JPH11172325A - 鋼板エッジ部の誘導加熱制御方法 - Google Patents

鋼板エッジ部の誘導加熱制御方法

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JPH11172325A
JPH11172325A JP9361858A JP36185897A JPH11172325A JP H11172325 A JPH11172325 A JP H11172325A JP 9361858 A JP9361858 A JP 9361858A JP 36185897 A JP36185897 A JP 36185897A JP H11172325 A JPH11172325 A JP H11172325A
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steel plate
steel sheet
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JP9361858A
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Inventor
Nagafumi Amao
修文 天尾
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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  • General Induction Heating (AREA)
  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特別な鋼板の蛇行量検出装置を使用しない
で、鋼板の蛇行を検出し、加熱コイルを保持する台車位
置を制御できる鋼板エッジ部の誘導加熱制御方法を提供
する。 【解決手段】 左右のインダクタ2L、2Rの加熱コイ
ル3L、3Rに流れる高周波電流値を検出して偏差を求
め、偏差電流値と予め記憶した偏差電流値と偏差電流値
を零とするに必要なインダクタ2L、2Rの台車位置補
正量との関係に基づき台車位置補正値を求め、電流値の
大きい側の台車位置初期設定値から台車位置補正値を減
算すると共に、電流値の小さい側の台車位置初期設定値
に台車位置補正値を加算して左右の台車補正位置を求
め、台車4L、4Rの自動位置コントローラ6L、6R
に前記加減算した左右の台車補正位置を出力することに
より、台車4L、4Rの自動位置コントローラ6L、6
Rによって鋼板エッジ部のラップ量7L、7Rが制御さ
れ、鋼板1の両端エッジ部を均一にかつ鋼板エッジ部を
目標値まで加熱できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板のエッジ部を
均一に加熱する鋼板エッジ部の誘導加熱制御方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延ラインにおいては、スラブまた
は鋳片は加熱炉抽出後あるいは鋳造後の自然放冷、粗圧
延時におけるロール冷却水等の影響により徐々に温度が
低下するが、特にエッジ部の温度低下が他の部分に比較
して大きい。このため、仕上圧延機でそのまま圧延した
場合は、鋼帯中央部とエッジ部との組織に差異が生じ、
熱延鋼帯のエッジ部に耳割れ、中伸び等の形状不良が発
生したり、目標とするクラウンを有する鋼板が製造でき
ないという問題が生じていた。
【0003】これらの問題点を改善するため、熱間圧延
ラインにおいては、従来から仕上圧延機の入口に鋼板の
エッジ部を加熱する誘導加熱装置が配置されている。こ
の誘導加熱装置は、図6に示すとおり、鋼板61の左右
エッジ部をインダクタ62で上下から挟み込み、電源装
置64で加熱コイル63に高周波電流を流して発生した
高周波磁束で鋼板61のエッジ部に誘導電流を生じさ
せ、誘導電流により発生するジュール熱で鋼板61のエ
ッジ部を加熱するものである。
【0004】鋼板エッジ部を所定の温度に昇温するため
には、鋼板エッジ部と加熱インダクタが重なり合う長さ
(以下ラップ量という)が予め設定された値となるよう
に、加熱インダクタを支持する台車の位置を加熱前に鋼
