JP2010192016A - 磁気記録媒体、磁気記録再生ヘッド、磁気記録再生装置、及び磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体、磁気記録再生ヘッド、磁気記録再生装置、及び磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高密度記録が可能であり、かつ、熱ゆらぎ耐性の高い磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】磁気記録を行うための磁性膜104が成膜される連続した凹凸状の形成面を有する磁気記録媒体11であって、磁性膜104は、形成面の各凹部103を埋設するようにそれぞれ成膜された複数の磁性膜104bと、形成面の各凸部102にそれぞれ重畳して凸状に成膜され、互いに接触することなく構成された複数の磁性膜104aと、磁性膜104aと磁性膜104bとの間に、磁性膜104a及び磁性膜104bよりも膜厚が薄く成膜された磁性膜薄膜部107と、により構成されており、それゆえ、高密度記録が可能な磁気記録媒体11を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気的な作用により情報を記録する磁気記録媒体、並びに、磁気記録再生ヘッド、磁気記録再生装置、及び磁気記録媒体の製造方法に関する。
近年、ハードディスクに代表される磁気記録の分野においては、基板面に垂直な磁化方向を有する垂直磁化膜が適用され、面密度で1Tbit/inchに迫る記録密度が検討されつつある。しかしながら、従来のハードディスクの記録媒体として用いられている、複数個の小さな磁性粒子から1つの磁気ビットを形成するグラニュラー媒体と呼ばれる磁気記録媒体(以下、単に「グラニュラー媒体」と呼ぶ)では、高密度記録媒体の記録ビットサイズの微小化に伴う熱揺らぎの影響が大きな問題となっている。
熱揺らぎによる磁気情報の消失は、定性的には、磁気記録媒体の磁気ビットを形成する磁性粒子の磁気異方性エネルギー(自発磁化の方向によって内部エネルギーが変化することを言い、一般的には、磁化容易化軸方向で安定となる。)と、熱エネルギーとの相対関係によって決まる。
したがって、磁性粒子(磁気ビット)の体積をV、磁気異方性定数をKu(エネルギー密度の次元を持つ)、ボルツマン定数をk、及び温度をTとすれば、磁気異方性エネルギーKu・Vと、熱エネルギーk・T(k:ボルツマン定数、T:温度)との相対関係によって、熱揺らぎによる磁気情報の消失の問題を定性的に理解することができる。
すなわち、熱揺らぎ現象は、Ku・V/kTという指標で表され、この値が小さいほど熱揺らぎの影響が強くなる。この熱揺らぎ現象における指標に関しては、磁気異方性エネルギーKu・Vが、熱エネルギーk・Tの数十倍程度まで小さくなると、熱揺らぎによる磁気情報の消失が顕著になることが知られている。
このような高密度の磁気記録を可能とする技術として、パターンドメディアやディスクリート・トラックメディアと呼ばれる技術が盛んに研究されている。このうち、パターンドメディアは、1個の磁性粒子で1つの磁気ビットが形成され、磁性粒子の間は非磁性材料で分離されているという点がグラニュラー媒体と異なっている。このようなパターンドメディアは、グラニュラー媒体に比べて磁性粒子の体積Vを大きくすることができ、熱揺らぎ耐性の向上が可能である。
特許文献1には、ブロックコポリマーの自己組織化現象を利用して作製可能なパターンドメディアの例が開示されている。また、特許文献2には、アルミナを加工したアルミナナノホール内に硬磁性体からなる充填物を形成したパターンドメディアの例が開示されている。
一方、ディスクリート・トラックメディアは、データトラック間に非磁性体を形成することでデータトラック同士を磁気的に分離して、記録時に隣接トラックへの記録情報の滲み(サイドライト)を防止している。
特開2000−251236号公報(2000年9月4日公開) 特開2002−175621号公報(2002年6月21日公開)
しかしながら、上述の従来技術には次のような問題がある。
特許文献1に開示されたパターンドメディアや、公知のディスクリート・トラックメディアは、磁気記録層となる磁性体を形成した後、この磁性体を記録ビットの大きさ、又は、記録トラックの幅にエッチング加工を施して分断を行うために、エッチング時の熱ダメージや物理・化学ダメージにより磁性体の劣化を引き起こす虞がある。そのため、例えば酸化し易い材料を磁性体に用いることが困難である。
また、特許文献2に開示されたパターンドメディアでは、従来のハードディスク媒体の製造に適用されているドライプロセスでの磁性体形成を適用することができないため、製造工程が複雑化するという問題がある。さらに、アルミナナノホール中に磁性体を充填する方式が採用されるため、大きな垂直磁気異方性を付与しにくいという課題がある。
加えて、上記公知のパターンドメディアやディスクリート・トラックメディアでは、記録ビット間や記録トラック間に存在する非磁性領域は磁気情報を記録しない領域であるために、磁気信号が発生しない領域となってしまう。このため、非磁性体が占める領域が大きくなる分だけ、磁気記録媒体の面積利用効率を低下させるという課題がある。上記非磁性領域の幅は、磁性体をエッチングして形成する方法ではマスクとして使用する自己組織化粒子の間隔や、同じくマスクとして使用するレジスト材をイオンビーム露光する際の露光分解能、エッチングの分解能に依存するものであり、上記公知のパターンドメディアやディスクリート・トラックメディアでは、これらの分解能を超える非磁性層幅の低減は困難である。
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高密度記録が可能であり、かつ、熱ゆらぎ耐性の高い磁気記録媒体を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明に係る磁気記録媒体は、磁気記録を行うための磁性膜が成膜される連続した凹凸状の形成面を有する磁気記録媒体であって、前記磁性膜は、前記形成面の各凹部を埋設するようにそれぞれ成膜された複数の磁性膜埋設部と、前記形成面の各凸部にそれぞれ重畳して凸状に成膜され、互いに接触することなく構成された複数の磁性膜凸状部と、前記磁性膜凸状部と前記磁性膜埋設部との間に、前記磁性膜凸状部及び前記磁性膜埋設部よりも膜厚が薄く成膜された磁性膜薄膜部と、により構成されていることを特徴としている。
また、前記課題を解決するために、本発明に係る磁気記録媒体の製造方法は、磁気記録を行うための磁性膜が成膜される連続した凹凸状の形成面を有する磁気記録媒体の製造方法であって、前記磁性膜の成膜において、前記形成面の各凹部を埋設するように複数の磁性膜埋設部をそれぞれ成膜する第1成膜工程と、前記形成面の各凸部にそれぞれ重畳して凸状に成膜し、互いに接触することなく複数の磁性膜凸状部を成膜する第2成膜工程と、前記磁性膜凸状部と前記磁性膜埋設部との間に、前記磁性膜凸状部及び前記磁性膜埋設部よりも膜厚が薄い磁性膜薄膜部を成膜する第3成膜工程と、を含むことを特徴としている。
前記構成によれば、複数の磁性膜凸状部が、前記形成面の各凸部にそれぞれ重畳して凸状に成膜され、互いに接触することなく構成されている。従って、本発明に係る磁気記録媒体は、磁性膜凸状部をそれぞれ独立に磁化反転させることができる。
加えて、前記形成面の各凹部を埋設するように複数の磁性膜埋設部がそれぞれ成膜されており、前記磁性膜凸状部と前記磁性膜埋設部との間には、前記磁性膜凸状部及び前記磁性膜埋設部よりも膜厚が薄い磁性膜薄膜部が成膜されている。
従って、磁性膜薄膜部では、膜厚の減少により局所的に磁化量が小さくなり、かつ、磁性膜薄膜部における局所形状変化が存在することにより、磁性膜凸状部及び磁性膜埋設部の磁化が磁性膜薄膜部を超えて磁壁移動することがなくなる。つまり、本発明に係る磁気記録媒体は、磁性膜薄膜部を有することにより、磁性膜凸状部と磁性膜埋設部との間の交換結合力を小さくすることができる。
それゆえ、磁性膜凸状部をデータトラックとして使用することで、データトラック同士を磁気的に分離して、記録時に隣接トラックへの記録情報の滲み(サイドライト)を防止することが可能となる。さらに、形成面の凸部に成膜された磁性膜凸状部を磁化反転単位(記録ビット)とするパターンドメディアを実現することができ、高密度記録が可能であり、かつ、熱ゆらぎ耐性の高い磁気記録媒体を提供することができる。
なお、本発明に係る磁気記録媒体をディスクリート・トラックメディアに用いた場合においても、磁性膜薄膜部を有することにより、磁性膜凸状部と磁性膜埋設部とをそれぞれ独立して磁化反転することができる。
さらに、本発明に係る磁気記録媒体は、前記磁性膜凸状部に重畳して成膜された保護膜と前記磁性膜凸状部の側壁とによって封止された空隙部を有する構成とすることができる。
空隙部の熱伝導率は保護膜の材料に比べて極めて低い。従って、本発明に係る磁気記録媒体は、空隙部を有することにより、その使用時に発生する熱を磁性膜に伝えにくくする効果が得られる。例えば、記録時に磁界とともにレーザー光を照射する光(熱)アシスト磁気記録方式や、記録磁界とともに磁気スピンの歳差運動を増幅する高周波磁界を印加する高周波磁界アシスト磁気記録方式においては、本発明に係る磁気記録媒体は、磁気記録媒体が空隙部を有することにより、記録ビットで発生する熱が隣接ビットに対して与える影響を緩和でき、隣接ビットへの意図しない書き込みや誤消去を防止できる。
さらに、本発明に係る磁気記録媒体では、空隙部は、希ガス雰囲気、又は真空に保たれている構成とすることができる。
