JPH11166296A - Pc鋼撚り線及びその製造方法 - Google Patents

Pc鋼撚り線及びその製造方法

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JPH11166296A
JPH11166296A JP28132698A JP28132698A JPH11166296A JP H11166296 A JPH11166296 A JP H11166296A JP 28132698 A JP28132698 A JP 28132698A JP 28132698 A JP28132698 A JP 28132698A JP H11166296 A JPH11166296 A JP H11166296A
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JP
Japan
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wire
strands
stranded
coating
thermosetting resin
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Application number
JP28132698A
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English (en)
Inventor
Toshihiko Niki
敏彦 仁木
Taiji Mikami
泰治 三上
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐食性および耐疲労特性の高いPC鋼撚り線
とその製造方法を提供する。 【解決手段】複数の素線を撚り合わせてなる線材に、熱
硬化性樹脂の被覆層を設けたPC鋼撚り線である。各素
線は少なくとも各素線同士が接触する部分以外の全ての
素線表面が脱脂されており、かつ各素線同士の隙間に樹
脂が充填されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐疲労性及び耐食
性に優れたPC鋼撚り線及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】PC鋼撚り線の耐食性及び耐疲労性の向
上に関する技術には、従来より種々のものが提案されて
いる。
【0003】まず、耐食性の向上に関しては、中心素線
の周りに複数の外周素線が螺旋状に撚り合わされた線材
の表面に、ショットブラストを行い、撚り線のまま粉体
塗装を行う技術(特公平3−28551号公報)や、一
旦撚り線の撚りを開き中心素線と外周素線の間にまで樹
脂を充填し、各素線間の隙間に水分が浸透しないように
する技術等(特公平1−54142、特公平2−531
39、特公平3−1436、特開昭62−133194
号公報参照)がある。
【0004】又、耐疲労性の向上に関しては、PC鋼撚
り線の構造そのものに関するものと、定着具に関するも
のが考えられるが、従来より定着具の形状や構造につい
ての提案は種々なされているものの、PC鋼撚り線その
ものに関する効果的な技術の提案はなされていない。
【0005】ところで、PC鋼撚り線に繰り返し応力が
かかった場合、定着具とPC鋼撚り線の接触部分のフレ
ッチングが金属疲労を招く大きな要因であるが、撚り線
を構成する素線同志の相対的移動が存在する限り、定着
部分のフレッチングが防止できても疲労特性値は撚り線
そのものの値に収束する。PC鋼撚り線の疲労特性を向
上するためには、これを構成する素線全体の相対的移動
が発生しないよう固定させると共に、酸素の供給をでき
る限り遮断する必要があり、上記のような樹脂塗装もそ
のために行われてきた。
【0006】そして、特に耐食性の向上を目的としたア
ンボンドPC鋼撚り線としては、特公昭53−4760
9、特開昭61−122360、実開昭61−6931
8、特公昭56−36264、特公平2−60504、
特開平1−260082号公報等に記載されたものがあ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のいずれ
の従来技術によっても、各素線間の移動を防止すること
はできない。即ち、PC鋼撚り線は、撚り加工を行う前
