JP2002321055A - 自動溶接方法及び溶接構造物 - Google Patents

自動溶接方法及び溶接構造物

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JP2002321055A
JP2002321055A JP2001125383A JP2001125383A JP2002321055A JP 2002321055 A JP2002321055 A JP 2002321055A JP 2001125383 A JP2001125383 A JP 2001125383A JP 2001125383 A JP2001125383 A JP 2001125383A JP 2002321055 A JP2002321055 A JP 2002321055A
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weaving
arc
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Hisashi Hattori
恒 服部
Kenichi Maeda
謙一 前田
Ikuo Mibu
生男 壬生
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Hitachi Engineering and Services Co Ltd
Tokyo Gas Co Ltd
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Hitachi Engineering and Services Co Ltd
Tokyo Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高電流で溶接した際のアンダーカットの防止
や、極狭開先での開先壁のとけ込み不足の改善を行え、
溶接品質を落とさずに高速溶接を実現できる自動溶接方
法を提供する。 【解決手段】 ウィービングの両端で、アンダーカット
が発生しない電流値まで溶接電流を落とす。そして、ウ
ィービングの中央部を高電流にすることにより溶接速度
を高速にする。あるいは、ウィービングの両端で溶接電
流を上げることにより開先壁のとけ込みを改善する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パイプを長手方向
に継いでいく場合のような突き合わせ自動溶接方法に関
する。特には、高電流で溶接した際のアンダーカットの
防止や、極狭開先での開先壁のとけ込み不足の改善を行
え、溶接品質を落とさずに高速溶接を実現できる自動溶
接方法に関する。また、溶接電流を増減しても、溶接ア
ーク長が変わらずかつ高速で溶接トーチを動かすことが
できる自動溶接方法に関する。また、そのような溶接方
法を用いて溶接された溶接構造物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】以下
に、従来の技術及び発明が解決しようとする課題を説明
する。1.高電流で溶接した際のアンダーカット 仕上げ層や角度の緩やかな開先内で高電流で溶接を行う
と、ビードの両端でアンダーカットが発生しやすい。特
に、上向き溶接時のアンダーカットは、次のような溶接
特性が原因となって発生する。 高電流の場合、左右端の停止中に溶接アークによっ
て母材を掘り下げる。 ぬれの悪い開先壁の部分には、プールが寄っていか
ないため、停止が終わってトーチが中央部に戻るとき、
プールが中央に寄ってしまう。その結果、掘り下げ部が
露出し、アンダーカットとなる。そこで、アンダーカッ
トを防止するため、電流値を低くして溶接を行うが、こ
の場合高速で溶接を行うことができない。
【0003】2.極狭開先での開先壁のとけ込み改善 極狭開先では開先壁の角度がたっているため、溶接アー
クが開先壁を十分溶融できず、融合不良が発生しやす
い。溶接電流を高くすると溶接速度を早くしなければな
らずブローホールが発生しやすい。また積層が高すぎる
