JPH1116150A - 記録媒体およびその作製法とそれを用いた記録装置 - Google Patents

記録媒体およびその作製法とそれを用いた記録装置

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JPH1116150A
JPH1116150A JP16992097A JP16992097A JPH1116150A JP H1116150 A JPH1116150 A JP H1116150A JP 16992097 A JP16992097 A JP 16992097A JP 16992097 A JP16992097 A JP 16992097A JP H1116150 A JPH1116150 A JP H1116150A
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recording
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JP16992097A
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Inventor
Chizumi Oginoya
千積 萩野谷
Kazuyuki Koike
和幸 小池
Hideo Matsuyama
秀生 松山
Takashi Furukawa
貴司 古川
Teruo Takahashi
照生 孝橋
Masafumi Kiguchi
雅史 木口
Masayoshi Ishibashi
雅義 石橋
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱揺らぎ耐性の大きな高密度磁気記録媒体を
容易に提供することおよび、その媒体を用いた磁気記録
方式を提供すること。 【解決手段】 磁性粒子の周囲で相変化に伴う体積変化
を発生させることにより磁性粒子の磁気異方性を制御
し、記録を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は記録媒体、特にマト
リックス状に配列した磁性粒子を用いた高密度記録媒体
およびこれを用いた記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、多くの磁気記録媒体は下地基
板上に磁性膜を成長させることにより作製されている。
このような磁気記録媒体では、媒体内で記録ビットの磁
化方向を、例えば面内記録ではヘッドの進行方向/逆方
向に、また例えば垂直記録、光磁気記録では上向き/下
向きに制御して、それぞれを0/1または1/0に対応
させることにより情報の記録を行っている。 近年、従
来のような連続的な磁性膜に対し、更なる高密度化を目
指して磁気的に孤立化した磁性粒子をマトリックス状に
配列させ、1粒子に1ビットの記録を行う試みがなされ
ている。例えば、ジャーナル・オブ・アプライド・フィ
ジックス76(1994年)6673頁から6675頁
(J. Appl. Phys. 76 (1994)
pp.6673−6675)では、量子磁気ディスク
(QMD)として、孤立磁性粒子を配列させることによ
り高密度記録が行える可能性を論じている。
【0003】磁気記録媒体の記録密度の向上に伴い、各
記録ビットが小さくなっていく傾向がある。しかし、1
つの記録ビットが小さくなることにより、連続的な磁性
膜による磁気記録媒体では、熱揺らぎにより磁化方向が
揺らぐ、すなわち、情報が失われる可能性が指摘されて
いる。QMDのような不連続な磁性粒子に記録を行う場
合でも、1ビットあたりの磁性体の体積は小さくなるた
め、特に熱揺らぎの影響は大きく、記録保持の点から問
題となっている。
【0004】一方、QMDのような不連続な磁性粒子で
は、構造的な異方性、例えば、ディスク表面方向に対し
て垂直方向に磁性体を大きくした構造とすると、1ビッ
ト当たりの体積を大きくすることができるため、熱揺ら
ぎの影響を受けにくくすることができる。しかし、この
ために、逆に、記録媒体の作製や情報の書き込みが困難
になるといった問題が発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は孤立化