本発明に係る磁気記録媒体は、スパッタリング装置に代表される真空装置を用いて作製可能であり、磁性体のエッチングを行うことなく作製することが可能である。また、スパッタリング装置を用いて希ガス中で保護膜の成膜を行うことにより、空隙部が希ガス雰囲気となる。このような形成方法を用いることによって、保護膜の形成と同時に空隙部が真空状態、又は希ガス雰囲気となり、かつ、製造工程が簡略化される。
それゆえ、本発明に係る磁気記録媒体は、従来のハードディスク製造工程と親和性が高く、ダメージに弱い材料を磁性膜に適用することができ、しかも、高い垂直磁気異方性が得られる。
さらに、本発明に係る磁気記録媒体は、磁性膜薄膜部の膜厚は、前記磁性膜凸状部の膜厚の5%〜50%である。
これにより、より最適に、磁性膜凸状部と磁性膜埋設部とをそれぞれ独立して磁化反転させることができる。
本発明に係る磁気記録再生装置の磁気記録再生ヘッドは、上記何れかの磁気記録媒体との間で情報の記録再生を行う磁気記録再生装置の磁気記録再生ヘッドであって、前記磁性膜凸状部に対して記録磁界を印加するための磁界印加手段と、前記磁性膜凸状部から発生する漏洩磁界を検出するための磁界検出手段とを備えることを特徴としている。
さらに、本発明に係る磁気記録媒体の磁気記録再生ヘッドは、近接場光を照射して前記磁性膜凸状部を加熱昇温するための近接場光発生手段を備える。
前記構成によれば、個々の磁性膜凸状部を独立した磁気ビットとする前記磁気記録媒体に対して使用される磁気記録再生ヘッドを実現することができる。これにより、磁性膜凸状部に磁気情報を記録し、磁性膜凸状部から生じる漏洩磁界を検出して情報の再生を行うことができる。
また、本発明に係る磁気記録再生ヘッドは、磁性膜凸状部を加熱昇温するための近接場光発生手段を備えているため、近接場光によって特に磁性膜凸状部のみを強く加熱することができ、磁性膜凸状部のみに磁気情報を記録再生することが可能となる。その結果、磁性膜埋設部の影響が極めて小さくなり、前記磁気記録媒体に対して安定的な記録再生を行うことが可能となる。
そして、本発明に係る磁気記録再生装置は、前記磁気記録再生ヘッドを備える構成であってよい。
前記構成を備えることにより、本発明に係る磁気記録再生装置は、個々の磁性膜凸状部を独立した磁気ビットとする前記磁気記録媒体に対して使用される磁気記録再生装置を実現することができる。そして、磁性膜凸状部に磁気情報を記録し、磁性膜凸状部から生じる漏洩磁界を検出して情報の再生を行うことができる。
本発明に係る磁気記録媒体は、以上のように、磁性膜が、前記形成面の各凹部を埋設するようにそれぞれ成膜された複数の磁性膜埋設部と、前記形成面の各凸部にそれぞれ重畳して凸状に成膜され、互いに接触することなく構成された複数の磁性膜凸状部と、前記磁性膜凸状部と前記磁性膜埋設部との間に、前記磁性膜凸状部及び前記磁性膜埋設部よりも膜厚が薄く成膜された磁性膜薄膜部と、により構成されている。
本発明に係る磁気記録媒体の製造方法は、以上のように、前記磁性膜の成膜において、前記形成面の各凹部を埋設するように複数の磁性膜埋設部をそれぞれ成膜する第1成膜工程と、前記形成面の各凸部にそれぞれ重畳して凸状に成膜し、互いに接触することなく複数の磁性膜凸状部を成膜する第2成膜工程と、前記磁性膜凸状部と前記磁性膜埋設部との間に、前記磁性膜凸状部及び前記磁性膜埋設部よりも膜厚が薄い磁性膜薄膜部を成膜する第3成膜工程と、を含む構成である。
それゆえ、高密度記録が可能であり、かつ、熱ゆらぎ耐性の高い磁気記録媒体を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体の構成を示す概略図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。 本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体の磁性膜の形成過程を説明するための断面概略図であり、(a)は、磁性膜を形成する前の状態を、(b)は磁性膜の形成途中の状態を、(c)は磁性膜を形成し終えた状態を、それぞれ表す図である。 本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法の一例を示す断面概略図であり、(a)は、基板に凹凸形状部を転写するためのマスク材を形成する様子を示す図であり、(b)は、反応性イオンエッチング処理により凹凸形状部を基板に形成する様子を示す図であり、(c)は、磁性膜を凹凸形状部上に形成する様子を示す図であり、(d)は、磁性膜上に保護膜を形成する様子を示す図であり、(e)は、保護膜に潤滑層を塗布形成する様子を示す図である。 本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法の他の一例を示す断面概略図であり、(a)は、基板に凹凸形状部を転写するためのマスク材を形成する様子を示す図であり、(b)は、反応性イオンエッチング処理により凹凸形状部を基板に形成する様子を示す図であり、(c)は、凹凸形状部上に十分に薄いくびれ部が形成されなかった場合の様子を示す図であり、(d)は、保護膜に保護されていない領域をエッチングしてくびれ部を形成する様子を示す図であり、(e)は、エッチング処理によりくびれ部を形成する様子を示す図であり、(f)は、磁性膜上に保護膜を、保護膜に潤滑層を、順次塗布形成する様子を示す図である。 本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体の変形例を示す概略断面図である。 本発明の他の実施形態に係る磁気記録媒体の構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体をディスクリート・トラックメディアに適用した場合の構成を示す概略図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。 本発明に係る磁気記録再生装置の構成を表すブロック図である。 本発明に係る他の実施形態の磁気記録再生装置の磁気記録再生ヘッドの構成を示す概略図である。 本発明に係る他の実施形態の磁気記録再生装置の記録動作を説明するためのフローチャートである。 本発明に係る他の実施形態の磁気記録再生装置の再生動作を説明するためのフローチャートである。 本発明に係るさらに他の実施形態に係る磁気記録再生装置の磁気記録再生ヘッドの構成を示す概略図である。 本発明に係るさらに他の実施形態の磁気記録再生装置の記録動作を説明するためのフローチャートである。 実施例に係る磁気記録媒体の断面TEM像である。 実施例1に係る磁気記録媒体の磁化曲線である。 実施例1に係る磁気記録媒体の、別視野で観察した断面TEM像である。 比較例に係る磁気記録媒体の磁化曲線である。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体11について図1から図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
<磁気記録媒体11の構造>
磁気記録媒体11について、図1(a)及び図1(b)を参照して説明する。なお、図1は、磁気記録媒体11の構成を示す概略図であり、図1(a)は断面図、図1(b)は平面図である。
図1(a)に示すように、磁気記録媒体11は、基板101と、磁性膜104と、保護膜105と、潤滑層106とが、その順番に形成されてなる。
基板101には凸部102と凹部103とからなる凹凸形状部12が形成されており、凹凸形状部12の上に磁性膜104、保護膜105、及び潤滑層106が順に形成されている。なお、凸部102及び凹部103は基板101上に繰り返し形成されている。
基板101は、金属基板、半導体基板、酸化物基板、窒化物基板、あるいは樹脂製基板等を用いることができ、例えば、SiO基板やSi基板、ガラス基板、NiPをコートしたAl基板や、ポリカーボネート基板を用いることができる。
磁性膜104は、磁気情報を記録するための強磁性膜であって、平滑な基板上に形成した際に、基板面に垂直な方向に磁化容易軸を有する垂直磁化膜からなる。
磁性膜104は、各凸部102上にそれぞれ重畳して凸状に成膜され、互いに接触することなく構成された複数の磁性膜104a(磁性膜凸状部)(後述のくびれ部107よりも上部)と、凸部102に隣り合う凹部103を埋設するようにそれぞれ形成された複数の磁性膜104b(磁性膜埋設部)とからなる。すなわち、磁性膜104では、隣り合う凸部102上に形成された磁性膜104aは、その側壁同士が接触しないように形成されている。また、磁性膜104aは、高さ方向(図1の図面上下方向)において、中央部が上部及び下部よりも膨らんでおり、その外形は瓢箪型となっている。
そして、磁性膜104は、磁性膜104aと磁性膜104bとの間に、磁性膜104a及び磁性膜104bよりも膜厚が薄く成膜されたくびれ部107(磁性膜薄膜部)を有する。そのくびれ部107は、最も近い凸部102の方向に向かって、かつ、基板面120に垂直な方向に対して窪んだ形状を有する。なお、ここでいう膜厚とは、磁性膜104の上面から基板101までの最も近い距離を指し、磁性膜104の上面とは、保護膜105と接する側の磁性膜104の面のことである。そして、くびれ部107が存在することにより、磁性膜104aの側壁と基板101の基板面(凸部102の頂部を繋ぐ面、又は、凹部103の底部を繋ぐ面)とのなす角度が、凸部102の側壁と上記基板面とのなす角度よりも大きくなる箇所が存在することになる。
ここで、磁性膜104が形成された様子を図1(b)を参照して説明する。図1(b)は、磁気記録媒体11の概略平面図であり、磁気記録媒体11から保護膜105及び潤滑層106を除いた状態のものを示す。なお、図1(a)は、図1(b)におけるA−A’断面に該当する。