板の幅に合わせてセットしている。しかしながら、この
誘導加熱装置の加熱コイル間を通過する鋼板は、センタ
リング不良や平坦不良により左右に蛇行するため、前記
ラップ量が常に変化する。ラップ量が小さくなれば、磁
束の流れを遮る渦電流の発生が少なくなるため、力率が
悪化して無効電流が増加し、コイル電流が定格値まで増
加しても所定の出力を出せず、加熱不足を生じたり、局
部異常加熱に至ることがある。
【0005】従来、前記ラップ量を設定値に保持する装
置としては、鋼板エッジ部を加熱する誘導加熱コイル
と、鋼板進行方向と直角方向への移動機構を有し、かつ
前記加熱コイルを搭載したコイル台車と、コイル台車に
取り付けた鋼板エッジ部に接触する接触子とを備え、加
熱中に接触子が鋼板に接触するように移動機構を動作さ
せ、鋼板と加熱コイルとの相対位置関係を常に一定に保
つようにした装置(特開昭53−70063号公報)、
図5に示すとおり、鋼板51のエッジ部に摺動子52を
スプリング53で押しつけ、摺動子52の移動量を検出
器54で検出して蛇行量を測定し、その測定値からラッ
プ量が一定となるように台車55の位置を制御する装置
(特公昭57−25619号公報)、門型架台の上部両
側に通板ラインに対して直角に走行する2台の走行台車
を載設し、該走行台車に縦フレームを懸架すると共に、
該縦フレームの相対する内面側に沿いそれぞれ独立した
位置設定機構によって昇降する1対の中間フレームを設
け、該1対の中間フレームに前記通板ラインを介して対
峙する加熱面を備えた加熱インダクタを昇降自在に取付
けた装置(特開昭63−49318号公報)等が提案さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記特開昭53−70
063号公報、特公昭57−25619号公報に開示の
装置は、鋼板のエッジ部に接触子や摺動子を押しつける
装置の構造が複雑であり、また、接触子や摺動子の追従
を良くするためにかなりの圧力で押しつけなければなら
ず、厚みの薄いものでは橈み等の問題が発生する。ま
た、特開昭63−49318号公報に開示の装置は、幅
方向温度計と蛇行検出器が一体化したもので蛇行量を検
出し、走行台車の位置を最適幅方向位置に設定するもの
で、蛇行量の検出に複雑な演算をしなければならないと
いう欠点を有している。
【0007】本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解
消し、特別な鋼板の蛇行量検出装置を使用しないで、鋼
板の蛇行を検出し、加熱コイルを支持する台車の位置を
制御できる鋼板エッジ部の誘導加熱制御方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の鋼板エッジ部の
誘導加熱制御方法は、鋼板の左右エッジ部が通過するラ
インの左右側位置に鋼板進行方向と直角方向に進退する
台車を配置し、該左右台車に鋼板エッジ部を上下から挟
むインダクタを設置し、前記台車の自動位置コントロー
ラにより鋼板エッジ部のラップ量を制御し、上下インダ
クタ間を鋼板のエッジ部が通過する間にエッジ部を加熱
する誘導加熱方法において、前記左右のインダクタの加
熱コイルに流れる高周波電流を検出して鋼板の蛇行によ
るラップ量の変化により発生する電流値の偏差を求め、
予め記憶されている偏差電流値と偏差電流値を零とする
に必要なインダクタの台車位置補正量との関係に基づき
台車位置補正値を求め、電流値の大きい側の台車位置初
期設定値から台車位置補正値を減算すると共に、電流値
の小さい側の台車位置初期設定値に台車位置補正値を加
算して左右の台車補正位置を求め、前記台車の自動位置
コントローラに前記加減算した左右の台車補正位置を出
力することとしている。
【0009】このように、左右のインダクタの加熱コイ
ルに流れる高周波電流を検出して鋼板の蛇行によるラッ
プ量の変化により発生する電流値の偏差を求め、予め記
憶されている偏差電流値と偏差電流値を零とするに必要
なインダクタの台車位置補正量との関係に基づき台車位
置補正値を求め、電流値の大きい側の台車位置初期設定
値から台車位置補正値を減算すると共に、電流値の小さ
い側の台車位置初期設定値に台車位置補正値を加算して
左右の台車補正位置を求め、前記台車の自動位置コント
