JPH10193110A - パイプ円周自動溶接装置のアーク長補正方法 - Google Patents

パイプ円周自動溶接装置のアーク長補正方法

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JPH10193110A
JPH10193110A JP35766196A JP35766196A JPH10193110A JP H10193110 A JPH10193110 A JP H10193110A JP 35766196 A JP35766196 A JP 35766196A JP 35766196 A JP35766196 A JP 35766196A JP H10193110 A JPH10193110 A JP H10193110A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パイプ円周自動溶接装置の制御を高精度に行
うことを可能にするアーク長補正方法を提供する。 【解決手段】 2本のパイプの端面をパルスMAG溶接
法により全周溶接する際、パイプの開先に沿ってトーチ
の2次元ウィービングを行う。その際、計測したパルス
溶接電圧に基づいて、ウィービングの1周期内の水平移
動部分で検出したすべてのアークショート時間を平均化
する(181)とともに、計測したパルス溶接電流に基
づいて、ウィービングの1周期内の水平移動部分で検出
したすべての電流パルス周期を平均化し(150)、こ
の平均電流パルス周期に対する平均アークショート時間
の割合を平均アークショート率として求め(183)、
該平均アークショート率が、予め定められた上限値と下
限値の間の範囲内に入るようにアーク電圧の指令値を補
正することによりアーク長を補正する(140)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パイプ円周自動溶
接装置に係り、特に、パルス溶接電流波形及びパルス溶
接電圧波形を計測・解析し、アーク倣い関連補正を行う
パイプ円周自動溶接装置のアーク長補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスパイプライン敷設工事の際には、突
き合わせて固定されている2本のパイプの端面を全周溶
接により接続する。この溶接を自動溶接により行う場合
は、パイプにベルト状のガイドレールを巻き、このガイ
ドレール上に溶接ヘッドを走らせMAG(メタル・アク
ティブ・ガス)法等により溶接している。アーク倣い関
連補正の「アーク倣い」とは、溶接中の電流や電圧を監
視して、トーチをワークに対して位置的に倣わせるもの
である。
【0003】従来のパイプの突き合せアーク溶接におい
ては、ウィービング等の駆動は、比較的低速のものはパ
ルスモータにより、また、高速なものはサーボモータに
より行われるのが一般的である。そして、その溶接の際
にトーチをワークに対して最適な位置に保つために、溶
接中の電流や電圧を監視して、それらの値が適正になる
ようトーチの位置をフィーバック制御することも行われ
ている。そのための電流/電圧計測方法は、パルス溶接
電流/電圧信号を、低域通過型フィルタを通して平滑化
し、A/Dコンバータにより、ディジタルの電流/電圧
信号として計測している。ただし、低域通過型フィルタ
のカットオフ周波数は、パルス溶接電流/電圧の繰り返
し周波数よりもはるかに低く設定されていた(例えば、
パルス周波数100〜400Hzに対してカットオフ周
波数10Hz)。
【0004】従来のパイプ円周溶接に関する技術とし
て、特開昭63−183776号公報及び特開平4−2
84973号公報に記載されたものがある。特開昭63
−183776号公報に記載の技術は、アーク回転式の
全姿勢溶接装置に関するものである。同方式では開先形
状が狭開先で高精度加工が必要であり、開先幅の広いワ
ークに対しての適用は難しい。特開平4−284973
号公報に記載の技術は、開先部の溶接をリアルタイム制
御にする自動アーク溶接法に関するものであるが、パル
ス溶接電流/電圧の個々のパルス波形の計測の点につい
ては解決されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】パイプ円周溶接、高速
ウィービング等における最適な溶接を行うためには、高
精度なウィービングの制御が必要となる。
【0006】溶接作業前に開先の形状を計測してそのデ
ータを保持しておくことにより、ある程度の誤差補正は
可能であるが、形状計測の実際の計測位置以外の位置に
ついてはデータの補間により対処されるので、開先形状
計測のデータのみでは十分な補正が行えないという問題
があった。
【0007】また、従来のパルス溶接電流/電圧の計測
では、高速、高精度の電流/電圧波形の計測が困難で、
せいぜいパルス溶接電流/電圧の繰り返し周期の10倍
程度の応答時間での計測であった。そのため、アーク倣
い関連補正のための電流、電圧、ウィービング指令等の
タイミングが遅れ、きめ細かな補正が行えないという問
題があった。
【0008】本発明は、高速ウィービングを行いながら
鋼管の円周自動溶接を行うパイプ円周自動溶接装置の制
御を高精度に行うことを可能とするアーク長補正方法を
提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、突き合わせて
固定されている2本のパイプの端面をパルスMAG溶接
法により全周溶接する際、パイプの開先に沿って少なく
ともパイプ円周の接線に直交する左右方向および上下方
向にトーチの2次元ウィービングを行う自動溶接装置の
アーク長補正方法であって、計測したパルス溶接電圧に
基づいて、ウィービングの1周期内の水平移動部分で検
出したすべてのアークショート時間を平均化するととも
に、計測したパルス溶接電流に基づいて、ウィービング
の1周期内の水平移動部分で検出したすべての電流パル
ス周期を平均化し、前記平均電流パルス周期に対する平
均アークショート時間の割合を平均アークショート時間
率として求め、該平均アークショート時間率が、予め定
められた上限値と下限値の間の範囲内に入るようにアー
ク電圧の指令値を補正することによりアーク長を補正す
ることを特徴とする。
【0010】本発明のこの構成によれば、適正な長さの
アーク長を維持することができる。換言すれば、平均ア
ークショート時間率を適正な範囲内に維持することがで
きる。これにより、高精度なアーク溶接制御に寄与する
ことができる。また、1ウィービング周期内の測定結果
に基づいて、次のウィービング周期のアーク長を補正す
ることができるので、応答性の高い補正を行うことがで
きる。
【0011】前記アーク電圧の指令値の補正量は、前記
アークショート時間が前記予め定められた範囲から外れ
た量に比例して定めることが好ましい。
【0012】前記アーク電圧の補正は、ウィービング半
周期毎に、ウィービングの中央の位置で行うことことが
好ましい。これにより、適正なアーク電圧の補正が行え
る。
【0013】前記アーク長補正とは別に、前記計測した
パルス溶接電圧の平均電圧がアーク電圧の指令値に一致
するようにアーク電圧を調整し、前記アーク長補正によ
るアーク電圧の補正量は前記指令値に含めるようにして
もよい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の好適な実施の形態について詳細に説明する。ここで
は、本発明を高周波パルスMAG溶接に適用した例を説
明する。パルスMAG溶接については、例えば、「溶接
技術」1989年2月号第67〜76頁に記載されてい
る。
【0015】図1により本発明の溶接装置の概略構成に
ついて述べる。パーソナルコンピュータ1は、自動溶接
制御のためのCADデータ(パイプの外径、板厚、材