磁気記録媒体11では、凹部103(不図示)は、個々の凸部102(不図示)を囲むように配置され、凹部103を埋設するように磁性膜104bが形成されている。そして、磁性膜104は、隣り合う凸部102上に形成された磁性膜104aの側壁同士が接触しないように形成されている。図1(b)は、その様子を示す。
磁性膜104の材料は、垂直磁気記録方式のハードディスク媒体に一般的に用いられる磁性材料や、光磁気記録媒体に用いられる磁性材料等を使用できる。具体的には、Co、Fe、又はCoFeの合金を基体とし、Cr、Ta、Ni、Pt、Pd、B、Zr、Nb、Rhから選ばれる1つ又は複数の材料を加えたものや、希土類金属を加えた、TbFe、TbFeCo、GdFe、GdFeCo、DyFe、DyFeCo、GdTbFeCo、TbDyFeCo、SmCo等の希土類−遷移金属磁性体を適用することができる。さらには、これらの材料を用いた人工格子膜であってもよい。
保護膜105は、磁気ヘッド等の外部からの物理的な接触から磁性膜104を保護するための役割と、磁性膜104の酸化劣化を防ぐ酸化防止層としての役割とを兼ね、磁性膜104aに重畳して成膜されている。保護膜105の材料は、例えば、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜やAlN(窒化アルミニウム)、SiN(窒化シリコン)、CN(窒化炭素)等の窒化膜、非磁性金属膜を使用することができる。
潤滑層106は、磁気ヘッド等の外部からの物理的な接触によって磁気記録媒体11又は磁気ヘッドが破損することを防ぐためのものであり、例えば、パーフルオロポリエーテルを骨格とする分子膜を使用することができる。
なお、基板101と磁性膜104との間(より正確には磁性膜104が成膜される連続した凹凸状の形成面と磁性膜104との間)、あるいは磁性膜104と保護膜105との間に、必要に応じて軟磁性層108(不図示)が形成されていてもよい。
軟磁性層108は、磁性膜104に外部磁界を印加して記録を行う際に、膜面に垂直な方向の磁界を増強して記録を補助したり、磁性膜104との磁気的な結合力を利用して磁化反転に必要な磁界を低減させたりするための層である。軟磁性層108は、例えば、NiFe、NiFeTa、及びCoZrやこれらを主体とする軟磁性体を用いて形成される。
なお、軟磁性層108を形成する場合には、磁性膜104と軟磁性層108の間にさらに非磁性層や交換結合力を調整するための層が形成されてもよい。基板101と磁性膜104との間に軟磁性層108を形成する場合には、凹凸形状部12が形成された基板101上に、凹凸形状部12が表面に反映されるように軟磁性層108を形成してもよく、平滑な基板101上に軟磁性層108を形成した後に、軟磁性層108上に凹凸形状部12を形成してもよい。
次に、磁気記録媒体11の製造方法について説明する。なお、説明は、凹凸形状部12の作製方法、くびれ部107の作成方法等に分けて順を追って説明する。
<凹凸形状部12の作製方法>
基板101上に形成される凹凸形状部12は、例えば、電子ビーム露光法、集光イオンビーム加工、ポリマーや金属粒子を利用する自己組織化法、電気化学手法を用いるアルミナナノホールを用いて形成可能である。このような方法で作製したパターンをそのまま凹凸形状部12として用いてもよく、上記パターンをマスク材として基板101をエッチングすることで基板101にパターンを転写し、凹凸形状部12としてもよい。さらには、これらの方法で形成したパターンをナノインプリント法で基板101に転写して用いても構わない。また、図1(a)には凹凸形状部12を基板101に直接形成した場合について図示したが、この他に、基板101上に形成した薄膜に凹凸形状部12が形成されたものであってもよく、基板101と異なる材料からなる凸部102が基板101上に間隔を空けて繰り返し形成されていてもよい。
<くびれ部107の作製方法>
くびれ部107を有する磁性膜104は、スパッタリング装置や蒸着装置、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置等の薄膜形成装置を用いて作製でき、磁性膜104を構成する材料を凹凸形状部12上に成膜形成することによって作製できる。
なお、成膜に際しては、基板101の基板面(凸部102の頂部を繋ぐ面、又は、凹部103の底部を繋ぐ面)に垂直な方向に対して、ある角度の入射成分を有するように磁性膜104の材料を成膜する。これにより、くびれ部107を有する磁気記録媒体11が製造される。このことを、図2(a)〜(c)を参照して詳細に説明する。なお、図2は、磁気記録媒体11の磁性膜104の形成過程を説明するための断面概略図であり、図2(a)は、磁性膜104を形成する前の状態を、図2(b)は磁性膜104形成途中の状態を、図2(c)は磁性膜104を形成し終えた状態を、それぞれ表す。
最初に、凹凸形状部12に磁性膜104を成膜する際に、基板面120に垂直な方向に対して角度θ傾いた方向から入射する粒子について説明する。なお、基板面120とは、凸部102の頂部を繋ぐ面である。また、粒子とは、磁性膜104に用いられる磁性材料のことである。
このとき、図2(a)や図2(b)に示すように、凸部102が存在することで(図2(b)では凸部102とその上に形成された磁性膜104が存在することで)、粒子の入射方向から見て凸部102の裏側に当たる部分(図2(b)では凸部102とその上に形成された磁性膜104の裏側に当たる部分)には粒子は付着しない。また、凸部102の表側であっても、粒子が入射する側において隣り合う凸部102(図2(b)では、粒子が入射する側の、凸部102とその上に形成された磁性膜104)によって粒子の入射が遮られる部分には粒子は付着しない。
従って、粒子を角度θで入射させ場合、図2(a)や図2(b)の斜線部で示す無成膜領域110が生じる。この無成膜領域110が形成される範囲は、角度θ、凸部102の高さ、あるいは隣り合う凸部102の間隔等に従って変化する。
それゆえ、基板面120に対して垂直な方向に近い入射成分を中心として、ある程度の大きな角度θを持った入射成分までを含むような成膜方法によって磁性膜104を成膜することにより、図2(b)や図2(c)に示すように、各凹部103を埋設するようにそれぞれ成膜された複数の磁性膜104bと、各凸部102にそれぞれ重畳して凸状に成膜され、互いに接触することなく構成された複数の磁性膜104aとが形成される。さらに、磁性膜104aと磁性膜104bとの間に、磁性膜104a及び磁性膜104bよりも膜厚が薄く成膜されたくびれ部107が形成される。そして、隣り合う凸部102の間隔を調整することにより、隣り合う凸部102上に形成された磁性膜104aの側壁を互いに接触させないように形成することができる。また、基板面120に垂直な方向に近い入射成分が含まれることで、凸部102上に形成される磁性膜104aの磁化容易軸を垂直方向にすることが可能となる。
くびれ部107を形成することが可能な成膜装置の構成は特に限定されるものではなく、次のような構成とすることができる。例えば、成膜中の常時または一時的に、磁性膜104の材料を供給する供給源を基板面120に対して傾斜させて配置する、上記供給源を基板101よりも大きくなるように配置する、上記供給源に対して基板101を傾斜させて配置する、といった構成を適用することができる。あるいは、成膜に際して、基板101又は上記供給源が回転するものであってもよく、相対的に移動しながら成膜されるものであってもよい。
<凸部102の高さ、間隔、大きさ>
次に凹凸形状部12の形状等について説明する。
磁性膜104がくびれ部107を有し、かつ、くびれ部107よりも上部において、凸部102上に形成された隣り合う磁性膜104aが接触することを回避するために、凹部103に対する凸部102の高さ(深さ)、及び隣り合う凸部102同士の間隔には配慮を要する。
具体的には、凸部102の高さは、凹部103の底から凸部102の上部までが5nm以上100nm以下とすることが好ましい。高さ(深さ)が5nm未満になると、磁性膜104を形成するための角度θを大きくした場合に、その入射粒子に対して無成膜領域110を形成しにくくなり、磁性膜104にくびれ部107を形成することが困難となるためである。また、高さ100nmを超えるとアスペクト比が大きくなるために凹凸形状部12の作製が困難となる。なお、ここでいう「高さ」とは、凹部103の底から凸部102の上部までの高さをいう(図2(a)のh)。
一方、隣り合う凸部102同士の間隔は、5nm以上30nm以下で形成することが望ましい。上記間隔が5nm未満になると、凸部102上に形成された磁性膜104aが隣接する磁性膜104aと接触する場合があり、30nm以上になると、隣り合う凸部102の間隔が広くなり、磁気記録媒体の面積利用効率が低下するためである。なお、ここでいう「間隔」とは、隣り合う凸部102の中心間の距離をいう(図2(a)のw)。
さらに、各凸部102の幅(図2の図面左右方向の長さ)は、凸部102の高さの半分(h/2)となる位置において、4nm以上40nm以下とすることが好ましい。凸部102の幅が4nmよりも小さくなると、熱揺らぎによる磁化情報の消失、及び垂直磁化を得られる領域が狭くなることが原因で、再生信号強度の低下が懸念されるためである。また、凸部102の幅が40nm以上になると、従来のグラニュラー媒体で実現可能な記録密度となり、パターンドメディアを用いる利点が失われるためである。なお、上記の「凸部102の幅」とは、図2(a)で「W2」によって示される長さのことをいう。
<凸部102の側壁部125と基板面120との角度>
次に凸部102の側壁部125と基板面120とがなす角度θについて説明する。
