積層高さ自体が不適性となっていると判断する。そして、この場合には、アークショート率を操作する。
【0033】
即ち、積層高さが高すぎて溶接トーチ操作量が溶接トーチ高さを上げる方向に規定量を超えた場合には、アークショート率を上げる。すると、溶接電圧が低くなり、入熱量が低下して積層高さが低くなる。すると、溶接トーチの上下倣い制御により溶接トーチ高さが下がり、アークがリップ部まで届くようになる。溶接トーチの上下倣い補正量が所定の範囲に復帰したとき、アークショート率の操作を中止して、その時の値に保持する。
【0034】
逆に、積層高さが低すぎて溶接トーチ操作量が溶接トーチ高さを下げる方向に規定量を超えた場合には、アークショート率を下げる。すると、溶接電圧が高くなり、入熱量が上昇して積層高さが高くなる。すると、溶接トーチの上下倣い制御により溶接トーチ高さが上がり、適正な位置に保たれる。溶接トーチの上下倣い補正量が所定の範囲に復帰したとき、アークショート率の操作を中止して、その時の値に保持する。
【0035】
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第3の手段であって、アークショート率の操作方法が、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げる方向に一定値を超えたときには一定の増加率でアークショート率を増加させ、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを下げる方向に一定値を超えたときは一定の減少率でアークショート率を減少させる方法であることを特徴とするもの(請求項4)である。
【0036】
この手段においては、積層高さが大きすぎて溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げる方向に一定値を超えたときには一定の増加率でアークショート率を増加させる。アークショート率の増加と共に溶接電圧が低下し、入熱量が低下するので、積層高さが低くなってアークがリップ部まで届くようになる。逆に、積層高さが小さすぎて溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを下げる方向に一定値を超えたときは一定の減少率でアークショート率を減少させる。アークショート率の現象と共に溶接電圧が増大し、入熱量が増加するので、積層高さが高くなって、アーク高さも適正な位置に保たれる。
【0037】
前記課題を解決するための第5の手段は、前記第3の手段であって、アークショート率の操作方法が、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げる方向に一定値を超えたときには1ウィービング毎に一定量アークショート率を増加させ、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを下げる方向に一定値を超えたときは1ウィービング毎に一定量アークショート率を減少させる方法であることを特徴とするもの(請求項5)である。
【0038】
本手段においては、アークショート率を1ウィービング毎に一定量ずつ変化させるので、アークショート率の制御をウィービングに同期させて行うことができる。作用効果は、前記第4の手段と同じである。
【0039】
前記課題を解決するための第6の手段は、裏当金を用いずパイプの円周方向溶接を行うに際し、多層溶接の第1層目において、実測アークショート率が基準値を超えた場合、実測アークショート率が当該基準値であるとして、アークショート率制御を行うことを特徴する溶接機の制御方法(請求項6)である
【0040】
溶接中にアークが溶融池に触れた場合は、そのときの電流/電圧条件に関りなく大きな短絡が発生する。これによりアークショート値の平均値が上がり、アークショート率の制御に外乱を与える。これを防ぐために、実測アークショート率が基準値を超えた場合、アークが溶融池に触れているものとして、この実測値を制御に使用しないようにする。即ち、実測値を当該基準値(上限値)に置き換えてその後の制御処理を行う。これにより、アークが溶融池に触れたときの外乱を避けることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を図を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態を示すブロック図である。図1において1は電源装置、2は溶接トーチ、3はワイヤ、4は開先、5は溶接電流検出器、6はフィルタ、7は電流制御装置、8は溶接トーチ高さ制御装置、9は溶接トーチ高さ検出器、10は溶接速度制御装置、11はX軸駆動モータ、12はコンパレータ、13は溶接速度補正装置である。