に素線の強度向上のため、ダイスを用いて伸線引き抜き
加工を行う。このとき、ダイスと鋼材の金属接触を防止
するため、潤滑剤として石けんが用いられているが、こ
れが撚り加工後も鋼材表面に残存する。石けんのような
油脂分が鋼材表面に付着していると、ここに樹脂塗装を
行っても十分な接着強度を得ることができず、素線の移
動を防止することはできない。
【0008】この点、前記従来例は、既に撚り加工がさ
れた線材表面にブラストを行ってるが、これにより脱脂
されるのは撚り線表面だけであり、脱脂されていない中
心素線や外周素線の内面について、高い接着強度をもつ
樹脂被覆を施すことはできない。この部分での十分な接
着強度が得られない場合、次のような問題があった。 PC鋼撚り線をハンドリング又は緊張時、鋼材に曲げ
や引張の歪みが発生した場合、容易に鋼材表面から樹脂
が剥離し、切断端面から水分などが毛細管現象により浸
透していく。
【0009】素線同志を十分に固定することができ
ず、又素線付近に酸素が供給され、耐疲労性向上を達成
し得ない場合がある。
【0010】又、前記従来のアンボンドPC鋼撚り線
は、ロックアンカー、アースアンカー等に用いられた場
合(図4参照)、定着長部Aが直接腐食環境にさらされ
るものや、定着長部Aの撚り線に樹脂被覆がなされてい
るものでも、この樹脂被覆と、モルタルなどとの十分な
付着性が得られないものがあった。さらに、各素線間の
隙間には樹脂が充填されていないため、PC鋼撚り線の
端部から腐食環境水が浸透するという問題もあった。
【0011】本発明は、このような問題を改善するため
になされたものであって、その目的は、耐食性及び耐疲
労特性の高いPC鋼撚り線及びその製造方法を提供する
ことにある。更に他の目的は、前記PC鋼撚り線を応用
して、耐食性、耐疲労性に優れると共に、モルタル等と
の付着性にも優れたアンボンドPC鋼撚り線を提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明PC鋼撚り線は、特に中心素線と外周素線の
隙間における樹脂被覆の接着強度が改善できるもので、
複数の素線を撚り合わせてなる線材に、樹脂被覆層を設
けたものであって、前記各素線は少なくとも各素線同士
が接触する部分以外の全ての素線表面が脱脂されてお
り、かつ各素線同士の隙間に樹脂が充填されてなること
を特徴とするものである。
【0013】又、前記素線の脱脂に加えて、化成被膜を
有することや、素線表面が脱脂、粗面化されたこと、さ
らにはこの素線の脱脂、粗面化の上に化成被膜を設けた
ことを特徴とする。
【0014】このようなPC鋼撚り線の製造方法は、各
素線に脱脂を施している線材を、加熱した後、一旦撚り
を開き、この状態で各素線の全面に粉体塗装又は押出加
工にて樹脂被覆を施し、その後元の撚り合わせ状態に戻
して樹脂被覆を硬化させることを特徴とするものであ
る。
【0015】ここで、素線の脱脂は、脱脂剤に浸漬する
ことで行うが、その手順には次の3通りのものがある。 撚り加工を行う前に各素線の全面を脱脂する。 既に撚り合わされた線材を、そのまま粘度の低い脱脂
剤に浸漬し、撚り線を構成する各素線の少なくとも、各
素線同志が接触する部分以外の全ての素線表面を脱脂す
る。
【0016】このように素線表面の脱脂を行えば実用上
十分な接着強度を有する樹脂被覆を行うことができる
が、前記脱脂に加えて、素線表面にクロム系薬剤などで
化成被膜を形成してもよい。又、ブラスト処理若しくは
酸洗によるエッチング効果により素線表面を脱脂、粗面
化させたり、さらにはこの脱脂、粗面化された上に化成
被膜を形成すれば、一層高い接着強度を得ることができ
る。これらの各処理は、前記3手順における各脱脂に引
き続いて行う。尚、前記の場合、脱脂及び酸洗は、超
音波振動を与えながら行えば一層効果的である。
【0017】そして、このような撚り線に樹脂被覆を施
す手段は、前記のように、撚り線を加熱した後、例え
ば、撚り拡げ機に送り込んで一旦撚りを開き、この状態
で各素線の全周に粉体塗装又は押出加工にて樹脂被覆を
施し、その後元の撚り合わせ状態に戻して前記樹脂被覆
を硬化させるのである。
【0018】樹脂被覆の際に撚りを一旦開く方法は、例
えば、特公平1−54142、特公平2−53139、
特公平3−1436号公報等に示されるものがあり、こ
れらを応用することができる。
【0019】又、被覆に用いる樹脂は、熱硬化性或は経