側壁部125と基板面120とがなす角度をθとすると(図2(a)参照)、個々の凸部102の側壁部125について、最も角度が大きな箇所でθは60度から90度であることが特に好ましい。θが60度よりも小さくなると、無成膜領域110が形成されにくくなり、くびれ部107を明確に形成することが困難になる。また、隣り合う凸部102の間隔が広くなることにより、磁気記録媒体の面密度を高くすることが難しくなるためである。また、θが90度よりも大きくなると、ドライエッチングで凸部102を形成することが難しくなり、従来、ドライプロセスを主として用いている磁気記録媒体の製造プロセスと親和性が悪くなる虞が生じるためである。
<磁性膜104aの膜厚、及びくびれ部107における磁性膜104の膜厚>
次に磁性膜104aの膜厚、及びくびれ部107における磁性膜104の膜厚範囲について説明する。
磁性膜104aの膜厚(図2(c)の「t1」)は5nm以上25nm以下であることが好ましい。磁性膜104aの膜厚が5nm以下になると、安定な垂直磁化を得ることが困難となり、かつ、漏洩磁界が小さくなり、再生信号強度が低下するためである。また、膜厚が25nmを超えると、隣り合う磁性膜104aが互いに接触しないようにするために、凸部102同士の間隔を広くする必要が生じ、記録密度を低下させてしまうためである。
一方、くびれ部107における磁性膜104の膜厚(図2(c)の「t2」)は、磁性膜104aの膜厚t1に対して5%〜50%で形成されていることが好ましい。これにより、くびれ部107においては膜厚の減少により局所的に磁化量が小さくなり、かつ、くびれ状の局所形状変化が存在することにより磁性膜104の磁化がくびれ部107を超えて磁壁移動することを防ぐことができるためである。
なお、くびれ部107における磁性膜104の膜厚t2が、磁性膜104aの膜厚t1に対して5%よりも小さいと、図2(a)〜(c)で説明した、角度θが大きな入射成分の割合を大きくすることに繋がり、これに伴って基板面120に対して垂直な方向に近い入射成分を少なくする必要が生じる。このため、磁性膜104aの磁化方向を基板面120に垂直な方向に保持することが困難になり、垂直磁気記録媒体として用いることが困難になる。
また、くびれ部107における磁性膜104の膜厚t2が、磁性膜104aの膜厚t1に対して50%よりも大きい場合、くびれ部107における交換結合力を十分に弱めることができず、磁性膜104aが、隣り合う磁性膜104aと独立に磁化反転することが困難となるケースがある。この場合、磁気記録媒体11はパターンドメディアとして機能しなくなる虞が生じる。
<入射材料の角度範囲>
凹凸形状部12に成膜される磁性膜104の入射角度(基板面120に垂直な方向を0度とする)は、基板面120に垂直な方向に近い入射成分を含み、且つ、最大入射角度が30度以上80度以下であることが特に望ましい。最大入射角度が30度よりも小さくなると、くびれ部107を明確に形成できなくなり、パターンドメディアとして機能しなくなる虞が生じるためである。また、最小角度が80度よりも大きくなると、磁性膜104aの磁化容易軸が面内方向に倒れ、本実施形態に係る磁気記録媒体11は、垂直磁気記録媒体として適用できなくなる虞が生じるためである。
<磁気記録媒体11の製造方法>
次に、磁気記録媒体11の製造手順の一例を図3(a)〜図3(e)に示す。なお、図3は、磁気記録媒体11の製造方法の一例を示す断面概略図である。
まず、図3(a)について説明する。図3(a)は、基板101に凹凸形状部12を転写するためのマスク材109を形成する様子を示す図である。
マスク材109は、後に図3(b)を用いて説明する基板101のエッチング処理に際して、基板101を部分的に保護し、凹凸形状部12を形成するためのマスク材109であり、凸部102を形成しようとする位置に配置される。
マスク材109には、例えば、電子ビーム露光法を用いて露光し現像を経て形成されたレジスト材や、自己組織化法を利用して形成されたPMMAやポリスチレン等のポリマー、Au、Ag、Ta、Wに代表される金属粒子、Al、TiOに代表される酸化物粒子を用いることができる。
次に、図3(b)について説明する。図3(b)は、反応性イオンエッチング処理により凹凸形状部12を基板101に形成する様子を示す図であり、マスク材109を形成した基板101に対して、フッ素や塩素を含むガス雰囲気中で反応性イオンエッチング処理を行い、凹凸形状部12を基板101に形成する。
続いて、図3(c)について説明する。図3(c)は、磁性膜104を凹凸形状部12上に形成する様子を示す図である。反応性イオンエッチング処理を行った後、必要に応じてマスク材109を取り除き、その後、磁性膜104を凹凸形状部12上に形成する。このとき、磁性膜104は、基板101の図示しない基板面120に垂直な方向から傾いた入射角成分を有するように成膜され、これによりくびれ部107が形成される。
次に、図3(d)について説明する。図3(d)は、磁性膜104上に保護膜105を形成する様子を示す図である。図3(d)に示すように、保護膜105が磁性膜104上に形成される。その方法は、磁性膜104を保護することが可能な方法であればどのような方法を用いてもよく、例えば、スパッタリング装置や蒸着装置、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置等の薄膜形成装置を用いるか、電鋳法を用いて形成することができる。
続いて、図3(e)について説明する。図3(e)は、保護膜105に潤滑層106を塗布形成する様子を示す図である。図3(d)を参照して説明した方法で形成した保護膜105は、上部が平滑になるように、希ガスを用いたドライプロセスのエッチング処理やCMP(Chemical Mechanical Polishing)に代表される研磨処理によって削られる。その後、図3(e)に示すように、保護膜105の上面に潤滑層106が塗布形成され、これにより磁気記録媒体11が形成される。
以上、磁気記録媒体11の製造方法を説明した。なお、図3(a)〜(e)を参照して説明した磁気記録媒体11の製造方法はあくまでも一例であり、凹凸形状部12の上にくびれ部107を有する磁性膜104を形成可能な方法であればどのような方法でもよい。例えば、マスク材109自体を凸部102の一部または全部として用いてもよく、基板101と磁性膜104との間や、磁性膜104と保護膜105との間に軟磁性層108を形成してもよい。
さらに、磁性膜104を形成した図3(c)に示す時点において、十分に薄いくびれ部107が形成されていなくともよい。その場合、ドライエッチング法やウエットエッチング法を用いて磁性膜104を部分的にエッチングすることにより、くびれ部107を形成することもできる。その製造方法の一例を図4(a)〜(e)を参照して説明する。
図4は、磁気記録媒体11の製造方法の他の一例を示す断面概略図である。なお、図4(a)・(b)は、図3(a)・(b)と同一の工程を示すものであり、その説明を省略する。
まず、図4(c)の説明をする。図4(c)は、凹凸形状部12上に十分に薄いくびれ部107が形成されなかった場合の様子を示す図である。図4(c)に示すように、凹凸形状部12上に磁性膜104を形成した際に、入射角θが大きい場合や、凸部102の側壁の基板面に対する角度が小さい場合には、十分に薄いくびれ部107が形成されない可能性がある。
そして、図4(d)は、保護膜105に保護されていない領域をエッチングしてくびれ部107を形成する様子を示す図である。図4(c)で説明した状態となった場合、図4(d)に示すように、保護膜105を凸部102上に形成する。なお、保護膜105は、例えば、基板面に平行な方向に近い入射成分のみを用いて保護膜105を形成することにより作製可能である。具体的には、粒子の入射方向に対して基板101を大きく傾けて保持することにより作製可能である。
続いて、図4(e)は、エッチング処理によりくびれ部107を形成する様子を示す図である。図4(d)の状態とした後、硫酸や硝酸等の酸薬液を用いたウエットエッチングや、リアクティブイオンエッチング等のドライエッチングにより、図4(d)で形成した保護膜105によって保護されていない領域をエッチングしてくびれ部107が形成される。
続いて、図4(f)は、磁性膜104上に保護膜105及び潤滑層106を塗布形成する様子を示す図である。なお、図4(f)は、図3(d)・(e)を参照して説明した方法と同一の工程であるため、詳細説明は省略する。
このように、図4(a)から図4(f)を参照して説明した上記の製造方法によって、磁気記録媒体11を作製することも可能である。
次に、磁気記録媒体11によって得られる効果について説明する。
磁気記録媒体11がくびれ部107を有することにより、各凸部102上にそれぞれ重畳して凸状に成膜され、互いに接触することなく形成された複数の磁性膜104aと、凸部102に隣り合う凹部103を埋設するようにそれぞれ形成された複数の磁性膜104bとの間に生ずる交換結合力を小さくすることができ、くびれ部107を超えて磁壁が移動することを防止できる。従って、磁性膜104a及び磁性膜104bは、それぞれが独立して磁化反転を起こすことが可能となり、さらに、磁性膜104aと、その磁性膜104aと隣り合う他の磁性膜104aとが、それぞれ独立に磁化反転することが可能となる。これにより、各凸部102上に形成された各々の磁性膜104aを磁化反転単位(記録ビット)とするパターンドメディアを実現することができる。
なお、くびれ部107は、必ずしも基板面120に垂直な方向に対して窪んだ形状である必要はない。このことを図5を参照して説明する。図5は、本実施の形態に係る磁気記録媒体の一変形例である磁気記録媒体13の概略断面図である。