とアークの届かないところが出て融合不良が発生しやす
い。
【0004】その他、関連する従来の技術として次のよ
うな例がある。 某社のパルスMIG この例では、ウィービングを、その両端(開先壁)で一
時停止させて、溶接電流、あるいは電圧をステップ上に
上げている。しかし、この方法では、電流の上げ量が多
いとアーク長が変わり、アークが乱れる。アーク長を一
定にするには、電流の上げ量を少なくする必要があり、
それでは極狭開先の壁を溶かせない。 溶接電源製造社のウィーブパルスMIG この例では、定められた周期でパルスモードを切り替
え、重ね隅肉溶接のギャップ裕度を拡大している。しか
し、この方法ではウィービングと同期せず、必ずしも開
先壁で強いアークになることは限らないため、上記目的
は果たせない。 特開平9−001327号 東京ガス/HESCO この例では、ウィービングを左右端(開先壁)で一時停
止させ、溶接電流の、パルス幅の広いモードに切り替え
てアーク力の強いモードとし、壁を溶接する。この方法
は、本願とは、方法が全く異なる。
【0005】本発明は、このような従来の技術の問題を
解決するためになされたもので、高電流で溶接した際の
アンダーカットの防止や、極狭開先での開先壁のとけ込
み不足の改善を行え、溶接品質を落とさずに高速溶接を
実現できる自動溶接方法を提供するものである。また、
溶接電流を増減しても、溶接アーク長が変わらずかつ高
速で溶接トーチを動かすことができる自動溶接方法を提
供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の自動溶接方法は、開先の形成された部材端
部同士を、自動溶接機を用いてウィービングしながら溶
接する方法であって、開先中央部における溶接電流に対
して、開先壁における溶接電流を増減させることを特徴
とする。例えば、ウィービングの両端で、アンダーカッ
トが発生しない電流値まで溶接電流を落とす。そして、
ウィービングの中央部を高電流にすることにより溶接速
度を高速にする。あるいは、ウィービングの両端で溶接
電流を上げることにより開先壁のとけ込みを改善する。
これにより、極狭開先でも溶接速度を高速にする。
【0007】本発明においては、前記開先中央部におけ
るアーク長と前記開先壁におけるアーク長を実質的に同
一とすることが好ましい。また、上記溶接電流増減を階
段状に行うことも好ましい。さらに、前記溶接電流増減
量に対する電圧増減量の比をゲインとした場合に、この
ゲインを適切に選択することも好ましい。ウィービング
左右端での電流変更に同期して、ワイヤ送給速度及び溶
接電圧を変更することにより、アーク長の変化によるア
ークの乱れが発生しないようにすることができる。
【0008】本発明においては、前記溶接電流の増減を
行う部分でのみ左右アーク倣いのサンプリングを行うこ
とが好ましい。また、前記開先中央部においてのみ上下
アーク倣いのサンプリングを行うことが好ましい。この
上下アーク倣い補正は、開先壁(ウィービング左右端で
の電流値(電圧値)変更による影響を受けるので、制御
に使用するデータのサンプリング区間は、開先中心部の
みとするのである。
【0009】本発明の溶接方法に用いる自動溶接機は、
ワイヤ供給速度が電流値に対して正確に追従することが
必要であるため、溶接ヘッドに取り付いているワイヤ供
給速度モータの駆動を電源装置からではなく制御装置か
らダイレクトNC制御を行う必要がある。本発明の溶接
構造物は上記いずれかの自動溶接方法を用いて溶接され
たことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の好適な実施の形態について詳細に説明する。まず、
突き合わせ自動溶接方法の例として、高周波パルスMA
G溶接の例を説明する。パルスMAG溶接については、
例えば、「溶接技術」1989年2月号第67〜76頁
に記載されている。
【0011】図5により本発明の溶接装置の概略構成に
ついて述べる。パーソナルコンピュータ1は、自動溶接
制御のためのCADデータ(パイプの外径、板厚、材
