JPH1116789A - 静電容量の均一な電解コンデンサ用アルミニウム箔 - Google Patents

静電容量の均一な電解コンデンサ用アルミニウム箔

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JPH1116789A
JPH1116789A JP16744097A JP16744097A JPH1116789A JP H1116789 A JPH1116789 A JP H1116789A JP 16744097 A JP16744097 A JP 16744097A JP 16744097 A JP16744097 A JP 16744097A JP H1116789 A JPH1116789 A JP H1116789A
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oxide film
coil
capacitance
foil
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Mariko Sakata
真理子 坂田
Takeshi Owaki
武史 大脇
Setsu Nishizawa
節 西澤
Takehiko Eto
武比古 江藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム箔表面の任意の部位で、静電容
量が均一な電解コンデンサ用アルミニウム箔を提供す
る。 【解決手段】 電解エッチング前のアルミニウム箔表
面のX=(I−900)5 ×Dで表される酸化皮膜指数X
が、〔但し、I:酸化皮膜のフーリエ変換赤外吸収スペ
クトルにおいてAl−O の最も強い伸縮振動に起因する反
射ピークの波数(cm -1) 、D:酸化皮膜の膜厚 (Å) を
表す〕、箔表面の任意の部位の酸化皮膜指数XeとXc
との比Xe/Xcで0.8 〜1.2 の範囲にある電解コンデ
ンサ用アルミニウム箔である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解コンデンサ用
アルミニウム箔に係り、特に、箔表面の各部において静
電容量の均一な電解コンデンサ用アルミニウム箔に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムは、電気化学的にエッチン
グすることにより表面積を拡大でき、また、陽極酸化に
より表面に耐電圧性の酸化皮膜が形成され、誘電体とし
て利用でき、電解コンデンサの電極箔として利用した場
合に、比較的大きな静電容量を得ることができる。した
がって、アルミニウム電解コンデンサは、他のコンデン
サに比べて、小型で大容量で、しかも安価に製造でき、
エレクトロニクス機器などの電子回路に不可欠な電子部
品として、広く汎用されている。
【0003】アルミニウム電解コンデンサの基本構造
は、例えば、「アルミニウム」( 第2巻, 第4 号,1995
、130 〜140 頁) の「アルミニウム電解コンデンサ用
電極箔の技術動向」等に開示されている、図1に示すよ
うなモデルで表される。即ち、リード線5を各々配した
陽極アルミニウム箔1と陰極アルミニウム箔2の両極2
枚のアルミニウム箔の間にセパレート紙3を挟み、セパ
レート紙3に電解液を含浸させ、円柱状に巻いた後、図
示しないパッケージ内に封入した構造となっている。通
常、このアルミニウム箔乃至アルミニウム合金箔(以下
単にアルミニウム箔と言う)素材には、Al純度が、陽
極用には99.96%以上、あるいは99.9%以上、
また、陰極用には99%以上、あるいは99.8%以上
の各々高純度アルミニウムが使用される。
【0004】このような構成からなるアルミニウム電解
コンデンサの静電容量(C)は、主としてアルミニウム
箔(特に陽極アルミニウム箔1)の表面積と、陽極アル
ミニウム箔1の表面(エッチングピット)に設ける誘電
体酸化皮膜(バリヤー型酸化皮膜)4の厚さによって決
定され、具体的には次式、C=8.855 ×10-8εS/d
(μF)〔但し、ε:誘電率(8〜9)、S:誘電体の
表面積(cm2 )、d:誘電体の厚み(cm)〕で表さ
れる。
【0005】したがって、アルミニウム電解コンデンサ
の静電容量を大きくするためには、アルミニウム箔の表
面積を拡大して、誘電体の表面積を大きくすることが重
要となる。このアルミニウム箔の表面積の拡大は、素材
アルミニウム箔コイル(厚さ0.02〜0.11mm、幅500mm 程
度) を、塩酸などの塩素イオン含有の電解液中に浸漬す
るとともに、交流や直流電流を付与し、連続的に電解エ
ッチングすることによって行われる。そして、この電解
エッチングにより、アルミニウム箔の表面に微細な凹部