質、開先形状などの設計値)を作成するためのものであ
り、作成されたデータはフレキシブルディスク(フロッ
ピーディスク)1aに記録される。制御装置2は、自動
溶接の実質的な制御(電源およびトーチ位置等の制御)
を行うためのものであり、CADデータの格納されたフ
レキシブルディスク1aからそのCADデータを読み込
む。勿論、フレキシブルディスクによらず、周知のデー
タ通信によってデータ転送を行うようにしてもよい。制
御装置2は、この読み込んだデータを用いて実際の溶接
条件を設定し、設定された条件に対応して、後述するロ
ジックテーブルに予め記録されたデータにより各種溶接
パラメータを設定する。このようなロジックテーブルの
詳細およびこれを用いた溶接データの作成については、
本願出願人が先に提案した特願平7−173921号に
開示されている。
【0016】さらに、この制御装置2では、設定された
溶接パラメータを実際の溶接の制御に用いるNC言語
(数値制御用言語)に変換し、変換した言語を制御デー
タとして制御データテーブルの形で内部のメモリに記録
する。このメモリに記録された制御データを用いて、電
源装置3、及び溶接ヘッド4を駆動制御するとともに、
後述する、パルス電圧波形及びパルス電流波形の計測・
解析値を用いてアーク倣い関連補正を行う構成となって
いる。なお、制御装置2の主な制御項目は、溶接ヘッド
4の溶接の電圧、電流、及びヘッド4に搭載された溶接
トーチ8のパイプ開先93に対するウィービング、溶接
ヘッド4の移動速度等である。ヘッド4は、パイプ外周
に巻き付けられたガイドレール12上に、円周方向に移
動可能に装着される。ヘッド4には、溶接トーチ8に対
して溶接ワイヤを供給するワイヤ供給部6が搭載されて
いる。
【0017】図2に、制御装置2、電源3、ヘッド4、
パイプ5の間の電気的な接続関係を示す。図から分かる
ように、電源3からは、送電ケーブル9を介して、ヘッ
ド4のワイヤ7とパイプ5との間にパルス溶接電圧が印
加されるようになっている。これにより、ワイヤ7とパ
イプ5表面との間にアーク91(図12)が発生する。
溶接用ワイヤ7は一定速度で送られ、アーク91により
溶かされて溶着金属92(図12)となり、開先93
(図12)内で固まり母材5を接合する。
【0018】図3に示すように、溶接ヘッド4のパイプ
外周上の位置(時分で表す)X軸、トーチ8のウィービ
ングの開先部幅方向(パイプ軸方向)Y軸、及び溶接高
さ方向(パイプ半径方向)Z軸、トーチ旋回軸Aの各軸
についてサーボ機構を備え、計4軸は制御装置2により
制御されている。なお、二次元ウィービングとは、トー
チ8を溶接進行方向(X軸)に対して直交するY軸方向
およびZ軸方向に、開先部に沿って移動させる動作をい
う。
【0019】図4により、本実施の形態において溶接ヘ
ッド4に付属する部品について説明する。溶接ヘッド4
には、X,Y,Zの各軸毎にヘッドの位置変化を検出す
るためのエンコーダ42x,42y,42z(総称して
42で示す)および各軸毎に設けられた機械原点(図示
せず)を検出する原点センサ41x,41y,41z
(総称して41で示す)が取り付けられている。各軸エ
ンコーダ42は、その軸方向のヘッド移動量に応じた個
数のパルスを発生するデバイスであり、このパルス数を
計数することにより移動量を求めることができる。但
し、X軸エンコーダ42xについては、絶対値エンコー
ダにより構成し、モータへの電源オフ期間中にもその絶
対的な位置を保持することができるようにしてある。Y
軸およびZ軸については、現在位置情報が失われたとし
ても、移動のストロークが小さく、新たに機械原点を検
出・設定する手間および時間は問題にならないので、よ
り簡易なインクリメンタル(相対置)エンコーダを採用
している。各軸の原点センサ41は、各軸における機械
的な原点を示す機械原点を検出するためのセンサであ
り、例えば、光学的なセンサを用いることができる。X
軸の機械原点は、ガイドレール12の円周上の予め定め
た1カ所に設けられた指標であり、この例では、ガイド
レール12の頂部において設けた光遮断部材(図示せ
ず)である。Y軸の機械原点はトーチのY軸方向の後退
位置に設けた光遮断部材(図示せず)である。同様に、
Z軸の機械原点はトーチのZ軸方向のほぼ最上位位置に
設けた光遮断部材(図示せず)である。勿論、センサは
光学的なものに限るものではなく、例えば、近接センサ
のようなものを利用することもできる。これらの各軸の
原点を基準として、トーチの目標位置を指定することが
できる。これらの原点の検出・設定は、溶接作業の初期
作業として行われる。
【0020】図5により、制御装置2の内部構成を説明
する。
【0021】制御装置2は、制御部223、記憶部(メ
モリ)221、ハードディスク222、溶接ヘッド制御
部230、CRT・キーボード225、パルス波形計測
部211を有する。
【0022】なお、図5の制御装置2内に破線で示すよ
うに、コンピュータ1を内蔵する構成としてもよい。制
御部223はマイクロプロセッサにより構成することが
でき、記憶部221はその制御プログラムおよび各種デ
ータの格納領域、作業領域を提供するものである。ハー
ドディスク222は、制御プログラムや各種データ等を
不揮発的に保存する大容量の記憶装置である。具体的に
は、ハードディスク222には、予め定められた溶接条
件および溶接パラメータが、ロジックテーブル(後述)
としてテーブル形式で格納される。制御部223は、記
憶部221に記憶されたCADデータを読み出して溶接
条件を判定し、この溶接条件に適合する溶接パラメータ
をロジックテーブルから読み出す。さらに、この読み出
した溶接パラメータを、溶接ヘッド4及び電源装置3を
制御するための言語に変換して制御データとして制御デ
ータテーブル(図示せず)の形で記憶部221に記憶す
る。この制御データは後述する溶接ヘッド制御部230
に送られる。CRT・キーボード225は、制御部22
3と操作者との間のユーザインタフェースを提供するた
めの表示部および入力部である。溶接ヘッド制御部23
0は、制御部223からの信号の送受信や、リモート操
作装置234との信号の送受信を行うための送受信部2
31、溶接ヘッド4およびトーチ8の動作を制御するた
めのサーボモータの駆動指令を出力するヘッド駆動部2
33、及び電源装置3の制御を行う電源制御部232を
有する。パルス波形計測部211は、電源装置3からの
パルス溶接電圧およびパルス溶接電流を計測するための
ハードウエア回路である。このハードウエア回路の構成
例については、図12により後述する。
【0023】図6に、本実施の形態におけるパイプ円周
自動溶接装置の処理のフローチャートを示す。
【0024】図6において、まず、制御装置2におい
て、CADデータから、パイプの口径、板厚、材質、開
先形状等を読み出す(61)。この読み出されたデータ
を用いて、ロジックテーブルから、溶接条件(積層計
画、層,番地毎の電流、電圧、回転速度など)に対応し
た溶接パラメータを決定する(62、63)。この決定
された溶接パラメータをNC言語に変換する(64)。
これにより得られたNCデータは、制御データとして制
御テーブル(図示せず)に記憶される。また、このNC
データを用いて、電源装置や溶接ヘッドを動作させる
(65〜68)。この動作時に、パルス溶接電流・電圧
の検出手段を用いてヘッドの位置間隔等を検出し、動作
状態が最適状態にセットされているか否かを判定し、正
規の動作位置になっていなければ、トーチの軌跡データ
を補正し、ルートギャップ幅の変化による溶接条件等も
補正し、ロジックテーブルのデータにより溶接パラメー
タを再設定する。この再設定後に運転が継続され、アー
クの状態を検出し設計値と比較して、随時、アーク電圧