質、開先形状などの設計値)を作成するためのものであ
り、作成されたデータはフレキシブルディスク(フロッ
ピーディスク)1aに記録される。制御装置2は、自動
溶接の実質的な制御(電源及びトーチ位置等の制御)を
行うためのものであり、CADデータの格納されたフレ
キシブルディスク1aからそのCADデータを読み込
む。勿論、フレキシブルディスクによらず、周知のデー
タ通信によってデータ転送を行うようにしてもよい。制
御装置2は、この読み込んだデータを用いて実際の溶接
条件を設定し、設定された条件に対応して、後述するロ
ジックテーブルに予め記録されたデータにより各種溶接
パラメータを設定する。このようなロジックテーブルの
詳細及びこれを用いた溶接データの作成については、本
願出願人が先に提案した特願平7−173921号に開
示されている。
【0012】さらに、この制御装置2では、設定された
溶接パラメータを実際の溶接の制御に用いるNC言語
(数値制御用言語)に変換し、変換した言語を制御デー
タとして制御データテーブルの形で内部のメモリに記録
する。このメモリに記録された制御データを用いて、電
源装置3、及び溶接ヘッド4を駆動制御するとともに、
後述する、パルス電圧波形及びパルス電流波形の計測・
解析値を用いてアーク倣い関連補正を行う構成となって
いる。なお、制御装置2の主な制御項目は、溶接ヘッド
4の溶接の電圧、電流、及びヘッド4に搭載された溶接
トーチ8のパイプ開先18に対するウィービング、溶接
ヘッド4の移動速度等である。ヘッド4は、パイプ外周
に巻き付けられたガイドレール12上に、円周方向に移
動可能に装着される。ヘッド4には、溶接トーチ8に対
して溶接ワイヤを供給するワイヤ供給部6が搭載されて
いる。
【0013】図6に、制御装置2、電源3、ヘッド4、
パイプ5の間の電気的な接続関係を示す。図から分かる
ように、電源3からは、送電ケーブル9を介して、ヘッ
ド4のワイヤ7とパイプ5との間にパルス溶接電圧が印
加されるようになっている。これにより、ワイヤ7とパ
イプ5表面との間にアークが発生する。溶接用ワイヤ7
は一定速度で送られ、アークにより溶かされて溶着金属
となり、開先18内で固まりパイプ5を接合する。
【0014】図7に示すように、溶接ヘッド4のパイプ
外周上の位置(時分で表す)X軸、トーチ8のウィービ
ングの開先部幅方向(パイプ軸方向)Y軸、及び溶接高
さ方向(パイプ半径方向)Z軸、トーチ旋回軸Aの各軸
についてサーボ機構を備え、計4軸は制御装置2により
NC制御されている。なお、二次元ウィービングとは、
トーチ8を溶接進行方向(X軸)に対して直交するY軸
方向及びZ軸方向に、開先部に沿って移動させる動作を
いう。
【0015】図8により、本実施の形態において溶接ヘ
ッド4に付属する部品について説明する。溶接ヘッド4
には、X、Y、Zの各軸毎にヘッドの位置変化を検出す
るためのエンコーダ42x、42y、42z(総称して
42で示す)及び各軸毎に設けられた機械原点(図示せ
ず)を検出する原点センサ41x、41y、41z(総
称して41で示す)が取り付けられている。各軸エンコ
ーダ42は、その軸方向のヘッド移動量に応じた個数の
パルスを発生するデバイスであり、このパルス数を計数
することにより移動量を求めることができる。但し、X
軸エンコーダ42xについては、絶対値エンコーダによ
り構成し、モータへの電源オフ期間中にもその絶対的な
位置を保持することができるようにしてある。Y軸及び
Z軸については、現在位置情報が失われたとしても、移
動のストロークが小さく、新たに機械原点を検出・設定
する手間及び時間は問題にならないので、より簡易なイ
ンクリメンタル(相対置)エンコーダを採用している。
各軸の原点センサ41は、各軸における機械的な原点を
示す機械原点を検出するためのセンサであり、例えば、
光学的なセンサを用いることができる。X軸の機械原点
は、ガイドレール12の円周上の予め定めた1カ所に設
けられた指標であり、この例では、ガイドレール12の
頂部において設けた光遮断部材(図示せず)である。Y