乃至粗面状のピット層(以下エッチングピットと言う)
が連続的に形成され、この結果、アルミニウム箔の表面
の実効面積が拡大し、電極箔としての高い静電容量を確
保する。
【0006】また陽極用のアルミニウム電極箔の場合、
前記図1の通り、アルミニウム箔1の表面には、誘電体
層であるバリヤー型酸化皮膜4 が必要となり、このバリ
ヤー型酸化皮膜4 の形成は、前記電解エッチング工程に
続く、化成(陽極酸化)処理工程によって、同じく連続
的に行われる。
【0007】このように、電解エッチング工程は、アル
ミニウム箔の表面積を拡大(アルミニウム箔の表面を粗
面化)し、実効面積を拡大して、単位面積当たりの高い
静電容量を確保し、電解コンデンサの小型化、高容量化
を可能とする上で、非常に重要な工程になっている。
【0008】この電解エッチング工程において、特に軟
質箔の分野で問題となる点は、エッチングによるアル
ミニウム箔の減量が過度になり、減量の増加割合に対す
る静電容量の向上が乏しく、その結果単位面積当たりの
静電容量の増加が低くなる点と、エッチングピットの
初期の発生が不均一でまばらとなり、アルミニウム箔表
面の溶け残りが多くなり、エッチングムラが生じ、箔表
面での静電容量のばらつきが生じる点である。したがっ
て、従来から、電解エッチング工程において、 エッチングによるアルミニウム箔の減量が必要以上に
大きくならず、且つ高い静電容量が達成できること、お
よびアルミニウム箔表面の静電容量を均一にすること
が重要な技術的課題となっている。
【0009】従来から、前記のこの技術的課題達成の
ために、種々の技術が提案されている。まず、アルミニ
ウム電極箔の素材である、アルミニウム箔の化学成分組
成や組織の面からは、99.99 %の高純度アルミニウムを
ベースとし、Fe、Si、Cu等の特定の不純物量を規
制することが、特開昭62−8492号、特開昭62−181416
号、特開平 −33176 号、特開平1 −38865 号、特開平
2 −51212 号、特開平4−247855号、特開平4 −124806
号、特開平5 −5145号等の各公報に開示されている。こ
れらは基本的に、前記不純物による粗大な析出物がアル
ミニウム箔表面に存在していると、電解エッチングを施
した際に粗大孔が生じるという問題を解消したものであ
る。
【0010】また、アルミニウム箔の熱処理や製造条件
の面からは、99.99 %の高純度アルミニウムをベースと
し、均熱条件や焼鈍条件を特定して、不純物による粗大
な析出物が箔表面に存在するのを防止する方法が、特開
平2 −200749号、特開平4 −176847号、特開平4 −3115
50号等の各公報で開示されている。
【0011】更に、電解エッチングの処理条件の面から
の改善技術も種々提案されている。例えば、電解液にし
ゅう酸をエッチング抑制剤として添加するとともに、塩
酸等の電解液濃度を高くして、エッチング時間を短くし
て、エッチングピットの粗大化を防止する(ピット径を
小さくする)とともに、深いエッチングピットを得るこ
とが、特開平7 −161586号公報に開示されている。ま
た、静電容量の向上のために、硫酸、燐酸、シュウ酸、
ほう酸、クロム酸等の多孔質型陽極酸化皮膜生成能力を
持つ酸を含有する水溶液を用いて陽極酸化を行った後に
電解エッチングを行うことでエッチングピットの制御を
行い、エッチングピットの粗大化を防止する(ピット径
を小さくする)とともに、深いエッチングピットを得る
技術が特開昭55−127013号公報に開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
電解コンデンサの小型化や高容量化に伴い、電解コンデ
ンサ用アルミニウム電極箔には、前記の技術的課題で
ある高い静電容量のみならず、前記のアルミニウム箔
表面の静電容量が箔表面の各部で均一であることが求め
られている。特に、アルミニウム電極箔の素材であるア
ルミニウム箔の電解エッチングは、広幅の箔コイルの状
態で行われ、電解エッチング後にコイルの幅方向に分割
され、所定幅の複数の電極箔とされるため、箔コイルの
幅方向の中心部と端部、或いは長手方向の各部など、箔
コイル表面各部での静電容量のばらつきは、そのまま電
極箔同士のばらつきとなり、同一コイルから多量に生産
される電解コンデンサの静電容量の均一性にとって、致
命的な欠陥となりうる。したがって、電解エッチングさ
れた後のアルミニウム箔コイル表面の任意の二箇所の静
電容量の差はできるだけ少なく、好ましくは2.0 μF/cm
2 以下、より好ましくは1.0 μF/cm2 以下( 但し、静電
容量は化成電圧2Vにて誘電体酸化皮膜を形成した箔で測
定) とする必要がある。
【0013】この点、前記従来技術のうち、まず、素材