した磁性粒子が1ビットあたりの磁性体の体積が小さく
なることにより熱揺らぎに対して耐性が弱くなることに
対して、熱揺らぎ耐性が大きく、かつ書き込みが容易に
行える記録媒体およびこれを用いた記録装置を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の問題を解決するた
めに、本発明では、ある磁化成分(例えば垂直成分)の
「検出できる状態」と「検出できない状態」をそれぞれ
記録するデータの1/0または0/1に対応させて情報
を記録する。例えば、磁化が垂直方向を向いているとき
を1、面内方向を向いているときを0に対応させる。す
なわち、従来の記録媒体が磁化の方向(例えば上向きと
下向き)をデータの1と0に対応させているのに対し
て、本発明では特定の磁化成分の検出の可否の状態をデ
ータの1と0に対応させる。
【0007】この2つの状態は磁性粒子の磁気異方性を
制御することにより可逆的に実現できる。磁性粒子の磁
気異方性の制御のためには磁歪効果を用いる。本発明に
おいては磁化の方向そのものは本来の情報ではないた
め、熱揺らぎによって磁化が逆方向を向いても、ある磁
化成分の検出の可否には支障が無く、情報が失われるこ
とはない。
【0008】
【発明の実施の形態】図1に本発明による記録媒体の基
本的な機能の概略を示す。温度ヒステリシス特性を持っ
て形状変化をする材料11を基板とし、この中に磁性粒
子12をアレイ状に配置する。図中の矢印13はこの磁
性粒子の初期状態における磁化方向を示している。記録
を行いたいビット周辺のみ材料11の温度を変化させる
ことにより磁性粒子周辺の形状を変化させ磁性粒子に応
力14が加わるようにする。その結果、磁性粒子の磁歪
効果により、磁性粒子の磁気異方性は変化し、磁化方向
が矢印13から矢印15の方向に変化する。その後、温
度をもとに戻す。材料11は形状変化に温度ヒステリシ
ス特性を持っており、温度がもとに戻されても、磁性粒
子に加わる応力14はそのまま維持されるため、情報の
記録を行うことができる。
【0009】すなわち、本発明では、矢印13あるいは
矢印15のいずれかの磁化方向を読み出すことのできる
ヘッドにより磁性粒子の磁化成分を検出するものとすれ
ば、矢印13あるいは矢印15のいずれかの磁化方向の
みが検出できる状態であり、他は検出できない状態とな
るから、それぞれを記録するデータの1と0に対応させ
て情報を記録したことになる。この場合、検出しようと
する矢印13あるいは矢印15のいずれかの磁化方向に
おいても、磁化成分の向きの変化が反転しても問題はな
い。
【0010】また、磁気異方性の強さを変化させること
で強磁性−超常磁性の転移を制御することができるた
め、強磁性時の磁化状態を読み出すことができるヘッド
を使用すれば、上述の面内磁化/垂直磁化に変えて強磁
性/超常磁性をそれぞれ1/0に対応させることにより
情報の記録を行うこともできる。
【0011】ヒステリシス特性を持った形状変化は、結
晶系の変化に伴う格子定数の変化や、結晶−非晶質相転
移などから得ることができる。
【0012】以下、発明の実施例を図面を用いて説明す
る。
【0013】実施例1 図2(a)−(g)は本発明による記録媒体の作製法の
あらましを示す図である。母体となる基板20は正方晶
系微結晶よりなるメタチタン酸バリウム(BaTi
3)で構成されている。このとき、BaTiO3微結晶
のa軸が基板20の表面に垂直になるように配置してお
く。基板表面はあらかじめ研磨しておく。基板として
は、多結晶BaTiO3でなく、a軸が基板表面に垂直
となっている単結晶を用いてもよい。
【0014】本実施例で使用するメタチタン酸バリウム
(BaTiO3)は図3に示すような温度−格子定数特
性を持っていることが知られている(例えば、新版物理
定数表(1969年)朝倉書店126頁など)。これに
よると、BaTiO3の温度−格子定数の関係は0℃近
辺でヒステリシス特性を示すことがわかる。点30より
も冷却された状態からBaTiO3を暖めていき、点3
5の温度に達すると結晶相転移が発生し、a軸とb、c
