実施形態にかかる磁気記録媒体は、基板、基板上に形成された、複数の凸状の磁性層からなる磁気記録層、磁気記録層上に形成された保護膜を含み、さらに、保護膜と、基板表面と、各磁性層の側壁とによって囲まれる領域内に設けられた空隙を含む。
また、実施形態にかかる磁気記録再生装置は、基板、基板上に形成された、複数の凸状の磁性層からなる磁気記録層、磁気記録層上に形成された保護膜を含む磁気記録媒体と、記録再生ヘッドとを含み、さらに、保護膜と、基板表面と、各磁性層の側壁とによって囲まれる領域内に設けられた空隙を含む。
さらに、実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法は、
基板上に磁気記録層を形成する工程、
磁気記録層をパターニングして、複数の凸状の磁性層からなる磁気記録層を形成する工程、及び
磁気記録層の凸パターンに対して、保護膜材料を斜方成膜することにより、磁気記録層上に保護膜を形成するとともに、保護膜と、基板表面と、各磁性層の側壁とによって囲まれる領域内に空隙を設ける工程を含む。
実施形態によれば、保護膜と、基板表面と、各磁性層の側壁とによって囲まれる領域内に空隙が設けられていることにより、保護膜が凸状の磁性層間を連結して、磁性層間に設けられた保護膜の凹みが低減され、媒体表面における面内均一性に優れる。これにより、ヘッド操作時の浮上安定性が向上し、凹部分に発生する気流が少ないためにヘッドが落ち込みにくくなり、これによるヘッドクラッシュ頻度を極めて少なくできる。また、浮上安定と磁気スペーシングの縮小により、良好な信号S/N値が得られる。
ここで、斜方成膜とは、成膜材料を成膜すべき基材表面に対し斜め方向から入射させて成膜することを示す。成膜技術としては、例えば真空蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着などの方法を適用することができる。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1に、実施形態にかかる磁気記録媒体の構成を模式的に表す断面図を示す。
図1に示すように、実施形態にかかる磁気記録媒体100は、基板1上に形成された周期的なパターンをもつ複数の凸状の磁性層26をもつ磁気記録層2を有する磁気記録媒体であって、基板1上に形成された図示しない連続した非磁性層上に形成された磁性を有する磁気記録層2を含み、凸パターンで形成された磁気記録層2と、凹パターンの非磁性領域から構成され、凸パターンで形成される磁気記録層2と隣接する凸パターンとその上部に形成された保護膜9によって囲まれる領域内に設けられた空隙18と、を含む。
ここで、磁気記録層2を構成する凸状の磁性層26のパターンは基板1面内において周期的である。パターンピッチは20nm以下にすることができる。20nmを越えると、凸状磁気記録層の上面および側面に保護膜が一様に被覆されることになり、凹凸差が増加することでヘッドの浮上特性が悪化する傾向がある。
また、実用的には、パターンピッチは2nm以上にすることができる。2nm未満であると、パターンの分離性が悪くなり、凹凸パターンの転写性が劣化する傾向がある。
図2から図5に、実施形態に係る磁気記録媒体の磁気記録層の周期パターンの例を表す模式図を、各々示す。
この周期パターンの上面形状は、図2(a)に示すような円形301、図3(a)に示すような楕円形303、図4(a)に示すような正方形305、矩形、図5(a)に示すような多角形307などの種々の構造を有し、かつそれらの種類と数に依らず基板上に混在する。その立体形状は、図2(b)に示すような円柱304、図3(b)に示すような円錐306、図4(b)に示すような角柱308、角錐、図5(b)に示すような多角柱309などの構造を有する。すなわち、基板面に対するテーパー角度の値は自由に取り得る。
また、ここで言う周期的パターンのピッチとは凸状の磁性層のパターンの重心点から隣接する凸状パターンの重心点までの距離、すなわちピッチが2回以上連続している状態を示す。この周期パターンは面内で一様に配されることが好ましい。パターン欠損などの理由でピッチ周期的にならず、ある箇所で不連続な値をもって途絶しても、再度ピッチが周期的になっていれば良い。
保護膜の厚さは、磁気記録層の凸パターンの高さよりも低い値を有することができる。また、凸部の磁気記録層の側壁部分における保護膜濃度分布は傾斜を有し得る。保護膜濃度分布は、媒体表面側で高く、基板側において低くなり得る。この保護膜濃度は、磁気記録層を構成する材料の側面に対する保護膜材料の主成分元素の濃度である。ここで言う主成分元素とは、保護膜材料を構成する種々の元素のうち原子量組成で50%以上の量を含む元素のことを意味する。すなわち、凸状磁気記録層の露出した側面においては、基板表面の方がより保護膜材料の主成分の付着が多いことを示す。
保護膜の材料は種々の材料から選択され、例えば金属、非金属、合金、酸化物、及び窒化物をはじめとしたそれらの化合物等が使用できる。
さらに、保護膜材料は凸状磁気記録層上で最も厚く、凸−凸間で薄い構造となる。
凸状磁気記録層と保護膜材料とで囲まれた凹パターン部分には、磁気記録層材料ならびに保護膜材料が存在しない空隙領域となる。該空隙領域は大気雰囲気、真空雰囲気、あるいは不活性ガス雰囲気で構成され得る。
この空隙領域上部には保護膜が配され、凸−凸パターン間をブリッジ状に連結する。したがって、凹状パターンが基板面に露出されないため、ヘッド浮上時に発生する気流の渦が生じず、ヘッドの基板面に対する落ち込みが抑制されるので、ヘッド走査時における浮上安定性が改善される。
図6に、磁性層と保護層との寸法の関係を表す模式図を示す。
図6(a)は、磁気記録媒体の上方向から見た磁性層と保護層の配置を表す図を示す。
図6(b)は、そのX−X’断面図を示す。
図6(c)は、そのY−Y’断面図を示す。
図6(b),図6(c)のように、周期パターンの位置により保護層9は異なる厚さを有する。具体的には、パターンが最近接となるX−X’間において、ドット上部の保護層9厚をt1、磁性層26のドット間の保護層9厚をt2とし、パターンが最遠隔となるY−Y’間において、ドット間の保護層9厚をt3とした場合、t1≦t2≦t3の条件となる。
実施形態に係る磁気記録媒体によれば、媒体表面における凹凸差の位置依存性を小さくでき、面内均一性に優れ、しかも磁気ヘッドの浮上特性(グライド特性)が良好で、磁気スペーシング縮小による信号S/Nの良好な磁気記録媒体が得られる。凹部分に発生する気流が少なく、ヘッド落ち込みによるヘッドクラッシュ頻度が極めて少なくできるほか、浮上安定による信号S/Nを両立し得る磁気記録媒体となる。
また、実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法は、例えば以下の7つの実施形態に分けることができる。
図7(a)ないし図7(e)に、第1の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の工程図を示す。
第1の実施形態では、図7(a)に示すように、基板1上に磁気記録層2を形成する工程と、磁気記録層2上にマスク層3を形成する工程と、マスク層3上にレジスト層19を形成する工程と、図7(b)に示すように、レジスト層19をパターニングして凸パターンを設ける工程と、図7(c)に示すように、凸パターンをマスク層3へ転写する工程と、図7(d)に示すように、マスク層3から磁気記録層2へ転写する工程と、磁気記録層2上からマスク層3を除去する工程と、図7(e)に示すように、磁気記録層2の凸パターンに対して保護膜材料を斜方成膜し、磁気記録層2上に保護膜9を形成する工程により磁気記録媒体101を形成する工程とを含む。得られた磁気記録媒体101は、磁気記録層2上に形成された保護膜9、及び保護膜9と、基板1表面と、磁気記録層2の各磁性層の側壁とによって囲まれる領域内に設けられた空隙18を含む。
図8(a)ないし図8(f)に第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の工程図を示す。
第2の実施形態は第1の実施形態の変形例である。ここでは、図8(f)に示すように、保護膜材料の斜方成膜の角度を図8(e)とは異なる角度に変更することにより、斜方成膜の角度を、適宜、複数回設定して、図8(e)にて形成された保護膜9の上にさらに保護膜を堆積し、保護膜9’を形成すること以外は第1の実施形態と同様にして、磁気記録媒体101と同様の構成を有する磁気記録媒体102を形成することができる。
図9(a)ないし図9(f)に第3の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の工程図を示す。
図9(a)ないし図9(f)は、図7(e)の代わりに図9(e)及び図9(f)が用いられていること以外は、図7(a)ないし図7(e)と同様である。
第3の実施形態は、図9(e)及び図9(f)に示すように、保護膜材料を斜方成膜に供することより、図7(e)の保護膜9の厚さよりも厚い厚さを有する保護膜9bを形成した後、エッチングによりその膜厚を低減すること以外は第1の実施形態と同様にして、磁気記録媒体101と同様の構成を有する磁気記録媒体103を形成することができる。
図10(a)ないし図10(g)に第4の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の工程図を示す。
図10(a)ないし図10(g)は、図10(f)及び図10(g)をさらに含むこと以外は、図7(a)ないし図7(e)と同様の工程を有する。
第4の実施形態は、図10(e)に示すように保護膜材料を用いて斜方成膜により第1の保護膜21を形成した後、図10(f)に示すように保護膜材料を含む塗布液20を塗布し、斜方成膜した第1の保護膜21上にさらに第2の保護膜22を積層して保護膜9を形成すること以外は、第1の実施形態と同様にして、磁気記録媒体101と同様の構成を有する磁気記録媒体104を形成することができる。
図11(a)ないし図11(h)に第5の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の工程図を示す。
第5の実施形態によれば、図11(a)に示すように、マスク層3とレジスト層19との間に、転写層11を設ける工程をさらに含み、図11(c)に示すように、凸パターンをマスク層に転写する工程の前に凸パターンを転写層11に転写する工程をさらに含む以外は、第1の実施形態と同様にして磁気記録媒体105を得ることができる。なお、図11(b)はレジスト層をパターニングして凸パターンを形成する工程,図11(d)は、凸パターンをマスク層に転写する工程、図11(e)は、凸パターンを磁気記録層に転写する工程を示し、図11(f)はマスク層を除去することにより、凸状の複数の磁性層からなる磁気記録媒体2を訂正する工程を示し、図11(g)は、斜方成膜において保護膜材料を斜め方向に適用する工程を表し、これにより、図11(h)に示すように、磁気記録媒体101と同様の構成を有する磁気記録媒体105を形成することができる。
図12(a)ないし図12(h)に第6の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の工程図を示す。
第6の実施形態では、図12(a)に示すように、磁気記録層2とマスク層3の間にさらに剥離層12を設ける工程をさらに含み、図12(d)に示すように、凸パターンを磁気記録層2に転写する工程の前に、凸パターンを剥離層12に転写する工程をさらに含むこと以外は第1の実施形態と同様にして、磁気記録媒体106を得ることができる。なお図12(b)はレジスト層をパターニングして凸パターンを形成する工程,図12(c)は、凸パターンをマスク層に転写する工程、図12(e)は、凸パターンを磁気記録層に転写する工程を示し、図12(f)は、剥離層を除去することにより凸状の複数の磁性層からなる磁気記録媒体2を形成する工程を示し、図12(g)は、斜方成膜において保護膜材料を斜め方向に適用する工程を表し、これにより、図12(h)に示すように、磁気記録媒体101と同様の構成を有する磁気記録媒体106を形成することができる。
第7の実施形態では、図13ないし図15に示すように、基板上に設けた凸パターンをテンプレートとしてナノインプリントスタンパーを作製し、ナノインプリントスタンパーを用いてレジスト層に凸パターンを設け、凸パターンをマスク層に転写し、磁気記録媒体を得ることができる。
図13は、ナノインプリントスタンパー作製工程を表す図を示す。
まず、図13(a)に示すように、基板1上にレジスト層19を形成する。
次に、図13(b)に示すように、レジスト層19をパターニングし、凸状パターンのレジスト層19を得る。
続いて、図13(c)に示すように、凸状のレジスト層19上に導電膜13を成膜する。後述する電鋳の際には、導電不良が生じるとめっき成長が阻害され、パターン欠損につながるため、この導電膜13は凸パターンの表面ならびに側面において均一に成膜されていることが好ましい。ただし、金属微粒子ならびに基板に導電性材料を適用する場合はその限りではなく、凸パターンに電気的な導通があれば良い。この場合は導電膜13が金属微粒子上部、側面、および溝部にのみ成膜されていても良い。
導電膜13は種々の材料から選択できる。導電膜13の材料として例えば、Ni、Al、Ti、C、Au、Ag、Cr、Cuなどが挙げられる。ここではNiを用いた例を説明する。
続いて、図13(d)に示すように、マスター原盤をスルファミン酸NiあるいはNiP浴に浸漬・通電し、電鋳を行なって、導電膜13上にスタンパーとなる電鋳層14を形成する。めっき後の膜厚、すなわちスタンパーの厚さはめっき浴の水素イオン濃度、温度、粘度の他、通電電流値、めっき時間などを変更することで調整できる。この電鋳は電解めっき、あるいは無電解めっきにより行なうことができる。
このようにして得られたスタンパー201を、図13(e)に示すように基板1上から離型する。最後に、凸パターン面以外の不要な箇所を機械的に除去し、さらに円形、矩形などの所望の形状に加工することで、スタンパーが完成し得る。
図14(a)ないし図14(i)に、ナノインプリントスタンパー作製工程の変形例を表す図を示す。
図14(a)に示すように、基板1上に、マスク層3,転写層11,及びレジスト層19を形成する。
次に、図14(b)に示すように、レジスト層19をパターニングして凸状パターンのレジスト層19を得る。
続いて図14(c)に示すように、凸状パターンを転写層11に転写する。
その後、図14(d)に示すように、凸状パターンをマスク層3に転写する。
さらに、図14(e)に示すように、凸状パターンを基板1に転写する。
続いて、図14(f)に示すように、マスク層を剥離して、凸状パターンが形成された基板1を得る。
続いて、図14(g)に示すように、基板1上に導電膜13を成膜する。
続いて、図14(h)に示すように、マスター原盤をスルファミン酸NiあるいはNiP浴に浸漬・通電し、電鋳を行なって、導電膜13上にスタンパーとなる電鋳層14を形成する。
このようにして得られたスタンパー202を、図14(i)に示すように基板1上から離型する。
さらに、図14(g)の工程の後、マスク層3を介して基板1に凸パターンを転写し、図示しない基板にも凸パターンが転写されたマスター原盤を用いてスタンパーを作製することも可能である。
スタンパーをマスター原盤として代替し、複製スタンパーを作製することができる。この場合は、NiスタンパーからNiスタンパーを得る方法や、Niスタンパーから樹脂スタンパーを得る方法などが挙げられる。
図15(a)ないし図15(j)に、第1の実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法のさらに他の一例を説明するための図を示す。
図15(a)に示すように、これらのレジスト材料を、基板1上に磁気記録層2およびマスク層3を有する試料上に塗布し、レジスト層15を形成する。次いで、図15(b)に示すように、レジスト層15に対して凸パターンを有する樹脂スタンパー202をインプリントする。インプリントの際、樹脂スタンパー202がレジストに押下されるとレジストが流動化し、凸パターンが形成される。ここで、レジスト層15に対して紫外線などのエネルギーを付与することで、凸パターンを形成しているレジスト層15を硬化させ、次いで樹脂スタンパー202を離型すればレジスト層15の凸パターンが得られる。樹脂スタンパー202の離型を容易に行なうために、あらかじめ樹脂スタンパー202表面にシランカップリング剤などによる離型処理を行なっておいてもよい。
次に、図15(c)に示すように、インプリントレジストを押下した樹脂スタンパー202を離型する。ここで、樹脂スタンパー202離型後におけるレジスト層15の凹部にはレジスト材料が残渣として残存しているため、図15(d)に示すように、これをエッチングにより除去することでマスク層3の表面を露出させる。ポリマーベースのレジスト材料は、一般的にO2エッチャントに対するエッチング耐性が低いため、O2ガスを用いたドライエッチングを行なうことで容易に残渣を除去できる。無機材料を含む場合は、レジストパターンが残るようにエッチングガスを適宜変更することができる。以降、図15(d)、(f)、(g)、(h)に示すように、凸パターンをマスク層3、磁気記録層2へ転写する。