軸の機械原点はトーチのY軸方向の後退位置に設けた光
遮断部材(図示せず)である。同様に、Z軸の機械原点
はトーチのZ軸方向のほぼ最上位位置に設けた光遮断部
材(図示せず)である。勿論、センサは光学的なものに
限るものではなく、例えば、近接センサのようなものを
利用することもできる。これらの各軸の原点を基準とし
て、トーチの目標位置を指定することができる。これら
の原点の検出・設定は、溶接作業の初期作業として行わ
れる。
【0016】図9により、制御装置2の内部構成を説明
する。
【0017】制御装置2は、制御部223、記憶部(メ
モリ)221、ハードディスク222、溶接ヘッド制御
部230、CRT・キーボード225、パルス波形計測
部211を有する。
【0018】なお、図9の制御装置2内に破線で示すよ
うに、コンピュータ1を内蔵する構成としてもよい。制
御部223はマイクロプロセッサにより構成することが
でき、記憶部221はその制御プログラム及び各種デー
タの格納領域、作業領域を提供するものである。ハード
ディスク222は、制御プログラムや各種データ等を不
揮発的に保存する大容量の記憶装置である。具体的に
は、ハードディスク222には、予め定められた溶接条
件及び溶接パラメータが、ロジックテーブル(後述)と
してテーブル形式で格納される。制御部223は、記憶
部221に記憶されたCADデータを読み出して溶接条
件を判定し、この溶接条件に適合する溶接パラメータを
ロジックテーブルから読み出す。さらに、この読み出し
た溶接パラメータを、溶接ヘッド4及び電源装置3を制
御するための言語に変換して制御データとして制御デー
タテーブル(図示せず)の形で記憶部221に記憶す
る。この制御データは後述する溶接ヘッド制御部230
に送られる。CRT・キーボード225は、制御部22
3と操作者との間のユーザインタフェースを提供するた
めの表示部及び入力部である。溶接ヘッド制御部230
は、制御部223からの信号の送受信や、リモート操作
装置234との信号の送受信を行うための送受信部23
1、溶接ヘッド4及びトーチ8の動作を制御するための
サーボモータの駆動指令を出力するヘッド駆動部23
3、及び電源装置3の制御を行う電源制御部232を有
する。パルス波形計測部211は、電源装置3からのパ
ルス溶接電圧及びパルス溶接電流を計測するためのハー
ドウエア回路である。
【0019】図10に、本実施の形態におけるパイプ円
周自動溶接装置の処理のフローチャートを示す。
【0020】図10において、まず、制御装置2におい
て、CADデータから、パイプの口径、板厚、材質、開
先形状等を読み出す(61)。この読み出されたデータ
を用いて、ロジックテーブルから、溶接条件(積層計
画、層,番地毎の電流、電圧、回転速度など)に対応し
た溶接パラメータを決定する(62、63)。この決定
された溶接パラメータをNC言語に変換する(64)。
これにより得られたNCデータは、制御データとして制
御テーブル(図示せず)に記憶される。また、このNC
データを用いて、電源装置や溶接ヘッドを動作させる
(65〜68)。この動作時に、パルス溶接電流・電圧
の検出手段を用いてヘッドの位置間隔等を検出し、動作
状態が最適状態にセットされているか否かを判定し、正
規の動作位置になっていなければ、トーチの軌跡データ
を補正し、開先幅の変化による溶接条件等も補正し、ロ
ジックテーブルのデータにより溶接パラメータを再設定
する。この再設定後に運転が継続され、アークの状態を
検出し設計値と比較して、随時、アーク電圧等を制御し
ながら自動溶接を実行する(69〜72)。
【0021】すなわち、予めロジックテーブル62に格
納された溶接条件パラメータとして、溶接の各層毎に、
各姿勢毎の溶接電流、溶接電圧、ヘッドの移動速度、ト
ーチの回転速度、アークのスタート、エンド位置等を読
み出し、これらの溶接条件パラメータに対して、ワイヤ
による開先形状計測66の結果に基づいてトーチ軌跡補
正67及びルートギャップ幅変化による溶接条件補正6
8を行う。その後、自動運転を開始し(69)、アーク