図1(a)を参照して説明した磁性膜104は、基板面120に垂直な方向において、中央部が膨らんだ瓢箪型の外形形状を有し、磁性膜104aと磁性膜104bとの間にくびれ部107を有する。そして、そのくびれ部107は、最も近い凸部102の方向に向かって窪んだ形状を有する。
これに対して、図5(a)の磁気記録媒体13では、くびれ部107は、磁性膜104aの上部(図面上側)の傾斜した側壁40の延長線45に対して窪んだ形状を有する。
このように磁性膜104及びくびれ部107が形成された場合、あるいは、それ以外の場合であっても、磁性膜104の膜厚が局所的に薄い領域を有するのであれば、凸部102上に形成された磁性膜104aと凹部103上に形成された磁性膜104bとが独立に磁化反転することが可能となる。逆に言えば、磁性膜104aと、その磁性膜104aと隣り合う他の磁性膜104aとが独立に磁化反転するのであれば、くびれ部107の形状は適宜選択しうる。
ただし、図1に示すように、くびれ部107よりも上方(図面上側)で磁性膜104の幅が広がる箇所を有するように磁性膜104を形成することにより、隣接する個々の磁気ビット(凸部102上に形成された磁性膜104)間の間隔を極めて狭くすることができる。このことは、特許文献1に記載されているような、磁性膜をエッチングによって削り出す製法のパターンドメディアに比べて面積利用効率の高いパターンドメディアを提供できるとともに、漏洩磁界を磁気ヘッドで読み出して再生するに当たり、同じ記録密度であってもより大きな漏洩磁界が発生することになるため、再生信号強度を大きくできるという顕著な効果が期待できる。
以上、本実施形態では磁気記録媒体11、及び磁気記録媒体13をパターンドメディアに適用する場合について説明した。しかしながら、くびれ部107を有する磁性膜104は、ディスクリート・トラックメディアにおいても同様の方法を用いて作製可能である。従って、磁気記録媒体11、及び磁気記録媒体13は、必ずしもパターンドメディアである必要はなく、ディスクリート・トラックメディアとして用いられていてもよい。
ここで、ディスクリート・トラックメディアとして用いられる、本発明に係る磁気記録媒体15を図6を参照して説明する。なお、図6は、磁気記録媒体15をディスクリート・トラックメディアに適用した場合の構成を示す概略図であり、図6(a)は断面図を、図6(b)は平面図(図6(a)に記載される磁気記録媒体15を紙面上方から見下ろした平面図)を示す。また、図6(a)は、図6(b)におけるB−B’断面を示したものに相当し、図6(b)は、磁気記録媒体15から保護膜105及び潤滑層106を除いた状態を示す。
図6(b)から分かるように、磁気記録媒体15をディスクリート・トラックメディアに用いた場合においても、くびれ部107を有することにより、凸部102上に形成された磁性膜104aと凹部103上に形成された磁性膜104bとは、それぞれ独立して磁化反転することが可能である。それゆえ、磁気記録媒体15では、磁性膜104aをデータトラックとして使用することにより、データトラック同士を磁気的に分離して、記録時に隣接トラックへの記録情報の滲み(サイドライト)を防止することが可能となる。
このように、本実施の形態に係る各磁気記録媒体11・13・15は、磁性膜104aが、隣り合う他の磁性膜104aと独立に磁化反転することが可能となるため、高密度記録が可能であり、かつ、熱ゆらぎ耐性の高い磁気記録媒体を実現することができる。さらに、凸部102の幅よりも広い幅の磁性膜104aを形成することで、マスク作製やエッチングの分解能を超えて磁性領域を広く得ることが可能であり、面積利用効率の高い磁気記録媒体を提供することができる。
〔実施の形態2〕
次に、図7を参照して、本発明に係る他の磁気記録媒体21を説明する。なお、図7は、磁気記録媒体21の構成を示す概略図である。また、図1等を参照して説明した内容と同一の内容には同一の参照番号を付しており、それらの詳細説明を省略する。
磁気記録媒体21では、磁性膜104aに重畳して成膜された保護膜105と磁性膜104aの側壁とによって封止された空隙部が存在する。その空隙部111は、磁性膜104及び保護膜105によって塞がれて密封状態に保たれている。なお、その密封状態とは、He、Ne、Ar、Kr、Xe等から得らればれる元素による希ガス雰囲気下、若しくは真空状態である。
<空隙部111の作製方法>
次に、磁気記録媒体21の製造方法について説明する。
空隙部111は、磁性膜104を成膜する方法と同様の方法によって形成することができる。つまり、基板101の基板面120に垂直な方向に対して、ある角度の入射成分を有するように保護膜105の材料を磁性膜104上に成膜する。
具体的には、図2(a)〜(c)を参照して説明した方法と同様に、凹凸形状部12上に形成された磁性膜104の凹凸形状を利用するものであり、凸形状の裏側に当たる領域に保護膜105が成膜されなくなることを利用する。つまり、凹凸形状部12上に形成された磁性膜104の凸部が存在することにより、保護膜105の材料の入射方向から見て当該凸部の裏側に当たる部分には保護膜105は付着しない。
このように、ある角度の入射成分を有するように保護膜105の材料を磁性膜104上に成膜することにより、保護膜105が凹部103上に形成される前に、隣り合う磁性膜104aから成長した保護膜105が互いに接触し、その結果、その保護膜105と磁性膜104aの側壁とによって封止された空隙部が形成される。あるいは、ある角度の入射成分を有するように保護膜105の材料を磁性膜104上に成膜することにより、凹部103上に形成される保護膜105が凸部102上に形成された磁性膜104aの高さまで成膜される前に、磁性膜104aから成長する保護膜105が隣り合う磁性膜104aから成長した保護膜105と接触する。その結果、凹部103上には保護膜105が成膜されることなく、保護膜105と磁性膜104aの側壁とによって封止された空隙部が形成される。
空隙部111を有する磁気記録媒体21の製造に際しては、保護膜105の成膜時に、高真空状態で成膜が行えるイオンビームスパッタ装置や、PLD(Pulsed Laser Deposition)装置等を適用することにより、保護膜105の形成時点において空隙部111が真空状態に保持される。また、スパッタリング装置を用いて希ガス中で保護膜105の成膜を行うことにより、空隙部111が希ガス雰囲気となる。このような形成方法を用いることによって、保護膜105の形成と同時に空隙部111が真空状態、又は希ガス雰囲気となり、かつ、製造工程が簡略化される。
なお、このような空隙部111を有する磁気記録媒体21を作製する際に、保護膜105が非磁性であることから、必ずしも基板面120に垂直な方向に近い入射成分の割合を多くする必要はなく、入射角θの大きな入射成分のみで形成してもよい。
次に、磁気記録媒体21によって得られる効果について説明する。なお、磁気記録媒体11によって得られる効果と同様の効果は、その説明を省略する。
空隙部111を有する磁気記録媒体21では、空隙部111の熱伝導率が保護膜105の材料に比べて極めて低い。従って、磁気記録媒体21を使用する磁気記録再生装置において、その駆動時に発生する熱を磁性膜104に伝わりにくくすることができる。また、記録時に磁界とともにレーザー光を照射する光(熱)アシスト磁気記録方式や、記録磁界とともに磁気スピンの歳差運動を増幅する高周波磁界を印加する高周波磁界アシスト磁気記録方式においては、磁気記録媒体21が空隙部111を有することにより、記録ビットで発生する熱が隣接ビットに対して与える影響を緩和でき、隣接ビットへの意図しない書き込みや誤消去を防止できる。
さらには、保護膜105によって空隙部111が塞がれることにより、保護膜105の表面は、凹凸形状部12に比べて表面ラフネスが小さくなる。このため保護膜105の形成後の表面の平坦化工程を簡略化でき、場合によっては工程を不要にすることが可能となる。
なお、保護膜105の表面が凹凸形状部12に比べて表面ラフネスが小さくなる理由は次の通りである。保護膜105の形成に際しては入射角θの大きい成分が存在することにより、凹部103上に空隙部111が残され、その上に保護膜105が蓋状に形成された状態となる。この段階で、その蓋になった保護膜105の最上部(保護膜105の表面)と、凸部102上に形成された保護膜105の最上部との高さの差は、保護膜105を形成する前の段階(磁性膜104形成済の状態)における、凹部103上に形成された磁性膜104の最上部と、凸部102上に形成された磁性膜104の最上部との高さの差に比べて小さくなる。従って、保護膜105が空隙部111を残すように形成された場合、保護膜105表面のラフネスは、空隙部111が存在しないように保護膜105が形成された場合に比べて小さくなる。
また、磁気記録媒体21は、スパッタリング装置に代表される真空装置を用いて作製可能であり、磁性体のエッチングを行うことなく作製することができる。従って、磁気記録媒体21の製造方法は、従来のハードディスク製造工程と親和性が高く、ダメージに弱い磁性膜104を適用することができる。そして、磁気記録媒体21では高い垂直磁気異方性が得られる。加えて、凸部102の幅よりも広い幅の磁性膜104aを形成することができるため、マスク作製やエッチングの分解能を超えて磁性領域を広く得ることが可能であり、面積利用効率の高い磁気記録媒体を提供できる。
〔実施の形態3〕
次に、上記各実施形態に記載された磁気記録媒体に対して磁気情報を記録すると共に、当該磁気記録媒体から磁気情報を読み出す磁気記録再生装置200について説明する。なお、図1等を参照して説明した内容と同一の内容には同一の参照番号を付しており、それらの詳細説明を省略する。
(磁気記録再生装置200の構成)