その後、図15(i)に示すように、磁気記録層2の凸パターンに対して保護膜材料を斜方成膜し、磁気記録層2上に保護膜9を形成する工程により、図15(j)に示すように、磁気記録媒体107を形成する。得られた磁気記録媒体107は、磁気記録層2上に形成された保護膜9、及び保護膜9と、基板1表面と、磁気記録層2の各磁性層の側壁とによって囲まれる領域内に設けられた空隙18を含む。
このようにして、凸パターンを有する磁気記録媒体107をナノインプリントにより作製することができる。
第1ないし第7の実施形態において、レジスト層に凸パターンを設ける方法として、図16から図18に示すように例えばエネルギー線を用いたリソグラフィー、ナノインプリント、少なくとも2種類以上のポリマー鎖を有するブロックコポリマーからなる自己組織化膜を用いたマスク、あるいは金属微粒子をマスクとして用いたパターニング方法が挙げられる。自己組織化膜を用いる場合は、膜内にミクロ相分離構造を形成した後、1種のポリマー相を選択的に除去し、残存したポリマー相をマスクとすることで凸パターンを転写することができる。また、金属微粒子マスクを用いる場合は、同一平面上に配された金属微粒子を独立したマスク層として用いることで、凸パターンを転写することができる。さらに、上記凸パターンを凸テンプレートとして、該テンプレートからナノインプリントスタンパを作製し、それを用いて凸パターン転写を行なって構わない。
図16に、自己組織化リソグラフィーによる磁気記録媒体の製造方法の一例を表す図を示す。
まず、図16(a)に示すように、基板1上に、磁気記録層2、及びマスク層3が形成された磁気記録媒体を用意する。
自己組織化膜を用いる場合は、図7(a)に示すように基板1上に、磁気記録層2、マスク層3、及びレジスト層19を形成し、及び図1(b)に示すようにフォトリソグラフィーにより凸パターンを転写する代わりに、図16(a)に示すマスク層3の上に、図16(b)に示す2種類以上のポリマー鎖を有するブロックコポリマーからなる自己組織化層24を形成し、図16(c)に示すように、例えば,熱アニールを行うことにより、自己組織化層24にミクロ相分離構造25,26を形成した後、図16(d)に示すように1種のポリマー相25を選択的に除去し、残存したポリマー26をマスクとすることで凸パターンを転写する。続いて、図16(e)に示すように、凸パターンをマスク層3へ転写する工程、図16(f)に示すように、凸パターンを磁気記録層2へ転写する工程、マスク層3を剥離して、図16(g)に示すように、パターン加工された磁気記録媒体を得る工程を含む。
さらに、図16(h)に示すように、磁気記録層2の凸パターンに対して保護膜材料を斜方成膜し、磁気記録層2上に保護膜9を形成する工程により、図16(i)に示すように、磁気記録媒体108を形成する。得られた磁気記録媒体108は、磁気記録層2上に形成された保護膜9、及び保護膜9と、基板1表面と、磁気記録層2の各磁性層の側壁とによって囲まれる領域内に設けられた空隙18を含む。
図17(a)ないし図17(h)に金属微粒子を用いた磁気記録媒体の製造工程の一例を表す図を示す。
まず、図17(a)に示すように、基板1上に設けられた磁気記録媒体2上にマスク層3を形成する。
次に、図17(b)に示すように、金属微粒子4と第1の溶媒5を含む金属微粒子塗布液6をマスク層3へ滴下、塗布するとともに、図17(c)に示すように、マスク層3上に、複数の金属微粒子4が配列された金属微粒子膜8を得る。
引き続き、図17(d)に示すように金属微粒子膜8により構成される凸パターンをマスク層3へ転写する。
次に、図17(e)に示すように金属微粒子膜8とパターニングされたマスク層3を介して、磁気記録層2に凸パターンを転写する。
さらに続いて、図17(f)に示すように磁気記録層2上のマスク層3および単層金属微粒子膜8を除去することにより、基板1と、その上に設けられたパターニングされた磁気記録層2とを得る。
その後、図17(g)に示すように、磁気記録層2の凸パターンに対して保護膜材料を斜方成膜し、磁気記録層2上に保護膜9を形成する工程により、図15(j)に示すように、磁気記録媒体109を形成する。得られた磁気記録媒体109は、磁気記録層2上に形成された保護膜9、及び保護膜9と、基板1表面と、磁気記録層2の各磁性層の側壁とによって囲まれる領域内に設けられた空隙18を含む。
図18に、金属微粒子を用いた磁気記録媒体の製造工程の他の一例を表す図を示す。
まず、基板上に磁気記録層が形成された磁気記録媒体を用意する。
図18(a)に示すように、基板1上に設けられた磁気記録媒体2上にマスク層3を形成する。
次に、図18(b)に示すように、図示しない保護材により被覆された金属微粒子4と溶媒5を含む金属微粒子塗布液6をマスク層3へ滴下、塗布し、図18(c)に示すように、複数の金属微粒子が規則正しく配列された金属微粒子膜8を得る。
続いて、図18(d)に示すように、金属微粒子膜8表面と、金属微粒子膜8が形成されたマスク層3表面とを被覆するオーバーコート層16を形成する。
その後、図18(e)に示すように、オーバーコート層16を介して金属微粒子膜8にエネルギー線を照射することにより、金属微粒子4表面の保護材を失活する。
さらに、図18(f)に示すように、金属微粒子層8をマスクとしてオーバーコート層16をエッチングすることにより、マスク層3表面に金属微粒子膜8からなる凸パターンを形成する。
引き続き、図18(g)に示すように単層の金属微粒子膜8により構成される凸パターンをマスク層3へ転写する。
次に、図18(h)に示すように、単層の金属微粒子膜8とパターニングされたマスク層3を介して、磁気記録層2に凸パターンを転写する。
さらに続いて、図18(i)に示すように、磁気記録層2上のマスク層3および単層金属微粒子膜8を除去することにより、基板1と、その上に設けられたパターニングされた磁気記録層2とを得る。
さらに、図18(j)に示すように、磁気記録層2の凸パターンに対して保護膜材料を斜方成膜し、磁気記録層2上に保護膜9を形成する工程により、図18(k)に示すように、磁気記録媒体110を形成する。得られた磁気記録媒体110は、磁気記録層2上に形成された保護膜9、及び保護膜9と、基板1表面と、磁気記録層2の各磁性層の側壁とによって囲まれる領域内に設けられた空隙18を含む。
保護膜の成膜では、基板面に対して斜方から保護膜材料を照射することで磁気記録層上に保護膜を形成する。このとき、保護膜材料を斜方成膜に供する際の角度は保護膜形成の途中で適宜変更してもよく、複数の照射角度を設定して保護膜を形成することができる。
ここで、照射角度とは、基板面に対し垂直方向を0°、水平方向を90°とした場合に測定した角度をいう。すなわち、基板表面と保護層材料とが対向する場合が0°、基板凹凸側面が保護層材料と対向する場合が90°である。
保護膜材料を斜方成膜する場合、固定された保護膜材料源に対して試料治具を傾けて配置するか、治具に装荷した試料基板を傾けて配置するか、あるいは、固定された基板材料に対して保護膜材料源を傾けて配置するなどの方法がある。
保護膜材料は種々の材料から選択できるが、非磁性材料を用いることが好ましい。例えば、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ge、Y、Zr、Mo、Pd、Ag、xHf、W、Pt、Auなどから選択できる。
保護膜材料の厚さは、磁気スペーシングの低減による信号S/Nの改善を図るため、5nm以下にすることが好ましい。また、凸パターンに対する被覆性を良好にするため、0.1nmよりも厚くしておくことが望ましい。
磁気記録層および保護膜によって囲まれる空隙領域は、保護膜形成中の雰囲気に置換され得る。例えば、He、N2、Arのような不活性ガス雰囲気中で保護膜を成膜した場合は、空隙に不活性ガスが充填される。
第2の実施形態において、保護膜材料を斜方成膜するための照射角度はθ1、θ2、θ3、…θn(nは整数)のように、異なる角度を適宜設定しても良い。
第3の実施形態において、保護膜材料を斜方成膜して厚膜を形成した後、ウェットエッチングやドライエッチングによりその膜厚を低減し、表面ラフネスを小さくすることができる。また、第2の実施形態と組合せて、異なる照射角度で斜方成膜した後エッチングによる保護膜厚低減工程を繰り返しても構わない。
第4の実施形態において、斜方入射して成膜した保護膜材料の表面に対して、保護膜材料を含む溶液を保護膜表面に塗布し、表面ラフネスを低減することもできる。この保護膜材料の塗布は種々の方法によりなされ、例えば、スピンコート法、ディップコート法、スピンキャスト法、ラングミュアブロジェット法、インクジェット法などの方法を適用することが可能である。
第5の実施形態において、マスク層上に設ける転写層は種々の材料から構成される。また、その加工の際はウェットエッチングやドライエッチングなどの方法を適用可能である。転写層を用いることで、凸パターンの転写精度を改善できる。
第6の実施形態において、磁気記録層に設ける剥離層は金属、合金、化合物、有機物などの種々の材料から構成され得る。凸パターンを磁気記録層へ転写した後、剥離層を溶解することでマスク層およびその上層に存在するパーティクルなども媒体表面から除去できるため、媒体表面を清浄化し、表面性を改善可能である。
第7の実施形態において、基板上に設けられたレジスト層の凸パターンからインプリントスタンパを作製し、該インプリントスタンパを用いたナノインプリントリソグラフィーにより、磁気記録層に凸パターンを転写する。ナノインプリントを適用することで基板の大面積に渡りパターンを一括転写でき、製造スループットを向上可能である。
なお、上述した係る製造方法の第1ないし第7の実施形態は、相互に組み合わせて実施しても良い。
上記実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法によれば、磁気記録媒体上の凹凸差を低減し、ヘッドの浮上特性が良好で、しかも磁気スペーシングの縮小による信号S/Nの優れた磁気記録媒体を製造できる。また、ヘッドの浮上特性が良好な媒体表面の保護膜を簡便に形成することが可能であり、製造プロセスの簡易化が実現される。
磁気記録層形成工程
まず、基板上に磁気記録層を形成し、磁気記録媒体を得る。
基板の形状には何ら限定は無いが、通常は円形で、硬質のものが用いられる。例えば、ガラス基板、金属含有基板、カーボン基板、セラミックス基板などが用いられる。パターンの面内均一性を良好にするため、基板表面の凸パターンは小さくすることが望ましい。また、必要に応じて基板表面には酸化膜をはじめとした保護膜を形成しておくことも可能である。
ガラス基板には、ソーダライムガラスやアルミノシリケートガラスに代表されるアモルファスガラスや、リチウム系ガラスに代表される結晶化ガラスを用いることができる。また、セラミックス基板にはアルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素を主成分とする焼結体基板を用いることが可能である。
基板上にはコバルトを主成分とした垂直磁気記録層を有する磁気記録層が形成される。
ここで、基板と垂直磁気記録層の間には高透磁率を有する軟磁性裏打ち層(SUL; Soft Under Layer)を形成することができる。軟磁性裏打ち層は垂直磁気記録層を磁化するための磁気ヘッドからの記録磁界を環流させるといった磁気ヘッド機能の一部を担っており、磁界の記録層に急峻で十分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させることができる。
軟磁性裏打ち層には例えばFe、Ni、Coを含む材料を用いることができる。これらの材料のうち、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界が存在せず優れた軟磁性を示すアモルファス材料を好ましく使用できる。軟磁性アモルファス材料を使用することにより、記録媒体の低ノイズ化を図ることができる。軟磁性アモルファス材料として、例えば、Coを主成分として、これに対しZr、Nb、Hf、Ti、Taのうち少なくとも1種を含有したCo合金、例えばCoZr、CoZrNb、及びCoZrTaなどを選択できる。
また、軟磁性裏打ち層と基板との間には軟磁性裏打ち層の密着性向上のために下地層を設けることができる。下地層材料としては、Ni、Ti、Ta、W、Cr、Pt、その合金、その酸化物、及びその窒化物などを用いることができ、例えばNiTa、及びNiCrなどを用いることが可能である。なお、これらの層は複数で構成されても構わない。
更に、軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層との間には非磁性金属材料からなる中間層を設けることができる。中間層の役割は、軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層との間の交換結合相互作用を遮断することと、垂直磁気記録層の結晶性を制御することの二つである。中間層材料としては、Ru、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Cr、Si、あるいはその合金、その酸化物、及びその窒化物から選択することができる。
垂直磁気記録層は、Coを主成分とするとともに少なくともPtを含み、更に金属酸化物を含むことができる。Co及びPtに加えて、他にもB、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、及びRuから選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。上記元素を含有することで、磁性粒子の微粒子化を促進し、結晶性、配向性を向上させることができ、これにより、高記録密度に適した記録再生特性と熱ゆらぎ特性を得ることができる。垂直磁気記録層は具体的にCoPt系合金、CoCr系合金、CoCrPt系合金、CoPtO、CoPtCrO、CoPtSi、CoPtCrSi、CoCrSiO2などの合金を用いることが可能である。
垂直磁気記録層の厚さは、再生出力信号を高確度で測定するために1.0nm厚以上が好ましく、信号強度の歪を抑えるために40nm厚以下が好ましい。1.0nmよりも薄いと再生出力が極めて小さくノイズ成分が優位になる傾向がある。逆に、40nmよりも厚い場合は再生出力が過剰となり、信号波形に歪が生じる傾向がある。
垂直磁気記録層上部には保護層を設けることができる。保護層は、垂直磁気記録層の腐食・劣化を防ぐとともに、磁気ヘッドが記録媒体に接触した時に生じる媒体表面の損傷を防ぐ効果がある。保護層材料としては、例えばC、Pd、SiO2、ZrO2を含むものが挙げられる。カーボンはsp2結合炭素(グラファイト)とsp3結合炭素(ダイヤモンド)に分類できる。耐久性、耐食性はsp3結合炭素の方が優れ、逆に平坦性はsp2結合炭素の方が優れる。通常、カーボンの成膜はグラファイトターゲットを用いたスパッタリング法により行われ、sp2結合炭素とsp3結合炭素が混在したアモルファスカーボンが成膜されるが、sp3結合炭素の割合が大きいものはダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれ、耐久性、耐食性、平坦性に優れており、磁気記録層の保護層としてより好適である。
保護層の上部には更に潤滑層を設けることができる。潤滑層に用いられる潤滑剤としては、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などが挙げられる。以上により、基板上に垂直磁気記録媒体が形成される。
マスク層形成工程
磁気記録層の上に凸パターン転写用のマスク層を形成する。
磁気記録層上に保護層が設けられている場合には、マスク層は保護層上に設けることができる。
このマスク層は磁気記録層の加工における主マスクとなるため、磁気記録層ならびに後述の金属微粒子材料とのエッチング選択比を維持できるような材料を用いることが好ましい。具体的な材料としては、例えば、Al、C、Si、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Fe、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ru、Pd、Ag、Au、Hf、Ta、W、Ptからなる群から選択され、これらの化合物もしくは合金からなる材料をマスク層へ適用することも可能である。ここで、化合物とは酸化物、窒化物、ホウ化物、炭化物などから選ばれ、また合金は上記の群から選択される2種類以上の材料により構成される。この場合、マスク層の上に形成される金属微粒子膜の材料と凸パターン寸法に対してエッチング選択比を確保し得るマスク層材料を選択し、さらにその膜厚を適切に決定すすることができる。