ローラに前記加減算した左右の台車補正位置を出力する
ことによって、鋼板の蛇行によるラップ量の変化により
発生する左右加熱コイルの電流のアンバランスが無くな
るよう左右インダクタの台車位置初期設定値がラップ量
制御部で補正され、台車の自動位置コントローラに出力
されるから、鋼板の両エッジ部を均一にかつ目標温度ま
で加熱することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】鋼板エッジ部のラップ量とインダ
クタの加熱電流は、密接な関係があり、ラップ量が減少
すれば磁束の流れを妨げる渦電流の発生が減少して加熱
効率が低下するため、加熱コイルに流れる高周波電流が
増加する。また、ラップ量が増加すれば磁束の流れを妨
げる渦電流の発生が増加して加熱効率が上昇するため、
加熱コイルに流れる高周波電流が減少する。一方、加熱
コイルに流れる高周波電流は、ラップ量の変化以外にも
鋼板エッジ部の左右の厚みの差や、透磁率の差によって
左右の加熱コイルで偏差を生じる場合もある。しかし、
ラップ量の変化以外の要因による高周波電流の偏差は、
蛇行によるラップ量の変化に起因する偏差に比較して非
常に小さいため、無視できる。
【0011】例えば、鋼板が蛇行して右側に寄れば、右
側エッジ部のラップ量が増加し、左側エッジ部のラップ
量が減少する。これによって、左右の加熱コイルに流れ
る高周波電流は、右側加熱コイルが減少して左側加熱コ
イルが増加するため、左右の高周波電流値にアンバラン
スが発生する。左右の加熱コイルに流れる電流値は、電
流計を用いれば容易に検出することができる。
【0012】電流計により検出した左右の加熱コイルに
流れる電流値の偏差は、例えば、電流値の大きい側の電
流値から電流値の小さい側の電流値を減算することによ
り求めることもできるし、左側加熱コイルの電流値から
右側加熱コイルの電流値を減算することにより算出する
ことも、右側加熱コイルの電流値から左側加熱コイルの
電流値を減算することにより算出することもできる。こ
の場合における左右の加熱コイルに流れる電流値は、ノ
イズや過渡的な電流変化の影響で台車位置制御にハンチ
ング等の悪影響を防止するためのフィルターを通して検
出した電流値を用いる。
【0013】左右の加熱コイルに流れる電流値の偏差を
零とするには、偏差電流値を電流値の大きい側の電流値
から電流値の小さい側の電流値を減算して求めた場合
は、偏差電流値と偏差電流値を零とするに必要なインダ
クタの台車位置補正量との関係に基づき、偏差電流値に
応じて台車位置補正値を求め、偏差電流値が大きい側の
台車を台車位置補正値だけ鋼板側に前進させて電流値を
低下させると共に、電流値が小さい側の台車を台車位置
補正値だけ鋼板側から後退させて電流値を上昇させるこ
とにより、左右の加熱コイルに流れる電流値をバランス
させることができる。
【0014】また、偏差電流値を左側加熱コイルの電流
値から右側加熱コイルの電流値を減算することにより算
出した場合は、偏差電流値と偏差電流値を零とするに必
要なインダクタの台車位置補正量との関係に基づき、偏
差電流値に応じて台車位置補正値を求め、偏差電流値が
+の場合は、右側台車を台車位置補正値だけ鋼板側から
後退させて電流値を上昇させると共に、左側台車を台車
位置補正値だけ鋼板側に前進させて電流値を低下させる
ことにより、左右の加熱コイルに流れる電流値をバラン
スさせることができる。偏差電流値が−の場合は、左側
台車を台車位置補正値だけ鋼板側から後退させて電流値
を上昇させると共に、右側台車を台車位置補正値だけ鋼
板側に前進させて電流値を低下させることにより、左右
の加熱コイルに流れる電流値をバランスさせることがで
きる。
【0015】さらに、偏差電流値を右側加熱コイルの電
流値から左側加熱コイルの電流値を減算することにより
算出した場合は、偏差電流値と偏差電流値を零とするに
必要なインダクタの台車位置補正量との関係に基づき、
偏差電流値に応じて台車位置補正値を求め、偏差電流値
が+の場合は、左側台車を台車位置補正値だけ鋼板側か
ら後退させて電流値を上昇させると共に、右側台車を台
車位置補正値だけ鋼板側に前進させて電流値を低下させ
ることにより、左右の加熱コイルに流れる電流値をバラ
ンスさせることができる。偏差電流値が−の場合は、右