時硬化性樹脂で、接着性及び抗張力性に優れたものがよ
く、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂等が用いられる。
【0020】(アンボンドPC鋼撚り線)さらに、この
技術を応用して得られたアンボンドPC鋼撚り線は、複
数の素線を撚り合わせてなる線材に、プラスチック被覆
層を設け、最外層の外被と前記被覆層との間に潤滑剤層
を有するPC鋼撚り線であって、各素線はその表面が脱
脂、粗面化されており、前記被覆層は素線の撚り目が外
表に現れるよう形成され、かつ固形粒子がその一部を前
記被覆層の表面に突出して固着され、また各素線間はプ
ラスチックが充填されてなることを特徴とする。
【0021】ここで、脱脂、粗面化は、素線を撚り合わ
せる前又はその後に、ショットブラト等により行う。
又、前記プラスチック被覆層は、耐食性、耐薬品性を考
えれば、エポキシ樹脂が適しており、被覆方法は、粉体
塗装(例えば、流動浸漬粉体塗装、静電粉体塗装)によ
り形成することが好ましい。この塗装方法は、線材を所
定の温度まで加熱し、流動浸漬槽又は静電粉体塗装槽に
おいて、前記線材を浸漬又は粉体吹き付けを行い、粉体
塗料を線材表面に融着するものである。この方法によれ
ば、被覆層の強度も高く、線材に堅固に密着させること
ができる。尚、素線の隙間にプラスチックを充填する方
法は、既に述べたように、例えば特公平3−1436号
公報記載の方法などによる。
【0022】さらに、固形粒子(例えば、砂)の固着
は、線材に施されたプラスチック被覆層が粘着状態のと
きに、吹き付けにより行うことが好ましい。この場合、
固形粒子はプラスチック被覆層の表面から突出してお
り、耐食性を考慮すれば、線材とは接触することなく固
着されていることが好ましい。
【0023】上記のように各素線の脱脂を行うことで、
従来樹脂被覆の接着性の妨げとなっていた油脂分を、ほ
ぼ素線全周にわたって取り除き、高い接着性を有する樹
脂被覆を行うことができる。更に、化成被膜を形成した
り、又はブラスト処理若しくは酸洗によるエッチング効
果により素線表面を粗面化させれば、より高い接着強度
を得ることができる。
【0024】この樹脂被覆は、一旦PC鋼撚り線の撚り
を開いて行うため、中心素線及び外周素線との隙間に
も、確実に樹脂が充填される。前記脱脂により、素線と
樹脂被覆は高い接着性を有するため、素線及び素線相互
間を堅固に固定して、その移動を防止すると共に、毛細
管現象により腐食水が素線間を浸透するのを防止して、
耐疲労性及び耐食性を改善することができる。
【0025】一方、前記PC鋼撚り線を応用したアンボ
ンドPC鋼撚り線は、これをアンカー等に用いた場合、
定着長部でプラスチック外被を除き、さらに潤滑剤を除
いても、線材表面にはプラスチックが粉体塗装により堅
固に密着している。このため、例えモルタルから腐食水
が浸透してきてもこのプラスチック被覆層が隔壁とな
り、十分な耐食性が確保できる。又、このプラスチック
被覆層は堅固なものであるため、PC鋼撚り線の施工中
に傷つく心配が少ない。
【0026】さらに、線材を構成する各素線の隙間に
は、プラスチックが充填され、素線表面の脱脂、粗面化
により、前記隙間におけるプラスチックの密着性をも向
上できるため、PC鋼撚り線の先端部分から毛細管現象
により腐食水が浸透することも防止できる。
【0027】一方、定着長部における撚り線の付着性に
関していえば、プラスチック被覆層は、素線の撚り目が
外表に現れるように形成されているため、この撚り目の
凹凸が付着性向上に寄与し、さらにプラスチック被覆層
に固着された多数の固形粒子により、定着長部における
付着性を一層確実なものとすることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】(実施例1)本発明方法によりP
C鋼撚り線を製作し、その耐食性及び耐疲労性に関する
試験を行った。以下にその詳細を説明する。
【0029】試験に用いた撚り線は、1本の中心素線の
周りに6本の外周素線を螺旋状に撚り合わせたもので、
樹脂被覆前の線径が15.2mmである。又、その製造
段階における脱脂及び樹脂被覆の条件はそれぞれ次の通
りである。
【0030】処理:既に撚り加工された撚り線の表面
にショットブラスト処理を行い、表面を粗面化したもの
(従来例)。 処理:伸線加工後、素線表面にショットブラスト処理