面からの、アルミニウム箔の化学成分組成や組織あるい
は製造条件の改良は、箔材料中の不純物の析出による電
解エッチング時の粗大孔の防止などに、それなりの効果
は認められるものの、アルミニウム合金箔コイル表面の
各部位、特に幅方向での静電容量の均一性については考
慮されていない。この点は、前記電解エッチング処理条
件の面からの改善技術も同様である。
【0014】アルミニウム合金箔表面各部位の静電容量
の均一性を得ようとすると、アルミニウム箔材料表面を
均質にして、電解エッチングでのエッチングムラの発生
を防止する( 以下電解エッチング性と言う) ことが重要
となってくる。そして、特に軟質箔においては、焼鈍に
より軟質化されるため、アルミニウム箔材料表面の均質
性は、電解エッチングされる前の、特に前記焼鈍により
アルミニウム箔表面に生成している酸化皮膜の均質性に
大きく依存している。その結果、アルミニウム箔表面の
酸化皮膜の均質性は、前記電解エッチング性に大きく影
響する。
【0015】このため、特公平7 −113155号公報のよう
に、アルミニウム箔を圧延後、アルミニウムに対し吸着
性の高い酸または化合物を含有する水溶液に接触させ、
圧延後のアルミニウム箔を焼鈍後、長時間放置しても、
保管雰囲気中の水分や酸素と反応して箔表面層が変質す
ることを抑制することが開示されている。また、特公平
6 −188155号公報には、アルミニウム箔を圧延および焼
鈍後、焼鈍により生成しているアルミニウム箔コイルの
表面層( 主として酸化皮膜) を除去し、更に電解エッチ
ング性の良い、コイルの幅方向に膜厚の一定な酸化皮膜
を形成することが開示されている。
【0016】しかしながら、これら従来技術において
も、酸化皮膜形成工程での雰囲気管理や、工程間のリー
ドタイムの管理が十分でなければ、コイルの幅方向で、
電解エッチングムラが生じ、静電容量のばらつきが生じ
る。また、例え、コイルの幅方向に膜厚の一定な酸化皮
膜を形成しても、電解エッチング後のアルミニウム箔コ
イルの幅方向や長手方向に静電容量のばらつきが生じる
ことを、本発明者らは知見した。即ち、従来技術のよう
に、例え、電解エッチング前のアルミニウム箔コイル表
面層(酸化皮膜)の変質を抑制し、特に、アルミニウム
箔コイル表面の幅方向に膜厚の一定な酸化皮膜を形成し
たとしても、電解エッチング後のアルミニウム箔コイル
の幅方向に静電容量のばらつきは生じ、これら従来技術
は、アルミニウム箔コイルの電解エッチング性改善の決
め手にならない。
【0017】したがって本発明は、これらの点に鑑み、
前記従来技術の問題点を克服し、電解エッチング性に優
れ(電解エッチングムラが生じず)、アルミニウム箔コ
イル表面の特に幅方向で、電極箔として静電容量が均一
で(静電容量のばらつきがなく)、静電容量自体も高い
電解コンデンサ用アルミニウム箔を提供することを目的
とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る電解コンデンサ用アルミニウム箔
は、電解エッチング前のアルミニウム箔表面の酸化皮膜
の、X=(I−900)5 ×Dで示される酸化皮膜指数X
〔但し、I:酸化皮膜のフーリエ変換赤外吸収スペクト
ルにおいてAl−O の最も強い伸縮振動に起因する反射ピ
ークの波数(cm -1)、D:酸化皮膜の膜厚 (Å) を表
す〕が、箔表面の任意の二箇所の各々の酸化皮膜指数X
eとXcとの比Xe/Xcで0.85〜1.15の範囲、より好
ましくは0.95〜1.05の範囲にあることを要旨とする。
【0019】また、本発明では、前記アルミニウム箔が
コイル状である場合には、前記Xeを、特にコイルの幅
方向の端部、前記Xcをコイルの幅方向の中心部とし
て、コイルの幅方向での静電容量を均一なものとする。
これは前記した通り、電極箔が電解エッチング後のアル
ミニウム箔コイルを、幅方向に分割して製造されるた
め、分割される個々の電極箔の静電容量を均一なものと
するためには、コイルの幅方向での静電容量を均一なも
のとする必要があるためである。しかし、このXeとX
cとは、コイルの幅方向に限らず、電極箔への加工条件
に応じて、コイルの長手方向や圧延方向の距離をおいた
位置同士とするなど、コイルの長手方向や圧延方向の任
意の位置として、コイル表面の酸化皮膜の均質性を保証
することも可能である。
【0020】前記した通り、アルミニウム箔の電解エッ
チング性は、電解エッチング前のアルミニウム箔表面の
酸化皮膜( 酸化アルミニウム)の均質性によって支配さ
れる。しかし、本発明者らの知見によれば、そしてその
酸化皮膜の均質性とは、単にアルミニウム箔表面の酸化
皮膜の膜厚だけで決まるものではなく、酸化皮膜の緻密