軸の格子間距離が異なった結晶構造に変化する。このま
ま温度を上げていくとb、c軸は、b'=c’のよう
に、曲線36−31−32に従って格子定数が変化す
る。点32の温度に達したとき再び結晶相転移が発生
し、b、c軸の格子定数は点33へ不連続に変化する。
更に温度を上げるとcのように曲線33−38に沿って
連続的に格子定数が変化していく。逆に、曲線33−3
8上の領域から温度を下げてくると、b、c軸の格子定
数は曲線38−33−34に沿って連続的に変化する。
温度を上昇させた時と異なり、今度は点33の温度にな
っても結晶相変化は起こさないまま推移して、点34の
温度に到達したときに結晶相変化を起こしb、c軸の格
子定数が点34から点31に不連続に変化する。さらに
冷やすと曲線31−36−37に沿って連続的に変化
し、点37の温度に於いて再び結晶相変化により格子定
数は点30に変化する。点31と点33を含むような温
度領域の温度−格子定数ヒステリシス特性に注目すると
分かるように、この材料は、摂氏零度を中にして昇温−
冷却を繰り返すと格子定数が一定の幅で増加−減少する
こととなり、摂氏零度においてその状態に保持される。
【0015】したがって初期状態として、図1(b)に
示すように応力14が作用している状態で摂氏零度に保
持して、曲線31−32の状態にある基板(この状態に
する方法は後述する)に対して、記録を行いたいビット
周辺のみ記録情報に応じて点33から38の方向に短時
間昇温し、その後、摂氏零度に戻して保持すると、記録
を行いたいビット周辺のみが図1(a)にある状態とな
り、このビット位置に対して所定の記録が行われたこと
となる。
【0016】再び図2に戻って記録媒体を構成する手順
の説明を行う。まず(a)に示すように、基板20を真
空チャンバーに導入し、スパッタ蒸着法を用いて表面に
シリコン膜21を100nm程度成長させる。基板20
を真空チャンバーより取りだし、この上にポジ型の電子
線レジスト22を塗布する。次に(b)に示すように、
これを電子線描画装置(図示せず)に導入し、作製した
い磁性粒子アレイと同じパターンでレジスト22表面上
に電子線23の照射を行う。次に(c)に示すように、
これを取り出し現像すると、レジスト22上に孔の配列
24が得られる。次に(d)に示すように、これをエッ
チング装置に導入し、CF4およびO2の混合ガスにより
RIE(Reactive Ion Etching)
を行うとシリコン膜21に孔のアレイ25ができる。シ
リコン膜21が十分エッチングされ、BaTiO3が現
れたところで、(e)に示すように、ガスをアルゴン
(Ar)に変え、等方エッチングを行う。これにより、
基板20内に孔のアレイ26が完成する。なお、本実施
例ではアルゴンイオンエッチング用のマスクとしてシリ
コン膜21を基板20に成長させて用いているが、シリ
コン膜21に代えてSiO2やTiなどを用いてもよ
い。また、これらの成長はスパッタ蒸着でなくても抵抗
加熱蒸着、EB蒸着、CVDなどを用いて作製してもよ
い。特にSiO2を成長させる場合はスピンオングラス
(Spin On Glass)などを用いてスピンキ
ャストで成長させてもよい。次に(f)に示すように、
孔あき基板20を例えば40℃で1分間加熱後、真空チ
ャンバーに導入する。これはBaTiO3を図3の曲線
33−38上の状態にする操作である。次に基板20全
体を冷却し0℃に保ちつつ基板表面に対して垂直入射と
なるように例えば鉄27を蒸着する。この操作によりB
aTiO3中の孔の径が最大に近い状態で磁性体を孔に
埋めこむことができる。孔が埋まったところで蒸着を終
了し大気中(室温で良い)に取りだす。次に(g)に示
すように、該大気中で孔以外の部分についた鉄は研磨剤
(スラリー)および研磨パッドを用いて研磨し取り除
く。基板表面が平坦になったところで研磨を中止する。
必要に応じて、基板表面に保護膜の形成などを行う。
【0017】上記手順での構成作業終了後、磁性粒子を
含む基板全体28を例えば−30℃程度に冷却し1分間
保持する。この操作により格子定数が小さくなり、基板
の孔径も小さくなる。その後、磁性粒子を含む基板全体
を0℃にて保管する。格子定数の大きな状態(孔径の大