を行って粗面化し、その後撚り加工をしたもの(実施
例)。 処理:伸線加工後、素線表面にショットブラスト処理
を行って粗面化し、これをリン酸亜鉛溶液に浸漬して、
その後撚り加工をしたもの(実施例)。 処理:撚り線の撚りを一旦開き、この状態で5%HC
lに10秒間浸漬したもの(比較例)。 処理:撚り線のままで、5%HCl溶液に20秒間、
超音波振動を与えながら浸漬したもの(実施例)。
【0031】以上の処理により得られた各撚り線を23
0℃に加熱し、一旦撚りを開いた状態で、エポキシ粉体
塗装(膜厚600μm)を施して、その後撚りを戻した
状態で樹脂被覆を硬化させた。
【0032】(耐食性の比較)上記各PC鋼撚り線を、
全てグラインダカッタにて100mmの長さに切断し、
これを各処理条件ごとに3サンプルずつ用意して、切断
端面はそのままで、1000時間の腐食促進試験(キャ
ス試験)を行った。評価は1000時間経過後の各サン
プルを解体し、端部からの腐食進展距離を測定した。そ
の結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】同表に示すように、PC鋼撚り線を構成す
る素線のほぼ全周を脱脂してから樹脂被覆を設けること
で、腐食進展は従来例のほぼ1/10に抑えられること
が確認された。特に、処理の腐食は、中心素線上に観
察され、中心素線と外周素線との間における樹脂被覆の
接着性が十分でないことも確認された。又、脱脂後、素
線表面に化成被膜を形成することで(処理)、さらに
効果が上がっていることが確認された。但し、通常PC
鋼撚り線の場合、定着具から20〜30mmは余長とし
て荷重を受けない部分を残しているため、脱脂処理を行
うだけでも実用上何等問題がないといえる。
【0035】(耐疲労性の比較)次に、上記5通りのプ
ロセスにて処理され、樹脂被覆されたPC鋼撚り線と、
脱脂、粗面化などの処理を何も行わず、樹脂塗装も行わ
ない、通常のPC鋼撚り線(未処理材)を用いて、疲労
試験を実施した。疲労試験は、定着具の影響を避けるた
め、通常使用される鋼の歯がPC鋼撚り線に食い込む形
式の定着具を用いず、長い定着長を樹脂で固めて保持さ
せた。試験条件は、規格引張荷重の45%(11970
kgf)を上限として、種々変化させた振幅で、繰り返
し応力を与えた。耐疲労性の代用特性値として、200
万回の繰り返しにて破断しない最大の振幅応力を用い比
較を行った、その結果を図1に示す。
【0036】同図から明らかなように、本発明方法によ
り製造されたPC鋼撚り線は、いずれのプロセスでも素
線全周を脱脂してから樹脂被覆を行うことで、素線全体
が固定され、耐疲労性を大きく向上できることが確認さ
れた。
【0037】(実施例2)次に、図2に基づいて、アン
ボンドPC鋼撚り線の実施例を説明する。同図は、本発
明PC鋼撚り線の断面図を示すものである。図示のよう
に、線材として、5.2mm径の中心素線と、5.0m
径の素線を6本を用意し、撚り加工を行う前に各素線1
にショットブラストを行って、その表面を粗面化させ
る。このような素線を撚り合わせ、その表面にプラスチ
ック被覆層2として、エポキシ樹脂を流動浸漬粉体塗装
法により被覆した。ここで、この被覆層2は、素線1の
撚り目が外表に現れるように形成され、樹脂が粘着状態
の間に固形粒子3として砂が吹き付けにより固着されて
いる。そして、このエポキシ樹脂の表面にグリースで潤
滑剤層4を形成し、さらにその外周にポリエチレンを押
出加工してプラスチックの外被5を形成した。
【0038】<試験例>前記アンボンドPC鋼撚り線に
ついて疲労試験を行った。試験材料、試験条件は次の通
りである。
【0039】(試験材料) (1) 素線を撚り合わせた線材の上に潤滑剤層を有し、そ
の上に外被を設けた通常のアンボンドPC鋼撚り線(比
較例)。 (2)(1)の線材の上に粉体塗装により樹脂被覆を設けたア
ンボンドPC鋼撚り線(比較例)。 (3)(1)の線材の上に粉体塗装により樹脂被覆を設け、さ
らに素線間の隙間に樹脂を充填させたアンボンドPC鋼
撚り線(比較例)。 (4) (1) の各素線の表面を粗面化させておき、これを撚
り合わせた線材の上に粉体塗装により樹脂被覆を設け、
さらに素線間の隙間に樹脂を充填させたアンボンドPC
撚り線(本発明実施例)。
【0040】(試験条件)15.2mm径のPC鋼撚り
線の両端をクリップで固定し、上限荷重(規格破断荷重