さで代表される膜質によっても決定される。この点は、
たとえアルミニウム箔表面の酸化皮膜の膜厚にばらつき
がある場合でも、膜厚の大きな酸化皮膜の部分が比較的
緻密ではなく、膜厚の小さな酸化皮膜の部分が比較的緻
密であった場合には、電解エッチング性にばらつきがな
く、静電容量の均一性が確保される場合があることから
も裏付けられる。
【0021】したがって、本発明者らは、アルミニウム
箔の電解エッチング性=アルミニウム箔表面の酸化皮膜
の均質性を正確に評価するためには、単に酸化皮膜の膜
厚からだけではなく、アルミニウム箔表面の酸化皮膜の
膜厚と膜質(緻密さ)の両方から評価する必要があるこ
とを知見し、この酸化皮膜の膜厚と膜質との関係が一定
範囲内にあるものが、確実に、電解エッチング性に優
れ、静電容量の均一性が確保されることを知見して、本
発明をなしたものである。
【0022】酸化皮膜の膜厚と膜質との関係とは、アル
ミニウム箔表面の酸化皮膜の膜厚と膜質との積であり、
この酸化皮膜の膜厚と膜質との積は、酸化皮膜の均質性
と非常に良く相関している。したがって、酸化皮膜の膜
厚と膜質との積により、アルミニウム箔表面の酸化皮膜
の均質性を正確に評価することができる。そして、この
酸化皮膜の膜厚と膜質との積は、X=(I−900)5 ×D
の式で示される酸化皮膜指数X〔但し、I:酸化皮膜の
フーリエ変換赤外吸収スペクトルにおいてAl−O の最も
強い伸縮振動に起因する反射ピークの波数(cm -1) 、
D:酸化皮膜の膜厚 (Å) を表す〕で示すことができ
る。
【0023】前記酸化皮膜指数Xのうち、酸化皮膜の膜
厚(D)は、通常、ハンターホール法や静電容量法、あ
るいはX線光電子分光法(XPS) により、比較的簡単に精
度良く測定することができる。しかし、アルミニウム箔
表面の酸化皮膜の膜質(緻密さ)を精度良く測定する公
知の測定方法はこれまでに無かった。言い換えると、前
記酸化皮膜の膜厚の測定法など公知の測定法では、酸化
皮膜の膜質(緻密さ)を精度良く測定することができな
い。このことは、酸化皮膜の膜厚と膜質との積が、酸化
皮膜の均質性なり、電解エッチング性なりと良く相関し
ていることを知見しても、酸化皮膜の膜質を精度良く測
定することができなければ、実際に、この技術思想を適
用して電解コンデンサ用アルミニウム箔の静電容量を均
一にすることはできないことを意味している。
【0024】この酸化皮膜の膜質の測定方法に関し、本
発明者らは種々検討した結果、フーリエ変換赤外吸収ス
ペクトル分析法(FT-IR法) を用いれば、酸化皮膜の膜質
(緻密さ)を比較的正確に測定できることも合わせて知
見した。即ち、通常、酸化皮膜( 酸化アルミニウム)の
フーリエ変換赤外吸収スペクトルの反射ピーク位置(Al
−O の最も強い伸縮振動に起因する反射ピークの波数)
は、およそ945 〜955cm -1の範囲に検出される。しかし
て、このピーク位置と酸化皮膜の緻密さには一定の相関
があり、このピーク位置が高いほど、酸化皮膜が緻密で
ある。例えば、電解コンデンサ用アルミニウム箔上に形
成された薄膜の酸化皮膜の欠陥が少なく緻密であると95
5cm -1に検出される。また、逆に、この薄膜の酸化皮膜
の欠陥が増加し緻密さが少なくなると、ピーク位置はこ
れより低波数側に移動し、945 cm -1 近くに達する。し
たがって、酸化皮膜の膜質を評価するためには、前記式
の通り、このフーリエ変換赤外吸収スペクトルにおいて
Al−O の最も強い伸縮振動に起因する反射ピークの波数
Iを測定することにより可能である。因みに、フーリエ
変換しない赤外吸収スペクトル分析法では、酸化皮膜の
膜質(緻密さ)は測定できない。即ち、酸化皮膜は100
Å未満の薄膜であり、赤外吸収スペクトル分析法では、
シグナル中のノイズの中から微小な酸化アルミニウムの
ピークを検出するために、多大なシグナルの積算が必要
となる。この点、フーリエ変換赤外吸収スペクトル分析
法は、単位シグナル当たりの測定時間が短いことが特徴
であり、多大なシグナルの積算も可能である。一方、フ
ーリエ変換しない赤外吸収スペクトル分析法では、前記
単位シグナル当たりの測定時間がフーリエ変換赤外吸収
スペクトル分析法の100 〜1000倍であり、前記多大なシ
グナルの積算が事実上不可能である。
【0025】このフーリエ変換赤外吸収スペクトル分析
法による酸化皮膜の膜質測定により、酸化皮膜の膜厚と
の積である、X=(I−900)5 ×Dで示される酸化皮膜
指数Xを求めることが可能となる。そして、該酸化皮膜
指数Xとアルミニウム箔の電解エッチング性との具体的
な関係として、アルミニウム箔の電解エッチング性は、
電解エッチング前のアルミニウム箔表面の任意の場所の
酸化皮膜指数XeとXcとの比Xe/Xcが、0.85〜1.