【0042】
電源装置1からの溶接電流は、溶接トーチ2に支えられたワイヤ3に供給され、パイプの開先4との間でアークが発生して溶接が行われる。溶接電流は、溶接電流検出器5で検出され、フィルタ6で平滑化された後、電流制御装置7に入力される。電流制御装置7は、この実測電流と電流設定値を比較し、実測電流を電流設定値に一致させるような指令を、溶接トーチ高さ補正量として、溶接トーチ高さ制御装置8に送出する。溶接トーチ2の高さは、溶接トーチ高さ検出器9によって検出されている。溶接トーチ高さ制御装置8は、溶接トーチ高さ設定値と電流制御装置7からの溶接トーチ高さ補正量との和と、溶接トーチ高さ検出器9の測定値を一致させるように溶接トーチ2の高さを上下させる。
【0043】
電流制御装置7からの溶接トーチ高さ補正量は、コンパレータ12に入力される。コンパレータ12はX1〜X4(X1<X2<X3<X4)の4つの基準値を有している。
【0044】
もし、溶接トーチ高さ補正量がX4を超えた場合には、溶接速度補正装置13に指令が与えられ、溶接速度補正装置13は、1ウィービング毎に一定の値だけ増加する溶接速度補正値を溶接速度制御装置10に出力する。溶接速度制御装置10は、基準溶接速度にこの溶接速度補正値を加えたものを溶接速度指令値としてX軸駆動モータ11の回転を制御する。
【0045】
これにより、溶接速度は徐々に増加し、それに伴って溶接層の高さが減少する。すると、溶接電流が低下するので、電流制御装置7は、溶接トーチ高さを下げるような溶接トーチ高さ補正量を溶接トーチ高さ制御装置8に送出し、これによって溶接トーチ高さは低くなってくる。そして、溶接トーチ高さ補正量がX3以下となったとき、溶接速度補正装置13からの溶接速度補正値の増加が止まり、そのときの値にホールドされる。
【0046】
逆に、溶接トーチ高さ補正量がX1を下回った場合には、コンパレータ12より溶接速度補正装置13に指令が与えられ、溶接速度補正装置13は、1ウィービング毎に一定の値だけ減少する溶接速度補正値を溶接速度制御装置10に出力する。溶接速度制御装置は10は、基準溶接速度にこの溶接速度補正値を加えたものを溶接速度指令値としてX軸駆動モータ11の回転を制御する。
【0047】
これにより、溶接速度は徐々に減少し、それに伴って溶接層の高さが増加する。すると、溶接電流が増加するので、電流制御装置7は、溶接トーチ高さを上げるような溶接トーチ高さ補正量を溶接トーチ高さ制御装置8に送出し、これによって溶接トーチ高さは高くなってくる。そして、溶接トーチ高さ補正量がX2以上となったとき、溶接速度補正装置13からの溶接速度補正値の減少が止まり、そのときの値にホールドされる。
【0048】
以上の説明においては、溶接速度補正値の増加、減少の割合は、1ウィービング毎に一定量としたが、一定の加減速度を持つようにしてもよい。また、増加する場合と減少する場合の変化の大きさを変えるようにしてもよい。
【0049】
本発明の第2の実施の形態を図2を用いて説明する。図2において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。図2において、14はアークショート率補正装置、15は溶接電圧検出器、16はアークショート率算出装置、17はアークショート率制御装置である。
【0050】
電源装置1からの溶接電流は、溶接トーチ2に支えられたワイヤに供給され、パイプの開先4との間でアークが発生して溶接が行われる。溶接電流は、溶接電流検出器5で検出され、フィルタ6で平滑化された後、電流制御装置7に入力される。電流制御装置7は、この実測電流と電流設定値を比較し、実測電流を電流設定値に一致させるような指令を、溶接トーチ高さ補正量として、溶接トーチ高さ制御装置8に送出する。溶接トーチ2の高さは、溶接トーチ高さ検出器9によって検出されている。溶接トーチ高さ制御装置8は、溶接トーチ高さ設定値と電流制御装置7からの溶接トーチ高さ補正量との和と、溶接トーチ高さ検出器9の測定値を一致させるように溶接トーチ2の高さを上下させる。
【0051】