×0.45=12000Kg)、周波数(サイクル)4
Hzにて各PC鋼撚り線の疲労試験を行った。その結果
を図3に示す。同図に示すように、予め素線表面を粗面
化しておけば、プラスチックの密着性が向上し、各素線
同志の一体性が高まる結果、疲労特性を向上できること
が確認された。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
素線表面を脱脂してから、一旦撚りを開いて樹脂被覆を
行うため、素線と樹脂被覆の接着性、特に中心素線と外
周素線の間における樹脂被覆の接着性を向上させること
ができる。これにより、毛細管現象によって腐食水が素
線間を浸透することを防止して耐食性を改善すると共
に、素線の移動を抑制して、耐疲労性を改善することが
できる。従って、耐食性及び耐疲労性が要求される斜長
橋ケーブル、吊材、海洋,港湾構造物等の重要構造物に
用いるPC鋼撚り線の製造に有効利用することができ
る。
【0042】一方、上記技術を応用して得られたアンボ
ンドPC鋼撚り線は、次のような効果を有する。予め素
線表面を脱脂、粗面化しておけば、素線とプラスチック
の密着性が向上し、各素線同志の一体性が高まる結果、
疲労特性を向上できる。特に、素線を撚り合わせる前に
ショットブラスト等により素線表面の粗面化を行えば、
確実に素線の全面を粗面状態にすることができ、素線間
の隙間に充填したプラスチックの密着性をも向上させる
ことができる。
【0043】本発明PC鋼撚り線をアンカー等に用いた
場合、定着長部の線材表面にはプラスチックが素線表面
の粗面化及び粉体塗装により堅固に密着しているため、
例えモルタルから腐食水が浸透してきてもこのプラスチ
ック被覆層が隔壁となり、十分な耐食性が確保できる。
又、線材を構成する各素線の隙間には、プラスチックが
充填されており、これは素線表面を予め粗面化しておく
ことで高い密着性を有するため、PC鋼撚り線の先端部
分から毛細管現象により腐食水が浸透することも防止で
き、一層高い耐食性を得ることができる。
【0044】さらに、プラスチック被覆層は、素線の撚
り目が外表に現れるように形成されているため、この撚
り目の凹凸が付着性向上に寄与し、さらにプラスチック
被覆層に固着された多数の固形粒子により、定着長部に
おける付着性を一層確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐疲労性の試験結果を示すグラフ。
【図2】本発明PC鋼撚り線の断面図。
【図3】本発明PC鋼撚り線及び比較例の疲労試験結果
を示すグラフ。
【図4】(A)は従来からのPC鋼撚り線をアンカーに
用いた場合の説明図、(B)は(A)図シール部分の拡
大図。
【符号の説明】
1 素線 2 プラスチック被覆層 3 固形粒子 4 潤滑剤層 5 外被 6 隙間 10 線材 11 潤滑剤 12 プラスチック 20 モルタル 21 プレート 22 クリップ

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の素線を撚り合わせてなる線材に、
    熱硬化性樹脂の被覆層を設けたPC鋼撚り線であって、
    前記各素線は少なくとも各素線同士が接触する部分以外
    の全ての素線表面が脱脂されており、かつ各素線同士の
    隙間に樹脂が充填されてなることを特徴とするPC鋼撚
    り線。
  2. 【請求項2】 複数の素線を撚り合わせてなる線材に、
    熱硬化性樹脂の被覆層を設けたPC鋼撚り線であって、
    前記各素線は少なくとも各素線同士が接触する部分以外
    の全ての素線表面が脱脂され、かつ化成被膜が形成され
    ており、各素線同士の隙間に樹脂が充填されてなること
    を特徴とするPC鋼撚り線。
  3. 【請求項3】 複数の素線を撚り合わせてなる線材に、
    熱硬化性樹脂の被覆層を設けたPC鋼撚り線であって、
    前記各素線は少なくとも各素線同士が接触する部分以外
    の全ての素線表面が脱脂、粗面化されており、各素線同
    士の隙間に樹脂が充填されてなることを特徴とするPC
    鋼撚り線。
  4. 【請求項4】 複数の素線を撚り合わせてなる線材に、
    熱硬化性樹脂の被覆層を設けたPC鋼撚り線であって、
    前記各素線は少なくとも各素線同士が接触する部分以外