センス(溶接線倣い)、電流・電圧サンプリング、トー
チ位置(上下、左右)制御を行う(70)。また、パル
ス訛り防止制御、アーク電圧制御を行う(71)。アー
クセンスに基づいて行われるアーク倣い関連補正の詳細
については、後述する。自動溶接の現在の溶接電流、電
圧、各軸位置等の各種パラメータ及び各種補正量等は、
現在の状態(ステータス)として、CRTにおけるリア
ルタイム表示により監視することができる(72)。
【0022】図11及び図12により、本溶接装置で行
う、トーチの2次元ウィービングの例を説明する。図1
1は、横軸を時間としてY軸位置及びZ軸位置の変化を
示したものであり、図12は、X軸方向に沿ってウィー
ビング動作の移動経路を示したものである。ウィービン
グ動作は、図のように、トーチをY軸及びZ軸方向に所
定の幅・周期で往復運動させ、トーチの軌跡を波状にす
るものである。図12の左右での斜めの移動時の速度
と、水平移動時の速度とは別個に指定可能である。速度
は、ワイヤ先端の移動軌跡に沿った速度(接線速度)で
指定される。
【0023】図5〜図12を用いて説明したパイプ突き
合わせ自動溶接方法における、左右アーク倣い補正や、
上下アーク倣い補正、アーク長補正方法の詳細について
は、特開平10−193110号に開示されている。
【0024】次に、本発明の自動溶接方法の実施例につ
いて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る自動溶
接方法における溶接ワイヤのウィービング状態(横軸)
と溶接電流(縦軸)の関係を示す模式的なグラフであ
る。グラフの横軸左端は開先(ウィービング)中央部を
示し、右端は開先壁部(ウィービング左右端)を示し、
中央部はウィービング片幅の1/2の部分を示す。この
例では、開先中央部の溶接電流は、一定の中央部(指
令)電流であり、ウィービング片幅の1/2の部分から
開先壁部に向けては、電流を徐々に減らしている。
【0025】電流を徐々に増減するのは、以下のような
事情による。ウィービング左右端で溶接電流を変更する
場合、一番単純な方法としては、トーチがウィービング
左右端に達したところで、一気に電流を変更することが
考えられる。しかし、この方法で大きな電流変更を行っ
た場合、以下のような問題が発生する可能性がある。 指令の変更に溶接現象が追従しない。 大きな送給速度変更によるワイヤ送給モータの脱
調。 溶接アークの乱れ。
【0026】電流減少部の溶接電流波形を拡大して図1
(B)に示す。この例では、8ms×9=72ms毎に、あ
るいは電流減少量が3Aの時、8ms×3=24ms毎に2
溶接電流を階段状に減らしている。また電圧については
階段状に電流と同じタイミングに減少していく。本例で
は、開先壁部の溶接電流を減らしているが、とけ込み不
良のある場合は、逆に開先壁部の溶接電流を増やす。こ
のように、溶接時のウィービング動作の両端にて、溶接
電流を変更することにより、アンダーカットの防止や開
先壁のとけ込みを改善する。ウィービング全幅を3つの
区間に分けて、溶接電流/電圧を変更する。なお、プロ
グラム指令では、電流減少量のみを指定し、電圧減少量
は電流減少量から算出する。電流減少量から電圧減少量
の算出係数(ゲイン)は、設定にて変更できるものと
し、左右端でのアーク長を調整できるようにする。大き
な電流差を変更可能とするため、電流/電圧の変更は、
ウィービング幅の左右の中心位置から左右端にかけて、
スロープ変更する。ここで、溶接ワイヤ径1mmの場合の
電流の目標変更量は±80Aである。
【0027】次に、電圧増減量計算係数(ゲイン)につ
いて説明する。ROMスイッチに電流の増減量に対す
る、電圧の増減量の計算係数を追加する。計算係数は、
パルスアーク用とショートアーク用の2種類を設定す
る。指令電圧及び溶接電源への電圧指令は、各階段に対
し以下のとおりとなる。 <指令電圧(V)> V=VS−RTVI×DE V :電圧指令 VS :補正済み電圧指令 RTVI:電圧増減量計算係数(パルスアークの場合0.