これらのマスク層は、真空蒸着法、電子線蒸着法、分子線蒸着法、イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法に代表される物理的気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)、及び熱・光・プラズマを用いた化学的気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)などにより形成できる。
マスク層の厚さは、物理的・化学的気相成長法においてはプロセスガス圧力、ガス流量、基板温度、投入電力、到達真空度、チャンバー雰囲気、成膜時間などのパラメータを適宜変更することで調整が可能である。このマスク層上部に形成される金属微粒子層の配列精度ならびに凸パターンの転写精度は、マスク層の表面ラフネスに強く依存する。したがって、マスク層においてはその表面ラフネスを低減しておくことが好ましく、上記成膜条件を種々調整することでこれを実現可能である。狭ピッチパターンを高精細にパターニングするために、所望のパターンピッチに対して表面ラフネスの周期は小さいことが特に好ましい。また、平均表面ラフネスの値は0.6nm以下であることが望ましい。0.6nmよりも大きいと、後述する金属微粒子の配列精度が悪化し、磁気記録媒体の信号S/Nが劣化するためで傾向がある。
表面ラフネスを低減するためには上記成膜条件を種々変更する他、マスク層材料を結晶質のものから非晶質のものにすることで、これを実現可能である。
マスク層の厚さは、剥離層および磁気記録層とのエッチング選択比や凸パターン寸法を考慮して決定することができる。マスク層成膜の際には、例えばプロセスガス圧力、ガス流量、基板温度、投入電力、到達真空度、チャンバー雰囲気、及び成膜時間などのパラメータを変えることで調整できる。成膜で用いるスパッタガスはArをはじめとした希ガスを主とすることが可能であり、さらに成膜するマスク材料によってO2、N2などの反応性ガスを混合することで所望の合金を成膜することもできる。
また、マスク層の厚さは微細パターンを高精細に転写するために、1nm以上50nm以下にすることが好ましい。1nmよりも薄いとマスク層が均一に成膜されず、また、50nmよりも厚いと深さ方向に対する凸パターンの転写精度が劣化する傾向がある。
後述のように、マスク層を介して凸パターンを磁気記録層へ形成した後、マスク層を除去することで凸パターンを有する磁気記録層を得ることができる。ここで、マスク層を除去する場合はドライエッチングもしくはウェットエッチングなどの方法を適用するが、あらかじめマスク層と磁気記録層との間に剥離層を形成しておき、これを除去することで磁気記録層上からマスク層を剥離することもできる。磁気記録層上に保護層が設けられている場合には、剥離層は保護層上に設けることができる。
剥離層はドライエッチングおよびウェットエッチングにより剥離され、最終的にはマスク材料を磁気記録層上から除去する役割を果たす。
剥離層は種々の無機材料及び高分子材料から選定でき、これを溶解可能なエッチング溶液を適切に選択できる。
剥離層に使用可能な無機材料として、例えば、C、Mo、W、Zn、Co、Ge、Al、Cu、Au、Ag、Ni、Si、SiO2及びCrなどの金属、化合物、および2種類以上の金属からなる合金などが挙げられる。これらの無機材料は、O2、CF4、Cl2、H2、N2、Arなどのエッチングガスを用いたドライエッチングで剥離できる。
また、各材料に対して塩酸、リン酸、硝酸、ホウ酸、酢酸、弗化水素酸、弗化アンモニウム、過塩素酸、臭化水素酸、カルボン酸、スルホン酸、過酸化水素水などの酸、あるいは水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化バリウム水溶液、水酸化マグネシウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、フェニルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどのアルカリ溶液を適用可能である。
また、溶液のpHを調整するための緩衝液を適宜追加しても構わない。
剥離層には高分子材料も適用できる。例えば、汎用レジスト材料に代表されるノボラック樹脂、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、メチルスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルピロリドン、及びポリメチルセルロースなどが挙げられる。これらのレジスト材料は有機溶媒もしくは水を用いて剥離できる。なお、エッチング耐性を向上させるために、高分子材料と金属を含有するコンポジット材料を使用することも可能である。
上記の酸、アルカリ、有機溶媒を用いたウェットエッチングにより剥離層を溶解する場合は、磁気記録層および基板に対する溶解速度が剥離層の溶解速度に対して十分に小さいことが望ましい。
マスク層は1層または2層以上形成することができる。前述のような磁気記録層および剥離層上のマスク層を例えば第1のマスク層、及び第2のマスク層を含む積層体にすることも可能である。例えば第1のマスク層と第2のマスク層とを異なる材料から構成することで、エッチング選択比を大きくし、転写精度を改善することが可能である。ここでは便宜上、第2のマスク層を第1のマスク層に対する転写層と呼び、基板側から磁気記録層/マスク層/転写層のように表記する。
この転写層は金属微粒子材料およびマスク層材料とのエッチング選択比を考慮して、種々の材料から適切に選択できる。マスク材料の組み合わせを決める場合、エッチング溶液あるいはエッチングガスに対応した金属材料を選択することができる。ドライエッチングを想定して各材料を組み合わせる場合、例えば、基板側からマスク層/転写層の順にC/Si、Si/Al、Si/Ni、Si/Cu、Si/Mo、Si/MoSi2、Si/Ta、Si/Cr、Si/W、Si/Ti、Si/Ru、Si/Hfなどが挙げられる他、SiをSiO2、Si3N4、SiCなどで置き換えた構成にすることができる。また、Al/Ni、Al/Ti、Al/TiO2、Al/TiN、Cr/Al2O3、Cr/Ni、Cr/MoSi2、Cr/W、GaN/Ni、GaN/NiTa、GaN/NiV、Ta/Ni、Ta/Cu、Ta/Al、Ta/Cr、などの積層体を選択できる。なお、マスク加工で使用するエッチングガスに応じて、これらの各種マスク材料の積層順序は入れ替えても構わない。
マスク材料の組み合わせおよび積層順は上記のものに限定されるわけではなく、パターン寸法とエッチング選択比の観点から適切に選択することができる。また、ドラエッチングと共にウェットエッチングによるパターニングも可能であるため、これを考慮して各マスク材料を選定することができる。
ウェットエッチングによりマスク層をパターニングする場合は、凸パターンの幅方向に対するサイドエッチを抑制する。この場合は、マスク材料の組成、エッチング溶液の濃度、およびやエッチング時間をはじめとした各種パラメータを設定することで実現可能である。
レジスト層形成工程
次に、マスク層上に凸パターン形成用のレジスト層を形成する。
レジスト層に微細な凸パターンを形成するために、例えば、ノボラック樹脂などに代表される紫外線・電子線露光用レジスト、熱や紫外線照射による硬化作用を有するナノインプリント用レジスト、高分子の自己組織化膜、および金属微粒子などを適用することが可能である。
露光あるいはナノインプリントを行う場合に用いるレジスト層は、レジスト材料の前駆体溶液の塗布を行うことで形成できる。この場合は、パターンピッチや下層のマスク層へのエッチング選択比を勘案してレジスト層の厚さを決定することができる。
溶液の塗布では、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、スピンキャスティング法、ディップコーティング法、インクジェット法などの種々の方法により基板上に塗布を行うことができる。塗布直後のレジスト層は溶媒を多く含んでいるため、レジスト材料の流動性を下げるためにプリベークを行なうことができる。マスク層に対するレジスト層の密着性が悪い場合は、マスク層表面に前処理を行なうことができる。具体的には、マスク層の水分除去のためのベーキングや、ヘキサメチルジシラザン溶液の塗布による疎水化処理などが挙げられる。
レジスト層は1層ではなく、転写工程に合わせて、例えば露光感度の異なるレジスト層を多層構造にすることができる。
また、レジスト材料の種類には何ら限定はなく、主鎖切断型、化学増幅型、架橋型などの各種レジスト材料を用いることが可能である。
マスク層上部に凸パターン形成用の自己組織化層を形成し、これを凸パターンに転写することも可能である。自己組織化膜は少なくとも異なる2つのポリマー鎖を有するジブロックコポリマーに代表され、その基本構造は(ブロックA)−(ブロックB)のように化学的特性が相互に異なるポリマー同士の末端が共有結合しているものである。自己組織化膜はジブロックコポリマーに限定されるわけではなく、材料の組み合わせによっては他にもトリブロックコポリマーやランダムコポリマーを使用することができる。
ポリマーブロックを形成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサン、ポリビニルピリジン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリジメチルアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリエチルアクリル酸、ポリプロピルアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリラクチド、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリフッ化ビニリデン、及びポリアクリルアミドなどが挙げられ、これらの中から異なる2種類以上のポリマーを用いてブロックコポリマーを構成することができる。
ブロックコポリマーを用いた自己組織化膜はスピンコーティング法などによりマスク層上に成膜できる。この場合は、各相を構成するポリマー同士が相溶となるような溶媒を選択し、これを溶解させた溶液を塗布液として用いることができる。
具体的な溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールトリメチルエーテル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、アニソール、及びジエチレングリコールトリエチルエーテルなどが挙げられる。
自己組織化膜の膜厚は、これらの溶媒を用いた際の塗布液の濃度や成膜時に設定する各種パラメータを用いて変更することができる。
自己組織化膜は熱などのエネルギーが付与されることでポリマー同士が相分離し、膜内部にミクロ相分離構造が形成される。ミクロ相分離構造は、自己組織化膜を構成するポリマーの分子量などにより異なる様相を呈し、例えばジブロックコポリマーにおいてはポリマーAの海状(マトリックス)パターンにポリマーBの島状ドットあるいはシリンダー構造が形成される他、ポリマーAおよびBが同一平面上で積層となるラメラ構造や、海−島パターンが逆転したスフィア構造が形成され得る。このパターンにおける一方のポリマー相を選択的に除去することにより、自己組織化膜の凸パターンを形成することができる。
自己組織化膜のミクロ相分離構造を形成する際には外部からエネルギーを付与する。エネルギーの付与は、熱を用いたアニールや、あるいは溶媒雰囲気中に試料を曝露する、いわゆる溶媒アニール等によって行うことができる。熱アニールを行う際は、自己組織化膜の配列精度を劣化させない温度を設定しておく。
なお、自己組織化パターンの配列精度を向上させるため、マスク層上部を化学的に修飾してもよい。具体的にはブロックコポリマーを構成するいずれかのポリマー相をマスク表面に修飾しておくことで、ブロックコポリマーの配列を改善できる。この場合は、ポリマーの塗布・アニール・リンスにより分子レベルでの表面修飾が可能である。この上に前述のブロックコポリマー溶液を塗布することで、面内均一性の良いパターンを得ることが可能となる。
他にも、所望のパターンピッチとなるような金属微粒子をマスクとすることができる。金属微粒子をマスク層とする場合、微粒子自体がマスク層の凸部に相当するため、これを維持できる範囲においては下部へパターンを転写することが可能である。金属微粒子材料を用いることで、大面積に対する一喝パターニングが可能となり、電子線露光をはじめとする従来の凸パターン形成方法と比較してプロセス時間を大幅に短縮できる。また、後述するナノインプリント法に応用することで大面積に対するパターニングを安価に実施することが可能である。
凸パターンマスクとして金属微粒子を用いる場合、基板上の広範囲に渡り金属微粒子が単層配列していることが好ましく、これにより磁気記録媒体における信号強度の位置ばらつきを小さくできる他、パターン転写後における異常突起の低減に伴い良好なグライド特性が得られる。
金属微粒子マスクには、基板上に単層配列させたものを用いる。
凸パターンマスクとなる金属微粒子を基板上に配列させる際、溶媒中に金属微粒子が分散している塗布液、いわゆる分散液を用いる。以降では塗布液と呼称する。この塗布液は少なくとも1種類以上の金属微粒子が互いに一定の間隔を維持しながら単分散しているものである。ここで言う単分散とは、金属微粒子同士が凝集・融着せずに独立して溶液中に存在している状態を意味する。
金属微粒子が溶媒中で安定に分散するためには、金属微粒子表面が保護材によって被覆されていることが好ましい。この保護材の定義は、界面活性剤を含み、かつ金属微粒子表面を被覆しているというものである。さらに、金属微粒子材料に対する親和性が高いことが望ましい。
この保護材は、種々の方法により微細化された金属微粒子を分散媒中へ分散させる前に付与しておくことが好ましいが、製法によっては、分散媒中へ添加することで微粒子を再分散させる方法にしても構わない。
この保護材は、金属微粒子同士のvan der waals引力を低減する化学的な作用の他、高分子鎖の立体障害に伴う物理的な作用により金属微粒子同士の凝集を抑制する役割を果たしている。
具体的な保護材としてチオール基、アミノ基、ケトン基、カルボキシル基、エーテル基、水酸基などが挙げられ、具体的にはアルカンチオール、ドデカンチオール、ポリビニルピロリドン、オレイルアミンなどが好適である。他にも、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリカルボン酸アンモニウムなどのポリマー材料などを挙げることができる。
金属微粒子材料にはC、Pt、Ni、Pd、Co、Al、Ti、Ce、Si、Fe、Au、Ag、Cu、Ta、Zr、Zn、Mo、W、Ruの群から選ばれる少なくとも1種、上記群から選択される2種類以上からなる合金、混合物、酸化物から構成される材料を用いることができる。
また、金属微粒子のサイズとしては、平均粒径が2nm以上50nm以下のものを用いることが望ましい。2nmよりも小さい微粒子は製造がより困難であり、また50nmよりも大きい場合は多層構造となった微粒子マスクの剥離が不十分で平坦性を損なうためである。
金属微粒子を分散させる溶媒は種々の有機溶媒から選択可能である。具体的には、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールトリメチルエーテル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、テトラデカン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、アニソール、及びジエチレングリコールトリエチルエーテル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、水などが挙げられる。
上記のような金属微粒子および溶媒を混合することで、金属微粒子塗布液を得る。なお、微粒子同士の凝集が生じる場合は、混合後に超音波分散などの方法を用いることで、金属微粒子を再分散させることが可能である。
また、金属微粒子塗布液に対して金属微粒子の単分散を促進させるための分散剤を添加しても構わない。分散剤は保護材ならびに溶媒との組合せに対して適切に選択することが可能であり、例えば、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリカルボン酸アンモニウム、ポリカルボン酸アミン、ポリアルキルアミン、ポリアミンなどから選択できる。微粒子調製過程において、凝集によって生じた二次粒子は粒子径が比較的大きく、パターンの均一性を損なうことに繋がるため、メンブレンフィルタなどで適宜分散液のフィルタリングを行なっておくことが望ましい。