本実施の形態に係る磁気記録再生装置200の構成について、図8及び図9を参照して以下に説明する。なお、図8は、磁気記録再生装置200の構成を示すブロック図であり、図9は、磁気記録再生装置200の磁気記録再生ヘッド201の構成を示す概略図である。
磁気記録再生装置200は、磁気記録再生ヘッド201と、スライダ202と、磁気ディスク203と、スピンドル206と、サスペンションアーム207と、ボイスコイルモータ208と、制御部209とを備える。
スライダ202は、サスペンションアーム207に支持されており、先端に磁気記録再生ヘッド201を備える。
磁気ディスク203は、上記実施形態に係る各磁気記録媒体をディスク状に形成したものであり、磁気記録再生ヘッド201は、磁気ディスク203に対して潤滑層106側からアクセスする。
スピンドル206は、図示しないターンテーブルを備えており、磁気ディスク203を回転駆動させる。
サスペンションアーム207は、ボイスコイルモータ208によって磁気ディスク203上で駆動する。
なお、スピンドル206、サスペンションアーム207、ボイスコイルモータ208は従来公知のものを用いてよい。
次に、磁気記録再生ヘッド201、及び制御部209の詳細を説明する。
(磁気記録再生ヘッド201)
図9に示すように、磁気記録再生ヘッド201は、スライダ202の先端部に備えられており、磁気ディスク203に対して記録磁界を印加して情報の記録を行うと共に、磁気ディスク203からの漏洩磁界を検出して情報の再生を行う。このため、磁気記録再生ヘッド201は、磁気ディスク203に対して磁界を印加するための磁界印加部251と、磁気ディスク203から発生する漏洩磁界を検出するための磁界検出部252と、を備える。
続いて、磁気記録再生ヘッド201の動作を説明する。図8を参照して、まず、スピンドル206が磁気ディスク203を回転駆動させる。そして、磁気ディスク203が回転することにより空気流が発生し、スライダ202は、その空気流を利用して磁気ディスク203上に例えば5〜20nm程度浮上する。この状態において、浮上したスライダ202の先端部に備えられた磁気記録再生ヘッド201の磁界印加部251が、磁気ディスク203に対して記録磁界の印加を行い、これにより情報の記録が行われる。また、磁気記録再生ヘッド201に備えられた磁界検出部252が、磁気ディスク203からの漏洩磁界を検出し、情報の再生が行われる。
なお、磁気記録再生ヘッド201は、磁気ディスク203に対して磁界を印加できる磁界印加部251と、その磁気ディスク203からの漏洩磁界を検出する磁界検出部252とを備えるものであれば、特に限定されるものではない。
磁界印加部251としては、例えば従来公知の磁気コイルや磁気ポールを用いることができる。磁界検出部252としては、例えば、同じく従来公知のGMR(Giant Magneto Resistance)素子やTMR(Tunneling Magneto Resistance)素子を用いることができる。また、スライダ202は、従来のハードディスク装置に用いられるスライダを採用してもよい。
続いて、図8を参照して制御部209について説明する。
制御部209は、回転駆動制御部210と、信号処理部211と、出力制御部212と、記憶部213とから構成され、スライダ202、スピンドル206、サスペンションアーム207、及びボイスコイルモータ208の動作を制御する。
回転駆動制御部210は、スピンドル206の回転駆動を制御する。回転駆動の制御には、例えば、磁気記録再生ヘッド201の半径位置によらず回転速度を一定とするCAV(Constant Angular Velocity)制御、磁気記録再生ヘッド201の半径位置に応じて線速度が一定となるように回転速度を変えるCLV(Constant Linear Velocity)制御、トラックをゾーンごとに分けて回転速度を制御するZCAV(Zoned CAV)制御、およびトラックをゾーンごとに分けて線速度が一定となるように回転速度を変えるZCLV(Zoned CLV)制御を用いることができる。
回転駆動制御部210は、CAV制御の場合、スピンドル206の回転速度が一定となるよう、所定の回転速度でスピンドル206を駆動する。また、回転駆動制御部210は、CLV制御の場合には、磁気記録再生ヘッド201の半径位置を検出し、これに応じて回転速度を制御する。回転駆動制御部210は、ZCAV制御、及びZCLV制御の場合には、磁気記録再生ヘッド201のゾーン位置を検出し、これに応じて回転速度または線速度が一定となるように制御する。
信号処理部211は、磁気記録再生ヘッド201との間で信号を送受信する。具体的には、磁気ディスク203のトラックに情報を記録する際に、信号処理部211が記録情報をエンコードする。そのエンコードした信号とは、当該記録情報が、磁気記録再生ヘッド201から磁気ディスク203に印加される磁界の発生パターンに置き換えられたものである。そして、信号処理部211は、そのエンコードされた信号を磁気記録再生ヘッド201に送信する。
磁気ディスク203のトラックに記録された情報を再生する際には、磁気記録再生ヘッド201が検出した信号が信号処理部211に送信され、当該信号が信号処理部211によってデコードされる。そして、当該信号が再生情報として取り出される。
出力制御部212は、磁気記録再生ヘッド201の磁界印加部251が磁気ディスク203に印加する印加磁界の強度を調節する。具体的には、出力制御部212は、磁気ディスク203のくびれ部107より上方に形成された磁性膜104aが個々に独立して磁化反転するように印加磁界を調整する。
記憶部213は、磁気ディスク203から読み出した情報、信号処理部211が磁界の発生パターンを決定するための参照情報、あるいは出力制御部212が記録磁界の出力を決定するための参照情報等を蓄積するためのメモリである。
(磁気記録再生装置200の動作)
次に、磁気記録再生装置200の記録動作について図10を参照して説明する。なお、図10は、磁気記録再生装置200の記録動作を説明するためのフローチャートである。
最初に、ステップS10では、磁気記録再生装置200に電源が投入されると、磁気ディスク203が回転することにより空気流が発生し、その空気流によって磁気記録再生ヘッド201が磁気ディスク203上に浮上する。
続いて、ステップS12では、磁気記録再生ヘッド201が通電されることにより、磁界印加部251から記録磁界が発せられる。
このとき、出力制御部212は、磁気ディスク203において、くびれ部107より上方に形成された磁性膜104aが個々に独立して磁化反転するように記録磁界強度を調節する(ステップS14)。なお、くびれ部107よりも下方に形成された磁性膜104bは、記録磁界によって磁化反転しても、磁化反転しなくてもよい。
そして、ステップS10〜ステップS14を経ることにより、磁気ディスク203のトラックに情報の記録が行われる(ステップS16)。
次に、磁気記録再生装置200の再生動作について図11を参照して説明する。なお、図11は、磁気記録再生装置200の再生動作を説明するためのフローチャートである。
最初に、ステップS10では、磁気記録再生装置200に電源が投入されると、磁気ディスク203が回転することにより空気流が発生し、その空気流によって磁気記録再生ヘッド201が磁気ディスク203上に浮上する。
次に、ステップS20では、磁気記録再生ヘッド201の磁界検出部252が、磁気ディスク203のくびれ部107より上方に形成された磁性膜104aからの漏洩磁界を検出する。
なお、くびれ部107よりも下方に形成された磁性膜104bからも漏洩磁界が生じるが、磁界検出部252までの距離が長いため、再生信号として検出されないか、検出されたとしても凸部102上に形成された磁性膜104aからの漏洩磁界に比べて十分小さいため、再生信号の対象として取り扱われない。
そして、ステップS22では、信号処理部211が、検出された漏洩磁界を電気信号に変換する。そして、当該電気信号が再生情報として取り出され、磁気ディスク203のトラックに記録された情報の再生が行われる(ステップS24)。
このように、磁気記録再生装置200は、磁気ディスク203の個々の磁性膜104aを磁化反転単位として磁気情報を記録し、かつ、その磁性膜104aからの磁気情報を検出して再生することができるという効果を奏する。
〔実施の形態4〕
次に、磁気記録媒体11・13・15・21に対して磁気情報を記録すると共に、上記各磁気記録媒体から磁気情報を読み出す磁気記録再生装置300について説明する。なお、図1等を参照して説明した内容と同一の内容には同一の参照番号を付しており、それらの詳細説明を省略する。
(磁気記録再生装置300の構成)
本実施の形態に係る磁気記録再生装置300の構成について、図8及び図12を参照して以下に説明する。なお、図12は、磁気記録再生装置300の磁気記録再生ヘッド301の構成を示す概略図である。
磁気記録再生装置300は、図8を参照して説明した磁気記録再生装置200と同様の構成を備える。ただし、磁気記録再生装置300は、磁気記録再生ヘッド301に加え、若しくは、磁気記録再生ヘッド301の内部に、レーザー光を照射するためのレーザー光源351、及び近接場光発生部材352を備えている点が、図9を参照して説明した磁気記録再生装置200の磁気記録再生ヘッド201と相違する。すなわち、磁気記録再生装置300は、光(熱)アシスト記録方式により磁気ディスク203に対して情報の記録・再生を行うことが可能な磁気記録再生装置であり、磁気情報の記録に際して、磁界に加えて、記録しようとする磁性膜104aを加熱し昇温するための光を合わせて照射するものである。