15の範囲、より好ましくは0.95〜1.05の範囲にある場合
に良好となる。言い換えると、このような酸化皮膜の膜
厚と膜質との積で表される酸化皮膜の均質性が、アルミ
ニウム箔表面の任意の場所で一定(範囲内)である場合
に電解エッチング性が良好となる。
【0026】そして、この電解エッチング性が良好とな
る結果、電解エッチングされた後のアルミニウム箔コイ
ル表面の任意の箇所(部位)同士の静電容量の差を少な
くし、箔コイル表面の静電容量を均一にすることができ
る。より具体的には、電解エッチング後、アルミニウム
箔表面のエッチングピットに誘電体酸化皮膜を設けて静
電容量を測定した場合、アルミニウム箔表面の任意の箇
所同士の静電容量の差を、2.0 μF/cm2 以下、より好ま
しくは1.0 μF/cm2 以下( 但し、静電容量は化成電圧2V
にて誘電体酸化皮膜を形成した箔で測定) とすることが
できる。逆に、Xe/Xcが0.85〜1.15の範囲、より好
ましくは0.95〜1.05の範囲を上限や下限に外れた場合に
は、酸化皮膜の膜厚と膜質とのいずれか、あるいは両方
が不均一であり、酸化皮膜の均質性が劣り、アルミニウ
ム箔の電解エッチング性が劣ることになる。したがっ
て、電解エッチング時にエッチングムラを生じやすく、
アルミニウム箔コイルの、例えば幅方向や長手方向の静
電容量の均一性が確保できなくなる。
【0027】また、本発明においては、以上説明した通
り、アルミニウム箔表面の酸化皮膜の均質性が確保さ
れ、電解エッチング性が良好となるため、高い静電容量
が達成できる効果も合わせて有する。これは、電解エッ
チング性が良好となる結果、電解エッチング工程におい
て、アルミニウム箔表面に微細なエッチングピットが多
数均一に形成されるとともに、箔の厚み方向に深いエッ
チングピットが順次形成され、電解エッチングによるア
ルミニウム箔の減量を必要以上に大きくすることなく、
単位エッチング減量当たりの静電容量を大きくすること
ができるからである。より具体的には、本発明により電
解エッチングでの単位エッチング減量当たり(1mg/cm2)
の静電容量を9.0 μF/cm2 以上( 但し、静電容量は化成
電圧2Vにて誘電体酸化皮膜を形成した箔で測定) とする
ことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の、静電容量の均一な電解
コンデンサ用アルミニウム箔を得る製造方法について以
下に説明する。まず、所定厚みのアルミニウム箔圧延コ
イルを得るまでは、常法により製造可能である。即ち、
高純度のアルミニウム鋳塊を、均熱処理後熱間圧延し、
必要により中間焼鈍しながら、冷間圧延で所定厚みに、
およびスリットして所定幅のアルミニウム箔圧延コイル
とする。このアルミニウム箔圧延コイルは、前記冷間圧
延後、最終焼鈍し、電解エッチングされてアルミニウム
箔表面に多数のエッチングピットが設けられ電極用の箔
とされるが、陽極用に用いられる場合には、更に誘電体
酸化皮膜がエッチングピットに設けられる。
【0029】このような電解コンデンサ用アルミニウム
箔の製造方法において、アルミニウム箔表面の酸化皮膜
の均質性を確保し、電解エッチング前のアルミニウム箔
表面の酸化皮膜指数を、前記特定の範囲内にするために
は、前記冷間圧延後、最終焼鈍し、電解エッチングされ
るまでの工程が重要となる。即ち、アルミニウム箔表面
の酸化皮膜の均質性を確保するための具体的な手段は、
以下に記載する手段を採用することが好ましく、これら
の手段を、前記冷間圧延後、最終焼鈍し、電解エッチン
グされるまでの工程に盛り込むことが好ましい。
【0030】箔圧延から焼鈍までの最終焼鈍前のアル
ミニウム箔のコイル状での保管時間を短くしてコイル状
での酸化皮膜の成長を抑制する。最終焼鈍前に燐酸ソ
ーダ系や苛性ソーダ系などの水溶液でアルミニウム箔コ
イル表面のエッチング洗浄乃至酸化皮膜の除去を行う。
あるいは、最終焼鈍前の焼鈍を不活性ガス雰囲気下で
行う、最終焼鈍前の焼鈍を真空引き下で行い焼鈍中の
コイルから発生するガスをより多く除去し、焼鈍中、コ
イル状での酸化皮膜の成長を抑制する。更に、最終焼
鈍から電解エッチングまでのアルミニウム箔のコイル状
での保管時間を短くしてコイル状での酸化皮膜の成長を
抑制する。電解エッチング前に燐酸ソーダ系や苛性ソ
ーダ系などの水溶液でアルミニウム箔コイル表面のエッ
チング洗浄乃至酸化皮膜の除去を行う。アルミニウム
箔コイルでの保管雰囲気を空調する。
【0031】これらの手段は、最終焼鈍前のアルミニウ
ム箔製造工程上で、アルミニウム箔表面に不均質な酸化
皮膜が生成する可能性のある条件を改善する、あるいは
不均質な酸化皮膜が生成した場合にこれを除去するもの
であって、要は工程管理を厳密に行うことに趣旨があ
る。したがって、実際にはアルミニウム箔製造工程の環
境や条件に応じて、本発明アルミニウム箔の条件を満足
すべく、これらの手法を単独乃至組み合わせて適宜用い
る。また、仮に、工程管理を前記のように比較的厳密に
行わなかったアルミニウム箔であっても、電解エッチン
グ前に、本発明の箔表面の任意の場所の酸化皮膜指数X
eとXcとの比Xe/Xcを求め、これが0.85〜1.15の
範囲、より好ましくは0.95〜1.05の範囲にあれば、電解
エッチング性が良好であるので、電解エッチングを施す
ことが可能である。したがって、本発明は、電解エッチ
ング前のアルミニウム箔の電解エッチング性の評価に用
いることも可能である。