きな状態)で鉄を蒸着後に冷却して孔径の小さな状態で
保持しているので、鉄27には基板から圧縮応力が加わ
っている状態である。この状態が図1における(b)で
あり、図3における曲線31−32と摂氏零度を示す直
線とが交叉した位置で保管されていることになる。鉄の
磁歪定数は正であるため、磁歪効果により圧縮応力を受
けた方向が磁化困難軸、基板表面と垂直方向が磁化容易
軸となり、鉄の磁化は垂直方向を向いていることにな
る。なお、本実施例では磁性体として鉄を用いたが、鉄
以外でも磁歪定数が正である強磁性体ならば用いること
ができる。
【0018】上述のように作製した記録媒体は通常0℃
にて使用する。保管および記録の読み出し時は常に0℃
を保ち、書き込み時も書き込みを行うべきビット以外は
0℃に保っておく。ただし、全ての情報を完全に消去す
る場合は磁性粒子を含む基板28全体を−30℃以下に
冷却する。この結果、全ビットが図1における(b)の
状態となる。
【0019】図4は記録媒体への記録の様子を示すもの
である。図4(a)は記録媒体作製後の摂氏零度で保管
状態にある初期状態の断面の模式図であり、すべての鉄
粒子42に周辺の基板41から圧縮応力43が加わって
いる。この状態で、鉄微粒子42の磁化方向は垂直方向
44を向いている。これらの鉄粒子42のうち、記録す
べきビット位置にある鉄微粒子42の周辺部のみを10
℃まで短時間加熱して結晶相変化を起こすと、記録すべ
きビット位置の周辺部の基板41の格子定数が広がるた
め孔径が増加し、鉄粒子42への圧縮応力43が消失す
る。このため図4(b)のように磁化容易軸の方向が変
化し、鉄微粒子42は面内方向の磁化45を持つように
なる。この後加熱を停止すると、この記録ビット付近は
周辺の基板と同じく0℃に戻るが、BaTiO3のヒス
テリシス特性のために鉄42の磁化の方向は維持され
る。すなわち、曲線33−34と摂氏零度の線が交叉し
た状態の位置で安定していることになる。以上のような
機構で垂直および面内の磁化方向を得て、それぞれを0
と1に対応させることにより情報の記録を行うことがで
きる。
【0020】このとき記録を行うビット以外のビット周
辺部まで加熱されて相変化がおきるとそのビットにも記
録が行われてしまう。特定のビットのみを加熱するため
に、記録を行いたいビット付近のみをレーザー光により
加熱する。レーザー光のスポット径が記録ビットより大
きい場合でも、温度が相転移点まで上昇する領域は書き
込みを行いたいビット近傍のみに限定されるようにす
る。この方法は一般に筆先記録と呼ばれ、光の波長以下
の領域の温度を上昇させることが可能である。
【0021】また、レーザー光以外でも細く絞った電子
線や走査型トンネル顕微鏡(STM)などに代表される
走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて加熱してもよ
い。ある特定の1ビットの情報を消去する際にはその鉄
微粒子の周辺を−30℃程度に冷やすことで可能とな
る。この機構を備えた装置を用いると、本発明は書き換
え型の記録媒体として用いることができる。冷却用のヘ
ッドを作ることが困難である場合は1回追記型の記録媒
体として用いてもよい。この場合でも、ディスク全体を
冷却することにより、全データの消去は可能である。
【0022】なお、BaTiO3の温度と格子定数の関
係は図3に示されているようにヒステリシスを持つ格子
定数変化は他の温度領域でもみられる。記録媒体として
使用するときは、温度ヒステリシスをもちかつ十分な格
子定数の変化の得られる範囲であり、必要な温度の維持
が容易であれば他の温度領域で用いてもよい。上述の実
施例では、図3に見られる3つの温度ヒステリシス領域
のうち、安定に温度を維持しやすい摂氏零度を中心とす
る温度ヒステリシス領域をとったものである。また、
BaTiO3以外でも温度と格子定数の関係がヒステリ
シスを描く材料であり、その格子定数の変化が磁性体に
容易軸の変化を生じさせるのに十分であれば、他の材料
を用いてもよい。
【0023】ここで磁性体としては鉄を用いたが、磁歪
定数が負である材料、例えばコバルトなどを用いても、
記録を行うことができる。図5(a)および(b)はコ