05) DE :電流指令増減量 <溶接電源への電圧指令(V)> V10=(V*VBB)−VCC10 :溶接電源への電圧指令 VBB :電圧指令計算係数B VCC :電圧指令計算係数C
【0028】次に、表1を参照しつつ具体的な実験例を
説明する。なお、表中のTWは、動作時間である。
【0029】
【表1】
【0030】表1は、さまざまな条件で自動溶接を行っ
た結果を示す表である。上記表の各例をともに良好な溶
接結果が得られた。なお、中央部での溶接電流は、増加
の時が80Aで減少の時が140Aである。ゲインにつ
いては、0.050でアーク長一定となる裕度が広く、
0.056では狭かった。
【0031】次に、図2を参照しつつ極狭開先の溶接の
問題点と、その解決方法について説明する。図2は、左
右の開先壁301の間を溶接トーチ303が左右にウィ
ービングして溶接を行っている様子を模式的に示す図で
ある。このような極狭開先の溶接においては、電流が低
いと、開先壁を十分溶融できず融合不良が発生し易くな
る。また、開先壁面が立つほど、電流を高くしなければ
ならない。しかし、電流を高くすると、溶接速度が早過
ぎてブローホールが発生する。さらに、積層が高すぎる
とアークが届かないところが出て融合不良が発生する。
【0032】そこで、本例では、ウィービング中央部の
電流を低くするとともにトーチのX方向速度を遅くする
ことによりブローホールや融合不良を防止している。一
方、左右端では溶接電流を高くして十分な開先壁の溶融
を図っている。
【0033】次に、図3を参照しつつ電流増減法による
溶接を行った場合の溶接アークや溶融池(プール)の性
状を説明する。図3(A)は、溶接部の断面図である。
この例では、ウィービング端部の溶接電流を高くし、か
つ端部の停止時間を長くすることによって、開先端部か
らプールを押し上げている。このため、開先壁311の
リップ部を十分溶融することができ、プールの吹き飛ば
しを防止するとともにとけ込み不足を解消できる。
【0034】図3(B)は、溶接ワイヤの先から出るア
ーク325とプール327の関係を表す平面図である。
図3(C)は従来法の例である。まず、図3(C)の従
来例では、アーク335と後退プール331との間の長
さL(中央プールの後退長さ)が大きく、アークが安定
しない。しかし、図3(B)の電流増減法では、後退プ
ール321に小さく、先行プール323が十分あるの
で、中央プールの後退長さは小さく、アークは安定す
る。
【0035】次に図4を参照しつつ、電流増減法による
アンダーカットの改善効果について説明する。図4はプ
ールの断面形状を表す図である。(A)は従来例の標準
的な溶け込み形状であり、(B)は電流増減法の場合の
おわん形溶け込み形状である。図4(A)の下向や立向
溶接の従来例では、プールが中央部に寄せられてアンダ
ーカットが生じやすくなっている。一方、図4(B)の
電流増減法例では、ウィービング左右端における電流値
を下げ、ウィービングの端部停止時間を長くすることに
より、アークによる母材の掘り下げを少なくしながらプ
ールを左右端部に引っ張り、開先壁部に十分溶融金属が
供給されて、アンダーカットが防止できる。そのため、
応力集中も少ない。
【0036】次に具体的な実施例を以下に挙げる。表2
は、ウィービング幅24mmの立向溶接について自動溶接
を行った結果を示す。電流増減法では従来溶接に対し約
1.2倍早くアンダーカットのないおわん形溶け込み形
状が得られた。
【0037】
【表2】
【0038】なお、上表の記号の意味は以下である。 W :ウィービング幅 WF :ウィービング速度 TW :動作時間=120W÷WF Tc :中央停止時間 TI :左端停止時間 Tr :右端停止時間 TIc:左中停止時間 Trc:右中停止時間 X :X方向速度(溶接速度) UC :アンダーカット
【0039】この表に見られるように、電流増減法では
アンダーカットの発生がなく高速溶接を行うことができ
た。
【0040】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、突き合わせ自動溶接方法において、高電流で
溶接した際のアンダーカットの防止や、極狭開先での開
先壁のとけ込み不足の改善を行え、溶接品質を落とさず
に高速溶接を実現できる自動溶接方法を提供できる。ま
た、溶接電流を増減しても、溶接アーク長が変わらずか
つ高速で溶接トーチを動かすことができる自動溶接方法
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る自動溶接方法における
溶接ワイヤのウィービング状態(横軸)と溶接電流(縦