【0032】本発明に使用するアルミニウム箔のAl純
度は、陽極用には99.96%以上、より好ましくは9
9.9%以上、また、陰極用には99%以上、より好ま
しくは99.8%以上、の高純度アルミニウム箔を使用
するのが好ましい。また、JISH4170(199
4)で規定されたAl純度99.99%以上(合金番号
IN99)や、Al純度99.90%以上(合金番号I
N90)などを用いることも好ましいが、要は、使用電
圧や電極などの用途や要求特性条件によって、適宜選択
される。
【0033】また、Al(アルミニウム箔)中のFe、
Si、Cu等の不純物は、これら不純物による粗大な析
出物がアルミニウム箔表面に存在していると、電解エッ
チングを施した際に粗大孔(エッチングピット)が生じ
るという問題を生じる。したがって、前記従来技術と同
様、Fe、Si、Cu等の不純物は、これらの不純物量
を各々70ppm 以下に規制することが好ましい。
【0034】本発明による電解コンデンサ用アルミニウ
ム箔は、電極箔として、中低圧用あるいは高圧用の陽極
用にも陰極用にも用いることができる。陽極に用いる場
合には、塩酸水溶液などの塩素含有水溶液で、直流また
は交流電解エッチングをした後、化成処理液として、ホ
ウ酸系(ホウ酸、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸−ホウ
砂)、燐酸塩系(第1燐酸アンモニウム、第2燐酸アン
モニウム、第3燐酸アンモニウム、燐酸ナトリウム)、
アジピン酸系(アジピン酸、アジピン酸アンモニウ
ム)、非水溶液系(エチレングリコール)を用いた化成
処理(陽極酸化処理)工程により誘電体酸化皮膜が形成
される。
【0035】
【実施例】純度99.98%(Fe,Si,Cu の不純物量は各々70pp
m 以下) のアルミニウム鋳塊を、550 ℃で5 時間均熱処
理後、圧下率5 〜50% で熱間圧延し、圧下率25〜60% で
冷間圧延し、スリットして、幅500mm 、箔厚100 μm の
アルミニウム箔圧延コイルとした。このアルミニウム箔
コイルを、前記冷間圧延後最終焼鈍し電解エッチングに
至る条件を、表1に示す如く、種々変えて処理し、電解
エッチング前の試料とした。これらのアルミニウム箔コ
イル表面の酸化皮膜のAl−O の最も強い伸縮振動に起因
する反射ピークの波数を、コイル幅方向端部とコイルの
幅方向中心部から採取した試料により、フーリエ変換赤
外吸収スペクトル法を用いて測定した。また、アルミニ
ウム箔コイル表面の同じ場所の酸化皮膜の膜厚をX 線光
電子分光法(XPS法) により測定した。これらの結果を表
2に示す。また、これらの値から、コイルの幅方向端部
( Xe) とコイルの幅方向中心部( Xc) における酸化
皮膜指数を求め、その比Xe/Xcを計算した。これら
の結果を、同じく表2に示す。なお、フーリエ変換赤外
吸収スペクトル法の試験条件は、炭酸ガスおよび水分に
よるノイズを除去するために、試料室内を窒素ガスパー
ジし、高感度反射法(入射角=75℃、平行偏光) により
測定した。ディテクター (検出器) は広範囲(400〜4000
cm-1) のものを使用し、S /N 比が100/1 になるまでス
ペクトルを積算した。試料面積は、2.5 ×5cm とした。
【0036】更に、これら処理したアルミニウム箔コイ
ルを、電解エッチング液(: 8wt% 塩酸、0.1wt%硫酸、5%
塩化アルミニウムを含む水溶液、液温35℃) 、電解条件
( 周波数20Hz・正弦波、電流密度0.65A/cm2 、電解時間
2.3 分) で直接通電法にて、交流電解エッチングを実施
した。これら電解エッチング後のアルミニウム箔コイル
を、アジピン酸アンモニウム水溶液(60 ℃) 、化成電圧
2Vにて、化成処理( 陽極酸化処理) して誘電体( バリヤ
ー型酸化皮膜) を設けた。この箔コイルの幅方向端部と
幅方向中心部について、等価直列回路( 測定液; アジピ
ン酸アンモニウム水溶液、30℃、測定周波数; 120Hz 、
測定電圧50mv) にて静電容量 (μF/cm2)を各々測定し、
両部位の静電容量の差も求めた。また走査型電子顕微鏡
にて電解エッチング後のアルミニウム箔コイル表面のエ
ッチングピットを観察し、コイル表面の溶け残りむらを
観察し、直接電解エッチング性を評価した。また、電解
エッチングでの単位エッチング減量当たりの静電容量
(μF/mg) も調査した。これらの結果を表3に示す。
【0037】表1、2、3に基づいて、圧延後最終焼鈍
し電解エッチングに至る条件が近似した本発明例と比較
例とを比較する。表1、2、3の発明例1と比較例6と
の比較において、比較例6は最終焼鈍中のコイル実体温
度が低いために、コイル表面の水分や圧延油等が除去さ
れず、電解エッチング前までに形成されるコイル表面の
酸化皮膜が不均質なものとなり、発明例1よりもアルミ
ニウム箔コイル表面の酸化皮膜の反射ピークの波数や、
また酸化皮膜の膜厚、そして酸化皮膜指数が、コイル幅
方向端部とコイルの幅方向中心部において大きくばらつ
いている。この結果、表3の通り、コイル幅方向端部と
コイルの幅方向中心部において、静電容量が大きくばら
つき、またコイル表面のエッチングの溶け残りむらも存
在する。これに対して、発明例1は、電解エッチング前
までに形成されるコイル表面の酸化皮膜が均質であり、
アルミニウム箔コイル表面の酸化皮膜の反射ピークの波
数や酸化皮膜の膜厚が、コイル幅方向端部とコイルの幅
方向中心部において差がなく、酸化皮膜指数が0.85〜1.