分散液の溶媒はマスク層の表面性に対応するよう変更が可能である。また、マクロな塗布ムラ、すなわち金属微粒子が均一塗布されていない領域を縮小するため、分散液に高分子材料からなるバインダーを添加することで塗布性を改善することが可能であり、分散液の溶媒に可溶な高分子材料を選択して分散液を調製することができる。
さらに、金属微粒子塗布液にはバインダーとして種々の高分子材料を添加することが可能であり、これによりマスク層に対する塗布性を改善できる他、下地に対するパターンの固着を強化することが可能である。
バインダーに用いる高分子材料は塗布液の溶媒に溶解されるものであれば良く、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどを用いることが可能である。
これらの溶媒中に金属微粒子が単分散した金属微粒子塗布液をマスク層上へ滴下・塗布する。
金属微粒子分散液も、レジスト溶液や自己組織化膜のポリマー溶液と同様に、スピンコーティング法をはじめとした種々の方法により基板上への塗布が可能である。この際、金属微粒子が限局的に多層構造になると転写均一性を損なうため、基板上の広範囲に渡って単層構造となるように塗布条件を調整することがこのましい。
マスク層上へ滴下する塗布液量は、所望の塗布面積に対して十分に被覆され得る量に設定しておけばよい。また、金属微粒子層を多層で形成する際は、溶液濃度、溶液粘度、塗布条件を種々調整すれば良い。例えば、スピンコーティング法では大面積に対して多層構造を形成するため、塗布回転数は10000回転以下に設定しておくことが望ましい。回転数が10000回転以上になると、金属微粒子の欠陥領域が拡大し、単層化が困難になるためで傾向がある。スピンコーティングで金属微粒子を塗布する場合、内周に比べて中周ならびに外周側において金属微粒子の欠陥領域を少なくできる。そのため、信号S/Nは内周よりも中外周において良好な値を示すことになる。
また、マスク層の表面に前処理を施すことにより、金属微粒子塗布液に対する親和性が高め、金属微粒子塗布液の塗布性、すなわち面内均一性を改善可能である。例えば、基板加熱やシランカップリング剤の塗布を行う方法が挙げられる他、溶媒に対して親和性の高い高分子材料をマスク層上に設けておく方法などでも良い。
金属微粒子を塗布した基板に対して適切な後処理を行うことで微粒子の固着を強めることが可能である。具体的には、基板加熱を行うことで塗布液中の溶媒を除去する方法が挙げられる。この場合、微粒子周囲の保護材が熱分解されない温度に設定しておくことが好ましい。
後述するように、金属微粒子を凸パターンとして用いる場合、エッチング等の加工中に生じる微粒子の凝集により、パターンの転写精度が著しく劣化する問題がある。そこで、下記のプロセスを導入して凝集を緩和することもできる。
具体的には、凝集を緩和し得る金属微粒子の凸パターンマスクを形成するプロセスは、前述した(1)金属微粒子を基板上に配列させる工程、に加えて、(2)金属微粒子を物理的に固着するオーバーコート膜を形成する工程、(3)エネルギー線を照射し、微粒子の保護材を失活させる工程からなる。
基板上に金属微粒子を単層配列させた後、金属微粒子を被覆するオーバーコート膜を形成する。このオーバーコート膜は前述のごとく金属微粒子表面および、保護材を被覆する薄膜である。
オーバーコート膜は、同一平面内に配列された金属微粒子を一様に固着させる膜になる。保護材ならびに下層のマスク層をエッチングする場合は、プラズマ曝露や加熱による保護材の失活に伴い微粒子が凝集することになる。これに対して、あらかじめ金属微粒子をオーバーコート膜で固着させておくことで、保護基失活に要するエネルギー印加による凝集を抑える事が可能となる。また、オーバーコート膜の材料は保護材と保護材の間隙にも成膜されるため、金属微粒子表面に付着する。このため、金属微粒子の化学的な活性を下げることで凝集を抑制する作用も併せ持つ。
オーバーコート膜は種々の材料から選択できる。例えば前述のような金属微粒子材料と同様に、C、Pt、Ni、Pd、Co、Al、Ti、Ce、Si、Fe、Au、Ag、Cu、Ta、Zr、Zn、Mo、W、Ru、Geなどの群から選択でき、さらにこれらの合金、酸化物、窒化物などの化合物から選択してもよい。
また、オーバーコート膜は後述するエネルギー線を透過させることで保護基を失活させる役割を持つため、エネルギー線を遮断する厚さよりも薄くしておくことが望ましく、10nm以下にしておくことが作製プロセス上はより好ましい。オーバーコート膜を薄膜で成膜することが困難である場合は、あらかじめ厚膜で成膜を行いエッチングどの方法による薄膜化を後から行っても良い。
続いて、金属微粒子の保護材を失活させる。具体的には、外部からエネルギー線を照射し、保護材である高分子鎖を切断する。
エネルギー線の照射に伴い金属微粒子が保護材を失うと、隣接する微粒子との間隙が自由空間である場合は直ちに凝集するが、前述のようにオーバーコート膜による物理的な固着のため、保護材が失活されても凝集は抑制される。さらに、保護材間隙すなわち金属微粒子表面に成膜されたオーバーコート膜が金属微粒子の化学的活性を下げるため、金属微粒子はその凝集が抑制されている状態にある。
エネルギー線は種々のものから選択することができ、例えば紫外線、電子線、X線などを用いることが可能である。また、エネルギー線を照射する場合は真空中の他、He、Arのような不活性ガス雰囲気であっても良い。タクトタイムの観点からは、より簡便に照射できるエネルギー線として紫外線を用いるのが好適である。
また、エネルギー線により照射するエネルギーは波長、印加電圧などの種々のパラメータにより適切に設定できる。
上記オーバーコート膜に対してエッチングを行い、これを除去することで金属微粒子からなる凸パターンをマスク上に設ける。
前述のように、種々の材料からなるオーバーコート膜は適切なエッチングガスを選ぶことで容易に除去できる。また、後述するように下層となるマスク層ごと一括で加工して凸パターンを設けても良い。
オーバーコート膜形成、エネルギー線照射、オーバーコート膜加工の一連の工程は複数回繰り返しても良く、金属微粒子の凝集を抑制し得るまで行っても構わない。
マスク層パターニング工程
次に、金属微粒子を凸パターンとして、マスク層へパターン転写する。
マスク層の加工では、マスク層材料とエッチングガスの組み合わせにより多様な層構成と加工方法が実現され得る。
凸パターンの幅方向におけるエッチングに対して厚さ方向のエッチングが有意となるように、微細加工を行う場合はドライエッチングを適用することが好ましい。ドライエッチングで使用するプラズマは、容量結合、誘導結合、電子サイクロトロン共鳴、多周波重畳結合などの種々の方法により発生させることができる。また、凸パターンのパターン寸法の調整のために、プロセスガス圧力、ガス流量、プラズマ投入電力、バイアス電力、基板温度、チャンバー雰囲気、及び到達真空度などのパラメータを設定することができる。
エッチング選択比を大きくするためにマスク材料を積層した場合は、エッチングガスを適切に選択することができる。エッチングガスにはCF4、C2F6、C3F6、C3F8、C5F8、C4F8、ClF3、CCl3F5、C2ClF5、CCBrF3、CHF3、NF3、CH2F2などのフッ素系ガスや、Cl2、BCl3、CCl4、SiCl4などの塩素系ガスが挙げられる。その他、H2、N2、O2、Br2、HBr、NH3、CO、C2H4、He、Ne、Ar、Kr、Xeなどの各種ガスを適用することができる。また、エッチング速度やエッチング選択比を調整するためにこれらのガスを2種類以上混ぜた混合ガスを使用することも可能である。なお、ウェットエッチングによるパターニングも可能であり、この場合はエッチング選択比を確保でき、かつ幅方向へのエッチングを抑制し得るエッチング溶液を選定しておくとよい。同様に、イオンミリングのような物理的エッチングを行っても構わない。
前述のように、パターンの転写精度を改善するためにマスク層とレジスト層との間に転写層を1層設けておくことができる。さらにレジスト層の凸パターンを転写層に転写した後、レジスト層を除去してからマスク層へ凸パターンを転写してもよい。
レジスト層を転写層上から除去するためにはウェットエッチングやドライエッチングを適用することが可能である。例えば、有機レジスト材料などは有機溶媒によるウェットエッチングを行うことで、容易に転写層上から除去することができる。また、金属を含むマスクを用いる場合は、金属を溶解し得る溶液を適切に選択することでウェットエッチングを実施可能である。これにより、例えば金属微粒子などのように加工中の凝集を抑制せしめ、エッチングによる副生成物の付着に伴う凹部分の閉塞や、転写精度劣化を軽微にすることが可能となる。なお、レジスト材料を選択的に除去可能であれば、ドライエッチングを行なっても構わない。
転写層層はレジスト層とのエッチング選択比を考慮して多様な構成となり得るが、前述のように、例えば基板側からC/Si、Ta/Al、Al/Ni、Si/Crなどの構成にすることができる。
レジスト凸パターン間の間隔が著しく狭い場合、意図的にレジストの凸部分をエッチングすることで微粒子間隔を調整しても良い。具体的な方法として、ドライエッチングにおけるサイドエッチを大きくする方法や、イオンミリングにおけるイオン種の入射角度を調整して金属微粒子を幅方向にスリミングする方法などが挙げられる。以上のようにして、レジスト層の凸パターンをマスク層へ転写できる。
上記のようなレジスト層に凸パターンを設ける方法の他に、ナノインプリントリソグラフィーを適用する方法もある。具体的には、基板、もしくは基板上のマスクパターンをテンプレートとしてナノインプリントスタンパーを作製し、それを用いて磁気記録媒体上のレジスト層に凸パターンを転写する。テンプレートとするレジスト層の凸パターンには種々のものを用いることが可能であるが、ここでは、より簡易的な製造方法で安価に作製し得る金属微粒子を用いた方法について説明する。
実施形態に係るスタンパーの製造方法は、
基板上に金属微粒子を形成する工程と、金属微粒子を被覆するオーバーコート膜を形成する工程と、エネルギー線を照射して金属微粒子周囲の保護材を失活させる工程と、金属微粒子をマスクとして凸パターンを形成する工程と、金属微粒子により構成される凸パターン上に凸パターンを有する導電層を形成する工程と、導電層を電極として電鋳層を形成する工程と、導電層を剥離することにより凸パターンが転写された電鋳層からなるスタンパーを形成する工程からなり、さらにこれを用いた磁気記録媒体の製造方法は
基板上に磁気記録層を形成する工程と、
磁気記録層上にマスク層を形成する工程と、
インプリントレジスト層をマスク層上に形成する工程と、
スタンパーを用いて、インプリントレジスト層上に凸パターンを転写する工程と、
凸パターンをマスク層へ転写する工程と、
凸パターンを磁気記録層へ転写する工程と、
マスク層を磁気記録層上から除去する工程と、
を具備する。
ナノインプリントリソグラフィーは、微細凸パターンが表面に形成されたナノインプリントスタンパー(以降、スタンパーと呼ぶ)を転写用レジスト層に押下してパターン転写を行うものであり、ステップアンドリピート方式の紫外線露光や電子線露光などの技術と比較して、試料の大面積に対してレジストパターンを一括転写できる。したがって、製造スループットが増加するため、製造時間短縮・コスト削減を実現できる。
スタンパーは、微細凸パターンを具備する基板、いわゆるマスター原盤(モールド、原盤)から取得することが可能であり、多くの場合、マスター原盤の微細パターンに対する電鋳により作製される。マスター原盤用の基板にはSiをはじめとして、SiO2、SiC、SiOC、Si3N4、C、などの他、B、Ga、In、Pなどの不純物をドーピングした半導体基板を用いることができる。他にも導電性を有する材料からなる基板を用いることができる。また、基板の3次元的な形状に関する限定は無く、円形、矩形、ドーナツ形のものを用いることができる。
マスター原盤のパターンは、前述のように金属微粒子を凸パターンとしても良いし、金属微粒子パターンをマスク層へ転写したものを電鋳用パターンとして適用可能である他、何らかの方法によりマスター原盤に凸パターンを転写した後、これを電鋳用パターンとすることができる。
続いて、マスター原盤の凸パターンに対して電鋳を行い、スタンパーを作製する。電鋳、すなわち、めっき金属には種々の材料が挙げられるが、ここでは一例として、Niからなるスタンパーの作製方法を説明する。
マスター原盤の凸パターンに導電性を付与するため、単層構造の金属微粒子の表面に導電膜を成膜する。後述する電鋳の際には、導電不良が生じるとめっき成長が阻害され、パターン欠損につながるため、この導電膜は凸パターンの表面ならびに側面において均一に成膜されていることが好ましい。ただし、金属微粒子ならびに基板に導電性材料を適用する場合はその限りではなく、凸パターンに電気的な導通があれば良い。この場合は導電膜が金属微粒子上部、側面、および溝部にのみ成膜されていても良い。
導電膜は種々の材料から選択できる。導電膜の材料として例えば、Ni、Al、Ti、C、Au、Agなどが挙げられる。ここではNiを用いた例を説明する。
なお、金属微粒子に対して成膜した導電膜を金属微粒子パターンと一体化させても良い。
続いて、マスター原盤をスルファミン酸NiあるいはNiP浴に浸漬・通電し、電鋳を行なって、導電膜上にスタンパーとなる電鋳層を形成する。めっき後の膜厚、すなわちスタンパーの厚さはめっき浴の水素イオン濃度、温度、粘度の他、通電電流値、めっき時間などを変更することで調整できる。この電鋳は電解めっき、あるいは無電解めっきにより行なうことができる。
このようにして得られたスタンパーを、基板上から離型する。スタンパーの凸パターン表面に金属微粒子層が残存している場合は、凸パターン表面に対してエッチングを行うことで残渣として残った金属微粒子を除去し、凸パターンを露出させることができる。あるいは、スタンパーが難溶かつ金属微粒子が易溶となる剥離液を選択し、これを用いたウェットエッチングを行っても良い。最後に、凸パターン面以外の不要な箇所を機械的に除去し、さらに円形、矩形などの所望の形状に加工することで、スタンパーが完成し得る。
ナノインプリントスタンパー作製工程の変形例として基板上にマスク層を設け、さらにマスク層に凸パターンを転写することができる。ここで用いるマスク層は前述のように、金属微粒子とのエッチング選択比を確保できる材料であればよく、マスク層は2層以上の多層構造にしても構わない。さらに、マスク層を介して基板に凸パターンを転写し、基板にも凸パターンが転写されたマスター原版盤を用いてスタンパーを作製することも可能である。
スタンパーをマスター原盤として代替し、複製スタンパーを作製することができる。この場合は、NiスタンパーからNiスタンパーを得る方法や、Niスタンパーから樹脂スタンパを得る方法などが挙げられる。ここでは、コストパフォーマンスが比較的高く、作製が容易な樹脂スタンパーの作製方法を説明する。
樹脂スタンパーは射出成型により作製する。まず、射出成型装置にNiスタンパーを装荷し、スタンパーの凸パターンへ樹脂溶液材料を流入し、射出成型を行う。樹脂溶液材料としては、シクロオレフィンポリマーやポリカーボネート,ポリメチルメタアクリレートなどを適用可能である他、後述するインプリントレジストとの剥離性の良い材料を選択することができる。射出成型を行った後、Niスタンパー上から試料を剥離することで、凸パターンを有する樹脂スタンパーが得られる。
樹脂スタンパーを用いて、凸パターンを転写することができる。ここでは前述のように、基板側から磁気記録層、マスク層を設けた試料を用い、さらにマスク層上にインプリントレジスト層を形成したものを試料とする。インプリントレジストには熱硬化樹脂や光硬化樹脂をはじめとした各種レジスト材料を用いることが可能であり、例えばイソボルニルアクリレート、アリルメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートなどを適用できる。
これらのレジスト材料を、基板に磁気記録層よびマスク層を有する試料上に塗布し、レジスト層を形成する。次いで、レジスト層に対して凸パターンを有する樹脂スタンパーをインプリントする。インプリントの際、樹脂スタンパーがレジストに押下されるとレジストが流動化し、凸パターンが形成される。ここで、レジスト層に対して紫外線などのエネルギーを付与することで、凸パターンを形成しているレジスト層を硬化させ、次いで樹脂スタンパーを離型すればレジスト層の凸パターンが得られる。樹脂スタンパーの離型を容易に行なうために、あらかじめ樹脂スタンパー表面にシランカップリング剤などによる離型処理を行なっておいてもよい。