等を制御しながら自動溶接を実行する(69〜72)。
【0025】即ち、予めロジックテーブル62に格納さ
れた溶接条件パラメータとして、溶接の各層毎に、各姿
勢毎の溶接電流、溶接電圧、ヘッドの移動速度、トーチ
の回転速度、アークのスタート、エンド位置等を読み出
し、これらの溶接条件パラメータに対して、ワイヤによ
る開先形状計測66の結果に基づいてトーチ軌跡補正6
7およびルートギャップ幅変化による溶接条件補正68
を行う。その後、自動運転を開始し(69)、アークセ
ンス(溶接線倣い)、電流・電圧サンプリング、トーチ
位置(上下、左右)制御を行う(70)。また、パルス
訛り防止制御、アーク電圧制御を行う(71)。アーク
センスに基づいて行われるアーク倣い関連補正の詳細に
ついては、後述する。自動溶接の現在の溶接電流、電
圧、各軸位置等の各種パラメータおよび各種補正量等
は、現在の状態(ステータス)として、CRTにおける
リアルタイム表示により監視することができる(7
2)。
【0026】図7に、ロジックテーブルの一例を示す。
これは、ウィービング停止時間の設定を定めるファイル
の例である。この他にも、各種のファイルが存在する
が、ここではこの一例のみを示す。このロジックテーブ
ルには、条件項目として、「溶接姿勢」、「層間」、
「回転速度」、「ウィーブ幅」の4つの条件について、
等しい:「=」、等しくない:「!=」、大きい:
「>」、小さい:「<」、以上:「>=」、以下:「<
=」のそれぞれの条件に適合するようにデータが収納さ
れている。
【0027】例えば、次のような条件が与えられたとす
る。すなわち、溶接条件が上向き、層間が仕上げ、回転
速度が100、ウィーブ幅が10.0、とする。この条
件に適合するテーブル内容を検索して、テーブルの項目
No.5を選択する。これにより、回転速度が120以
下、ウィーブ幅が11.0以下、左停止0.15、中停
止0.00、右停止0.15の各データが選択される。
これらの溶接のためのパラメータが選択されると、次に
実際のNC実行制御プログラムにデータが渡される。
【0028】図8に、CADのプログラム項目とNC制
御のプログラムの項目の対応関係を示す。初期値設定時
は、CAD情報として、口径、開先情報、サーボパラメ
ータ、アーク倣い補正パラメータ、手直し溶接パラメー
タが設定される。これらのパラメータは、NC制御用
に、口径についてはガイドレール周回パルス数(エンコ
ーダパルス数)に変換され、開先情報についてはタッチ
センスの情報に変換される。その他の項目も、図8に示
す対応関係でNC制御用に変換される。本システムは、
このようして得られたNC制御データに基づいて仮の動
作を実行し、それぞれの動作に関して、その検出結果を
基に、補正が必要なものは補正を行い、実際の溶接動作
に移行する。
【0029】このように構成することにより、人はCA
Dデータを作成し、溶接ヘッドをパイプにセットすれ
ば、システムが自動的に溶接条件等を決定して自動的に
溶接を実行する。その結果、溶接実行時に人が溶接条件
等を教示する必要がなくなり、しかも溶接のバラツキが
少なくなる。また、殆どの条件をロジックテーブルとい
う形式で記憶しているため、従来用いられている知識処
理等の表現形式のIF〜THENを用いた場合に比べ条
件の変更、選択理由等も簡単に修正ができる。
【0030】図9及び図10により、本溶接装置で行
う、トーチの2次元ウィービングの例を説明する。図9
は、横軸を時間としてY軸位置およびZ軸位置の変化を
示したものであり、図10は、X軸方向に沿ってウィー
ビング動作の移動経路を示したものである。ウィービン
グ動作は、図のように、トーチをY軸およびZ軸方向に
所定の幅・周期で往復運動させ、トーチの軌跡を波状に
するものである。この例では、前述のように、ウィービ
ングの左端(L)、中央(C)、右端(R)で一時的に
停止させている。図10の左右での斜めの移動時の速度
と、水平移動時の速度とは別個に指定可能である。速度
は、ワイヤ先端の移動軌跡に沿った速度(接線速度)で
指定される。
【0031】図11は、ウィービングの指令軌跡と実際
のトーチの移動の軌跡(サーボ軌跡)とを対比して示し
たものである。図の横軸は時間、縦軸はY軸方向位置を
示す。図から分かるように、トーチの移動指令に対する
サーボ機構の応答の遅延に起因して、サーボ軌跡は指令
軌跡より遅れて追従している。図の例では、ウィービン
グ幅(Y軸方向の移動範囲)を、右端、右、中心、左、
左端の5区間に分けて、後述する各種データのサンプリ
ングを行っている。各区間の判定は、Y軸エンコーダの
出力に応じて、実際の機械的なトーチ位置を示すサーボ
軌跡を基に行われる。各区間の境界には、誤差低減のた
めに不感帯を設けてもよい。
【0032】後述するアーク倣い関連補正では、ウィー
ビングの位置に応じて、次のようなデータを求める。
【0033】平滑電流値、 平均電流パルス周期、 左端・右端電流パルス周期、 左端・右端アークショート時間 平均アークショート時間、 左・右電流パルス周期、 左・右アークショート時間 なお、アークショートとは、溶接ワイヤ(電極)と母材
や溶融金属との間隔が短くなりすぎて、両者の間に短絡
(ショート)が生じた状態のことである。
【0034】図12に、計測用回路211のハードウエ
ア構成例を示す。
【0035】溶接用電源装置3は、溶接トーチ8に大き
なパルス電流を供給する。パルス溶接電流/電圧計測用
回路211は、電源装置3からパルス溶接電流信号13
およびパルス溶接電圧信号32を得て、それぞれフィル
ター14および33に入力する。なお、本明細書でいう
「電圧信号」および「電流信号」は、それらの信号がそ
れぞれ溶接電圧を表わす信号および溶接電流を表す信号
という意味であり、信号が電圧レベルおよび電流レベル
で表されるという意味ではない。通常、これらの電圧信
号および電流信号は電圧レベルで表される。
【0036】図13にパルス溶接電流/電圧信号の一例
(フィルター入力)を示す。同図において(a)は電圧
信号32、(b)は電流信号13を示す。電圧信号32
は、所定周期のパルス波形であり、高周波のノイズ成分
15が重畳している。また、このパルス波形のベース電
圧部分51には、アークショートの発生を示す電圧低下
波形部分50が示されている。この電圧信号32に対応
する電流信号13も、電圧信号32と同様に高周波ノイ
ズ成分15を含んでいる。パルス溶接電流信号13に
は、高周波のノイズ成分15が重畳しており、電圧信号
32の波形部分50に対応した波形部分52が示されて
いる。フィルター14および33は、前述したようにパ
ルス電源のパルス周波数よりも高いカットオフ周波数
(例えば4KHz)を有するものであり、高周波のノイ
ズ成分15を取り除き、パルス溶接電流信号16および
パルス溶接電圧信号34を出力する。これにより、高周
波ノイズによる電気的特性計測の誤動作を防止すること
ができる。また、このようなカットオフ周波数のフィル
ターを用いることにより、電流信号13および電圧信号
32のパルス波形を維持することができ、後述する方法
によりパルス単位の電気的特性の計測を可能とする。
【0037】図14に、フィルター14および33によ
り出力されるパルス溶接電流/電圧信号の一例を示す。
同図において(a)は電圧信号、(b)は電流信号を示
す。フィルター14、33により電圧信号32および電
流信号13からそれぞれの高周波のノイズ成分15を取
り除いたものがパルス溶接電流信号16、パルス溶接電
圧信号34である。同図中、I1は電流信号のピーク
値、E2は電圧信号のベース電圧、T1は電流信号(お
よび電圧信号)のパルス幅、T2は電流信号(および電
圧信号)のベース幅、T3は電圧信号(および電流信
号)のアークショート幅(アークショート時間)、T4
