JPH11171512A - 窒化ケイ素粉末 - Google Patents

窒化ケイ素粉末

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JPH11171512A
JPH11171512A JP9346087A JP34608797A JPH11171512A JP H11171512 A JPH11171512 A JP H11171512A JP 9346087 A JP9346087 A JP 9346087A JP 34608797 A JP34608797 A JP 34608797A JP H11171512 A JPH11171512 A JP H11171512A
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哲夫 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】構造用セラミックスとして使用される窒化ケイ
素セラミックスの中で、特に高靭性高信頼性の窒化ケイ
素セラミックスの製造用原料として好適な易焼結性の窒
化ケイ素粉末を提供する。 【解決手段】29Si核のマジック角回転核磁気共鳴分光法
により測定したアモルファス分率が6.5〜18重量
%、α相分率が70〜93.5重量%、β相分率が2
3.5重量%以下であり、比表面積が5〜25m2/g
であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造用セラミック
スとして使用される窒化ケイ素セラミックスの中で、特
に高靭性高信頼性の窒化ケイ素セラミックスの製造用原
料として好適な易焼結性の窒化ケイ素粉末に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】窒化ケイ素セラミックス
は、高強度、高靱性、高耐蝕性という優れた特性を有
し、1000℃以下の温度で使用される構造材料や機械
部品として種々の分野への用途展開が進展している。し
かしながら、窒化ケイ素の焼結においては、通常Y
23、Al23等の酸化物を5〜10重量%程度添加し
て焼結を行う為、焼結条件下で成長するSi34粒子の
粒径、アスペクト比等により、得られる焼結体の破壊靭
性が変化するという難点があった。このような焼結条件
の変動による破壊靭性の変化を防止し、焼結条件によら
ず安定して高い靭性を維持し得る窒化ケイ素セラミック
スを製造する為に、Y23、MgO、Al23等の焼結
助剤の探索やCr2N、NbB、TaSi2、ZrSi2
等の硬質粒子による分散強化の検討と併行し、焼結体製
造原料として好適な特性を有する原料粉末の開発が行わ
れている。
【0003】従来、窒化ケイ素粉末の製法としては、
(1)金属ケイ素粉末の直接窒化法、(2)シリカ粉末
の還元窒化法、(3)ハロゲン化ケイ素とアンモニアと
を反応させるイミド分解法等が知られている。これらの
方法で製造された窒化ケイ素粉末は、製造履歴が異なる
ためか、金属不純物量、酸素含有量、粒径等が同じ値で
あっても、粉末の焼結性や得られる焼結体の特性に大き
な相違がある。一般的には、上記(3)の方法で製造さ
れた窒化ケイ素粉末が、易焼結性であり、かつ優れた焼
結体性能を示すと言われている。
【0004】粉末特性と焼結性及び焼結体特性とに関す
る研究の進展につれ、焼結性及び焼結体特性の支配因子
が解明されてきた結果、上記の製造履歴の影響は絶対的
なものではなく、種々の粉末特性の交互作用であること
が徐々に分かってきた。この点について以下に説明す
る。窒化ケイ素の結晶形態には、α相とβ相の2種類が
存在し、β相は酸素を固溶しない純粋な窒化ケイ素であ
るのに対して、α相は結晶格子内に酸素を固溶すること
が知られている。窒化ケイ素の焼結においては、昇温過
程において焼結助剤と窒化ケイ素粒子表面のシリカとが
反応して液相が生成し、この液相への窒化ケイ素の溶解
と、β相としての再析出により緻密化が進行する。この
為、焼結体製造原料としてはα相分率の高い窒化ケイ素