次に、インプリントレジストを押下した樹脂スタンパーを離型する。ここで、樹脂スタンパー離型後におけるレジスト層の凹部にはレジスト材料が残渣として残存しているため、これをエッチングにより除去することでマスク層の表面を露出させる。ポリマーベースのレジスト材料は、一般的にO2エッチャントに対するエッチング耐性が低いため、O2ガスを用いたドライエッチングを行なうことで容易に残渣を除去できる。無機材料を含む場合は、レジストパターンが残るようにエッチングガスを適宜変更することができる。以降、凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写した後、保護膜を形成する工程を経ることにより、凸パターンを有する磁気記録媒体をナノインプリントにより作製することができる。
磁気記録層パターニング工程
次に、凸パターンを合金剥離層下部の磁気記録層へ転写する。
磁気的な孤立ドットを形成するための代表的な方法としては、上記の反応性イオンエッチングやミリング法などが挙げられる。具体的には、エッチングガスにCOやNH3を適用する反応性イオンエッチングや、He、Ne、Ar、Xe、Krなどの不活性ガスを用いたイオンミリングによりパターニングすることができる。
磁気記録層のパターニングを行う際は、マスク層のエッチングレートERmaskに対する磁気記録層のエッチングレートERmagの関係がERmask≦ERmagを満足することが望ましい。すなわち、所望の磁気記録層厚を得るために、エッチングに伴うマスク層の後退は少ないほど良い。
イオンミリングにより磁気記録層へ凸パターンを転写する場合、加工に伴いマスク側壁に向かって飛散する副生成物、いわゆるリデポ成分を抑制する必要がある。このリデポ成分は、凸パターンマスクの周囲に付着するため、凸パターンの寸法が拡大し、溝部分を埋没させることになるため、分断された磁気記録層パターンを得るためにはリデポ成分を可及的に少なくすることが望ましい。また、剥離層下部の磁気記録層のエッチング時に生じたリデポ成分が剥離層側面を被覆すると、剥離層が剥離溶液に対して曝露されなくなってしまい、剥離性が劣化することになるため、やはりリデポ成分は少ないことが望ましい。
磁気記録層に対するイオンミリングでは、イオンの入射角度を変えることで側壁へのリデポ成分を少なくすることができる。この場合は、マスク高さによって最適な入射角度は異なるが20°〜70°の範囲でリデポを抑制することが可能となる。また、イオンの入射角度はミリング中に適宜変更しても構わない。例えば、磁気記録層をイオン入射角度0°でミリング加工した後、イオン入射角度を変更して凸パターンのリデポ部分を選択的に除去する方法などが挙げられる。
マスク層除去、剥離工程
磁気記録層へ凸パターンを転写した後、磁気記録層上に存在するマスク層を除去する。このマスク層は除去せずに媒体表面に残存すると異常突起パターンとなるため、走査するヘッドのクラッシュが生じることになるため、可及的に除去しておくことが好ましい。
マスク層はドライエッチングおよびウェットエッチングにより除去可能である。ドライエッチングを適用する場合は、マスク層材料を除去し得るエッチングガス種を適切に選択する。
また、前述のように磁気記録層とマスク層との間に剥離層を設けておき、該剥離層を溶解除去することでマスク層をリフトオフしてもよい。ドライエッチングにより化学的に剥離層を除去する場合、マスク層上に付着したパーティクルはパターンとして残存してしまい、最終的には媒体の表面性を劣化させる。ウェットエッチングにより剥離層を溶解する場合は、マスク層およびパーティクルはリフトオフされるため、媒体表面から完全に除去されるため、媒体の表面性の劣化を軽微にできる。よって、磁気記録層上のマスク除去にはウェットエッチングがより好ましい。
剥離層は前述のごとく、酸あるいはアルカリ溶液によって可溶な金属材料を含むため、これを溶解可能なエッチング溶液を適切に選択できる。酸剥離溶液では、例えば、塩酸、リン酸、硝酸、ホウ酸、過塩素酸、臭化水素酸、カルボン酸、スルホン酸、過酸化水素水などが挙げられる。
アルカリ剥離液では、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化バリウム水溶液、水酸化マグネシウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液、ヒドラジン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、フェニルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどが挙げられる。なお、溶液のpHを調整するための緩衝液を適宜追加しても構わない。
ウェットエッチングにより剥離層を溶解する場合は、磁気記録層および基板に対する溶解速度が剥離層の溶解速度に対して十分に小さいことが望ましい。
保護層形成工程
磁気記録層上のマスク層を除去した後、凸パターン上に保護層を形成する。この保護膜は、凸パターン状磁気記録層の腐食を防止するとともに、ヘッド走査時に生じる媒体表面の摩耗を防ぐ役割を担う。
狭ピッチパターンに対して保護膜を形成する場合、単純に成膜を行った場合は凸パターン上の保護膜と凹パターン部の保護膜との膜厚差が生じ、ヘッドの浮上特性が劣化する問題がある。また、凹パターンのみを保護膜材料で埋め込んで平坦化する場合、後工程での平坦化が困難であり、凹凸差の場所依存性が顕著になるため、媒体の平坦性が悪化する問題がある。よって、狭ピッチパターンの凸パターンを保護膜材料で完全充填するのは困難であり、同時に、埋め込み後の平坦性が悪化する問題がある。
これに対して前述の製造方法のように、斜方成膜により凸パターンに保護膜を形成することで、媒体表面の平坦性を損なうことなく、パターンに対して保護膜を一様に形成することができる。
磁気記録層のパターンは前述の通り周期的な凸形状であり、種々の構造を取り得る。例えば円柱、円錐、角柱、角錐、多角柱、多角錐などである。基板上の全てのドットパターンの形状が単一形状である必要性はなく、前記形状を有するドットがその数と種類に依らず、基板上に混在していても構わない。
保護膜を良好に成膜できるパターンピッチは20nm以下である。これよりもピッチが広くなると、保護膜がドット側面および底面に対して一様に被覆されるため、凸パターンを埋め込むことができなくなるためである。ここで、ピッチとは基板上のある凸状ドットパターンの重心点から隣接する凸状パターンの重心点までの距離である。すなわち、周期的とはあるドットを基準にしてピッチが2回以上連続している状態を示す。媒体上のドットパターンは面内で一様に配されていることが好ましいが、ピッチおよびドットサイズはばらつき、すなわち分散を有する。この分散は、媒体からの信号S/Nを高感度にするために、値が20%以下であることが好ましい。
また、パターン欠損などの理由からピッチが必ずしも周期的ではなく、ある箇所で不連続な値で途絶しても、再度ピッチが周期的になっていればよい。この不連続点とは、例えば、レジスト凸パターンの欠損から生じるものである。具体的には、前述した電子線レジストパターンでは電子線描画不良や現像不良に伴うパターン欠損であり、自己組織化ジブロックコポリマー材料では自己組織化パターンがマクロに不連続になるいわゆるドメイン領域がこれに相当する。また、金属微粒子パターンでは、マスク上に配列されない微粒子の欠陥領域であり、ナノインプリントではインプリントの転写不良に伴う欠陥がこれに相当する。いずれの場合も、一旦不連続な領域が生じても再度周期的なパターンが配されていれば媒体の構成上は別段問題は無い。
保護膜材料は種々の材料から選択できるが、非磁性材料であることが好ましい。具体的には、Al、Si、C、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ge、Y、Zr、Mo、Pd、Ag、Hf、W、Pt、Auから選択され、それらの合金、あるいは酸化物、窒化物などの化合物などから構成され得る。また、カーボン材料を用いる場合は、sp3結合炭素を多く含むDLC膜が好適である。
保護膜材料の厚さは、磁気スペーシングの低減による信号S/Nの改善を図るため、5nm以下にすることが好ましい。5nmよりも厚くなると電気−磁気信号の変換が困難になるからである。また、凸パターンに対する被覆性を良好にするため、0.1nmよりも厚くしておくことが望ましい。0.1nmよりも薄いと被覆性が悪化するためである。
保護膜は、磁気記録層凸パターンに対して保護膜材料を斜方成膜することにより得られる。基板面に保護膜材料を斜方成膜する場合は、固定された保護膜材料源に対して試料治具を傾けて配置するか、治具に装荷する試料基板を傾けて配置するか、あるいは、固定された基板材料に対して保護膜材料源を傾けて配置するなどの方法がある。このとき、斜方成膜の角度は保護膜形成の途中で適宜変更しても良く、複数の照射角度を設定することができる。例えば、成膜中に照射角度をθ1、θ2、θ3、…、のように変更しても構わない。
斜方入射による成膜方法は、例えば真空蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着などの方法を適用すると良い。また、成膜中は試料を装荷した基板を自転させたり、あるいは材料源に対して試料治具を公転させるなどして、照射された保護膜材料の成膜均一性を改善することが可能である。
また、斜方入射により保護膜材料を厚膜で形成した後、表面ラフネスの低減のためにエッチングによる膜厚低減工程を経ても良い。具体的にはウェットエッチングやドライエッチングを適用可能であるが、面内均一性と薄膜に対する加工マージンを確保するために、ドライエッチングを適用するのが好ましい。この膜厚低減工程は前記斜方入射による成膜工程と種々組み合わせることができる。例えば、ある角度θ1での斜方入射により保護膜材料を形成した後、ドライエッチングによる膜厚低減化を行い、次に凸パターンを低減するための角度θ2での斜方入射を行った後、再度ドライエッチングによる膜厚低減を行うなどの方法である。
さらに、斜方入射して形成した保護膜材料に対して、別の方法により保護膜材料を形成することも可能である。例えば、保護膜材料を含む溶液を塗布し、斜方入射して得られた平坦な保護膜上にさらに1層保護膜を形成することが可能である。これにより斜方入射で生じた凹凸差を低減化できる。この塗布・成膜の後、前述したドライエッチングを行うことで保護膜の厚さを所望の値に調製しても良い。
保護膜材料を含む溶液は種々の方法により塗布することができる。例えば、スピンコート法、ディップコート法、スピンキャスト法、ラングミュアブロジェット法、インクジェット法などの方法を適用することが可能である。
磁気記録層上に形成された保護膜は、磁気記録層の凸−凸パターン間をブリッジ状に連結する。したがって、磁気記録層間と上部の保護膜とで囲まれた部分は空隙領域となる。
この空隙領域は媒体表面の凹凸差を小さくするため、凹パターンにおいてヘッド浮上時の気流の渦が生じない。したがって、媒体表面における気流の乱れ、すなわち風乱が少なくなるので、気流の渦と圧力差に伴うヘッドの基板面に対する落ち込みが抑制される。よって、ヘッド走査時の振動が少なくなり浮上安定性が改善され、媒体表面にヘッドが接触する頻度が少なくなり、クラッシュを避けることが可能となる。
空隙は大気雰囲気、真空雰囲気、不活性ガス雰囲気で構成され得る。例えば成膜中に要するガス雰囲気で、そのまま空隙領域を置換することも可能であり、具体的なガスとしてはHe、N2、Ar、Neなどが挙げられる。
磁気記録層の周期パターンの位置により保護層は異なる厚さを有する。具体的には、パターンが最近接となるX−X’間において、ドット上部の保護層厚をt1、ドット間の保護層厚をt2とし、パターンが最遠隔となるY−Y’間において、ドット間の保護層厚をt3とした場合、t1≦t2≦t3の条件となる。
最後に、保護膜上に図示しないフッ素系潤滑膜を成膜することで、凸パターン状磁気記録層とそれらを上部で連結する保護膜とによって構成された磁気記録媒体を得られる。潤滑剤としてはパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
図19に、磁気記録媒体の周方向に対する記録ビットパターンの一例を表す図を示す。
図19は、磁気記録媒体におけるデータ領域および磁気ヘッドの位置決め情報となるサーボ領域を全て周期パターンで構成するものである。このとき、1ビットを記録再生するためのドット数は単数もしくは複数で構成され得る。
図20は、実施形態にかかる磁気記録媒体を適用可能な磁気記録再生装置の一例を、一部分解した斜視図で示す。
同図は、ディスク装置として、実施形態に係るハードディスクドライブのトップカバーを取り外して内部構造を示している。図に示すように、HDDは筐体210を備えている。この筐体210は、上面の開口した矩形箱状のベース211と、図示しない矩形板状のトップカバーとを備えている。トップカバーは、複数のねじによりベースにねじ止めされ、ベースの上端開口を閉塞している。これにより、筐体210内部は気密に保持され、呼吸フィルター226を通してのみ、外部と通気可能となっている。
ベース211上には、記録媒体としての磁気ディスク212および駆動部が設けられている。駆動部は、磁気ディスク212を支持および回転させるスピンドルモータ213、磁気ディスクに対して情報の記録、再生を行なう複数、例えば、2つの磁気ヘッド233、これらの磁気ヘッド233を磁気ディスク212の表面に対して移動自在に支持したヘッドアクチュエータ214、ヘッドアクチュエータを回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと呼称する)216を備えている。また、ベース211上には、磁気ヘッド233が磁気ディスク212の最外周に移動した際、磁気ヘッド233を磁気ディスク212から離間した位置に保持するランプロード機構218、HDDに衝撃等が作用した際、ヘッドアクチュエータ214を退避位置に保持するイナーシャラッチ220、およびプリアンプ、ヘッドIC等の電子部品が実装された基板ユニット217が設けられている。
ベース211の外面には、制御回路基板225がねじ止めされ、ベース211の底壁と対向して位置している。制御回路基板225は、基板ユニット217を介してスピンドルモータ213、VCM216、および磁気ヘッド233の動作を制御する。
図20において、磁気ディスク212は、前述の加工方法により形成された凸パターンを有する垂直磁気記録媒体として構成されている。また、磁気ディスク212は前述の通り、例えば、直径約2.5インチの円板状に形成され非磁性体からなる基板219を有している。基板219の各表面には、下地層としての軟磁性層223と、その上層部に、ディスク面に対して垂直方向に磁気異方性を有する垂直磁気記録層222とが順次積層され、さらにその上に保護膜224が形成されている。
また、磁気ディスク212は、スピンドルモータ213のハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにハブの上端にねじ止めされたクランプばね221によりクランプされ、ハブに固定されている。磁気ディスク212は、駆動モータとしてのスピンドルモータ213により所定の速度で矢印B方向に回転される。
ヘッドアクチュエータ214は、ベース211の底壁上に固定された軸受部215と、軸受部から延出した複数のアーム227と、を備えている。これらのアーム227は、磁気ディスク212の表面と平行に、かつ、互いに所定の間隔を置いて位置しているとともに、軸受部215から同一の方向へ延出している。ヘッドアクチュエータ214は、弾性変形可能な細長い板状のサスペンション230を備えている。サスペンション230は、板ばねにより構成され、その基端がスポット溶接あるいは接着によりアーム227の先端に固定され、アームから延出している。各サスペンション230の延出端にジンバルばね241を介して磁気ヘッド233が支持されている。サスペンション230、ジンバルばね241、および磁気ヘッド233により、ヘッドジンバルアッセンブリを構成している。なお、ヘッドアクチュエータ214は、軸受部215のスリーブと、複数のアームとを一体に形成したいわゆるEブロックを備えた構成としてもよい。
以下、実施例を示し、実施形態を具体的に説明する。
(C保護層、EBリソグラフィー)
まず、電子線リソグラフィーによりレジスト層に凸パターンを形成した後、磁気記録層へ転写することを特徴とした製造方法に関して説明する。
基板には2.5インチ径ドーナツ基板を用い、この上に磁気記録層をDCスパッタ法により形成した。プロセスガスはArとし、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wに設定し、基板側から10nm厚 NiTa下地層/4nm厚Pd下地層/20nm厚Ru下地層/5nm厚CoPt記録層を順次成膜し、最後に3nm厚Pd保護層を形成することで磁気記録層を得た。
続いて、磁気記録層上に剥離層のラフネス低減のための下地層を形成した。ここでは、Pd膜を選定し、DCスパッタ法により1.5nm厚となるように成膜を行った。また、ここではラフネスを意図的に大きくするためにプロセスガス圧力を4.0Paに高圧化することで成膜を行い、表面ラフネス0.32nmのPd膜を得た。続いて、下地層上に金属剥離層を形成した。本例では、剥離層として酸に可溶なMoを選定し、DCスパッタ法により5nmの厚さとなるように成膜した。