は電流信号(および電圧信号)の繰り返し周期、H1は
電流信号16に対するパルス幅及びベース幅計測用スレ
ショルドレベル信号22のレベル、H2は電圧信号34
に対するアークショート幅計測用スレショルドレベル信
号38のレベルである。
【0038】アークショート幅を電圧波形から求めるの
は、アークショート波形が電圧信号の方に明確に現れや
すいからである。また、パルス幅等を電流波形から求め
るのは、電圧波形の方がベースレベルとピークレベルの
差が大きくかつ明確だからである。但し、本発明はこれ
らに限られるものではない。
【0039】図12の計測用回路211中のピークホー
ルド回路17は、タイミング信号20で決まる時間間隔
毎に、フィルター14から出力されるパルス溶接電流信
号16のピーク値を検出、保持する。このピーク値は、
タイミング信号20にしたがってA/D変換回路18に
よりディジタル信号19に変換される。タイミング信号
20は、後述する割込回路24による制御装置2への割
込に応じて制御装置2が出力する。
【0040】コンパレータ21は、制御装置2から与え
られるスレショルドレベル信号22とパルス溶接電流信
号16とを比較し(図14(b)参照)、パルス溶接電
流信号16がスレショルドレベル信号22を越えた時
に、その出力信号23を低レベルとし、パルス溶接電流
信号16がスレショルドレベル信号22より小さくなっ
た時に、出力信号23を高レベルとする。割込回路24
は、出力信号23の立ち下がりエッジで制御装置2へ割
込信号を出力する。これにより、制御装置2は、溶接電
流信号13のパルス波形の立ち上がりを認識し、前述し
たタイミング信号20を発生する。後述するように、こ
れを高速ウィービング時におけるアーク中溶接線倣い制
御等の処理のためのタイミングとして利用することがで
きる。出力信号23はカウンタ25に入力され、反転回
路27による出力信号23の反転信号はカウンタ30に
入力される。カウンタ25は、出力信号23が高レベル
の期間(すなわち、電流信号16がスレショルド信号2
2より低レベルの期間)、イネーブルされ、制御装置2
からのクロック信号43を計数する。これによって、電
流信号16の時間T2が求められ、ベース幅26として
出力される。一方、カウンタ25は、出力信号23が低
レベルの期間(すなわち、電流信号16がスレショルド
信号22より高レベルの期間)、イネーブルされ、制御
装置2からのクロック信号44を計数する。これによっ
て、電流信号16の時間T1がもとまり、パルス幅31
として出力される。このパルス幅31に基づいて、パル
ス訛りを防止することができる。パルス周期T4は、時
間T1と時間T2の加算処理により求められる。あるい
は指令値からパルス周期を求めることもできる。後述す
るように、パルス周期は、アークショート幅とともに、
アーク中溶接線倣い制御等に利用することができる。
【0041】コンパレータ37は、制御装置2から与え
られるアークショート用スレショルドレベル信号38と
電圧信号34とを比較し(図14(a)参照)、電圧信
号34がアークショート用スレショルドレベル信号38
より小さくなった時に、その出力信号39を高レベルと
し、電圧信号34がスレショルドレベル信号38を越え
た時に、出力信号39を低レベルとする。カウンタ41
は出力信号39が高レベルの期間、制御装置2からのク
ロック信号45を計数する。これによって、電圧信号3
4の時間T3が求められ、アークショート幅42として
出力される。なお、スレショルドレベル信号22、アー
クショート用スレショルドレベル信号38は、溶接作業
条件の変化(パイプ径、鋼種等)に応じて、制御装置2
により可変制御できる。なお、46はパルス電流/電圧
計測用回路211と制御装置2との間の信号であり、前
述した各種の信号を含む。
【0042】なお、高精度な計測を行うためには当然な
がら、クロック信号43、44、45としては、被計測
対象の時間幅に比べて十分短い周期を有するものを用い
る。
【0043】図15は、図12に示した計測用回路21
1の各信号に関するタイミングの概要を示したものであ
る。16、34はフィルター14、33の出力で、図1
4に示したものと同じである。このフィルター14から
出力される電流信号16の立ち上がりエッジでコンパレ
ータ21の出力信号23が立ち下がり、これにより前述
した割込回路24が制御装置2に割込をかける。制御装
置2はこれに応答してタイミング信号20を発生する。
このタイミング信号20により、ピークホールド回路1
7の出力がリセットされ、続いて、次のタイミング信号
20発生までの間、信号16のピーク値を検出し保持す
る。この例では、ピーク値は信号16のパルスの高レベ
ルの値であり、これが次のタイミングパルス信号20の
発生まで保持される。コンパレータ21の出力信号23
は、電流信号16のベース幅時間T2の期間高レベルと
なり、この期間が前述のようにカウンタ25により計測
される。反転回路27の出力信号28は出力信号23を
反転した波形であり、その高レベル期間が電流信号16
のパルス幅時間T1に相当する。この時間T1は、前述
のようにカウンタ30により計測される。コンパレータ
37の出力信号39は、電圧信号34のアークショート
時間T3の間、高レベルとなり、この時間T3が前述し
たカウンタ41により計測される。
【0044】なお、図示の例では、アークショート幅
と、パルス幅・パルス周期の計測を同じ低域通過フィル
ターの出力で行ったが、パルス幅・周期の方を若干低い
カットオフ周波数(例えば1kHz)の別のフィルター
を用いて、ノイズによる誤動作を低減するようにしても
よい。
【0045】また、図示しないが平滑電流、平滑電圧を
計測するためには、従来と同様、低いカットオフ周波数
(例えば10Hz)の低域通過フィルターを用いて、計
測することができる。アーク出力指令による実際のアー
ク出力電流・電圧値と、波形計測から得られる電流・電
圧値には、溶接電源の出力波形の特性によって、差が存
在する。そのため、次式に示すように、各種サンプリン
グ処理にて算出したデータに、予め求めた電流・電圧差
を考慮して補正を加えた値を、電流・電圧フィードバッ
ク値として用いる。
【0046】Ifb=Iad+IOFSmod Vfb=Vad+VOFSmod ここに、Ifbは、電流フィードバック値、Vfbは電
圧フィードバック値、Iadは計測電流値、Vadは計
測電圧値、IOFSmodは電源モードによって変わる
電流誤差、VOFSmodは電源モードによって変わる
電圧誤差である。
【0047】後述するアーク倣い補正、アーク電圧調整
等の制御は、この補正後の電流・電圧フィードバック値
を用いて行う。以下の説明における電流値および電圧値
は、特に言及しなくても、この補正後のものである。
【0048】次に、本発明によるアーク倣い補正につい
て、以下に説明する。溶接電流、溶接電圧の計測に基づ
く各種データのサンプリングは、平均電流・電圧値計測
処理/パルス波形計測処理と、インターバルタイマ処理
の2段階で行う。平均電流・電圧計測処理は、一定周期
(例えば1ms)毎に起動される処理であり、前述した
低いカットオフ周波数にて平滑化された電流電圧フィー
ドバック値を読み出し、前記誤差を加味した値を求め
る。パルス波形計測処理は、フィードバックパルス周期
(計測されたパルス周期)毎に起動され、前述した溶接
電流電圧波形に基づいて検出されたピーク電流・電圧
値、パルス周期、ピークパルス幅、アークショート時間
を読み出す。インターバルタイマ処理は、一定周期(例
えば4ms)毎に起動され、パルス波形計測処理より出
力される電流・電圧・アークショート時間値を平均化す
る。このインターバルタイマ周期は、サーボ制御周期と
も呼ぶ。また、ウィービング動作中は、ウィービング位