粉末が望ましいと言われている。
【0005】ところが従来法では、粉末X線回折法によ
り結晶相の同定と定量を行ってきた為、アモルファスを
含む相組成(β相分率、α相分率及びアモルファス分
率)と焼結性及び焼結体特性との相関の解析が十分では
なかった。特開昭63−147867号公報には、β相
含有率2%未満のα−Si34粉末とβ相含有率10%
以上のSi34粉末とを混合して、β相含有率を2〜3
0%の範囲に調整したSi34粉末を使用することによ
り、Si3492wt%、Al234wt%、Y23
wt%という配合組成で、高密度高強度な窒化ケイ素焼
結体を製造する方法が開示されている。しかしながら、
使用した原料粉末の中心粒径が0.5μmというやや粗
いものであったため、低β相含有率の粉末ではα→β相
転移の速度が遅く、総量10wt%の酸化物を添加して
も高密度な焼結体は得られていない。また、特開平2−
175662号公報には、α相含有率98%以上、平均
粒径0.3〜0.5μmのSi34粉末と焼結助剤とか
らなる成形体を1600〜1800℃で焼結することに
よる室温から高温まで高強度な窒化ケイ素質焼結体の製
造方法が開示されている。しかしながら、使用した原料
粉末の粉末特性としては、平均粒径とα相含有率以外は
記載がなく、これら以外の粉体特性が焼結性及び焼結体
特性に及ぼす効果については、全く言及されていない。
また、SiO2含有量6モル%未満では、高密度な焼結
体が得られていない。
【0006】また、Analytical Chemi
stry第59巻、第23号の2794〜2797ペー
ジには、29Si核のマジック角回転核磁気共鳴分光法によ
り測定されたSi34粉末のβ相分率、α相分率及びア
モルファス分率が記載されている。しかしながら、この
文献には焼結体製造原料の必須要件である比表面積と化
学組成(酸素含有量、炭素含有量など)については、全
く言及されていない。焼結体製造原料としてのSi34
粉末には比表面積、粒度分布及び化学組成(酸素含有
量、炭素含有量など)に最適値があり、これらの特性が
最適値を逸脱した粉末では、相組成(β相分率、α相分
率及びアモルファス分率)が制御されていても十分な焼
結性及び焼結体特性が発現しない。
【0007】以上の公知文献では、原料粉末の相組成と
他の粉体特性との交互作用の効果については、全く無視
されていた。しかしながら、このような種々の粉体特性
の交互作用の解明が、粉体特性と焼結性及び焼結体特性
との相関を解明する上で、非常に重要な事項であること
はいうまでもないことである。したがって、従来技術で
は、高靭性、高信頼性等の優れた特性を有する窒化ケイ
素セラミックスを再現性良く安定的に製造することは困
難であった。本発明の目的は、上記課題を解決し、高靭
性高信頼性の窒化ケイ素セラミックスを再現性良く安定
して製造できる窒化ケイ素粉末を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、窒化ケイ
素の粉体特性と焼結性及び焼結体特性との関係について
種々検討した結果、焼結性及び焼結体特性を支配する因
子としては、相組成(β相分率、α相分率及びアモルフ
ァス分率)、比表面積、酸素含有量、表面酸素含有量、
炭素含有量、粒度分布、凝集度及び結晶子径があり、特
に、29Si核のマジック角回転核磁気共鳴分光法により測
定された相組成、比表面積、酸素含有量、表面酸素含有
量及び炭素含有量がそれぞれ特定範囲にある窒化ケイ素
粉末が、上記の目的を達成するものであることを知見し
た。
【0009】本発明は、上記の知見に基づいてなされた
もので、29Si核のマジック角回転核磁気共鳴分光法によ
り測定したアモルファス分率が6.5〜18重量%、α
相分率が70〜93.5重量%、β相分率が23.5重
量%以下であり、比表面積が5〜25m2/gであるこ
とを特徴とする窒化ケイ素粉末を提供するものである。
また本発明は、これらの粉末特性に加えて、更に、酸素
含有量が0.8〜2.0重量%、表面酸素含有量が0.