引き続き、剥離層上にマスク層を形成した。ここではレジスト層の凸パターンを高精細に転写するために2層のマスクを用いることとし、基板側から第1のマスク層として30nm厚C、さらに上部の転写層として5nm厚Siを適用した。各マスク層の形成では対向ターゲット式DCスパッタ装置を用い、Arガス流量35sccm、Arガス圧力0.7Pa、投入電力500Wとしてスパッタ成膜した。
次いで,パターニング用の主鎖切断型電子線ポジレジストを成膜した。電子線レジストには日本ゼオン(株)のZEP−520Aを用い,アニソールを溶媒としてZEP−520A:アニソール=1:3の重量比で希釈した溶液に調製した後、基板上に滴下し、回転数2500rpmで30nm厚となるようにスピンコートした。試料は180℃に加熱した真空ホットプレート上で150秒間保持し、プリベークすることで電子線レジストを硬化させた。
次いで、ZrO熱電界放出型電子源を有し、加速電圧100kV・ビーム径2nm径のビームを具備した電子線描画装置を用い、電子線レジストにパターン描画を行った。電子線描画装置は、描画パターンを形成するための信号と、試料ステージの一方向移動機構と同心円回転機構とを具備した、いわゆるx−θ型描画装置である。試料の描画では電子線を偏向するための信号を同期させるとともに、半径方向に対してステージを移動させている。ここで、描画線速度0.15m/秒、ビーム電流値13nA、半径方向への送り量を5nmとして、電子線レジストにピッチ20nmを有するドット/スペースパターンおよびライン/スペースパターンの潜像を形成した。
これを現像することで、10nm径ドット/5nmスペース、10nm幅ライン/10nm幅スペースの凸パターンを解像できる。現像液には100%酢酸ノルマルアミルを成分とした有機現像液を用い,液中に20秒間試料を浸漬することで電子線レジストの現像を行った。
引き続き、イソプロピルアルコール中に20秒間試料を浸漬してリンスを行い,N2の直接ブローにより試料表面を乾燥させた。
マスク層への凸パターン転写はドライエッチングにより行なった。ドライエッチングでは、CF4ガスおよびO2ガスを用いた誘導結合型プラズマエッチングを適用した。まず、レジスト下部のSi転写層に凸パターンを転写するためCF4ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力100W,バイアス電力10Wとし、40秒間エッチングすることでレジスト凸パターンを転写した。続いて、Cマスク層をエッチングするためO2ガスを用い、ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力100W,バイアス電力20Wとし、65秒間エッチングすることで凸パターンを転写した。
次に、剥離層および磁気記録層へ凸パターンを転写した。前述のように剥離層と磁気記録層への凸パターン転写では異なるエッチング工程を経て各層を別個にパターニングしても良いが、同一の工程によるものでも構わない。ここではArイオンによるミリング法を適用した。Arイオン加速電圧300V、ガス流量3sccm、プロセス圧力0.1Pa、基板面に対するイオン種の入射角度90°(垂直入射)として、110秒間ミリングを行い、6nm厚Pd/W合金剥離層ならびに5nm厚CoPt記録層へ凸パターンを転写した。
続いて、マスクパターンを剥離するためにウェット剥離を行った。上記のごとく、ここでは酸剥離を可能とするW合金層を剥離層としているため、過酸化水素水を用いてウェット剥離を行った。過酸化水素水は重量パーセント濃度1%となるように調製し、試料を3分間浸漬した。続いて、純水により試料を5分間洗浄し、媒体表面を清浄化した。これにより、磁気記録層上からマスク層ならびに剥離層を除去した。
次に、保護層を形成した。前述のように、この保護層は斜方入射により磁気記録層の凸−凸パターンの上部に成膜される。ここでは保護層材料としてCを選定し、DCスパッタ法によりガス圧力2Pa、投入電力200W、照射角度72°として膜厚2nmとなるように成膜した。
最後に、パーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
まず、得られた磁気記録媒体の断面形状を確認するために上面SEM観察を行ったところ、多角形状の周期パターンが明瞭に確認することができた。また、断面TEM像を撮像したところ、5nm凸パターンを有する台形状磁気記録層パターンがあることがわかった。さらに、保護層領域を確認するためにEELS分析を行った。ここでは、保護層材料が無い領域を0とし、保護層材料で充填されている領域を1とした場合、検出強度の相対値を取得することで元素濃度の同定を行った。その結果、磁気記録層凸−凸パターンとその上部においてC保護層が存在し、さらに記録層間に空隙が生じていることがわかった。このとき、保護層元素検出量の結果から、磁気記録層側面における保護層材料濃度は基板表面において、98原子%であり、高濃度であることが確認された。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
最後に、これらの媒体の記録再生特性の評価は、米国GUZIK社製リードライトアナライザRWA1632、およびスピンスタンドS1701MPを用いて、電磁変換特性を測定した。記録再生特性の評価には、書き込みにシールド付(シールドは、磁気ヘッドから出る磁束を収束させる働きを持つ)のシングルポール磁極であるシールディットポール磁極、再生部にTMR素子を用いたヘッドを用いて、記録周波数の条件を線記録密度1200kBPIとして、そのシグナルノイズ比(SNR)を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.3dBの値を得ることができた。
これにより、ヘッドの浮上特性及び凸パターンの面内均一性が良好であることがわかった。
(C保護層、自己組織化リソグラフィー)
実施例2は、レジスト層にZEP−520Aを用いる替わりに自己組織化膜を用いてミクロ相分離構造を形成せしめ、ミクロ相分離パターンを基にエッチングを行い、自己組織化膜とマスク層とのパターンの転写を良好にするため、マスク層との間に更にSi/C膜を挿入すること以外は実施例1と同様である。
まず、Si転写層上に自己組織化パターン転写用カーボン膜を3nm厚で成膜した。ここではDCスパッタ法により、Arガス圧力0.7Pa、投入電力500Wとして成膜を行った。
続いて、ブロックコポリマー溶液をカーボン膜上に塗布した。ブロックコポリマー溶液には、ポリスチレンとポリジメチルシロキサンからなるブロック共重合体を塗布溶媒に溶解したものを用いた。ポリスチレンとポリジメチルシロキサンの分子量はそれぞれ11700、2900である。この組成からは、パターンピッチ20nmのミクロ相分離構造が得られる。溶媒にはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用い、重量パーセント濃度1.5%となるようポリマー溶液の調製を行った。
この溶液をカーボン膜マスク上に滴下し、回転数5000rpmでスピンコーティングし、単層自己組織化膜となる18nm厚で自己組織化膜を成膜した。単層自己組織化膜とは、媒体の同一平面に対して階層構造を持たず、海状ポリスチレンと島状ポリジメチルシロキサンのミクロ相分離パターンが一層であることを意味する。スピンコートされる自己組織化膜は、塗布中においてマスク層表面への塗布液の濡れ性が場所依存性をもつため、内周側よりも外周側において自己組織化パターンのマクロな欠陥が少なくなる。このことは、後述の信号S/Nの径方向依存性と強く関係する。
さらに、自己組織化膜内部に海状ポリスチレンと島状ポリジメチルシロキサンドットパターンをミクロ相分離させるため、熱アニールを行った。熱アニールでは真空加熱炉を用い、炉内圧力0.2Paの減圧雰囲気下で170℃・12時間のアニールを行い、自己組織化膜内部に20nmピッチドットからなるミクロ相分離構造を形成した。
続いて、相分離パターンを基にエッチングにより凸パターンを形成した。エッチングでは誘導結合プラズマ型リアクティブイオンエッチングにより行った。プロセスガス圧力は0.1Pa、ガス流量は5sccmとした。
まず、自己組織化膜の表層のポリジメチルシロキサンを除去するため、CF4ガスをエッチャントとし、アンテナ電力50W、バイアス電力5Wで7秒のエッチングを行った。次いで、海状ポリスチレンおよび自己組織化膜下部のC膜に凸パターンを転写するため、O2ガスをエッチャントとしてアンテナ電力100W、バイアス電力5Wで110秒エッチングを行った。ポリスチレンの除去に用いるO2エッチャントは、下層のC膜もエッチングするため、Si転写層がストッパ層となりエッチングが停止する。さらに、実施例1と同様にCF4エッチャントおよびO2エッチャントを用いたプラズマエッチングにより、下層のSi転写層およびCマスク層に対するエッチングを行うことで、自己組織化膜の凸パターンをマスク層へ転写した。
以降、実施例1と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。
図23に、得られた磁気記録媒体の上面SEM写真画像を示す。
同図のように、基板面において多角形状の磁気記録ドットが最密充填されていることがわかる。また、磁気記録ドットのピッチは概ね20nm程度である。限局的にドット欠損が認められるが、欠損領域周囲のピッチに影響を及ぼしている様子は見られない。
また、図24に得られた磁気記録媒体の断面TEM写真画像を示す。
図の凹凸は作製したCoPtドットパターンであり、その上部には斜方照射により形成されたC保護層で被覆されている。C保護層はドット上部および凹部分をブリッジ状に被覆しており、凸パターン間には保護層材料のない間隙領域があることを確認できる。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.1dBの値を得ることができた。また、外周の信号SNRは内周および中周のそれよりも良好であり、12.8dBであることがわかった。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例3は、基板上に磁気記録層、マスク層、金属微粒子層をそれぞれ形成した後、磁気記録層へ凸パターンを転写する工程である。後述するように、実施例1から4は、金属微粒子層周囲の保護材を除去・失活するために照射するエネルギー線の種類、および照射雰囲気を変えた場合の例である。
基板には2.5インチ径ドーナツ基板を用い、この上に磁気記録層をDCスパッタ法により形成した。プロセスガスはArとし、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wに設定し、基板側から10nm厚 NiTa下地層/4nm厚Pd下地層/20nm厚Ru下地層/5nm厚CoPt記録層を順次成膜し、最後に3nm厚Pd保護層を形成することで磁気記録層を得た。
引き続き、Pd保護層上にマスク層を形成した。ここでは、金属微粒子層の凸パターンを高精細に転写するために3層のマスクを用いることとし、基板側から第1のマスク層として30nm厚C、さらに上部の転写層として5nm厚Si、さらに第3のマスク層として3nm厚Cを適用した。各マスク層の形成では対向ターゲット式DCスパッタ装置を用い、Arガス流量35sccm、Arガス圧力0.7Pa、投入電力500Wとしてスパッタ成膜した。
次に、金属微粒子マスクを形成するための塗布液を作製した。この塗布液は金属微粒子の分散液と高分子バインダーの混合溶液からなるものを用いた。
金属微粒子には、アルカンチオール基により表面が被覆されている平均粒径8nmのAuを用いた。高分子バインダーとして平均分子量2800のポリスチレンを用い、金属微粒子に対して重量比Au:ポリスチレン=2:3となるように混合した。また、溶媒はトルエンとし、重量パーセント濃度3.5%となるように希釈し、溶液の調製を行った。最後に、超音波分散機を用いて金属微粒子溶液を分散させ、各微粒子の単分散を促進させることで塗布液を作製した。なお、金属微粒子を単分散させるに当たり、微粒子の分散剤、すなわち界面活性剤を添加しても構わない。
次いで、C膜上に金属微粒子レジスト層を形成した。作製した金属微粒子塗布液をC膜上へ適量滴下し、回転数4500rpmでスピンコートすることで基板上に金属微粒子層を得た。金属微粒子層も実施例2の自己組織化膜と同様に、スピンコート後は内周側よりも外周側においてマクロな欠陥が少なくなる。さらに、基板をベーキングすることで金属微粒子層の分散媒を除去し、基板との固着を強化した。ベーキングはホットプレートにて行い、温度140℃、保持時間5分間とした。
次に、金属微粒子層にオーバーコート膜を成膜した。このオーバーコート膜は金属微粒子層を上面から一様に被覆することで、微粒子を固着させる役割を担う。オーバーコート膜にはC膜を用いた。
C膜の成膜はDCスパッタ法により行ない、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
引き続き、オーバーコート膜上からエネルギー線を照射した。エネルギー線を照射すると、オーバーコート膜を透過したエネルギー線が金属微粒子周囲の保護材に照射され、保護材を構成する高分子鎖が切断され、金属微粒子の活性が低下する。加えて、オーバーコート膜の材料が保護材間隙を充填するように金属微粒子表面に付着するため、加工後の凝集が生じにくくなる。
ここでは、エネルギー線を紫外線として真空雰囲気中において照射した。照射プロセスでは真空容器中に試料を装荷した後、容器内を真空排気し、10−2Pa台に到達した時点で紫外線を30秒間照射した。その後、N2ガスによる容器内ベントを行い、試料を回収した。なお、照射する紫外線の波長は365nmとしたが、その値は本例に限るわけではなく種々の波長を有する紫外線を照射しても構わない。
続いて、金属微粒子層上部のオーバーコート膜および金属微粒子下部のC膜をO2エッチャントを用いたドライエッチングにより一括除去する。ドライエッチングでは誘導結合型プラズマエッチングを適用し、圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力40W、バイアス電力40Wに設定し、8秒間エッチングすることでパターンをCマスクに転写した。なお、金属微粒子塗布から金属微粒子パターン転写に要する時間、すなわちタクトタイムは約38分程度である。本例は、後述する比較例に対してタクトタイムを大幅に短縮し得る例であり、製造スループットを改善可能である。
C膜への凸パターン転写後は上部金属微粒子をマスクとして、さらに下層へパターン転写を行なうことが可能であるが、加工中に生じる微粒子の凝集を完全に抑制するために、微粒子を基板上から除去してもよい。ここでは、Cマスクへの凸パターン転写後に金属微粒子を溶解除去した。
Au微粒子の溶解にはヨウ素/ヨウ化カリウム/水からなる水溶液を用い、それぞれの重量比を1:2:3となるように溶液を調製した。続いて、混合溶液中に試料を10秒間浸漬した後、超純水にて60秒間流水洗浄し、金属微粒子層を基板上から溶解除去した。
なお、以降の実施例中では特に断らない限り金属微粒子層下部の凸パターン転写後に基板上から金属微粒子を除去する工程を含む。
続いて、下層のSiおよびCマスクへパターンを転写した。本パターンの転写は、上述の誘導結合型プラズマエッチングにより行なった。Si膜への凸パターン転写では、CF4ガスをエッチャントとし、ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力100W、バイアス電力30Wとして5秒間エッチングを行った。
さらに、下層のCマスクへパターンを転写した。C膜へのパターン転写ではO2エッチャントを用い、ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力40W、バイアス電力40Wとし、28秒間エッチングすることで凸パターンをマスク層へ転写した。
次に、磁気記録層へ凸パターンを転写した。ここではArイオンを用いたミリング法を適用した。Arイオン加速電圧300V、ガス流量3sccm、プロセス圧力0.1Pa、基板面に対するイオン種の入射角度90°(垂直入射)として、65秒間ミリングを行い、5nm厚CoPt記録層/3nm厚Pd層へ凸パターンを転写した。また、残存したマスク層を除去するために、Arイオン加速電圧100V、ガス流量3sccm、プロセス圧力0.1Pa、基板面に対するイオン種の入射角度90°(垂直入射)として5秒間ミリングすることで、磁気記録層上からマスク層を除去した。
以降、実施例1と同様に保護層を形成し、最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。また、外周の信号SNRは内周および中周のそれよりも良好であり、13dBであることがわかった。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例4は、マスク層上にさらにSiを転写層として1層追加すること以外は、実施例3と同様である。