置に応じて、右端、右、中、左、左端の各区間の各種平
均値を求める。ウィービング動作中でない場合は、32
ms分(8個)のデータの平均化を行う。
【0049】図16は、パルス溶接電流13およびパル
ス溶接電圧32の計測結果に基づいて左右アーク倣い補
正量、上下アーク倣い補正量を得るための手順およびそ
のために用いる信号を示すものである。
【0050】<左右アーク倣い>左右アーク倣いは、開
先内での単一パス(1層を1回のパスで溶接)にて、ト
ーチのウィービング中心が正確に開先中心を通るように
するため、左右電流値が均等になるように、トーチ中心
位置をずらす制御を行うものである。ウィービングの中
心が開先に対してずれると、左右端でトーチと開先壁と
の間隔が異なり、両者の電流値が異なる。この電流値の
差を確認することによりウィービング中心のずれを検出
することができる。しかし、平滑電流122は前述のよ
うに低いカットオフ周波数で平滑したものであり、この
信号からは左右端の電流値を精度よく求めることができ
ない。そこで、本例では、電流パルス周期と電流値とは
比例することに着目し、パルス周期に基づいて電流値を
推測するようにしたものである。ただし、本発明者等の
実験により、左右端においてアークショートが発生した
場合には、その程度に応じて電流パルス周期が増加する
ことが判明した。そこで、電流パルス周期をアークショ
ート時間で補正することとした。なお、この前提条件と
して、本例では、ウィービング周期50ms以上(周波
数20Hz以下)、ウィービングY軸速度5m/分以
下、電流パルス周期1ms以下を想定している。
【0051】具体的には、より高精度に左右電流値を求
めるために、まず、前記平滑電流122からウィービン
グ1周期内の水平移動部分(左端右端を除く)の全サン
プリングポイントの平滑電流値を平均した平均電流値1
35を求める。水平部分としたのは、この部分で比較的
にアークが安定だからである。一方、パルス電流13の
電流波形からピーク電流値、パルス周期、パルス幅、ア
ークショート時間を求める(123)。さらに、ウィー
ビング1周期内の水平移動部分の全パルス周期を平均し
た平均パルス周期150を求める。この平均パルス周期
150と、前記平均電流値135とから、パルス周期−
電流値変換係数126を次式により求める。
【0052】 周期−電流値変換係数TAR=Iav/Tav (A/ms) ここに、Iavは平均電流値(A)、Tavは平均周期
(ms)を示す。
【0053】電流波形(123)から、左端電流パルス
周期および右端電流パルス周期161を求める。この
際、全体的な傾向にて制御を行うため、左右とも最左
端、最右端を含む数ポイントの電流パルス周期を平均化
する。平均化するポイント数は、ウィービング周期によ
り可変とする。例えば、ウィービング周期(Hz)が1
Hz未満なら32ポイント、2Hz未満なら16ポイン
ト、4Hz未満なら8ポイント、16Hz未満なら2ポ
イント、16Hz以上ならば1ポイントというように可
変とする。
【0054】一方、パルス溶接電圧32の電圧波形測定
から、そのピーク電圧、パルス周期パルス幅およびアー
クショート時間を求める(125)。さらにこの測定結
果に基づいて、左端および右端アークショート時間を求
める(143)。この際、すべての有意情報を考慮して
制御するために、左右とも最左点および最右点を含む数
ポイントのアークショート時間を平均化する。平均化す
るポイント数は、前述と同様にウィービング周期により
可変とする。
【0055】上記左右端電流パルス周期と左右端アーク
ショート時間に基づいて、左右端制御電流パルス周期を
求める(163)。すなわち、次式のように、左右端の
電流パルス周期からアークショート時間を引いた時間
を、制御電流パルス周期とする。
【0056】Tl=Tls−Sl Tr=Trs−Sr ここに、Tlsは左端電流パルス周期(μs)、Trs
は右端電流パルス周期(μs)、Tlは左端制御電流パ
ルス周期(μs)、Trは左端制御電流パルス周期(μ
s)、Slは左端アークショート時間(μs)、Srは
右端アークショート時間を表わす。このように、パルス
周期からアークショート時間を引くのは、次の理由によ
る。すなわち、アークショートが生じた場合に、アーク
ショートが生じない場合に比べて、電流パルス周期が伸
びると考えられ、これを補償するため電流パルス周期か
らアークショート時間を引くのである。
【0057】そこで、次式により、左電流値および右電
流値128を求める。
【0058】El=Tl・TAR Er=Tr・TAR ここに、El,Erはそれぞれ左電流値右電流値
(A)、TlおよびTrは、それぞれ右端制御電流パル
ス周期および左端制御電流パルス周期(μs)を表す。
この左右電流値128は前述したステータス情報として
表示される。
【0059】このようにして求められた前回のウィービ
ングの左右電流値128を用いて、両電流値が均等にな
るように、今回のウィービングの中心位置をずらすよう
トーチの位置制御を行う(129,130)。この補正
量分の移動は、1ウィービング周期全体にかけて、サー
ボ制御周期毎に徐々に行う。すなわち、一度に補正量分
の移動を行うのではなく、1ウィービング周期内に分散
させて小刻みに移動させる。分散した個々の移動量は、
1ウィービング周期内に何回のサーボ制御周期があるか
が分かるので、その回数で全補正量を分割した量とす
る。このように一度に一括して全補正量分の移動を行わ
ないのは、一度に大きな左右方向の移動を行うとアーク
に大きな影響が現れ、左右アーク倣い補正に起因して左
右のアークのバランスが崩れてしまうという事態が生じ
るからである。例えば、中央から左側へ移動を始めるウ
ィービングの開始時に一括して移動を行うと、左側のみ
がその影響を受け、右側との間でアンバランスとなるか
らである。
【0060】なお、溶接条件によって左右電流値128
が不均一になることを考慮して、左右電流差の評価時に
は後述するようにオフセットAoを加味する。また、電
流波形の信頼性を考慮して微小の左右電流差に対して反
応しないようにする不感帯を設ける。この不感帯幅は、
ウィービング幅に応じて変化させることが好ましい。ま
た、左右アーク倣い補正の誤動作が発生している状態
で、無制限にアーク倣い補正が作動するのを防ぐため、
左右アーク倣い補正量の左右補正リミットLMTl,L
MTr(μm)を設ける。左右電流差Adおよび今回補
正量ΔYnは、次式で求められる。
【0061】Ad=El−Er |Ad+Ao|>=NSBlrの場合、 ΔYn=(Ad+Ao)・Glr ΔYn>0かつ|Σ(ΔY)+ΔYn|>=LMTrの
場合、 ΔYn=LMTr−Σ(ΔY) ΔYn<0かつ|Σ(ΔY)+ΔYn|>=LMTlの
場合、 ΔYn=LMTl−Σ(ΔY) ここに、NSBlrは不感帯幅(A)、Glrは左右ア
ーク倣いゲイン(μm/A)、Σ(ΔY)は前回までの
補正量の積算値(μm)を表す。左右電流オフセット、
不感帯幅、左右アーク倣いゲイン、左右補正リミットの
各値は、予め指定された値である。
【0062】図17は、パルス溶接電流13の計測結果
に基づいて上下アーク倣い補正量を得るための手順およ
びそのために用いる信号を示すものである。
【0063】<上下アーク倣い>上下アーク倣いは、指
令電流値と計測した電流値とが一致するように、トーチ
の上下方向位置を補正するものである。前述のように、
トーチと開先壁との間隔が異なると電流値が変わるの
で、これを利用する。原則的には、電流値が指令電流値
よりも高くなったときはトーチが低すぎてワイヤ突き出
し長さが短くなっているものと判断し、トーチを上げ
る。逆に、電流値が指令電流値よりも低くなったときは
トーチが高すぎてワイヤ突き出し長さが長くなっている
ものと判断し、トーチを下げる。