3〜0.8重量%、炭素含有量が0.12重量%以下で
あることを特徴とする窒化ケイ素粉末を提供するもので
ある。
【0010】以下、本発明の窒化ケイ素粉末について詳
述する。本発明の窒化ケイ素粉末は、29Si核のマジック
角回転核磁気共鳴分光法により測定したアモルファス分
率が6.5〜18重量%、好ましくは7.0〜15重量
%、α相分率が70〜93.5重量%、好ましくは83
〜92.5重量%、β相分率が23.5重量%以下、好
ましくは10重量%以下であり、比表面積が5〜25m
2/g、好ましくは7〜20m2/gであることを特徴と
する窒化ケイ素粉末である。
【0011】アモルファス窒化ケイ素はα相やβ相など
の結晶質窒化ケイ素よりも高活性であり、焼結時におけ
る構成原子の物質移動を加速して、迅速な緻密化を実現
する。この為、アモルファス分率が6.5重量%未満の
低濃度となると、緻密化速度が低下して、焼結性が悪く
なる。アモルファス成分が18重量%よりも多く存在す
ると、アモルファス成分は微細である為に、成形体内部
に不均一を生じ、成形欠陥が焼結後も残留気孔、ミクロ
クラックとして残存してしまい、焼結体の強度を低下さ
せる原因となる。窒化ケイ素粉末のアモルファス分率は
種々の方法によって測定することが可能であるが、特
に、29Si核のマジック角回転核磁気共鳴分光法により、
再現性よく測定することができる。
【0012】結晶質窒化ケイ素についても、α相の粒子
とβ相の粒子とでは、窒化ケイ素の焼結挙動に異なった
寄与を及ぼす。即ち、昇温過程で生成した焼結助剤−シ
リケート系液相に、α相粒子は迅速に溶解するのに対し
て、β相粒子の溶解速度は遅く、α相粒子の方が緻密化
に有利である。この為、α分率が70重量%未満になる
と緻密化速度が低下して、通常の焼結条件では高密度な
焼結体が得られなくなる。α分率が93.5重量%を越
えると、アモルファス成分の濃度が低下するので、やは
り緻密化速度が低下して、焼結性が悪くなる。窒化ケイ
素粉末中のβ相粒子は、結晶子径が0.10μm以下の
微粒になると焼結時のα→β相転移を促進する核として
作用し、相転移を低温で迅速に進行させる作用があるも
のと考えられる。これにより緻密化速度は上昇して、高
密度な焼結体が得られる。β相粒子の結晶子径が0.1
0μm超になると、このような成長核としての機能が失
われる為、β相分率が上記範囲内にあっても、本発明の
効果は得られない。
【0013】さらに、β相の割合が23.5重量%以下
であると、β相粒子の析出時に異方的な粒成長が起こ
り、アスペクト比の高い柱状結晶が多数生成して、破壊
靭性が向上する。β相の割合が23.5重量%を越える
と、焼結時のα→β相転移に伴う柱状結晶の成長が抑制
され、等軸結晶が増加して、アスペクト比の高い柱状結
晶の割合が減少する為に、焼結体の破壊靭性が低下す
る。焼結の進行自体は、原料粉末の粒径を小さくして、
比表面積を上げるほど促進される。この為、比表面積が
5m2/g未満の粉末は緻密化速度が遅く、焼結助剤を
大量に添加しない限り高密度な焼結体は得られない。比
表面積が25m2/gを越えると成形体の嵩密度が低下
し、焼結時の収縮が増大するばかりでなく、焼結収縮が
不均一となって、焼結体が変形したり、ミクロクラック
が発生するので好ましくない。
【0014】また、本発明の窒化ケイ素粉末は、酸素含
有量が0.8〜2.0重量%、好ましくは0.9〜1.