側台車を台車位置補正値だけ鋼板側から後退させて電流
値を上昇させると共に、左側台車を台車位置補正値だけ
鋼板側に前進させて電流値を低下させることにより、左
右の加熱コイルに流れる電流値をバランスさせることが
できる。
【0016】したがって、左右の加熱コイルに流れる電
流値と鋼板エッジ部のラップ量とは、密接な関係がある
ため、ラップ量制御部に偏差電流値と偏差電流値を零と
するに必要なインダクタの台車位置補正量との関係を予
め求めて記憶させておけば、偏差電流値に対応して前記
偏差電流値を零とするに必要な台車位置補正量を求める
ことができる。そして、電流値が大きい側の台車の初期
設定値に台車位置補正値を加算し、電流値が小さい側の
台車の初期設定値から台車位置補正値を減算して左右の
台車補正位置を求め、前記左右台車の自動位置コントロ
ーラに前記加減算した左右の台車補正位置を出力するこ
とができる。
【0017】左右台車の自動位置コントローラは、台車
位置検出器から入力される左右の台車位置とラップ量制
御部から入力された左右の台車補正位置とを比較し、左
右の台車位置がそれぞれ台車補正位置となるよう左右の
台車駆動機構を操作し、左右の台車を移動させる。
【0018】台車駆動機構としては、モータあるいは油
圧シリンダを用いるのが一般的である。したがって、台
車位置検出器としては、台車駆動機構が駆動モータの場
合はパルスジェネレータ、タコメータ、渦電流式回転計
等により駆動モータの回転数を求め、予め定めた台車位
置と駆動モータの回転数との関係から台車位置を求める
ことができる。また、台車駆動機構が油圧シリンダの場
合は、走行レールと台車の相対位置を検出する誘導無線
等からなるリニア距離計や回転距離計を用いることがで
きる。
【0019】
【実施例】実施例1 以下に本発明の鋼板エッジ部の誘導加熱制御方法の詳細
を実施の一例を示す図1に基づいて説明する。図1は本
発明の鋼板エッジ部の誘導加熱制御方法の1実施例の全
体説明図である。
【0020】図1において、1は鋼板、2L、2Rは鋼
板1の幅方向の両端エッジ部の上下に配置したインダク
タで、それぞれ加熱コイル3L、3Rが設けられてい
る。4L、4Rは左右のインダクタ2L、2Rが設置さ
れた鋼板1の幅方向に移動自在の台車で、駆動モータ5
L、5Rを自動位置コントローラ(図面ではAPCで示
す)6L、6Rで操作して正逆回転させることによっ
て、鋼板1の幅方向に台車4L、4Rを進退できるよう
構成されている。
【0021】7L、7Rは鋼板1の両エッジ部とインダ
クタ2L、2Rとのラップ量、8L、8Rは加熱コイル
3L、3Rに供給する高周波電流で、加熱コイル3L、
3Rに流れる高周波電流8L、8Rは電流計9L、9R
によって測定される。10はラップ量制御部で、電流計
9L、9Rによって測定された左右の加熱コイル3L、
3Rに流れる電流値の偏差を、電流計9Lの電流値から
電流計9Rの電流値を減算して求める加減算器11、加
減算器11で求めた偏差電流値と、予め設定記憶された
偏差電流値と偏差電流値を零とするに必要な台車位置補
正量との関係に基づき、偏差電流値を零とするに必要な
台車位置補正量を求める比例積分演算部(図面ではPI
で示す)12と、比例積分演算部12で求めた台車位置
補正量を台車4L、4Rの慣性量および駆動モータ5
L、5Rの応答速度に応じた周波数に変換するフィルタ
ー13と、フィルター13で変換された台車位置補正量
を前記偏差電流値が+か−であるかを判定し、偏差電流
値が+の場合は左側台車4Lの台車位置補正値を+、右
側台車4Rの台車位置補正値を−とし、また、偏差電流
値が−の場合は、右側台車4Rの台車位置補正値を+、
左側台車4Lの台車位置補正値を−とする判定部14
と、判定部14からの左右の台車位置補正値(+値、−
値)と台車4L、4Rの台車位置初期設定値を加減算し
て左右の台車補正位置を求め、前記台車の自動位置コン
トローラ6L、6Rに左右の台車補正位置を出力する加
減算器15L、15Rとからなる。
【0022】16L、16Rは左右の台車4L、4Rの
図示しないレール位置との相対位置を検出する位置検出
器で、位置検出器16L、16Rで検出された左右の台
車4L、4Rの位置は自動位置コントローラ6L、6R