バルト46を用いた例を示す。この場合、圧縮応力47
が加わっているとき、その方向が磁化容易軸となり磁化
48は面内を向き、圧縮応力47が消失すると垂直方向
が磁化容易軸となるため、磁化49は垂直方向を向く点
が異なるだけで記録媒体の作成過程および初期状態の形
成の方法は同様である。
【0024】実施例2 図6は実施例1に従って作製した記録媒体への記録の様
子を示す他の実施例である。実施例1の場合よりも記録
密度を高めるため、より微小な鉄微粒子を記録ビットと
して用いている。このため、圧縮応力の加わっていない
状態では図5(b)に示すように鉄微粒子は超常磁性に
なっており、磁化方向が確定できない状態になってい
る。 実施例1と同様にディスクが完成した初期状態で
は図6(a)に示すように鉄微粒子52は周りの基板5
1からの圧縮応力に起因する強い異方性を有するため、
強磁性状態になっている。この鉄微粒子52およびその
周辺部を10℃まで加熱して基板51の結晶相変化を起
こすと、鉄微粒子52への圧縮応力53が消失する。こ
のため図6(b)のように超常磁性状態に変化する。こ
のような機構で鉄微粒子52が強磁性である状態と超常
磁性である状態をそれぞれを0と1(または1と0)に
対応させることにより情報の記録を行うことができる。
【0025】実施例3 基板として実施例1のメタチタン酸バリウムに変えてカ
ルコゲナイドガラスを使った例を以下に示す。この材料
は書き換え可能なデジタルビデオディスク(DVD−R
AM)として知られる記録媒体に用いられている。通
常、DVD−RAMでは結晶−非晶質相変化に起因する
光の反射率の違いを検出して情報の記録を行っている。
本実施例ではカルコゲナイドガラスが結晶と非晶質(ア
モルファス)の各状態で体積変化を生じる性質を利用し
て記録を行う。カルコゲナイドガラスはアモルファス状
態では体積が大きく、結晶状態では体積が小さいという
特徴がある。従って、磁性粒子は記録ビットの周辺が結
晶状態のとき圧縮応力を受け、アモルファスのときには
圧縮応力が加わらない。この性質を用いて実施例1、2
のように情報の記録を行う。 記録媒体の作製は以下の
ように行う。基板はアモルファス状のカルコゲナイドガ
ラス(TeGeSnO)で構成されている。表面を鏡面
研磨したディスク状のカルコゲナイドガラスに対して、
実施例1と同様に電子線リソグラフィーによりマトリッ
クス状に孔を空ける。作製された孔あき基板を真空チャ
ンバーに導入し、基板表面に対して垂直入射となるよう
に鉄を蒸着する。孔が埋まったところで、蒸着を終了
し、大気中に取りだす。孔以外の部分についた鉄は研磨
剤(スラリー)および研磨パッドを用いてディスク表面
が平坦になるまで研磨し取り除く。必要に応じて、ディ
スク表面に保護膜の形成などを行う。これらの作業はす
べて室温にて行う。実施例1で行ったようなディスク作
製後の冷却および0℃での保持は必要ない。これは初期
状態では磁性粒子の周囲はアモルファス状態となってお
り、結晶−アモルファス相転移は融点付近までの加熱時
に発生するもので、室温では起こらないためである。
【0026】このようにして作製したディスクは、初期
状態では、磁性粒子の周囲はアモルファス状態となって
おり、図1(a)に示すように磁性粒子には応力は作用
していない。この磁性粒子への情報の記録は以下のよう
に行う。記録を行いたいビット付近をレーザー光により
融点近傍まで加熱し、記録を行うべきビット周辺の基板
が結晶−アモルファスの相転移を起こす。これにより、
基板が結晶状態となるから記録ビットの周辺の体積が増
加し、図1(b)に示すように磁性粒子が圧縮応力を受
けることとなり、情報の書き込みを行うことができる。
【0027】記録ビット周辺のカルコゲナイドガラスを
アモルファス状態から結晶状態へ変化させるためにはレ
ーザー光で相転移点直下まで加熱し、除冷する。逆に結
晶状態からアモルファス状態に変化させる場合は相転移
点よりも温度を上げ、急冷する。これらは可逆変化であ
り、DVD−RAMなどでも用いられており、書き換え
型の記録媒体を実現できる。本実施例では、実施例1、
2のように温度を摂氏零度に維持する機構を用いること