8重量%、表面酸素含有量が0.3〜0.8重量%、好
ましくは0.4〜0.7重量%、炭素含有量が0.12
重量%以下、好ましくは0.10重量%以下である。酸
素含有量が0.8重量%未満になると、昇温過程におい
て生成する焼結助剤−シリケート系液相の量が不足し、
また粘度も高くなるので、緻密化が阻害される。酸素含
有量が2.0重量%を越えると、得られる焼結体の機械
的性質が低下する。特に、破壊靭性の低下と高温強度の
低下が顕著である。窒化ケイ素の緻密化においては表面
酸素が重要な役割を果たす。表面酸素含有量が0.3重
量未満になると、焼結過程初期における焼結助剤−シリ
ケート系液相の生成量が不足する為、粒界気孔が成長し
て、高密度な焼結体が得られない。表面酸素含有量が
0.8重量%を越えると、得られる焼結体の機械的性質
が低下する。特に、破壊靭性の低下が顕著である。原料
粉末中の炭素は、焼結時に添加される酸化物助剤と反応
して一酸化炭素ガスを発生し、これが残留気孔の発生原
因となる為に、0.12重量%以下にする必要がある。
【0015】本発明の窒化ケイ素粉末におけるβ相分
率、α相分率及びアモルファス分率は29Si核のマジック
角回転核磁気共鳴分光法により測定した。窒化ケイ素の
29Si核マジック角回転核磁気共鳴(MAS NMR)測
定についてはAnalytical Chemistr
y第59巻、第23号の2794〜2797ページに記
載のブロッホ・ディケイ法で実施した。測定サンプルの
相組成(β相分率、α相分率及びアモルファス分率)の
解析精度を高める為に、以下に記述するコンピューター
によるスペクトル分離シミュレーションを併用して、解
析を行った。α-Si3429Si MAS NMRスペ
クトルはSi原子の占有サイトの違いから2本に分離す
ることが知られており、一方β-Si34及びアモルフ
ァスSi34の吸収スペクトルは1本であり、特にアモ
ルファスSi34の場合には線幅の広いピークである。
そこで、これら4本のピークをカーブフィッティングシ
ミュレーションにより分離し、各吸収ピークの積分強度
からそれぞれの成分の存在割合を求めた。ただし、各吸
収ピークは非線型であり、一義的に決まらない。そこ
で、個々の吸収ピークの形状としては、ローレンツ(Lo
rentz)型とガウス(Gauss)型の中間である擬Voigt関
数を仮定した。この関数は次式で表される。
【0016】
【数1】
【0017】である。更に各吸収ピークは左右非対称で
あることから、左右のLorentz/Gaussの割合と、半値幅
が異なっているものとした。また、基準となる完全結晶
性の粉末(α-及びβ-Si34)とアモルファス粉末の
スペクトルから求めたピーク形状のLorentz/Gaussの割
合と半値幅を固定して、個々のスペクトル測定データの
カーブフィッティングを行い、その結果に基づいて各々
の粉末試料のアモルファス成分の割合を求めた。なお、
カーブフィッティング計算は、修正Marquart法による非
線型最小自乗法のプログラムにより行った。ちなみに、
修正Marquart法は最も優れた非線型最小自乗法の解法で
あり、例えばリートベルト解析プログラムRietan等で採
用されている。従来のスペクトル解析手法では、β相分
率、α相分率及びアモルファス分率を精度良く算出する
ことが困難であった為、アモルファス分率が6.5〜1
8重量%の窒化ケイ素粉末を再現性良く製造するという
試みが行われていなかった。本発明では、修正Marquart
法という非線型最小自乗法により少量のアモルファス分
率の定量精度を向上させることができ、アモルファス分
率を制御した窒化ケイ素粉末を製造することが可能とな
った。
【0018】また、酸素含有量はLECO法により測定
し、表面酸素含有量は日本セラミックス協会誌第101
巻、第12号(1993年出版)の1419〜1422
頁に記載の化学分析法により測定した。酸素含有量と表
面酸素含有量との差が内部酸素含有量となる。さらに、
粒度分布も粉末の焼結性及び焼結体特性に影響を及ぼす
重要な因子である。レーザー回折法により測定した重量
基準の粒度分布より求めた二次粒子のメジアン平均径D
2と一次粒子の平均粒径D1との比である凝集度指標D2
/D1が1.5〜5.0の範囲にあることが望ましい。
凝集度指標が1.5よりも小さいと焼結性が阻害され、
逆に5.0よりも大きいと焼結体の組織が不均一とな
り、残留ポア、マイクロクラック等が生成して、所望の
高強度高信頼性を実現することができない。尚、一次粒