Si転写層はDCスパッタ法により、ガス圧力0.7Pa、投入電力500Wとして、3nm厚となるように成膜した。また、このSi転写層の加工はCF4をエッチャントとした誘導結合型プラズマエッチングにより行ない、ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力100W、バイアス電力30Wとして7秒間エッチングすることで凸パターンを転写した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.4dBの値を得ることができた。
(Al保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例5は、斜方成膜により形成する保護層材料をAlとすること以外は、実施例4と同様である。
Al保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11dBの値を得ることができた。
(Si保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例6は、斜方成膜により形成する保護層材料をSiとすること以外は、実施例4と同様である。
Si保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.1dBの値を得ることができた。
(Ti保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例7は、斜方成膜により形成する保護層材料をTiとすること以外は、実施例4と同様である。
Ti保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として10.8dBの値を得ることができた。
(V保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例8は、斜方成膜により形成する保護層材料をVとすること以外は、実施例4と同様である。
V保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.1dBの値を得ることができた。
(Cr保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例9は、斜方成膜により形成する保護層材料をCrとすること以外は、実施例4と同様である。
Cr保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。
(Mn保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例10は、斜方成膜により形成する保護層材料をMnとすること以外は、実施例4と同様である。
Mn保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として10.8dBの値を得ることができた。
(Cu保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例11は、斜方成膜により形成する保護層材料をCuとすること以外は、実施例4と同様である。
Cu保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.2dBの値を得ることができた。
(Zn保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例12は、斜方成膜により形成する保護層材料をZnとすること以外は、実施例4と同様である。
Zn保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.5dBの値を得ることができた。
(Ge保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例13は、斜方成膜により形成する保護層材料をGeとすること以外は、実施例4と同様である。
Ge保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として10.9dBの値を得ることができた。
(Y保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例14は、斜方成膜により形成する保護層材料をYとすること以外は、実施例4と同様である。
Y保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.8dBの値を得ることができた。
(Zr保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例15は、斜方成膜により形成する保護層材料をZrとすること以外は、実施例4と同様である。
Zr保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.2dBの値を得ることができた。
(Mo保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例16は、斜方成膜により形成する保護層材料をMoとすること以外は、実施例4と同様である。
Mo保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.6dBの値を得ることができた。
(Pd保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例17は、斜方成膜により形成する保護層材料をPdとすること以外は、実施例4と同様である。
Pd保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
(Ag保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例18は、斜方成膜により形成する保護層材料をAgとすること以外は、実施例4と同様である。
Ag保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として10.3dBの値を得ることができた。
(Hf保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例19は、斜方成膜により形成する保護層材料をHfとすること以外は、実施例4と同様である。
Hf保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.2dBの値を得ることができた。
(W保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例20は、斜方成膜により形成する保護層材料をWとすること以外は、実施例4と同様である。
W保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.5dBの値を得ることができた。
(Pt保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例21は、斜方成膜により形成する保護層材料をPtとすること以外は、実施例4と同様である。
Pt保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。
(Au保護層、金属微粒子リソグラフィー)
実施例22は、斜方成膜により形成する保護層材料をAuとすること以外は、実施例4と同様である。
Au保護層はDCスパッタ法により斜方成膜し、2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として10.9dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、膜厚3nm)
実施例23は、斜方成膜により形成する保護層材料をCとし、さらにその厚さを3nmとすること以外は、実施例3と同様である。
実施例3と同様に、C保護層はDCスパッタ法によりガス圧力2Pa、投入電力200Wとし、パターン面に対するCの照射角度を72°として膜厚3nmとなるように成膜を行った。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜により成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として10.7dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、膜厚3nm)
実施例24は、斜方成膜により形成する保護層材料をCとし、さらにその厚さを3nmとすること以外は、実施例23と同様である。
実施例23と同様に、C保護層はDCスパッタ法によりガス圧力2Pa、投入電力200Wとし、パターン面に対するCの照射角度を72°として膜厚4nmとなるように成膜を行った。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として9.8dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、照射角度40°)
実施例25は、媒体上に形成する保護層の斜方成膜角度を40°に変更すること以外は、実施例3と同様である。
実施例3と同様に、保護層材料照射源に対向した回転機構を有するディスク治具に試料を装荷し、照射角度が40°となるように試料を配置した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜により成膜した。得られたC保護膜は、 nmの厚さであった。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.5dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、照射角度50°)
実施例26は、媒体上に形成する保護層の斜方成膜角度を50°に変更すること以外は、実施例3と同様である。
実施例3と同様に、保護層材料照射源に対向した回転機構を有するディスク治具に試料を装荷し、照射角度が50°となるように試料を配置した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜により成膜した。得られたC保護膜は、 nmの厚さであった。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.2dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、照射角度60°)
実施例27は、媒体上に形成する保護層の斜方成膜角度を60°に変更すること以外は、実施例3と同様である。
実施例3と同様に、保護層材料照射源に対向した回転機構を有するディスク治具に試料を装荷し、照射角度が60°となるように試料を配置した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。得られたC保護膜は、 nmの厚さであった。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、照射角度70°)
実施例28は、媒体上に形成する保護層の斜方成膜角度を70°に変更すること以外は、実施例3と同様である。
実施例3と同様に、保護層材料照射源に対向した回転機構を有するディスク治具に試料を装荷し、照射角度が70°となるように試料を配置した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。得られたC保護膜は、 nmの厚さであった。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.4dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、照射角度80°)
実施例29は、媒体上に形成する保護層の斜方成膜角度を80°に変更すること以外は、実施例3と同様である。
実施例3と同様に、保護層材料照射源に対向した回転機構を有するディスク治具に試料を装荷し、照射角度が80°となるように試料を配置した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。得られたC保護膜は、 nmの厚さであった。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.4dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、ピッチ18nm)
実施例30は、平均粒径12nm、ピッチ18nmの金属微粒子層を用いて磁気記録層へ凸パターンを転写すること以外は、実施例30と同様である。
本例では、金属微粒子にAuを用いた。Auは実施例3と同様に調製・塗布し、基板上に微粒子層を形成した。さらに保護層を形成し、エネルギー線を照射し、凸パターンを磁気記録層まで転写した。
保護層材料はCとし、照射角度を80として2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として7.2dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、ピッチ13nm)
実施例31は、平均粒径9nm、ピッチ13nmの金属微粒子層を用いて磁気記録層へ凸パターンを転写すること以外は、実施例30と同様である。
本例では、金属微粒子にAuを用いた。Auは実施例3と同様に調製・塗布し、基板上に微粒子層を形成した。さらに保護層を形成し、エネルギー線を照射し、凸パターンを磁気記録層まで転写した。
保護層材料はCとし、照射角度を80として2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.6dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、ピッチ8nm)
実施例32は、平均粒径5.5nm、ピッチ8nmの金属微粒子層を用いて磁気記録層へ凸パターンを転写すること以外は、実施例30と同様である。
本例では、金属微粒子にAuを用いた。Auは実施例3と同様に調製・塗布し、基板上に微粒子層を形成した。さらに保護層を形成し、エネルギー線を照射し、凸パターンを磁気記録層まで転写した。
保護層材料はCとし、照射角度を80として2nm厚となるように成膜した。
以降、実施例3と同様に凸パターンをマスク層、磁気記録層へと転写し、溶液によりマスク層を除去した後、保護層材料を斜方成膜した。最後にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、照射角度60°→0°)
実施例33は、保護層材料の斜方成膜の角度を段階的に変えること以外は、実施例3と同様である。本例では、斜方成膜の角度を60度から0度に変更した例を示す。
保護層の斜方成膜では、まず照射角度60度にて1.3nm厚Cを成膜し、次いで照射角度を0度、すなわち対向照射により0.7nm厚Cを成膜することで、トータル厚2nmのC保護層を成膜した。
以降、実施例3と同様にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。媒体の表面ラフネスは、単一の照射角度で保護層を成膜したものよりも小さく、媒体表面に対する磁気ヘッドのヒットを少なくできた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として10.5dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、照射角度70°→0°)
実施例34は、保護層材料の斜方成膜の角度を段階的に変えること以外は、実施例3と同様である。本例では、斜方成膜の角度を70度から0度に変更した例を示す。
保護層の斜方成膜では、まず照射角度70度にて0.9nm厚Cを成膜し、次いで照射角度を0度、すなわち対向照射により1.1nm厚Cを成膜することで、トータル厚
2nmのC保護層を成膜した。
以降、実施例3と同様にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。媒体の表面ラフネスは、単一の照射角度で保護層を成膜したものよりも小さく、媒体表面に対する磁気ヘッドのヒットを少なくできた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として10.7dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、照射角度80°→0°)
実施例35は、保護層材料の斜方成膜の角度を段階的に変えること以外は、実施例3と同様である。本例では、斜方成膜の角度を80度から0度に変更した例を示す。