アークショート率演算装置16は、溶接電圧検出器15の出力電圧波形からアークショート時間を求める。さらにウィービング1周期の水平移動部分で検出された全てのアークショート時間を平均して平均アークショート時間を求める。一方、溶接電流検出器5で検出した溶接電流波形より、平均電流パルス周期を求める。これは、ウィービング1周期の水平部分で検出された全ての電流パルス周期を平均化して求める。このようにして得られた平均電流パルス周期に対する平均アークショート時間の割合を、平均アークショート率として求める。
【0052】
アークショート率制御装置は、アークショート率算出装置16で算出されたアークショート率が基準アークショート率となるように、電源装置1の溶接電圧を制御する。即ち、アークショート率が基準以下であるときは溶接電圧を下げ、アークショート率が基準以上であるときは溶接電圧を上げる。
【0053】
電流制御装置7からの溶接トーチ高さ補正量は、コンパレータ12に入力される。コンパレータ12はX1〜X4(X1<X2<X3<X4)の4つの基準値を有している。
【0054】
もし、溶接トーチ高さ補正量がX4を超えた場合には、アークショート率補正装置14に指令が与えられ、溶接速度補正装置14は、1ウィービング毎に一定の値だけ増加するアークショート率補正値をアークショート率制御装置17に出力する。アークショート率制御装置17は、基準アークショート率にこのアークショート率補正値を加えたものをアークショート率指令値とし、実際のアークショート率がこの値となるような溶接電圧指令を電源装置1に与える。
【0055】
これにより、溶接電圧は徐々に低下し入熱量が減少するので、それに伴って溶接層の高さが減少する。すると、溶接電流が低下するので、電流制御装置7は、溶接トーチ高さを下げるような溶接トーチ高さ補正量を溶接トーチ高さ制御装置8に送出し、これによって溶接トーチ高さは低くなってくる。そして、溶接トーチ高さ補正量がX3以下となったとき、アークショート率補正装置14からの溶接速度補正値の増加が止まり、そのときの値にホールドされる。
【0056】
逆に、溶接トーチ高さ補正量がX1を下回った場合には、アークショート率制御装置17に指令が与えられ、アークショート率制御装置17は、1ウィービング毎に一定の値だけ減少するアークショート率補正値をアークショート率制御装置17に出力する。アークショート率制御装置17は、基準アークショート率にこのアークショート率補正値を加えたものをアークショート率指令値とし、実際のアークショート率がこの値となるような溶接電圧指令を電源装置1に与える。
【0057】
これにより、溶接電圧は徐々に上昇し入熱量が増加するので、それに伴って溶接層の高さが増加する。そして、溶接トーチ高さ補正量がX2以上となったとき、アークショート率補正装置14からのアークショート率補正値の減少が止まり、そのときの値にホールドされる。
【0058】
以上の説明においては、アークショート率補正値の増加、減少の割合は、1ウィービング毎に一定量としたが、一定の加減速度を持つようにしてもよい。また、増加する場合と減少する場合の変化の大きさを変えるようにしてもよい。
【0059】
本発明の第3の実施の形態を、図2、図3を用いて説明する。図3は、図2におけるアークショート率算出装置16に入力される溶接電圧と溶接電流の信号波形を示す図である。両波形とも、ベース部分にパルス状の電圧、電流が重畳された波形であり、18、19がアークショートに対応する部分である。前述したように、アーク長を制御するアーク長補正においては、このアークショート時間の平均電流パルス周期に対する割合をアークショート率として算出し、これを一定に制御するようにしている。
【0060】
しかしながら、アークが溶融池に接触した場合には、このアークショート時間がアーク長と関係なく異常に長くなるので、この値を用いてアーク長補正を行うと制御が乱れる原因となる。そこで、アークショート率算出装置16において、算出されるアークショート率に上限を設け、実際に検出されたアークショート率がこの上限を超えた場合には、アークショート率は上限値であるとして出力を行う。これにより、アークが溶融池に接触した場合の、アーク長補正に対する外乱を防止することができる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、裏当金を用いずパイプの円周方向溶接を行うに際し、多層溶接の第1層目において、溶接トーチの上下倣い補正量が所定の範囲を超えた場合、溶接トーチの上下倣い補正量が所定の範囲に復帰するまでの間、溶接速度又はアークショート率を操作しているので、溶接層高さが大きすぎてアークが開先先端に届かなかったり、溶接層高さが小さすぎるようになることを防止することができる。