子の平均粒径は、工業材料誌第38巻第12号第114
頁に記載されているように、TEM写真より二次粒子を
構成している一次粒子を二次元的に透明シートにトレー
スし、画像解析装置により処理して求めたものである。
【0019】次に、本発明の窒化ケイ素粉末を製造する
方法について説明する。本発明の窒化ケイ素粉末は、金
属ケイ素粉末の直接窒化法、シリカ粉末の還元窒化法、
イミド分解法等、種々の方法で製造することができる
が、結晶相の割合、内部酸素量、二次粒子径、一次粒子
径、比表面積等の粉末特性を任意に調整できるイミド分
解法が最も適している。イミド分解法では、例えば、イ
ミドの比表面積を550〜950m2/g、軽装密度を
0.035〜0.065g/cm3に調整し、1400
〜1700℃の温度条件下で結晶化させることにより製
造することができる。
【0020】金属ケイ素粉末の直接窒化法では、例え
ば、α相分率70%以上及び比表面積10m2/g以上
の窒化ケイ素粉末を比表面積10m2/g以上及び酸素
含有量2.0重量%以下の金属ケイ素粉末に5〜20重
量%添加混合し、混合物を、水素ガスと窒素ガスとの混
合雰囲気下あるいはアンモニアガスと窒素ガスとの混合
雰囲気下、昇温速度10〜50℃/hで1400〜16
00℃まで昇温することにより、本発明の窒化ケイ素粉
末を製造することができる。生成粉末の結晶相を制御す
る為には、特に、雰囲気中の水素分圧と、原料の金属ケ
イ素粉末の仕込量及び充填密度に注意を払う必要があ
る。生成粉末は、必要に応じて、粉砕及び酸処理によ
り、粒度調整と不純物除去を行い、所望の粉末を得る。
【0021】本発明の窒化ケイ素粉末は、従来の窒化ケ
イ素粉末の場合と同様な方法、例えば、酸化アルミニウ
ム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム等の焼結助剤
と混合し、混合物を所定の形状に成形した後、焼結する
ことにより、窒化ケイ素セラミックス(焼結体)を製造
することができる。上記成形圧力は、0.5〜10ton
/cm2程度とすれば良く、また上記焼結条件は、焼結温
度1500〜2000℃、雰囲気圧力0.5〜100気
圧、焼結時間1〜10時間程度とすれば良い。
【0022】本発明の窒化ケイ素粉末を用いて製造され
た、窒化ケイ素セラミックス(焼結体)は、特に破壊靭
性が高く、高強度高ワイブル係数であることから、本発
明の窒化ケイ素粉末は、1300℃以下の温度で使用さ
れるターボローター、エンジンバルブ、ディーゼルエン
ジン副燃焼室等の熱機関用部品や機械部品として用いら
れる窒化ケイ素セラミックスの製造用原料として、特に
好適なものである。
【0023】
【実施例】以下に本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明を更に詳しく説明する。 実施例1〜14及び比較例1〜8 下記の製造方法(イミド分解法)及び下記〔表1〕に示
す製造条件により、窒化ケイ素粉末をそれぞれ製造し
た。得られた窒化ケイ素粉末の粉末特性を、下記〔表
2〕に示す。 〔窒化ケイ素粉末の製造方法〕0℃に冷却された直径3
0cm、高さ45cmの縦型反応槽内の空気を窒素ガス
で置換した後、所定量の液体アンモニア及びトルエンを
仕込んだ。反応槽では、上層の液体アンモニアと下層の
トルエンとに分離した。予め調製した四塩化ケイ素20
〜35重量%、残部トルエンよりなる溶液を、導管を通
じて、ゆっくり撹拌されている下層に供給した。トルエ
ン溶液の供給と共に、上下層の界面近傍に白色の反応生
成物が析出した。反応終了後、反応液を濾過層に移送
し、生成物を濾別して、液体アンモニアで四回バッチ洗
浄し、精製シリコンジイミドを得た。
【0024】反応の際の四塩化ケイ素と液体アンモニア
との比率(体積基準)を1/50〜2/50の範囲で変
化させることにより、比表面積550〜950m2/g
のシリコンジイミドを合成した。なお、前記の反応の初
期段階には、液体アンモニアは大過剰に存在するが、反
応の進行によりアンモニアが消費されるため、液体アン
モニアも連続的に反応槽へ供給することになる。そし
て、定常状態において反応槽内へ供給する四塩化ケイ素
と液体アンモニアとの体積比率を1/50〜2/50の
範囲で変化させることにより、比表面積550〜950
2/gのシリコンジイミドを合成した。また、生成シ
リコンジイミドを乾燥する際の乾燥時間と撹拌回転数を
変えることにより、シリコンジイミドの軽装密度を0.