【0064】具体的には、前述と同様の平滑電流122
から求めた平均電流135から上下アーク倣い補正を指
示する(136)。この場合も、指令電流差に対する不
感帯を設ける。また、上下アーク倣い補正の誤動作が発
生している状態で無制限にアーク倣い補正が作動するの
を防止するため、上下アーク倣い補正量の補正リミット
を設ける。
【0065】今回補正量ΔZnは次のようにして求めら
れる。
【0066】|Ad|>=NSBudの場合、 ΔZn=Ad・Gud ΔZn>0かつ|Σ(ΔZ)+ΔZ|>=LMTuの場
合、 ΔZn=LMTu−Σ(ΔZ) ΔZn<0かつ|Σ(ΔZ)+ΔZ|>=LMTdの場
合、 ΔZn=LMTd−Σ(ΔZ) ここに、Adは指令電流差(A)、NSBudは不感帯
幅(A)、Gudは上下アーク倣いゲイン(μm/
A)、Σ(ΔZ)は前回までの補正量の積算値(μ
m)、LMTu,LMTdは上下補正量リミット(μ
m)を表す。不感帯幅、上下アーク倣いゲイン、及び上
下補正量リミットは、予め指定された値である。
【0067】このようにしてあるウィービング周期期間
に上下アーク倣い補正量ΔZnを求め、次のウィービン
グの開始点で、一度にその補正量だけトーチを上下移動
させる(137)。このように一度に補正を行うのは、
上下方向へのトーチの補正を左右アーク倣いのように分
散させて異なるY軸位置で補正を行うと却って左右のア
ンバランスが生じるからである。
【0068】一方、電流波形からアーク鈍り検出133
を行う(123)。アーク鈍りとは、抵抗値等の影響に
より電流のパルス波形が鈍る(立ち上がり立ち下がり速
度が低下してパルス幅が広がる)ことをいう。アーク鈍
りの一因は、ワイヤの突き出し長さが大となりアーク長
が長くなることである。これによってシールドガスが溶
融池まで届かない等の理由により正常なパルス溶接がで
きなくなる。そこで、サーボ制御周期毎に、パルス幅ま
たはパルスピーク値に基づいてアーク鈍りが発生してい
るか否かをチェックする。すなわち、補正電流パルス幅
が、予め定められた許容値より大きくなったときにアー
ク鈍りが発生したと判定する。許容値は、指令パルス幅
に対する割合(%)で指定することもできる。
【0069】具体的には、今回のパルス幅PWnが次式
を満たすことで検出する。
【0070】PWn>=PWlim または、 PWn/tp>=PRat ここに、PWlimは予め指定されたパルス幅上限値、
tpは指令パルス幅、PRatは予め指定されたパルス
幅比上限値(0.1%)を示す。パルス幅の単位は0.
01msである。
【0071】アーク鈍りの検出時に、予め指定された速
度Vsでトーチを下げていくよう指示する(134)。
これにより、ワイヤの突き出し長さが減少し、抵抗が減
少して鈍りが収まる。アーク鈍り補正は、補正電流パル
ス幅が鈍り検出値以下である状態が一定時間続いたとき
に終了する。
【0072】なお、アーク鈍り補正を行っているときに
は、上下アーク倣い補正136は無効とする(14
9)。
【0073】また、アークスタート時の異常電流値が計
測されることによる悪影響を回避するため、アークスタ
ート時は指定された時間だけアーク鈍り補正を無効とす
る。トーチの補正幅はプログラム/パラメータにより指
定する。
【0074】平均電流135は、ステータスデータとし
て表示される(148)。
【0075】なお、上下アーク倣いとは関係ないが、電
流波形123のアークショート時間が予め定められた許
容時間以上になることでアーク切れを検出する(13
1)。ただし、アークスタート時のアーク切れは無視す
る。このアーク切れ発生位置(X軸位置)はアーク切れ
発生位置テーブルに記録する(132)。
【0076】次に、図18に、パルス溶接電圧32およ
びパルス溶接電流13の計測結果に基づくアーク電圧の
調整の手順およびそのために用いる信号を示す。
【0077】<アーク電圧調整>アーク電圧調整は、溶
接作業時の環境条件によるアーク電圧の変動を吸収する
ために、アーク電圧を自動調整するものである。具体的
には、パルス電圧32を低いカットオフ周波数でフィル
タリングした平滑電圧124をサンプリングし、ウィー
ビングの半周期の間にサンプリングしたすべてのデータ
を平均化して平均電圧138を求める。
【0078】また、パルス電圧32の電圧波形からアー
クショート時間を求める(125)。さらに、ウィービ
ング1周期の水平移動部分で検出されたすべてのアーク
ショート時間を平均化して平均アークショート時間18
1を求める。
【0079】一方、パルス電流13の電流波形123か
ら平均電流パルス周期150を求める。これは、ウィー
ビング1周期の水平部分で検出されたすべての電流パル
ス周期を平均化して求める。
【0080】このようにして得られた平均電流パルス周
期に対する平均アークショート時間の割合を、次式のよ
うに、平均アークショート時間率として求める(18
3)。
【0081】ASn=ASav/Tav・1000 ここに、ASnは今回アークショート時間率(0.1
%)、ASavは平均アークショート時間(μs)、T
avは平均電流パルス周期(μs)を表わす。なお、平
均アークショート時間率はステータス表示される。
【0082】このようにして求められた平均アークショ
ート時間率が適正な値になるように電圧指令を調整する
(140)。すなわち、ASn>ASVupの場合、 ASd=ASn−ASVup ASn<ASVloの場合、 ASd=ASn−ASVlo ここにASnは今回アークショート時間率(0.1
%)、ASVupは許容アークショート時間率上限値
(0.1%)、ASdは今回アークショート時間率差
(0.1%)、ASVloは許容アークショート時間率
下限値(0.1%)である。
【0083】これらより、今回電圧調整量ΔVn(単位
は0.1V)は、次式で求められる。
【0084】ΔVn=ASd・Gas ここに、Gasは電圧計算係数(単位は0.1V/10
0%)である。
【0085】本願出願人が先に提案した特願平8−74
035号においては、平均アークショート時間そのもの
に基づいてアーク長補正を行った。この先行例では、電
流パルス周期の大きさ、すなわち指令電流値に応じて平
均アークショート時間がばらつくため、高電流から低電
流までの広範囲をカバーするために、複数の電流領域ご
とに補正係数(平均アークショート時間を補正電圧に変
換するための係数)を切り替える必要があった。本実施
の形態では、平均アークショート時間そのものではな
く、それの平均電流パルス周期に対する割合である平均
アークショート時間率を導入したので、1つの電圧計算
係数(Gas)で広い電流範囲をカバーすることが可能
になった。
【0086】図18のアーク電圧調整(141)では、
指令電圧(アーク長補正量ΔVnを含む)と、測定した
平均電圧138が一致するように電圧指令を調整する。
ここでアーク電圧調整の誤動作が発生している状態で無
制限にアーク電圧調整が動作するのを防ぐため、電圧調
整量のリミットを設ける。
【0087】ΔVn=(Vc+Val)−Vfb ここに、Vcは指令電圧値(0.1V)、Valはアー
ク長補正量(0.1V)、Vfbは出力電圧(フィード
バック)値(0.1V)である。
【0088】但し、ΔVn>ΔVmaxの場合、 ΔVn=ΔVmax ここに、ΔVmaxは許容される1回の最大電圧調整量
(0.1V)である。
【0089】また、Vlo<=ΔVn<=Vupの場
合、 ΔVn=0 とする。
【0090】ΔVn>0かつ|Σ(ΔV)+ΔVn|>
=VLMuの場合、 ΔVn=VLMu−Σ(ΔV) ΔVn<0かつ|Σ(ΔV)+ΔVn|>=VLMdの
場合、 ΔVn=VLMd−Σ(ΔV) ここに、Σ(ΔV)は前回までの電圧調整量の積算値
(0.1V)、VLMuは最大電圧調整量(増)(0.