ここで、近接場光を光アシスト磁気記録の熱源として利用することによるメリットは、光の波長よりも狭い磁気ビットを昇温することができ、それにより高記録密度化を実現することができる、そして、近接場光によって光の波長よりも狭い領域の磁気ビットを昇温して、的確にその磁気ビットに磁界を印加して記録を行うことができる、というものである。
なお、磁気記録再生ヘッド301は、磁気ディスク203に対して磁界を印加するための磁界印加部251と、磁気ディスク203から発生する漏洩磁界を検出する磁界検出部252とを備えている点、及び磁気ディスク203に対して潤滑層106側からアクセスする点は、磁気記録再生装置200の磁気記録再生ヘッド201と同様である。
レーザー光源351、及び近接場光発生部材352としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、レーザー光源351は、半導体レーザーを用いてよい。あるいは、レーザー光源351は、発せられた光が近接場光発生部材352に照射される形態になっていればよく、必ずしも磁気記録再生ヘッド301に備えられている必要はない。例えば、レーザー光源351は、サスペンションアーム207に上に備えられていてもよい。又、レーザー光源351から発せられた光を近接場光発生部材352に照射するに当って、光導波路やグレーチング形状を利用するものであっても構わない。
近接場光発生部材352は、レーザー光源351から発せられる光の波長よりも小さな微小開口が形成された金属板または金属薄膜、出射端から近接場光を発生することができる光導波路、光プローブ、散乱体などを用いてよい。あるいは、近接場光発生部材352は、磁界印加部251と一体となった電磁界発生素子であってもよい。
(磁気記録再生ヘッド301の動作)
次に、磁気記録再生装置300の動作について説明する。なお、概略的に説明すれば、磁気記録再生ヘッド301では、レーザー光源351から発せられた光が近接場光発生部材352を通過することにより、近接場光発生部材352において近接場光が生成される。そして、その近接場光が磁気ディスク203に照射される、というものである。
図8を参照して、まず、スピンドル206が磁気ディスク203を回転駆動させる。そして、磁気ディスク203が回転することにより空気流が発生し、スライダ202は、その空気流を利用して磁気ディスク203上に例えば5〜20nm程度浮上する。この状態において、浮上したスライダ202の先端部に備えられた磁気記録再生ヘッド301が、磁気ディスク203に対して情報の記録を行う。なお、磁気記録再生ヘッド301では、磁界印加部251が磁気ディスク203に対して記録磁界の印加を行うのに加え、近接場光発生部材352が近接場光を照射することによって、記録しようとする磁性膜104aを加熱・昇温し、情報を記録する。また、磁気記録再生ヘッド301に備えられた磁界検出部252が、磁気ディスク203からの漏洩磁界を検出することにより情報の再生が行われる。
制御部209は、回転駆動制御部210と、信号処理部211と、出力制御部312と、記憶部213とから構成され、スライダ202、スピンドル206、サスペンションアーム207、及びボイスコイルモータ208の動作を制御する。
なお、出力制御部312は、磁気記録再生ヘッド301から照射されるレーザー光の出力について調節を行う。また、記憶部213は、レーザー光の発生パターンや磁界の発生パターンを決定するための参照情報、および出力制御部312がレーザー光の出力を決定するための参照情報を蓄積するために利用されてもよい。
(磁気記録再生装置300の動作)
次に、磁気記録再生装置300の記録動作について図13を参照して説明する。なお、図13は、磁気記録再生装置300の記録動作を説明するためのフローチャートである。
最初に、ステップS30では、磁気記録再生装置300に電源が投入されると、磁気ディスク203が回転することにより空気流が発生し、その空気流によって磁気記録再生ヘッド301が磁気ディスク203上に浮上する。
続いて、ステップS32では、磁気記録再生ヘッド301が通電されることにより、レーザー光源351からレーザー光が発せられ、そのレーザー光は、近接場光発生部材352に照射される。そして、近接場光発生部材352から近接場光が照射される。
そして、ステップS34では、レーザー光源351からレーザー光が発せられるのに合わせて、磁界印加部251から記録磁界が発せられる。
このとき、出力制御部212は、磁気ディスク203において、くびれ部107より上方に形成された磁性膜104aの保磁力が磁界印加部251から印加される記録磁界よりも小さくなるようにレーザー光のパワーを調節する(ステップS36)。
なお、磁気記録再生装置300では、近接場光の強度が、近接場光発生部材352の近接場光の出射端からの距離に対して指数関数的に減衰するため、磁気記録再生ヘッド301に近い凸部102上に形成された磁性膜104aのみが加熱され、凹部103上に形成された磁性膜104bは殆ど加熱されない。従って、凸部102上の磁性膜104aのみに磁気情報の記録が可能となる。特に、加熱昇温しない状態における磁性膜104の保磁力を、磁界印加部251から印加される記録磁界よりも大きく設定しておけば、より確実に凹部103上の磁性膜104aへの記録が行われる(ステップS38)。
なお、磁気記録再生装置300の再生動作は、図11を参照して説明した磁気記録再生装置200の再生動作と同様であるため、詳細説明は省略する。
但し、磁気記録再生装置300では、再生時に、記録時よりも弱いパワーの近接場光を磁気ディスク203に照射しつつ漏洩磁界を検出する光(熱)アシスト再生方式を適用してもよい。このとき、磁性膜104にTbFeCoに代表されるようなn型フェリ磁性体を用い、加熱しない状態において補償温度近傍となるように磁性膜104の組成比を設定する。このように設定することで、再生に際して、近接場光では殆ど加熱されない凹部103上の磁性膜104bからは漏洩磁界が殆ど生じず、近接場光で加熱される凸部102上の磁性膜104aが補償組成からずれることにより漏洩磁界が発生する。その結果、磁界検出部252が、その漏洩磁界を検出し、信号処理部211が漏洩磁界を電気信号に変換して、磁気記録再生装置300の再生動作が実行される。
次に、磁気記録再生装置300によって得られる効果について説明する。
磁気記録再生装置300では、近接場光を用いる光(熱)アシスト磁気記録方式を採用することにより、従来の光(熱)アシスト記録の特徴である高密度記録に加えて、凸部102上の磁性膜104aのみを加熱して磁気情報を記録することが可能な磁気記録再生装置を実現することができる。
さらに、光(熱)アシスト再生を合わせて用いることにより、凹部103上に形成された磁性膜104bの影響を再生時においても確実に防止することができる。従って、磁気記録再生装置300は、安定した記録再生を実現することが可能な磁気記録再生装置をユーザに提供することができる。
〔実施例1〕
以下、実施例を示し、本発明の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な様態が可能である。
以下、本発明に係る磁気記録媒体の一実施例を図2、及び図3を参照して説明する。
<本実施例に係る磁気記録媒体11の構造>
本実施例1に係る磁気記録媒体11では、凸部102の高さ(図2(a)のh)が15nmであり、凸部102の高さの半分の位置での凸部102の幅(図2(a)のW2)が12nmである。また、隣り合う凸部102の間隔(図2(a)のW−W2)が13nmであり、凸部102の周期(図2(a)のW)が25nmで作製された凹凸形状部12の上部に、TbFeCoからなる磁性膜104aが形成されている。以下、その作製方法について説明する。
本実施例においては、基板101にSi基板を用い、図3(a)〜(e)に示した手順で磁気記録媒体11を作製した。
最初に、図3(a)に示すように、Si基板上にマスク材109を形成した。マスク材109は、Taを含む金属粒子を用い、高さ3nm程度、幅12nm程度、周期25nm程度で基板101上に作製した。
続いて、図3(b)に示すように、CHFとSFの混合ガス中において基板101を反応性イオンエッチングし、上記Taを含む金属粒子の隙間をエッチングすることで凹凸形状部12を形成した。形成された凸部102側壁の、基板面に対する角度は最大で75度程度であった。
次に、図3(c)に示すように、スパッタリング装置を用い、希ガス雰囲気中でTbFeCoフェリ磁性体膜を磁性膜104として形成した。なお、凸部102上での磁性膜104aの高さは20nmとなるようにした。
ここで、磁性膜104の成膜に用いたスパッタリング装置は、基板101を取り付ける基板ホルダがターゲット材に対向し、かつ、ターゲット周囲を自公転するように設置されており、基板面に垂直な方向に対して0度から76度までの範囲の入射角を有するようターゲット材と基板101とを配置した。このようなスパッタリング装置を用いることにより、図2(a)〜(c)を参照して説明したように、凸部102が存在することによって、それぞれの入射角から入射する磁性粒子について無成膜領域110が生じ、結果として磁性膜104に、その膜厚が局所的に膜厚の薄いくび部107が形成された。
そして、AlNからなる保護膜105を膜厚80nmで形成した。このとき、保護膜105は、Arガスを用いて磁性膜104と同じスパッタリング装置を用いて形成した。すなわち、基板面に垂直な方向に対して0度から76度までの範囲の入射角を有するようターゲット材と基板101とを配置して保護膜105を成膜した。
保護膜105の形成後、Arガス中で逆スパッタ処理を行い、保護膜105を、凸部102上に形成された磁性膜104の上部からの高さが5nmとなるまで薄くし、かつ、表面の平坦化を行った。