【0062】
また、実測アークショート率が基準値を超えた場合、実測アークショート率が当該基準値であるとして、アークショート率制御を行うので、アークが溶接池に触れた場合でも、アーク長補正制御における外乱の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態のブロック図である。
【図3】溶接電圧と溶接電流の波形を示す図である。
【図4】自動溶接機の構成の例を示す図である。
【図5】自動溶接機の電気的な接続関係を示す図である。
【図6】溶接ヘッドの詳細を示す図である。
【図7】従来の上下アーク倣い制御の制御ブロックを示す図である。
【図8】従来のアーク電圧調整制御の制御フローを示す図である。
【符号の説明】
1 電源装置
2 溶接トーチ
3 ワイヤ
4 開先
5 溶接電流検出器
6 フィルタ
7 電流制御装置
8 溶接トーチ高さ制御装置
9 溶接トーチ高さ検出器
10 溶接速度制御装置
11 X軸駆動モータ
12 コンパレータ
13 溶接速度補正装置
14 アークショート率補正装置
15 溶接電圧検出器
16 アークショート率算出装置
17 アークショート率制御装置
Claims (6)
- 裏当金を用いずパイプの円周方向溶接を行うに際し、多層溶接の第1層目において、溶接トーチの上下倣い補正量が所定の範囲を超えた場合、溶接トーチの上下倣い補正量が所定の範囲に復帰するまでの間、溶接速度を操作する溶接機の制御方法であって、溶接速度の操作方法が、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げる方向に一定値を超えたときには一定の加速度で溶接速度を増加させ、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを下げる方向に一定値を超えたときは一定の減速度で溶接速度を減少させる方法であることを特徴とする溶接機の制御方法。
- 請求項1に記載の溶接機の制御方法であって、溶接速度の操作方法が、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げる方向に一定値を超えたときには1ウィービング毎に一定量溶接速度を増加させ、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを下げる方向に一定値を超えたときは1ウィービング毎に一定量溶接速度を減少させるものであることを特徴とする溶接機の制御方法。
- 裏当金を用いずパイプの円周方向溶接を行うに際し、多層溶接の第1層目において、溶接トーチの上下倣い補正量が所定の範囲を超えた場合、溶接トーチの上下倣い補正量が所定の範囲に復帰するまでの間、アークショート率を操作することを特徴とする溶接機の制御方法。
- 請求項3に記載の溶接機の制御方法であって、アークショート率の操作方法が、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げる方向に一定値を超えたときには一定の増加率でアークショート率を増加させ、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを下げる方向に一定値を超えたときは一定の減少率でアークショート率を減少させる方法であることを特徴とする溶接機の制御方法。
- 請求項3に記載の溶接機の制御方法であって、アークショート率の操作方法が、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを上げる方向に一定値を超えたときには1ウィービング毎に一定量アークショート率を増加させ、溶接トーチの上下倣い補正量が溶接トーチ高さを下げる方向に一定値を超えたときは1ウィービング毎に一定量アークショート率を減少させる方法であることを特徴とする溶接機の制御方法。
- 裏当金を用いずパイプの円周方向溶接を行うに際し、多層溶接の第1層目において、実測アークショート率が基準値を超えた場合、実測アークショート率が当該基準値であるとして、アークショート率制御を行うことを特徴する溶接機の制御方法。
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