なく、レーザー出力の変化のみで書き換え型の記録媒体
が実現できるため、装置全体を簡略化できる。また、全
ての情報を一括して消去したい場合は、ディスク全体を
相転移点直下まで加熱後、除冷してアモルファス状態に
することにより実現できる。 以上の実施例はすべて記
録媒体形状をすべてディスク型として述べてきたが、必
ずしもその形状である必要はない。カード状、テープ
状、直方体の各面、など任意の形状を用いることができ
る。 実施例4 上述した実施例の磁気記録媒体を応用した、本発明に係
わる磁気記録装置の実施例を図7により説明する。図7
はヘッド部分の断面を表している。本実施例は実施例1
で説明した磁気記録媒体を応用した例であり、装置全体
は温度が摂氏零度に維持できる機構の中に設けられる。
基板76、マトリックス状に配列した磁気粒子の層とな
っている媒体部77、再生用磁気ヘッドを組み込んだ磁
気ヘッド部69、スライダー70、磁気ヘッド用アーム
71、半導体レーザー78、ミラー79、レンズ80、
ハウジング81、アーム82より構成されている。ここ
では駆動系、電気回路系、支持具等は省いている。半導
体レーザー78、ミラー79、レンズ80はハウジング
81に固定されており、このハウジング81はアーム8
2に固定されている。磁気ヘッド部69はレンズ80、
および媒体部77の近傍に配置する。本実施例に係わる
磁気記録媒体は、データを記録するためのヘッドは必要
が無いから、磁気ヘッド部69には再生用磁気ヘッドの
みが組み込まれる。
【0028】半導体レーザー78から照射されたレーザ
ー光線83はミラー79で反射されレンズ80に入射す
る。レンズ80は凸レンズの一部分であり、レーザー光
線83は媒体部77内の磁気粒子の層に収束される。独
立した各磁性粒子に対するデータに対応して半導体レー
ザー78からのレーザー光線83の照射が制御される。
磁気ヘッド部69はレーザー光線33の収束位置の直上
に配置するように位置決めされており、独立した各磁性
粒子の磁化の方向に応じたデータを出力する。当然のこ
とながら、磁気記録媒体の構成に対応した最適の再生用
ヘッドが適用されるべきであり、磁気記録媒体によって
は、磁気力顕微鏡(MFM)や走査型近接場光顕微鏡
(SNOM)などの走査型プローブ顕微鏡(SPM)を
用いて再生するのがよい。ただし、SNOMを用いた場
合はカー効果もしくはファラデー効果を利用して再生を
行うため、探針とは別に光の偏光状態を検出する検出器
が必要となる。
【0029】
【発明の効果】本発明によると記録ビットとして用いら
れた磁性体の容易軸の方向を制御することにより熱揺ら
ぎ耐性の強い超高密度磁気記録が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)は本発明による記録媒体の基本
的な機能の概略を示す模式図。
【図2】(a)−(g)は本発明による記録媒体の作製
法のあらましを示す図。
【図3】本実施例で使用するメタチタン酸バリウム(B
aTiO3)の温度と格子定数の関係を示す図。
【図4】(a)、(b)は本発明の1実施例の記録媒体
への記録の様子を示す模式図。
【図5】(a)、(b)は本発明の他の実施例の記録媒
体への記録の様子を示す模式図。
【図6】(a)、(b)は本発明の他の実施例の記録媒
体への記録の様子を示す模式図。
【図7】本発明に係わる記録装置のヘッド部の主要部の
1実施例を示す断面の模式図。
【符号の説明】
11:ヒステリシス特性を持った体積変化をする材料、
12:磁性粒子、13:磁化方向、14:応力の方向、
15:磁化方向、20:基板、21:シリコン膜、2
2:電子線レジスト、23:電子線、24:孔、25:
孔、26:孔、27:鉄、28:磁性粒子を含む基板、
30:点、31:点、32:点、33:点、34:点、
35:点、36:点、37:点、38:点、39:点、
41:基板、42:鉄、43:応力の方向、44:磁化
方向、45:磁化方向、46:コバルト、47:応力の
方向、48:磁化方向、49:磁化方向、51:基板、
52:鉄、53:応力の方向、54:磁化方向、55:
磁化方向、69:再生用磁気ヘッドを組み込んだ磁気ヘ
ッド部、70:スライダー、71:磁気ヘッド用アー