保護層の斜方成膜では、まず照射角度80度にて0.9nm厚Cを成膜し、次いで照射角度を0度、すなわち対向照射により1.1nm厚Cを成膜することで、トータル厚2nmのC保護層を成膜した。
以降、実施例3と同様にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。媒体の表面ラフネスは、単一の照射角度で保護層を成膜したものよりも小さく、媒体表面に対する磁気ヘッドのヒットを少なくできた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、厚膜から薄膜化)
実施例36から37は、斜方成膜により保護層材料をあらかじめ厚膜で成膜し、エッチングによる薄膜化を行うことで所望の保護層厚を得る例である。マスク層、金属微粒子層、および金属微粒子層から磁気記録層への凸パターン転写、マスク剥離工程に関しては、実施例3と同様である。
保護層材料はCとし、照射角度を70度としたDCスパッタ法により40nm厚となるように成膜した。引き続き、エッチングによりC膜を薄膜化した。ここでは、エッチャントをO2とした誘導結合型プラズマエッチングを適用し、ガス圧力0.1Pa、アンテナ電力40W、バイアス電力40Wに設定し、エッチング時間47秒でエッチングを行い、2nm厚C保護層を得た。
以降、実施例3と同様にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。このとき、媒体面における保護層材料の場所依存性は、単一角度の保護層照射により得られる媒体よりも小さく、凸パターン差の低い媒体が得られた。
媒体の表面ラフネスは、単一の照射角度で保護層を成膜したものよりも小さく、媒体表面に対する磁気ヘッドのヒットを少なくできた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、厚膜から薄膜化)
実施例37は、斜方成膜した保護層材料をイオンミリングで薄膜化すること以外は、実施例36と同様である。
保護層材料はCとし、照射角度を70度としたDCスパッタ法により10nm厚となるように成膜した。引き続き、エッチングによりC膜を薄膜化した。ここでは、Arイオンを用いたイオンミリング法を適用した。ガス圧力0.1Pa、ガス流量8sccm、加速電圧300Vとして、336秒のイオンミリングを行い2nm厚C保護層を得た。
以降、実施例3と同様にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。このとき、媒体面における保護層材料の場所依存性は、単一角度の保護層照射により得られる媒体よりも小さく、凸パターン差の低い媒体が得られた。
媒体の表面ラフネスは、単一の照射角度で保護層を成膜したものよりも小さく、媒体表面に対する磁気ヘッドのヒットを少なくできた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.6dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、成膜後にSOC成膜)
実施例38は、斜方成膜によりC保護層を形成し、さらにC保護層上にスピンオンカーボン膜を形成した例である。本例における凸パターン形成ならびにスパッタ法による保護層形成に関しては、実施例3と同様である。
まず、斜方成膜によりC保護層を1nm厚で成膜した。続いて、スピンオンカーボン溶液を媒体上にスピンコーティングし、2nm厚となるように均一成膜した。成膜したスピンオンカーボン中の溶媒を除去するため、ホットプレートにて140度・5分間保持のベーキングを行い、後処理とした。
以降、実施例3と同様にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。このとき、媒体面の保護層材料はスピンオンカーボンにより凹部分が充填されているため、単一角度の保護層照射により得られる媒体よりもラフネスが小さく、凸パターン差の低い媒体が得られた。
媒体の表面ラフネスは、単一の照射角度で保護層を成膜したものよりも小さく、媒体表面に対する磁気ヘッドのヒットを少なくできた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11dBの値を得ることができた。
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、成膜後にSOC成膜→薄膜化)
実施例38は、斜方成膜によりC保護層を形成し、C保護層上にスピンオンカーボン膜を形成した後、さらにエッチングにより薄膜化を行う例である。本例における凸パターン形成ならびにスパッタ法による保護層形成に関しては、実施例3と同様である。
まず、斜方成膜によりC保護層を2nm厚で成膜した。続いて、スピンオンカーボン溶液を媒体上にスピンコーティングし、20nm厚となるように均一成膜した。成膜したスピンオンカーボン中の溶媒を除去するため、ホットプレートにて140度・5分間保持のベーキングを行い、後処理とした。引き続き、厚膜化されたスピンオンカーボンを薄膜にするため、O2ガスをエッチャントとしたエッチングを行った。エッチングは誘導結合プラズマ型リアクティブイオンエッチングとし、ガス圧力0.1Pa、アンテナ電力40W、バイアス電力40Wとし、15秒間のエッチングを行うことでスピンオンカーボン膜を薄膜化し、トータル保護層厚3nmの媒体を得た。
以降、実施例3と同様にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。このとき、媒体面の保護層材料はスピンオンカーボンにより凹部分が充填されているため、単一角度の保護層照射により得られる媒体よりもラフネスが小さく、凸パターン差の低い媒体が得られた。
媒体の表面ラフネスは、単一の照射角度で保護層を成膜したものよりも小さく、媒体表面に対する磁気ヘッドのヒットを少なくできた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として10.8dBの値を得ることができた。
比較例1
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、保護層厚6nm)
比較例1は、斜方成膜を行い6nm厚の保護層を形成した場合の例である。本例における磁気記録層、マスク層、金属微粒子層およびそれらへの凸パターン転写と剥離工程については、実施例3と同様である。
保護層はCとし、照射角度を70度としてDCスパッタ法により6nm厚で成膜した。
以降、実施例3と同様にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、保護層の厚膜化に伴い磁気ヘッドに対する媒体表面凸パターンのヒットが著明に増加し、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることはできなかった。
比較例2
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、保護層厚2nm、照射角度0度)
比較例2は、照射角度0度、すなわち垂直入射による成膜を行い2nm厚の保護層を形成した場合の例である。本例における磁気記録層、マスク層、金属微粒子層およびそれらへの凸パターン転写と剥離工程については、実施例3と同様である。
保護層はCとし、照射角度を0度としてDCスパッタ法により2nm厚で成膜した。
以降、実施例3と同様にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、保護層の凸パターンのエンハンスに伴い磁気ヘッドに対する媒体表面凸パターンのヒットが著明に増加し、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることはできなかった。
比較例3
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、保護層厚2nm、照射角度20度)
比較例3は、照射角度を20度とした斜方成膜を行い、2nm厚の保護層を形成した場合の例である。本例における磁気記録層、マスク層、金属微粒子層およびそれらへの凸パターン転写と剥離工程については、実施例3と同様である。
保護層はCとし、照射角度を70度としてDCスパッタ法により6nm厚で成膜した。
以降、実施例3と同様にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、保護層の凸パターンのエンハンスに伴い磁気ヘッドに対する媒体表面凸パターンのヒットが著明に増加し、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることはできなかった。
比較例4
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、保護層厚2nm、照射角度85度)
比較例4は、照射角度を85度とした斜方成膜を行い、2nm厚の保護層を形成した場合の例である。本例における磁気記録層、マスク層、金属微粒子層およびそれらへの凸パターン転写と剥離工程については、実施例3と同様である。
保護層はCとし、照射角度を85度としてDCスパッタ法により6nm厚で成膜した。
以降、実施例3と同様にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、保護層の凸パターンのエンハンスに伴い磁気ヘッドに対する媒体表面凸パターンのヒットが著明に増加し、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることはできなかった。
比較例5
(C保護層、金属微粒子リソグラフィー、保護層厚2nm、照射角度0度→70度)
比較例5は、保護層成膜における斜方成膜角度を段階的に変えた場合であるが、実施例33から35で設定した照射角度の順番を入れ換えた例である。本例における磁気記録層、マスク層、金属微粒子層およびそれらへの凸パターン転写と剥離工程については、実施例3と同様である。
保護層はCとし、まず照射角度0度、すなわち垂直入射により2nm厚で成膜を行った後、照射角度を70度とした斜方成膜を行い、トータル厚3nmとした保護層を得た。
以降、実施例3と同様にパーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、最初に行った垂直入射で生じた保護層の凸パターンが斜方成膜によりエンハンスされ、磁気ヘッドに対する媒体表面凸パターンのヒットが著明に増加し、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることはできなかった。
上記実施例及び比較例の結果について、下記表1及び表2に示す。
図21に、実施例1,25,26,27,30及び比較例2,3,4について、保護膜の斜方成膜時の成膜材料の照射角度と成膜された保護膜の膜厚との関係を表すグラフを示す。
グラフ401及び表1に示すように、照射角度は40ないし80°であることが好ましい。照射角度が40ないし80°のとき、保護膜の厚さは2ないし3nmであり、この場合はドット間の保護層材料がブリッジ状で成膜され、凸-凸パターン間には空隙が生じる。よって、この照射範囲で保護膜を成膜すれば、凹凸パターンの平坦性を改善し、ヘッドの浮上特性を良化できることがわかった。
また、図22に、実施例1,2,3,4、比較例2,3,4,5について、磁性記録層の凸部高さと保護層材料濃度との関係を表すグラフの一例を示す。
グラフ402及び表2に示すように、磁性記録層の凸部高さは、1nmないし10nmであることが好ましい。1nmよりも薄いと磁気記録層の熱ゆらぎ耐性の劣化に加え、斜方照射により保護膜を形成しても平坦化の効果がほとんどないからである。また10nmを超える場合は製造が困難になるためであることがわかった。磁気記録層表面における保護層材料の主成分濃度は凹凸差1nm以上において急峻に増大するため、凸−凸間に空隙を設け、かつ平坦な保護層を形成するためには、磁気記録層の凹凸が1nm以上の場合がより好適である。さらに、凸部高さに対する保護層材料の主成分濃度の変化の傾きは、パターンピッチが狭くなると大きくなる傾向があることがわかった。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 基板、
該基板上に形成された、複数の凸状の磁性層からなる磁気記録層、
該磁気記録層上に形成された保護膜、及び
該保護膜と、該基板表面と、各磁性層の側壁とによって囲まれる領域内に設けられた空隙を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
[2] 隣接する磁性層の中心間のピッチは、各々20nm以下であることを特徴とする[1]に記載の磁気記録媒体。
[3] 前記磁性層の高さは、前記保護膜の高さよりも高いことを特徴とする[1]または2に記載の磁気記録媒体。
[4] 前記保護膜及び前記空隙は、前記凸状の磁性層に対して、保護膜材料を斜方成膜することにより、各々形成される[1]ないし[3]のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
[5] 前記斜方成膜は、前記基板に垂直に入射する方向を0°としたとき、40°ないし80°の角度で行われる[1]ないし[4]のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
[6] 前記保護膜の厚さは、隣接する磁性層間の距離が一番遠い場合の保護膜の厚さをt3、隣接する磁性層間の距離が一番遠い場合の保護膜の厚さをt2、該磁性層上の保護膜の厚さをt1としたとき、t3≦t2≦t1を満たすことを特徴とする[1]ないし[5]のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
[7] 前記磁性層は、各々、円柱、角柱、円錐、及び角錐のいずれかの形状を有することを特徴とする[1]ないし[6]のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
[8] 前記磁性層間に設けられた保護膜の主成分元素は厚さ方向に濃度分布を有し、かつ前記磁性層上に設けられた保護膜は、前記磁性層間に設けられた保護膜よりも、その主性分元素は高濃度であることを特徴とする、[1]ないし[7]のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
[9] 前記保護膜材料は、非磁性材料から構成されることを特徴とする、[1]ないし[8]のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
[10] [1]ないし[9]のいずれか1項に記載の磁気記録媒体と、記録再生ヘッドとを具備することを特徴とする磁気記録再生装置。
[11] 基板上に磁気記録層を形成する工程と、
該磁気記録層をパターニングして、複数の凸状の磁性層からなる磁気記録層を形成する工程と
前記磁気記録層の凸パターンに対して、保護膜材料を斜方成膜することにより、磁気記録層上に保護膜を形成するとともに、該保護膜と、該基板表面と、各磁性層の側壁とによって囲まれる領域内に空隙を設ける工程とを具備することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
[12] 該磁気記録層をパターニングする工程は、
前記磁気記録層上にマスク層を形成する工程と、
前記マスク層上にレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層をパターニングして凸状のパターンを設ける工程と、
前記凸状のパターンを前記マスク層へ転写する工程と、
前記凸状のパターンを前記磁気記録層へ転写し、複数の凸状の磁性層からなる磁気記録層を形成する工程と、
前記磁気記録層上から前記マスク層を除去する工程とを具備する[11]に記載の方法。
[13] 該磁気記録層をパターニングする工程は、
前記磁気記録層上にマスク層を形成する工程と、
前記マスク層上に複数の金属微粒子からなる金属微粒子層を形成する工程と、
該金属微粒子層により構成される凸状のパターンを前記マスク層へ転写する工程と、
前記凸状のパターンを前記磁気記録層へ転写し、複数の凸状の磁性層からなる磁気記録層を形成する工程と、
前記マスク層を前記磁気記録層から除去する工程とを具備する[11]に記載の方法。
[14] 前記複数の金属微粒子は保護材により被覆されており、
該金属微粒子層により構成される凸状のパターンを前記マスク層へ転写する工程の前に、前記金属微粒子層表面上にオーバーコート層を形成する工程と、
該オーバーコート層を介して該金属微粒子層にエネルギー線を照射して該保護材を失活する工程とをさらに具備することを特徴とする[13]に記載の方法。
[15] 前記斜方成膜は、前記基板に対し、前記基板に垂直に入射する方向を0°としたとき、40°ないし80°の角度で行われる[11]ないし[14]のいずれか1項に記載の方法。