最後に、図3(e)に示すように、潤滑層106を保護膜105の上面に膜厚1nmで塗布して磁気記録媒体11を完成した。なお、保護膜105として用いたAlNと潤滑層106との間には、潤滑層106の密着性を高めるためにカーボン膜を膜厚2nmで形成した。
このように作製した本実施例1に係る磁気記録媒体の断面を図14に示す。図14は、保護膜105を成膜した段階での断面TEM(Transmisson Electron Microscope)像を示す。
図14の断面TEM像に示すように、凸部102上に形成した磁性膜104aと凹部103上に形成した磁性膜104bとの間にはくびれ部107(図中、丸で囲んだ領域)が形成されている。そして、当該くびれ部の膜厚は3nm〜5nm程度であった。
図15は、上記作製した本実施例1に係る磁気記録媒体の基板面に垂直な方向に磁界を印加した際の磁化曲線(M−Hループ)を振動試料型磁気力計で測定した結果を示す。
図15に示すように、本実施例1に係る磁気記録媒体の磁化曲線は垂直磁気異方性を示し、かつ、明確な2段ループが得られた。このことは、くびれ部107を境にして凸部102上に形成した磁性膜104aと凹部103上に形成した磁性膜104bとがそれぞれ独立して磁化反転していることを示すものである。さらに、磁性膜104aが、隣り合う磁性膜104aと独立して磁化反転可能であることを示すものである。
ここで、磁性膜104に用いたTbFeCoは、平滑基板上に形成した場合の保磁力が3kOeであった。また、本実施例1に係る磁気記録媒体で得られた2段の磁化曲線は、保磁力の低い方が約4kOeの保磁力を示し、保磁力の大きい方が約12kOeの保磁力を示した。そして、本実施例1に係る磁気記録媒体では、くびれ部107を境にして、磁性膜104aが、個々の凸部102上で独立して磁化反転する。一方、磁性膜104bは、本実施例1に係る磁気記録媒体の全域に渡って連続膜となっている。このことから考えて、図15における保磁力が小さい方の磁化曲線は凹部103上の磁性膜104bの磁化曲線であり、保磁力が大きい方の磁化曲線は、個々の凸部102上の磁性膜104aの磁化曲線の重ね合わせであると考えられる。
このように、本実施例1の磁気記録媒体11は、磁性膜104にくびれ部107が形成されており、くびれ部107を境にして磁性膜104aと磁性膜104bとがそれぞれ独立して磁化反転する磁気記録媒体である。さらに、個々の凸部102上に形成された磁性膜104aが、各々独立して磁化反転する磁気記録媒体である。
本実施例1の磁気記録媒体について、図14とは異なる視野で観察した断面TEM像を図16に示す。
図16に示すように、本実施例1の磁気記録媒体においては、凸部102上に形成された磁性膜104aの間を繋ぐように形成された保護膜105の下部(図13中の円で囲んだ部分)に円弧状の明確な境界線が見られ、保護膜105によって塞がれた空隙部111が存在していることが分かる。なお、保護膜105の成膜に際してはArガスを用いていることから、空隙部111内部は、Arガスが含まれた雰囲気となっている。
〔比較例〕
比較例として、実施例1の磁気記録媒体において、図3(b)に示す反応性イオンエッチング工程を行わず、図3(a)のマスク材109(高さ3nm)をそのまま凸部102として適用した磁気記録媒体1001を作製した。その他の作製条件は実施例1と同じとした。ここで、図17には、比較例に係る磁気記録媒体1001の基板面に垂直な方向に磁界を印加した際の磁化曲線(M−Hループ)を示す。
図17に示すように、比較例の磁気記録媒体1001では、磁化曲線は、1段のみであり、2段になっていない。つまり、凸部102(マスク材109)上に形成された磁性膜104と凹部103上に形成された磁性膜104とがそれぞれ独立して磁化反転している様子は見られなかった。このことは、凸部102(マスク材109)の高さが低いためくびれ部107が形成されず、それゆえ、凸部102上に形成された磁性膜104と凹部103上に形成された磁性膜104との間の交換結合力を十分に小さくできなかったことを示す。
〔実施例2〕
第2の実施例として、実施例1の磁気記録媒体において、磁性膜104をCoPtとした場合の実験を行った。磁性膜104として用いたCoPt膜は実施例1の磁性膜104と同様に、凸部102上での膜厚が20nmとなるようにした。成膜に際しては、実施例1と同様にスパッタリング装置を用いた。但し、本実施例2に用いたスパッタリング装置では、ターゲット面に対して基板面が30度傾斜し、且つ、ターゲット中心位置におけるターゲット面の法線が基板101からずらした構成とした。その結果、磁性粒子は基板面に垂直な方向に対して24度から58度までの範囲の入射角を持つこととなった。また、磁性膜104の成膜に際して基板101は自転させた。なお、それ以外の材料や製法は実施例1と同じとした。
上記方法によって作製した磁気記録媒体11について、基板面に垂直な方向に磁界を印加した際の磁化曲線(M−Hループ)を測定したところ、実施例1と同様に明確な2段のループが観測された。ここで、磁性膜104に用いたCoPtは、平滑基板上に形成した場合の保磁力が1.5kOeであった。また、保磁力の小さな方の保磁力は2kOe、保磁力の大きな方の保磁力は7kOeであった。
従って、磁性膜104にCoPtを使用した場合であっても、本実施例1の磁気記録媒体では、磁性膜104にくびれ部107が形成されており、くびれ部107を境にして凸部102上に形成された磁性膜104aと凹部103上に形成された磁性膜104bとがそれぞれ独立して磁化反転する。さらに、個々の凸部102上に形成された磁性膜104aが独立して磁化反転する。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲において種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、磁気的な作用により情報を記録する磁気記録媒体に関し、特に、ハードディスクや磁気テープ、磁気カードに代表される磁気記録媒体として好適である。
11、13、15、21 磁気記録媒体
12 凹凸形状部
101 基板
102 凸部
103 凹部
104 磁性膜
104a 磁性膜(磁性膜凸状部)
104b 磁性膜(磁性膜埋設部)
105 保護膜
106 潤滑層
107 くびれ部(磁性膜薄膜部)
108 軟磁性層
109 マスク材
110 無成膜領域
111 空隙部
200、300 磁気記録再生装置
201、301 磁気記録再生ヘッド
202 スライダ
203 磁気ディスク
206 スピンドル
207 サスペンションアーム
208 ボイスコイルモータ
209 制御部
210 回転駆動制御部
211 信号処理部
212、312 出力制御部
213 記憶部
251 磁界印加部
252 磁界検出部
351 レーザー光源
352 近接場光発生部材

Claims (8)

  1. 磁気記録を行うための磁性膜が成膜される連続した凹凸状の形成面を有する磁気記録媒体であって、
    前記磁性膜は、
    前記形成面の各凹部を埋設するようにそれぞれ成膜された複数の磁性膜埋設部と、
    前記形成面の各凸部にそれぞれ重畳して凸状に成膜され、互いに接触することなく構成された複数の磁性膜凸状部と、
    前記磁性膜凸状部と前記磁性膜埋設部との間に、前記磁性膜凸状部及び前記磁性膜埋設部よりも膜厚が薄く成膜された磁性膜薄膜部と、
    により構成されていることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記磁性膜凸状部に重畳して成膜された保護膜と前記磁性膜凸状部の側壁とによって封止された空隙部を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記空隙部は、希ガス雰囲気、又は真空に保たれていることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記磁性膜薄膜部の膜厚は、前記磁性膜凸状部の膜厚の5%〜50%であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の磁気記録媒体との間で情報の記録・再生を行う磁気記録再生装置の磁気記録再生ヘッドであって、
    前記磁性膜凸状部に対して記録磁界を印加するための磁界印加手段と、
    前記磁性膜凸状部から発生する漏洩磁界を検出するための磁界検出手段とを備えることを特徴とする磁気記録再生ヘッド。
  6. 近接場光を照射して前記磁性膜凸状部を加熱昇温するための近接場光発生手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録再生ヘッド。
  7. 請求項5又は6に記載の磁気記録再生ヘッドを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
  8. 磁気記録を行うための磁性膜が成膜される連続した凹凸状の形成面を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記磁性膜の成膜において、
    前記形成面の各凹部を埋設するように複数の磁性膜埋設部をそれぞれ成膜する第1成膜工程と、
    前記形成面の各凸部にそれぞれ重畳して凸状に成膜し、互いに接触することなく複数の磁性膜凸状部を成膜する第2成膜工程と、
    前記磁性膜凸状部と前記磁性膜埋設部との間に、前記磁性膜凸状部及び前記磁性膜埋設部よりも膜厚が薄い磁性膜薄膜部を成膜する第3成膜工程と、を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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