    の全ての素線表面が脱脂、粗面化された上に化成被膜が
    形成され、各素線同士の隙間に樹脂が充填されてなるこ
    とを特徴とするPC鋼撚り線。
  5. 【請求項5】 各素線を脱脂剤に浸漬して、全面の油脂
    分を取り除き、これらを撚り合わせた線材を加熱した
    後、一旦撚りを開き、この状態で各素線全面に粉体塗装
    又は押出加工にて熱硬化性樹脂被覆を施し、その後元の
    撚り合わせ状態に戻して熱硬化性樹脂被覆を硬化させる
    ことを特徴とするPC鋼撚り線の製造方法。
  6. 【請求項6】 各素線を脱脂剤に浸漬して、全面の油脂
    分を取り除き、その後、リン酸亜鉛などに浸漬して全面
    に化成被膜を形成させ、これらを撚り合わせた線材を加
    熱した後、一旦撚りを開き、この状態で各素線全面に粉
    体塗装又は押出加工にて熱硬化性樹脂被覆を施し、その
    後元の撚り合わせ状態に戻して熱硬化性樹脂被覆を硬化
    させることを特徴とするPC鋼撚り線の製造方法。
  7. 【請求項7】 各素線にブラスト処理又は酸洗を施し、
    全面を脱脂、粗面化して、これらを撚り合わせた線材を
    加熱した後、一旦撚りを開き、この状態で各素線全面に
    粉体塗装又は押出加工にて熱硬化性樹脂被覆を施し、そ
    の後元の撚り合わせ状態に戻して熱硬化性樹脂被覆を硬
    化させることを特徴とするPC鋼撚り線の製造方法。
  8. 【請求項8】 各素線にブラスト処理又は酸洗を施し、
    全面を脱脂、粗面化した後、リン酸亜鉛などに浸漬して
    全面に化成被膜を形成させ、これらを撚り合わせた線材
    を加熱した後、一旦撚りを開き、この状態で各素線全面
    に粉体塗装又は押出加工にて熱硬化性樹脂被覆を施し、
    その後元の撚り合わせ状態に戻して熱硬化性樹脂被覆を
    硬化させることを特徴とするPC鋼撚り線の製造方法。
  9. 【請求項9】 複数の素線を撚り合わせてなる線材を、
    粘度の低い脱脂剤に浸漬して、少なくとも各素線同士が
    接触する部分以外の全ての素線表面を脱脂し、これを加
    熱した後一旦撚りを開き、この状態で各素線全面に粉体
    塗装又は押出加工にて熱硬化性樹脂被覆を施し、その後
    元の撚り合わせ状態に戻して熱硬化性樹脂被覆を硬化さ
    せることを特徴とするPC鋼撚り線の製造方法。
  10. 【請求項10】 複数の素線を撚り合わせてなる線材
    を、粘度の低い脱脂剤に浸漬して脱脂し、その後リン酸
    亜鉛などに浸漬して化成被膜を形成させ、これを加熱し
    た後一旦撚りを開き、この状態で各素線全面に粉体塗装
    又は押出加工にて熱硬化性樹脂被覆を施し、その後元の
    撚り合わせ状態に戻して熱硬化性樹脂被覆を硬化させる
    ことを特徴とするPC鋼撚り線の製造方法。
  11. 【請求項11】 複数の素線を撚り合わせてなる線材に
    酸洗を施して素線表面を脱脂、粗面化させ、これを加熱
    した後一旦撚りを開き、この状態で各素線全面に粉体塗
    装又は押出加工にて熱硬化性樹脂被覆を施し、その後元
    の撚り合わせ状態に戻して熱硬化性樹脂被覆を硬化させ
    ることを特徴とするPC鋼撚り線の製造方法。
  12. 【請求項12】 複数の素線を撚り合わせてなる線材に
    酸洗を施して素線表面を脱脂、粗面化させ、その後リン
    酸亜鉛などに浸漬して化成被膜を形成させ、これを加熱
    した後一旦撚りを開き、この状態で各素線全面に粉体塗
    装又は押出加工にて熱硬化性樹脂被覆を施し、その後元
    の撚り合わせ状態に戻して熱硬化性樹脂被覆を硬化させ
    ることを特徴とするPC鋼撚り線の製造方法。
  13. 【請求項13】 複数の素線を撚り合わせてなる線材
    に、エポキシ樹脂被覆層を設け、最外層の外被とエポキ
    シ樹脂被覆層との間に潤滑剤層を有するPC鋼撚り線で
    あって、各素線はその表面が脱脂、粗面化されており、
    前記被覆層は素線の撚り目が外表に現れるよう形成さ
    れ、かつ固形粒子がその一部を前記被覆層の表面に突出
    して固着され、また各素線間はエポキシ樹脂が充填され
    てなることを特徴とするPC鋼撚り線。
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