1V)、VLMd最大電圧調整量(減)(0.1V)を
示す。
【0091】このようにしてアーク電圧調整量ΔVnを
求め、ウィービング半周期毎に、ウィービングの中央の
位置で電圧を修正する(142)。
【0092】次に、図19に、パルス電流13およびパ
ルス溶接電圧32の計測結果に基づくウィービング幅の
補正の手順およびそのために用いる信号を示す。
【0093】<ウィービング幅補正>ウィービング幅補
正は、開先幅に対してウィービング幅を適切なものとす
るためのものであり、ウィービングの水平移動部分の幅
を左右同時に変更する。なお、前記左右アーク倣いもウ
ィービングを左右方向の移動量を補正するものである
が、左右アーク倣いは前述したようにウィービングにお
けるトーチ中心位置をずらすものであるのに対し、ウィ
ービング幅補正は、ウィービングの左右の幅を増減する
ものであり、両補正は別個独立に機能する。
【0094】ウィービング幅補正は、図16において説
明したと同様、左端・右端電流パルス周期161を左端
・右端アークショート時間143で補正して得た左端・
右端制御電流パルス周期163に基づいて、次の手順に
より行う(144)。
【0095】まず、左端制御電流パルス周期Tlと右端
制御電流パルス周期Trを比較して、 1)左端制御電流パルス周期>右端制御電流パルス周期
の場合、左端制御電流パルス周期を今回制御電流パルス
周期Tnとする。すなわち、 Tl>Trの場合、Tn=Tl 2)左端制御電流パルス周期<右端制御電流パルス周期
の場合、左端電流パルス周期を今回制御電流パルス周期
Tnとする。すなわち、 Tl<Trの場合、Tn=Tr 次に、 1)今回制御電流パルス周期>上限値の場合、左右両側
のウィービング幅を広くする。
【0096】2)下限値<=今回制御電流パルス周期<
=上限値の場合、何もしない。
【0097】3)今回制御電流パルス周期<下限値の場
合、左右両側のウィービング幅を狭くする。
【0098】ウィービング幅補正の誤動作が発生してい
る状態で無制限にウィービング幅補正が作動するのを防
ぐため、補正量のリミットを設ける。
【0099】ウィービング幅変更時の今回の変更量ΔW
n(μm)は、以下のとおりである。
【0100】i) 今回制御電流パルス周期Tn>上限値
Tupの場合、 ΔWn=(Tup−Tn)/1000・Gwms 但し、|Σ(ΔW)+ΔWn)|>=WLMsの場合、 ΔWn=WLMs−Σ(ΔW) ii) 今回制御電流パルス周期Tn<下限値Tdnの場
合、 ΔWn=(Tdn−Tn)/1000・Gwme 但し、|Σ(ΔW)+ΔWn)|>=WLMeの場合、 ΔWn=WLMe−Σ(ΔW) ここに、Gwmsはウィービング幅変更係数(μm/m
s)(狭)、Gwmeはウィービング幅変更係数(広)
(μm/ms)、Σ(ΔW)は前回までのウィービング
幅変更量の積算値(μm)、WLMsは最大ウィービン
グ幅変更量(狭)(μm)、WLMeは最大ウィービン
グ幅変更量(広)(μm)である。
【0101】なお、Tup,Tdn,Gwme,Gwm
s,WLMe,WLMsは予め指定される値である。
【0102】このようにウィービング幅の調整を行った
結果、全体のウィービング幅が変わった場合、ウィービ
ング周期を一定にするため、次式に従ってウィービング
速度を変更する。
【0103】KF=(W+ΔW)/W NFw=KF・Fw ここに、KFはウィービング速度変更係数、Wはウィー
ビングの水平部分の幅(μm)、ΔWはウィービング幅
変更量、Fwはウィービングの水平部分の速度、NFw
は変更後のウィービングの水平部分の速度(μm/se
c)である。
【0104】次に、図20に、ウィービング軌跡補正の
手順およびそのために用いる信号を示す。
【0105】<ウィービング軌跡補正>ウィービング軌
跡補正は、溶接面、特に不規則なビード形状に対して、
トーチのウィービング軌跡(ここではZ軸位置)を適切
なものとするためのものであり、ウィービング軌跡の補
正は、ウィービング水平移動部分の左・右のZ軸高さを
それぞれ独立して変更可能とすることにより行う。な
お、前述した上下アーク倣いもトーチのZ軸位置を制御
するものであったが、上下アーク倣いが用いる信号は平
滑電流122の平均電流値135であるためその補正は
ウィービング幅全域に対するものであるのに対し、ウィ
ービング軌跡補正は、ウィービング幅内での左・右の各
区間での微調整を行うことを可能とするものである。
【0106】ウィービング軌跡補正は、原理的には、パ
ルス電流13に基づく電流波形125から左および右
(ウィービングの水平移動部分の左および右の区間)の
各電流パルス周期を求め(146)、これらの上限およ
び下限許容値との比較結果により、左・右の各ウィービ
ング高さ(トーチ高さ)を調整するものである。ただ
し、左右の電流パルス周期には、それぞれ左右のアーク
ショート時間(145)を加味する。これは、前述した
ように電流パルス周期はアークショートの発生により変
化するため、このアークショートの時間で電流パルス周
期を補正するものである。
【0107】左右の電流パルス周期146は、ウィービ
ングの水平移動部分で検出された電流パルス周期を、各
区間毎にその数ポイントのパルス周期を平均化したもの
である。その平均化数は、前述したようにウィービング
周期に応じて可変である。左右のアークショート時間1
45としては、各区間内の数ポイントのアークショート
時間を平均化したものを用いる。この場合も、平均化数
はウィービング周期に応じて可変とする。
【0108】左右の電流パルス周期146と左右のアー
クショート時間145とに基づいて、左右の制御電流パ
ルス周期201を次のように求める。
【0109】すなわち、次式のように、左右端の電流パ
ルス周期からアークショート時間を引いた時間を、制御
電流パルス周期とする。
【0110】Tl=Tls−Sl Tr=Trs−Sr 前述したように、Tlsは左端電流パルス周期(μ
s)、Trsは右端電流パルス周期(μs)、Tlは左
端制御電流パルス周期(μs)、Trは左端制御電流パ
ルス周期(μs)、Slは左端アークショート時間(μ
s)、Srは右端アークショート時間(μs)を表わ
す。
【0111】さて、ウィービング軌跡補正147では、
左・右の各制御電流パルス周期201に応じて、以下の
ようにウィービング高さを補正する。これによって、ワ
イヤ突き出し長さが一定になるようにする。
【0112】i) 左制御電流パルス周期が上限値を超え
る場合には、ウィービング左高さを低くし、 ii) 左制御電流パルス周期が上限値以下、かつ下限値以
上であれば、ウィービング左の高さを変更せず、 iii) 左制御電流パルス周期が下限値より小さい場合、
ウィービング左高さを高くし、 iv) 右制御電流パルス周期が上限値を超える場合には、
ウィービング右高さを低くし、 v)右制御電流パルス周期が上限値以下、かつ下限値以上
であれば、ウィービング右の高さを変更せず、 vi) 右制御電流パルス周期が下限値より小さい場合、ウ
ィービング右高さを高くする。
【0113】ウィービング軌跡補正の誤動作が発生して
いる状態で、無制限にウィービング軌跡補正が動作する
のを防ぐために補正量のリミットを設けている。
【0114】ウィービングの左・右の高さ変更時の今回
変更量ΔZは以下のように決定される。なお、 i) 制御電流パルス周期>上限値(すなわちTn>Tu
p)の場合、 ΔZn=(Tup−Tn)/1000・Gup 但し、|Σ(ΔZn)+ΔZn|<=ZLMdの場合、 ΔZn=ZLMd−Σ(ΔZn) ここに、ΔZnはΔZlまたはΔZr(μm)、Tup
は制御電流パルス周期上限値(μs)、TnはTlまた
はTr、Gupは上方向ウィービング高さ変更係数(μ