ム、76:基板、77:磁気粒子の層となっている媒体
部、78:半導体レーザー、79:ミラー、80:レン
ズ、81:ハウジング、82:アーム。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古川 貴司 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内 (72)発明者 孝橋 照生 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内 (72)発明者 木口 雅史 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内 (72)発明者 石橋 雅義 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板、該基板内に孤立化した状態で形成さ
    れた磁性粒子よりなり、前記基板は形状変化に温度ヒス
    テリシス特性を持った材料であるとともに、前記各磁性
    粒子は基板の形状変化による磁歪効果によって磁気異方
    性を発生する材料であることを特徴とした記録媒体。
  2. 【請求項2】磁化状態を面内磁化状態と垂直磁化状態と
    に変化させる請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】基板、該基板内に孤立化した状態で形成さ
    れた磁性粒子よりなり、前記基板は形状変化に温度ヒス
    テリシス特性を持った材料であるとともに、前記各磁性
    粒子は基板の形状変化により超常磁性状態と強磁性状態
    とに変化材料であることを特徴とした記録媒体。
  4. 【請求項4】基板の形状変化が結晶系の相変化を用いた
    ものである請求項1または3記載の記録媒体。
  5. 【請求項5】基板の形状変化が結晶系の結晶−非晶質相
    変化を用いたものである請求項1または3記載の記録媒
    体。
  6. 【請求項6】形状変化に温度ヒステリシス特性を持った
    材料の基板を準備すること、該基板上に反応性ガスによ
    りエッチングされやすいマスク材料層と電子線レジスト
    層を形成すること、レジスト層に電子線照射後現像して
    レジスト層に孔を開けること、レジスト層を残したまま
    反応性ガスによりマスク材料層に孔を開けること、マス
    ク材料層に形成された孔を介して非反応性ガスによりエ
    ッチングを行うことにより前記基板に規則的な孔のアレ
    イを形成すること、所定の温度以上で前記孔に磁性体を
    充填することとよりなることを特徴とする記録媒体作製
    方法。
  7. 【請求項7】前記基板の形状変化が結晶系の相変化また
    は結晶−非晶質相変化を用いたものであり、前記基板に
    形成された規則的な孔に室温で磁性体を充填した請求項
    6記載の記録媒体作製方法。
  8. 【請求項8】情報を基板の形状変化による磁気異方性に
    より記録する記録媒体、レーザー光を照射する記録ヘッ
    ド、読み取り用のヘッド、ヘッドを保持する手段および
    それらの駆動装置などからなり、ある記録ビットおよび
    その周辺部のみを加熱し局所的に基板の形状変化を引き
    起こすことにより記録を行うことを特徴とする記録装
    置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1294561C (zh) * 2003-02-28 2007-01-10 株式会社东芝 磁记录介质和磁记录/再现设备
JP2008262961A (ja) * 2007-04-10 2008-10-30 Ihi Corp 磁性半導体の製造方法および製造装置
JP2016072496A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 独立行政法人国立高等専門学校機構 複合素子およびその製造方法ならびに情報処理装置

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