にフイージバックされる。自動位置コントローラ6L、
6Rは、運転開始に際し、図示しない上位のコンピュー
タから入力される鋼帯1の幅に応じた左右の台車4L、
4Rの台車位置初期設定値と位置検出器16L、16R
から入力される台車4L、4Rの位置が一致するよう駆
動モータ5L、5Rを操作して鋼板1の幅方向に台車4
L、4Rを進退させるよう構成されている。また、運転
が開始されると自動位置コントローラ6L、6Rは、加
減算器15L、15Rから入力される台車補正位置と位
置検出器16L、16Rから入力される台車4L、4R
の位置が一致するよう駆動モータ5L、5Rを操作して
鋼板1の幅方向に台車4L、4Rを進退させるよう構成
されている。
【0023】上記のとおり構成したことによって、運転
開始に際し、自動位置コントローラ6L、6Rは、図示
しない上位のコンピュータから入力される鋼帯1の幅に
応じた左右の台車4L、4Rの台車位置初期設定値に応
じて駆動モータ5L、5Rを操作し、位置検出器16
L、16Rから入力される台車4L、4Rの位置が台車
位置初期設定値と一致するよう調整する。
【0024】加熱コイル3L、3Rへの高周波電流8
L、8Rの通電により運転が開始されると、鋼板1の蛇
行は、鋼板1の左右エッジ部のラップ量7L、7Rの変
化によって生じる電流計9L、9Rの電流値偏差により
ラップ量制御部10の加減算器11で検出される。比例
積分演算部12は、加減算器11で求めた偏差電流値と
予め設定記憶された偏差電流値を零とするに必要な台車
位置補正量との関係に基づき、偏差電流値に対応する台
車位置補正量を求める。フィルター13は台車位置補正
値を台車4L、4Rの慣性量および駆動モータ5L、5
Rの応答速度に応じた周波数に変換し、判定部14に出
力する。
【0025】判定部14は、前記偏差電流値が+である
か−であるかを判定し、偏差電流値が+の場合は左側台
車4Lの台車位置補正値を+、右側台車4Rの台車位置
補正値を−とし、また、偏差電流値が−の場合は、右側
台車4Rの台車位置補正値を+、左側台車4Lの台車位
置補正値を−と判定する。
【0026】加減算器15L、15Rは、台車位置初期
設定値から判定部14からの台車位置補正値を加減算し
て左右の台車補正位置を求め、前記左右台車4L、4R
の自動位置コントローラ6L、6Rに台車補正位置を出
力する。自動位置コントローラ6L、6Rは、加減算器
15L、15Rから左右の台車補正位置が入力される
と、位置検出器16L、16Rで検出された左右の台車
4L、4Rの位置と、加減算器15L、15Rから入力
された左右の台車補正位置とを比較し、左右の台車4
L、4Rの位置が加減算器15L、15Rから入力され
た左右の台車補正位置と一致するよう駆動モータ5L、
5Rを操作して鋼板1の幅方向に台車4L、4Rを進退
させる。
【0027】したがって、鋼板1の蛇行により生じる左
右の加熱コイル3L、3Rの電流アンバランスは、左右
の台車4L、4Rの位置を鋼板1の蛇行に追従して移動
させることによって解消され、鋼板1の左右エッジ部の
ラップ量7L、7Rを一定に保持することができ、か
つ、鋼板1の左右エッジ部を目標温度まで昇温すること
ができる。
【0028】なお、上記実施例は、偏差電流値を電流計
9Lの電流値から電流計9Rの電流値を減算して求めた
が、偏差電流値を電流計9Rの電流値から電流計9Lの
電流値を減算して求めることも、大きい側の電流値から
小さい側の電流値を減算して求めることもできるが、い
ずれの場合においても、電流値の大きい側の台車位置初
期設定値から台車位置補正値を減算すると共に、電流値
の小さい側の台車位置初期設定値に台車位置補正値を加
算して左右の台車補正位置を求めることにおいては、同
じとなる。
【0029】実施例2 前記実施例1の本発明の鋼板エッジ部の誘導加熱制御方
法を用い、台車位置制御を実施した。そして、台車位置
制御を実施前後の経過時間と左右コイル電流、昇温量、
蛇行量との関係の傾向、ならびに台車位置制御を実施前
後の時間と台車制御量、鋼板の蛇行量と電流アンバラン
ス量との関係を調査した。その結果を図2〜図4に示
す。
【0030】台車位置制御を実施しなかった場合は、図
2に示すとおり、鋼板の蛇行によって左右のコイル電流