軸)の関係を示す模式的なグラフである。
【図2】左右の開先壁301の間を溶接トーチ303が
左右にウィービングして溶接を行っている様子を模式的
に示す図である。
【図3】(A)は、溶接部の断面図である。(B)、
(C)は、溶接ワイヤの先から出るアーク325とプー
ル327の関係を表す平面図である。
【図4】本発明のプールの断面形状を表す図である。
(A)は従来例の標準的な溶け込み形状であり、(B)
は電流増減法の場合のおわん形溶け込み形状である。
【図5】本発明の溶接装置の概略構成図である。
【図6】本発明の制御装置2、電源3、ヘッド4、パイ
プ5の間の電気的な接続関係を示す図である。
【図7】溶接ヘッド4の詳細を示す図である。
【図8】本発明の溶接ヘッド4に付属する部品について
説明する。
【図9】本発明の制御装置2の内部構成を説明する図で
ある。
【図10】本発明のパイプ円周自動溶接装置の処理のフ
ローチャートを示す。
【図11】本溶接装置で行う、トーチの2次元ウィービ
ングの例を説明する図である。横軸を時間としてY軸位
置及びZ軸位置の変化を示したものである。
【図12】本溶接装置で行う、トーチの2次元ウィービ
ングの例を説明する図である。X軸方向に沿ってウィー
ビング動作の移動経路を示したものである。この場合、
電流増減は及びの経路で行われる。
【符号の説明】
1…コンピュータ、2…制御装置、3…電源装置、4…
ヘッド、5…パイプ、6…ワイヤ供給部、7…ワイヤ、
8…溶接トーチ、12…ガイドレール、16…電流信
号、32…電圧信号、91…アーク、92…溶着金属、
93…開先、41…センサ、42…エンコーダ、211
…パルス波形計装部、221…記憶部、222…ハード
ディスク、223…制御部、225…CRT,キーボー
ド、230…溶接ヘッド制御部、231…送受信部、2
32…電源制御部、233…ヘッド駆動部、234…リ
モート操作装置、開先壁…301、溶接トーチ…303
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 謙一 茨城県日立市幸町3−2−2 株式会社日 立エンジニアリングサービス内 (72)発明者 壬生 生男 茨城県日立市幸町3−2−2 株式会社日 立エンジニアリングサービス内 Fターム(参考) 4E081 BA27 CA07 DA05 DA23 DA49 EA17 EA32

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開先の形成された部材端部同士を、自動
    溶接機を用いてウィービングしながら溶接する方法であ
    って、 開先中央部における溶接電流に対して、開先壁における
    溶接電流を増加あるいは減少(以下増減)させることを
    特徴とする自動溶接方法。
  2. 【請求項2】 前記開先中央部におけるアーク長と前記
    開先壁におけるアーク長を実質的に同一とすることを特
    徴とする請求項1記載の自動溶接方法。
  3. 【請求項3】 上記溶接電流増減を細かい階段状に行う
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の自動溶接方法。
  4. 【請求項4】 前記溶接電流増減量に対する電圧増減量
    の比をゲインとした場合に、 このゲインを適切に選択することを特徴とする請求項
    1、2又は3記載の自動溶接方法。
  5. 【請求項5】 前記溶接電流の増減を行う部分でのみ左
    右アーク倣いのサンプリングを行うことを特徴とする請
    求項1〜4いずれか1項記載の自動溶接方法。
  6. 【請求項6】 前記開先中央部においてのみ上下アーク
    倣いのサンプリングを行うことを特徴とする請求項1〜
    5いずれか1項記載の自動溶接方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6いずれか1項記載の自動溶
    接方法を用いて溶接されたことを特徴とする溶接構造
    物。
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US10406620B2 (en) 2015-04-30 2019-09-10 Kobe Steel, Ltd. Horizontal fillet welding method, horizontal fillet welding system, and program
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