15の範囲にある。この結果、表3の通り、コイル幅方向
端部とコイルの幅方向中心部において、静電容量のばら
つきが無く、またコイル表面のエッチングの溶け残りむ
らも無い。また、単位エッチング減量当たりの静電容量
(μF/mg) も高くなっている。
【0038】表1、2、3の発明例2、3と比較例8と
の比較において、比較例8は最終焼鈍から電解エッチン
グまでの時間がかかりすぎており、電解エッチング前ま
でに形成されるコイル表面の酸化皮膜が不均質なものと
なり、発明例2、3よりもアルミニウム箔コイル表面の
酸化皮膜の反射ピークの波数や、また酸化皮膜の膜厚、
そして酸化皮膜指数が、コイル幅方向端部とコイルの幅
方向中心部において大きくばらついている。この結果、
表3の通り、コイル幅方向端部とコイルの幅方向中心部
において、静電容量が大きくばらつき、またコイル表面
のエッチングの溶け残りむらも存在する。これに対し
て、発明例2、3は、電解エッチング前までに形成され
るコイル表面の酸化皮膜が均質であり、アルミニウム箔
コイル表面の酸化皮膜の反射ピークの波数や酸化皮膜の
膜厚が、コイル幅方向端部とコイルの幅方向中心部にお
いて差がなく、酸化皮膜指数が0.85〜1.15の範囲にあ
る。この結果、表3の通り、コイル幅方向端部とコイル
の幅方向中心部において、静電容量のばらつきが無く、
コイル表面のエッチングの溶け残りむらも無い。また、
電解エッチングでの単位エッチング減量当たりの静電容
量( μF/mg) も高くなっている。
【0039】表1、2、3の発明例4と比較例7との比
較において、比較例8は大気中で最終焼鈍しており、大
気中の酸素や水分によって、電解エッチング前までに形
成されるコイル表面の酸化皮膜が不均質なものとなり、
発明例4よりもアルミニウム箔コイル表面の酸化皮膜の
反射ピークの波数や、また酸化皮膜の膜厚、そして酸化
皮膜指数が、コイル幅方向端部とコイルの幅方向中心部
において大きくばらついている。この結果、表3の通
り、コイル幅方向端部とコイルの幅方向中心部におい
て、静電容量が大きくばらつき、またコイル表面のエッ
チングの溶け残りむらも存在する。これに対して、発明
例4は、比較例8と同じく、大気中で最終焼鈍している
ものの、電解エッチング前に燐酸ソーダ水溶液で洗浄し
ており、この結果コイル表面の酸化皮膜が均質となり、
アルミニウム箔コイル表面の酸化皮膜の反射ピークの波
数や酸化皮膜の膜厚が、コイル幅方向端部とコイルの幅
方向中心部において差がなく、酸化皮膜指数が0.85〜1.