035〜0.075g/cm3の範囲で変化させた。
【0025】生成したシリコンジイミドを、下記〔表
1〕に記載した酸素濃度を有する窒素ガスを流通させな
がら1000℃で加熱分解させて、非晶質窒化ケイ素粉
末を得た。次いで、得られた非晶質窒化ケイ素粉末を振
動ミルにて摩砕処理した後、電気炉にて、窒素雰囲気
下、〔表1〕に記載の条件(昇温速度、最高温度及び同
温度での保持時間、炉内CO濃度)で加熱、焼成して、
灰白色の窒化ケイ素粉末を得た。尚、炉内のCO濃度
は、流通させる窒素ガスの純度(酸素濃度、露点)と流
量により調整した。得られた窒化ケイ素粉末の走査型電
子顕微鏡による観察では、0.05〜0.5μmの等軸的
な粒状粒子のみが認められた。また、窒化ケイ素粉末の
塩素含有量は、いづれの場合にも50ppm以下であっ
た。
【0026】〔標準窒化ケイ素サンプルの調製〕実施例
1で得られた1000℃仮焼のアモルファスSi34
末を、再度窒素雰囲気中1100℃で2時間焼成するこ
とにより、29Si MAS NMR測定用の標準アモルフ
ァスSi34サンプルを、同様に、同実施例で得られた
1500℃焼成のα-Si34粉末を、再度 窒素雰囲
気中1750℃で2時間焼成することにより、29Si M
AS NMR測定用の標準α-Si34サンプルを調製
した。さらに、実施例1で得られた1000℃仮焼のア
モルファスSi34粉末に0.3重量%の酸化イットリ
ウムを添加し、窒素雰囲気中1750℃で4時間焼成す
ることにより、29Si MAS NMR測定用の標準β-
Si34サンプルを調製した。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】使用試験例 実施例1〜14及び比較例1〜8で得られた窒化ケイ素
粉末を原料に用いて、下記の製造方法によりそれぞれの
焼結体を作製した。得られた焼結体の嵩密度はアルキメ
デス法で測定した。焼結体よりJIS R1601に準
拠した3x4x40mm相当の抗折試験片を切り出し、
JISR 1601に準拠して、外スパン30mm、内
スパン10mm、クロスヘッドスピード0.5mm/m
inの条件で四点曲げ試験を行った。室温における曲げ
強度は40本の平均値である。高温での曲げ試験は、窒
素雰囲気中で試験片を1300℃に10分間保持した
後、8本以上の試験片について強度測定を行い、平均値
を算出した。また、抗折試験片を空気中1300℃で5
0時間加熱して酸化させ、酸化後の四点曲げ強度を測定
した。測定は試験片10本づつについて実施した到達密
度及び曲げ強度(室温強度、室温強度のワイブル係数、
高温強度並びに酸化後強度)の測定結果を下記〔表3〕
に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
【発明の効果】 本発明の窒化ケイ素粉末は、高靭性高
信頼性の窒化ケイ素セラミックスを再現性良く安定して
製造できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 29Si核のマジック角回転核磁気共鳴分光
    法により測定したアモルファス分率が6.5〜18重量
    %、α相分率が70〜93.5重量%、β相分率が2
    3.5重量%以下であり、比表面積が5〜25m2/g
    であることを特徴とする窒化ケイ素粉末。
  2. 【請求項2】 酸素含有量が0.8〜2.0重量%、表
    面酸素含有量が0.3〜0.8重量%、炭素含有量が
    0.12重量%以下であることを特徴とする請求項1又
    は2記載の窒化ケイ素粉末。
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