m/ms)、Σ(ΔZn)は前回までのウィービング高
さ変更量(μm)、ZLMuは上方向最大ウィービング
高さ変更量(μm)である。
【0115】ii) 制御電流パルス周期<下限値(すなわ
ちTn<Tdn)の場合、 ΔZn=(Tdn−Tn)/1000・Gdn 但し、|Σ(ΔZn)+ΔZn|<=ZLMuの場合、 ΔZn=ZLMu−Σ(ΔZn) ここに、Tdnは制御電流パルス周期下限値(μs)、
Gdnは下方向ウィービング高さ変更係数(μm/m
s)、ZLMdは下方向最大ウィービング高さ変更量
(μm)である。
【0116】このようなウィービング軌跡補正を行った
結果、全体のウィービング軌跡が変わった場合、ウィー
ビング周期を一定にするために、次のように、ウィービ
ング速度を変更する。
【0117】WLn=((WL/2)・(WL/2)+
(ΔZl)(ΔZl))+((WL/2)・(WL/
2)+(ΔZr)(ΔZr)) KF=WLn/WL NFw=KF・Fw ここに、WLnは軌跡補正後のウィービング水平部分の
移動距離(μm)、WLは指令されたウィービングの水
平部分の移動距離(μm)、ΔZlは左ウィービング差
高(μm)、ΔZrは右ウィービング差高(μm)、K
Fはウィービング速度変更係数、Fwはウィービングの
水平部分の速度(μm/sec)、NFwは変更後のウ
ィービングの水平部分の速度(μm/sec)である。
Tup、Tdn,Gup,Gdn,ZLMu,ZLMd
は、予め指定された値である。
【0118】なお、左・右アークショート時間145は
ステータス表示される。
【0119】以上のように、各層毎の上下左右アーク倣
い補正、ウィービング幅・軌道補正等を行うことによ
り、開先幅変動、特に開先幅の広いものについても十分
アークを追従させ、溶着量を増加させ、ビードの形状を
平坦にでき、また、ブローホール、アンダーカット等も
防止できる効果がある。
【0120】以上、本発明の好適な実施の形態について
説明したが、システム構成および処理の具体的内容は例
示であり、請求の範囲を逸脱することなく種々の変形・
変更が可能である。例えば、上記説明中で挙げた具体的
な各種数値は単なる例示であり、本発明を限定するもの
ではない。
【0121】
【発明の効果】本発明によれば、高速ウィービングを行
いながら鋼管の円周自動溶接を行うパイプ円周自動溶接
装置において、適正な長さのアーク長を維持することが
できる。換言すれば、平均電流パルス周期に対する平均
アークショート時間の割合である平均アークショート時
間率を適正な範囲内に維持することができる。これによ
り、自動溶接制御を高精度に行うことが可能となる。ま
た、1ウィービング周期内のアークショート時間率に基
づいて、次のウィービング周期のアーク長を補正するこ
とができるので、応答性の高い補正を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパイプ円周自動溶接装置の概略構
成を示す構成図である。
【図2】図1の溶接装置の各部の電器的接続関係の説明
図である。
【図3】図1の溶接装置におけるヘッドおよびトーチの
動作の説明図である
【図4】図1の溶接装置におけるヘッドの付属部品の説
明図である。
【図5】図1の溶接装置の制御装置の内部構成を示すブ
ロック図である。
【図6】図1の溶接装置の処理のフローチャートを示
す。
【図7】図6に示した処理で用いられるロジックテーブ
ルの一例の説明図である。
【図8】図6に示した処理で用いられるCADとNCの
制御項目の対応関係の説明図である。
【図9】図1の溶接装置で行われるウィービング動作に
おけるトーチ位置の時間的変化を示すタイミング図であ
る。
【図10】図9のウィービング動作におけるトーチの軌
跡の説明図である。
【図11】ウィービング動作における指令軌跡とサーボ
軌跡の関係を示すタイミング図である。
【図12】図5に示したパルス波形計測部211の構成
例を示すブロック図である。
【図13】図12の電圧信号及び電流信号を示す波形図
である。
【図14】図12のフィルタリング後の電圧信号及び電
流信号を示す波形図である。
【図15】図12のパルス波形計測部の動作を説明する
ためのタイミング図である。
【図16】本発明による左右アーク倣い補正の説明図で
ある。
【図17】本発明による上下アーク倣い補正の説明図で
ある。
【図18】本発明によるアーク長補正およびアーク電圧
調整の説明図である。
【図19】本発明によるウィービング幅補正の説明図で
ある。
【図20】本発明によるウィービング軌跡補正の説明図
である。
【符号の説明】
1…コンピュータ、2…制御装置、3…電源装置、4…
ヘッド、5…パイプ、6…ワイヤ供給部、7…ワイヤ、
8…溶接トーチ、12…ガイドレール、16…電流信
号、32…電圧信号、91…アーク、92…溶着金属、
93…開先、41…センサ、42…エンコーダ、211
…パルス波形計装部、221…記憶部、222…ハード
ディスク、223…制御部、225…CRT,キーボー
ド、230…溶接ヘッド制御部、231…送受信部、2
32…電源制御部、233…ヘッド駆動部、234…リ
モート操作装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水上 清二 東京都小平市花小金井6丁目8番6号 (72)発明者 壬生 生男 茨城県那珂郡那珂町菅谷2982−3 (72)発明者 前田 謙一 茨城県常陸太田市天神林町1225−47

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 突き合わせて固定されている2本のパイ
    プの端面をパルスMAG溶接法により全周溶接する際、
    パイプの開先に沿って少なくともパイプ円周の接線に直
    交する左右方向および上下方向にトーチの2次元ウィー
    ビングを行う自動溶接装置のアーク長補正方法であっ
    て、 計測したパルス溶接電圧に基づいて、ウィービングの1
    周期内の水平移動部分で検出したすべてのアークショー
    ト時間を平均化するとともに、 計測したパルス溶接電流に基づいて、ウィービングの1
    周期内の水平移動部分で検出したすべての電流パルス周
    期を平均化し、 前記平均電流パルス周期に対する平均アークショート時
    間の割合を平均アークショート時間率として求め、 該平均アークショート時間率が、予め定められた上限値
    と下限値の間の範囲内に入るようにアーク電圧の指令値
    を補正することによりアーク長を補正することを特徴と
    するパイプ円周自動溶接装置のアーク長補正方法。
  2. 【請求項2】 前記アーク電圧の指令値の補正量は、前
    記アークショート時間が前記予め定められた範囲から外
    れた量に比例して定めることを特徴とする請求項1記載
    のパイプ円周自動溶接装置のアーク長補正方法。
  3. 【請求項3】 前記アーク電圧の補正は、ウィービング
    半周期毎に、ウィービングの中央の位置で行うことを特
    徴とする請求項1または2記載のパイプ円周自動溶接装
    置のアーク長補正方法。
  4. 【請求項4】 前記アーク長補正とは別に、前記計測し
    たパルス溶接電圧の平均電圧がアーク電圧の指令値に一
    致するようにアーク電圧を調整し、前記アーク長補正に
    よるアーク電圧の補正量は前記指令値に含めることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパイプ円周自
    動溶接装置のアーク長補正方法。
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