15の範囲にある。この結果、表3の通り、コイル幅方向
端部とコイルの幅方向中心部において、静電容量のばら
つきが無く、コイル表面のエッチングの溶け残りむらも
無い。また、電解エッチングでのエッチング減量当たり
の静電容量も高い。
【0040】表1、2、3の発明例5と比較例9との比
較において、比較例9は最終焼鈍から電解エッチングま
での時間がかかりすぎており、電解エッチング前までに
形成されるコイル表面の酸化皮膜が不均質なものとな
り、発明例5よりもアルミニウム箔コイル表面の酸化皮
膜の反射ピークの波数や、また酸化皮膜の膜厚、そして
酸化皮膜指数が、コイル幅方向端部とコイルの幅方向中
心部において大きくばらついている。この結果、表3の
通り、コイル幅方向端部とコイルの幅方向中心部におい
て、静電容量が大きくばらつき、またコイル表面のエッ
チングの溶け残りむらも存在する。これに対して、発明
例5は、比較例9と同じく、最終焼鈍から電解エッチン
グまでの時間がかかりすぎているものの、電解エッチン
グ前に苛性ソーダ水溶液で洗浄しており、この結果電解
エッチング前までに形成されるコイル表面の酸化皮膜が
均質であり、アルミニウム箔コイル表面の酸化皮膜の反
射ピークの波数や酸化皮膜の膜厚が、コイル幅方向端部
とコイルの幅方向中心部において差がなく、酸化皮膜指
数が0.85〜1.15の範囲にある。この結果、表3の通り、
コイル幅方向端部とコイルの幅方向中心部において、静
電容量のばらつきが無く、コイル表面のエッチングの溶
け残りむらも無い。また、電解エッチングでのエッチン
グ減量当たりの静電容量も高い。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、電解エ
ッチング性に優れ、アルミニウム箔表面の任意の部位で
静電容量が均一で、しかも静電容量の高い電解コンデン
サ用アルミニウム箔を提供することができる。そして、
従来のアルミニウム箔の製造方法を、大幅に変更するこ
となく、その効果が達成できる点で工業的な意義は大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、アルミニウム電解コンデンサの基本構
造を示す説明図である。
【符号の説明】
1;陽極アルミニウム箔 2;陰極アルミ
ニウム箔 3;セパレート紙 4;誘電体層
(バリヤー型酸化皮膜) 5;リード線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江藤 武比古 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解エッチングされる前のアルミニウム
    箔表面の酸化皮膜のX=(I−900)5 ×Dで示される酸
    化皮膜指数X〔但し、I:酸化皮膜のフーリエ変換赤外
    吸収スペクトルにおいてAl−O の最も強い伸縮振動に起
    因する反射ピークの波数(cm -1) 、D:酸化皮膜の膜厚
    (Å) を表す〕が、該アルミニウム箔表面の任意の二箇
    所の各々の酸化皮膜指数XeとXcとの比Xe/Xc
    で、0.85〜1.15の範囲にあることを特徴とする静電容量
    の均一な電解コンデンサ用アルミニウム箔。
  2. 【請求項2】 前記Xe/Xcが0.95〜1.05の範囲にあ
    る請求項1に記載の静電容量の均一な電解コンデンサ用
    アルミニウム箔。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウム箔がコイル状であり、
    前記Xeがコイルの幅方向の端部、前記Xcがコイルの
    幅方向の中心部である請求項1または2に記載の静電容
    量の均一な電解コンデンサ用アルミニウム箔。
  4. 【請求項4】 前記アルミニウム箔が電解コンデンサの
    陽極用で、前記電解エッチングによりエッチングピット
    を形成した後、誘電体酸化皮膜を形成したものである請
    求項1乃至4のいずれか1項に記載の静電容量の均一な
    電解コンデンサ用アルミニウム箔。
  5. 【請求項5】 前記アルミニウム箔のAl純度が99.6%
    以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の静電
    容量の均一な電解コンデンサ用アルミニウム箔。
  6. 【請求項6】 前記アルミニウム箔中の不純物元素であ
    るFe、Si、Cuの量を各々70ppm 以下とする請求項
    1乃至5のいずれか1項に記載の静電容量の均一な電解
    コンデンサ用アルミニウム箔。
  7. 【請求項7】 前記アルミニウム箔のAl純度が99.99
    %以上である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の静
    電容量の均一な電解コンデンサ用アルミニウム箔。
  8. 【請求項8】 前記アルミニウム箔が軟質箔である請求
    項1乃至7のいずれか1項に記載の静電容量の均一な電
    解コンデンサ用アルミニウム箔。
  9. 【請求項9】 電解エッチングされた後のアルミニウム
    箔表面の任意の二箇所の静電容量の差が2.0 μF/cm2
    下( 但し、静電容量は化成電圧2Vにて誘電体酸化皮膜を
    形成した箔で測定) である請求項1乃至8のいずれか1
    項に記載の静電容量の均一な電解コンデンサ用アルミニ
    ウム箔。
  10. 【請求項10】 電解エッチングされた後のアルミニウ
    ム箔表面の任意の二箇所の静電容量の差が1.0 μF/cm2
    以下( 但し、静電容量は化成電圧2Vにて誘電体酸化皮膜
    を形成した箔で測定) である請求項1乃至9のいずれか
    1項に記載の静電容量の均一な電解コンデンサ用アルミ
    ニウム箔。
  11. 【請求項11】 電解エッチングでの単位エッチング減
    量(1mg/cm2) 当たりの静電容量が9.0 μF/cm2 以上 (但
    し、静電容量は化成電圧2Vにて誘電体酸化皮膜を形成し
    た箔で測定) である請求項1乃至10のいずれか1項に
    記載の静電容量の均一な電解コンデンサ用アルミニウム
    箔。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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