にアンバランスが生じると共に、電流値の大きい右加熱
コイルの昇温が左加熱コイルの昇温に比較して約30℃
劣っている。また、台車位置制御を実施した場合は、図
3に示すとおり、鋼板が蛇行しても左右のコイル電流に
アンバランスが生じることなく、左右の加熱コイルの昇
温値は、ほぼ目標昇温値を達成している。さらに、図4
に示すとおり、台車位置制御を実施した本発明の場合
は、鋼板の蛇行量に追従して台車位置が制御され、左右
加熱コイルの電流アンバランスが解消されている。これ
に対し、台車位置制御を実施しなかった従来例の場合
は、鋼板の蛇行により左右加熱コイルに電流アンバラン
スが生じている。
【0031】
【発明の効果】本発明の鋼板エッジ部の誘導加熱制御方
法は、鋼板の蛇行を左右のコイル電流値の偏差により検
出し、偏差電流値が零となるよう左右の鋼板エッジ部の
ラップ量を制御できるから、鋼板の両端エッジ部を均一
にかつ目標値まで加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋼板エッジ部の誘導加熱制御装置の全
体説明図である。
【図2】実施例2における本発明の台車位置制御方法を
実施前の経過時間と左右コイル電流、昇温量、蛇行量と
の関係の傾向を示すグラフで、(a)図は経過時間と左
右コイルの電流値とのグラフ、(b)図は経過時間と目
標昇温値と左右コイルの昇温量とのグラフ、(c)図は
経過時間と蛇行量とのグラフである。
【図3】実施例2における本発明の台車位置制御方法を
実施後の経過時間と左右コイル電流、昇温量、蛇行量と
の関係の傾向を示すグラフで、(a)図は経過時間と左
右コイルの電流値とのグラフ、(b)図は経過時間と目
標昇温値と左右コイルの昇温量とのグラフ、(c)図は
経過時間と蛇行量とのグラフである。
【図4】実施例2における本発明の台車位置制御方法を
実施前後の時間と台車制御量、鋼板の蛇行量、加熱コイ
ルの電流アンバランス量との関係を示すグラフである。
【図5】従来の特公昭57−25619号公報に開示の
誘導加熱装置に使用する距離検出器の1実施例の構成図
である。
【図6】鋼板エッジ部の誘導加熱制御装置の概略構成図
である。
【符号の説明】
1、51、61 鋼板 2L、2R、62 インダクタ 3L、3R、63 加熱コイル 4L、4R、55 台車 5L、5R 駆動モータ 6L、6R 自動位置コントローラ 7L、7R ラップ量 8L、8R 高周波電流 9L、9R 電流計 10 ラップ量制御部 11、15L、15R 加減算器 12 比例積分演算部 13 フィルター 14 判定部 16L、16R 位置検出器 52 摺動子 53 スプリング 54 検出器 64 電源装置
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C21D 9/60 C21D 9/60 H05B 6/10 381 H05B 6/10 381

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の左右エッジ部が通過するラインの
    左右側位置に鋼板進行方向と直角方向に進退する台車を
    配置し、該左右台車に鋼板エッジ部を上下から挟むイン
    ダクタを設置し、前記台車の自動位置コントローラによ
    り鋼板エッジ部のラップ量を制御し、上下インダクタ間
    を鋼板のエッジ部が通過する間にエッジ部を加熱する誘
    導加熱方法において、前記左右のインダクタの加熱コイ
    ルに流れる高周波電流を検出して鋼板の蛇行によるラッ
    プ量の変化により発生する電流値の偏差を求め、予め記
    憶されている偏差電流値と偏差電流値を零とするに必要
    なインダクタの台車位置補正量との関係に基づき台車位
    置補正値を求め、電流値の大きい側の台車位置初期設定
    値から台車位置補正値を減算すると共に、電流値の小さ
    い側の台車位置初期設定値に台車位置補正値を加算して
    左右の台車補正位置を求め、前記台車の自動位置コント
    ローラに前記加減算した左右の台車補正位置を出力する
    ことを特徴とする鋼板エッジ部の誘導加熱制御方法。
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